(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】物品位置検出器を備えたエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20230414BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20230414BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20230414BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/51
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2021558551
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020059148
(87)【国際公開番号】W WO2020201295
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-29
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ポアンドロン シリル
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108208944(CN,A)
【文献】国際公開第2017/207442(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/082560(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0296777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/53
A24F 40/51
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
・ エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品を取り外し可能に受容するように構成された受容領域と、
・ 前記受容したエアロゾル発生物品の位置を検出するように構成された位置検出器と、
・ 警告信号を発生するように構成された警告要素と、
・ コントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記位置検出器から、前記受容したエアロゾル発生物品の前記位置を示す信号を受信するように構成され、前記コントローラが、前記エアロゾル発生物品が不適切な位置にある時に警告信号を発生するよう前記警告要素を制御するように構成され、前記コントローラが、前記エアロゾル発生装置の発熱体が、前記エアロゾル発生物品が不適切な位置にある間に、第二の所定の時間よりも長く動作する場合に、所定の時間にわたってさらなる警告信号を発生するよう前記警告要素を制御するように構成される、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記エアロゾル発生物品の前記不適切な位置が、前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル発生基体の気化およびエアロゾル発生が依然として可能である位置であり、前記エアロゾル発生物品の前記不適切な位置が、前記エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置とは異なる位置である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記位置検出器が、前記エアロゾル発生物品が前記受容領域の中に受容された時に、前記エアロゾル発生物品の導電性領域と接触するように構成される電気接点を含むか、または、前記位置検出器が、前記エアロゾル発生物品が前記受容領域の中に受容された時に、前記エアロゾル発生物品の電気接点と接触するように構成される導電性領域を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記位置検出器が、前記エアロゾル発生物品の前記位置と前記エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置との間の距離を測定するように構成される近接センサーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記近接センサーが、ホール効果センサーとして構成される、請求項
4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
・ 前記位置検出器が、前記エアロゾル発生装置の発熱体が動作しない時に、停止されるか、または前記警告信号の発生を防止するように構成される、
・ 前記コントローラが、前記エアロゾル発生装置の前記発熱体が動作しない時に、前記警告要素が前記警告信号を発生することを防止するように構成される、および、
・ 前記警告要素が、前記エアロゾル発生装置の前記発熱体が動作しない時に、停止されるか、または前記警告信号の発生を防止するように構成される、のうちの一つ以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記さらなる警告信号の持続時間の間、前記発熱体の動作を防止するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記受容領域が加熱チャンバーである、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記コントローラが、前記位置検出器が、前記エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置にあることを検出する場合にのみ前記発熱体の起動を可能にするように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記コントローラが、前記位置検出器が、前記エアロゾル発生物品が不適切な位置にあることを検出する場合に、前記発熱体を停止するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記位置検出器が、前記エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置からの距離を検出するように構成され、前記警告要素が、前記検出された前記所望の最適動作位置からの前記エアロゾル発生物品の距離に応じて、段階的な警告信号を発生するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記発熱体および前記位置検出器が、共通の電気回路を利用する、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置の中に受容されたエアロゾル発生物品の不適切な位置に対して警告信号を発生するための方法であって、
・ 前記位置検出器によって、前記受容されたエアロゾル発生物品の前記位置を検出することと、
・ 前記コントローラによって、前記エアロゾル発生物品が不適切な位置にある時に、警告信号を発生するよう前記警告要素を制御することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置、エアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生装置の中に受容されたエアロゾル発生物品の不適切な位置に対する警告信号を発生するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することは周知である。こうした装置は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル発生基体を、エアロゾル発生基体を燃焼することなく、加熱する場合がある。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の中に、特にエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に受容されてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル発生基体を加熱するために、加熱チャンバーの中またはその周りに配設される。典型的にエアロゾル発生物品は、ユーザーによってエアロゾル発生装置の中に挿入される。挿入中に、または使用中に、エアロゾル発生物品は正しく挿入されない場合があり、または初期位置からずれる場合がある。また、ユーザーは、エアロゾル発生動作が完了する前に、エアロゾル発生物品を取り外す場合がある。エアロゾル発生物品が指定の通りにエアロゾル発生装置の中に受容されていない場合、エアロゾル発生は不適切な方法で影響を受ける場合がある。
【0003】
エアロゾル発生物品が正しくない位置にある場合に、最適化された機能を備えたエアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品を取り外し可能に受容するように構成された受容領域を備える、エアロゾル発生装置が提供される。装置は、受容したエアロゾル発生物品の位置を検出するように構成された位置検出器、警告信号を発生するように構成された警告要素、およびコントローラをさらに備える。コントローラは、位置検出器から、受容したエアロゾル発生物品の位置を示す信号を受信するように構成される。コントローラは、エアロゾル発生物品が不適切な位置にある時に、警告信号を発生するよう警告要素を制御するようにさらに構成される。
【0005】
発生される警告信号は、エアロゾル発生物品が不適切な位置にある時に、エアロゾル発生物品を最適に動作させることを可能にする。ユーザーは、警告信号を知覚すると、エアロゾル発生物品の位置を調整し得る。このようにして、エアロゾル発生物品の正しくない、または最適化されていない位置が防止され得る。エアロゾル発生物品の正しくない、または最適化されていない位置は、不適切な方法で発生するエアロゾルをもたらし得る。また、エアロゾル発生物品の不適切な位置は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置から落ちる、または取り外される危険につながり得る。例えば、使用中に、エアロゾル発生物品の位置は、エアロゾル発生装置が動き回る、または振とうされることによってわずかに変化する場合がある。この位置が変化すると、エアロゾル発生物品がユーザーによって正しく知覚されない、エアロゾル発生物品が落ちる、またはエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置から取り外される可能性がある。これは通常、新しいエアロゾル発生物品を挿入しなければならないことを意味する。エアロゾル発生物品の正しくない位置を検出した時に警告信号を提供することにより、ユーザーは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置から完全に落ちる、または完全に取り外されることを防止し得る。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の使用中にその位置を変える代わりに、エアロゾル発生物品はまた、不適切な方法、または最適な方法から逸脱する方法でユーザーによって挿入される場合がある。これもまた、エアロゾル発生物品が不適切な位置でエアロゾル発生装置によって受容されることにつながり得る。警告信号を発生することによって、ユーザーは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に最適に位置付けられていないことを知覚し、エアロゾル発生装置の位置を補正し得る。
【0006】
さらに、エアロゾル発生物品の不適切な位置は、エアロゾルが最適化された方法で発生されないことにつながり得る。例えば、エアロゾル発生物品が不適切な位置にある場合、エアロゾル発生物品中に含まれるエアロゾル発生基体と、エアロゾル発生装置の発熱体との間の距離が、最適な距離とは異なる場合がある。例えば、エアロゾル発生基体は、最適なエアロゾル発生のために十分な温度に加熱されない場合がある。警告信号の発生により、ユーザーがエアロゾル発生物品を再配置することが可能になり、それ故にエアロゾルが最適に発生され得る。
【0007】
提案されるエアロゾル発生装置のさらなる利点として、エアロゾル発生装置の発熱体の過熱が防止され得る。この点に関して、エアロゾル発生装置の不適切な位置により、発熱体が、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体に向かって、そしてエアロゾル発生基体の中に適切に熱を伝達することができない場合がある。これは、望ましくない場合がある、発熱体の温度の上昇につながり得る。発熱体の温度が特定の温度を超える場合、望ましくない成分がエアロゾル中に発生する可能性がある。警告信号の発生により、ユーザーは、エアロゾル発生物品の位置を補正して、発熱体が過熱されるのを防止することができる。
【0008】
さらに、エアロゾル発生物品の無駄が防止され得る。この点に関して、エアロゾル発生物品の不適切な位置は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置から落ちる、または取り外される可能性を増大させ得る。典型的には、ユーザーは、エアロゾル発生基体中のエアロゾル発生基体がまだ完全に枯渇していなくても、こうした物品を無駄にし、新しいエアロゾル発生物品を挿入することになる。
【0009】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置はホルダーであってもよい。
【0010】
装置は、片手の指の間に保持するのが快適な携帯型または手持ち式の装置であることが好ましい。装置は実質的に円筒状であってもよく、また70~120mmの長さを有する。装置の最大直径は10~20mmであることが好ましい。一実施形態において、装置は多角形の断面を有し、かつ一方の面上に形成された突出したボタンを有する。この実施形態において、装置の直径は、一方の平坦な面から反対側の平坦な面までで12.7~13.65mmであり、一方の縁から反対側の縁まで(すなわち、装置の一方の側の二つの面の交差部からもう一方の側の対応する交差部まで)で13.4~14.2mmであり、ボタンの上部からボタンと反対側の底部の平坦な面までで14.2~15mmである。
【0011】
装置は、電気加熱式の喫煙装置またはベイピング装置であってもよい。装置は、機械的振動またはスプレーによってエアロゾルを発生する電気的な喫煙装置またはベイピング装置であってもよい。
【0012】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル発生基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生するエアロゾル形成体であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生物品は、たばこスティックと呼ばれる。
【0013】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル発生基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0014】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品はフィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルタープラグは、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0015】
一実施形態において、エアロゾル発生物品はおよそ45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ7.2mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル発生基体は、およそ10mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル発生基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル発生基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体とフィルタープラグの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲内であってもよい。
【0016】
別の方法として、エアロゾル発生物品はカートリッジとして構成されてもよい。エアロゾル発生基体が液体エアロゾル発生基体として提供されている場合、カートリッジは特に好ましい。エアロゾル発生基体が液体形態で提供される場合、液体エアロゾル発生基体は、カートリッジの液体貯蔵部分に収容され得る。液体貯蔵部分は、エアロゾル発生装置の発熱体に供給される液体エアロゾル発生基体を貯蔵するように適合される。別の方法として、カートリッジ自体が、液体エアロゾル発生基体を気化させるための発熱体を含んでもよい。この場合、エアロゾル発生装置は、発熱体を含まず、カートリッジがエアロゾル発生装置に受容された時に、カートリッジの発熱体に向かって電気エネルギーを供給するだけであり得る。液体貯蔵部分は、発熱体に向けた液体エアロゾル発生基体の供給を促進するための自己回復可能な貫通可能膜などのカップリングを含み得る。膜は、液体貯蔵部分中に貯蔵された液体エアロゾル発生基体の望ましくない漏れを回避する。それぞれの針様の中空管が、膜を通して穴あけするために提供されてもよい。液体貯蔵部分は、交換可能なタンクまたは容器として構成されてもよい。
【0017】
カートリッジは、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。例えば、カートリッジは実質的に円筒状であってもよい。カートリッジの断面は、例えば実質的に円形、楕円形、正方形、または長方形であってもよい。
【0018】
カートリッジはハウジングを備えてもよい。ハウジングは基部と、基部から延びる一つ以上の側壁とを備えてもよい。基部および一つ以上の側壁は、一体的に形成されてもよい。基部および一つ以上の側壁は、互いに取り付けられている、または固定されている別個の要素であってもよい。ハウジングは剛直なハウジングであってもよい。本明細書で使用される「剛直なハウジング」という用語は、自立型のハウジングを意味するために使用される。カートリッジの剛直なハウジングは、発熱体に機械的な支持を提供し得る。カートリッジは、一つ以上の可撓性の壁を備えてもよい。可撓性の壁は、カートリッジ中に貯蔵された液体エアロゾル発生基体の容積に適合するように構成されてもよい。カートリッジは上述の通り、可撓性の壁を備えてもよい液体貯蔵部分を備えることが好ましい。カートリッジは、剛直なハウジングを備えてもよい一方で、可撓性の壁を備える液体貯蔵部分は、剛直なハウジング内に収容されてもよい。カートリッジのハウジングは、任意の適切な材料を含んでもよい。カートリッジは、実質的に流体不透過性の材料を含んでもよい。カートリッジのハウジングは、カートリッジ中に貯蔵された液体エアロゾル発生基体がハウジングを通してユーザーに見えてもよいように、透明または半透明の部分を備えてもよい。カートリッジは、カートリッジ中に貯蔵されたエアロゾル発生基体が周囲空気から保護されるように構成されてもよい。カートリッジは、カートリッジ中に貯蔵されたエアロゾル発生基体が光から保護されるように構成されてもよい。これは、基体の劣化のリスクを低減する場合があり、また高いレベルの衛生状態を維持する場合がある。
【0019】
液体エアロゾル発生基体は多孔性担体材料の中に吸収されてもよい。多孔性担体材料は、任意の適切な吸収性のプラグまたは本体、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維、もしくはセラミックで作製されてもよい。液体エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生装置を使用前に、多孔性担体材料の中に保持されてもよく、または別の方法として、液体エアロゾル発生基体材料は、使用中にまたは使用の直前に多孔性担体材料の中に放出されてもよい。
【0020】
カートリッジは実質的に密封されてもよい。カートリッジは、カートリッジ中に貯蔵された液体エアロゾル発生基体がカートリッジからエアロゾル発生装置に流れるための一つ以上の出口を備えてもよい。カートリッジは、一つ以上の半開放吸込み口を備えてもよい。これは、周囲空気がカートリッジに入ることを可能にしてもよい。一つ以上の半開放吸込み口は、周囲空気がカートリッジの中に入ることを可能にするように浸透性であり、かつカートリッジ内部にある空気および液体がカートリッジから出るのを実質的に防止するように不透過性である、半透過性膜または一方向弁であってもよい。一つ以上の半開放吸込み口は、特定の条件下で空気がカートリッジの中に通ることを可能にしてもよい。カートリッジは再充填可能であってもよい。別の方法として、カートリッジは、交換可能なカートリッジとして構成されてもよい。エアロゾル発生装置は、カートリッジを受容するために構成されてもよい。当初のカートリッジが消費された時、新しいカートリッジがエアロゾル発生装置に取り付けられてもよい。
【0021】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル発生基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル発生基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品の一部またはエアロゾル発生物品であってもよい。
【0022】
エアロゾル発生基体は固体エアロゾル発生基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル発生基体は固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。さらに別の方法として、エアロゾル発生基体は、液体エアロゾル発生基体であってもよい。上述の通り、液体エアロゾル発生基体は、液体貯蔵部分を備えるカートリッジと併せて使用されることが好ましい。エアロゾル発生基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含み得る。別の方法として、エアロゾル発生基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル発生基体は、高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0023】
固体エアロゾル発生基体は例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含み得る。固体エアロゾル発生基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル発生基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル発生基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、またこうしたカプセルは固体エアロゾル発生基体の加熱中に溶融してもよい。
【0024】
本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料のシートは、たばこ葉の葉身およびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で組み合わせることによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0025】
随意に、固体エアロゾル発生基体は、熱的に安定した担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0026】
特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはこれと平行に延びることが好ましい。これは、有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を容易にしてエアロゾル発生基体を形成する。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル発生基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル発生基体は、シートの幅を横切って実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を備える均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0027】
固体エアロゾル発生基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル発生基体は担体の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためにパターンで堆積されてもよい。
【0028】
液体エアロゾル発生基体では、基体のある一定の物理的特性、例えば、蒸気圧または粘性は、エアロゾル発生システムで使用するために適切になるように選ばれる。液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体は非たばこ材料を含んでもよい。液体は、水、エタノール、または他の溶媒、植物抽出物、ニコチン溶液、および天然もしくは人工の風味を含んでもよい。液体は、エアロゾル形成体をさらに含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0029】
エアロゾル発生装置は電気回路を備えてもよい。電気回路はコントローラとして構成されてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は発熱体への電力供給を調節するよう構成しうる。電力はシステムの起動後に発熱体に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなど、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給され得る。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ好ましくは、発熱体の電気抵抗に応じて、気化器への電力の供給を制御するように構成され得る。
【0030】
エアロゾル発生装置は、電源(典型的に電池)を備えてもよい。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用のために十分なエネルギーの貯蔵することを可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は、所定の吸煙回数または発熱体の不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0031】
発熱体は、エアロゾル発生基体を加熱するために適切な任意の装置であってもよく、また吸入可能なエアロゾルを形成するために、少なくともエアロゾル発生基体の一部を気化する。発熱体は模範的に、コイルヒーター、毛細管ヒーター、メッシュ発熱体、または金属プレートヒーターであってもよい。発熱体は模範的に、電力を受電し、かつ受電した電力の少なくとも一部を熱エネルギーに変換する抵抗発熱体であってもよい。別の方法として、または追加的に、発熱体は、時間変動する磁界によって誘導加熱されるサセプタであってもよい。発熱体は単一の発熱体のみ、または複数の発熱体を備えてもよい。発熱体(複数可)の温度は、電気回路によって制御されることが好ましい。
【0032】
本開示の全ての態様で、発熱体は電気抵抗性の材料を含みうる。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とでできた複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、銀が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料中に包埋、断熱材料中に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0033】
発熱体は、エアロゾル発生装置の一部であり得る。エアロゾル発生装置は、内部発熱体、または外部発熱体、または内部発熱体と外部発熱体の両方を備えうるが、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル発生基体についてである。内部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、内部発熱体は加熱ブレードの形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを有するケーシングまたは基体の形態を取ってもよい。別の方法として、内部発熱体は、エアロゾル発生基体の中心を通り抜ける一つ以上の加熱針またはロッドであってもよい。その他の代替としては、加熱ワイヤーまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、または合金ワイヤーもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、内部発熱体は剛直な担体材料の中またはこの材料上に配置されてもよい。こうした一実施形態において、電気抵抗性のある発熱体は、温度と抵抗率の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成され、その後ガラスなどの別の断熱材料中に挟まれてもよい。この様態で形成されたヒーターは動作中に、発熱体の加熱と、その温度のモニターの両方に使用されてもよい。
【0034】
外部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基板上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、基体受容空洞の周辺部に適合する形状にすることができる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド(複数可)、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と抵抗率の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二つの層の間のトラックとして形成されてもよい。この様態で形成された外部発熱体は動作中に、外部発熱体の加熱と、外部発熱体の温度のモニターの両方に使用されてもよい。
【0035】
内部発熱体または外部発熱体は、熱を吸収および貯蔵し、そしてその後、エアロゾル発生基体に熱を経時的に放出する能力を有する材料を含む、ヒートシンクまたは蓄熱体を備えてもよい。ヒートシンクは、適切な金属またはセラミック材料など、任意の適切な材料で形成されてもよい。一実施形態において、材料は、高い熱容量(顕熱貯蔵材料)を有するか、または熱を吸収し、その後可逆的なプロセス(高温相変化など)によって熱を放出する能力を有する材料である。適切な顕熱貯蔵材料としては、シリカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、鉱物、金属または合金(アルミニウム、銀、または鉛など)、およびセルロース系材料(紙など)が挙げられる。可逆的な相変化によって熱を放出するその他の適切な材料としては、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタレン、ろう、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物、または合金が挙げられる。ヒートシンクまたは蓄熱体は、エアロゾル発生基体と直接接触するように、かつ貯蔵した熱を基体に直接伝達することができるように配設されてもよい。別の方法として、ヒートシンクまたは蓄熱体に貯蔵された熱は、金属チューブなどの熱導体の手段によってエアロゾル発生基体に伝達されてもよい。
【0036】
発熱体は有利なことに、伝導によってエアロゾル発生基体を加熱する。発熱体は基体、または基体が配置されている担体と、少なくとも部分的に接触してもよい。別の方法として、内部発熱体または外部発熱体のいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導されてもよい。
【0037】
動作中、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生装置内に完全に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生装置のマウスピースを吸煙してもよい。別の方法として、動作中、エアロゾル発生基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生物品を直接吸煙してもよい。
【0038】
エアロゾル発生物品の不適切な位置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体の気化およびエアロゾル発生が依然として可能である位置であり得る。エアロゾル発生物品の不適切な位置は、エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置とは異なる位置であり得る。
【0039】
したがって、不適切な位置は、エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置と、エアロゾルを発生することができないエアロゾル発生物品の位置との間であり得る。言い換えれば、不適切な位置は、エアロゾル発生装置が依然として動作可能であるが、最適ではない位置であり得る。さらに言い換えれば、不適切な位置は、エアロゾル発生装置が依然として動作可能であるが、エアロゾル発生装置の動作を最適化するためにエアロゾル発生物品の再配置が望ましい位置であり得る。この点に関して、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置によって所望の最適動作位置に受容される場合、動作のために最適化され得る。この所望の最適動作位置からの偏差は、エアロゾル発生の有効性を低減し得る。しかしながら、所望の最適動作位置からの小さな偏差は、エアロゾル発生に対して依然として許容され得る。所望の最適動作位置からの所定の偏差は、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置に位置付けられているという要件を依然として満たすものとして受け入れられ得る。したがって、コントローラは、エアロゾル発生物品が所定の所望の最適動作位置の外側に位置する場合に、警告要素による警告信号の発生を制御するのみであるように構成され得る。さらに、コントローラは、エアロゾル発生物品が、不適切な位置よりもさらに所望の最適動作位置から偏差する位置にある場合、警告信号の発生を停止するように構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置から落ちる、または完全に取り外される場合、警告信号の発生が停止され得る。この場合、コントローラは、発熱体の動作を停止するように構成されてもよい。結果として、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置の境界内に位置付けられる場合、正常に動作するように構成される。エアロゾル発生物品が特定の境界内のこの位置から偏差する場合、この偏差は位置検出器によって検出され、警告信号が警告要素によって発生される。エアロゾル発生物品の位置が望ましくない方向にさらに変更される場合、発熱体の動作はコントローラによって停止されてもよく、警告信号の発生も停止され得る。別の方法として、コントローラは、この場合、発熱体の動作を停止する一方で、警告信号は依然として発生されるように構成されてもよい。したがって、ユーザーは、警告信号を知覚し、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置にないことを理解し得る。代替的に、または追加的に、エアロゾル発生物品の位置が望ましくない位置からエアロゾル発生装置の動作がもはやそれ以上不可能になる位置へと変化する場合、警告信号が変化してもよい。これは、エアロゾル発生物品がどの位置にあるかというユーザーフィードバックを提供するという利点を有し得る。
【0040】
位置検出器は、エアロゾル発生物品が受容領域の中に受容された時に、エアロゾル発生物品の導電性領域と接触するように構成された電気接点を含んでもよく、または、位置検出器は、エアロゾル発生物品が受容領域の中に受容された時に、エアロゾル発生物品の電気接点と接触するように構成された導電性領域を含んでもよい。
【0041】
この態様では、位置検出器は、エアロゾル発生物品の導電性領域が位置検出器の電気接点と接触する場合に、エアロゾル発生物品の位置を検出するように構成され得る。エアロゾル発生物品の導電性領域は、位置検出器の電気接点に依然として接触したまま、エアロゾル発生物品を特定の境界内に位置付けることを可能にするサイズおよび形状を有してもよい。位置検出器は、エアロゾル発生物品の複数の位置の検出を可能にするための、三つ以上の電気接点を含んでもよい。例えば、位置検出器は、複数の電気接点を含んでもよい。この場合、位置検出器の電気接点のうちの少なくとも二つが、エアロゾル発生物品の導電性領域と接触しなくなると、位置検出器は、エアロゾル発生物品が、所望の最適動作位置には位置付けられておらず、不適切な位置に位置付けられていることを検出する。この場合、コントローラは、警告信号をユーザーに出力して、エアロゾル発生物品の位置が、所望の最適動作位置から不適切な位置へと変化したことを示すように構成され得る。位置検出器からの三つ以上の接点が、エアロゾル発生物品の導電性領域と接触しなくなると、位置検出器によって、エアロゾル発生物品が不適切な位置をさらに超え、エアロゾル発生装置がもはやそれ以上動作できなくない位置にあることが検出され得る。結果として、コントローラは、発熱体の動作を停止し得る。結果として、位置検出器の電気接点は、エアロゾル発生物品が、所望の最適動作位置内にあるか、または不適切な位置の境界内にあるかどうかを検出するために使用され得る。
【0042】
一つ以上の電気接点を含む位置検出器、および導電性領域を含むエアロゾル発生物品の代わりに、位置検出器は導電性領域を含むことができ、エアロゾル発生物品は一つ以上の電気接点を含み得る。位置検出器の機能は、本質的に同一であり得る。この点に関して、位置検出器は、エアロゾル発生物品の電気接点がエアロゾル発生装置によって受容されて、位置検出器の導電性領域と接触しているかどうかを検出して、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置にあるか、不適切な位置にあるかどうかを判定し、不適切な位置にある場合、コントローラは、警告信号を出力するように構成され得る。
【0043】
位置検出器は、エアロゾル発生物品の位置と、エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置との間の距離を測定するように構成された近接センサーを含み得る。
【0044】
近接センサーは、レーザーセンサーまたはIRセンサーなどの任意の既知の近接センサーであってもよい。近接センサーは、近接センサーと、エアロゾル発生装置の中に受容されるエアロゾル発生物品との間の距離を測定するように配設されてもよい。特に、近接センサーは、受容領域の基部またはその近くに配設され得る。近接センサーは、エアロゾル発生物品が受容領域によって受容された際に、エアロゾル発生物品に対する距離を測定してもよい。
【0045】
近接センサーは、ホール効果センサーとして構成されてもよい。
【0046】
エアロゾル発生物品は、磁界を発生する要素を備え得る。この要素は、ボビンの形態を有してもよい。エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置の受容領域の中に挿入されると、ホール効果センサーとエアロゾル発生物品のボビンとの間の距離が減少する。したがって、ホール効果センサーは、エアロゾル発生物品とホール効果センサーとの間の距離が所定の閾値を下回る時に、エアロゾル発生物品の対応する要素によって生成される磁界を測定し得る。この場合、近接センサーは、エアロゾル発生物品が、発熱体が起動され、エアロゾル発生装置が動作し得る不適切な位置に達したことを検出し得る。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の受容領域内に完全に受容されると、近接センサーは、エアロゾル発生物品が現在所望の最適動作位置にあることを検出し得る。
【0047】
コントローラは、近接センサーが、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置に達したことを検出した時に、エアロゾル発生装置の発熱体の起動を可能にするように構成されてもよい。
【0048】
磁界を生成するエアロゾル発生物品の要素は、エアロゾル発生装置の受容領域によって受容されるエアロゾル発生物品の近くまたは端部に配置されてもよい。遠位端は、エアロゾル発生物品の遠位端であってもよい。よって、エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置の受容領域の中に完全に受容されると、エアロゾル発生物品の磁界発生要素は、ホール効果センサーとして構成された近接センサーに直接隣接して配設されてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「上流」、「下流」、「近位」および「遠位」という用語は、ユーザーがその使用中にエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。
【0050】
位置検出器は、エアロゾル発生装置の発熱体が動作しない時に、停止されるか、または警告信号の発生を防止するように構成され得る。コントローラは、エアロゾル発生装置の発熱体が動作しない時に、警告要素が警告信号を発生することを防止するように構成されてもよい。警告要素は、エアロゾル発生装置の発熱体が動作しない時に、停止されるか、または警告信号の発生を防止するように構成され得る。
【0051】
ユーザーの混乱を防止するために、発熱体が動作していない時は警告信号は発生されなくてもよい。発熱体が起動されていない時、エアロゾル発生物品の位置付けは重要ではない場合がある。
【0052】
コントローラは、エアロゾル発生装置の発熱体が、エアロゾル発生物品が不適切な位置にある間に、第二の所定の時間よりも長く動作する場合に、所定の時間にわたってさらなる警告信号を発生するよう警告要素を制御するように構成され得る。
【0053】
さらなる警告信号は、発熱体の過熱を防止し得る。熱は、発熱体から、不適切な位置に位置付けられたエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体の中に最適に伝達されない場合がある。よって、発熱体の温度は望ましくない程度まで上昇し得る。したがって、ユーザーが不適切な位置から所望の最適動作位置に戻るようエアロゾル発生物品の位置を補正しない場合、発熱体は過熱され得る。よって、コントローラは、第二の所定の時間を測定するように構成されてもよい。第二の所定の時間が経過した場合に、さらなる警告信号が発生されてもよい。さらなる警告信号は、発熱体が過熱し得ることをユーザーに示すために、警告要素によって発生され得る。したがって、ユーザーは、さらなる警告信号の期間中、エアロゾル発生装置を起動することを控え得る。さらなる警告信号は、発熱体の冷却を可能にするために、第一の所定の時間にわたって起動されてもよく、その結果、エアロゾル発生装置の再起動は、発熱体の温度の低下により安全に実施され得る。ユーザーが第二の所定の時間が経過する前にエアロゾル発生物品を再配置する場合、さらなる警告信号が警告要素によって発生されない場合がある。この場合、エアロゾル発生物品は、短時間の間のみ不適切な位置に位置付けられるため、発熱体の過熱は生じない。
【0054】
コントローラは、さらなる警告信号の持続時間の間、発熱体の動作を防止するように構成されてもよい。
【0055】
さらなる警告信号の持続時間の間発熱体の動作を防止することは、発熱体が十分に冷却され得ることを促進し得る。結果として、発熱体の過熱がこのようにして防止され得る。
【0056】
受容領域は、加熱チャンバーであってもよい。
【0057】
加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品を加熱チャンバーの中に挿入することを可能にする形状を有してもよい。発熱体は、上述の内部または外部の発熱体として、加熱チャンバーの中またはその周りに配設されてもよい。この態様は、エアロゾル発生物品が固体エアロゾル発生基体を含む場合に、特に好ましい。
【0058】
エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよく、コントローラは、位置検出器が、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置にあることを検出した場合にのみ、発熱体の起動を可能にするように構成されてもよい。
【0059】
この態様によれば、発熱体の初期起動は、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置に位置付けられる場合にのみ可能であり得る。発熱体は、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置に位置付けられる時に、動作可能であってもよい。さらに、発熱体は、エアロゾル発生物品が不適切な位置に位置付けられる時に、動作可能であってもよい。発熱体が、エアロゾル発生物品のこの位置で依然として動作可能であることに加えて、上述のように、警告信号が警告要素によって発生され得る。よって、消費者は、吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生装置を依然として動作させ得る一方で、エアロゾル発生物品がもはやそれ以上最適な所望の動作位置にないというフィードバックを得る。この理由により、ユーザーは、エアロゾル発生装置の連続的な動作中の適時に、エアロゾル発生物品を再配置することができ得る。エアロゾル発生物品が適時に再配置されない場合、さらなる警告信号が警告要素によって発生され得る。上述のように、発熱体は、発熱体の過熱を防止するために、さらなる警告信号の持続時間の間、シャットダウンされてもよい。この態様によれば、発熱体は、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置または不適切な位置にある時に、動作され得る。しかしながら、発熱体は、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置にある時にのみ起動してもよい。位置検出器が、エアロゾル発生物品が不適切な位置で受容部分によって受容されたことを検出すると、発熱体は起動することができない。このようにして、エアロゾル発生物品が、発熱体の起動の前の初期には受容領域の中に正しく受容されることが確実になる。
【0060】
エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよく、コントローラは、位置検出器がエアロゾル発生物品が不適切な位置にあると検出する場合、発熱体を停止するように構成されてもよい。
【0061】
この態様は、エアロゾル発生装置のセキュリティを増大させ得る。この点に関して、エアロゾル発生物品が不適切な位置にある場合、このことは、エアロゾル発生装置の動作およびエアロゾルの発生に悪影響を及ぼしかねない。例えば、上述のように、エアロゾル発生物品と発熱体との間の距離が最適でない場合、発熱体は過熱し得る。また、発生したエアロゾルは、エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置にない場合、所望の品質を有しない場合がある。よって、エアロゾル発生物品が不適切な位置に位置する場合、発熱体を停止することが必要または有益であり得る。ユーザーがエアロゾル発生物品を所望の最適動作位置に再配置する場合、コントローラは、発熱体の起動を可能にするように構成されてもよい。
【0062】
位置検出器は、所望の最適動作位置からのエアロゾル発生物品の距離を検出するように構成されてもよく、警告要素は、検出された所望の最適動作位置からのエアロゾル発生物品の距離に応じて、段階的な警告信号を発生するように構成されてもよい。
【0063】
段階的な警告信号は、ユーザーがエアロゾル発生物品の変位の程度を検出できるように、ユーザーによって知覚され得る。例えば、上述のように、位置センサーが近接センサーとして構成される場合、警告信号は、エアロゾル発生物品の現在の位置とエアロゾル発生物品の所望の最適動作位置との間の距離の関数として、警告要素によって発生され得る。エアロゾル発生物品が所望の最適動作位置に向かって近づくと、警告信号は段階的に減少し得る。反対に、エアロゾル発生物品の所望の最適動作位置とエアロゾル発生物品の現在位置との間の距離が増大する場合、警告信号は、それに応じて段階的に増加し得る。よって、段階的な警告信号により、ユーザーは、エアロゾル発生物品の位置が、所望の最適動作位置からどの程度離れているかを理解することができる。ここから、ユーザーは、エアロゾル発生物品を最適に再配置する方法を学習し得る。また、ユーザーは、エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置から落ちる、または取り外される恐れがある時を学習し得る。
【0064】
エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよく、発熱体および位置検出器は、共通の電気回路を利用してもよい。
【0065】
上述のように、発熱体は電気的に作動する発熱体であってもよい。また上述のように、位置検出器は電気的に作動し得る。特に、発熱体ならびに位置検出器の両方が電気的に作動する場合、位置検出器に対して、ならびに発熱体に対して同じ電気回路を使用して、エアロゾル発生装置の構造を簡略化し得る。さらに、エアロゾル発生装置は、この場合、よりコスト効果が高い設計とされ得る。
【0066】
警告信号は、任意の種類の公知の警告信号であり得る。例えば、警告信号は、触覚的警告信号であってもよい。触覚的警告信号は、モーターなどの触覚要素によって、例えば、モーターが振動を生成することによって生成され得る。警告信号は、点滅LEDなどの光学的警告信号であってもよい。警告信号は、音などの音響的警告信号であってもよい。結果として、警告要素は、モーター、光、または電気音響変換器のうちの一つ以上として構成され得る。
【0067】
本発明はまた、上述のようなエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムにも関する。
【0068】
本発明はまた、上述のようなエアロゾル発生装置の中に受容されたエアロゾル発生物品の不適切な位置に対する警告信号を発生するための方法に関し、方法は、
・ 位置検出器によって、受容されたエアロゾル発生物品の位置を検出することと、
・ コントローラによって、エアロゾル発生物品が不適切な位置にある時に、警告信号を発生するよう警告要素を制御することとを含む。
【0069】
方法は、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の受容領域の中に挿入することを含み得る。
【0070】
方法は、位置検出器による、エアロゾル発生物品と所望の最適動作位置との間の距離の、またはエアロゾル発生物品と位置検出器との間の距離の検出を含み得る。
【0071】
方法は、位置検出器が、エアロゾル発生物品が不適切な位置に位置することを検出した時の、発熱体の停止を含み得る。別の方法として、本方法は、位置検出器が、エアロゾル発生物品が、不適切な位置よりもさらに所望の最適動作位置から離れて位置すると検出した時の、発熱体の停止を含んでもよい。
【0072】
方法は、エアロゾル発生物品が、第一の所定の時間よりも長く不適切な位置に位置付けられる場合に、さらなる警告信号を出力することを含み得る。さらなる警告信号が、第二の所定の時間の間警告要素によって発生されて、発熱体の冷却を可能にし、それによって発熱体の過熱を防止してもよい。
【0073】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0074】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生装置を示す。
【
図2】
図2は、エアロゾル発生装置および受容されたエアロゾル発生物品を示す。
【
図3】
図3は、不適切な位置にあるエアロゾル発生物品を有するエアロゾル発生装置を示す。
【
図4】
図4は、カートリッジの形態のエアロゾル発生物品と併用するためのエアロゾル発生装置を示す。
【
図5】
図5は、
図4に示すエアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品との間の接続のクローズアップを示す。
【
図6】
図6は、
図5に示す接続のさらなるクローズアップを示し、図中、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置により近づいている。
【
図7】
図7は、
図5および6に示す接続のさらなるクローズアップであり、図中、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置にさらに近づいている。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、エアロゾル発生装置10を示す。エアロゾル発生装置10は、エアロゾル発生物品14を受容するように構成される、受容領域12を備える。エアロゾル発生物品14は
図1には示されていないが、
図2およびそれに続く図面には示されている。受容領域12は、
図1では空洞の形状で示され、エアロゾル発生装置10内にある。空洞は、加熱チャンバーを形成する。
【0077】
さらに、発熱体16を
図1に示す。発熱体16は、ピンまたはブレードの形状を有する。発熱体16は、受容領域12の長軸方向軸に沿って延びる。発熱体16は、受容領域12内の中央に配設される。発熱体16は、エアロゾル発生物品14内に含有されるエアロゾル発生基体内に貫通させるための先細の近位端を有する。発熱体16は、電気加熱式発熱体16である。発熱体16は、抵抗発熱体16であってもよい。しかしながら、発熱体16はまた、誘導発熱体16として構成されてもよい。この場合、発熱体16は、サセプタ材料を含む。さらに、受容領域12を囲むように、この場合誘導コイルが発熱体16に渦電流を生成するように配設される。本明細書に記載されるすべての実施形態では、発熱体16は、抵抗発熱体16として構成されることが好ましいが、誘導発熱体16として構成されてもよい。
【0078】
図1はさらに、電源18を示す。電源18は電池として構成されていることが好ましい。電源18は、発熱体16を加熱するために、発熱体16に向かって電気エネルギーを供給するように構成される。
図1はさらに、電源20の電気接点を示す。
図1では、電源20の電気接点は開放されている。言い換えれば、
図1では、電源20の電気接点は接触していない。以下の
図2および
図3と併せて説明するように、電源18の接点は、エアロゾル発生物品14が受容領域12の中に挿入された時に、エアロゾル発生物品14によって接触され得る。この場合、電源20の電気接点が閉じていてもよく、電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給が可能になっていてもよい。よって、発熱体16が、エアロゾル発生物品14が受容領域12の中に挿入されている時にのみ動作され得ることが確実になる。したがって、発熱体16の望ましくない起動が防止される。発熱体16の望ましくない起動は、発熱体16の望ましくない過熱をもたらし得る。また、発熱体16の望ましくない起動は、電源18のエネルギーを無駄にしかねない。
【0079】
電源18の下にある、位置検出器22を
図1に示す。位置検出器22は、位置検出器24の電気接点を含む。位置検出器24の電気接点は、エアロゾル発生物品14が受容領域12の中に十分に挿入された時に、閉じるように構成される。その前は、
図1に示すように、位置要素の電気接点は開放されている。位置検出器22は、受容領域12内のエアロゾル発生物品14の位置を検出するように構成される。具体的には、位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が不適切な位置に位置するかどうかを検出するように構成される。位置検出器22の出力は、コントローラ26によって受信されてもよい。コントローラ26もまた、
図1に示されている。コントローラ26は、位置検出器22と接続されている。接続は
図1には示されていない。コントローラ26はまた、発熱体16に接続されてもよい。コントローラ26はまた、電源18に接続されてもよい。特に、コントローラ26は、電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給を制御するように構成されてもよい。この点に関して、
図1に示すような電源20の電気接点は、電源20の電気接点が閉じていない場合、電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給を防止し得る。しかしながら、エアロゾル発生物品14が、受容領域12の中に所望の最適動作位置へと完全に挿入されていない場合、電源20の電気接点は閉じていてもよい。位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が受容領域12の中に完全に挿入されているかどうかを検出するように構成されてもよい。言い換えれば、位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が、所望の最適動作位置へと受容領域12の中に挿入されたかどうかを検出するように構成されてもよい。コントローラ26は、位置検出器22が、エアロゾル発生物品14が所望の最適動作位置へと挿入されていることを検出する場合、発熱体16の起動を可能にするのみであるように構成されてもよい。エアロゾル発生物品14の挿入、電源18の接点の閉鎖、および位置検出器22の接点の閉鎖は、
図2および
図3を参照して以下により詳細に記述される。
【0080】
図1はまた、警告要素28を示す。警告要素28は、位置検出器22が、エアロゾル発生物品14が不適切な位置に位置付けられていることを検出する場合、ユーザーに対する警告信号を発生するように構成されてもよい。警告要素28は、コントローラ26に接続されてもよい。警告要素28とコントローラ26との間の接続は、
図1には示さない。さらに、警告要素28は、電源18、発熱体16および位置検出器22のうちの一つ以上に接続されてもよい。警告要素28は、音響的信号、触覚的信号、または光学的信号を出力するように構成され得る。コントローラ26は、警告要素28による警告信号の発生を制御するように構成されてもよい。コントローラ26は、エアロゾル発生物品14が初期に所望の最適動作位置に位置付けられた後にのみ、警告信号の発生を可能にするように構成されてもよい。言い換えれば、警告信号の発生は、最初にエアロゾル発生物品14を位置付け、その後に発熱体16を起動した後に可能とされ得る。その後、使用中に、エアロゾル発生物品14の位置が不適切な位置に変化する場合、コントローラ26は、警告信号を発生するよう警告要素28を制御するように構成され得る。別の方法として、コントローラ26は、エアロゾル発生物品14が不適切な位置にあるたびに警告信号を発生するよう警告要素28を制御するように構成されてもよい。コントローラ26は、発熱体40の電気接点が閉じている場合にのみ、警告要素28による警告信号の発生を可能にするように構成されてもよい。この場合、エアロゾル発生物品14が全く受容領域12の中に挿入されず、かつエアロゾル発生装置10の通常の動作が望ましい場合、警告信号の発生は防止される。
【0081】
図2は、
図1のエアロゾル発生装置10を示し、エアロゾル発生物品14は、受容領域12の中に完全に挿入されている。エアロゾル発生物品14は、エアロゾル発生基体を含み、これは発熱体16によって揮発されて、吸入可能なエアロゾルを発生し得る。エアロゾル発生物品14は、エアロゾル発生装置10の近位端に挿入されている。まず、エアロゾル発生物品14の遠位端が挿入される。さらなるマウスピース(図示せず)が、エアロゾル発生物品14の近位端に提供されてもよい。発生したエアロゾルは、ユーザーによる吸入のためにマウスピースに流入し得る。別の方法として、ユーザーは、発生したエアロゾルの吸入のために、エアロゾル発生物品14の近位端を直接吸ってもよい。エアロゾル発生物品14は、導電性領域30を備える。導電性領域30は、エアロゾル発生物品14の遠位端またはその近くに配設される。導電性領域30は、エアロゾル発生物品14の外周に配設される。導電性領域30は、リング形状を有し、エアロゾル発生物品14の外周の周りに完全に配設されることが好ましい。このようにして、エアロゾル発生物品14が、エアロゾル発生物品14の長軸方向軸を中心にして回転するかどうかにかかわらず、以下に説明されるように、エアロゾル発生物品14の位置の検出および発熱体16の起動が可能である。
【0082】
この点に関して、エアロゾル発生物品14の導電性領域30は、エアロゾル発生物品14が受容領域12の中に挿入されると、電源18の接点および位置検出器22の接点に接触するように構成される。より詳細には、エアロゾル発生物品14の外周に配設される導電性領域30は、エアロゾル発生物品14の受容領域12の中への挿入中に、受容領域12の内壁に沿ってスライドする。
図1~
図3に見られるように、電源18の接点、ならびに位置検出器22の接点もまた、受容領域12の内壁に配設される。よって、エアロゾル発生物品14が受容領域12の中にスライドすると、エアロゾル発生物品14の導電性領域30は、電源18の接点、およびその後、位置検出器22の接点と接触し得る。この点に関して、電源18の接点は、位置検出器22の接点よりも、エアロゾル発生装置10の近位端の近くに配設される。言い換えれば、電源18の接点は、位置検出器22の接点の上流配設と比較して下流方向に配置される。
【0083】
エアロゾル発生装置10の動作について、エアロゾル発生物品14の導電性領域30は必須である。エアロゾル発生物品14を受容領域12の中に挿入する間、まず、電源20の電気接点が、エアロゾル発生物品14の導電性領域30によって閉じられる。この点に関して、導電性領域30は、まず電源18の両方の接点と接触する。その後、電源18は、電源18から発熱体16へ電気エネルギーを供給するように構成され得る。電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給は、コントローラ26によって制御され得る。しかしながら、この段階では、コントローラ26は、エアロゾル発生物品14がまだ受容領域12の中に完全に挿入されていないため、電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給を防止するように構成され得る。エアロゾル発生物品14が、
図2に示すように、さらに受容領域12の中に挿入される場合、エアロゾル発生物品14は、所望の最適動作位置に位置付けられ得る。この位置では、エアロゾル発生物品14の導電性領域30によって閉じられる電源20の電気接点だけでなく、位置検出器24の電気接点も受容領域12によって閉じられる。この点に関して、受容領域12は、電源18の接点および位置検出器22の接点に接触するように、複数の接点を閉じるための延長部を有する。別の方法として、複数の導電性領域30が、電源18のそれぞれの接点および位置検出器22の接点と接触するために提供されてもよい。エアロゾル発生物品14を受容領域12の中に完全挿入した後、コントローラ26は、電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給を可能にすることによって、発熱体16の初期起動を可能にするように構成され得る。次いで、ユーザーは、吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生装置10を正常に動作させ得る。発熱体16の起動のために、エアロゾル発生装置10は、ユーザーの引き出しを検出するためのボタン(図示せず)または気流センサー(図示せず)を備えてもよい。
【0084】
次に、
図3についてより詳細に説明する。この点に関して、
図3は、受容領域12からのエアロゾル発生物品14の部分的な取り外しを示す。
図3に示す部分的な取り外しは、使用中またはエアロゾル発生装置10の輸送中の、エアロゾル発生物品14の望ましくない再配置の例である。例えば、ユーザーが使用中に装置を振とうするか、または引き出し間にエアロゾル発生装置10を保持する手から装置が落下した場合、受容領域12内に受容されるエアロゾル発生物品14は、少なくとも部分的に緩み得る。このような場合、エアロゾル発生物品14に含有されるエアロゾル発生基体の加熱は、悪影響を受け得る。しかしながら、エアロゾル発生物品14は、受容領域12から完全には外れない場合があるため、ユーザーは、エアロゾル発生物品14の再配置に気づかない場合がある。
図3に示すように、エアロゾル発生物品14が受容領域12から部分的に取り外される場合、位置検出器22の接点は、エアロゾル発生物品14の導電性領域30が位置検出器22の接点ともはやそれ以上接触しなくなるために開放される。この場合、位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が不適切な位置にあることを検出し得る。結果として、コントローラ26は、警告信号を発生するよう警告要素28を制御するように構成されてもよい。警告信号を知覚した後、ユーザーは、例えば、エアロゾル発生物品14を受容領域12の中に押し戻すことによって、エアロゾル発生物品14を所望の最適動作位置に再配置してもよい。他の態様では、エアロゾル発生物品14は、エアロゾル発生装置10の受容領域12の中にエアロゾル発生物品14を最適に位置付けるために、回転または水平に移動されてもよい。
【0085】
典型的な装置では、ある程度の位置変動が、受容領域12におけるエアロゾル発生物品14の位置付けに対して許容可能である。許容可能な位置変動を変化させるために、導電性領域30の形状およびサイズおよび位置付け、ならびに位置検出器22の接点および電源18の接点が、所望に応じて修正され得る。
図2を再び参照すると、第一の位置変動32が示されており、エアロゾル発生物品14は、受容領域12の長軸方向軸に沿って移動することができる一方で、エアロゾル発生物品14の導電性領域30は、依然として電源18のコンテキストと位置検出器22のコンテキストの両方と接触する。エアロゾル発生物品14のこの位置変動は、エアロゾル発生物品14の所望の最適動作位置とみなされ得る。エアロゾル発生物品14のこの位置付け内では、位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が所望の最適動作位置にあることを検出し、コントローラ26は、警告信号を発生するよう警告要素28を制御しない。しかしながら、エアロゾル発生物品14が発熱体16からさらに離れて移動される場合、エアロゾル発生物品14が受容領域12から近位方向に移動し、位置検出器22の接点が開放されることを意味する。しかしながら、電源18の接点は、発熱体16の動作が依然として可能になるように、依然として閉じられる。この場合、発熱体16は、エアロゾル発生物品14のエアロゾル発生基体内にもはやそれ以上完全に貫通しないため、エアロゾル発生基体の加熱、したがって、エアロゾル発生は依然として可能であり得るが、もはやそれ以上最適に可能なわけではない。したがって、位置検出器22の接点の開放は、コントローラ26が、エアロゾル発生物品14の不適切な位置を示す警告信号をユーザーに対して発生するよう警告要素28を制御することにつながり得る。エアロゾル発生物品14の導電性領域30が依然として電源18の接点を閉める限り、エアロゾル発生物品14は、発熱体16の動作が依然として可能であるが、エアロゾル発生物品14が所望の最適動作位置にはない、第二の位置変動34にあるとみなされる。第二の位置変動34はまた、不適切な位置として示される。この第二の位置変動34または不適切な位置において、警告信号が発生される。エアロゾル発生物品14が、エアロゾル発生装置10の受容領域12からさらに離れて取り外される場合、警告信号は、電源18の接点の開放によって終了し得る。この点に関して、コントローラ26は、位置検出器22の接点および電源18の接点の両方が開放している場合、警告要素28の警告信号の発生を制御するように構成され得る。また、エアロゾル発生物品14が正常に枯渇している場合、警告信号は発生されない場合がある。例えば、エアロゾル発生物品14は、およそ6~10回の引き出しための十分なエアロゾル発生基体を含み得る。その後、コントローラ26は、エアロゾル発生物品14が完全に枯渇したことを検出するように構成され得る。通常、次いでユーザーはエアロゾル発生物品14を受容領域12から取り出し、新しいエアロゾル発生物品14を受容領域12の中に挿入することができる。この場合、警告信号の発生は望ましくなく、必要でもない。したがって、コントローラ26は、この場合、警告要素28が警告信号を発生することを防止するように構成され得る。
【0086】
図1~3に示す態様では、導電性領域30は、エアロゾル発生物品14に配設され、電源18の接点および位置検出器22の接点は、エアロゾル発生装置10に配設される。これらの領域の配設は、置き換えられてもよい。よって、好都合である場合、エアロゾル発生装置10は、受容領域12の側壁の周りに導電性領域30を備えてもよく、エアロゾル発生物品14はそれぞれの接点を備えてもよい。
【0087】
図4は、本発明のさらなる態様を示しており、エアロゾル発生物品14はカートリッジとして提供されている。この場合のカートリッジは、液体エアロゾル発生基体を含有する液体貯蔵部分36を含む。さらに、発熱体16は、エアロゾル発生装置10内ではなく、カートリッジ内に配設される。この態様では、発熱体16は、電気抵抗メッシュヒーターとして構成されることが好ましい。メッシュヒーターは、メッシュヒーターが流体透過性であるように、隙間を含むことが好ましい。液体貯蔵部分36からの液体エアロゾル発生基体は、メッシュヒーターに向かって透過し、メッシュヒーターによって揮発され得る。液体貯蔵部分36から発熱体16への液体エアロゾル発生基体の輸送のために、液体エアロゾル発生基体を吸い出すよう、毛細管材料を含むウィッキング要素が使用され得る。
【0088】
図4では、
図1~3と併せて上述した導電性領域30の代わりに、位置検出器22は近接センサーとして構成される。この点に関して、位置検出器22は、カートリッジ内に設けられた磁界発生素子38と位置検出器22の一部との間の距離を検出するように構成され、エアロゾル発生装置10内に配設される。言い換えれば、近接センサーは、ホール効果センサーとして構成される。カートリッジの磁界発生素子38が、エアロゾル発生装置10、特に、エアロゾル発生装置10の位置検出器22の一部により近づいた場合、磁界発生素子38によって生成される磁界は、
図4に示すエアロゾル発生装置10の右上部分に示されるホールセンサーによって検出される。エアロゾル発生装置10の受容領域12は、
図4に示す態様では平面として構成される。カートリッジを受容領域12に確実に取り付けるための任意の種類の既知の取り付け手段が提供されてもよい。
【0089】
カートリッジおよび異なる位置検出器22として構成されているエアロゾル発生物品14とは別に、
図4に示すようなエアロゾル発生装置10のさらなる要素は、
図1~3に関して上述した要素と類似している。この点に関して、
図4に示すエアロゾル発生装置10は、電源18、コントローラ26、および警告信号を発生するための警告要素28を備える。
図4に示す発熱体16は、電源18からカートリッジへの電気エネルギーの供給をカートリッジ内に収容された発熱体16へ可能にするために、電源18のそれぞれの接点に接触するように構成される、発熱体40の接点を含む。
【0090】
図5は、特定の種類の近接センサーである、ホール効果センサーとして構成される位置検出器22のセンサー範囲42を示す。
【0091】
図6は、位置検出器22がエアロゾル発生物品14の位置を検出するエアロゾル発生装置10に非常に近い、エアロゾル発生物品14の位置付けを示す。
【0092】
図7は、エアロゾル発生装置10のためのエアロゾル発生物品14の完全な取り付けを示す。言い換えれば、
図7では、エアロゾル発生物品14は所望の最適動作位置にある。
図1~3に示す実施形態と同様に、第一の位置変動32が提供され、エアロゾル発生物品14は、所望の最適動作位置にあるとみなされる。この位置では、発熱体40の接点は、電力が発熱体16に向かって供給され得るように、電源18の接点に確実に接触している。エアロゾル発生物品14が、
図6に示すように、エアロゾル発生装置10から離れて移動される場合、位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が不適切な位置にあることを検出する。この位置では、電源18から発熱体16への電気エネルギーの供給は、依然として可能であり得る。しかしながら、電気エネルギーの供給は、悪影響を受ける可能性がある、またはエアロゾル発生物品14は、望ましくないことに、エアロゾル発生装置10からそれ自体を取り外し得る。したがって、エアロゾル発生装置10からのエアロゾル発生物品14のこの距離は望ましくない場合がある。よって、エアロゾル発生物品14、より具体的には、エアロゾル発生物品14に含まれる磁界発生素子38が、特定の距離閾値よりも大きくエアロゾル発生装置10に含まれる位置検出器22の部分から取り外される場合、位置検出器22は、エアロゾル発生物品14が不適切な位置にあることを検出し得る。結果として、コントローラ26は、警告信号を発生するように警告要素28を制御し得る。この警告信号を知覚した後、ユーザーは、エアロゾル発生物品14をエアロゾル発生装置10に再び確実に取り付け得る。