(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンを用いた水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20230414BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230414BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230414BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20230414BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230414BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/46
A61K8/891
A61K8/894
A61K8/92
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020523658
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021371
(87)【国際公開番号】W WO2019235331
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2018109058
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】古川 亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 繁郎
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156431(JP,A)
【文献】特表2007-523231(JP,A)
【文献】特開2016-056150(JP,A)
【文献】特開2016-030725(JP,A)
【文献】特開2010-168302(JP,A)
【文献】特開2007-145721(JP,A)
【文献】特開2016-117666(JP,A)
【文献】国際公開第2013/080651(WO,A1)
【文献】特開2011-084551(JP,A)
【文献】特開2009-173601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(
E)成分を含有し、以下の条件(1)~(3)を充たすことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
(A)下記一般式で表されるスルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤
0.1~1.5質量%
R
1CO-a-(CH
2)nSO
3M
1 (I)
〔式(I)中、R1CO-は平均炭素原子数10~22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を示し;aは-O-または-NR2-(ただし、R2は水素原子、または炭素原子数1~3のアルキル基を示す)を示し;M1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を示し;nは1~3の整数を示す。〕
(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサン
0.1~0.8質量%
(C)
炭素数10~24の直鎖、もしくは分岐鎖を持つ脂肪族アルコールであって、25℃で固形である油性成分 0.5~10質量%
(D)25℃での動粘度が100cSt以下であるシリコーン油
0.1~20質量%
条件(1) (A)/((B)+(C)+(D))=
0.01~0.2
条件(2) (A)/(C)=
0.1~1
条件(3) 25℃における粘度が
1000~50000mPa・s
(E)シリコーン系界面活性剤 0.05~2.0質量%
【請求項2】
請求項1に記載の乳化化粧料において、(A)がステアロイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の乳化化粧料において、(D)が分子中にフェニル基を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれかに記載の乳化化粧料において、Log Pが-1.0~-3.0のポリオール、糖アルコールを含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載の乳化化粧料において、有機概念図におけるIOB値が0~0.2のエステル油、動植物油を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載の乳化化粧料において、有機概念図におけるIOB値が0~0.2の25℃で液状のエステル油を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載の乳化化粧料において、(C)がベヘニルアルコールであることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載の乳化化粧料において、(E)がポリグリセリル変性シリコーンであることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の乳化化粧料において、(E)がポリオキシエチレン(10-100)変性ポリシロキサンであることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれかに記載の乳化化粧料において、(F)水溶性増粘剤を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の乳化化粧料において、Log P値が10~30の難溶解性薬剤を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項12】
請求項1
1に記載の乳化化粧料において、Log P値が10~30
の難溶解性薬剤がコエンザイムQ10、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、トラネキサム酸、アラントイン、アルコキシサリチル酸、美白剤から選択されることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項13】
請求項1~12に記載の乳化化粧料において、(B)が(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリシリコーン-11、架橋型メチルポリシロキサン
からなる群より選択されたものであることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年6月6日付け出願の日本国特許出願2018-109058号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンを用いた水中油型乳化化粧料に関し、特に、その化粧料の低粘度での安定性の改善と、使用性の向上に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、皮膚塗布時におけるべたつき・ヌルつきを感じさせない乳化物の調製法として、少量の油剤を界面活性剤を使用して乳化させる方法、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子を使用して乳化させる方法、及びそれらを併用する方法などが知られている。また、高級アルコール、アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及び極性油を組合せた、安定性が良好でべたつき等がない使用感触に優れた水中油型乳化組成物が報告されている(特許文献1)。
【0004】
また、低粘度シリコーン油を含有する油剤に架橋型メチルポリシロキサンを配合し、HLB10以上でPOE付加型ノニオン界面活性剤とHLB6以下のノニオン系面活性剤との組合せにより乳化させることで、使用感と保存安定性とを両立した水中油型乳化皮膚化粧料が得られることが、報告されている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、上記調製法を用いても、べたつき・ヌルつきの問題は不十分であった。また、使用感を向上するために、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンを配合した場合には、低粘度の化粧料中では、凝集してしまい、保存安定性に優れないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-044866号公報
【文献】特開2011-126810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は前記従来技術に鑑み行われたものであり、その解決すべき課題は、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンを用いた水中油型乳化化粧料における低粘度での安定性の改善と、その使用感に優れた水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが前述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、(A)スルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤と、(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンと、(C)動植物由来もしくは化学合成された25℃で固形である油性成分と、(D)25℃での動粘度が100cSt以下であるシリコーン油を、特定の条件で、配合することで、低粘度での経時安定性に優れ、使用感に優れた水中油型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明に係る水中油型化粧料は、下記(A)~(D)成分を含有し、以下の条件(1)~(3)を充たすことを特徴とする。
(A)下記一般式で表されるスルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤
R1CO-a-(CH2)nSO3M1 (I)
〔式(I)中、R1CO-は平均炭素原子数10~22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を示し;aは-O-または-NR2-(ただし、R2は水素原子、または炭素原子数1~3のアルキル基を示す)を示し;M1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を示し;nは1~3の整数を示す。〕
(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサン
(C)動植物由来もしくは化学合成された25℃で固形である油性成分
(D)25℃での動粘度が100cSt以下であるシリコーン油
条件(1) (A)/((B)+(C)+(D))= 0.01 ~ 1.0
条件(2) (A)/(C)=0.01~1.0
条件(3) 25℃における粘度が10~100000mPa・s
前記乳化化粧料において、(A)がステアロイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩から選ばれる一種または二種以上であることが好適である。
前記乳化化粧料において、(E)シリコーン系界面活性剤を更に含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、(E)シリコーン系界面活性剤が化粧料中に0.05~2.0質量%含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、(D)が分子中にフェニル基を含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、(D)が製剤中に0.1~20質量%含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、Log Pが-1.0~-3.0のポリオール、糖アルコールを含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、有機概念図におけるIOB値が0~0.2のエステル油、動植物油を含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、有機概念図におけるIOB値が0~0.2の25℃で液状のエステル油を含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、(C)が、炭素数10~24の直鎖、もしくは分岐鎖を持つ脂肪族アルコールであることが好適である。
前記乳化化粧料において、(C)がベヘニルアルコールであることが好適である。
前記乳化化粧料において、(E)がポリグリセリル変性シリコーンであることが好適である。
前記乳化化粧料において、(E)がポリエーテル(3~40)変性ポリシロキサンであることが好適である。
前記乳化化粧料において、(F)水溶性増粘剤を含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、Log P値が10~30の(準)難溶解性薬剤を含むことが好適である。
前記乳化化粧料において、Log P値が10~30の(準)難溶解性薬剤がコエンザイムQ10、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、トラネキサム酸、アラントイン、アルコキシサリチル酸、美白剤(その他成分)から選択されることが好適である。
前記乳化化粧料において、(B)が(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリシリコーン-11、架橋型メチルポリシロキサンあることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、(A)スルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤と、(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンと、(C)動植物由来もしくは化学合成された25℃で固形である油性成分と、(D)25℃での動粘度が100cSt以下であるシリコーン油を、特定の条件で、配合することで、低粘度での経時安定性優れ、使用感に優れた水中油型乳化化粧料が得られることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る水中油型乳化化粧料は、以下の(A)~(D)成分を含有し、以下の条件(1)~(3)を充たすことを特徴とする。
(A)一般式(I)で表されるスルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤
(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサン
(C)動植物由来もしくは化学合成された25℃で固形である油性成分
(D)25℃での動粘度が100cSt以下であるシリコーン油
条件(1) (A)/((B)+(C)+(D))=0.01~1.0
条件(2) (A)/(C)=0.01~1
条件(3) 25℃における粘度が10~100000mPa・s
【0012】
(A)スルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤
本発明に用いる(A)スルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤は、以下の一般式(I)で表される。
【0013】
[式1]
R1CO-a-(CH2)nSO3M1 (I)
【0014】
上記式(I)中、R1CO-は平均炭素原子数10~22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を示し;aは-O-または-NR2-(ただし、R2は水素原子、または炭素原子数1~3のアルキル基を示す)を示し;M1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を示し;nは1~3の整数を示す。
【0015】
本発明の(A)スルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤は、水中油型乳化化粧料に用いる場合は、化粧料中、0.1~1.5質量%であることが好適である。1.5質量%を超えると、べたつきを与える場合がある。0.1質量%を下回ると、乳化安定性が低下する場合がある。
【0016】
本発明で用いることができるスルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤は、特に限定されないが、ステアロイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩であることが好ましい。
【0017】
スルホン酸基を分子内に持つアニオン性界面活性剤としては、市販品としては、NIKKOL SMT(ステアロイルメチルタウリンナトリウム、日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL LMT(ラウロイルメチルタウリンナトリウム、日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL CMT-30(ココイルメチルタウリンNa、日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0018】
(B)ジメチルポリシロキサン
本発明で用いる(B)ジメチルポリシロキサンは、部分架橋もしくは架橋型であることを特徴とする。
【0019】
本発明の(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンは、水中油型乳化化粧料に用いる場合は、化粧料中、0.1~2質量%であることが好適である。さらに好ましくは、0.1~0.8質量%である。2質量%を超えると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を起こす場合がある。0.1質量%を下回ると、なめらかで良好な使用感触が得られない場合がある。
【0020】
本発明で用いることができる、(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンは、特に限定されないが、アルキル架橋ポリジメチルシロキサン、ポリシリコーン-11、架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマーであることが好ましい。
これらの中でも、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリシリコーン-11、架橋型メチルポリシロキサンが優れている。
【0021】
(B)部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンとしては、市販品としては、DOW CORNING(R) 9041 SILICONE ELASTOMER BLEND(ジメチコンクロスポリマー ジメチコン,、東レ・ダウコーニング株式会社製)、Gransil DMG-3(Dimethicone (and) Polysilicone-11、Grant Industry社製)、KSG-210((ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0022】
(C)動植物由来もしくは化学合成された油性成分
本発明で用いる動植物由来もしくは化学合成された油性成分は、25℃で固形であることを特徴とする。固形でない場合だと、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を起こす場合があるため好ましくない。
【0023】
本発明の(C)動植物由来もしくは化学合成された油性成分は、水中油型乳化化粧料に用いる場合は、化粧料中、0.5%~10質量%であることが好適である。10%を超えると、なめらかで良好な使用感触が得られない場合がある。0.5%を下回ると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を起こす場合がある。
【0024】
本発明で用いることができる(C)動植物由来もしくは化学合成された油性成分としては、特に限定されないが、炭素数10~24の直鎖、もしくは分岐鎖を持つ脂肪族アルコール、スフィンゴシン、絶縁体、セラミドなどであることが好ましい。
これらのアルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセレンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
これらの中でも、ベヘニルアルコール、スフィンゴシン、セラミドが優れている。
【0025】
(C)動植物由来もしくは化学合成された油性成分としては、市販品としては、NIKKOL ベヘニルアルコール65(日光ケミカルズ株式会社社製)、ステアリルアルコールNX(高級アルコール工業株式会社製)、NIKKOLバチルアルコールEX(日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0026】
(D)シリコーン油
本発明で用いるシリコーン油は、25℃での動粘度が、100cSt以下であることが特徴である。動粘度が、100cStを超えると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散状態が悪化する場合があるため、好ましくない。
【0027】
本発明の(D)シリコーン油は、水中油型乳化化粧料に用いる場合は、化粧料中、5~30質量%であることが好適である。30%を超えると、乳化不良を起こす場合がある。5%を下回ると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を起こす場合がある。
【0028】
本発明で用いるシリコーン油は、特には限定されないが、フェニル基、メチル基が含まれていることが好ましい。
これらの中でも、固形油との相溶性という点で、フェニル基を含むことが好ましい。
【0029】
(D)シリコーン油としては、市販品としては、シリコンKF-56(信越化学工業株式会社製)、KF-96A-6T(信越化学工業株式会社社製)などが挙げられる。
【0030】
本発明に係る水中油型乳化化粧料は、以下の条件(1)~(3)を充たす必要がある。
【0031】
条件(1)
(A)/((B)+(C)+(D))= 0.01 ~ 1
A/(B+C+D)の重量比は、各成分(A)~(D)を安定に乳化できる範囲を示す。成分(A)の配合量に対して、成分(B)~(D)の配合量は、(A)/((B)+(C)+(D))=0.01~1の範囲にあることが必要であり、好ましくは、0.01~0.5、特に好ましくは0.01~0.2である。また、(A)/((B)+(C)+(D))が、0.01未満であると、乳化不良あるいは部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を引き起こす場合があるため好ましくない。そして、(A)/((B)+(C)+(D))が、1を超えると、塗布中のぬるつき・塗布後のべたつきが強くなる場合があるため好ましくない。
【0032】
条件(2)
(A)/(C)=0.01~1
成分(A)、(C)の含有量は、重量比で、(A)/(C)=0.01~1の範囲にあることが必要であり、好ましくは、0.1~1、特に好ましくは0.1~0.5である。(A)/(C)が、0.01未満であると、乳化不良あるいは部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を引き起こす場合があるため好ましくない。また、(A)/(C)が、1を超えると、塗布中のぬるつき・塗布後のべたつきが強くなる場合があるため好ましくない。
【0033】
条件(3)
本発明に係る水中油型乳化化粧料は、25℃における粘度が10~100000mPa・sであることを特徴とする。1000~50000であるとより好ましい。10mPa・s未満でると、長期保存にて部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を起こす場合があり、好ましくない。また、100000mPa・sを超えると、なめらかで良好な使用感触が得られない場合があり、好ましくない。
【0034】
本発明に係る水中油型乳化化粧料は、乳化粒子径が、100μm以下であることが好ましい。100μmを超えると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集を起こす場合があるため、好ましくない。
【0035】
本発明では、(E)シリコーン系界面活性剤を配合することができる。
【0036】
本発明に係る水中油型乳化化粧料に(E)シリコーン系界面活性剤を配合する場合は、化粧料中、0.05~2.0質量%であると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散向上および長期保存での部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの合一の抑制という理由で、好ましい。0.05質量%未満であると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサン分散および合一抑制に効果がないため、好ましくない。また、2.0質量%を超えると、塗布後のべたつきが強くなる場合があり、好ましくない。
【0037】
本発明で用いる(E)シリコーン系界面活性剤は、特には限定されないが、ポリグリセリル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性・アルキル変性シリコーンであることが好ましい。このうち、特に、シリコーン界面活性剤は、シリコーン鎖(シロキサン鎖)を主鎖として有し、ポリエーテル基を有する親水基を側鎖として有すると好ましい。シリコーン界面活性剤は、シリコーン鎖に複数のポリオキシアルキレン基(ポリエーテル鎖)を側鎖として導入したペンダント型(櫛型)構造を有すると好ましい。シリコーン界面活性剤がペンダント型構造を有すると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散安定性をより高めることができる。
これらの中でも部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの合一抑制の点で、ポリエーテル(3~40)変性ポリシロキサンであると好ましい。特に好ましくは、PEG-10ジメチコンである。
また、HLBが、10より低いと部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散性・凝集抑制が向上するという点で好ましい。
【0038】
(E)シリコーン系界面活性剤としては、市販品としては、KF-6017P(PEG-10ジメチコン、信越シリコーン社製)、KF-6048(セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、信越シリコーン 社製)、シリコーンKF-6109(ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、信越シリコーン社製)などが挙げられる。
【0039】
本発明では、(F)水溶性増粘剤を配合することができる。
【0040】
水溶性増粘剤としては、例えば、タウレート系合成高分子及び/又はアクリレート系合成高分子を使用することができる。
【0041】
例えば、タウレート系高分子系増粘剤としては、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(アクリロイルジメチルタウリン酸)又はその塩(AMPS構造)を構成単位として有する重合体及び/又は共重合体(架橋重合体含む)を使用することができる。このような増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー(カーボポール981、 Lubrizol社製)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー(Aristoflex(登録商標) HMB、クラリアントジャパン社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー(Aristoflex(登録商標) AVC、クラリアントジャパン社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシルエチル)クロスポリマー(Aristoflex(登録商標) TAC、クラリアントジャパン社)、ポリアクリレートクロスポリマー-11(Aristoflex(登録商標) Velvet、クラリアントジャパン社)、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチル16タウリンナトリウム)クロスポリマー(SU-GEL、東邦化学社)、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー(SEPINOV EMT10ピノブ、SEPPIC社)、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー(SEPINOV P88、SEPPIC社)、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー(SIMULGEL EG、SEPPIC社)、(アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/メタクリルアミドラウリン酸)コポリマー(AMO-51、大東化成工業社)、及び(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/アクリル酸)コポリマー(アキュダインSCP、ダウケミカル社)から選択される少なくとも1つを使用することができる。
【0042】
例えば、アクリレート系合成高分子系増粘剤としては、(アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20)共重合体(ACULYN(登録商標)22、ダウケミカル社)、(アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー(PEMULEN(登録商標)TR-2)を使用することができる。
【0043】
本開示の組成物における水溶性増粘剤の含有率は、組成物の質量に対して、0.05質量%以上であると好ましく、0.08質量%以上であるとより好ましい。水溶性増粘剤の含有率が0.05質量%未満であると、乳化安定性が低下すると共に、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散性が低下してしまう。水溶性増粘剤の含有率は、組成物の質量に対して、2質量%以下であると好ましく、1.5質量%以下であるとより好ましい。水溶性増粘剤の含有率が2質量%を超えると、本開示の組成物が求める使用感が損なわれてしまう。
【0044】
本発明の効果を阻害しない範囲において、別の増粘剤を添加することもできる。別の増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナト17リウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0045】
本発明では、(C)成分とは別に、有機概念図(藤田穆著:有機定性分析)におけるIOB値が、0~0.2である動植物由来もしくは化学合成された油性成分を配合すると、固形油分の溶解性の向上という点で好ましい。0.2を超えると、固形油分が溶解しない場合があり、好ましくない。
【0046】
IOB値が、0~0.2である動植物由来もしくは化学合成された油性成分は、特には限定されないが、固形油分の溶解性の向上という理由で、25℃で液状のエステル油であると好ましい。
【0047】
IOB値が、0~0.2である動植物由来もしくは化学合成された油性成分は、化粧料中、1~20質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、固形油分が十分に溶解しない場合があり、好ましくない。また、20質量%を超えると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンが凝集する場合があり、好ましくない。
【0048】
本発明では、非イオン界面活性剤を配合することができる。非イオン界面活性剤を配合する場合は、化粧料中、0.01~1質量%であると、乳化性が向上するという理由で好ましい。0.01質量%未満であると、乳化性が変化しない場合があり、好ましくない。また、1質量%を超えると、塗布中のぬるつき・塗布後のべたつきが強くなる場合があり、好ましくない。
【0049】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。
これらの中でも、CCP(平均臨界充填パラメーター)が、0.8~1.2であるアルキルモノグリセリド、ジアルキルモノグリセリド、ソウビタンモノ炭素数が10~24の脂肪酸エステルだと好ましい。
【0050】
本発明において平均臨界充填パラメータ
「充填パラメータ」とは、ミセル殻中の疎水基の占有容積をV、ミセル殻中の疎水基の長さをl、ミセル-溶液界面での親水基の占有面積をaとすると、V/(l・a)で示される値で、分子構造と会合構造の関係を説明するためのパラメータである。Israelachviliによって、臨界充填パラメータと安定にとり得る会合構造との関係が示されている(「Intermolecular and Surface Forces, with Applications to Colloidal and Biological Systems」Academic Press, London, 1985, p247;「分子間力と表面力」第2版、J.N.イスラエルアチヴェリ著、近藤保、大島広行訳、朝倉書店、1996、p368;「界面活性剤と界面現象」M.J.ローゼン著、坪根和幸、坂本一民監修、フレグランスジャーナル社、1995、p116)。
【0051】
本発明では、両性界面活性剤を配合することができる。両性界面活性剤を配合する場合は、化粧料中、0.01~1質量%であると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散性が向上するため、好ましい。0.01質量%未満であると、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの分散性に影響しない場合があり、好ましくない。また、1質量%を超えると、塗布後にべたつきを感じる場合があり、好ましくない。
【0052】
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0053】
本発明では、ポリオール、糖アルコールなどを含むことができる。
【0054】
ポリオール、糖アルコールなどとしては、グリセリン、ブチレングリコール、エリスリトールなどが挙げられる。特に、水溶性、脂溶性を表す水/オクタノール分配係数(logP値)の値が-3.0~-1.0の範囲であると好ましい。
【0055】
ポリオール、糖アルコールの配合量は、粧料中、1~30質量%であることが好ましい。1質量%未満でると、スキンケアとして十分な保湿効果を得られない場合があり、好ましくない。また、30質量%を超えると、塗布中のぬるつき・塗布後のべたつきが強くなる場合があり、好ましくない。
【0056】
本発明では、難溶解性薬剤を含むことができる。
【0057】
難溶解性薬剤としては、コエンザイムQ10、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、トラネキサム酸、アラントイン、アルコキシサリチル酸、美白剤(その他成分)などが挙げられる。特に、水溶性、脂溶性を表す水/オクタノール分配係数(logP値)の値が、10~30の範囲であると好ましい。
【0058】
[その他の各種成分]
本発明にかかる化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分、例えば、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。
【0059】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0060】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0061】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0062】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0063】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0064】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノ;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
【0065】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0066】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0067】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0068】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0069】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0070】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0071】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0072】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0073】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0074】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0075】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0076】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することができる。
【0077】
本発明にかかる水中油型乳化化粧料の製品形態としては、あらゆる製品形態をとることが可能である。具体的には、保湿ジェル、マッサージジェル、美容液、化粧水、乳液等のスキンケア化粧料、メーキャップ化粧料、サンケア用品、ヘアセット剤やヘアジェル等の毛髪化粧料、染毛剤等の製品形態をとることができる。
【0078】
[本発明にかかる水中油型乳化化粧料の製造方法]
公知の方法で製造することができる。たとえば、水にアニオン活性剤を溶解する(A)。油を高温で溶解する(B)。AとBを混合することで、適度な粘度領域の目的の水中油型乳化化粧料を製造することが出来る。
【実施例】
【0079】
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明の係る水中油型乳化化粧料の評価方法について説明する。
【0080】
評価(1):低速攪拌の評価
低速攪拌は、200gの試料をスリーワンモーターにて40rpm・4時間撹拌することでの部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集状態および外観上での変化を評価した。
<評価基準>
○:部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集は観察されなかった。
△:部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集はほとんど観察されなかった。
×:部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集が観察された。
【0081】
評価(2):ローリング試験(4hr)の評価
ローリング試験は、組成物30mlを50mlスクリュー管に入れ、そのスクリュー管を25℃において回転速度45rpmで4時間回転させることで部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集状態および外観上での変化を評価した。
<評価基準>
○:部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集は観察されなかった。
△:部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集はほとんど観察されなかった。
×:部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集が観察された。
【0082】
【0083】
【0084】
(*1)シリコーン KF-6109(信越化学工業 社製)
(*2)ABIL Care XL 80 (テグサ ジャパン 社製)
(*3)Gransil DMCM-5(Grant Industries Inc社製)
(*4)DOW CORNING(R) 9041 SILICONE ELASTOMER BLEND(東レ・ダウコーニング 社製)
(*5)KSG-18A(信越化学工業 社製)
【0085】
上記試験例より、(E)シリコーン系界面活性剤が配合しない場合は、部分架橋もしくは架橋型ジメチルポリシロキサンの凝集が観察してしまうことが分かった。