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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】ジルチアゼムの非経口投薬形態
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/554 20060101AFI20230414BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230414BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230414BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A61K31/554
A61K47/10
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/18
A61P9/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021124237
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2018528283の分割
【原出願日】2016-12-01
(65)【公開番号】P2021176896
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】4533/MUM/2015
(32)【優先日】2015-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】サマルス、クマール
(72)【発明者】
【氏名】ミラン、ナトバルバイ、タッカー
(72)【発明者】
【氏名】カンダルプ、マヘーシュクマール、デイブ
【審査官】松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1600314(CN,A)
【文献】特表2008-540646(JP,A)
【文献】ZHANG, T. et al,ジルチアゼム塩酸塩溶液の安定性に関する考察,中国医院薬学雑誌,2007年,第27巻、第3期,pp.405-407
【文献】河野 健治 他,塩酸ジルチアゼムのポリ塩化ビニル製容器あるいは輸液セット中での含量低下-加水分解と収着-,病院薬学,1994年,Vol.20, No.6,pp537-541
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.(a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩、(b)pHの範囲を3~5にするためのpH調整剤、および(c)エタノール、を含んでなるすぐに注入可能な安定した水溶液、および
b.該水溶液で充填した注入容器、を含み、
ここで、前記水溶液が、室温で少なくとも6か月、または2~8℃で少なくとも6か月、あるいはその両方で安定であり、かつ、2%未満の脱アセチルジルチアゼム不純物を有す、非経口投薬形態。
【請求項2】
前記水溶液がグリセロールを含まない、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項3】
前記水溶液がグリコール類を含まない、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項4】
前記水溶液がポリエチレングリコーを含まない、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項5】
前記水溶液がプロピレングリコーを含まない、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項6】
pH調整剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、酢酸、酢酸ナトリウム、酒石酸、水酸化カリウム又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項7】
前記水溶液が、更に、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム又はそれらの混合物から選択される等張化剤を含む、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項8】
前記水溶液が、更に、エデト酸ナトリウム二水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸又はそれらの混合物から選択されるキレート剤を含む、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項9】
前記ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩が、.4mg/ml~1.0mg/mlの濃度で存在する、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項10】
エタノールが.0w/v%~10.0w/v%の濃度の範囲で存在している、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項11】
前記水溶液が、注入容器1つ当たりに0ml~500mlの容積の範囲で存在している、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項12】
前記注入容器がプラスチック製であり、かつ軟質である、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項13】
pHが、3.5~4.5の範囲である、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項14】
pHが、3.7~4.1の範囲である、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項15】
pH調整剤が、クエン酸またはクエン酸塩緩衝液であり、そして、pHが、3.5~4.5の範囲である、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【請求項16】
pH調整剤が、クエン酸およびクエン酸ナトリウムの組み合わせであり、そして、pHが、3.7~4.1の範囲である、請求項1に記載の非経口投薬形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入容器に入った、ジルチアゼムのすぐに注入可能な安定した水溶液を含ん
でなるジルチアゼムの非経口投薬形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ジルチアゼムは、カルシウムイオン流入抑制薬(遅延性チャネル遮断薬またはカルシウ
ムチャネル拮抗薬)である。化学的に塩酸ジルチアゼムは、1,5-ベンゾチアゼピン-
4(5H)オン,3-(アセチルオキシ)-5-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2
,3-ジヒドロ-2-(4-メトキシフェニル)-,モノヒドロ-クロリド(+),-シ
ス-であり、次の構造式を有している。
【化1】
【0003】
ジルチアゼムは、心臓および血管の平滑筋の膜脱分極中にカルシウム(Ca)イオンの
流入を阻害する。塩酸ジルチアゼムは、心房細動または心房粗動での心拍数の増加および
発作性上室性頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardias:PSVT)の洞律動へ
の急速な転換の一時的制御のための静脈注射によって投与される。ジルチアゼムの市販の
注射可能製品は、使用の前にデキストロースまたは塩化ナトリウム溶液などの好適な希釈
剤で希釈する必要がある、予備濃縮溶液である。Bedford(商標)によるそのような製品
の1つとしては、5mlおよび10mlのバイアルで供給された塩酸ジルチアゼムの5m
g/ml注射溶液である。希釈および取扱いの工程には、潜在的な計算誤差または希釈誤
差の危険性と同様に、取扱いの間の微生物による汚染の危険性が含まれている。さらに、
ジルチアゼムは加水分解および水溶液中での分解に弱いと知られている。有効成分の力価
の損失をもたらし、かつ不純物またはごくわずかな活性を有する関連化合物の形成につな
がるため、分解は望ましくなく、かつ所望されない。分解の主な経路は不純物である「脱
アセチルジルチアゼム(desacetyl diltiazem)」の形成に結びつくo-脱アセチルであ
る。
【0004】
したがって、直接的に注入または注射することができ、したがって潜在的な計算誤差ま
たは希釈誤差の危険性と同様に、取扱いの間の微生物による汚染の危険性を排除し、同時
に延長された期間安定である、操作の必要がない(即ち、予備希釈形態をとる)、すぐに
注入可能なジルチアゼムの水溶液を含んでなる、ジルチアゼムの安定した非経口投薬形態
が当技術分野では必要とされている。本発明はこの必要性を充足する。
【0005】
本発明者らは、a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩を含んでなるすぐに
注入可能な安定した水溶液、pHの範囲を3~5にするためのpH調整剤、およびエタノ
ール、ならびにb)当該水溶液で充填した注入容器を含んでなる、非経口投薬形態を見出
した。
【0006】
エタノールの存在が水溶液中のジルチアゼムを安定させて分解することを防ぐ一方で、
他のアルコール共溶媒は水溶液中のジルチアゼムの分解を増強させる ことは本発明者ら
による驚くべき発見であった。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、
a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩を含んでなるすぐに注入可能な安定
した水溶液、pHの範囲を3~5にするためのpH調整剤、およびエタノール、ならびに
b)当該水溶液で充填した注入容器
を含んでなる、非経口投薬形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、非経口投薬形態を3日間40℃で保管した場合の、共溶媒の合計不純物の増加に対する影響を示すグラフである。比較例については、非経口投薬形態は比較例A~Eに従い調製され、本発明の非経口投薬形態は実施例(V)に記載のとおりに調製される。
図2図2は、非経口投薬形態を7日間40℃で保管した場合の、エタノール濃度の合計不純物レベル(初期からの増加)に対する影響を示すグラフである。エタノールの濃度が増加した場合、合計不純物の量はより少なくなりながらも、より安定した水溶液がもたらされることが明白である。
【発明の具体的説明】
【0009】
ジルチアゼムという用語には、本明細書で使用する場合、ジルチアゼムと同様にその薬
学的に許容可能な塩、例えば塩酸ジルチアゼムも含まれる。
【0010】
「すぐに注入可能(ready-to-infuse)」という用語は、本明細書で使用する場合、薬
液が無菌であり、かつ操作なく直接的な静脈内への注入または注射に好適であることを意
味し、すなわち、患者に薬液を投与または注入する前に、希釈または再構成の中間工程が
必要ないことを意味する。薬液は、投薬形態の容器から非経口的に直接投与することがで
きる。「すぐに注入可能」という用語は、「すぐに注射可能(ready-to-inject)」また
は「すぐに投与可能(ready-to-administer)」と同義である。本発明によるすぐに注入
可能な投薬形態は、凍結乾燥または濃縮した非経口製剤を、注入前に注入希釈液に再構成
または希釈する不都合を回避し、同様に潜在的な計算誤差または希釈誤差の危険性ならび
に取扱いの間の微生物による汚染の危険性を排除する。本発明はジルチアゼムのすぐに注
入可能な水溶液を有するジルチアゼムの安定した非経口投薬形態を提供し、それは、非経
口投与に適していない半固形の局所投薬形態(ゲル、ヒドロゲル、エマルゲル(emulgel
)、ペースト、クリーム、軟膏等)および/または非水性投薬形態には関係しない。
【0011】
本発明の非経口投薬形態は「安定(stable)」している。本明細書で使用する場合、「
安定した(stable)」という用語は、本発明の投薬形態は、例えば、2~8℃で保管した
場合には少なくとも6か月、好ましくは12か月、より好ましくは24か月の延長された
期間、および/または25℃で保管(促進された安定状態)した場合に6か月の延長され
た期間の保管した結果、物理的にも化学的にも安定であることを意味する。これらの条件
で保管した場合、ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩の水溶液は化学的に安定
したままであるために、ジルチアゼムのアッセイは、ラベル表示の90~110重量%以
内に維持され、合計不純物の含量は、塩酸ジルチアゼムの0~5w/w%以内に維持され
、不純物である「脱アセチルジルチアゼム」の含量は塩酸ジルチアゼムの0~5重量%以
内に維持される。不純物は塩酸ジルチアゼムの重量%として表される。
【0012】
本発明は、a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩を含んでなるすぐに注入
可能な安定した水溶液、pHの範囲を3~5にするためのpH調整剤、およびエタノール
、ならびにb)当該水溶液で充填した注入容器を含んでなる、非経口投薬形態を提供する
【0013】
本発明は、(a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩から本質的になるすぐ
に注入可能な安定した水溶液、pHの範囲を3~5にするためのpH調整剤、およびエタ
ノール、ならびに(b)当該水溶液で充填した注入容器を含んでなる、非経口投薬形態を
提供する。これは、水溶液がエタノール以外のアルコール共溶媒を含まないことを意味す
る。
【0014】
本発明は、a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩からなるすぐに注入可能
な安定した水溶液、pHの範囲を3~5にするためのpH調整剤、およびエタノール、な
らびにb)当該水溶液で充填した注入容器を含んでなる、非経口投薬形態を提供する。
【0015】
投薬形態の注入容器に充填する水溶液は、単独の有効成分としてジルチアゼムまたはそ
の薬学的に許容可能な塩を含んでなる。一つの好ましい実施態様では、ジルチアゼムの塩
酸塩を使用する。ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩は、水溶液をさらなる希
釈の必要がなく患者への直接注入を可能にする濃度で本発明の水溶液中に存在する。それ
は、約0.05mg/ml~約2.0mg/ml、好ましくは約0.1mg/ml~約2
.0mg/mlでの範囲の濃度、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0
.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1
.7、1.8または1.9mg/ml、より好ましくは約0.4mg/ml~約1.0
mg/mlで存在していてもよい。一つの特別の実施態様では、塩酸ジルチアゼムは、1
.0mg/mlの量で水溶液中に存在する。別の特別の実施態様では、塩酸ジルチアゼム
は、0.83mg/mlの量で水溶液中に存在する。別の特に好ましい実施態様では、塩
酸ジルチアゼムは、0.45mg/mlの量で水溶液中に存在する。本発明の非経口投薬
形態は、実際は硬質でも軟質でもよい注入容器に充填するジルチアゼムの水溶液を含んで
いる。1個の容器の容積容量は約50ml~約500mlの範囲でもよい。水溶液は、注
入容器1個当たり約50ml~500mlの範囲の容積、例えば、50ml、75ml、
100ml、120ml、125ml、140ml、150ml、160ml、175m
l、180ml、190ml、200ml、220ml、225ml、240ml、25
0ml、260ml、275ml、280ml、290ml、300ml、320ml、
325ml、340ml、350ml、360ml、375ml、380ml、390m
l、400ml、420ml、425ml、430ml、440ml、450ml、46
0ml、470ml、475ml、480ml、490mlまたは500mlである注入
容器に存在していてもよい。本発明の好ましい実施態様によれば、すぐに注入可能な非経
口投薬形態は、少なくとも50ml、好ましくは約100ml~500mlの水溶液の容
積を受け入れることができる、輸液バッグなどの大容量の容器を提供する。
【0016】
エタノールは、本発明の水溶液中に、約1.0w/v%~約50w/v%、好ましくは
約1.0w/v%~約20.0w/v%、より好ましくは約1.0w/v%~約10.0
w/v%、例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0
、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0または9.5w/
v%、より好ましくは約5.0%~10.0w/v%の範囲の量で存在する。一つの特に
好ましい実施態様では、エタノールは、5.0w/v%の量ですぐに注入可能な水溶液中
に存在する。一つの好ましい実施態様では、本発明の水溶液は単独の共溶媒としてエタノ
ールを含んでなる。ジルチアゼムのすぐに注入可能な水溶液を含んでなるジルチアゼムの
すぐに投与可能な非経口投薬形態を調製するためにエタノールのみを使用した場合、結果
として生じる非経口投薬形態は延長された期間保存した結果、2~8℃および室温(25
℃)で安定していたことが見出された。さらに、エタノールを使用している製剤での不純
物の含量は、エタノールを欠く非経口投薬形態またはグリセロール、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール300(PEG-300)、ポリエチレングリコール400
(PEG-400)などの水混和性/アルコール共溶媒を含有する非経口投薬形態で観察
されるものと比較して実質的に低かったことは驚くべき発見であった。確かに、エタノー
ル単独の使用がジルチアゼムの安定した、すぐに注入可能な水溶液をもたらした一方、グ
リセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300またはポリエチレン
グリコール400などの他の水混和性共溶媒の使用が、保管した結果、脱アセチル-ジル
チアゼム不純物などの不純物および合計不純物のより高いレベルをもたらしたことを見出
したのは驚くべきことであった。これは、図1に示されていて、グリセロールやグリコー
ルのようなエタノール以外の共溶媒でのジルチアゼムの水溶液を有する非経口投薬形態で
観察された合計不純物の増加を示している。そのような一実施態様では、5w/v%エタ
ノールでのジルチアゼム水溶液を有する非経口投薬形態を6か月間 2~8℃で保管した
場合、ジルチアゼムのアッセイは許容範囲の95~105%内に残り、主要な知られた不
純物である脱アセチルジルチアゼム不純物の含量は、0.57%(1.0%未満)であり
、合計不純物の含量は0.6%(1.0%未満)であったことが見出された。
【0017】
本発明の非経口投薬形態およびすぐに注入可能な水溶液は、さらに他の非経口的に(pa
rentally)許容可能な賦形剤を含んでなる。使用してもよい非経口的に許容可能な賦形剤
には、限定することなく、pH調整剤および緩衝剤、浸透/等張化剤、キレート剤等が含
まれていてもよい。一つの好ましい実施態様では、投薬形態には酸化防止剤および保存剤
が含まれない。好ましい実施態様では、投薬形態には、油状賦形剤または局所投薬形態を
製剤化するのに使用する他の薬剤が含まれない。
【0018】
水溶液のpHは、pH調整剤を使用して所望の範囲に調節してもよい。pH調整剤には
、製薬分野で知られた緩衝剤が含まれる。使用してもよいpH調整剤および/または緩衝
剤には、限定することなく、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、
硫酸、酢酸、酢酸ナトリウム、酒石酸、水酸化カリウム等およびそれらの混合物が含まれ
る。一つの実施態様では、pHは、本発明の溶液中に存在する成分によって所望の範囲に
自動的に調節してもよい。溶液のpHは約3~5、好ましくは3.5~4.5、例えば、
3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3または4.4、より
好ましくは約3.7~約4.1の範囲である。一つの好ましい実施態様では、ジルチアゼ
ムのすぐに注入可能な溶液は、pHを3.5~4.5の範囲に調整して維持するために、
クエン酸またはクエン酸塩緩衝剤を含んでなるか、それらから本質的になる。本発明のす
ぐに注入可能な水溶液は非経口/血漿流体に等浸透圧性である。使用してもよい等張化剤
は、限定することなく、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等、およびそれらの混合物から選択されて
もよい。一つの好ましい実施態様では、水溶液は塩化ナトリウムを欠いている。本発明の
水溶液はさらにキレート剤を含んでなっていてもよい。使用してもよいキレート剤は、限
定することなく、エデト酸二ナトリウム二水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸から選択されてもよい。
【0019】
好ましい実施態様では、本発明の非経口投薬形態の注入容器は、プラスチックまたは他
の高分子材料などの軟質性材料から構成された軟質な注入容器である。一つ以上の実施態
様では、軟質な注入容器は輸液バッグまたは輸液パウチあるいは軟質バッグまたは軟質フ
ィルム等であってもよい。別の実施態様では、注入容器は予備充填した注射器である。容
器は、そのような材料の1つ以上の層を含んでいてもよい。好適には、そのような材料に
は、限定することなく、ポリオレフィンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン;シク
ロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリプロピレンに基づくポリオレ
フィンポリマー;ポリカーボネート;修飾ポリオレフィン-ポリエチレンポリマーまたは
スチレン-ポリオレフィンに基づくポリマーおよびそれらのブロックコポリマーが含まれ
ていてもよい。
【0020】
特に、軟質な注入容器は本来不浸透性でなく、多少の浸透特性を有し、ジルチアゼムの
水溶液は、投薬形態の有効期間の間中に容器のこれらの材料と接触したままである。容器
は単一層でも複数層であってもよく、プラスチックまたは他の高分子材料などの好適な材
料から構成されていてもよい。そのような材料は、限定することなく、ポリオレフィンポ
リマー、ポリエチレン、ポリプロピレン;シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィン
コポリマー、ポリプロピレンに基づくポリオレフィンポリマー;修飾ポリオレフィン-ポ
リエチレンポリマーまたはスチレン-ポリオレフィンに基づくポリマーおよびそれらのブ
ロックコポリマーから選択されてもよい。これらの容器のプラスチック材料は、ポリアミ
ド、修飾ポリオレフィン、ポリプロピレン、スチレン-ポリオレフィンに基づくポリマー
およびそれらのブロックコポリマー等から構成されているかもしれない1つ以上の外側層
をさらに有していてもよい。一つの特定の実施態様では、軟質な注入容器は、ポリアミド
11の外側層、修飾ポリオレフィンの中央結合および直鎖状低密度ポリエチレンの内側層
から構成される。この種の容器は40℃/90%相対湿度で測定した際の水蒸気透過率が
2g(m.日)であり;23℃/0%相対湿度で測定した際の酸素透過率が900ml
/(m.24時間.atm)であり、23℃/0%℃/0%相対湿度で測定した際の二
酸化炭素透過率が600ml/(m.24時間.atm)である。このような容器は市
販されていて、細川がPolyelite AE-1として製造している。別の好ましい
実施態様では、軟質な注入容器は、シクロオレフィンホモポリマーまたはシクロオレフィ
ンコポリマーなどの環式オレフィンのポリマーまたはそれらの混合物を含んでなる材料か
ら構成されていてもよい。具体的には、特別の実施態様では、容器は、シクロオレフィン
ポリマーから構成された内側層、直鎖状低密度ポリエチレンポリマーから構成された中央
層、および低密度ポリエチレンポリマーから構成された外側層を備えてなる。そのような
容器は市販されていて、細川がPolyelite EHCフィルムバッグとして製造し
ている。これら容器は、40℃/90%相対湿度で測定した際の水蒸気透過率が2g(m
.日)であり;23℃/0%相対湿度で測定した際の酸素透過率が570ml/(m
.24時間.atm)であり、23℃/0%℃/0%相対湿度で測定した際の二酸化炭素
透過率が3400ml/(m.24時間.atm)である。別の実施態様では、軟質な
注入容器は、スチレン-エチレン-ブチレン(SEB)ブロックコポリマーでのポリプロ
ピレンポリマーの外側層、およびスチレン-エチレンブチレンブロックコポリマーでのポ
リプロピレンに基づくポリオレフィンポリマーから構成された中間および内側層から構成
されていてもよい。そのような容器は市販されていて、Technoflexが製造して
いる。これらの種の容器は、23℃/60%相対湿度で測定した際の水蒸気透過率が0.
62g(m.日)であり;23℃/40%相対湿度で測定した際の酸素透過率が111
0ml/(m.24時間.atm)であり、二酸化炭素透過率が5149ml/(m
.24時間.atm)である。あるいは、軟質な容器は、外側から内側までがCPET-
結合-PE-結合-EPCから構成された層を有するポリオレフィンフィルムの複数層か
ら構成される。そのような容器はSealer Air Corporationにより
、M312およびM312A(商標)フィルムとして入手可能である。これらの容器は、
38℃/100%相対湿度で測定した際の水蒸気透過率が5.0g(m.日)であり;
73°F/0%相対湿度で測定した際の酸素透過率が1315cm/(m.24時間
.atm)であり、二酸化炭素透過率が3945cm/(m.24時間.atm)で
ある。
【0021】
一つの実施態様では、注入容器は、クロロブチルゴム(ラテックス・フリー)から構成
された中央のストッパー;両方共にポリカーボネートから構成された 破損可能な上部部
分および底部部分を含む、3つの組み立て部品を有する注入接続部であるMinitul
ipe(商標)浸剤ポートを含んでいてもよい。一つの実施態様では、注入容器は、カニ
ューレ/ニードルの注入セットを挿入するための送り出し口端部を含んでいる。一つの実
施態様では、注入針に接続している注入容器/バッグおよび送り出し口はシステムを形成
し、それによって患者に溶液を投与している間に、外部の非殺菌空気の進入するかわりに
、注入バッグの弾性または軟質性に付随して溶液の流出(outgress)によって作り出され
た真空が発生する。投薬形態は患者に到達するまで、有利に溶液の無菌性を維持すること
ができる。
【0022】
一つの実施態様では、軟質な注入容器は、熱エネルギーに応じて可溶性の、熱により解
放可能な部分、および本発明の水溶液を中に受け入れるための再密封可能な部分を備えた
流体連絡している密封した空のチャンバを有する容器本体を含んでいる。容器を充填する
方法には、注射部材を備えた再密封可能な部分に浸透すること、チャンバ内へ本発明の水
溶液を導入すること、本体が軸方向に移動することを実質的に防止するために本体の基部
をはめ込みながら、注射部材を引き出すこと、および解放可能部分に熱エネルギーを適用
してその浸透域を熱融合させることが含まれる。そのようなシステムは本明細書に参照す
ることにより組み込まれている米国特許第7,992,597号で詳しく記載されている
【0023】
別の実施態様では、軟質な注入容器は、本発明の水溶液を受け入れるためのチャンバ、
およびチャンバと流体連絡している熱可塑性部分を含んでいてもよい。熱可塑性部分は、
充填部材によって浸透可能であり、かつ既定の波長および電力、ならびに規定時間でのレ
ーザ放射を適用することにより、その中の開口を密閉するために熱により再密封可能であ
る浸透域を定義する。そのようなシステムは本明細書に参照することにより組み込まれて
いる米国特許第7,490,639号で詳しく記載されている。
【0024】
一層別の実施態様では、軟質な注入容器は、密封チャンバ;弾性材料から形成されたチ
ャンバと流体連絡していて、かつ本発明の水溶液を中に通して第一チャンバを充填する第
一注射部材による浸透が可能な、第一浸透可能隔壁;ならびに第一および第二の位置の間
で移動可能な第二浸透可能隔壁を含む。第一の位置では、第一隔壁に注射部材が浸透でき
るように、かつ本発明の水溶液がその中を通ってチャンバ内に無菌または殺菌した状態で
充填されるように第二隔壁の少なくとも一部が第一隔壁から遠ざけられて位置している。
第二の位置では、第二隔壁の部分は横たわっていて、第一隔壁でのそこから第一射出部材
を引き出した後に結果として生じた注射開口を密封し、かつ第一および第二の隔壁を浸透
するための第二注射部材による浸透が可能であり、かつ充填した本発明の水溶液を、第二
注射部材を通してチャンバから引き出す。そのようなシステムは本明細書に参照すること
により組み込まれている米国特許出願番号20130333796号で詳しく記載されて
いる。
【0025】
一つの実施態様では、注入容器は硬質であり、ガラスなどの材料から構成されている。
そのような注入容器には注入バイアル、注入ボトルまたは予備充填注射器が含まれる。し
かしながら、好ましい実施態様では、容器はホウ酸塩またはホウ素を含有している材料を
有していない。
【0026】
本発明の別の実施態様では、容器は予備充填注射器であってもよい。予備充填注射器は
少なくとも1つの非ガラス成分を有する材料から構成されていてもよい。好ましくは、予
備充填注射器の筒は、適当なプラスチックまたは高分子の材料から構成することができる
。好ましい態様では、注射器は、環式オレフィンポリマー、環式オレフィンコポリマー、
ポリプロピレン、ポリカーボネート等のものから構成された筒を備えてなる。注射器はク
ロロ-ブチル製剤などの材料から構成される、エラストマーの先端キャップをさらに備え
てなっていてもよい。注射器は、ブロモ-ブチルゴムなどのゴム材料から構成されたプラ
ンジャーストッパーを備えてなっていてもよい。
【0027】
一つの実施態様では、容器は、第二パッケージでさらに梱包されていてもよい。第二パ
ッケージは、パウチまたはオーバーラップ、あるいはフィルムまたは紙箱 などの第二容
器を備えてなっていてもよい。第二パッケージはさらに脱酸素剤を含んでなっていてもよ
い。一つの実施態様では、第二パッケージは、光からジルチアゼムの溶液を保護するため
に設計されている。好ましい実施態様では、第二パッケージのパウチまたはフィルムまた
はオーバーラップまたは紙箱はアルミニウムなどの好適な光保護材から構成されている。
第二パッケージまたは第二容器を構成する材料の日限定的な例としては、アルミニウム、
ポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー等の種々のポリマーおよびコポリマー
が挙げられる。アルミニウムに基づく容器が好ましく、アルミニウムパウチ、アルミ箔、
アルミニウム積層フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、EMA、EAAな
どの他のポリマーと共押出した複合アルミニウムフィルムが含まれる。一つの好ましい実
施態様では、第二容器は、PET、ナイロン-6、アルミ箔、および外側から内側へとC
PP(ポリプロピレン/エチレンブロックコポリマー)を有する複合重合体アルミニウム
フィルムであって、その層が他の層と共押出されているかおよび/または接着剤を用いて
固定されている、複合重合体アルミニウムフィルムから構成されたオーバーラップパウチ
である。別の好ましい実施態様では、第二容器は、PET/NY/アルミニウム/酸素吸
収層/ポリエチレンから構成されたオーバーラップパウチである。別の好ましい実施態様
では、第二容器は、PET/NY/アルミニウム酸素吸収層/ポリプロピレンから構成さ
れたオーバーラップパウチである。別の好ましい実施態様では、第二容器は、PET/N
Y/AL/OA/CPPから構成されたオーバーラップパウチである。いくつかの好まし
い実施態様では、投薬形態は、注入容器と第二オーバーラップ容器の間に入れてもよい脱
酸素剤をさらに含んでなっていてもよく、または、いくつかの実施態様では、オーバーラ
ップパウチは、溶融石英バッグまたは酸化鉄等の鉄含有吸収剤など、脱酸素剤としての役
割を果たす酸素吸収剤の層を有していてもよい。脱酸素剤または脱酸素層材料は、素早く
酸素を吸収することができ、かつ良好な酸素吸収能および耐熱性を有している好適な材料
であってもよい。そのような脱酸素材料の非限定的な例としては、鉄、シリカ、木炭等が
挙げられる。好ましくは、脱酸素材料は鉄に基づく材料である。一つの実施態様では、脱
酸素剤は、鉄に基づく自動的に反応するタイプの、または鉄に基づく水に依存するタイプ
の脱酸素剤/酸素吸収剤(例えば、AGELESS(商標)の銘柄で販売されているもの
)であってもよい。一つの実施態様では、注入容器と第二オーバーラップ容器またはパウ
チとの間の空間は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスで充填される。
【0028】
本発明の非経口投薬形態は滅菌である。「滅菌(sterile)」または「滅菌された(ste
rilized)」という用語は、本発明の文脈で使用される場合、水溶液が滅菌した状態にさ
れ、その後微生物による汚染に曝されていないこと、即ち、容器中に存在する溶液の滅菌
性が損なわれていないことを意味する。溶液は、米国薬局方(United States Pharmacopo
eias:USP)などの標準薬局方の滅菌条件に適合する。滅菌は、濾過滅菌、放射線殺菌
等の好適な技術によって達成してもよい。一つの好ましい実施態様では、本発明の非経口
投薬形態は水溶液を膜濾過することによって滅菌に供される。0.2ミクロンの膜カプセ
ルフィルターを使用してもよい。
【0029】
一つの実施態様では、本発明は、a)ジルチアゼムまたはその薬学的に許容可能な塩か
らなるすぐに注入可能な安定した水溶液、pHの範囲を3~5にするためのクエン酸、お
よびエタノール、ならびにb)当該水溶液で充填した注入容器を含んでなる、非経口投薬
形態であって、当該注入容器が軟質注入バッグであって、アルミニウムパウチでオーバー
ラップされているものである、非経口投薬形態を提供する。一つの特定の実施態様では、
非経口投薬形態はさらに脱酸素剤を含んでなる。
【0030】
本明細書の文脈では、「含んでなる(comprising)」とは「含んでいる(including)
」と解釈すべきである。また、一定の要素を含んでなる本発明の態様は、関係する要素「
からなる(consisting)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」
代替の実施態様にまで及ぶことが意図されている。
【0031】
技術的に適当である場合、本発明の実施態様は組合せてもよい。
【0032】
本明細書では、実施態様は、一定の特徴/要素を含んでなると記載されている。その開
示は当該の特徴/要素からなるかまたはそれらから本質的になる別々の実施態様にまで及
ぶ。
【0033】
本明細書で明確かつ明白に記載された任意の実施態様は、単独または1つ以上のさらな
る実施態様と組合せて、除くクレームの基礎を形成し得る。
【0034】
本発明は、以下に例の目的でより明確に記載される。それらの例は、本発明の範囲を限
定することを意図しているのではなく、単なる実例として使用される。
【実施例
【0035】
実施例I~IV
以下の実施例I~IVは、本発明の好ましい実施態様による非経口投薬形態を例証する
【0036】
【表1】
【0037】
手順:2~8℃に維持した注射用水の一部を容器に取り、エタノールを加えて混合した
。水溶液のpHはクエン酸および/またはクエン酸ナトリウムを使用して、3.7~4.
1の範囲、特に3.9に調節した。この溶液に、塩酸ジルチアゼムを加えて撹拌しながら
溶解させた。注射用水を使用して、容積を所望のレベルまで上昇させた。このように得ら
れた溶液は、0.2ミクロンの膜カプセルフィルターを使用して、濾過によって滅菌した
。1mg/mlの塩酸ジルチアゼムを有する100mlの濾過溶液を軟質な注入バッグに
充填し、栓を付けた。結果として得られたバッグは脱酸素剤と共にアルミニウムパウチを
使用して、さらにオーバーラップをし、投薬形態は安定性調査に委ねた。
【0038】
このように得られた、ジルチアゼムのすぐに注入可能な水溶液を含んでなる非経口投薬
形態(実施例I)の化学的安定性を確認したところ、2~8℃、および25℃/40%相
対湿度(促進された保管安定性条件)で保管した結果、安定していることが分かった。2
5℃での促進された安定性については、6か月間、試験を行った。ジルチアゼムのアッセ
イは、少なくとも12か月、2~8℃で保管した結果および6ヶ月間、25℃で保管した
結果、95~105%以内であった。実施例Iの溶液は、6ヶ月で、2~8℃で保管した
場合、脱アセチルジルチアゼムの含量が0.57%(1.0%未満)であり、合計不純物
が0.6%(1.0%未満)であり、12ヶ月では、脱アセチルジルチアゼムの含量は1
.199%(2.0%未満)であり、合計不純物は1.224%(2.0%未満)であっ
た。
【0039】
比較例A~E
以下の比較例A~Eは、比較の非経口投薬形態を例証する。
【0040】
【表2】
【0041】
水溶液A~E(各々100ml)を別々の注入容器に充填し、応力安定性条件(40℃
/25%相対湿度)下で試験を行い、合計不純物の含量および脱アセチルジルチアゼム不
純物の含量を測定し、同一条件下でエタノールを有している本発明による製剤とレベルを
比較した。
【0042】
比較例の製剤A~E(共溶媒を有していない(A)か、またはエタノール以外の共溶媒
を有している(B~E)のいずれかである)は、本発明によるエタノールを有している製
剤(実施例V)で観察されたものと比較して、顕著により高い量の合計不純物による形成
が発生したことが観察された。同様に、本発明によるエタノールを有している製剤で観察
されたものと比較して、顕著により高い量の脱アセチルジルチアゼム不純物による形成が
発生した。3日間の40℃/25%相対湿度で保管した結果の、種々のバッチに対する合
計不純物の増加の結果は、図1に示されている。
図1
図2