(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】コネクタおよび蓄電パック
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230414BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20230414BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20230414BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20230414BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20230414BHJP
H01M 50/20 20210101ALN20230414BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H01M50/543
H01M10/46 101
H01G11/76
H01G11/10
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2021031489
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】松山 智
(72)【発明者】
【氏名】岡田 渉
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249225(JP,A)
【文献】特開平10-223263(JP,A)
【文献】特開平11-122829(JP,A)
【文献】特開2020-030902(JP,A)
【文献】特開平08-223263(JP,A)
【文献】特開平08-185898(JP,A)
【文献】特開2008-092624(JP,A)
【文献】特開2013-099024(JP,A)
【文献】特開2019-187141(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110655(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 50/543
H01M 10/46
H01G 11/76
H01G 11/10
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電パックまたは充電器の筐体に設けられたコネクタであって、
導電回路に接続される第1接続部と、
流体回路に接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部を一体的に保持する本体とを備
え、
前記第1接続部は、電力線に接続される第1電気ポートと、信号線に接続される第2電気ポートとを含み、
前記第2接続部は、前記筐体内の空洞に接続される第1流体ポートと、前記蓄電パックまたは前記充電器の冷却液回路に接続される第2流体ポートとを含み、
前記第1流体ポートの延在方向に垂直な方向の前記コネクタの断面において、前記第1流体ポートは、前記第2電気ポートおよび前記第2流体ポートの間に位置し、前記第1流体ポートの外周は、前記第1電気ポート側および前記第2流体ポート側に各々位置する突出部を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記第1流体ポートと前記第2電気ポートとは同じ方向に延び、
前記第1流体ポートの延在方向に垂直な方向の前記コネクタの断面において、第1流体ポートの外周は、前記第2電気ポートの少なくとも一部に沿って延びる部分を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1流体ポートと前記第2電気ポートとは同じ方向に延び、
前記第1流体ポートの延在方向に垂直な方向の前記コネクタの断面において、第1流体ポートの外周は、前記第2電気ポートに対向する凹部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1流体ポートと前記第2流体ポートとは同じ方向に延び、
前記第1流体ポートの延在方向に垂直な方向の前記コネクタの断面において、前記第1流体ポート
の外周は、前記第2流体ポートの少なくとも一部に沿って延びる部分を有する、請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1流体ポートと前記第2流体ポートとは同じ方向に延び、
前記第1流体ポートの延在方向に垂直な方向の前記コネクタの断面において、前記第1流体ポートの外周は、前記第2流体ポートに対向する凹部を有する、請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記本体の一方の端部から他方の端部に向かって、前記第1電気ポート、前記第2電気ポート、前記第1流体ポート、および前記第2流体ポートの順に並ぶように前記第1電気ポート、前記第2電気ポート、前記第1流体ポート、および前記第2流体ポートが設けられる、請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記筐体に収納された蓄電モジュールとを備えた、蓄電パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、コネクタおよび蓄電パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッテリシステムとして、たとえば特開2009-170258号公報(特許文献1)に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電池パックを接続したバッテリシステムを提供するとき、互いに異なる複数種の回路(流路を含む)を接続する必要が生じる場合がある。このとき、組立作業性やメンテナンス性の向上が求められる。
【0005】
本技術の目的は、組立作業性やメンテナンス性の高いコネクタおよびそれを備えた蓄電パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係るコネクタは、蓄電パックまたは充電器の筐体に設けられたコネクタであって、導電回路に接続される第1接続部と、流体回路に接続される第2接続部と、前記第1接続部および前記第2接続部を一体的に保持する本体とを備える。
【0007】
本技術に係る蓄電パックは、上述のコネクタと、前記筐体に収納された蓄電モジュールとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、組立作業性やメンテナンス性の高いコネクタおよびそれを備えた蓄電パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】1つの実施の形態に係るコネクタの断面図である。
【
図2】
図1に示すコネクタを用いた接合部(接続前)の縦断面図である。
【
図3】
図1に示すコネクタを用いた接合部(接続後)の縦断面図である。
【
図4】変形例に係るコネクタの断面図(その1)である。
【
図5】変形例に係るコネクタの断面図(その2)である。
【
図6】変形例に係るコネクタの断面図(その3)である。
【
図7】変形例に係るコネクタの断面図(その4)である。
【
図8】複数の電池パックの接続構造の一例を示す図である。
【
図9】複数の電池パックの接続構造の他の例を示す図である。
【
図10】電気ラインおよび冷却液ラインの接続構造を示す図(その1)である。
【
図11】電気ラインおよび冷却液ラインの接続構造を示す図(その2)である。
【
図12】電気ラインおよび冷却液ラインの接続構造を示す図(その3)である。
【
図13】電気ラインおよび冷却液ラインの接続構造を示す図(その4)である。
【
図14】コネクタと冷却プレートとの接続構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0013】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0014】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0015】
本明細書において、「蓄電セル」、「蓄電モジュール」、および「蓄電パック」なる用語が用いられる場合、「蓄電セル」、「蓄電モジュール」、および「蓄電パック」は電池セル、電池モジュール、および電池パックに限定されず、キャパシタセル等を含み得る。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るコネクタ1の断面図である。
図1に示すように、コネクタ1は、電池パックの筐体に設けられるものであって、第1接続部10と、第2接続部20と、本体30とを含む。第1接続部10は、導電回路に接続され、第2接続部20は、流体回路に接続される。本体30は、第1接続部10および第2接続部20を一体的に保持する。これにより、複数の電池パックを接続するときの組立作業性およびメンテナンス性を向上させることができる。また、接続構造を集約することにより、電池パックの重量も低減される。
【0017】
第1接続部10は、電力線(HVライン)に接続される第1電気ポート11と、信号線(LVライン)に接続される第2電気ポート12(信号線ポート)とを含む。第1電気ポート11および第2電気ポート12の一方のみが設けられることもある。
【0018】
第2接続部20は、電池パック筐体内の空洞に接続される第1流体ポート21と、蓄電パックの冷却液回路に接続される第2流体ポート22とを含む。第1流体ポート21および第2流体ポート22の一方のみが設けられることもある。
【0019】
第1流体ポート21により複数の電池パックの筐体内の空洞を連通させることにより、1つの電池パックの筐体の内圧が上昇したときに、他の電池パックの筐体内の空洞により、特定の電池パックにおける局所的な圧力上昇が緩和される。
【0020】
第1流体ポート21は、第2電気ポート12および第2流体ポート22の少なくとも一部に沿って延びる突出部21αを有する。第1流体ポート21の外周は、第2電気ポート12および第2流体ポート22に対向する凹部21βを有する。
【0021】
第2電気ポート12側の突出部21αは、第2電気ポート12を介して伝達される信号線情報に対するノイズを遮断するシールド部としても機能し得る。第2流体ポート22側の突出部21αは、第2流体ポート22を介して伝達される冷却液の熱交換促進部としても機能し得る。
【0022】
図1の例においては、本体30の上端部(一方の端部)から下端部(他方の端部)に向かって、第1電気ポート11、第2電気ポート12、第1流体ポート21、および第2流体ポート22の順に並ぶ。
【0023】
電池パックの設置状態において、冷却液回路に接続される第2流体ポート22を導電回路に接続される第1接続部10よりも下側に配置することにより、仮に冷却液が漏れ出た場合でも、冷却液が導電回路に達することが抑制される。
【0024】
また、第2流体ポート22を流れる冷却液によって冷却された空気(第1流体ポート21)が第1電気ポート11(HVライン)および第2電気ポート12(LVライン)の冷却を促進し得る。
【0025】
第1電気ポート11、第2電気ポート12、第1流体ポート21、および第2流体ポート22の配置は、適宜変更可能である。第1電気ポート11と第2電気ポート12との間に、空洞に連通する他の流体ポートが設けられてもよい。
【0026】
図2,
図3は、コネクタ1を用いた接合部の縦断面図である。
図2は接続前の状態を湿し、
図3は接続後の状態を示す。
【0027】
図2,
図3に示すように、コネクタ1は、第1部材1Aと、第2部材1Bとから構成される。第1部材1Aは、第1電気ポート11A、第2電気ポート12A、第1流体ポート21A、および第2流体ポート22Aを有する。第2部材1Bは、第1電気ポート11B、第2電気ポート12B、第1流体ポート21B、および第2流体ポート22Bを有する。第1部材1Aの本体30Aおよびカバー40Aと、第2部材1Bの本体30Bおよびカバー40Bとを嵌合させることにより、第1電気ポート11、第2電気ポート12、第1流体ポート21、および第2流体ポート22が各々接続状態となる。このとき、接続前(
図2)においては閉弁状態であった第1流体ポート21の弁21C、および第2流体ポート22の弁22Cが、接続後(
図3)においては開弁状態となり、コネクタ1を介した流体の伝達が可能となる。
【0028】
図4~
図7は、変形例に係るコネクタの断面図である。
図4に示すように、第1電気ポート11と第2電気ポート12とが横並びに配置されてもよい。
図5に示すように、本体30内において第1流体ポート21が他のポートを取り囲むように配置されてもよい。
図6に示すように、第1電気ポート11および第2流体ポート22のみを一体化してもよい。
図7に示すように、第2電気ポート12、第1流体ポート21、および第2流体ポート22のみを一体化してもよい。
【0029】
図8,
図9は、複数の電池パック100の接続構造の例を示す図である。
図8,
図9に示すように、複数の電池パック100は、接続ライン300を介してBCU200と接続される。各々の電池パック100と接続ライン300との接続部にコネクタ1が設けられる。
【0030】
図8に示すように、複数の電池パック100とBCU200とを連鎖状に接続してもよいし、
図9に示すように、複数の電池パック100の各々とBCU200とを直接接続してもよい。
【0031】
図10~
図13は、電気ライン310および冷却液ライン320の接続構造を示す図である。
図10~
図13に示す例では、電池パック100内に4つの電池モジュール110が配置され、4つの電池モジュール110に達するように、電気ライン310および冷却液ライン320が設けられる。
【0032】
図10に示す例では、電池パック100の第1側面100Aに2つのコネクタ1が設けられる。電気ライン310は、電池パック100内において4つの電池モジュール110を直列接続する。冷却液ライン320は、各々の電池モジュール110の下部に設けられた冷却プレート内を電池セルの積層方向に流れる。
【0033】
図11に示す例では、電池パック100の第1側面100Aおよび第2側面100Bに各々1つのコネクタ1が設けられる。電気ライン310は、電池パック100内において2つずつの電池モジュール110を並列接続する。冷却液ライン320は、各々の電池モジュール110の下部に設けられた冷却プレート内を電池セルの積層方向に流れる。
【0034】
図12に示す例では、電池パック100の第1側面100Aに2つのコネクタ1が設けられる。電気ライン310は、電池パック100内において4つの電池モジュール110を直列接続する。冷却液ライン320は、各々の電池モジュール110の下部に設けられた冷却プレート内を電池セルの端子-端子方向に流れる。
【0035】
図13に示す例では、電池パック100の第1側面100Aおよび第2側面100Bに各々1つのコネクタ1が設けられる。電気ライン310は、電池パック100内において2つずつの電池モジュール110を並列接続する。冷却液ライン320は、各々の電池モジュール110の下部に設けられた冷却プレート内を電池セルの端子-端子方向に流れる。
【0036】
コネクタ1の配置、ならびに電気ライン310および冷却液ライン320の接続構造は、
図10~
図13に示す例に限定されず、適宜変更が可能である。また、1つの電池パック100に設けられる電池モジュール110の数も可変である。
【0037】
図14は、コネクタ1と冷却プレート120との接続構造を示す図である。
図14に示す例では、電池パック100の第1側面100Aにコネクタ1が埋設され、コネクタ1に接続された冷却液ライン320が電池モジュール110の冷却プレート120にも接続される。コネクタと筐体内の空隙(空間)との接続部品はなく、コネクタの第1流体ポート21の弁21Cが開弁することで、筐体内の空隙は外部と連通可能である。
【0038】
なお、上述のコネクタ1は、電池パック100のみならず、充電器にも適用可能である。電池パック100と充電器との両方においてコネクタ1を適用することで、たとえば、電池パック100の充電中に冷却液の交換を同時に行うこと等が可能となり、メンテナンス性が向上し得る。また、充電器から冷却液を供給することで、充電中における電池パック100の冷却効率を向上させ、急速充電にも対応し得る。
【0039】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1 コネクタ、1A 第1部材、1B 第2部材、10 第1接続部、11,11A,11B 第1電気ポート、12,12A,12B 第2電気ポート、20 第2接続部、21,21A,21B 第1流体ポート、21C 弁、21α 突出部、21β 凹部、22,22A,22B 第2流体ポート、22C 弁、30,30A,30B 本体、40,40A,40B カバー、100 電池パック、100A 第1側面、100B 第2側面、110 電池モジュール、120 冷却プレート、200 BCU、300 接続ライン、310 電気ライン、320 冷却液ライン。