(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】滅菌が意図される医療用バッグ、チューブ、およびアクセサリのためのトレイ
(51)【国際特許分類】
A61B 50/33 20160101AFI20230414BHJP
A61J 1/14 20230101ALI20230414BHJP
A61L 2/26 20060101ALN20230414BHJP
【FI】
A61B50/33
A61J1/14 390A
A61L2/26
(21)【出願番号】P 2020557189
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2019059429
(87)【国際公開番号】W WO2019201776
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519174252
【氏名又は名称】テクノフレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アンゴー、 マクシム
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0284410(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02699146(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015456(US,A1)
【文献】特許第6125501(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3123126(JP,U)
【文献】国際公開第2014/002938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/30-50/33
A61J 1/14
A61L 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用バッグ(20)と、
少なくとも1つのチューブ(21)と、
少なくとも1つのアクセサリ(22)と、
複数のハウジング(11、12、13)を含む、成形されたトレイ(10)であって
、
前記ハウジング(11、12、13)のそれぞれは、
前記医療用バッグ(20)、
前記少なくとも1つのチューブ(21)、および
前記少なくとも1つのアクセサリ(22)を受容可能であり、前記医療用バッグ(20)、前記少なくとも1つのチューブ(21)、および前記少なくとも1つのアクセサリ(22)は、互いに連結されて
いるトレイ(10)と、
オートクレーブのために前記トレイ(10)を封入する包装体(30)であって、透明なプラスチック材料からなる第1フィルムと、蒸気の循環が可能となる多孔質材料からなる第2フィルムとを含む包装体(30)
とを備えるアセンブリ。
【請求項2】
前記トレイ(10)はポリカーボネートからな
る請求項1に記載の
アセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジング(11、12、13)のうち少なくとも1つは、前記少なくとも1つのチューブ(21)が、前記少なくとも1つのチューブ(21)の軸方向に
沿って変位可能であるように構成され
る請求項1または2に記載の
アセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジング(11、12、13)のうち少なくとも1つは、前記トレイ(10)の面に垂直な軸に沿って、所定の位置で前記少なくとも1つのチューブ(21)を固定するストッパーを含
む請求項
1から3
のいずれか一項に記載の
アセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジング(11、12、13)のうち少なくとも1つは、所定の位置で前記少なくとも1つのアクセサリ(22)を固定するように構成され
る請求項1または2に記載の
アセンブリ。
【請求項6】
前記医療用バッグ(20)を受容可能なハウジング(11)が第1の面(P1)に位置し、
前記少なくとも1つのチューブ(21)および前記少なくとも1つのアクセサリ(22)を受容可能な他の2つのハウジング(11、12)が第2の面(P2)および第3の面(P3)にそれぞれ位置
し、
前記第1の面(P1)は、前記第2の面および第3の面(P2、P3)とは異なり、前記第2の面および第3の面(P2、P3)と平行であ
る請求項1から
5のいずれか一項に記載の
アセンブリ。
【請求項7】
前記医療用バッグ(20)、前記少なくとも1つのチューブ(21)、および前記少なくとも1つのアクセサリ(22)は、同一面に位置す
る請求項1から
5のいずれか一項に記載の
アセンブリ。
【請求項8】
前記トレイ(10)は熱成形されたものであ
る請求項1に記載のトレイ(10)。
【請求項9】
前記トレイ(10)はプラスチック射出成形により製造されたものであ
る請求項1に記載の
アセンブリ。
【請求項10】
前記トレイ(10)はプレス加工により得られたものであ
る請求項1に記載の
アセンブリ。
【請求項11】
前記包装体(30)は、剥離可能である
請求項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気滅菌される中空かつ可撓性のシステムを包装する分野に関する。本発明は、特に、蒸気滅菌が意図される医療用バッグ、チューブ、およびアクセサリのためのトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術には以下のニーズが存在する。
包装/パッキング工程において、
・剥離可能な滅菌ポーチ内でのシステム(バッグ、チューブ、アクセサリ)の人間工学的で再現性のある配置を可能にし、
・システム間の機械的応力の伝達を抑制しながら、複数の包装されたシステムの積み重ねを容易化する。
滅菌工程において、
・システムの内部の滅菌を可能にし、
・(オートクレーブ内の圧力変動により)オートクレーブサイクル中にバッグが膨張する可能性がある場合、バッグ、チューブ、およびアクセサリ間での機械的応力の伝達を回避する。
【0003】
主な問題は、オートクレーブ中のシステムの完全性を維持することである。システムに以下ものが含まれる場合、維持はさらに困難となる。
・膨張/収縮サイクルの影響を受ける可能性のある可撓性バッグ
・オートクレーブ温度(121℃)で機械的強度が急激に低下するPVCチューブ
・比較的かさばり、鈍形のものを含み得る、多数の射出プラスチック製アクセサリ。
【0004】
先行技術では、上記のようなシステム(バッグ、チューブ、およびアクセサリ)の場合、完全性の維持を可能とする解決策がない。先行技術のシステムは、特別な対策を講じることなく、剥離可能なオートクレーブポーチにまとめて直接包装される。
【0005】
先行技術では、透明なプラスチックフィルムからなる層と水蒸気を透過する紙の層で構成されるオートクレーブ可能な包装体中の医療用バッグが特に知られている。これらのバッグの中には、PVC材からなるチューブを含むものもあるが、通常、かさばるまたは鈍形のアクセサリは含まれない。
【0006】
また、照射またはエチレンオキシドによって滅菌されるブリスター型包装体キットも先行技術で知られている。これらの包装体の下部は通常、熱成形されたポリマープレートで構成されており、蓋部は可撓性で取り外し可能である。これらのキットの中には、さまざまな種類のPVC材からなるチューブと、比較的かさばるおよび/または鈍形のものを含む多数の射出剛性アクセサリを含むものがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、蒸気滅菌が意図される医療用バッグ、チューブ、およびアクセサリを受容可能な、複数のハウジングを含む成形トレイを提案することによって、従来技術の欠点を克服することを目的とする。
【0008】
この目的のため、本発明は、最も広い意味において、複数のハウジングを含む成形されたトレイに関し、トレイおよびハウジングのそれぞれは、医療用バッグ、少なくとも1つのチューブ、および少なくとも1つのアクセサリを受容可能であり、医療用バッグ、少なくとも1つのチューブ、および少なくとも1つのアクセサリは、互いに連結されており、トレイは、オートクレーブのため包装体に封入可能である。
【0009】
本発明のトレイにより、
平らに置くための下部水平支持面を提供し、
チューブとアクセサリを窪みに埋め込み、これらをバッグとの接触から保護し、
バッグのために中央水平支持面を提供し、チューブやアクセサリに応力を与えることなく、バッグをわずかに膨張させることを可能とし、
複数の包装されたシステムを積み重ねる(例えば「頭-尾」の積み重ね)ための上部水平支持面を提供し、
特に、目視検査により、システムが正しく組み立てられているかを確認するためのテンプレートとしての機能を提供することができる。
【0010】
一実施形態によると、上記トレイは、ポリカーボネートからなる。
【0011】
一実施形態によると、上記トレイは、重力により凝縮液が流通可能な切欠きを底部に有する。
【0012】
一実施形態によると、剥離可能な包装体は、透明なプラスチック材料からなる上部フィルムと、多孔質材料からなる下部フィルムと、を含む。
【0013】
これにより、上部フィルムにより、トレイ内の所定の位置にあるシステムの視覚化が可能となり、下部フィルムにより、蒸気の循環や生成され得る凝縮液の重力排出が可能となる。
【0014】
有利には、ハウジングのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのチューブが、該少なくとも1つのチューブの軸方向に変位可能であるように構成される。
【0015】
好ましくは、ハウジングのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのチューブが、トレイの面に垂直な軸に変位することを防ぐように構成される。
【0016】
一変形例によると、ハウジングのうち少なくとも1つは、トレイの面に垂直な軸に沿って、所定の位置で少なくとも1つのチューブを固定するストッパーを含む。
【0017】
一実施形態によると、ハウジングのうち少なくとも1つは、所定の位置で少なくとも1つのアクセサリを固定するように構成される。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つのチューブは、自由に変位可能である。
【0019】
一実施形態によると、上記トレイは、
医療用バッグを受容可能なハウジングが第1の面に位置し、
少なくとも1つのチューブおよび少なくとも1つのアクセサリを受容可能な他の2つのハウジングが第2の面および第3の面にそれぞれ位置するような、面を含み、
第1の面は、第2および第3の面とは異なり、第2および第3の面と平行である。
【0020】
これにより、キットの完全性を維持しながら、装置のコンパクト性を向上させることができる。
【0021】
他の実施形態によると、医療用バッグ、少なくとも1つのチューブ、および少なくとも1つのアクセサリは、同一面に位置する。
【0022】
有利には、少なくとも1つのチューブの軸方向における該少なくとも1つのチューブの変位は、該少なくとも1つのチューブの長さの5%~25%の長さを有する。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つのチューブの軸方向における該少なくとも1つのチューブの変位は、該少なくとも1つのチューブの長さの10%~20%の長さを有する。
【0024】
一変形例によると、上記トレイは、熱成形される。
【0025】
他の変形例によると、上記トレイは、プラスチック射出成形により製造される。
【0026】
他の変形例によると、上記トレイは、プレス加工により得られる。
【0027】
一実施形態によると、上記トレイは、医療用バッグの完全性を維持しながら、同じ種類の別のトレイ上に積み重ねることが可能である。
【0028】
一実施形態によると、医療用バッグを受容可能な少なくとも1つのハウジングは、医療用バッグが膨張可能であるように構成される。
【0029】
特定の実施形態によると、包装体は、剥離可能である。
【0030】
本発明は、図面を参照して、発明の実施形態の、単に説明的な目的で以下に提供される説明を用いて、より良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態によるトレイを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるトレイを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるトレイを示す図である。
【
図4】本発明の文脈で使用されるキット(医療用バッグ、チューブ、およびアクセサリ)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、成形されたトレイ10に関する。本発明のトレイ10は、複数のハウジング11、12、13を含み、トレイ10およびハウジング11、12、13のそれぞれは、医療用バッグ20、少なくとも1つのチューブ21、および少なくとも1つのアクセサリ22を受容可能であり、医療用バッグ20、少なくとも1つのチューブ21、および少なくとも1つのアクセサリ22は、互いに連結されている。また、トレイ10は、オートクレーブのため包装体30に封入可能である。
【0033】
図1、
図2、および
図3は、本発明の一実施形態によるトレイを示す。
【0034】
図1は、複数のハウジング11、12、13を含む、本発明のトレイ10を示す。また、
図1には、互いに連結された医療用バッグ20、チューブ21、およびアクセサリ22も示される。さらに、
図1には、本発明のトレイ10を封入する包装体30も示される。
【0035】
バッグおよびチューブは、それぞれ、特に特定温度でのポリマーによる不可避な収縮状況において、抵抗なく変形可能であるように、水平面上で自由に移動可能である。
【0036】
図2および
図3も、複数のハウジング11、12、13を含む、本発明のトレイ10を示す。
【0037】
図4は、本発明の文脈で使用されるキット(医療用バッグ、チューブ、およびアクセサリ)を示す。
図4に示されるキットは、互いに連結された医療用バッグ20、チューブ21、およびアクセサリ22を含む。
【0038】
一実施形態では、オートクレーブ可能な包装体30は、上部フィルムが透明なプラスチック材料で構成されることで、トレイ内の所定の位置にあるシステムの視覚化を可能とし、下部フィルムが多孔質材料で構成されることで、蒸気の循環や生成され得る凝縮液の重力排出を可能とする。
【0039】
一実施形態では、本発明のトレイ10は、ポリカーボネートで構成される。本実施形態では、121℃のオートクレーブに耐えることが可能な材料であるポリカーボネート板の熱成形により本発明が実現される。
【0040】
一実施形態では、本発明のトレイ10は、重力により凝縮液が流通可能な切欠きを底部に有する。
【0041】
一実施形態では、ハウジング11、12、13のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのチューブ21が、少なくとも1つのチューブ21の軸方向に変位可能であるように構成される。
【0042】
一実施形態では、ハウジング11、12、13のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのチューブ21が、トレイ10の面に垂直な軸に変位することを防ぐように構成される。
【0043】
一実施形態では、ハウジング11、12、13のうち少なくとも1つは、トレイ10の面に垂直な軸に沿って、所定の位置で少なくとも1つのチューブ21を固定するストッパーを含む。
【0044】
一実施形態では、ハウジング11、12、13のうち少なくとも1つは、所定の位置で少なくとも1つのアクセサリ22を固定するように構成される。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つのチューブ21は、自由に変位可能である。
【0046】
一実施形態では、本発明のトレイ10は、
医療用バッグ20を受容可能なハウジング11が第1の面P1に位置し、
少なくとも1つのチューブ21および少なくとも1つのアクセサリ22を受容可能な他の2つのハウジング11、12が第2の面P2および第3の面P3にそれぞれ位置するような、面P1、P2、P3を含む。
第1の面P1は、第2および第3の面P2、P3とは異なり、第2および第3の面P2、P3と平行である。
【0047】
これにより、キットの完全性を維持しながら、装置のコンパクト性を向上することができる。
【0048】
他の実施形態では、医療用バッグ20、少なくとも1つのチューブ21、および少なくとも1つのアクセサリ22は、同一面に位置する。
【0049】
一実施形態では、少なくとも1つのチューブ21の軸方向における少なくとも1つのチューブ21の変位は、少なくとも1つのチューブ21の長さの5%~25%の長さを有する。
【0050】
一実施形態では、少なくとも1つのチューブ21の軸方向における少なくとも1つのチューブ21の変位は、少なくとも1つのチューブ21の長さの10%~20%の長さを有する。
【0051】
一実施形態では、本発明のトレイ10は、熱成形される。
【0052】
他の実施形態では、本発明のトレイ10は、プラスチック射出成形により製造される。
【0053】
他の実施形態では、本発明のトレイ10は、プレス加工により得られる。
【0054】
一実施形態では、本発明のトレイ10は、医療用バッグ20の完全性を維持しながら、同じ種類の別のトレイ上に積み重ねることが可能である。
【0055】
一実施形態では、医療用バッグ20を受容可能な少なくとも1つのハウジング11、12、13は、医療用バッグ20が膨張可能であるように構成される。
【0056】
一実施形態では、包装体30は、剥離可能である。
【0057】
本発明のトレイ10は、脆弱で変形可能な部品からなる中空システムや、それらに印を付けたり、損傷を与える可能性のある剛性部品の蒸気滅菌に適用することができる。
【0058】
上述において、本発明は例として説明された。当業者は、特許の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる変更を作り出すことが可能であることを理解されたい。