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特許7262609経路に沿ったミッションにおいて車両を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】経路に沿ったミッションにおいて車両を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230414BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230414BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 H
G08G1/16 E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021556615
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2019057316
(87)【国際公開番号】W WO2020192875
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ヘルグレン,ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】イスラム,ムハンマド・マンジュルル
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-45585(JP,A)
【文献】国際公開第98/37468(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/084568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(V1~V3)のそれぞれと無線で通信するように構成された制御ユニットによって経路に沿ったミッションにおいて前記車両(V1~V3)を制御する方法であって、
前記経路に沿った2つの連続する車両の間のギャップを示す所望の分布を前記制御ユニットによって決定することと、
少なくとも2つの進行制御値集合(u、tw)を前記制御ユニットによって選択することであって、各値集合は、前記車両のうちの少なくとも1つの進行制御パラメータのそれぞれの値(u1、u2、u3、tw)を含み、各進行制御パラメータ値は、それぞれの前記車両の進行速度に影響を与えることと、
各進行制御値集合が前記車両のそれぞれの分布(SoB)と相関されるように、前記車両のうちの少なくとも1つがそれぞれの前記選択された進行制御値集合(u、tw)に基づいて制御される場合に、前記選択された進行制御値集合のそれぞれについて、前記車両のそれぞれの分布(SoB)を前記制御ユニットによって特定することであって、前記特定された分布のうちの少なくとも1つは、将来の時点(t+dt、t+tw)におけるものであることと、
記選択された進行制御値集合から、前記所望の分布からの最小の偏差を示す前記それぞれの分布(SoB)を前記制御ユニットによって特定し、前記特定された分布に対応する前記車両のうちの少なくとも1つを制御する前記進行制御値集合(u、tw)を特定することと、
前記特定された進行制御値集合(u、tw)に従って、前記車両(V1~V3)のうちの少なくとも1つを制御することであって、前記車両のうちの少なくとも1つは、第1の時点(t)から前記将来の時点(t+dt、t+tw)まで、前記選択された進行制御値集合(u、tw)のうちの少なくとも1つに基づいて制御されることと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも2つの進行制御値集合を選択すること、及び、前記選択された進行制御値集合のそれぞれについて、前記車両のそれぞれの分布(SoB)を特定することは、進行制御値集合(u)を選択することと、前記車両の分布(SoB)を特定することであって、前記車両のうちの少なくとも1つが前記選択された進行制御値集合(u)に基づいて制御されることと、前記進行制御値集合の選択及び前記車両分布の特定を1回又は複数回繰り返すこととを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記進行制御値集合は速度値集合(u)であり、各速度値集合は、前記車両のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のそれぞれの速度値(-1、0、1)を含み、各速度値集合は、各車両(V1~V3)について、速度変化がない状態(0)、正の速度変化がある状態(1)、又は負の速度変化がある状態(-1)を示す制御ベクトル(u)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各速度値集合(u)は、前記車両の全てのそれぞれの速度値(-1、0、1)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各進行制御値集合において、各進行制御パラメータ値は、それぞれの前記車両の停止状態の時間間隔値(t )を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、少なくとも1つの前記車両のうちの1つが前記経路(R)に沿った指定待機エリア(wp3)に接近すると実行されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記進行制御値集合のうちの1つは、それぞれの前記車両の0の停止時間間隔を表す進行制御パラメータ値を含み、残りの少なくとも1つの前記進行制御値集合はそれぞれ、それぞれの予め定められた時間間隔の間の停止状態を表す進行制御パラメータ値を含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
3つ以上の進行制御値集合が選択され、残りの少なくとも2つの前記進行制御値集合において、前記時間間隔は進行制御値集合ごとに異なることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合(u、tw)を特定することは、少なくとも1つの前記車両のそれぞれの前記停止時間間隔に部分的に基づいて、前記選択された進行制御値集合から進行制御値集合(u、tw)を特定することを含むことを特徴とする、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記車両の前記所望の分布は、前記車両間のギャップが等しい分布であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記車両のそれぞれの分布を特定することは、それぞれの進行制御値集合(u)の関数として、前記所望の分布からの前記車両のそれぞれの偏差を示すそれぞれの均衡状態(SoB)を特定することを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合(u、tw)を特定することは、前記所望の分布からの前記偏差と前記停止時間との線形結合である関数を最小にする進行制御値集合を特定することを含むことを特徴とする、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ミッションは循環ミッションであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
予め定められた時間間隔の後に、進行制御値集合を選択するステップと、それぞれの車両分布を特定するステップと、前記車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定するステップと、前記特定された進行制御値集合に従って前記車両のうちの少なくとも1つを制御するステップとを繰り返すことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータ、又はコンピュータのグループ上で実行されると、請求項1~14のいずれか1項のステップを実行するプログラムコード手段を備えるコンピュータプログラム。
【請求項16】
コンピュータ、又はコンピュータのグループ上で実行されると、請求項1~14のいずれか1項のステップを実行するプログラムコード手段を備えるコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
請求項1~14のいずれか1項による方法のステップを実行するように構成された制御ユニット、又は制御ユニットのグループ。
【請求項18】
請求項17に記載の制御ユニットを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路に沿ったミッション(mission)において車両を制御する方法に関する。本発明は、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、制御ユニット及び車両にも関する。
【0002】
本発明は、トラック及びバス等のヘビーデューティ車両に適用することができる。本発明はトラックについて説明されるが、本発明は、この特定のタイプの車両に制限されるものではなく、デリバリバン及び乗用車等の他の車両タイプにおいても使用することができる。
【背景技術】
【0003】
複数の車両を、経路に沿ったミッションに着手するように配置することができる。大型車隊の一般的な配置構成は、循環ミッション(circulating mission:巡回ミッション)である。それによって発生し得る問題は、時間とともに、車両間のギャップについて不均衡が発生し得ることである。これは、ひいては、車両の燃料補給所、又は充電ステーションにおける待ち行列等の更なる問題を生み出す可能性がある。これは、車隊の生産性を低減するおそれがある。
【0004】
特許文献1は、道路建設プロセス中における2つのロケーション間での資材の輸送の管理を記載している。この文献は、いくつかの輸送車両間の相対的タイミングを確認し、車両間の適切な間隔を確保するように1つ以上の車両の制御を誘導することについて言及している。
特許文献2は、車両間の干渉(すなわち衝突)を回避するための低コスト車両監視を提示している。このシステムは、通信ライン及び車両監視に対する負荷も最小にする。これは、計画された走行パスをセクションに分割することによって及び/又は許容可能な走行セクタを割り当てることによって達成される。
【0005】
しかしながら、ミッションにおける車隊において、対処しなければならない問題は、所望のものと異なる2つの車両間のギャップを修正する制御動作が、その車隊における別のギャップの、所望のものからの偏差(divergence:ずれ)を増大させるおそれがあるということである。例えば、第1の車両の速度が増加し、第1の車両の後方の第2の車両までのギャップを増加させている場合に、第1の車両と第1の車両の前方の第3の車両との間のギャップは過度に小さくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第公開第2017/205814号
【文献】国際公開第98/37468号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、経路に沿ったミッションにおける車両の生産性の損失を低減することである。本発明の別の目的は、経路に沿ったミッションにおいて車両間の所望の間隔を取得又は確保する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、請求項1に記載の方法を用いて達成される。したがって、本発明は、経路に沿ったミッションにおいて車両を制御する方法であって、
少なくとも2つの進行制御値集合を選択することであって、各値集合は、車両のうちの少なくとも1つの進行制御パラメータのそれぞれの値を含み、各進行制御パラメータ値が、それぞれの車両の進行速度に影響を与えることと、
各進行制御値集合が車両のそれぞれの分布と相関されるように、車両のうちの少なくとも1つがそれぞれの選択された進行制御値集合に基づいて制御される場合に、選択された進行制御値集合のそれぞれについて、車両のそれぞれの分布を特定することと、
分布の特定に少なくとも部分的に基づいて、選択された進行制御値集合から、車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することと、
特定された進行制御値集合に従って車両のうちの少なくとも1つを制御することと、
を含む、方法を提供する。
【0009】
上記方法は、上記方法ステップのいずれかの前に、経路に沿って運転するように全ての車両を制御することを含むことができる。車両が経路に沿ったミッション中であることによって、車両は、経路に沿ったミッションを遂行すると言うことができる。それによって、車両は、同じデューティ又は類似のデューティを有することができる。そのようなデューティは、出発位置から終了位置まで経路に沿って運転することを伴うことができる。デューティは、荷積み又は荷降ろし等の動作のために、経路に沿った1つ以上のロケーションにおいて停止することも伴うことができる。燃料供給又は充電もデューティに含めることができる。終了位置が出発位置と同じ場合には、ミッションは循環ミッションであると言うことができる。車両は、出発位置から時間を隔てて出発することができる。この分離は、予め定められたスケジュールに従うことができる。この分離は、車両出発間の予め定められた時間間隔を含むことができる。出発時間間隔は、2つの連続した車両出発のそれぞれの間で同じものとすることができる。
【0010】
各進行制御(progress control:進行管理)値集合は、車両のうちの少なくとも1つの進行制御パラメータのそれぞれの値を含むので、各値集合には少なくとも1つの値が存在することに留意すべきである。以下に例示するように、いくつかの実施形態において、集合は、1つの値のみを含むことができる。さらに、そのような実施形態において、各値集合は、車両のうちの1つのみの進行制御パラメータのそれぞれの値を含むことができる。
【0011】
各進行制御パラメータ値は、それぞれの車両の進行速度に影響を与えることによって、それぞれの車両の進行速度と関係する。
【0012】
以下に例示するように、いくつかの実施形態において、各進行制御値集合において、各進行制御パラメータ値は、それぞれの車両の停止状態の時間間隔値を表す。それによって、時間間隔のうちの1つ以上を0とすることができる。したがって、本明細書において、0の停止時間間隔も、それぞれの車両の進行速度に影響を与える進行制御パラメータ値とみなされる。
【0013】
上記方法では、複数の進行制御値集合を選択することができる。選択された進行制御値集合は、互いに異なることができる。各進行制御値集合は、進行制御値集合の他のいずれとも異なることができる。各進行制御値集合は、車両のそれぞれの分布と相関することができる。
【0014】
上記方法は、経路に沿った車両の位置を特定することを伴うことができる。それによって、車両のそれぞれの分布を特定することは、車両の特定された位置に依存することができる。いくつかの実施形態において、上記方法は、車両の速度を特定することを伴うことができる。いくつかの実施形態において、上記方法は、経路に沿った車両間の時間ギャップを特定することを伴うことができる。それによって、車両のそれぞれの分布を特定することは、特定された時間ギャップに依存することができる。
【0015】
車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することは、進行制御値集合が相関される分布を比較することと、分布の比較に少なくとも部分的に基づいて、選択された進行制御値集合から、車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することとを伴うことができる。進行制御値集合が相関される分布を比較することは、分布を基準分布又は所望の分布と比較することを含むことができる。分布を比較することは、分布を互いに比較することを伴うことができる。分布を互いに比較することは、分布を基準分布又は所望の分布と比較することを含むことができる。
【0016】
上記方法は、車隊全体について車両分布不均衡問題を直ちに解決することを可能にする全体的アプローチを車両分布不均衡問題に提供する。また、本発明は、比較的多数の車両が存在する場合であっても、経路に沿ったミッションにおいて車両間の所望のギャップを得ることを可能にする。したがって、本発明は、経路に沿ったミッションにおいて車両間の所望の間隔を得るための効果的な方法を提供する。それによって、車両の待ち行列を回避することができ、それによって、車両の生産性の損失が低減される。本明細書において、2つの車両間のギャップは、実施形態に応じて、時間ギャップとすることもできるし、空間ギャップとすることもできることに留意すべきである。空間ギャップは、経路に沿った距離とすることができる。
【0017】
好ましくは、特定された分布のうちの少なくとも1つは、将来の時点におけるものである。したがって、車両のそれぞれの分布を特定することは、選択された進行制御値集合のそれぞれについて、分布のうちの少なくとも1つが将来の時点におけるものである、車両のそれぞれの分布を特定することを含むことができる。それによって、進行制御値集合のうちの少なくとも1つを将来の時点における車両のそれぞれの分布と相関させることができる。上述したように、また、以下で例示するように、いくつかの実施形態において、各進行制御値集合において、各進行制御パラメータ値は、それぞれの車両の停止状態の時間間隔値を表し、それによって、時間間隔のうちの1つ以上は、0とすることができる。それによって、車両のそれぞれの分布を特定することは、0の停止時間間隔を表す進行制御パラメータ値を含む選択された進行制御値集合のいずれかについて、現時点における車両のそれぞれの分布を特定することを含むことができる。
【0018】
好ましくは、車両のそれぞれの分布を特定することは、車両のうちの少なくとも1つが、選択された進行制御値集合のうちの少なくとも1つに基づいて制御される場合に、第1の時点から将来の時点までの車両の分布を特定することを含む。それによって、それぞれの選択された進行制御値集合からそれぞれ得られる車両の分布は、同じ時間間隔に基づいて計算することができ、互いに容易に比較することができる。したがって、車両のそれぞれの分布を特定することは、第1の時点から将来の時点までの車両移動のそれぞれのシミュレーションを伴うことができる。ただし、いくつかの実施形態において、以下で例示するように、第1の時点から将来の時点までの時間間隔は、車両分布の特定ごとに異なり得ることに留意すべきである。また、車両分布の特定のうちの1つ以上は、例えば、上記で例示したように0の停止時間間隔が存在する場合に、第1の時点から将来の時点までの0の時間間隔を伴うことができる。
【0019】
好ましくは、少なくとも2つの進行制御値集合を選択すること、及び、選択された進行制御値集合のそれぞれについて、車両のそれぞれの分布を特定することは、進行制御値集合を選択することと、車両のうちの少なくとも1つが選択された進行制御値集合に基づいて制御される場合に、車両の分布を特定することと、進行制御値集合の選択及び車両分布の特定を少なくとも1回繰り返すこととを含む。好ましくは、進行制御値集合の選択及び車両分布の特定を繰り返すとき、異なる進行制御値集合の選択が、進行制御値集合の選択において行われる。
【0020】
それによって、繰り返しにより、単一の計算ユニットを進行制御値集合の選択及びそれぞれの車両分布の特定に使用することができる。ただし、いくつかの実施形態において、複数の進行制御値集合を並列プロセスにおいて選択することができる。また、いくつかの実施形態において、選択された進行制御値集合のそれぞれについての車両分布の特定も並列プロセスにおいて行うことができる。
【0021】
進行制御値集合の選択及び車両分布の特定を繰り返すことは、好ましくは、進行制御値集合の選択及び車両分布の特定を複数回繰り返すことを含む。進行制御値集合の選択及び車両分布の特定は、既定の回数繰り返すことができる。好ましくは、各繰り返しは、進行制御値集合の新たに選択したものを用いて行われる。そのような新たに選択したものは、進行制御値集合の少なくとも1つの値の1つ以上の変化を伴うことができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、進行制御値集合は速度値集合であり、各速度値集合は、車両のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のそれぞれの速度値を含む。それによって、複数の速度値集合を得ることができる。選択された速度値集合は、互いに異なることができる。各速度値集合は、速度値集合の他のいずれとも異なることができる。車両のそれぞれの分布を特定することは、選択された速度値集合のそれぞれについて、分布のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てが将来の時点におけるものである、車両のそれぞれの分布を特定することを含むことができる。それによって、各速度値集合を将来の時点における車両のそれぞれの分布と相関させることができる。それによって、車両分布不均衡問題に対して、この問題を車隊全体について直ちに解決することを可能にする全体的アプローチが提供される。
【0023】
好ましくは、各速度値集合は、車両の全てのそれぞれの速度値を含む。それによって、車隊全体の効果的な制御を容易にすることができる。
【0024】
好ましくは、各速度値集合の速度値のうちの1つ、いくつか、又は全ては速度変化値である。それによって、車両のうちの1つ以上の基準目標速度の変化を選択することができる。そのような基準目標速度は、経路に沿った位置に依存することができる。したがって、速度値集合を用いて調整される基準目標速度も、位置に依存することができる。したがって、それぞれの分布の特定の間、第1の時点から将来の時点までの車両のうちの1つ以上の速度は変動し得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、それぞれの速度値集合の速度値のうちの1つ、いくつか、又は全ては絶対速度値である。そのような絶対値は、それぞれの基準目標速度と異なるものとすることもできるし、変更された基準目標速度を表すこともできる。いくつかの実施形態において、各速度値集合は、各車両について、速度変化がない状態、正の速度変化がある状態、又は負の速度変化がある状態を示す制御ベクトルである。そのような制御ベクトルは、単位速度変化値と乗算することができる。単位速度変化値は、予め定めておくことができる。以下で例示するように、単位速度変化値は、経路に沿った位置に依存することができる。それによって、単純な「ほぼ2値」の速度値集合を提供することができる。制御ベクトルからの単位速度値の分離は、車両制御方法の実施形態の調整を容易にする。
【0026】
提案したように、上記方法は、車両のそれぞれについてのそれぞれの基準目標速度を特定することを伴うことができる。それぞれの基準目標速度は、経路に沿った位置に依存することができる。基準目標速度は、経路に沿った任意の所与の位置において、全ての車両について同じとすることができる。車両の速度を制御する特定された速度値集合は、車両の調整された基準目標速度を形成することもできるし、車両の調整された基準目標速度を形成するのに使用することもできる。ただし、いくつかの実施形態において、基準目標速度は、経路に沿った位置に依存しないものとすることができる。
【0027】
選択された速度値集合における速度値は、経路に沿った車両のそれぞれの位置に依存することができる。一方、いくつかの実施形態において、選択された速度値集合における速度値は、経路に沿った車両のそれぞれの位置に依存しないものとすることができる。
【0028】
それぞれの速度値集合の速度値のうちの1つ、いくつか、又は全てが速度変化値である場合には、それぞれの速度変化値は、例えば速度値集合の選択時におけるそれぞれの車両の位置に依存することができる。ただし、それぞれの速度変化値が速度値集合の選択時におけるそれぞれの車両の位置に依存することができる場合であっても、速度変化値は、車両のそれぞれの将来の分布を特定するシミュレーション全体を通じて一定のままとすることができる。それでも、いくつかの実施形態において、速度変化値は、シミュレーション中に車両位置に応じて変化することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、各進行制御値集合において、各進行制御パラメータ値は、それぞれの車両の停止状態の時間間隔値を表す。それによって、各進行制御値集合は、少なくとも1つの車両が時間制限付き停止状態に入るか否かを示すことができる。そのような停止状態は、車両が予め定められた期間の間待機することによって実施することができる。そのような待機は、経路に沿った指定待機エリアにおいて行うことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、進行制御値集合は、車両のうちの1つについてのみ選択される。それによって、各進行制御値集合は、1つの値のみを含むことができる。したがって、そのような実施形態において、経路に沿ったミッションにおいて車両を制御する方法を提供することができ、上記方法は、
車両のうちの1つの進行制御パラメータの少なくとも2つの値を選択することであって、各進行制御パラメータ値は上記車両の進行速度に影響を与えることと、
各進行制御パラメータ値が車両のそれぞれの分布と相関されるように、上記車両がそれぞれの選択された進行制御パラメータ値に基づいて制御される場合に、選択された進行制御パラメータ値のそれぞれについて、車両のそれぞれの分布を特定することと、
分布の特定に少なくとも部分的に基づいて、選択された値から、上記車両を制御する進行制御パラメータ値を特定することと、
特定された進行制御パラメータ値に従って上記車両を制御することと、
を含む。
【0031】
上記方法は、少なくとも1つの車両のうちの1つが経路に沿った指定待機エリアに接近すると実行することができる。車両は、その後、特定された進行制御パラメータ値に従って制御することができる。そのような制御は、待機エリアにおいて停止し、指定された所要時間の間待機することを伴うことができる。特定された進行制御パラメータ値に応じて、例えば、特定された進行制御パラメータ値が0の停止時間間隔を表す場合には、そのような制御は、停止することなく待機エリアを通過することを伴うことができる。
【0032】
進行制御値集合のうちの1つは、それぞれの車両の0の停止時間間隔、すなわち、無停止を表す進行制御パラメータ値を含むことができ、残りの少なくとも1つの進行制御値集合はそれぞれ、それぞれの予め定められた時間間隔の間の停止状態を表す進行制御パラメータ値を含むことができる。いくつかの実施形態において、3つ以上の進行制御値集合が選択され、残りの少なくとも2つの進行制御値集合において、時間間隔は進行制御値集合ごとに異なる。したがって、0の待機時間を表す1つの値のみを有する進行制御値集合を選択することができ、それぞれの正の待機時間を表す1つの値のみをそれぞれ有する複数の追加の進行制御値集合を選択することができ、この場合に、待機時間は互いに異なる。いくつかの実施形態において、2つの進行制御値集合のみが選択され、各進行制御値集合は1つの値のみを有する。それによって、値のうちの一方は、予め定められた時間間隔の間の停止状態を表すことができ、他方の値は、0の停止時間間隔、すなわち無停止状態を表すことができる。更なる実施形態において、3つ以上の進行制御値集合が選択され、各進行制御値集合は1つの値のみを有する。それによって、値のうちの1つは、無停止状態を表すことができ、残りの値は、それぞれの予め定められた時間間隔の間の停止状態を表すことができ、この場合に、時間間隔は互いに異なる。
【0033】
好ましくは、車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することは、少なくとも1つの車両のそれぞれの停止時間間隔に部分的に基づいて、選択された進行制御値集合から進行制御値集合を特定することを含む。それによって、車両の所望の分布を得る目的に対する配慮だけでなく、車両停止状態に起因した生産性の損失を低く保つ目的に対する配慮も行うことができる。すなわち、車両の所望の分布に向けた移動と、車両停止状態に起因した生産性の損失の最小化との間の均衡を得ることができる。
【0034】
記方法は、経路に沿った車両の所望の分布を特定することを含む。所望の分布は、経路に沿った所望の空間分布及び/又は所望の時間分布とすることができる。車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することは、所望の分布からの最小の偏差を示す車両の分布を特定することと、所望の分布からの最小の偏差を示す特定された分布と相関される進行制御値集合を特定することとを含む。車両の所望の分布は、車両間のギャップ、例えば時間ギャップ及び/又は空間ギャップが等しい分布とすることができる。ただし、いくつかの実施形態において、車両の所望の分布は、車両間のギャップのうちのいくつか又は全てが等しくない分布とすることができる。それによって、車両のそれぞれの分布を特定することは、好ましくは、所望の分布からの車両のそれぞれの偏差を特定することを含む。好ましくは、車両のそれぞれの分布を特定することは、それぞれの速度値集合の関数として、所望の分布からの車両のそれぞれの偏差を示すそれぞれの均衡状態を特定することを含む。提案したように、分布のうちの少なくとも1つ以上は、将来の時点におけるものとすることができる。そのような分布について、特定されたそれぞれの均衡状態は、将来の均衡状態と呼ばれる場合がある。例えば、それぞれの将来の均衡状態を特定することは、将来の時点における経路に沿った車両のそれぞれの分布を特定することと、特定された車両分布を所望の分布と比較することとを含むことができる。好ましくは、それぞれの均衡状態を特定することは、均衡状態のそれぞれの値を計算することを含み、車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することは、車両間のギャップが等しい分布からの最小の偏差を表す均衡状態値を特定することを含む。前述したように、2つの車両間のギャップは、時間ギャップ又は空間ギャップとすることができる。
【0035】
したがって、均衡状態は、選択された速度値集合の結果を比較することを容易にするパラメータである。例えば、比較は、均衡状態の最小値を計算することを単に伴うことができる。均衡状態は、様々な方法で計算することができ、例えば、車隊における車両ギャップの標準偏差又は車隊における最大車両ギャップと最小車両ギャップとの間の差として計算することができる。更なる代替形態として、均衡状態は、車両間の最小ギャップとして計算することができる。
【0036】
各進行制御値集合において、各進行制御パラメータ値がそれぞれの車両の停止状態の時間間隔値を表す場合には、車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定することは、所望の分布からの偏差及び停止時間に依存する関数を最小にする進行制御値集合を特定することを含むことができる。上記関数を最小にすることによって、車両の所望の分布に向かう移動と車両停止状態に起因した生産性の損失の最小化との間の均衡を提供する特に効果的な方法を達成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、ミッションは循環ミッションである。それによって、本発明の利点は特に顕著になる。循環ミッションは、車両が、出発位置から終了位置まで運転するときに、同じロケーションを2回通過しないようなものとすることができる。ただし、循環ミッションは、出発位置から終了位置まで運転するときに、同じ道路又は通りを、例えば反対方向に2回運転することを伴うこともできる。いくつかの実施形態において、ミッションは、非循環的なもの、すなわち出発位置から出発ロケーションと異なる終了位置までのミッションとすることができる。
【0038】
好ましくは、上記方法は、予め定められた時間間隔の後に、進行制御値集合を選択するステップと、それぞれの車両分布を特定するステップと、車両のうちの少なくとも1つを制御する進行制御値集合を特定するステップと、特定された進行制御値集合に従って車両のうちの少なくとも1つを制御するステップとを繰り返すことを含む。それによって、車両の所望の分布からの偏差を繰り返し補正することができる。
【0039】
当該目的は、請求項23に記載のコンピュータプログラム、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体、請求項25に記載の制御ユニット若しくは制御ユニットのグループ、又は請求項26に記載の車両を用いても達成される。
【0040】
本発明の更なる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項に開示される。
【0041】
添付図面を参照して、例として挙げる本発明の実施形態のより詳細な説明が以下に続く。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】循環ミッションにおける3つの車両の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による方法のステップを示す図である。
図3図1における車両位置及び車両間のギャップをそれぞれ示す2対の図である。
図4】本発明の一般的な実施形態による方法のステップを示す図である。
図5】本発明の代替の実施形態による方法のステップを示す図である。
図6図5の方法において使用されるいくつかのパラメータを説明する図である。
図7図5及び図6を参照して説明される方法を使用するシミュレーションにおける時間の関数としてのパラメータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、循環ミッションにおけるヘビーデューティ車両V1、V2、V3の車隊を概略的に示している。この例では、車両はトラックの形態である。ただし、車両は、特定のミッションに適した任意のタイプのものとすることができる。例えば、車両は、デリバリバン、バス、鉱山トラック、又は乗用車とすることができる。この例では、3つの車両が車隊に存在するが、原理的には任意の数の車両が車隊に存在することができる。
【0044】
循環ミッションは、出発/終了位置S/Eから、本明細書において中間地点(waypoint)とも呼ばれる隔てたロケーションにある1つ以上の動作位置、この例では3つの動作位置wp1、wp2、wp3に向かい、その後、出発/終了位置S/Eに戻る経路R上を運転することを伴う。この経路は、都市、田園、又は鉱山等の任意のタイプの環境におけるものとすることができる。出発/終了位置S/Eから動作位置wp1、wp2、wp3を介して出発/終了位置S/Eに戻る車両の移動は、本明細書においてサイクルと呼ばれる。
【0045】
ミッションは、動作位置wp1~wp3のそれぞれにおいて1つ以上の活動、例えば品物の配達又は人のピックアップを伴うことができる。ミッションは任意の数の動作位置を伴うことができることが分かる。ミッションは、出発/終了位置S/Eにおいても1つ以上の活動、例えば車両の燃料供給及び/又はバッテリの充電を伴うことができる。
【0046】
代替の実施形態において、ミッションは、循環とは対照的に、出発位置から、出発位置のロケーションと異なるロケーションにある終了位置に拡張することができる。
【0047】
本発明による方法の一実施形態のステップを実行するように制御ユニットCUが構成される。制御ユニットは、車隊を制御する制御センタの一部とすることができる。制御ユニットCUは、車両V1~V3のそれぞれと無線で通信するように構成される。
【0048】
制御ユニットCUは、車両から、例えば、当該車両の位置及び速度に関する情報を受信するように構成することができる。制御ユニットは、制御コマンドを車両に送信するように構成することもできる。いくつかの実施形態においては、車両は、無人(driverless)であり、エンジン、モータ、ブレーキ及びステアリング等の、車両の操作デバイスを制御するように構成される、車両内の制御デバイス(図示せず)は、制御ユニットCUからの制御コマンドを読み取るように構成することができる。他の実施形態においては、車両は、制御ユニットCUからの制御コマンドを、車両の運転者に表示するように構成することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、制御ユニットCUを、車両のうちの1つの上に配置することもできるし、制御ユニットCUの各部分を、複数の車両上に分散させることもできる。
【0050】
制御ユニットCUはコンピュータを含むことが分かる。さらに、制御ユニットCUは、コンピュータプログラムを介して、本発明による方法の一実施形態を実行するように構成することができることが分かる。
【0051】
経路Rに沿った車両の分布は、本明細書において、車両の均衡状態SoB(state of balance)とも呼ばれる。均衡状態は、2つの連続する車両の間の最大ギャップと、2つの連続する車両の間の最小ギャップとの間の差と定義することができ、すなわち、以下の式となる。
【数1】
【0052】
好ましくは、ギャップは時間ギャップである。代わりに、ギャップは、空間ギャップ、例えば経路Rに沿った距離であることも可能である。
【0053】
図2も参照する。本発明による方法の実施形態は、経路Rに沿った車両の所望の分布を特定すること(S1)を含む。本実施形態において、所望の分布は、車両間のギャップが等しい分布である。
【0054】
経路Rに沿った車両の位置posi(t)が特定される(S2)。車両の速度は、基準目標速度vrefとして特定又は設定することができる。基準目標速度は、予め定めておくことができる。それぞれの基準目標速度は、経路に沿った位置に依存することができる。基準目標速度は、経路に沿った任意の所与の位置について全ての車両に対して同じものとすることができる。したがって、任意の所与の時点において、基準目標速度は、車両ごとに異なる場合がある。
【0055】
特定された車両位置posi(t)から、所望の車両分布からの偏差が確認される(S3)。換言すれば、均衡状態SoB(t)が、上記式(1)を用いて特定される。図1の例では、車両のうちの2つV1、V2の間のギャップは過度に小さく、このギャップが式(1)における最小ギャップである。
【0056】
所望の車両分布からの偏差を低減する第1のステップとして、速度値集合uの形の進行制御値集合が選択される(S4)。速度値集合は、複数の車両、好ましくは車両の全てのそれぞれの速度値を含む。したがって、それぞれの速度値が、それぞれの車両の進行速度に影響を与える。速度値のうちの少なくとも1つ又はいくつかは、それぞれの車両の特定された速度又は設定された速度、例えば基準目標速度vrefと異なる速度変化値又は絶対速度値である。この例では、速度値集合は、各車両V1~V3について、速度変化がない状態0、正の速度変化がある状態1、又は負の速度変化がある状態-1を示す制御ベクトルuである。
【0057】
それぞれの車両の位置は、速度値集合uのそれぞれの速度値によって与えられるそれぞれの速度変化の結果として、以下の式として表すことができる。
【数2】
ここで、vrefは車両の基準目標速度である。この例では、基準目標速度は、経路Rに沿った任意の所与の位置について、全ての車両に対して同じである。項εは、速度値集合のそれぞれの速度値uiと単位速度変化値dvmaxとを乗算することによって与えられる速度変化である。単位速度変化値dvmaxは、予め定めておくことができる。単位速度変化値は、経路に沿った位置に依存することができることに留意すべきである。単位速度変化値dvmaxは、基準目標速度vrefの最大許容変化とすることができる。速度変化εは、「擾乱(disturbance)」速度偏差(speed deviation)とみなすことができる。速度変化εの目的は、ギャップ不均衡SoBを低減することである。将来の均衡状態が、車両間の最小ギャップとして計算される場合に、ギャップ不均衡を低減することは、最小ギャップを増加させることを伴う場合がある。したがって、速度変化ベクトルは、以下のように求めることができる。
【数3】
ここで、uの各値u1、u2、u3は、-1、0、又は1のいずれかである。
【0058】
車両の位置posi(t)に基づいて、車両が選択された速度値集合uに基づいて制御される場合に、将来の時点t+dtにおける車両の分布SoBfutが特定される(S5)。これは、以下のように行うことができる。
【数4】
ここで、
【数5】
【数6】
である。
【0059】
したがって、車両V1~V3の分布SoBfutを特定することは、複数の車両が、選択された速度値集合uに基づいて制御される場合に、第1の時点tから将来の時点t+dtまでの車両の分布を特定することを含むことができる。それによって、将来の時点t+dtにおける、所望の分布からの車両の偏差を特定することができる。
【0060】
図3は、車両が均等に位置決めされている一例を2つの上段の図に示している。その結果、ギャップは等しく、均衡状態SoBは低いか又は0である。2つの下段の図における例では、ギャップは均等に分布しておらず、その結果、均衡状態SoBは相対的に高い値である。当該方法は、速度値集合uを使用して制御動作の将来の結果を評価する。
【0061】
速度値集合uを選択するステップS4、及び選択された速度値集合を用いて車両の将来の分布SoBfutを特定するステップは、複数回X繰り返される(S6)。各繰り返しにおいて、異なる速度値集合uの選択が行われ、その結果、異なる将来の分布SoBfutが得られる。繰り返し数Xは、予め定めておくことができる。
【0062】
それによって、複数の速度値集合uが得られ、各速度値集合は、将来の時点t+dtにおける車両のそれぞれの分布SoBfutと相関される。速度値集合uが相関される将来の分布SoBfutは、互いに比較される。車両間のギャップが等しい分布からの最小の偏差を表す将来の均衡状態値minSoBfutが特定される。これは、上記式(4)に従った計算において最低値を有する将来の均衡状態である。車両間のギャップが等しい分布からの最小の偏差を表す将来の均衡状態値minSoBfutと相関される速度値集合uが、車両の速度を制御するために特定される。車両V1~V3の速度は、その後、特定された速度値集合uに従って制御される(S7)。
【0063】
上述した例では、速度値集合uについて有限個の可能な組み合わせが存在する。最初の速度値集合選択S4及び速度値集合uの選択の各繰り返しS6において、これらの組み合わせのうちの1つを選択することができる。繰り返しS6は、全ての組み合わせがそれぞれの均衡状態SoBの特定に使用されたときに終了することができる。代替の実施形態において、速度値集合uは、最初の速度値集合選択S4及び各繰り返しにおいてランダムに選択することができる。
【0064】
分布不均衡を低減するように車両を制御する速度値集合uを特定する方法は、1分~10分ごと等の予め定めておくことができる適切な時間間隔内で繰り返すことができる。
【0065】
上記例は、速度値集合の選択及び車両分布の特定を繰り返すことを含む。ただし、いくつかの実施形態において、複数の速度値集合を並列プロセスにおいて選択することができる。また、いくつかの実施形態において、選択された速度値集合のそれぞれについての将来の車両分布の特定を並列プロセスにおいて行うことができる。
【0066】
図4を参照して、本発明の一般的な実施形態を説明する。経路に沿ったミッションにおいて車両V1~V3(図1)を制御する方法が、以下のステップを含む。経路に沿った車両の位置が特定される(S2)。複数の進行制御変数集合が選択され(S4)、各進行制御変数集合は、複数の車両のそれぞれの進行速度に関係したそれぞれの進行制御変数値を含み、選択された進行制御変数集合は互いに異なる。当該方法は、将来の時点における車両のそれぞれの分布とそれぞれ相関される複数の進行制御変数集合を得るために、複数の車両がそれぞれの選択された進行制御変数集合に基づいて制御される場合に、選択された進行制御変数集合のそれぞれについて、車両の特定された位置に基づいて、将来の時点における車両のそれぞれの分布を特定すること(S5)を更に含む。進行制御変数集合を選択するステップS4は、選択された進行制御変数集合のそれぞれについて車両のそれぞれの分布を特定するステップS5が開始される前に、必ずしも完結する必要はないことに留意すべきである。進行制御変数集合が相関される分布が比較され、車両の進行は、この比較に基づいて特定された進行制御変数集合に従って制御される(S7)。
【0067】
図5を参照する。本発明の更なる実施形態において、状況は、図1図3を参照して説明した実施形態の状況と同様である。したがって、図1に示すように、ヘビーデューティ車両V1、V2、V3の車隊が、出発/終了位置S/Eから3つの動作位置wp1、wp2、wp3に向かい、その後、出発/終了位置S/Eに戻る経路R上を運転することを伴う循環ミッションにある。車両V1~V3のそれぞれと無線で通信するように構成された制御ユニットCUが、本発明の更なる実施形態による方法のステップを実行するように構成される。制御ユニットCUは、車両から、例えばそれらの位置及び速度に関する情報を受信するように構成されるとともに、制御ユニットは、制御コマンドを車両に送信するように構成される。
【0068】
図1図3における実施形態と同様に、均衡状態SoB(t)、すなわち所望の車両分布からの偏差は、2つの連続する車両の間の最大ギャップと2つの連続する車両の間の最小ギャップとの間の差と定義され、すなわち上記式(1)によって表される。好ましくは、ギャップは時間ギャップである。
【0069】
図5に見て取ることができるように、当該方法は、経路Rに沿った車両の所望の分布、すなわち車両間のギャップが等しい分布を特定すること(S1)を含む。さらに、経路Rに沿った車両の位置posi(t)が特定される(S2)。
【0070】
図1に示すように、第3の車両V3は、第3の動作位置wp3に接近している。第3の動作位置は待機エリアを含む。第3の動作位置に到着すると、以下のステップが実行される。
【0071】
複数の進行制御変数集合が選択される(S4)。この実施形態において、各進行制御値集合は、本明細書において進行制御パラメータ値と呼ばれる1つの値のみを含む。進行制御パラメータ値は、第3の車両V3の停止状態の時間間隔値tを表すか、又は時間間隔値tである。それによって、進行制御値集合は、第3の車両V3が、その後の車両分布の特定において、時間制限付き停止状態に入るか否かを示す。この値は、停止状態の継続時間tも示す。そのような停止状態は、車両が上記継続時間tの間待機することによって実施することができる。そのような待機は、待機エリアwp3において行うことができる。この例では、選択された進行制御パラメータ値tは、0秒、1秒、2秒、4秒、8秒、16秒、及び32秒である。
【0072】
本明細書において使用される用語の例について、図6も参照する。アクティブミッション時間tnwは、第3の車両V3がミッション中であり、待機するように制御されない時間と解釈される。アクティブミッション時間tnwは、車両が待機するように制御されていない場合には、実際のミッション時間tmissと等しい。時点twp3において時間間隔tの間待機するように第3の車両V3を制御した結果が、図6において破線によって示される。待機無しサイクル時間tendexpは、アクティブミッション時間tnw、すなわち第3の車両V3が待機するように制御されないときのこの車両のサイクルの時間の予想最大値である。
【0073】
車両V1~V3の位置に基づいて、各進行制御パラメータ値tが車両V1~V3のそれぞれの分布と相関されるように、上記第3の車両V3がそれぞれの選択された進行制御パラメータ値tに基づいて制御される場合に、選択された進行制御パラメータ値tnwのそれぞれについて、車両のそれぞれの分布が特定される(S5)。
【0074】
各車両分布は、将来の均衡状態SoBfutと定義される。それぞれの分布は、車両のペア間のギャップを表すことができる値を有するベクトルとすることができる。各分布は、それぞれの均衡状態の形のスカラ値にすることができる。この例では、将来の均衡状態は以下のように定義される。
【数7】
ここで、gapは、以下の式として定義される要素を有するベクトルである。
【数8】
ここで、tnwsは、車両V1~V3のアクティブミッション時間tnwを含む昇順にソートされたベクトルである。
【0075】
したがって、車両V1~V3の分布SoBfutを特定することは、複数の車両が選択された進行制御パラメータ値tに基づいて制御される場合に、第1の時点tから将来の時点t+tまでの車両の分布を特定することを含むことができる。上記に示したように、選択された進行制御パラメータ値tのうちの1つは0であり、したがって、この進行制御パラメータ値に基づく車両の分布は、第1の時点又は現時点における車両分布である。
【0076】
それによって、複数の進行制御パラメータ値が得られ、各進行制御パラメータ値は、将来の時点t+tにおける車両のそれぞれの分布SoBfutと相関される。進行制御パラメータ値が相関される分布SoBfutは、それぞれの停止時間を考慮しながら互いに比較される。より具体的には、当該方法は、第3の車両V3を制御する進行制御パラメータ値を特定すること(S601)を含む。この進行制御パラメータ値は、分布の比較に部分的に基づくとともに第3の車両V3のそれぞれの停止時間間隔に部分的に基づいて特定される。
【0077】
より具体的には、所望の分布からの偏差と停止時間とに依存する関数を最小にする進行制御パラメータ値が特定される。上記関数を最小にすることによって、車両の所望の分布に向けた移動と、第3の車両V3の停止状態に起因した生産性の損失を最小にすることとの間の均衡が提供される。
【0078】
この例では、最小にされる上記関数は以下の通りである。
【数9】
ここで、
【数10】
である。
【0079】
代替の関数は、以下のものとすることができる。
【数11】
ここで、
【数12】
である。ここで、SoBtarは所望の均衡状態であり、SoBdevmaxは、これを下回ると車両が待機するように制御されない均衡状態の限度であり、
【数13】
である。
【0080】
これらの関数から、均衡状態が所望の均衡状態に相対的に近い場合には、第3の車両V3は、相対的に短い時間待機するように制御されるか、又は全く待機しないように制御されるという結果になる。一方、均衡状態が所望の均衡状態から相対的に遠い場合には、第3の車両V3を、相対的に長い時間待機するように制御することができる。
【0081】
第3の車両は、その後、特定された進行制御パラメータ値に従って制御される(S7)。
【0082】
図7を参照する。この図におけるプロットは、図5及び図6を参照して説明した方法を使用して、本発明者らのうちの1人によって行われたシミュレーションにおけるパラメータを示している。このシミュレーションは3つの車両を含む。見て取ることができるように、当初、車両間の分布の均衡は不十分である。約5分後、適度に良好な均衡が達成される。この例では、選択された進行制御パラメータ値t、すなわち停止時間間隔は、上記例におけるものと同じ、すなわち0秒、1秒、2秒、4秒、8秒、16秒、及び32秒である。
【0083】
本発明は、上述のまた図面に示す実施形態に限定されないことが分かる。むしろ、添付の特許請求の範囲の適用範囲内で、多くの変更及び修正を行うことができることを当業者は理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7