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特許7262620スチレンブロックコポリマー及びワックスを含むホットメルト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】スチレンブロックコポリマー及びワックスを含むホットメルト組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/02 20060101AFI20230414BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20230414BHJP
   C09J 125/08 20060101ALI20230414BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230414BHJP
   C09J 191/06 20060101ALI20230414BHJP
   C09J 123/10 20060101ALI20230414BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
C09J153/02
A61F13/534 100
C09J125/08
C09J11/06
C09J191/06
C09J123/10
C09J11/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021569168
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020035112
(87)【国際公開番号】W WO2020243424
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】62/855,347
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509292766
【氏名又は名称】エイチ.ビー.フラー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エフ・カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】イーミン・ゼン
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-120825(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103183897(CN,A)
【文献】特開平09-208919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0208809(US,A1)
【文献】国際公開第2012/159867(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03260491(EP,A1)
【文献】特開昭58-168673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト組成物であって、
15重量%~60重量%のスチレンブロックコポリマーと、
15重量%~75重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックスと、
10重量%以下の液体可塑剤と、
25重量%以下の粘着付与剤を含む、ホットメルト組成物。
【請求項2】
液体可塑剤を含まない、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項3】
15重量%~45重量%の総ポリマー含量を有する、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項4】
25重量%~75重量%の前記ワックスを含む、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項5】
5重量%~40重量%のプロピレン系ポリマーを更に含む、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項6】
前記ワックスが、パラフィンワックスである、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項7】
前記スチレンブロックコポリマーが、水素化中間ブロックを有する、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項8】
前記スチレンブロックコポリマーが、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項9】
5重量%~25重量%の粘着付与剤含む、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項10】
粘着付与剤を含まない、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項11】
600%超の伸び及び少なくとも1.0メガパスカルの最大引張応力を有する、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項12】
15重量%~45重量%のスチレンブロックコポリマーと、
35重量%~75重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックスと、
任意に、最大40重量%の粘着付与剤と、を含み、
可塑剤を含まない、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項13】
吸収性物品であって、
ホットメルト組成物と、
前記ホットメルト組成物及び吸収性材料を含むコアと、を含み、
前記ホットメルト組成物が、前記吸収性コアの少なくとも一部を前記吸収性物品の材料に固定し、前記ホットメルト組成物が、
15重量%~45重量%のスチレンブロックコポリマーと、
25重量%~75%重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックスと、を含む、吸収性物品。
【請求項14】
前記コアが、10重量%未満のフラフを含む、請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項15】
47重量%以下の総ポリマー含量を有する、請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項16】
30重量%~75重量%の前記ワックスと
15重量%以下の前記粘着付与剤を含み、
前記ワックスが、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、及び、酸化フィッシャートロプシュワックスからなる群から選択され、45℃~85℃の凝固点(ASTM D938)を有し、
162.8℃で20,000cP以下の粘度を有する、請求項1記載のホットメルト組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ホットメルト組成物は、多くの場合、2つの基材を互いに対して固定された関係に維持するために、又は加工品の完全性及び機能性に寄与するように、基材を一緒に結合するために使用される。工業用接着剤の分野では、梱包材料(例えば、ケース及びカートン)、不織布基材を含む使い捨て吸収性物品、例えば、成人用失禁製品、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、ベッドパッド、子犬用パッド、医療用ドレッシング材等を含む多種多様な物品を一緒に結合するために、又はこれらの完全性及び機能性に寄与するために、ホットメルト組成物が広く使用されている。
【0002】
使い捨て吸収性物品の製造において使用される複数のホットメルト組成物が存在し得る。例えば、使い捨ておむつの製造では、ホットメルト組成物は、構造用接着剤として(例えば、バックシートを不織布及び任意に吸収性パッドに結合する)、弾性材の取り付け用接着剤として(例えば、弾性材料を例えば、脚部領域又は腰部領域においてバックシートに結合する)、コアの安定化のため(例えば、ホットメルト組成物を吸収性コアに塗布してコアの強度を増大させる)、及び使い捨て吸収性物品に伸縮性を持たせるための弾性材料として使用される。
【0003】
低臭気、優れた熱安定性を呈し、可塑剤に含まれる特定の化合物を含まない一方で、良好な伸び、強度、及び接着性を呈することができる代替ホットメルト組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願第2018/208809号明細書
【文献】国際公開第2012/159867号
【文献】欧州特許出願公開第3260491号明細書
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本発明は、15重量%~60重量%のスチレンブロックコポリマー、15重量%~75重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックス、及び10重量%以下の液体可塑剤を含むホットメルト組成物を特徴とする。
【0006】
一実施形態では、ホットメルト組成物は、液体可塑剤を含まない。別の実施形態では、ホットメルト組成物は、15重量%~45重量%の総ポリマー含量を含む。一実施形態では、ホットメルト組成物は、25重量%~75重量%のワックスを含む。
【0007】
異なる実施形態では、ホットメルト組成物は、5重量%~40重量%のプロピレン系ポリマーを更に含む。プロピレン系ポリマーは、プロピレンと、ヘキセン、ブテン、エチレンからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーと、から誘導することができる。別の実施形態では、プロピレン系ポリマーは、ASTM D3236による190℃における粘度が7,500cp以下である。
【0008】
一実施形態では、ワックスは、パラフィンワックスである。別の実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、水素化中間ブロックを有する。一実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである。異なる一実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、10~300のメルトフローインデックスASTM D1238(230℃、2.16kg)を有する。
【0009】
別の実施形態では、ホットメルト組成物は、5重量%~40重量%の粘着付与剤を更に含む。更に別の実施形態では、ホットメルト組成物は、粘着付与剤を含まない。
【0010】
一実施形態では、ホットメルト組成物は、800%超の伸びを有する。
異なる一実施形態では、ホットメルト組成物は、600%超の伸び及び少なくとも1.5メガパスカルの最大引張応力を有する。
【0011】
別の態様では、本発明は、
15重量%~45重量%のスチレンブロックコポリマーと、35重量%~75重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックスと、
任意に、最大40重量%の粘着付与剤と、を含み、可塑剤を含まない、ホットメルト組成物を特徴とする。
【0012】
異なる一態様では、本発明は、
ホットメルト組成物と、ホットメルト組成物及び吸収性材料を含むコアと、を含み、
ホットメルト組成物が、吸収性コアの少なくとも一部を吸収性物品の材料に固定し、ホットメルト組成物が、15重量%~45重量%のスチレンブロックコポリマー、及び25重量%~75重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックスを含む、吸収性物品を特徴とする。
【0013】
一実施形態では、コアは、10重量%以下のフラフを含む。別の実施形態では、ホットメルト組成物は、47重量%以下の総ポリマー含量を含む。異なる一実施形態では、ワックスは、パラフィンワックスである。更に別の実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである。
【0014】
本発明のホットメルト組成物は、優れた伸びを有し、粘着付与剤が存在しないか、又は粘着付与剤の量が限られていても接着性を有することができる。粘着付与剤を全く含まないか又は限られた粘着付与剤を含む組成物では、高い伸びを維持しながら粘度を低下させ、更にホットメルト組成物に凝集力又は剛性を導入するための異なる方法を見出すことが重要である。本発明の組成物では、ワックスは、この点で有用である。
【0015】
本発明者らは、ワックスの添加は、伸びを強化し、特許請求される組成物の最大引張応力を維持しつつ、その粘度を低下させることができることを予期せず発見した。大量のワックスを使用することで、従来の液体可塑剤と比較して、所望の特性のより良好なバランスをもたらすことができることは、更に予想外である。
【0016】
本発明のホットメルト組成物は、可塑剤を含まなくてもよい。これは、可塑剤が着色を引き起こす可能性があり、多くの場合、エンドユーザにとって望ましくない揮発性材料又はポリ芳香族炭化水素(poly aromatic hydrocarbon、PAH)を含有するため、望ましい。
【0017】
本発明のホットメルト組成物は、コアの安定化に特に有用である。コアの安定化では、多くの場合繊維化された構造体の形態のホットメルト組成物を使用して、コアの吸収性材料を適所に保つことができる。
【0018】
本発明者らはまた、本発明のホットメルト組成物は、構造用接着剤として、又は使い捨て吸収性物品に伸縮性を持たせるための弾性材料として有用であり得ることも想定している。
【0019】
その他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の説明から、また特許請求の範囲から、明らかとなるであろう。
【0020】
[用語集]
フラフ-セルロース繊維
フラフを全く含まない-フラフを含まない吸収性コア
プロピレン系-少なくとも50重量%のプロピレンを含む。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[ホットメルト組成物]
ホットメルト組成物は、15重量%~60重量%のスチレンブロックコポリマーと、15重量%~75重量%の、45℃~90℃の凝固点(ASTM D938)を有するワックスと、を含む。
【0022】
ホットメルト組成物は、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下の粘着付与剤を含み得るか、又は更には粘着付与剤を含まない。ホットメルト組成物は、10重量%以下、5重量%以下の可塑剤を更に含み得るか、又は更には可塑剤を含まない。ホットメルト組成物は、粘着付与剤及び可塑剤の両方を含まなくてもよい。
【0023】
スチレンブロックコポリマー、プロピレン系ポリマー、及びワックスは、ホットメルト組成物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は更には少なくとも95重量%を構成することができる。
【0024】
あるいは、スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、及びワックスは、ホットメルト組成物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は更には少なくとも95重量%を構成することができる。
【0025】
一実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマーであり、ワックスは、パラフィンワックスである。
【0026】
別の実施形態では、ホットメルト組成物は、15重量%~45重量%のスチレンブロックコポリマーと、35重量%~75重量%のワックスと、任意に最大30重量%、又は更には最大40重量%の粘着付与剤と、を含む。
【0027】
ホットメルト組成物の粘度は、162.8℃で20,000cP以下、162.8℃で15,000cP以下、162.8℃で約500cP~20,000cP、又は更には162.8℃で約500cP~10,000cPであり得る。
【0028】
ホットメルト組成物は、600%超、800%超、900%超、1000%超、600%~1500%、又は更には800%~2000%の伸びを有し得る。
【0029】
ホットメルト組成物は、少なくとも1.0メガパスカル(mpa)、少なくとも1.5mpa、少なくとも2.0mpa、1.0mpa~10mpa、又は更には1.5mpa~8mpaの最大引張応力を有し得る。
【0030】
コアの安定化に使用するとき、高い伸びは、ホットメルト組成物が吸収性コアと共に伸張することを可能にし、一方、閾値最大引張応力を有することにより、使い捨て吸収性物品が使用されているときに、ホットメルト組成物がコアを適所にしっかりと保持することが可能となる。
【0031】
ホットメルト組成物は、少なくとも15重量グラム(gf)/インチ、少なくとも30gf/インチ、少なくとも50gf/インチ、15gf/インチ~200gf/インチ、30gf/インチ~150gf/インチ、30gf/インチ~250gf/インチ、又は更には60gf/インチ~250gf/インチの動的剥離を有し得る。
【0032】
ホットメルト組成物は、1.0~10mpaの最大引張応力、及び600%~3000%、又は更には800%~2500%の伸びを有し得る。
【0033】
(ポリマー)
ホットメルト組成物は、15重量%~70重量%、又は更には20重量%~60重量%の総ポリマー含量を有し得る。
【0034】
あるいは、ポリマー含量を50重量%未満に制限して、より多くのワックス及び任意に粘着付与剤の存在を可能にすることが有用であり得る。総ポリマー含量は、47重量%以下、45重量%以下、20重量%~47重量%、又は更には15重量%~45重量%であり得る。
【0035】
ホットメルト組成物は、スチレンブロックコポリマーを含み、任意に、例えば、プロピレン系ポリマー等の追加のポリマーを含み得る。
【0036】
(スチレンブロックコポリマー)
ホットメルト組成物は、スチレンブロックコポリマーを含む。
【0037】
スチレンブロックコポリマーは、芳香族ビニルポリマーブロック及び共役ジエンポリマーブロック、水素化共役ジエンポリマーブロック、又はこれらの組み合わせを含む。ブロックは、例えば、直鎖状、分岐状、放射状、星形、テーパ状、マルチブロック、及びこれらの組み合わせを含む様々な構成で配置することができる。芳香族ビニルポリマーブロックは、例えばスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-、m-、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、1,3-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセナフチレン、及びそれらの組み合わせを含む様々な芳香族ビニル化合物から誘導することができる。ジエンポリマーブロックは、例えば、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、及びそれらの水素化物、並びにそれらの組み合わせを含む様々なジエン含有化合物から誘導することができる。
【0038】
有用なスチレンブロックコポリマーとしては、例えば、トリブロックコポリマー、マルチアームコポリマー、及びラジアルコポリマーが挙げられ、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン(styrene-butadiene-styrene、SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(styrene-isoprene-styrene、SIS)、スチレン-ブタジエン-イソブチレン-スチレン(styrene-butadiene-isobutylene-styrene、SBBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(styrene-isoprene-butadiene-styrene、SIBS)、スチレン-エチレン/ブテン-スチレン(styrene-ethylene/butene-styrene、SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(styrene-ethylene/propylene-styrene、SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(styrene-ethylene-ethylene/propylene-styrene、SEEPS)、スチレン-エチレン/ブテン/スチレン-スチレン(styrene-ethylene/butene/styrene-styrene、SEBSS)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0039】
スチレンブロックコポリマーは、少なくとも10重量%、少なくとも12重量%、50重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、10重量%~50重量%、12重量%~45重量%、12重量%~25重量%、又は更には約20重量%~45重量%のスチレン含量を有し得る。
【0040】
スチレンブロックコポリマーは、2~300、10~300、又は更には15~250のメルトフローレートASTM D1238(230℃、2.16kg)を有し得る。
【0041】
スチレンブロックコポリマーは、不飽和中間ブロックを有してもよく、あるいは、中間ブロックは、飽和、すなわち、水素化されてもよい。好ましい一実施形態では、中間ブロックは、臭気を低下させ、熱安定性を改善し、ホットメルト組成物の相溶性を改善するために飽和状態になっている。スチレンブロックコポリマーは、SEBS、SEPS、SEEPS、及びSEBSSからなる群から選択することができる。スチレンブロックコポリマーは、1つ以上のスチレンブロックコポリマーのブレンドであってよい。
【0042】
あるいは、スチレンブロックコポリマーは、接着性を改善し、コストを低減するためにスチレンイソプレンスチレンブロックコポリマーであってもよい。
【0043】
スチレンブロックコポリマーは、ホットメルト組成物中に存在する唯一のポリマーであってよい。スチレンブロックコポリマーは、ホットメルト組成物中に、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、25重量%~70重量%、28重量%~65重量%、15重量%~60重量%、25重量%~45重量%、又は更には15重量%~40重量%で存在し得る。
【0044】
有用なスチレンブロックコポリマーは、例えば、Kraton Polymers U.S.LLC(Houston,Texas)から入手可能なKRATON G 1657、KRATON G 1643、KRATON MD 1648、及びKRATON MD6951、TSRC Corporation(Taipei City,Taiwan)から入手可能なDPX-660、VECTOR 4111、VECTOR 4114、VECTOR 4211、及びVECTOR 4411、Versalis SpA(Milan,Italy)から入手可能なEUROPRENE SOL 1205及びSOL TH 2311、並びにLCY Elastomers LP(Baytown,Texas)から入手可能なGLOBALPRENE 3566を含む様々な商品名で入手可能である。
【0045】
(プロピレン系ポリマー)
ホットメルト組成物は、任意にプロピレン系ポリマーを含む。
【0046】
ホットメルト組成物が2つの基材を一緒に接着することが予想される場合、組成物は、好ましくはプロピレン系ポリマーを含む。プロピレン系ポリマーは、ホモポリマーであってもよい。あるいは、プロピレン系ポリマーは、プロピレン、及びプロピレン以外の少なくとも1つのオレフィンコモノマーから誘導される。好ましい一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレンと、エチレン、ブテン、及びヘキセンからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーと、から誘導される。アルファ-オレフィンは、プロピレンブテンコポリマーであってもよい。
【0047】
有用なプロピレン系ポリマーは、40ジュール/グラム(J/g)以下、20J/g以下、14J/g以下、12J/g以下、10J/g以下、0~40J/g、又は更には0~20J/gの融解熱を呈し得る。
【0048】
プロピレン系ポリマーは、190℃で10,000cP以下、7,500cP以下、5,000cP以下、250cP~10,000cP、又は更には500cP~7500cPの粘度を呈する。
【0049】
有用なプロピレン系ポリマーとしては、例えば、コポリマー、ターポリマー、高次ポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられ、プロピレンと、例えば、少なくとも2つの炭素原子、少なくとも4つの炭素原子、4つの炭素原子~8つの炭素原子、及びこれらの組み合わせを有するアルファ-オレフィンモノマーを含むプロピレン以外の少なくとも1つのアルファ-オレフィンコモノマーと、から誘導される。プロピレン系ポリマーは、任意に、少なくとも2つの異なるアルファ-オレフィンのブレンドを含む。有用なアルファ-オレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ノネン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。また、好適なアルファ-オレフィンコモノマーとしては、モノ-アルファオレフィン(すなわち、1つの不飽和二重結合)及び高次オレフィンも挙げられる。
【0050】
プロピレン系ポリマーは、好ましくは官能基を含まないが、任意に官能基を含む。
【0051】
プロピレン系ポリマーは、非シングルサイト触媒(例えば、チーグラーナッタ触媒)又はシングルサイト(例えば、メタロセン)触媒を使用して調製することができる。
【0052】
ホットメルト組成物は、任意に、5重量%~40重量%、又は更には10重量%~35重量%のプロピレン系ポリマーを含む。
【0053】
有用なプロピレン系ポリマーは、例えば、Rextac,LLC(Odessa,Texas)のプロピレン-ブテンコポリマーであるREXTAC 2715及び2730、Evonik Resource Efficiency GmbH(Essen,Germany)のエチレン-プロピレン-ブテンターポリマーであるVESTOPLAST V2094及びV 2103、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)のプロピレン-エチレンコポリマーであるAERAFIN 180及びAERAFIN 17、並びにExxonMobil Chemical Company(Houston,Texas)のプロピレン-エチレンコポリマーであるVISTAMAXX 8380及びVISTAMAXX 8780を含む様々な商品名で市販されている。
【0054】
(ワックス)
ホットメルト組成物は、かなりの量のワックスを含む。
【0055】
有用なワックスの部類としては、例えば、パラフィンワックス、微結晶ワックス、フィッシャートロプシュワックス、酸化フィッシャートロプシュワックス、動物ろう、植物ろう(例えば、大豆ろう)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ワックスは、官能化することができる。
【0056】
有用なワックスは、室温下で固体状であり、好ましくは45℃~90℃、50℃~85℃、又は更には55℃~75℃の凝固点(ASTM D938)を有する。
【0057】
ホットメルト組成物は、15重量%~75重量%、15重量%~65重量%、20重量%~65重量%、22重量%~62重量%、25重量%~75重量%、30重量%~75重量%、35重量%~75重量%、又は更には40重量%~75重量のワックスを含み得る。
【0058】
ワックスは、1つ以上のワックスを含むことができる。
【0059】
有用な市販のパラフィンワックスとしては、例えば、Citgo Petroleum(Houston,Texas)のFR-6513、Sasol Performance Chemicals(Hamburg,Germany)のSASOLWAX 6705、及びThe International Group,Inc(Toronto,Ontario)のIGI 1240が挙げられる。有用な市販のフィッシャートロプシュワックスとしては、Shell MDS(Bintulu,Malaysia)のフィッシャートロプシュワックスであるSARAWAX SX-70並びにSX-80、及びSasol Performance Chemicals(Hamburg,Germany)のフィッシャートロプシュワックスであるSASOLWAX C-80が挙げられる。
【0060】
(可塑剤)
ホットメルト組成物は、可塑剤を含まないか、又は任意に、限られた量の可塑剤を含み得る。可塑剤は、ポリブテン及びポリイソブイリエンからなる群から選択され得る。
【0061】
ホットメルト組成物は、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下の可塑剤を含むか、又は更には可塑剤を含まない。
【0062】
別の実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下の油を含むか、又は更には油を含まない。
【0063】
有用な可塑剤としては、例えば、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリオレフィンコポリマー(例えば、プロピレン-エチレンコポリマー)、オリゴマー化アルファオレフィン、油(例えば、ナフテン系石油系油、パラフィン系油、鉱油、動物油、植物油、合成油、油誘導体、液体イソプレン、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
有用な可塑剤は、例えば、ポリブテンであるINDOPOL H-300、H-1200、H-1500、H-1900、及びH-2100を含むIneos Oligomers Europe,Limited(Belgium)の商品名INDOPOLシリーズ、ポリ-1-デセンであるDURASYN 127を含むIneos Oligomers Europe,Limitedの商品名DURASYNシリーズ、ポリイソブチレンであるTPC 5230、TPC1105、TPC1160、TPC1285、及びTPC1350を含むTPC Group(Houston Texas)の商品名TPCシリーズ、例えば、プロピレン-エチレン-コポリマーであるLICOCENE PPA 330 TPを含む商品名LICOCENEシリーズ、Sonneborn(Tarrytown New York)の鉱油であるKAYDOL、Petrochem Carless Limited(Surrey,England)の鉱油であるKRYSTOL 550、及びCalumet Specialty Products Partners,LP(Indianapolis,Indiana)のナフテン油であるCALSOL 5550を含む様々な商品名で市販されている。
【0065】
ホットメルト組成物は、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、20重量%以下、10重量%以下、5重量%~20重量%、又は更には5重量%~10重量%の液体可塑剤を含み得る。
【0066】
(粘着付与剤)
ホットメルト組成物は、任意に、限られた量の粘着付与剤を含み得る。
【0067】
粘着付与剤は、SBCの中間ブロックを粘着付与するか、又はSBCの末端ブロックを補強するように機能することができる。粘着付与剤は、室温下で液体状でもよいし、固体状でもよい。好適な粘着付与剤の部類としては、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族脂肪族混合系変性炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、及びこれらの水素添加型と、テルペン、変性テルペン、及びこれらの水素添加型と、天然ロジン、変性ロジン、ロジンエステル、及びこれらの水素添加型と、低分子量ポリ乳酸、及びこれらの組み合わせ等と、が挙げられる。有用な天然ロジン及び変性ロジンの例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、及び重合ロジンが挙げられる。有用なロジンエステルの例としては、例えばペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、ペールウッドロジンのペンタエリトリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、トール油ロジンのペンタエリトリトールエステル、及びロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステルを含む天然並びに変性ロジンのペンタエリトリトールエステルが挙げられる。
【0068】
有用な可塑剤は、例えば、ESCOREZ 5400(芳香族含量1%)、ESCOREZ 5415、ESCOREZ 5600(芳香族含量9.8%)、ESCOREZ 5690(芳香族含量10%)、ESCOREZ 5615(芳香族含量9.9%)、及びECR-840を含むExxon Mobil Chemical Company(Houston,Texas)の炭化水素粘着付与性樹脂、EASTOTAC H-100R及びEASTOTAC H-100Lを含むEastman Chemical(Kingsport,Tennessee)の商品名EASTOTACシリーズの炭化水素粘着付与性樹脂、商品名WINGTACKシリーズの炭化水素C-5誘導粘着付与性樹脂、WINGTACK 86、WINGTACK EXTRA、並びにWINGTACK 95を含むCray Valley HSC(Exton,Pennsylvania)の炭化水素C-5誘導粘着付与性樹脂、及び例えば、PICCOTAC 8095を含む商品名PICCOTACの炭化水素C-5誘導粘着付与性樹脂、並びに例えば、KRISTALEX 3100、PLASTOLYN 240、及びPLASTOLYN 290を含むEastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)の商品名KRISTALEX並びにPLASTOLYNシリーズの純正モノマー芳香族粘着付与性樹脂含む様々な商品名で市販されている。
【0069】
ホットメルト組成物は、芳香族含量を伴う少なくとも1つの粘着付与剤を含み得る。粘着付与剤は、5重量%超、20重量%超、50重量%超、約5重量%~約20重量%、約7.5重量%~約15重量%、又は更には5重量%~約10重量%未満の芳香族含量を有し得る。芳香族含量は、核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定される。
【0070】
ホットメルト組成物には、軟化点が100℃未満、又は更には95℃未満の粘着付与剤が含まれてもよい。ホットメルト組成物は、約100℃超、約120℃超、又は更には約105℃~約160℃の軟化点を有する、50重量%超の芳香族含量を有する粘着付与剤を含み得る。
【0071】
ホットメルト組成物は、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、30重量%以下、0重量%~40重量%、0重量%~30重量%、5重量%~40重量%、5重量%~30重量%、5重量%~25重量%、5重量%~15重量%、又は更には5重量%~10重量%の粘着付与剤を含み得る。
【0072】
(追加成分)
ホットメルト組成物は、任意に、例えば、安定剤、酸化防止剤、追加のポリマー(例えば、シングルサイト、例えば、メタロセン触媒ポリマー)、エチレン系オレフィンポリマー、ブテン系オレフィンポリマー等)、追加のワックス(例えば、ポリエチレン(例えば、Westlake Polymers LLC(Houston,Texas)から入手可能なEPOLENE N-21及びポリプロピレンワックス)、接着促進剤、コーティング、粘着防止添加剤、紫外線安定剤、腐食防止剤、着色剤(例えば、顔料及び染料)、充填剤、界面活性剤、湿り度インジケータ、超吸収剤、及びこれらの組み合わせを含む追加成分を含む。
【0073】
有用な酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3,(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリ-(p-ノニルフェニル)-ホスファイト(TNPP)及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ジフェニレン-ジホスホナイト等の亜リン酸塩類、ジ-ステアリル-3,3’-チオジプロピオネート(DSTDP)並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な酸化防止剤は、例えば、商品名IRGANOXシリーズ(例えば、いずれもBASF Corporation(Florham Park,New Jersey)から入手可能な、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるIRGANOX1010、IRGANOX565、及びIRGANOX1076、並びに亜リン酸系酸化防止剤であるIRGAFOS168)、及びETHYL702 4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)を含む様々な商品名で市販されている。存在する場合、組成物は、好ましくは、約0.1重量%~約2重量%の酸化防止剤を含む。
【0074】
[使い捨て吸収性物品]
ホットメルト組成物は、例えば、フィルム(例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)フィルム)、多孔質基材、セルロース基材、シート(例えば、紙及び繊維シート)、紙製品、織布及び不織布、繊維(例えば、合成ポリマー繊維及びセルロース繊維)、弾性材、並びにテープ裏材を含む使い捨て吸収性物品内の様々な基材に組み入れるか、又はその様々な基材に接着させることができる。
【0075】
また、ホットメルト組成物は、例えば、使い捨て吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ、成人失禁用製品、生理用ナプキン、医療用ドレッシング材(例えば、創傷ケア製品)、包帯、外科用パッド、ペットしつけ用パッド(例えば、子犬しつけ用パッド)及び食肉包装製品、並びに吸収性物品の構成部材(例えば、吸収性要素、吸収性コア、不透水性層(例えば、バックシート)、薄織物(例えば、包装用薄織物)、獲得層、並びに織布及び不織布ウェブ層(例えば、トップシート、吸収性薄織物))を含む様々な用途及び構造体においても有用である。
【0076】
ホットメルト組成物は、フラフ(例えば、ウッドパルプ、コットン、シルク及びウール等の天然セルロース繊維);ナイロン、レーヨン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、及びガラス等の合成繊維;再生繊維、及びこれらの異なる組み合わせを含む様々な繊維から製造された基材に対して有用である。
【0077】
例えば、スロットコーティング、例えば、螺旋スプレー法及びランダムスプレー法を含むスプレー法、スクリーン印刷、発泡法、彫刻ローラ、押出成形、及びメルトブローン塗布法を含む様々な塗布方法を用いて、ホットメルト組成物を基材に塗布することができる。
【0078】
[使い捨て吸収性物品内の用途]
(コアの安定化)
本発明のホットメルト組成物は、使い捨て吸収性物品の吸収性コアを収容し、かつ/又は強度を与えるために使用することもできる(すなわち、コアの安定化)。
【0079】
吸収性コアは、コア及び所望によりコアラップを含む。吸収性コアは、インライン(すなわち、使い捨て吸収性物品)の組立ラインで製造することができる。あるいは、コアは、オフラインで製造され、その後、後の日付又は異なる場所で使用するために丸められるか、又は並べられてもよい。
【0080】
コアは、設計、形状、及び使用される材料が多様であってもよい。コアは、長い矩形のような形状、又はドッグボーンのような形状であってもよい。コアは、1つの連続的な形状であってもよいし、又は、例えば、トップシート及びバックシートによって形成されたチャネルに分割されてもよい。
【0081】
コアは、物品内で概ね中央に置かれ、取り付け手段(例えば、接着剤)を介してトップシートとバックシートとの間にしっかりと固定されている。
【0082】
コアは、トップシートを通して受容された体液及び固体を吸収することができる吸収性材料を含む。コアは、セルロース繊維(すなわち、フラフ)、ウッドパルプ、コットン、合成繊維、不織布、薄織物、発泡体、超吸収性ポリマー(例えば、ポリアクリレート)、又は任意の他の吸収性材料を含み得る。
【0083】
ホットメルト組成物は、繊維化されたウェブとして層に塗布することができる。ウェブは、螺旋スプレー法、ランダムスプレー法(例えば、Nordson Corporation(Westlake,Ohio)から入手可能なSIGNATUREノズルを使用したSIGNATUREスプレー法)、及びITW Dynatec(Hendersonville,TN)から入手可能なOMEGAノズルを使用したオメガパターンスプレー法)等によって達成することができる。あるいは、ホットメルト組成物は、コーティング(例えば、フルスロット、パターンスロット等)として存在し得る。
【0084】
吸収性コアは、10重量%未満のフラフを含み得るか、又は更にはフラフを全く含まなくてもよい。低フラフ又はフラフを含まないコアでは、吸収性コアは、ホットメルト組成物及び超吸収性ポリマー、並びに任意に不織布及び/又は薄織物の層を含む。
【0085】
コアは、複合コアであってもよい。複合コアは、10重量%未満のフラフを含み得るか、又は更にはフラフを全く含まなくてもよい。複合コアは、不織布又は薄織物とホットメルト組成物の層とを互い違いにするSAP層を2つ以上含む。複合コアは、ホットメルト組成物と不織布又は薄織物とを互い違いにする、1~5つ、又は更には2~4つの個々のSAP層を含み得る。
【0086】
不織布は、例えば、SSS不織布のような高ロフト不織布又は比較的フラフ立たせた不織布であってもよい。SSS不織布は、スパンボンド不織布の3層を含み、これは特に軟質であり、コアの柔軟性を向上させることができる。不織布は、ポリプロピレン繊維を含み得、コアへの吸収を改善するために親水性であることが好ましい。
【0087】
不織布は、比較的高い坪量を有することができる。不織布は、5グラム毎平方メートル(gsm)~40gsm、7gsm~30gsm、又は更には10gsm~25gsmの坪量を有し得る。
【0088】
ホットメルト組成物は、第1の基材(例えば、第1の不織布)に塗布することができ、超吸水性ポリマーは、第2の基材(例えば、第2の不織布)に塗布され、次いで基材が接合されて、その結果、超吸収性ポリマー及びホットメルト組成物が互いに面して、吸収性コアの層を形成する。
【0089】
あるいは、ホットメルト組成物は、第1の基材(例えば、第1の不織布)に塗布することができ、超吸収性ポリマーは、第2の基材(例えば、第2の不織布)と接合する前に、ホットメルト組成物の上部に直接塗布され得る。
【0090】
あるいは、超吸収剤は、第1の基材(例えば、第1の不織布)に塗布することができ、ホットメルト組成物は、第2の基材(例えば、第2の不織布)と接合する前に、超吸収剤の上部に直接塗布され得る。
【0091】
第2の基材は、任意に、2つの基材を一緒にする前に塗布されるホットメルト組成物及び超吸収性ポリマーを含み得る。2つの基材は、コーティングされた側面が互いに面するように接合され得る。
【0092】
吸収性コアの追加の層は、超吸収性ポリマー、ホットメルト組成物、及び基材(例えば、不織布、薄織物等)の追加の層によって形成することができる。追加の層の順序及び数は、特に限定されない。
【0093】
コアラップは、コアの構成要素を適所に保持するためにコアの周囲を包む任意の材料であり得る。コアラップは、概ね、コアの2つの長辺の周りに巻き付けられ、端部が開放状態になる。コアラップは、不織布及び薄織物からなる群から選択され得る。
【0094】
ホットメルト組成物は、乾燥状態(非膨張状態)及び湿潤状態(膨潤状態)の両方において、吸収性材料を適所に保持するために使用することができる。
【0095】
吸収性コアは、例えば、使い捨ておむつ、成人用失禁製品、生理用ナプキン、医療用ドレッシング剤(例えば、創傷ケア製品)、包帯、外科用パッド、ペットしつけ用パッド(例えば、子犬しつけ用パッド)及び食肉包装製品を含む様々な使い捨て吸収性物品に使用することができる。
【0096】
(弾性複合材料)
ホットメルト組成物は、弾性複合材料を形成し、使い捨て吸収性物品に伸縮性を持たせるために使用することができる。
【0097】
弾性複合材料は、第1の基材及びホットメルト組成物を含み得る。ホットメルト組成物は、第1の基材に弾性を付与するために、第1の基材の上部に積層することができる。「上部に積層される」という用語は、第1の基材への任意のレベルの浸透を含む。場合によっては、熱可塑性フィルムが基材に浸透することが望ましい場合がある。他の場合には、熱可塑性フィルムは、基材にごくわずかにしか浸透しないか、又は全く浸透しないことが望ましい場合がある。
【0098】
ホットメルト組成物は、当該技術分野において既知の技術を使用して、例えば、熱を加えること、超音波結合、別の接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等によって、基材に接着させることができる。あるいは、ホットメルト組成物は、溶融状態で塗布され、それが塗布される際に基材に接着することができる。
【0099】
弾性複合材料は、第1の基材、第2の基材、及びホットメルト接着剤組成物を含み得る。ホットメルト組成物は、第1の基材と第2の基材との間に存在し、複合材料に弾性を持たせる。基材のうちの少なくとも1つは、不織布、ポリマーフィルム、及び織物(すなわち、織り(例えば、織布(例えば、コットン、キャンバス等)、編み、細編み、結び、又はフェルトによって形成された生地)からなる群から選択される。
【0100】
(構造体)
ホットメルト組成物は、更に構造用途に使用することができる。使い捨て吸収性物品の製造における一般的な構造用途では、体液不透性のバックシートが不織布基材に結合される。他の構造用途では、不織布基材が不織布基材に結合される。また、ホットメルト組成物は、吸収剤、薄織物、エラストマー材料、超吸収性ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の層又は材料を結合するために使用することもできる。例えば、ホットメルト組成物は、使い捨て物品の肌触りを向上させるために体液不透性のバックシート、一般的にポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、エチレンコポリマー等)が第2の不織布に結合される、バックシートの積層物に更に使用することができる。
【0101】
次に本発明を以下の非限定的な実施例により説明する。特に断らない限り、実施例に記載されるすべての部、比、百分率及び量は、重量を基準としたものである。
【実施例
【0102】
試験手順
実施例において、また、本明細書の全体を通じて用いられる試験手順は、特に断らない限りは以下のものを含む。
【0103】
ホットメルト組成物の調製
ホットメルトの試料を、バッチサイズが5000グラム(g)のシグマブレードミキサで調製した。177℃前後の加熱油温度を使用した。ポリマー及び添加剤を最初に添加し、滑らかになるまでブレンドした後、ワックスを小分けして添加した。混合物を均質になるまで混合し、次いで、取り出した。各試料は、生成に約1時間を要した。
【0104】
粘度試験法
粘度は、表題が「Standard Test Method for Apparent viscosity of Adhesives and Coating Materials」であるASTM D-3236(1988年10月31日)に従って、BrookfieldのモデルRVDV2、スピンドル番号27のThermosel粘度計を用いて測定した。結果はセンチポアズ(cP)で報告される。
【0105】
引張伸び及び最大応力試験法
0.127~0.305センチメートル(cm)(0.05~0.12インチ)の厚さ、2.54cm(1インチ)のゲージ長さ、0.318cm(0.125インチ)のゲージ幅の各ホットメルト組成物の亜鈴型被検査物を、176.7℃(350°F)で溶融した試料を5キログラム(kg)超の重量で圧縮し、室温まで冷却することによって調製された試料の薄フィルムからの鋳型で切断した。
【0106】
この被検査物は、試験前に室温で1日間熟成させた。
4.99重量キログラム(kgf)(11重量ポンド(lbf))のロードセルを備えたインストロン5542ベンチトップユニットを使用して、室温での引張特性を決定した。クロスヘッド速度を30.48cm/分(12インチ/分)に設定した。各試料の少なくとも3つの亜鈴を試験した。引張力及びクロスヘッド変位を記録し、試料が破損したとき、又は器具の限界が25.4cm(10インチ)のクロスヘッド変位に達したときに終了した。初期の試料ゲージ長さにわたってクロスヘッド変位を取り、最大引張応力を記録することによって、極限伸を計算した。試験した被検査物の間で、両方の値を平均した。
【0107】
剥離試験の試料調製法
7.62cm(3インチ)幅クシ目調スロットコーティング塗布器、及び積層器を、154℃の塗布温度、103.4キロパスカル(15psi)のニップ圧力、25g/m2の塗布重量に設定し、最小の巻き戻し並びにほどけ張力を、フィルムを伸張させないように使用した。ホットメルト接着剤組成物を、ウェブが毎分173.7メートル(m/分)~192.0m/分の速度で塗布器を通過する際に、8g/m2の坪量を有する不織布1上で、25g/m2のコート重量で連続的に塗布した。次いで、10g/m2の坪量を有し、不織布1のウェブと同じ速度で移動する不織布2を、接着剤組成物及び不織布1のウェブに対して適所にニップして積層体を形成する。その後、積層体を、コーティング機の機械方向に垂直な横断方向(cross direction、CD)に沿って、幅5.1cm(2インチ)のストリップとして切断する。
【0108】
動的剥離試験法
動的剥離は、試験が毎分30.5センチメートル(毎分12インチ)で10秒間行われ、4つの複製が行われた点以外は、表題が「Test Method for Determining Peel Resistance of Adhesive(T-Peel Test Method)」であるASTM D1876-01に従って決定された。試料は、IMASS Spec型試験機で試験された。特に断らない限り、試験の試料は、上記の「試料調製試験法」で述べたのと同様にして調製された。試料を、機械コーティング横断方向に沿って剥離した。10秒間の剥離にわたって平均の剥離力の値を記録し、結果を重量グラム/インチ(gf/in)で報告した。初期動的剥離力の値は、試料を調製してから24時間後に測定した値である。4つの複製を試験し、平均値を重量グラム/インチ(gf/in)の単位で報告した。
【0109】
基材
不織布1(坪量=8グラム/平方メートル(gsm)、幅=165)、Avgol Ltd.(Mocksville,NC)から入手可能。
【0110】
不織布2(坪量=10gsm、幅=130)、Avgol Ltd.(Mocksville,NC)から入手可能。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】
その他の実施形態は、請求項内にある。