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特許7262663ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法
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  • 特許-ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/20 20060101AFI20230414BHJP
   C07C 19/045 20060101ALI20230414BHJP
   C07C 19/01 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
C07C17/20
C07C19/045
C07C19/01
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022509078
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020045124
(87)【国際公開番号】W WO2021030130
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】62/886,383
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/945,962
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522055566
【氏名又は名称】イーグル ユーエス 2 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャーウッド, スコット エー.
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04197262(US,A)
【文献】特表2008-531261(JP,A)
【文献】Onn Arrad and Yoel Sasson,Commercial Ion Exchange Resins as Catalysts in Solid-Solid-Liquid Reactions,J. Org. Chem,1989年03月13日,Vol.51, No.21,p.4993-4998
【文献】安田 賢生,ハロゲン化炭化水素類のハロゲン交換反応,富山工業高等専門学校紀要,2003年03月,第37巻,15~18頁
【文献】BONGINI A. et al.,Anion-Exchange Resins as Halogen Carriers in the Bromination and Chlorobromination of Organic Compounds,SYNTHESIS,1980年02月,No.2,p.143-146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)前記ブロモ化炭化水素を用意するステップであって、前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)前記ブロモ化炭化水素および塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップであって、前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含んでおり、これによって、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも25モルパーセントを前記クロロ化炭化水素に変換し、ここで、前記ブロモ化炭化水素のモルパーセントは、ブロモ化炭化水素の初期モル数に基づく、ステップ、ならびに
(c)前記イオン交換樹脂から前記クロロ化炭化水素を単離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記イオン交換樹脂が、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、前記ブロモ化炭化水素が、あるモル当量の置き換え可能なブロモ基を有しており、前記イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量と前記ブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基の前記モル当量との比が、.5:1~100:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブロモ化炭化水素に前記イオン交換樹脂を接触させるステップが、少なくとも30℃の温度で行われ、前記ブロモ化炭化水素の前記クロロ化炭化水素へのモル変換率が、ブロモ化炭化水素の初期モル数に対して少なくとも30%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、30℃~200℃の温度で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素基および/または少なくとも1つのブロモ化脂環式族炭化水素基を含む、直鎖状または分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素、ブロモ化脂環式族炭化水素、芳香族炭化水素、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ブロモ化炭化水素が、直鎖状または分枝状のブロモ化C~C20アルカン、ブロモ化C~Cシクロアルカン、少なくとも1つの直鎖状または分枝状のブロモ化C~C20アルキル基を有するベンゼン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブロモ化炭化水素が、それに共有結合した少なくとも1つのクロロ基を有する少なくとも1つのsp混成炭素をさらに含み、さらに、それに結合した少なくとも1つのクロロ基を有する前記sp混成炭素が、それに結合した少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を有する前記sp混成炭素と同じであるか、またはこれと異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロモ化炭化水素が、1-ブロモ-2-クロロエタンを含み、前記クロロ化炭化水素が、1,2-ジクロロエタンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブロモ化炭化水素が、ブロモクロロメタンを含み、前記クロロ化炭化水素が、ジクロロメタンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、1重量%~10重量%の量の水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、有機溶媒の存在下で行われ、前記有機溶媒が、ブロモ基を含まない、炭化水素、クロロ化炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)前記ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームを用意するステップであって、前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を含む第1の固定床を含む第1の固定床容器を用意するステップであって、前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む、ステップ、
(c)前記第1の固定床容器に前記フィードストリームを導入して、前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させ、これによって、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも25モルパーセントを前記クロロ化炭化水素に変換し、ここで、前記ブロモ化炭化水素のモルパーセントは、ブロモ化炭化水素の初期モル数に基づく、ステップ、ならびに
(d)前記第1の固定床容器から生成物ストリームを抜き取るステップであって、前記生成物ストリームが、前記クロロ化炭化水素を含む、ステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記生成物ストリームの少なくとも一部は前記第1の固定床容器に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
乾燥剤を含む第2の固定床を含む第2の固定床容器を用意するステップ、
前記生成物ストリームの少なくとも一部を前記第2の固定床容器に導入し、これによって、前記生成物ストリームから残留水の少なくとも一部を除去し、乾燥済み生成物ストリームを形成させるステップ、および
前記乾燥済み生成物ストリームを前記第2の固定床容器から取り出すステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥剤が、CaCl、アルミナ、シリカ、モレキュラーシーブおよびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の固定床の前記イオン交換樹脂が、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、
前記第1の固定床を含む前記第1の固定床容器が、最大静的フィード体積を有しており、
前記最大静的フィード体積に等しい体積の前記フィードストリームが、置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量をもたらし、
前記イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量と置き換え可能なブロモ基の前記最大静的モル当量の比が、.5:1~100:1である、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、少なくとも30℃の温度で行われ、前記ブロモ化炭化水素の前記クロロ化炭化水素へのモル変換率が、前記第1の固定床容器を通過したブロモ化炭化水素の合計モル数に対して少なくとも30%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、30℃~200℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)前記ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームを用意するステップであって、前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を含む第1の固定床を含む第1の固定床容器を用意するステップであって、前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む、ステップ、
(c)前記第1の固定床容器に前記フィードストリームを導入して、前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させ、これによって、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも一部を前記クロロ化炭化水素に変換するステップ、ならびに
(d)前記第1の固定床容器から生成物ストリームを抜き取るステップであって、前記生成物ストリームが、前記クロロ化炭化水素を含む、ステップ
を含み、
ここで、
前記第1の固定床が、湿潤イオン交換樹脂であって、前記湿潤イオン交換樹脂および水の総重量に対して30重量%より多い量の水を含む、湿潤イオン交換樹脂を含み、
前記方法が、前記湿潤イオン交換樹脂に共沸乾燥プロセスを施すことによって、前記湿潤イオン交換樹脂を、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む前記イオン交換樹脂に変換するステップをさらに含み、前記共沸乾燥プロセスが、
前記第1の固定床容器内で、前記湿潤イオン交換樹脂と、前記湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気とを一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップ、ならびに
前記第1の固定床容器から前記湿潤蒸気を除去し、これによって、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む前記イオン交換樹脂を形成させるステップ
を含む、
方法。
【請求項20】
前記共沸乾燥プロセスが、前記第1の固定床容器への前記フィードストリームの導入前に行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱された炭化水素蒸気の炭化水素が、非ハロゲン置換炭化水素、ハロゲン置換炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年8月14日出願の米国仮特許出願第62/886,383号、および2020年8月3日出願の米国非仮特許出願第16/945,962号に対する権利があり、それらに対する優先権を主張し、それらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本発明は、ブロモ化炭化水素と、塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップを含む、sp混成炭素に結合している少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含むブロモ化炭化水素を変換する方法であって、イオン交換樹脂が、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい水分含有量を有しており、これによって、ブロモ化炭化水素の少なくとも一部をクロロ化炭化水素に変換し、イオン交換樹脂からクロロ化炭化水素を単離する、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
塩素源は、ある程度の臭素を混入していることが多い。クロロ化炭化水素に調製において、塩素源に混入しているこのような臭素を使用すると、通常、それに結合したブロモ基、またはブロモ基とクロロ基の両方の組合せを含む望ましくない共生成物炭化水素の形成がもたらされる。標的クロロ化炭化水素生成物からブロモ化炭化水素共生成物を分離することは困難となり得る。ブロモ化炭化水素共生成物は、一部の例では、分別蒸留などの蒸留方法によって分離/単離することができる。ブロモ化炭化水素共生成物のさらなる使用または改変は、通常、実現可能ではない。通常、単離したブロモ化炭化水素共生成物は、焼却処分される。その結果、焼却処分プロセスから回収される、塩化水素の形態などの塩素には、多くの場合、臭化水素などの臭素物質が混入している。
【0004】
標的クロロ化炭化水素生成物と共に存在するブロモ化炭化水素共生成物の量を低減する、またはこれをなくす新規な方法を開発することが望ましいと思われる。このような新しく開発された方法は、ブロモ化炭化水素共生成物をクロロ化炭化水素生成物に変換することを含むことがさらに望ましいと思われる。ブロモ化炭化水素共生成物のクロロ化炭化水素生成物への変換により、それに伴う廃棄物ストリームを低減する、または最小限にし、そして実行および実施することが経済的に妥当であることがさらに望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明によれば、ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、(a)ブロモ化炭化水素を用意するステップであって、ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、(b)ブロモ化炭化水素および塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップであって、イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して30重量%未満またはそれに等しい量の水を含んでおり、これによって、ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、ブロモ化炭化水素の少なくとも一部をクロロ化炭化水素に変換する、ステップ、ならびに(c)イオン交換樹脂からクロロ化炭化水素を単離するステップを含む、方法が提供される。
【0006】
さらに本発明によれば、ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、(a)ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームを用意するステップであって、ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、(b)塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を含む第1の固定床を含む第1の固定床容器を用意するステップであって、イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む、ステップ、(c)第1の固定床容器にフィードストリームを導入して、前記第1の固定床容器内でブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させ、これによって、ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、ブロモ化炭化水素の少なくとも一部をクロロ化炭化水素に変換するステップ、ならびに(d)第1の固定床容器から生成物ストリームを抜き取るステップであって、生成物ストリームが、クロロ化炭化水素を含む、ステップを含む、方法もまた提供される。
【0007】
さらに追加の本発明によれば、乾燥イオン交換樹脂を形成する方法であって、(a)湿潤イオン交換樹脂を含む固定床を含む固定床容器を用意するステップであって、湿潤イオン交換樹脂が第1の量の水を含む、ステップ、(b)固定床容器内で、湿潤イオン交換樹脂、および湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気を一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップ、ならびに(c)固定床容器から湿潤蒸気を除去し、これによって、第2の量の水を含む乾燥イオン交換樹脂を形成させるステップであって、第2の量の水が、第1の量の水より少ない、ステップを含む、方法もまた提供される。
【0008】
本発明を特徴付ける特徴は、本開示に付加されて、本開示の部分を形成する、特許請求の範囲に特に指摘されている。本発明のこれらの特徴および他の特徴、その操作面での利点、ならびにその使用によって得られる具体的な目的は、以下の詳細な説明から一層、十分に理解され、以下の詳細な説明には、本発明の非限定的な実施形態が例示および記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の方法に使用することができる、第1の固定床容器を含む、プロセスアセンブリの概略図である。
【0010】
図2図2は、本発明の方法に使用することができる、第1の固定床容器および第2の固定床容器を含む、プロセスアセンブリの概略図である。
【0011】
図3図3は、イオン交換樹脂の共沸乾燥および酸洗浄/再生成に適合されており、第1の固定床容器に加え相分離器をさらに含む、本発明の方法に使用することができるプロセスアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
縮尺通りではない図1~3において、同様の参照番号は、同じ構成成分および構造的特徴を指定する。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書で使用する場合、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などの、空間または方向を示す用語は、図面に示されている通りの発明に関する。しかし、本発明は、様々な代替的な配置を想定することができ、したがって、このような用語は限定と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0014】
特に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用されている、成分の量、反応条件、処理パラメータ、物理特徴、寸法などを表す数はすべて、すべての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。
【0015】
特に示さない限り、本明細書において開示されている範囲または比のすべてが、ありとあらゆる部分範囲、またはそれらに含まれる部分比を包含することを理解すべきである。非限定的な例示の目的として、「1~10」と明記した範囲または比は、最小値1と最大値10の間(およびそれらを含む)のありとあらゆる部分範囲;すなわち、以下に限定されないが、1~3.3、4.7~7.5、5.5~10などの、1またはそれより高い最小値から始まり、10またはそれ未満の最大値で終わる、すべての部分範囲または部分比、を含むと見なされるべきである。
【0016】
本明細書で使用する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特に明示的におよび明白に1つの指示物に限定しない限り、複数の指示物を含む。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「脂肪族」、ならびに「脂肪族炭化水素」、「直鎖状または分枝状脂肪族炭化水素」、「脂肪族炭化水素基」および「直鎖状または分枝状炭化水素基」などの関連用語は、C~C20脂肪族炭化水素またはC~C10脂肪族炭化水素またはC~C脂肪族炭化水素などの1~20個の炭素原子などの、少なくとも1個の炭素原子を含有し、直鎖状または分枝状とすることができ、1つまたはそれより多くの内部および/または末端アルケン(またはアルケニル)基を必要に応じて含み、1つまたはそれより多くの内部および/または末端アルキン(またはアルキニル)基を必要に応じて含む、非環式炭化水素および非芳香族炭化水素を意味する。2つまたはそれより多いアルケン基を含む場合、脂肪族基のアルケン基は、共役することができ、および/または共役することができない。2つまたはそれより多いアルキン基を含む場合、脂肪族基のアルキン基は、共役することができ、および/または共役することができない。少なくとも1つのアルケン基および少なくとも1つのアルキン基を含む場合、脂肪族基のアルケン基およびアルキン基は、互いに共役することができ、および/または共役することができない。
【0018】
脂肪族炭化水素の例には、以下に限定されないが、アルカンが含まれる。本明細書で使用する場合、用語「アルカン」および「アルカン基」などの関連用語は、C~C20アルカンまたはC~C10アルカンまたはC~Cアルカンなどの、1~20個の炭素原子などの少なくとも1個の炭素原子を含み、直鎖状または分枝状であり、飽和した(および、それに応じて、アルケン基およびアルキン基を含まない)化合物または基を意味する。アルカン基の例には、以下に限定されないが、メタン、エタン、n-プロパン、イソ-プロパン、n-ブタン、イソ-ブタン、sec-ブタン、t-ブタン、直鎖状または分枝状ペンタン、直鎖状または分枝状ヘキサン、直鎖状または分枝状ヘプタン、直鎖状または分枝状オクタン、直鎖状または分枝状ノナン、直鎖状または分枝状デカン、直鎖状または分枝状ウンデカン、直鎖状または分枝状ドデカン、直鎖状または分枝状トリデカン、直鎖状または分枝状テトラデカン、直鎖状または分枝状ペンタデカン、直鎖状または分枝状ヘキサデカン、直鎖状または分枝状ヘプタデカン、直鎖状または分枝状オクタデカン、直鎖状または分枝状ノナデカンおよび直鎖状または分枝状エイコサンが含まれる。
【0019】
本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、直鎖状または分枝状アルカンなどの「直鎖状または分枝状」という列挙は、本明細書において、非限定的な例示を目的として、メタンまたはメチル基;直鎖状C~C20アルカンまたは直鎖状C~C20アルキル基などの直鎖状の化合物および基;ならびに以下に限定されないが、分枝状C~C20アルカンまたは分枝状C~C20アルキル基などの適切に分枝している基を含むと本明細書において理解される。
【0020】
脂肪族基の例には、以下に限定されないが、アルケンが含まれる。本明細書で使用する場合、用語「アルケン」および「アルケン基」などの関連用語は、C~C20アルケンまたはC~C10アルケンまたはC~Cアルケンなどの、2~20個の炭素原子などの少なくとも2個の炭素原子を含み、直鎖状または分枝状であり、1つまたはそれより多くの内部および/または末端アルケン(またはアルケニル)基を含む、基を意味する。アルケンの例には、以下に限定されないが、本明細書において先に列挙されている、直鎖状または分枝状アルカンというそのような例を含み、これらは、少なくとも2個の炭素原子、および以下に限定されないが、エテン、プロペン、直鎖状または分枝状ブテン、直鎖状または分枝状ペンテン、直鎖状または分枝状ヘキセンなどの少なくとも1つのアルケン(またはアルケニル)基を有する。
【0021】
脂肪族基の例には、以下に限定されないが、アルキンが含まれる。本明細書で使用する場合、用語「アルキン」および「アルキン基」などの関連用語は、C~C20アルキンまたはC~C10アルキンまたはC~Cアルキンなどの、2~20個の炭素原子などの少なくとも2個の炭素原子を含み、直鎖状または分枝状であり、1つまたはそれより多くの内部および/または末端アルキン(またはアルキニル)基を含む、基を意味する。アルキンの例には、以下に限定されないが、本明細書において先に列挙されている、直鎖状または分枝状アルカンのそのような例を含み、これらは、少なくとも2個の炭素原子、および以下に限定されないが、エチン、プロピン、ブチン、直鎖状または分枝状ペンチン、直鎖状または分枝状ヘキシンなどの少なくとも1つのアルキン(またはアルキニル)基を有する。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「脂環式」、ならびに「脂環式炭化水素」、「脂環式炭化水素基」、「シクロ脂肪族」、「シクロ脂肪族炭化水素」および「シクロ脂肪族炭化水素基」などの関連用語は、C~C20脂環式炭化水素またはC~C10脂環式炭化水素またはC~C脂環式炭化水素などの3~20個の炭素原子などの少なくとも3個の炭素原子を含み、アルケンおよび/またはアルキンから選択される少なくとも1つの不飽和基を必要に応じて含み、2つまたはそれより多い縮合脂環式(またはシクロ脂肪族)環を必要に応じて含む、環式および非芳香族炭化水素を意味する。
【0023】
脂環式炭化水素および基の例には、以下に限定されないが、シクロアルカンおよびシクロアルカン基が含まれる。本明細書で使用する場合、用語「シクロアルカン」、および「シクロアルカン基」などの関連用語は、C~C20シクロアルカンまたはC~C10シクロアルカンまたはC~Cシクロアルカンなどの3~20個の炭素原子などの少なくとも3個の炭素原子を含み、アルケンおよび/またはアルキンから選択される少なくとも1つの不飽和基を必要に応じて含み、2つまたはそれより多い縮合シクロアルカン環を必要に応じて含む、基を意味する。シクロアルカンの例には、以下に限定されないが、シクロプロパン;シクロブタン;シクロペンタン;シクロヘキサン;シクロヘプタン;シクロオクタン;シクロノナン;シクロデカン;シクロウンデカン;シクロドデカン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;デカヒドロナフタレン;テトラデカヒドロアントラセン;テトラデカヒドロフェナントレン;およびドデカヒドロ-1H-フェナレンが含まれる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「芳香族炭化水素」、および「芳香族炭化水素基」などの関連用語は、C~C20芳香族炭化水素またはC~C14芳香族炭化水素などの少なくとも5個の炭素原子を含み、少なくとも2つの縮合芳香族炭化水素環を必要に応じて含む、環式芳香族炭化水素基を意味する。芳香族炭化水素の例には、以下に限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンおよび1H-フェナレンが含まれる。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」、ならびに「ハロゲン基」および/または「ハロ基」などの関連用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)および/またはヨード(I)から選択されるものなどの、単結合ハロゲン原子を意味する。
【0026】
本明細書で使用する場合、および特に明示的に明記しない限り、用語「水素」、および「水素基」などの関連用語は、単結合水素(-H)を意味する。
【0027】
本明細書において言及されている、および特に示さない限り、以下に限定されないが、交付された特許および特許出願などの書類はすべて、その全体が「参照により組み込まれている」と見なされるべきである。
【0028】
本発明の方法において使用されるブロモ化炭化水素はそれぞれ、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基(-Br)を含む。用語「置き換え可能なブロモ基」は、本明細書で使用する場合、共有結合により結合されているクロロ基(-Cl)と置き換えることが可能な、共有結合により結合されているブロモ基を意味する。より詳細には、ブロモ化炭化水素の各置き換え可能なブロモ基は、sp混成炭素に共有結合により結合されている。それに応じて、置き換え可能なブロモ基をクロロ基により置き換えると、sp混成炭素に共有結合により結合しているクロロ基、より詳細には、同じsp混成炭素に共有結合により結合しているクロロ基をもたらし、そのように置き換えられた置き換え可能なブロモ基は、このsp混成炭素に置き換え前に結合していた。
【0029】
非限定的な例示の目的として、少なくとも1つのブロモ基が結合しているsp混成炭素は、一部の実施形態の場合、以下の式(A)によって表されるものなどの、側鎖基または末端基である。
【化1】
式(A)を参照すると、添字xは、1~3であり、Yはそれぞれ(存在する場合)、独立して、水素、塩素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であり、各ハロゲンは、クロロおよびブロモから独立して選択される。ブロモ化炭化水素は、一部の実施形態の場合、式(A)によって表される、少なくとも1つのsp混成炭素(これに、少なくとも1つのブロモ基が結合している)を含む。
【0030】
一部のさらなる実施形態の場合、およびさらなる非限定的な例示の目的として、少なくとも1つのブロモ基が結合しているsp混成炭素は、以下の式(B):
【化2】
によって表されるものなどの、脂環式炭化水素環の一部である。式(B)を参照すると、環Aは、本明細書において既に記載したものなどの脂環式炭化水素であり、Yは、水素、塩素、臭素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であり、各ハロゲンは、クロロおよびブロモから独立して選択される。式(B)の環Aは、一部の実施形態の場合、(i)少なくとも1つのさらなるsp混成環炭素であって、その各々が、式(B)において図示されているものなどの、少なくとも1つのブロモ基をsp混成環炭素に独立して結合して有する、sp混成環炭素、および/または(ii)式(A)によって表されるものなどの、それに結合している少なくとも1つのブロモ基を有する、少なくとも1つの側鎖sp混成炭素を必要に応じて含む。
【0031】
一部の実施形態の場合、ブロモ化炭化水素およびクロロ化炭化水素生成物は、22℃の温度、および1気圧の圧力などの周囲条件において、それぞれ、液体である。
【0032】
ブロモ化炭化水素は、一部の実施形態の場合、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素基および/または少なくとも1つのブロモ化脂環式族炭化水素基を含む、直鎖状または分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素、ブロモ化脂環式族炭化水素、芳香族炭化水素、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0033】
ブロモ化炭化水素は、一部のさらなる実施形態の場合、直鎖状または分枝状のブロモ化C~C20アルカン、ブロモ化C~Cシクロアルカン、少なくとも1つの直鎖状または分枝状のブロモ化C~C20アルキル基を有するベンゼン、およびそれらの組合せから選択される。
【0034】
ブロモ化炭化水素は、一部の実施形態の場合、それに共有結合により結合した少なくとも1つのクロロ基を有する少なくとも1つのsp混成炭素をさらに含み、この場合、それに結合した少なくとも1つのクロロ基を有するsp混成炭素は、それに結合した少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を有するsp混成炭素と同じであるか、またはこれと異なる。
【0035】
一部の実施形態の場合、ブロモ化炭化水素は、1-ブロモ-2-クロロエタンを含み、クロロ化炭化水素は、1,2-ジクロロエタンを含む。
【0036】
本発明の方法の一部の実施形態に使用される塩化物イオン基(Cl基)を含むイオン交換樹脂は、複数の基が結合している有機ポリマー(以下に限定されないが、ポリスチレンおよびスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーなど)を含み、これは、それぞれ独立して、(i)第四級アンモニウム基などの陽イオン部分、および(ii)1つまたはそれより多くの塩化物イオン(Cl)基を含む陰イオン部分からなる。塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂は、一部のさらなる実施形態の場合、0.5mm~10mmまたは0.5mm~5mmまたは0.5mm~1.0mmの直径を有するビーズなどの、任意の好適な粒子サイズを有するビーズの形態にある。塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂の有機ポリマーは、一部の実施形態の場合、架橋されている。本発明の方法の一部の実施形態の場合に使用される塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂は、当分野で認識されているイオン交換樹脂から選択され、塩化物イオン基を含む陰イオン交換樹脂と呼ぶことができる。塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂は、同様におよび等価に、クロロ化イオン交換樹脂と本明細書において呼ばれる。
【0037】
一部の実施形態の場合、イオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂(例えば、0.1nm~100nmまたは0.1nm~50nmまたは0.1nm~20nmまたは1nm~2nmの平均細孔サイズを有する);マクロ多孔質型イオン交換樹脂(例えば、5nm~20,000nmまたは10nm~10,000nmまたは15nm~5000nmまたは20nm~100nmの平均細孔サイズを有する);またはそれらの組合せから選択される。一部の実施形態によれば、本方法のイオン交換樹脂は、マクロ多孔質型イオン交換樹脂から選択される。本発明の一部の実施形態によれば、マクロ多孔質型イオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂と比較すると、反応速度の改善をもたらす。
【0038】
イオン交換樹脂は、ブロモ化炭化水素と接触すると、30重量%未満もしくはそれに等しい、または25重量%未満もしくはそれに等しい、または20重量%未満もしくはそれに等しい、または15重量%未満もしくはそれに等しい、または10重量%未満もしくはそれに等しい、または5重量%未満もしくはそれに等しい水を含み(または、水分含有量を有し)、重量%は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。イオン交換樹脂は、ブロモ化炭化水素と接触すると、0重量%より多くもしくはそれに等しい、または1重量%より多くもしくはそれに等しい、または2重量%より多くもしくはそれに等しい水を含み(または、水分含有量を有し)、重量%は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。イオン交換樹脂の水分含有量は、ブロモ化炭化水素と接触すると、一部の実施形態の場合、以下に限定されないが、0重量%~30重量%、または0重量%~25重量%、または0重量%~20重量%、または0重量%~15重量%、または0重量%~10重量%、または1重量%~10重量%、または2重量%~10重量%、または0重量%~5重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~5重量%などの、先に列挙した少ない方の量と多い方の量との任意の組合せ間の範囲の量の水を含み、重量%は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。
【0039】
一部の実施形態の場合、イオン交換樹脂は、ブロモ化炭化水素と接触すると、0.5重量%~30重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または2重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~5重量%、または1重量%~4重量%、または2重量%~4重量%の水を含み(または、水分含有量を有し)、重量%は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。
【0040】
イオン交換樹脂の水分含有量は、一部の実施形態の場合、イオン交換樹脂の初期重量を得て、イオン交換樹脂をある期間、高温(20時間、105℃など)に曝露させて、高温への曝露後のイオン交換樹脂の最終重量を得て、初期重量の値と最終重量の値を比較することによって求められる。一部のさらなる実施形態の場合、イオン交換樹脂の水分含有量は、カールフィッシャー容量滴定および/またはカールフィッシャー電量滴定によって求められる。
【0041】
一部の実施形態の場合、イオン交換樹脂は、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、ブロモ化炭化水素は、あるモル当量の置き換え可能なブロモ基を有しており、イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量とブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基のモル当量との比は、少なくとも0.5:1または少なくとも1:1である。
【0042】
イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量とブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基のモル当量との比は、一部の実施形態の場合、0.5:1~100:1、または0.5:1~10:1、または0.5:1~4:1、または1:1~4:1である。
【0043】
本発明の方法の一部の実施形態によれば、「ブロモ化炭化水素の少なくとも一部がクロロ化炭化水素に変換される」という記述は、少なくとも数モル%のブロモ化炭化水素が、ブロモ化炭化水素の初期モル数に対して、クロロ化炭化水素に変換されることを意味する。一部の実施形態の場合、少なくとも10モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも25モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも30モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも50モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも75モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも80モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも90モル%のブロモ化炭化水素、または少なくとも95モル%のブロモ化炭化水素、または100モル%のブロモ化炭化水素が、各場合において、クロロ化炭化水素に変換され、モル%は、各場合において、ブロモ化炭化水素の初期モル数に基づく。
【0044】
ブロモ化炭化水素をイオン交換樹脂に接触させるステップは、一部の実施形態の場合、0℃より高く400℃未満またはそれに等しい、などの幅広い範囲の温度にわたり行われ得る。一部の実施形態の場合、ブロモ化炭化水素および必要に応じた有機溶媒はそれぞれ、イオン交換樹脂と一緒に接触させる際に液状形態にある。温度および/または圧力などの操作条件は、一部の実施形態の場合、本発明の方法の間、ブロモ化炭化水素、必要に応じた有機溶媒およびクロロ化炭化水素生成物がそれぞれ、液状形態を維持するよう調節することができる。
【0045】
ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップは、一部の実施形態の場合、22℃より高い、または25℃より高い、または30℃より高いもしくはそれと等しい、または40℃より高いもしくはそれと等しい、または50℃より高いもしくはそれと等しい高温などの、室温より高い温度で行われる。一部のさらなる実施形態の場合、ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップは、少なくとも30℃(または少なくとも50℃)の温度で行われ、クロロ化炭化水素に対するブロモ化炭化水素のモル変換率(またはモル変換%)は、ブロモ化炭化水素の初期モル数に対して少なくとも30%となる。一部のさらなる実施形態の場合、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素へのモル変換率(またはモル変換%)は、少なくとも30%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、および100%未満またはそれに等しくあり、各%は、ブロモ化炭化水素の初期モル数に基づく。
【0046】
ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップは、一部の実施形態の場合、30℃~200℃、または50℃~177℃、または60℃~125℃、または70℃~110℃、または80℃~100℃、または85℃~95℃(列挙した温度値を含む)の温度で行われる。
【0047】
本発明の一部の実施形態によれば、ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂が一緒に接触されると、イオン交換樹脂は、1重量%~10重量%、または2重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~5重量%(列挙された値を含む)の水を含み(または水分含有量を有し)、重量%は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。
【0048】
ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップは、一部の実施形態の場合、有機溶媒の存在下で行われ、有機溶媒は、ブロモ基を含まない、炭化水素、クロロ化炭化水素、およびそれらの組合せから選択される。有機溶媒は、一部の実施形態の場合、ブロモ化炭化水素の変換に起因するクロロ化炭化水素生成物であるか、またはこれを含む。一部の実施形態の場合、有機溶媒は、1つまたはそれより多くのクロロアルカン、クロロアルケンおよびクロロアルキンから選択される。一部のさらなる実施形態の場合、有機溶媒は、少なくとも1つのクロロ基を含む(および、そのすべてより少ない水素が、クロロ基により置き換えられている)、1つもしくはそれより多くの直鎖状または分枝状C~C20クロロ-アルカンから選択される。一部のさらなる実施形態の場合、有機溶媒は、二塩化メチレン(またはジクロロメタン)、トリクロロメタンおよび四塩化炭素などのクロロメタン系;ジクロロエタンおよびトリクロロエタンなどのクロロエタン系;テトラクロロエチレンなどのクロロエチレン系;トリクロロプロパンおよびペンタクロロプロパンなどのクロロプロパン系;ならびにそれらの組合せから選択される。有機溶媒は、一部の実施形態の場合、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、テトラクロロエチレンおよびそれらの組合せから選択される。
【0049】
本発明の方法は、回分条件、連続条件、またはそれらの組合せ下で行うことができる。一部の実施形態の場合、本発明の方法は、回分条件下で行われ、この条件は、反応器などの好適な容器中で、ブロモ化炭化水素、クロロ化イオン交換樹脂および必要に応じて有機溶媒を一緒に接触させて、不均一混合物を形成させるステップを含む。不均一混合物には、一部の実施形態の場合、ある期間、インペラなどによって、かき混ぜまたは撹拌、および必要に応じた昇温が施され、この間および/またはこの後に、試料を採取して、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素生成物への変換度(または程度)を求める。所望の変換度(または程度)が達成された後に、イオン交換樹脂はろ過などによって、不均一混合物の液体部分から分離される。単離された液体部分には、一部の実施形態の場合、クロロ化炭化水素生成物をさらに単離および/または精製する目的で、当分野で認識されている後処理手順が必要に応じて施される。
【0050】
本発明の方法は、一部のさらなる実施形態の場合、連続条件下で行われ、この条件は、ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームを、クロロ化イオン交換樹脂を含む固定床容器に連続的に導入するステップ、および固定床容器から、クロロ化炭化水素生成物を含む生成物ストリームを連続的に取り出すステップを含む。一部のさらなる実施形態の場合、生成物ストリーム(これは、クロロ化炭化水素生成物を含む)の少なくとも一部は、クロロ化イオン交換樹脂を含む固定床容器に連続的に再導入される。一部の実施形態の場合、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素生成物への変換の所望のレベルに到達すると、フィードストリームおよび必要に応じたリサイクルストリームは停止され、クロロ化炭化水素生成物が単離され、イオン交換樹脂が再生成される。
【0051】
非限定的な例示の目的として、および一部の実施形態によれば、ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法を、図1を参照しながら記載する。図1を参照すると、第1の固定床容器11であって、その中に、塩化物イオン(Cl)基を含むイオン交換樹脂を含む第1の固定床14を含む第1の固定床容器11を含むプロセスアセンブリ3が概略的に図示されている。第1の固定床容器11は、第1の固定床14を例示する目的で、その一部が切り取られて図示されている。一部の実施形態の場合、第1の固定床14は、クロロ化イオン交換樹脂によって画定されている。第1の固定床容器は、例えば、金属(ステンレス鋼など)、ガラス、プラスチック(熱可塑性プラスチックおよび/または架橋プラスチックを含む)、ガラス繊維充填プラスチックおよびそれらの組合せを含めた、任意の好適な材料または材料の組合せから製造され得る。
【0052】
一部の実施形態の場合、第1の固定床容器11に最初に搭載されている、第1の固定床14のクロロ化イオン交換樹脂は、70重量%未満もしくはそれに等しい、または50重量%未満もしくはそれに等しい、30重量%未満もしくはそれに等しい、または25重量%未満もしくはそれに等しい、または20重量%未満もしくはそれに等しい、または15重量%未満もしくはそれに等しい、または10重量%未満もしくはそれに等しい、または5重量%未満もしくはそれに等しい、または4重量%未満もしくはそれに等しい、または3重量%未満もしくはそれに等しい量で水を含み、重量%は、各場合において、クロロ化イオン交換樹脂の総重量に基づく。
【0053】
本発明の方法の一部の実施形態によれば、ブロモ化炭化水素(これは、本明細書において既に記載した通り、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基は、sp混成炭素に独立して、共有結合により結合されている)を含むフィードストリームが提供される。図1をさらに参照すると、フィードストリームは、導管17に流されて、第1の固定床容器11に導入される。第1の固定床容器11内では、第1のフィードストリームのブロモ化炭化水素、および第1の固定床14のクロロ化イオン交換樹脂が一緒に接触されて、これによって、ブロモ化炭化水素の少なくとも一部が、クロロ化炭化水素(またはクロロ化炭化水素生成物)に変換される。図1および図2において、導管を通る様々なストリームの流れ方向は、矢印によって表示されている。
【0054】
図1をさらに参照すると、クロロ化炭化水素生成物を含む生成物ストリームは、出口導管20を介して、第1の固定床容器11から抜き取られ、一部の実施形態の場合、保管容器(図示せず)へと、および/または後処理手順などのさらなる処理のために、下流に送られる。
【0055】
一部の実施形態の場合、クロロ化炭化水素生成物を含む生成物ストリームの少なくとも一部は、第1の固定床容器に導入して戻される。図1を参照し、一部の実施形態によれば、生成物ストリームの少なくとも一部は、リサイクル用導管23(または、リサイクル回路23)を介して、第1の固定床容器11に再導入される。リサイクル用導管23は、出口導管20を有する第1のT字路26、および入口導管17を有する第2のT字路29を有する。リサイクル用導管は、一部の実施形態の場合、第1のT字路26の下流に位置付けされる第1のリサイクル弁32;第2のT字路29の上流に位置付けされる第2のリサイクル弁35;および必要に応じて、第1のリサイクル弁32と第2のリサイクル弁35との間のライン内に位置付けされるポンプ38(第1のリサイクル弁32の下流および第2のリサイクル弁35の上流)を含む。ポンプ38は、入口41および出口44を含む。
【0056】
一部の実施形態によれば、および図1をさらに参照すると、入口導管17は、第2のT字路29の上流に位置付けされる入口弁47を含み、出口導管20は、第1のT字路26の下流に位置付けされる出口弁50を含む。図1に図示されているプロセスアセンブリ3は、一部の実施形態の場合、第1のT字路26および/または第2のT字路29などにおいて、代替位置に置かれるより多数またはより少数の弁を含むことができる。
【0057】
一部の実施形態によれば、および図1をさらに参照すると、入口導管17を介して第1の固定床11にフィードストリームを連続的に導入し、出口導管20を介して、第1の固定床11から生成物ストリームを連続的に抜き取った後に、入口弁47および出口弁50はそれぞれ、少なくとも部分的に閉じられ、第1のリサイクル弁32および第2のリサイクル弁35が、少なくとも部分的に開けられ、ポンプ38が駆動される。したがって、弁の閉鎖、弁の開口およびポンプの駆動の順序は変更され得、ならびに/あるいは手作業で、および/または1つもしくはそれより多くの電気接続によって(図示せず)などの遠隔的に行われ得る。出口弁50が少なくとも部分的に閉じられている場合、生成物ストリームの少なくとも一部は、第1のT字路26を通り、第1のリサイクル弁32を通り、リサイクル用導管23を通り/ここに入り、ポンプ入口41に入り、ポンプ38を通り、ポンプ出口44を通り、第2のリサイクル弁35を通り、第2のT字路29を通り、入口導管17を通り、第1の固定床11に入る。第1の固定床11を通る生成物ストリームの再利用が、一部の実施形態の場合、ある期間、行われ、この間に、1つまたはそれより多くの試料が抜き取られて分析され、ブロモ化炭化水素からクロロ化炭化水素への所望の変換の程度が達成されたかどうかを判定する。ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素への所望の程度の変換が達成されると、出口導管20を介して、生成物ストリームを第1の固定床11から取り出し、さらなる処理および/または保管のために下流に送ることが可能となるよう、様々な弁を調節することができる。
【0058】
本発明の方法は、一部の実施形態の場合、乾燥剤を含む第2の固定床を含む第2の固定床容器を用意するステップ、生成物ストリームの少なくとも一部を第2の固定床容器に導入し、ここで乾燥剤と接触させ、これによって、生成物ストリームから残留水の少なくとも一部を除去し、乾燥済み生成物ストリームを形成させるステップ、および乾燥済み生成物ストリームを第2の固定床容器から取り出すステップをさらに含む。一部の実施形態の場合、第2の固定床容器中の乾燥剤は、CaCl、アルミナ、シリカ、モレキュラーシーブ、およびそれらの2つまたはそれより多くの組合せ物から選択される。
【0059】
一部の実施形態の場合、生成物ストリームは、1重量%未満もしくはそれに等しい、または0.5重量%未満もしくはそれに等しい、または0.25重量%未満もしくはそれに等しい、または0.1重量%未満もしくはそれに等しい量の残留水を含み、重量%は、各場合において、生成物ストリームの総重量に基づく。
【0060】
図2を参照すると、図1のプロセスアセンブリ3の一部を含むプロセスアセンブリ5であって、乾燥剤(一部の実施形態の場合、CaClからなるものなど)を含む第2の固定床56を含む、第2の固定床容器53をさらに含む、プロセスアセンブリ5を概略的に図示している。CaClは、一部の実施形態の場合、微粒子形態で存在する。微粒子CaClは、1mm~50mmまたは6mm~13mmのサイズにされた平均粒子などのサイズにされた任意の好適な粒子を有することができる。第2の固定床容器53は、第2の固定床56を例示する目的で、その一部が切り取られて図示されている。一部の実施形態の場合、第2の固定床56は、CaClなどの乾燥剤によって画定される。第2の固定床容器53は、一部の実施形態の場合、リサイクル用導管23においてライン内に位置付けされている。
【0061】
プロセスアセンブリ5は、一部の実施形態の場合、第2の固定床容器53をバイパスする、バイパス導管59を含む。第2の固定床容器53は、第2の固定床容器入口弁62および第2の固定床容器出口弁65を含む。バイパス導管59は、リサイクル用導管23を有する第1のバイパスT字路68、およびリサイクル用導管23を有する第2のバイパスT字路71を有する。第1のバイパスT字路68は、第2の固定床入口弁62の上流に位置付けされており、第2のバイパスT字路71は、第2の固定床容器出口弁65の下流に位置付けされている。バイパス導管59は、第1のバイパス弁74および第2のバイパス弁77を含む。第1のバイパス弁74は、第1のバイパスT字路68の下流に位置付けされており、第2のバイパス弁77は、第2のバイパスT字路71の上流に位置付けされている。
【0062】
図2を参照すると、および一部の実施形態によれば、フィードストリームが、入口導管17を連続に通過して、第1の固定床11に入る/これを通過する場合、第1の固定床11の入口弁47および出口弁50はそれぞれ、少なくとも部分的に閉じられており、第1のリサイクル弁32および第2のリサイクル弁35はそれぞれ、少なくとも部分的に開口されており、第2の固定床入口弁62および第2の固定床出口弁65はそれぞれ、少なくとも部分的に開口されており、第1のバイパス弁74および第2のバイパス弁77はそれぞれ、閉じられている。そのように配置された図2のプロセスアセンブリ5の弁を使用して、生成物ストリームの少なくとも一部は、リサイクル用導管23を通過して、第2の固定床容器53に入り、ここで、上記の生成物ストリームの少なくとも一部は、CaClを含む第2の固定床56に接触し、第2の固定床容器出口弁65を介して第2の固定床56から取り除かれる、乾燥済み生成物ストリームを形成する。
【0063】
第2の固定床容器53から取り出された乾燥済み生成物ストリームは、保管および/またはさらなる処理のために、弁35が適切に方向を変えられて(または調節されて)、導管36を介するなど、1つまたはそれより多くのさらなる導管から下流に送ることができる。一部の実施形態の場合、本発明の方法は、乾燥済み生成物ストリームの少なくとも一部を第1の固定床容器に導入するステップをさらに含む。図2を参照し、および一部の実施形態によれば、乾燥済み生成物ストリームは送られて、ポンプ38を通り、第2のリサイクル弁35を通り、第2のT字路29を通り、入口導管17を通り、第1の固定床容器11に入る。乾燥済み生成物ストリームは、生成物ストリームをさらに乾燥する目的で、第1の固定床11および第2の固定床53を何度も通過させることができる。したがって、様々な弁を調節して(本明細書において先に記載した通りなど)、乾燥済み生成物ストリームに出口導管20を通過させて、さらなる処理および/または保管のために下流に送る。
【0064】
図2を参照すると、第2の固定床容器53は、一部の実施形態の場合、第2の固定床容器入口弁62を閉じ、第2の固定床出口弁65を閉じ、および第1のバイパス弁74を開口し、第2のバイパス弁77を開口することによって、迂回され得る。弁をそのように配置して、リサイクル用導管およびバイパス導管59は、共に、第2の固定床容器53を迂回する、リサイクル用導管23~59として一緒に働く。
【0065】
一部のさらなる実施形態の場合、第1の固定床容器11に最初に搭載された、第1の固定床のクロロ化イオン交換樹脂は、30重量%より多い、例えば50重量%より多いまたはそれに等しい、または70重量%より多いまたはそれに等しい量の水を含み、水湿潤クロロ化イオン交換樹脂(または湿潤クロロ化イオン交換樹脂または湿潤イオン交換樹脂)と呼ぶことができる。一部の実施形態の場合、ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームが、第1の固定床容器11に導入される前に、水湿潤クロロ化イオン交換樹脂に、1つまたはそれより多くの脱水プロセスまたは乾燥プロセスが施される。このような脱水プロセスまたは乾燥プロセスの例は、以下に限定されないが、湿潤イオン交換樹脂を共沸乾燥プロセスに供するステップ、および/または湿潤イオン交換樹脂および必要に応じて、加熱窒素ガスなどの乾燥用ガスと一緒に接触させるステップを含み、これらはそれぞれ、本明細書においてさらに詳細に記載される。
【0066】
一部の実施形態の場合、第1の固定床のイオン交換樹脂は、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、第1の固定床を含む第1の固定床容器は、最大静的フィード体積(maximum static feed volume)を有しており、最大静的フィード体積に等しい体積のフィードストリームは、置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量をもたらし、イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量と置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量の比は、少なくとも0.5:1または少なくとも1:1である。
【0067】
本明細書で使用する場合、第1の固定床を含む第1の固定床容器の「最大静的フィード体積」という用語は、単回の通過で、第1の固定床を含む第1の固定床容器によって収容され得る最大体積のフィード(またはフィードストリーム)を意味するか、または静的条件もしくは回分条件(連続条件ではなく)下で操作される場合、第1の固定床を含む第1の固定床容器の「カラム体積」または「空隙体積」とも称される。これに対応して、(第1の固定床の)最大静的フィード体積に等しい体積のフィードストリームは、置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量をもたらす。さらに、および本発明の一部の実施形態によれば、イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量と置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量の比は、少なくとも第1の固定床容器を通過する(フィードストリームの)第1の最大静的フィード体積の場合、少なくとも0.5:1(または、少なくとも1:1)である。
【0068】
本発明の一部のさらなる実施形態によれば、(第1の固定床容器の第1の固定床の)イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量と置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量の比は、0.5:1~100:1、または0.5:1~10:1、または0.5:1~4:1、または1:1~4:1である。
【0069】
ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップ(第1の固定床容器内で)は、22℃より高い、または25℃より高い、または30℃より高いもしくはそれと等しい、または40℃より高いもしくはそれと等しい、または50℃より高いもしくはそれと等しい高温などの、室温より高い温度で行われる。本発明の一部の実施形態によれば、ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップ(第1の固定床容器内で)は、少なくとも30℃(または少なくとも50℃)の温度で行われ、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素へのモル変換率は、第1の固定床容器を通過したブロモ化炭化水素の合計モル数に対して、少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%である。
【0070】
フィードストリームが第1の固定床容器を通過することを含む一部のさらなる実施形態の場合、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素へのモル変換率(またはモル変換率)は、少なくとも30%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、および100%未満またはそれに等しくあり、この場合、各%は、第1の固定床容器を通過したブロモ化炭化水素の合計モル数に基づく。
【0071】
ブロモ化炭化水素および(第1の固定床容器内の第1の固定床の)イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップは、一部の実施形態の場合、30℃~200℃、または50℃~177℃、または60℃~125℃、または70℃~110℃、または80℃~100℃、または85℃~95℃(列挙した温度値を含む)の温度で行われる。第1の固定床容器内でブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を接触させる温度は、一部の実施形態の場合、第1の固定床容器11の外側の少なくとも一部を包む熱交換ジャケット(図示せず)によって、および/またはフィードストリームを熱交換器(図示せず)に通すことによって制御される。一部の実施形態の場合、リサイクル用導管23は、リサイクルされたフィード/生成物ストリームの温度を所望の(または事前選択された)範囲内に維持する熱交換器(図示せず)を含む。
【0072】
本発明の方法の一部の実施形態によれば、第1の固定床(第1の固定床容器内に存在する)は、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%より多い量の水を含む湿潤イオン交換樹脂を含む。本発明の方法は、一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂を、イオン交換樹脂および水の総重量に対して30重量%未満またはそれに等しい量の水を含むイオン交換樹脂に変換するステップをさらに含む。この変換は、一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂に共沸乾燥プロセスを施すステップを含む。共沸乾燥プロセスは、一部の実施形態の場合、第1の固定床容器内で、湿潤イオン交換樹脂と、湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気とを一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップを含む。本方法は、一部の実施形態の場合、第1の固定床容器から湿潤蒸気を除去し、これによって、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含むイオン交換樹脂を形成させるステップをさらに含む。
【0073】
一部の実施形態の場合、共沸乾燥プロセスは、第1の固定床容器にフィードストリームを導入する前に行われる。
【0074】
加熱された炭化水素蒸気の炭化水素は、一部の実施形態の場合、非ハロゲン置換炭化水素、ハロゲン置換炭化水素またはそれらの組合せから選択される。
【0075】
一部の実施形態の場合、湿潤(または水湿潤)イオン交換樹脂(またはクロロ化イオン交換樹脂)は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%より多い、例えば、35重量%より多くもしくはそれに等しい、または40重量%より多くもしくはそれに等しい、または45重量%より多くもしくはそれに等しい、または50重量%より多くもしくはそれに等しい、または70重量%より多くもしくはそれに等しい量の水を含む。一部のさらなる実施形態の場合、湿潤(または水湿潤)イオン交換樹脂(またはクロロ化イオン交換樹脂)は、各場合において、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%より多くから200重量%未満もしくはそれに等しいまで、または30重量%より多くから100重量%未満もしくはそれに等しいまで、または30重量%より多くから90重量%未満もしくはそれに等しいまで、または50重量%より多くもしくはそれに等しいから85重量%未満もしくはそれに等しいまで、または70重量%より多くもしくはそれに等しいから80重量%未満もしくはそれに等しいまでの量の水を含む。
【0076】
一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気の非ハロゲン置換炭化水素は、本明細書において先に列挙した炭化水素のそのようなクラスおよび例のうちの1つまたはそれより多くから選択され、但し、その炭化水素蒸気は、湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成することができることを条件とする。一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気の非ハロゲン置換炭化水素のクラスおよび例には、以下に限定されないが、直鎖状または分枝状C~C20アルカンなどの直鎖状または分枝状アルカン;直鎖状または分枝状C~C20アルケンなどの直鎖状または分枝状アルケン;C~C20シクロアルカンなどの脂環式炭化水素;ならびにベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレンなどのC~C20芳香族炭化水素などの芳香族炭化水素が含まれる。一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気のハロゲン置換炭化水素は、非ハロゲン化炭化水素が選択され得る炭化水素のハロゲン化型のものから選択することができる。一部の実施形態の場合、ハロゲン置換炭化水素は、少なくとも1個のハロゲン(Clおよび/またはBrなど)を含む。一部のさらなる実施形態の場合、ハロゲン置換炭化水素は、パーハロゲン化炭化水素であり、その各ハロゲンは、以下に限定されないが、テトラクロロエチレンなどの、ClまたはBrから独立して選択される。一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気の炭化水素は、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタン、トリクロロメタン(またはクロロホルム)またはそれらの組合せから選択される、ハロゲン置換炭化水素である。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「加熱された炭化水素蒸気」に関する用語「蒸気」は、加熱された炭化水素が気相中に存在することを意味する。加熱された炭化水素蒸気の温度は、これが、第1の固定床容器内の圧力下で、湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成することができるよう選択される。一部の実施形態の場合、共沸乾燥プロセスの間の第1の固定床容器の圧力は、1気圧などの実質的に周囲圧である。一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気の温度は、第1の固定床容器に導入されると、40℃~150℃、または60℃~150℃、または80℃~150℃、または84℃~110℃である。
【0078】
本発明の一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気は、ヒーターまたは熱交換器に液状炭化水素を通すことによって形成される。一部のさらなる実施形態の場合、炭化水素蒸気は、イオン交換樹脂を含有する固定床容器に液状炭化水素を導入し、次いで、固定床容器内に導入した液状炭化水素が炭化水素蒸気に変換されるよう、固定床容器を加熱する(蒸気ジャケットを用いるなど)ことによって形成される。
【0079】
本明細書で使用する場合、用語「水蒸気」に関する用語「蒸気」は、気相中に存在する水を意味する。
【0080】
共沸乾燥プロセスは、第1の固定床容器にフィードストリームを導入する前に行われる。一部の実施形態の場合、共沸乾燥プロセスは、(i)第1の固定床容器に、イオン交換樹脂および水の総重量に対して30重量%より多い水分含有量を有する湿潤イオン交換樹脂を搭載した後、および(ii)第1の固定床容器にフィードストリームを導入する前に行われる。一部のさらなる実施形態の場合、共沸乾燥プロセスは、(i)第1の固定床容器に新しいイオン交換樹脂を搭載し、例えば4重量%のHClを含有する水性HClを用いて新しいイオン交換樹脂を洗浄して、イオン交換樹脂の総重量に対して30重量%より多い水分含有量を有する湿潤イオン交換樹脂が形成した後、および(ii)第1の固定床容器にフィードストリームを導入する前に行われる。一部の追加的な実施形態の場合、共沸乾燥プロセスは、(i)例えば4重量%のHClを含有する水性HClと接触/これで洗浄することによってイオン交換樹脂に再生成を施し、イオン交換樹脂の総重量に対して30重量%より多い水分含有量を有する湿潤イオン交換樹脂を形成させた後、および(ii)第1の固定床容器にフィードストリームを導入(または再導入)する前に行われる。
【0081】
第1の固定床容器から除去される湿潤蒸気は、一部の実施形態の場合、炭化水素蒸気および水蒸気を含む。共沸乾燥プロセスの間の第1の固定床容器から除去される湿潤蒸気は、一部の実施形態の場合、さらなる処理のために送り込まれ得る。一部の実施形態の場合、共沸乾燥プロセスの間(またはその結果として)の第1の固定床容器から除去した湿潤蒸気はコンデンサに導入され、このコンデンサは、湿潤蒸気を液状の水および液状炭化水素を含む湿潤液体(または湿潤縮合物)に変換する。湿潤縮合物は、一部の実施形態の場合、相分離器に送られて、この相分離器は、水を含む水性ストリーム、および予め加熱された炭化水素蒸気の炭化水素を含む有機ストリームに分離する。相分離器から除去された水性ストリームおよび有機ストリームは、それぞれ、一部の実施形態の場合、液状ストリームである。相分離器から除去した水性ストリームおよび/または有機ストリームは、一部のさらなる実施形態の場合、それぞれが、以下に限定されないが、1つまたはそれより多くのさらなる分離/単離プロセスなどのさらなる処理のために送られる。
【0082】
一部の実施形態によれば、本発明の方法は、図3に概略的に図示されているプロセスアセンブリ7を使用して行うことができる。図3のプロセスアセンブリ7は、要約すると、クロロ化イオン交換樹脂を含む、またはこれによって画定される第1の固定床14を含む第1の固定床容器11;相分離器130;容器100によって表されるフィード源;イオン交換樹脂の共沸乾燥のための、容器156によって表される炭化水素源;ならびにイオン交換樹脂の酸洗浄および/または再生成のための、容器180によって表される水性HCl源を含む。
【0083】
本発明の一部の実施形態の場合、および図3をさらに参照すると、ブロモ化炭化水素および必要に応じて有機溶媒を含むフィードストリームは、容器100から導管103を通り、プレヒーター106(これは、フィードストリームを、例えば、30℃~200℃または50℃~177℃に加熱する)を通るよう送り込まれる。加熱したフィードは、プレヒーター106から導管109に送り込まれ、加熱したフィードストリームを導管112まで向かわせ、第1の固定床容器11の下側部分115に入るよう位置付けされている(または、方向が変えられた)弁110を通過する。加熱したフィードストリームは、第1の固定床容器11の内部まで通過すると、第1の固定床14のクロロ化イオン交換樹脂に接触し、これによって、フィードストリームのブロモ化炭化水素の少なくとも一部がクロロ化炭化水素に変換される。
【0084】
クロロ化炭化水素、必要に応じてブロモ化炭化水素、必要に応じて水、および必要に応じて有機溶媒を含む生成物ストリームは、導管121を介して、第1の固定床容器11の上側部分118から取り出される。生成物ストリームは送られて導管121を通り、導管127を介して相分離器130の上側部分133に向かわせるよう位置付けされている弁124を通る。非限定的な例示の目的として、生成物ストリームが、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタン、水および必要に応じて有機溶媒を含む場合、水を含む分離後の水性ストリームは、導管139を介して、相分離器130の上側部分133から除去される。分離後の水性ストリームは、保管、廃棄および/またはさらなる処理(図示せず)のために、ポンプ142によって送られ導管145を通る。1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタンおよび必要に応じて有機溶媒を含む分離後の有機ストリームは、導管148を介して、相分離器130の下側部分136から除去される。分離後の有機ストリームは、1,2-ジクロロエタンおよび1-ブロモ-2-クロロエタンを互いに分離するなどの、保管および/またはさらなる処理(図示されていない、1つまたはそれより多くのユニット操作による)のために、ポンプ151によって送られて、導管153を通る。分離/単離された1-ブロモ-2-クロロエタンは、一部の実施形態の場合、容器100および/または導管103へと送られ(図示されていない、1つまたはそれより多くの導管を介する)、第1の固定床容器11に再導入される。
【0085】
一部の実施形態によれば、および図3を参照すると、分離後の有機ストリーム(例えば、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタンおよび必要に応じて有機溶媒を含む)の少なくとも一部は、適切に調節した弁200およびリサイクル用導管203を介して導管103に通され、ここから、フィードストリーム(源100に由来)と必要に応じて一緒に、プレヒーター106、導管109、適切に調節された弁110、導管112を介して、固定床容器11まで通過する。当分野で認識されている方法によれば、1つまたはそれより多くの追加の弁(図示せず)および/または導管(図示せず)が、リサイクル用導管203および/もしくは導管153および/もしくは導管103に含まれ得る、ならびに/またはこれらに伴い得る。
【0086】
図3をさらに非限定的に参照すると、および本発明の一部の実施形態によれば、第1の固定床容器11内に存在する第1の固定床14は、湿潤イオン交換樹脂の総重量に対して(すなわち、イオン交換樹脂および水の総重量に対して)、30重量%より多い量の水を含む湿潤イオン交換樹脂を含む。湿潤イオン交換樹脂に、一部の実施形態の場合、共沸乾燥プロセスが施される。湿潤イオン交換樹脂の共沸乾燥は、一部の実施形態の場合、導管159を介して、容器156中に存在するなどの、炭水化物源からの液状炭化水素を送ることを含む。共沸乾燥プロセスの間、弁110は、フィードストリームが、導管109から、導管112を通り、第1の固定床容器11の下側部分115にまで通過するのを防止するよう位置付けされている(または、方向が変えられている)。液状炭化水素は、ポンプ162によって、導管165を介して気化器168にさらに送られ、この気化器は、液状炭化水素を加熱された炭化水素蒸気に変換する。加熱された炭化水素蒸気は、導管169を通り、導管121を介して、加熱された炭化水素蒸気を第1の固定床容器11の上側部分118に向かわせるよう位置付けされている(または、方向が変えられている)弁124を通るよう送られる。
【0087】
本発明の一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気が導管121を通過する際に、1つまたはそれより多くの熱電対(図示せず)によってその温度が測定されて記載される。加熱された炭化水素蒸気が導管121を通過する際の、その温度は、一部の実施形態の場合、40℃~150℃、または60℃~150℃、または80℃~150℃、または84℃~110℃である。
【0088】
第1の固定床容器11内では、加熱された炭化水素蒸気および湿潤イオン交換樹脂は一緒に接触されて、これによって、湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成し、これにより、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気の形成をさらにもたらす。湿潤蒸気は、導管112を介して、第1の固定床容器11の下側部分115から取り出される。湿潤蒸気は送られて導管112を通り、湿潤蒸気が導管171を介してコンデンサ174に向かうよう位置付けされている(または、方向が変えられている)弁110を通過し、上記のコンデンサにより、湿潤蒸気は、液状の水および液状炭化水素を含む湿潤液体(または湿潤縮合物)に変換される。湿潤液体は、導管177を介して、相分離器130に送られる。
【0089】
共沸乾燥プロセスに関する非限定的な例示の目的の場合、および本発明の一部の実施形態によれば、炭化水素蒸気は、1,2-ジクロロエタン蒸気および/または1-ブロモ-2-クロロエタン蒸気を含む。それに対応して、湿潤液体/湿潤縮合物は、液状の水、ならびに液状1,2-ジクロロエタンおよび/または液状1-ブロモ-2-クロロエタンを含み、湿潤液体/湿潤縮合物は、導管177を介して相分離器130に送られる。水を含む水性ストリームは、導管139を介して、相分離器130の上側部分133から抜き取られ、保管、廃棄および/またはさらなる処理(図示せず)のために、ポンプ142によって送られ、導管145を通る。液状1,2-ジクロロエタンおよび/または液状1-ブロモ-2-クロロエタンを含む有機ストリームは、相分離器130の下側部分136から導管148を介して抜き取られ、保管および/またはさらなる処理(図示せず)のために、ポンプ151によって導管153に送られる。
【0090】
本発明の一部の実施形態によれば、共沸乾燥プロセスを行う前に、湿潤イオン交換樹脂は、当分野で認識されている方法により分析されて、その水分含有量が求められる。共沸乾燥プロセスの間、第1の固定床容器11から除去された湿潤蒸気の1つまたはそれより多くの試料、およびさらに典型的には、コンデンサ174から除去された湿潤液体/縮合物を分析して、どの程度の水が湿潤イオン交換樹脂から除去されたかを求める。共沸乾燥プロセスの間に除去された水の量が、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含むイオン交換樹脂の形成をもたらすのに少なくとも十分となれば、共沸乾燥プロセスを停止する。続いて、ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームは、上記の通り、導管112を介して第1の固定床容器11に導入される。
【0091】
本発明の一部の実施形態の場合、例えば、第1の固定床容器11に搭載される新しいイオン交換樹脂は、以下に限定されないが、そこから汚染物質を除去すること、および/または新しいイオン交換樹脂が、少なくとも十分な量の塩化物イオン基を含むことを確実にすることを含めた目的のため、水性HClにより洗浄/処理される。本発明の一部のさらなる実施形態によれば、ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換した後、イオン交換樹脂は、塩化物イオン基の量が低下している(なぜなら、少なくとも一部の塩化物イオン基は、臭素イオン基と置き換わっているからである)。塩化物イオン基の量が低下したイオン交換樹脂には、一部の実施形態の場合、再生成プロセスが施され、このプロセスは、イオン交換樹脂を水性HClに接触させることを含む。
【0092】
洗浄および/または再生成のための水性HClは、任意の好適な量のHClを含むことができる。一部の実施形態の場合、水性HClは、0.5重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または3重量%~5重量%の量のHClを含み、重量%は、各場合において、水性HClの総重量に基づく(残部は、実質的に水を含む)。
【0093】
図3を参照すると、洗浄/再生成は、一部の実施形態の場合、容器180から水性HCl源を、導管183を介して、第1の固定床容器11の上側部分118に流すことを含む。HClによる洗浄プロセスおよび再生成プロセスの間、弁110は、フィードが、導管109から導管112まで流れ、第1の固定床容器11の下側部分115に入るのを防止するよう位置付けされている。水性HClおよび固定床14のイオン交換樹脂は、第1の固定床容器11内で一緒に接触され、これにより、イオン交換樹脂上の塩化物イオンの量が増加し、イオン交換樹脂上の臭素イオンの量が低下し、水、HBrおよび必要に応じてHClを含む、水性の洗浄後ストリーム/再生成後ストリームの形成をもたらす。水性の洗浄後ストリーム/再生成後ストリームは、導管112を介して固定床容器11の下側部分115から抜き取られ、水性の洗浄後ストリーム/再生成後ストリームが導管185を通過するよう位置付けされている/向きが変えられている弁110を通過し、導管185から、保管、廃棄および/またはさらなる処理(図示せず)へと送られる。一部の実施形態の場合、水性の洗浄後ストリーム/再生成後ストリーム中のHClのレベルが、十分に高い場合(例えば、その中のHBrの量よりも多い)、水性の洗浄後ストリーム/再生成後ストリームは、1つまたはそれより多くの導管(図示せず)によって、容器180および/または導管183に導入することができ、これによって、第1の固定床容器11の上側部分118に再導入される。
【0094】
本発明の一部の実施形態によれば、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%より多い量の水を含む湿潤イオン交換樹脂は、ガスを湿潤イオン交換樹脂上に連続的に流す(および/またはこれに通す)などによりガスを接触させることによって乾燥することができる。一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂を乾燥するために使用されるガス(または乾燥用ガス)は、存在し得るイオン交換樹脂および/または残留有機物質に有害に影響しない、および/またはこれらと相互作用しない、1つまたはそれより多くの不活性ガスから選択される。乾燥用ガスのクラスおよび例には、以下に限定されないが、アルゴンなどの希ガス、窒素、CO、空気、およびそれらの組合せが含まれる。一部のさらなる実施形態の場合、乾燥用ガスは、湿潤イオン交換樹脂を接触する際に、40℃~250℃または60℃~150℃の温度などの高温に加熱される。
【0095】
非限定的な例示目的として、および図3を参照すると、窒素などの乾燥用ガス(必要に応じて、高温に加熱されている)が(図示していない導管から)導管169に導入され、適切に調節した弁124および導管121を介して、固定床容器11の上側部分118に流れる。乾燥用ガスは、固定床容器11を通り、固定床14の湿潤イオン交換樹脂上を流れる。水を含む湿潤乾燥用ガス(水蒸気など)は、導管112を介して、固定床容器11の下側部分115から除去される。一部の実施形態では、湿潤乾燥用ガスは、適切に調節した弁110および導管185を介するなどの、そこから水を除去するなどのさらなる処理へと送ることができる。
【0096】
本発明によれば、湿潤イオン交換樹脂を含む固定床をその中に含む固定床容器を用意するステップを含む、乾燥イオン交換樹脂を形成する方法であって、湿潤イオン交換樹脂が、第1の量の水を有する、方法が提供される。
【0097】
乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の固定床容器は、一部の実施形態の場合、第1の固定床容器に関して、本明細書において既に記載されている通りである。
【0098】
一部の実施形態の場合、乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の固定床容器の固定床は、湿潤イオン交換樹脂または乾燥イオン交換樹脂によって画定される。湿潤イオン交換樹脂および乾燥イオン交換樹脂のイオン交換樹脂は、以下に限定されないが、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂などの任意のイオン交換樹脂から選択することができる。一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂および乾燥イオン交換樹脂のイオン交換樹脂は、各場合において、ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法のイオン交換樹脂に関して、本明細書において既に記載した塩化物イオン基(Cl基)を含む、陰イオン交換樹脂である。
【0099】
一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂および乾燥イオン交換樹脂のイオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂(例えば、0.1nm~100nm、または0.1nm~50nm、または0.1nm~20nm、または1nm~2nmの平均細孔サイズを有する);マクロ多孔質型イオン交換樹脂(例えば、5nm~20,000nm、または10nm~10,000nm、または15nm~5000nm、または20nm~100nmの平均細孔サイズを有する);またはそれらの組合せから選択される。一部の実施形態によれば、湿潤イオン交換樹脂および乾燥イオン交換樹脂のイオン交換樹脂は、マクロ多孔質型イオン交換樹脂から選択される。本発明の一部のさらなる実施形態によれば、マクロ多孔質型イオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂と比較して、反応速度の改善をもたらす。
【0100】
湿潤イオン交換樹脂は、第1の量の水を含む。一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂は、湿潤イオン交換樹脂の総重量に対して(すなわち、イオン交換樹脂および水の総重量に対して)、0重量%より多くから200重量%未満もしくはそれに等しいまで、または0重量%より多くから100重量%未満もしくはそれに等しいまでの量の水(すなわち、第1の量の水)を含む。一部のさらなる実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂は、5重量%~95重量%、または10重量%~90重量%、または15重量%~85重量%、または20重量%~80重量%、または25重量%~75重量%、または30重量%~70重量%、または35重量%~65重量%(列挙した値を含む)の量の水(すなわち、第1の量の水)を含み、重量%は、各場合において、湿潤イオン交換樹脂の総重量に基づく。一部の実施形態の場合、湿潤イオン交換樹脂は、30重量%より多い、例えば30重量%より多くから200重量%まで、または30重量%より多くから100重量%まで、または30重量%より多くから90重量%までの量の水(すなわち、第1の量の水)を含み、重量%は、各場合において、水を含む湿潤イオン交換樹脂の総重量に基づく。
【0101】
乾燥イオン交換樹脂を形成する方法は、固定床容器内で、湿潤イオン交換樹脂、および湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気を一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップをさらに含む。
【0102】
乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の場合、用語「炭化水素蒸気」に関する用語「蒸気」は、加熱した炭化水素が気相中に存在することを意味する。加熱された炭化水素蒸気の温度は、これが、第1の固定床容器内の圧力下で、湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成することができるよう選択される。一部の実施形態の場合、乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の間の固定床容器内の圧力は、1気圧などの、実質的に周囲圧である。一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気の温度は、固定床容器に導入されると、40℃~150℃、または60℃~150℃、または80℃~150℃、または84℃~110℃である。
【0103】
本明細書で使用する場合、乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の場合、用語「水蒸気」に関する用語「蒸気」は、気相中に存在する水を意味する。
【0104】
本発明の乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の一部の実施形態によれば、加熱された炭化水素蒸気は、非ハロゲン置換炭化水素、ハロゲン置換炭化水素またはそれらの組合せから選択される。乾燥イオン交換樹脂を形成する方法に使用される、非ハロゲン置換炭化水素およびハロゲン置換炭化水素はそれぞれ、ブロモ化炭化水素からクロロ化炭化水素に変換する方法の共沸乾燥部分に関して、本明細書において先に記載されているそのようなクラスおよび例から独立して選択することができる。一部の実施形態の場合、加熱された炭化水素蒸気の炭化水素は、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタンまたはそれらの組合せから選択される、ハロゲン置換炭化水素である。
【0105】
乾燥イオン交換樹脂を形成する方法は、固定床容器から湿潤蒸気を除去し、これによって、第2の量の水を含む乾燥イオン交換樹脂を形成させるステップであって、(乾燥イオン交換樹脂の)第2の量の水が、(湿潤イオン交換樹脂の)第1の量の水より少ない、ステップをさらに含む。固定床容器から除去される湿潤蒸気は、一部の実施形態の場合、炭化水素蒸気および水蒸気を含む。
【0106】
乾燥イオン交換樹脂の水の第2の量は、乾燥イオン交換樹脂および水の総重量に対して、0重量%から100重量%未満などの任意の量とすることができ、但し、(乾燥イオン交換樹脂の)第2の水の量は、(湿潤イオン交換樹脂の)第1の量の水より少ないことを条件とする。
【0107】
一部の実施形態の場合、第2の量の水は、乾燥イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい。一部のさらなる実施形態の場合、第2の量の水は、0重量%より多くもしくはそれに等しいから30重量%未満もしくはそれに等しいまで、または0.25重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1.5重量%~10重量%、または2重量%~5重量%であり、重量%は、各場合において、乾燥イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。一部の追加的な実施形態の場合、第2の量の水は、0重量%より多くもしくはそれに等しいから0.25重量%まで、または0重量%より多くもしくはそれに等しいから0.15重量%まで、または0重量%より多くもしくはそれに等しいから0.1重量%まで、または0重量%より多くもしくはそれに等しいから0.05重量%までであり、重量%は、各場合において、乾燥イオン交換樹脂および水の総重量に基づく。
【0108】
(湿潤イオン交換樹脂の)第1の量の水および(乾燥イオン交換樹脂の)第2の量の水は、それぞれ、以下に限定されないが、カールフィッシャー容量滴定および/またはカールフィッシャー電量滴定などによる、本明細書において先に記載されているそのような方法を含めた、当分野で認識されている方法に準拠して求めることができる。
【0109】
乾燥イオン交換樹脂を形成する方法は、ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法の共沸乾燥部分に関して、本明細書において先に提示されている記載に準拠した図面の図3を参照して記載することができる。図3を参照すると、各場合において、第1の固定床容器11は、本発明による乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の固定床容器であり、第1の固定床14は、本発明による乾燥イオン交換樹脂を形成する方法の固定床である。
【0110】
本発明は、以下の非限定的な項のうちの1つまたはそれより多くをさらに特徴とすることができる。
【0111】
項1:ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)ブロモ化炭化水素を用意するステップであって、ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)ブロモ化炭化水素および塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップであって、イオン交換樹脂が、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含んでおり、これによって、ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、ブロモ化炭化水素の少なくとも一部をクロロ化炭化水素に変換する、ステップ、ならびに
(c)前記イオン交換樹脂からクロロ化炭化水素を単離するステップ
を含む、方法。
【0112】
項2:イオン交換樹脂が、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、前記ブロモ化炭化水素が、あるモル当量の置き換え可能なブロモ基を有しており、イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量とブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基の前記モル当量との比が、少なくとも0.5:1または少なくとも1:1である、項1の方法。
【0113】
項3:イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量とブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基のモル当量との比が、0.5:1~100:1、または0.5:1~10:1、または0.5:1~4:1、または1:1~4:1である、項2の方法。
【0114】
項4:ブロモ化炭化水素にイオン交換樹脂を接触させるステップが、少なくとも30℃(または少なくとも50℃)の温度で行われ、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素へのモル変換率が、各場合において、ブロモ化炭化水素の初期モル数に対して、少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%である、項1~3のいずれか1つの方法。
【0115】
項5:ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、30℃~200℃(または50℃~177℃)の温度で行われる、項1~4のいずれか1つの方法。
【0116】
項6:ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素基および/または少なくとも1つのブロモ化脂環式族炭化水素基を含む、直鎖状または分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素、ブロモ化脂環式族炭化水素、芳香族炭化水素、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、項1~5のいずれか1つの方法。
【0117】
項7:ブロモ化炭化水素が、直鎖状または分枝状のブロモ化C~C20アルカン、ブロモ化C~Cシクロアルカン、少なくとも1つの直鎖状または分枝状のブロモ化C~C20アルキル基を有するベンゼン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項6の方法。
【0118】
項8:ブロモ化炭化水素が、それに共有結合した少なくとも1つのクロロ基を有する少なくとも1つのsp混成炭素をさらに含み、それに結合した少なくとも1つのクロロ基を有する前記sp混成炭素が、それに結合した少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を有するsp混成炭素と同じであるか、またはこれと異なる、項1~7のいずれか1つの方法。
【0119】
項9:ブロモ化炭化水素が、1-ブロモ-2-クロロエタンを含み、クロロ化炭化水素が、1,2-ジクロロエタンを含む、項8の方法。
【0120】
項10:前記ブロモ化炭化水素がブロモクロロメタンを含み、前記クロロ化炭化水素がジクロロメタンを含む、項8の方法。
【0121】
項11:イオン交換樹脂が、イオン交換樹脂の総重量に対して、1重量%~10重量%の量の水を含む、項1~10のいずれか1つの方法。
【0122】
項12:ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、有機溶媒の存在下で行われ、有機溶媒が、ブロモ基を含まない、炭化水素、クロロ化炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、項11の方法。
【0123】
項13:ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームを用意するステップであって、ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を含む第1の固定床を含む第1の固定床容器を用意するステップであって、イオン交換樹脂が、イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む、ステップ
(c)第1の固定床容器にフィードストリームを導入し、第1の固定床容器内で、ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させ、これによって、ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、ブロモ化炭化水素の少なくとも一部をクロロ化炭化水素に変換するステップ、ならびに
(d)第1の固定床容器から生成物ストリームを抜き取るステップであって、生成物ストリームが、クロロ化炭化水素を含む、ステップ
を含む、方法。
【0124】
項14:生成物ストリームの少なくとも一部は第1の固定床容器に導入される、項13の方法。
【0125】
項15:乾燥剤を含む第2の固定床を含む第2の固定床容器を用意するステップ、
生成物ストリームの少なくとも一部を第2の固定床容器に導入し、これによって、生成物ストリームから残留水の少なくとも一部を除去し、乾燥済み生成物ストリームを形成させるステップ、および
乾燥済み生成物ストリームを第2の固定床容器から取り出すステップ
をさらに含む、項13または14の方法。
【0126】
項16:乾燥剤が、CaCl、アルミナ、シリカ、モレキュラーシーブおよびそれらの組合せから選択される、項15の方法。
【0127】
項17:乾燥済み生成物ストリームの少なくとも一部を第1の固定床容器に導入するステップ
をさらに含む、項15の方法。
【0128】
項18:前記第1の固定床のイオン交換樹脂が、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、
第1の固定床を含む第1の固定床容器が、最大静的フィード体積を有しており、
最大静的フィード体積に等しいフィードストリームの体積が、置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量をもたらし、
イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量と置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量の比が、少なくとも0.5:1または少なくとも1:1である、
項13~17のいずれか1つの方法。
【0129】
項19:イオン交換樹脂の塩化物イオン基のモル当量と置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量の比が、0.5:1~100:1、または0.5:1~10:1、または0.5:1~4:1、または1:1~4:1である、項18の方法。
【0130】
項20:第1の固定床容器内で、ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、少なくとも30℃(または少なくとも50℃)の温度で行われ、ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素へのモル変換率が、各場合において第1の固定床容器を通過したブロモ化炭化水素の合計モル数に対して、少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%である、項13~19のいずれか1つの方法。
【0131】
項21:第1の固定床容器内で、ブロモ化炭化水素およびイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、30℃~200℃(または50℃~177℃)の温度で行われる、項13~20のいずれか1つの方法。
【0132】
項22:前記第1の固定床が、湿潤イオン交換樹脂であって、前記湿潤イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%より多い量の水を含む、湿潤イオン交換樹脂を含み、
前記方法が、前記湿潤イオン交換樹脂に共沸乾燥プロセスを施すことによって、前記湿潤イオン交換樹脂を、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む前記イオン交換樹脂に変換するステップをさらに含み、前記共沸乾燥プロセスが、
前記第1の固定床容器内で、前記湿潤イオン交換樹脂と、前記湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気とを一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップ、ならびに
前記第1の固定床容器から前記湿潤蒸気を除去し、これによって、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む、前記イオン交換樹脂を形成させるステップ
を含む、項13の方法。
【0133】
項23:前記共沸乾燥プロセスが、前記第1の固定床容器への前記フィードストリームの導入前に行われる、項22の方法。
【0134】
項24:前記加熱された炭化水素蒸気の炭化水素が、非ハロゲン置換炭化水素、ハロゲン置換炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、項22または23の方法。
【0135】
項25:ハロゲン置換炭化水素が、クロロ置換炭化水素、ブロモ置換炭化水素、クロロおよびブロモ置換炭化水素、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、項24の方法。
【0136】
項26:ハロゲン置換炭化水素が、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、項25の方法。
【0137】
項27:加熱された炭化水素蒸気が、40℃~150℃、または60℃~150℃、または80℃~150℃、または84℃~110℃の温度を有する、項22~26のいずれか1つの方法。
【0138】
項28:湿潤イオン交換樹脂が、30重量%より多く、90重量%未満またはそれに等しい量の水を含み、重量%が、各場合において、湿潤イオン交換樹脂の総重量に基づく、項22~27のいずれか1つの方法。
【0139】
項29:乾燥イオン交換樹脂を形成させる方法であって、
(a)湿潤イオン交換樹脂を含む固定床を含む固定床容器を用意するステップであって、前記湿潤イオン交換樹脂が、第1の量の水を含む、ステップ、
(b)前記固定床容器内で、前記湿潤イオン交換樹脂と、前記湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気とを一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップ、ならびに
(c)前記固定床容器から前記湿潤蒸気を除去し、これによって、第2の量の水を含む前記乾燥イオン交換樹脂を形成させるステップであって、前記第2の量の水が、前記第1の量の水より少ない、ステップ
を含む、方法。
【0140】
項30:前記第1の量の水が、水を含む前記湿潤イオン交換樹脂の総重量に対して30重量%より多く、
前記第2の量の水が、前記乾燥イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい、
項29の方法。
【0141】
項31:前記加熱された炭化水素蒸気の炭化水素が、非ハロゲン置換炭化水素、ハロゲン置換炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、項29または30の方法。
【0142】
項32:ハロゲン置換炭化水素が、クロロ置換炭化水素、ブロモ置換炭化水素、クロロおよびブロモ置換炭化水素、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、項31の方法。
【0143】
項33:ハロゲン置換炭化水素が、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、項32の方法。
【0144】
項34:加熱された炭化水素蒸気が、40℃~150℃、または60℃~150℃、または80℃~150℃、または84℃~110℃の温度を有する、項29~33のいずれか1つの方法。
【0145】
本発明は、以下に続く実施例により詳細に記載されており、この実施例は、その中において多数の改変および変形が当業者に明白であるので、単なる例示に過ぎないことが意図されている。
【実施例
【0146】
(実施例1)
本発明による、1-ブロモ-n-ブタンの1-クロロ-n-ブタンへの変換は、以下の通り行った。
【0147】
磁気撹拌子、外部および下部の加熱マントルに接続した内部熱電対、コンデンサならびに窒素スイープ(nitrogen sweep)を備えた250mL(ミリリットル)の3つ口丸底フラスコをこの実施例に使用した。このフラスコに、クロロ化陰イオン交換樹脂の総重量に対して、3重量%の水分含有量および32.5mmol(ミリ-モルまたはミリモル)の全塩化物イオン含有量を有する8.73グラムの乾燥クロロ化陰イオン交換樹脂を加えた。クロロ化陰イオン交換樹脂は、Purolite PPA 500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂であり、これは、入手時に、54重量%の水分含有量を最初に有した。最初または湿潤Purolite PPA 500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂をメタノールで洗浄し、次に、一定重量が測定されるまで減圧を施し、この時点で、3重量%の水分含有量を有すると求まった。
【0148】
このフラスコに、3.9重量%の1-ブロモ-n-ブタン(28.81mmol)および96.1重量%のテトラクロロエチレンを含有する100.67グラムの有機組成物も加え、重量%は、有機組成物の総重量に基づいた。有機組成物の試料をフラスコに添加する前に、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0149】
このフラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより15分間の期間にわたり、25℃から90℃まで加熱した。フラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜで24時間、90℃に保持し、その時間の間、試料を0、1、2、3、20および24時間時に採取し、残留する1-ブロモ-n-ブタンの面積%、および形成した1-クロロ-n-ブタンの面積%をガスクロマトグラフィーによって分析した。ガスクロマトグラフィー分析の結果は、以下の表1に要約されており、用語「ブロモブタン」は、1-ブロモ-n-ブタンを意味し、用語「クロロブタン」は、1-クロロ-n-ブタンを意味する。
【表1】
(a)以下の式を使用してガスクロマトグラフィーによって求めた:
100-[{(初期ブロモブタンの面積%-試料中のブロモブタンの面積%)/(初期ブロモブタンの面積%)}×100]
【0150】
(実施例2)
本発明による、1-ブロモ-2-クロロエタンの1,2-ジクロロエタンへの変換は、以下の通り行った。
【0151】
磁気撹拌子、外部および下部の加熱マントルに接続した内部熱電対、コンデンサならびに窒素スイープを備えた250mLの3つ口丸底フラスコをこの実施例に使用した。このフラスコに、クロロ化陰イオン交換樹脂および水の総重量に対して、3重量%の水分含有量および54.5mmolの全塩化物イオン含有量を有する14.36グラムの乾燥クロロ化陰イオン交換樹脂を加えた。クロロ化陰イオン交換樹脂は、クロロ化陰イオン交換樹脂であるPurolite PPA500PLUSとし、これは、入手時に、54重量%の水分含有量を最初に有した。最初または湿潤Purolite PPA 500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂をメタノールで洗浄し、次に、一定重量が測定されるまで減圧を施し、この時点で、3重量%の水分含有量を有すると求まった。
【0152】
このフラスコに、4.39重量%の1-ブロモ-2-クロロエタン(22.87mmol)、73.78重量%のテトラクロロエチレンおよび21.82重量%の1,1,2-トリクロロエタンを含有する74.7グラムの有機組成物も加え、重量%は、有機組成物の総重量に基づいた。有機組成物の試料をフラスコに添加する前に、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0153】
このフラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより15分間の期間にわたり、20℃から90℃まで加熱した。フラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより22時間、90℃に保持し、その時間の間、試料を0、1、2、3および22時間時に採取し、残留する1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%、および形成した1,2-ジクロロエタンの面積%をガスクロマトグラフィーによって分析した。ガスクロマトグラフィー分析の結果は、以下の表2に要約されている。
【表2】
(b)以下の式を使用してガスクロマトグラフィーによって求めた:
100-[{(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%-試料中の1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)/(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)}×100]
【0154】
比較例
クロロ化陰イオン交換樹脂の総重量に対し、54重量%の水分含有量を有するクロロ化陰イオン交換樹脂を使用して、1-ブロモ-2-クロロエタンの1,2-ジクロロエタンへの変換は以下の通り行った。
【0155】
磁気撹拌子、外部および下部の加熱マントルに接続した内部熱電対、コンデンサならびに窒素スイープを備えた250mLの3つ口丸底フラスコをこの実施例に使用した。このフラスコに、クロロ化陰イオン交換樹脂および水の総重量に対して、54重量%という入手したままの水分含有量および59.95mmolの全塩化物イオン含有量を有する34.97グラムの入手したままのPurolite PPA500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂を加えた。
【0156】
このフラスコに、4.39重量%の1-ブロモ-2-クロロエタン(22.77mmol)、73.78重量%のテトラクロロエチレンおよび21.82重量%の1,1,2-トリクロロエタンを含有する74.4グラムの有機組成物も加え、重量%は、有機組成物の総重量に基づいた。有機組成物の試料をフラスコに添加する前に、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0157】
このフラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより19分間の期間にわたり、20℃から86℃(還流)まで加熱した。フラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより、22時間、86℃(還流)に保持し、その時間の間、試料を0、1、2、4、6および22時間時に採取し、残留する1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%、および形成した1,2-ジクロロエタンの面積%をガスクロマトグラフィーによって分析した。フラスコの内容物を22時間、86℃に維持している経過中に、このフラスコの内表面に水の凝縮が観察された(反応混合物の表面より上)。観察された水の凝縮は、1-ブロモ-2-クロロエタンが、1,2-ジクロロエタンに変換されて、予期したものよりもかなりの程度まで進行したと仮定した。ガスクロマトグラフィー分析の結果が、以下の表3に要約されている。
【表3】
(c)以下の式を使用してガスクロマトグラフィーによって求めた:
100-[{(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%-試料中の1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)/(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)}×100]
【0158】
上記の実施例の結果は、実施例1および2によって示されているものなどの、本発明によるブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素への変換は、温度および時間を含む類似の反応条件下での比較例によって表されるものなどの同等なプロセス(63.7%変換率)と比べると、望ましくて予想外に高いレベルの変換率(92.0%および98.5%の変換率)を実現することができることを実証している。
【0159】
(実施例3)
本発明による、ブロモクロロメタンのジクロロメタンへの変換は、以下の通り行った。
【0160】
磁気撹拌子、外部および下部の加熱マントルに接続した内部熱電対、コンデンサならびに窒素スイープを備えた250mLの3つ口丸底フラスコをこの実施例に使用した。このフラスコに、クロロ化陰イオン交換樹脂および水の総重量に対して、3重量%の水分含有量および74.8mmolの全塩化物イオン含有量を有する19.71グラムの乾燥クロロ化陰イオン交換樹脂を加えた。クロロ化陰イオン交換樹脂は、クロロ化陰イオン交換樹脂であるPurolite PPA 500PLUSとし、これは、入手時に、54重量%の水分含有量を最初に有した。最初または湿潤Purolite PPA500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂をメタノールで洗浄し、次に、一定重量が測定されるまで、窒素ガスのストリームを施し、この時点で、3重量%の水分含有量を有すると求まった。
【0161】
このフラスコに、6.91重量%のブロモクロロメタン(48.85mmol)および93.09重量%のクロロホルムを含有する89.62グラムの有機組成物も加え、重量%は、有機組成物の総重量に基づいた。有機組成物の試料をフラスコに添加する前に、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0162】
このフラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより12分間の期間にわたり、20℃から63℃まで加熱した。フラスコの内容物を、連続窒素スイープ下、磁気撹拌子によって行われる連続かき混ぜにより24時間、60~63℃に保持し、その時間の間、試料を2、4、6および24時間時に採取し、残留するブロモクロロメタンの面積%、および形成したジクロロメタンの面積%をガスクロマトグラフィーによって分析した。ガスクロマトグラフィー分析の結果が、以下の表4に要約されている。
【表4】
(d)以下の式を使用してガスクロマトグラフィーによって求めた:
100-[{(初期ブロモクロロメタンの面積%-試料中のブロモクロロメタンの面積%)/(初期ブロモクロロメタンの面積%)}×100]
【0163】
上の実施例3の結果は、本発明によるブロモ化炭化水素(この場合、ブロモクロロメタン)のクロロ化炭化水素(この場合、ジクロロメタン)への変換は、変換率の望ましくて予想外に高いレベル(94.6%の変換率)で実現することができることを実証している。
【0164】
(実施例4)
本発明による1-ブロモ-2-クロロエタンの1,2-ジクロロエタンへの変換は、クロロ化イオン交換樹脂を含有するガラス製カラムを使用して、以下の通り行った。
【0165】
約480mLの内部体積を有するガラス製カラムは、Ace Glassから商業的に得た(部品番号5820-104;450mm長;内径37mm)。このガラス製カラムに、Purolite PPA500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂(約470mLの体積を有する)303.3グラムを加えた。ガラス製カラムに添加されたクロロ化陰イオン交換樹脂は、その総重量に対して54重量%の水、および18.43グラムのCl(519.94mmolのCl)を含んだ。100℃に設定した外部加熱ブランケットでこのガラス製カラムの外側を包み込んだ状態で、クロロ化陰イオン交換樹脂をガラス製カラム内で、500sccm(毎分標準立方センチメートル)の窒素ガスを18時間の期間をかけてカラムに通すことによって乾燥した。
【0166】
外部加熱ブランケットの温度を60℃に設定して、60℃に維持しながら、1-ブロモ-2-クロロエタン(361.84mmol)、テトラクロロエチレンおよび1,1,2-トリクロロエタンからなるフィード混合物1143.5グラムを、120.4時間かけてガラス製カラムに連続的に供給(ポンプ注入)し、これは、ガラス製カラム中で、1回の通過で48時間の滞留時間をもたらした。5つの個別の試料をガラス製カラムの上部から採取し、以下の表5に要約されている通り分析した。フィード混合物の最初の試料を採取し(ガラス製カラムの底部に供給する前)、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【表5】
(1)外部加熱ブランケット(ガラス製カラムの周りを包んだ)の設定温度。
(2)1-ブロモ-2-クロロエタンの低下量は、以下の式を使用して、ガスクロマトグラフィーによって求めた:
{(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%-試料中の1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)/(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)}×100
【0167】
ガラス製カラムの上部から出てきた生成物ストリームを120.4時間かけて、全体として採取し(表4に要約した5つの個別の試料とは別)、ガスクロマトグラフィーによって分析し、元のフィード試料中の1-ブロモ-2-クロロエタンの90.4面積%分が、1,2-ジクロロエタンに変換されたと求まった(上記の式を使用)。全体として採取した生成物ストリームは、116ppmの水を含有していることも分かった(カールフィッシャー電量滴定分析によって求めた)。
【0168】
上の実施例4の結果は、クロロ化陰イオン交換樹脂(総重量に対して、3~10重量%などの30重量%未満またはそれに等しい水分含有量を有する)を含む固定床を含む固定床容器(またはカラム)を使用する、本発明によるブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素への変換率は、90.4重量%などの、望ましくて予想外に高いレベルで実現することができることを実証している。
【0169】
(実施例5)
本発明による1-ブロモ-2-クロロエタンの1,2-ジクロロエタンへの変換は、複数の酸洗浄/再生成および乾燥のサイクルと連携し、クロロ化イオン交換樹脂を含有するガラス製カラムを使用して、以下の通り行った。
【0170】
約480mLの内部体積を有するガラス製カラムは、Ace Glassから商業的に得た(部品番号5820-104;450mm長;内径37mm)。このガラス製カラムに、Purolite PPA500PLUSクロロ化陰イオン交換樹脂(約470mLの体積を有する)305グラムを加えた。ガラス製カラムに添加されたクロロ化陰イオン交換樹脂は、その総重量に対して54重量%の水、および522.86mmolのClを含んだ。
【0171】
(A)酸洗浄/再生成ステップ:
【0172】
クロロ化陰イオン交換樹脂を含有するガラス製カラムに、2リットルの2モル濃度のHClを4時間の期間をかけて流した。
【0173】
(B)乾燥ステップ:
【0174】
酸洗浄/再生成した湿潤クロロ化陰イオン交換樹脂を、60℃に予め加熱した窒素ガスをガラス製カラムに15時間、連続的に通すことによって、ガラス製カラム内で乾燥させた(70℃に設定した外部加熱ブランケットをガラス製カラムの周りに包んだ状態で)。
【0175】
(C)ブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素への変換ステップ:
【0176】
乾燥ステップの完了後、加熱ブランケットの温度を105℃に昇温した。ガラス製カラムの外部温度を105℃と測定すると、ガラス製カラムおよび陰イオン交換樹脂の温度を平衡にする目的で、このガラス製カラムを1時間、105℃に保持した。平衡後、加熱ブランケットを105℃に維持した。
【0177】
外部加熱ブランケットの温度を105℃に設定して、105℃に維持しながら、1-ブロモ-2-クロロエタン(950.11mmol)、テトラクロロエチレンおよび1,1,2-トリクロロエタンからなるフィード混合物1145グラムを、以下の表6に示した供給速度(g/分)でガラス製カラムに連続的に供給(ポンプ注入)した。約460~470mLの生成物をガラス製カラムの上部から採取し、ガスクロマトグラフィーによって分析すると、以下の表6に要約されている通り、1-ブロモ-2-クロロエタンの1,2-ジクロロエタンへの変換率が求まった。
【0178】
(D)カラムの冷却および排出ステップ:
【0179】
加熱ブランケットの電源を切った。ガラス製カラムの温度が50℃未満であると求まると、窒素ガスをガラス製カラムに通すことによって、残留液体をガラス製カラムから排出した。
【0180】
ガラス製カラムが残留液体を排出すると同時に、上記の要約したステップ(A)~(D)を繰り返した。すべてにおいて、ガラス製カラムに元々導入したクロロ化陰イオン交換樹脂を使用して、個別の(A)~(D)のサイクルを15回、上記の通りに行った。15回の個別のサイクルの結果が、以下の表6に要約されている。
【表6】
(3)ガスクロマトグラフィーによって求めた、フィード混合物の合計面積に対する、フィード混合物中に存在する、1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%に相当する。
(4)以下の式を使用して、ガスクロマトグラフィーによって求めた、1-ブロモ-2-クロロエタンの1,2-ジクロロエタンへの変換面積%:
{(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%-試料中の1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)/(初期1-ブロモ-2-クロロエタンの面積%)}×100
【0181】
上の実施例5の結果は、本発明によるブロモ化炭化水素のクロロ化炭化水素への変換が、複数の酸洗浄/再生成および乾燥のサイクルと連携して、最初に充填した同じ陰イオン交換樹脂を使用して行うことができることを実証している。
【0182】
(実施例6)
乾燥イオン交換樹脂の形成は、本発明による湿潤イオン交換樹脂を共沸乾燥することによって、以下の通り行った。
【0183】
約480mLの内部体積を有するガラス製カラムは、Ace Glassから商業的に得た(部品番号5820-104;450mm長;内径37mm)。このガラス製カラムに、入手したままのPurolite PPA500Plus(Cl)イオン交換樹脂(約470mLの体積を有し、イオン交換樹脂の総重量に対して、54重量%の水に相当する約163.8gの水を含有する)303.3gを加えた。2リットルの1モル濃度のHClを、ガラス製カラム内のイオン交換樹脂に流した。HCl洗浄ステップの完了後、および共沸乾燥の前に、窒素ガスのストリームをガラス製カラムに流して、イオン交換樹脂から液体バルクを除去した。
【0184】
気化装置は、ポンプとガラス製カラムの下側部分に位置付けされた入口との間のフィード用導管中のライン内に位置付けされた。ガラス製カラム内の縮合物の形成を最小限にすること、またはこれを防止することを含めた目的で、外部加熱ブランケットをガラス製カラムの外側の周りを包んで90℃に設定した。出口導管をガラス製カラムの上側部分に位置付けさせた。入口および出口を位置付けさせることにより、ガラス製カラム内のイオン交換樹脂を通る蒸気の上方向の流れをもたらした。
【0185】
第1の段階では、2時間の期間にわたり、1111.7gの湿潤1,2-ジクロロエタン(カールフィッシャー電量滴定によって求めると、1276ppmの水を含有)を、86℃~89℃の温度を有する蒸気としてガラス製カラムに連続的に供給した。共沸乾燥プロセスの第1段階の間に、ガラス製カラムから合計で43.44gの水を除去して、採取した。
【0186】
第2の連続した後続段階において、4.25時間の期間にわたり、2471.3g(約2リットル)の無水1,2-ジクロロエタン(MilliporeSigmaから商業的に得た)を、88℃~105℃の温度を有する蒸気として、ガラス製カラムに連続的に供給した。共沸乾燥プロセスの第2の段階の間に、ガラス製カラムから合計で75.32gの水を除去して、採取した。
【0187】
第3の連続した後続の段階において、7.5時間の期間にわたり、2236.7gのリサイクルした1,2-ジクロロエタン(カールフィッシャー電量滴定によって求めると、1809ppmの水を含有)を、92℃~100℃の温度を有する蒸気としてガラス製カラムに連続的に供給した。共沸乾燥プロセスの第3段階の間に、ガラス製カラムから合計で26.30gの水を除去して、採取した。
【0188】
第4の連続した後続の最終段階において、3.5時間の期間にわたり、2,127.2gの無水1,2-ジクロロエタン(MilliporeSigmaから商業的に得た)を、87℃~104℃の温度を有する蒸気として、ガラス製カラムに連続的に供給した。共沸乾燥プロセスのこの第4の段階の間に、ガラス製カラムから合計で1.50gの水を除去して、採取した。第4の段階の終了時にガラス製カラムの上部から採取した1,2-ジクロロエタンは、894ppmの水を含有していると求まった(カールフィッシャー電量滴定によって)。
【0189】
合計で7946.9g(約6.36リットル)の1,2-ジクロロエタン蒸気を使用して、4つの共沸乾燥段階のすべてから、合計で146.56gの水をガラス製カラムから除去して採取した。
【0190】
本発明は、その特定の実施形態の具体的な詳細を参照しながら記載されている。しかし、このような詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれている範囲および程度を除いて、本発明の範囲に対する制限と見なされることを意図するものではい。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)前記ブロモ化炭化水素を用意するステップであって、前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp 混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)前記ブロモ化炭化水素および塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を一緒に接触させるステップであって、前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含んでおり、これによって、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも一部を前記クロロ化炭化水素に変換する、ステップ、ならびに
(c)前記イオン交換樹脂から前記クロロ化炭化水素を単離するステップ
を含む、方法。
(項2)
前記イオン交換樹脂が、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、前記ブロモ化炭化水素が、あるモル当量の置き換え可能なブロモ基を有しており、前記イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量と前記ブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基の前記モル当量との比が、少なくとも0.5:1である、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量と前記ブロモ化炭化水素の置き換え可能なブロモ基の前記モル当量との前記比が、0.5:1~100:1である、上記項2に記載の方法。
(項4)
前記ブロモ化炭化水素に前記イオン交換樹脂を接触させるステップが、少なくとも30℃の温度で行われ、前記ブロモ化炭化水素の前記クロロ化炭化水素へのモル変換率が、ブロモ化炭化水素の初期モル数に対して少なくとも30%である、上記項1に記載の方法。
(項5)
前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、30℃~200℃の温度で行われる、上記項4に記載の方法。
(項6)
前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素基および/または少なくとも1つのブロモ化脂環式族炭化水素基を含む、直鎖状または分枝状のブロモ化脂肪族炭化水素、ブロモ化脂環式族炭化水素、芳香族炭化水素、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、上記項1に記載の方法。
(項7)
前記ブロモ化炭化水素が、直鎖状または分枝状のブロモ化C ~C 20 アルカン、ブロモ化C ~C シクロアルカン、少なくとも1つの直鎖状または分枝状のブロモ化C ~C 20 アルキル基を有するベンゼン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、上記項6に記載の方法。
(項8)
前記ブロモ化炭化水素が、それに共有結合した少なくとも1つのクロロ基を有する少なくとも1つのsp 混成炭素をさらに含み、さらに、それに結合した少なくとも1つのクロロ基を有する前記sp 混成炭素が、それに結合した少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を有する前記sp 混成炭素と同じであるか、またはこれと異なる、上記項1に記載の方法。
(項9)
前記ブロモ化炭化水素が、1-ブロモ-2-クロロエタンを含み、前記クロロ化炭化水素が、1,2-ジクロロエタンを含む、上記項8に記載の方法。
(項10)
前記ブロモ化炭化水素が、ブロモクロロメタンを含み、前記クロロ化炭化水素が、ジクロロメタンを含む、上記項8に記載の方法。
(項11)
前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、1重量%~10重量%の量の水を含む、上記項1に記載の方法。
(項12)
前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、有機溶媒の存在下で行われ、前記有機溶媒が、ブロモ基を含まない、炭化水素、クロロ化炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、上記項11に記載の方法。
(項13)
ブロモ化炭化水素をクロロ化炭化水素に変換する方法であって、
(a)前記ブロモ化炭化水素を含むフィードストリームを用意するステップであって、前記ブロモ化炭化水素が、少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基を含み、各置き換え可能なブロモ基が、独立して、sp 混成炭素に共有結合により結合している、ステップ、
(b)塩化物イオン基を含むイオン交換樹脂を含む第1の固定床を含む第1の固定床容器を用意するステップであって、前記イオン交換樹脂が、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む、ステップ
(c)前記第1の固定床容器に前記フィードストリームを導入して、前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させ、これによって、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも1つの置き換え可能なブロモ基をクロロ基によって置き換え、前記ブロモ化炭化水素の少なくとも一部を前記クロロ化炭化水素に変換するステップ、ならびに
(d)前記第1の固定床容器から生成物ストリームを抜き取るステップであって、前記生成物ストリームが、前記クロロ化炭化水素を含む、ステップ
を含む、方法。
(項14)
前記生成物ストリームの少なくとも一部は前記第1の固定床容器に導入される、上記項13に記載の方法。
(項15)
乾燥剤を含む第2の固定床を含む第2の固定床容器を用意するステップ、
前記生成物ストリームの少なくとも一部を前記第2の固定床容器に導入し、これによって、前記生成物ストリームから残留水の少なくとも一部を除去し、乾燥済み生成物ストリームを形成させるステップ、および
前記乾燥済み生成物ストリームを前記第2の固定床容器から取り出すステップ
をさらに含む、上記項13に記載の方法。
(項16)
前記乾燥剤が、CaCl 、アルミナ、シリカ、モレキュラーシーブおよびそれらの組合せから選択される、上記項15に記載の方法。
(項17)
前記第1の固定床の前記イオン交換樹脂が、あるモル当量の塩化物イオン基を有しており、
前記第1の固定床を含む前記第1の固定床容器が、最大静的フィード体積を有しており、
前記最大静的フィード体積に等しい体積の前記フィードストリームが、置き換え可能なブロモ基の最大静的モル当量をもたらし、
前記イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量と置き換え可能なブロモ基の前記最大静的モル当量の比が、少なくとも0.5:1である、
上記項13に記載の方法。
(項18)
前記イオン交換樹脂の塩化物イオン基の前記モル当量と置き換え可能なブロモ基の前記最大静的モル当量の前記比が、0.5:1~100:1である、上記項17に記載の方法。
(項19)
前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、少なくとも30℃の温度で行われ、前記ブロモ化炭化水素の前記クロロ化炭化水素へのモル変換率が、前記第1の固定床容器を通過したブロモ化炭化水素の合計モル数に対して少なくとも30%である、上記項13に記載の方法。
(項20)
前記第1の固定床容器内で、前記ブロモ化炭化水素および前記イオン交換樹脂を一緒に接触させるステップが、30℃~200℃の温度で行われる、上記項19に記載の方法。
(項21)
前記第1の固定床が、湿潤イオン交換樹脂であって、前記湿潤イオン交換樹脂および水の総重量に対して30重量%より多い量の水を含む、湿潤イオン交換樹脂を含み、
前記方法が、前記湿潤イオン交換樹脂に共沸乾燥プロセスを施すことによって、前記湿潤イオン交換樹脂を、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む前記イオン交換樹脂に変換するステップをさらに含み、前記共沸乾燥プロセスが、
前記第1の固定床容器内で、前記湿潤イオン交換樹脂と、前記湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気とを一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップ、ならびに
前記第1の固定床容器から前記湿潤蒸気を除去し、これによって、前記イオン交換樹脂および水の総重量に対して、30重量%未満またはそれに等しい量の水を含む前記イオン交換樹脂を形成させるステップ
を含む、上記項13に記載の方法。
(項22)
前記共沸乾燥プロセスが、前記第1の固定床容器への前記フィードストリームの導入前に行われる、上記項21に記載の方法。
(項23)
前記加熱された炭化水素蒸気の炭化水素が、非ハロゲン置換炭化水素、ハロゲン置換炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される、上記項21に記載の方法。
(項24)
(a)湿潤イオン交換樹脂を含む固定床を含む固定床容器を用意するステップであって、前記湿潤イオン交換樹脂が、第1の量の水を含む、ステップ、
(b)前記固定床容器内で、前記湿潤イオン交換樹脂と、前記湿潤イオン交換樹脂の水と共沸混合物を形成する加熱された炭化水素蒸気とを一緒に接触させて、これによって、炭化水素蒸気および水蒸気を含む湿潤蒸気を形成させるステップ、ならびに
(c)前記固定床容器から前記湿潤蒸気を除去し、これによって、第2の量の水を含む前記乾燥イオン交換樹脂を形成させるステップであって、前記第2の量の水が、前記第1の量の水より少ない、ステップ
を含む、乾燥イオン交換樹脂を形成させる方法。
図1
図2
図3