(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】遠心機及び処理容器
(51)【国際特許分類】
B01F 29/90 20220101AFI20230417BHJP
B01F 35/60 20220101ALI20230417BHJP
B01F 35/00 20220101ALI20230417BHJP
【FI】
B01F29/90
B01F35/60
B01F35/00
(21)【出願番号】P 2019017547
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2021-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】393030408
【氏名又は名称】株式会社シンキー
(74)【代理人】
【識別番号】100196014
【氏名又は名称】片岡 直紀
(72)【発明者】
【氏名】岩本 喜章
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129288(JP,A)
【文献】特開2001-092186(JP,A)
【文献】特公昭47-051291(JP,B1)
【文献】特許第5711425(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0254187(US,A1)
【文献】国際公開第2009/020167(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/025717(WO,A1)
【文献】特開2006-136868(JP,A)
【文献】特開2001-347152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 29/00 - 33/87
35/00 - 35/95
B01L 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転軸線を中心に自転可能な自転体と、前記自転体を保持し、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体及び前記自転体に回転力を付与する駆動部を含み、被処理材料を自転及び公転させることによって処理する遠心機で使用される処理容器であって、
一端側に底部を有した有底形状であり、他端側が開口部とされ、前記被処理材料を収納可能な第1容器と、
該第1容器を内部空間に収納した状態で、内部空間を加圧可能な第2容器であって、前記第1容器の底部及び側壁部に対向する第1壁部、並びに、前記第1容器の開口部に対向する第2壁部を有する第2容器と、
を含み、
前記第1壁部
の一部に設けられる特定部の破壊強度は、前記第2壁部の破壊強度よ
り弱く
、かつ、前記特定部を設けられていない前記第1壁部の破壊強度より弱く構成され、
前記処理容器は、前記第1壁部の少なくとも一部を露出する窓を有する前記自転体に保持されるものであり、
前記特定部は、前記窓により露出する位置にある前記第1壁部の少なくとも一部に
のみ設けられる処理容器。
【請求項2】
前記特定部の破壊強度は、当該特定部の厚さを、前記第2壁部の厚さ未満にされること、及び/又は、当該特定部を構成する材質を、前記第2壁部を構成する材質と異なるものにされることで、前記第2壁部の破壊強度より弱く構成され、当該特定部の厚さを、前記特定部を設けられていない前記第1壁部の厚さ未満にされること、及び/又は、当該特定部を構成する材質を、前記特定部を設けられていない前記第1壁部を構成する材質と異なるものにされることで、前記特定部を設けられていない前記第1壁部の破壊強度より弱く構成される、請求項
1に記載の処理容器。
【請求項3】
前記特定部は、前記第1容器の軸方向長さを100とした場合に、該第1容器の底部から70の範囲に対向する前記第1壁部の少なくとも一部に設けられる請求項1
又は2に記載の処理容器。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか1項に記載の処理容器を保持可能に構成されて、自転軸線を中心に自転可能な自転体と、
前記自転体を保持して、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、
前記公転体及び前記自転体に回転力を付与する駆動部と、
を含む遠心機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理材料を自転及び公転させることによって処理する遠心機、及び該遠心機で使用される処理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
処理容器を公転させながら自転させることによって、当該処理容器に収容された被処理材料を処理する遠心機が知られている。この遠心機は、各種の用途に利用され、例えば、被処理材料の撹拌処理と脱泡処理とを同時に行う撹拌・脱泡装置として利用される(特許文献1)。また、この遠心機は、被処理材料を粉砕するボールミルとしても利用される(特許文献2参照)。さらに、この遠心機は、被処理材料を乳化する乳化装置等としても利用される(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4084493号公報
【文献】特開2002-143706号公報
【文献】特開2010-194470号公報
【文献】特開2012-115757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被処理材料の中には、加圧状態で処理することが好ましいものがある。遠心機において、被処理材料の処理を加圧状態で行う場合には、当該被処理材料を収容した状態で内部空間を加圧可能な処理容器を用いることが考えられる。
【0005】
ここで、上記のような処理容器は、例えば内部圧力の過剰な上昇等により当該処理容器に孔が生じた際に、被処理材料の漏れを低減又は防止できるものであることが好ましい。これは、被処理材料により遠心機が汚損されることを防止する必要があること等に基づく。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものである。その目的は、簡便な構造で、被処理材料の漏れを低減又は防止できる処理容器、及び該処理容器を使用する遠心機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0008】
(1)すなわち、ある観点に従う発明は、一端側に底部を有した有底形状であり、他端側が開口部とされ、被処理材料を収納可能な第1容器と、該第1容器を内部空間に収納した状態で、内部空間を加圧可能な第2容器と、を含み、前記第2容器において、前記第1容器の底部及び側壁部に対向する第1壁部の少なくとも一部に設けられる特定部の破壊強度は、前記第1容器の開口部に対向する第2壁部の破壊強度より、弱く構成される処理容器である。
【0009】
(2)上記(1)の処理容器において、前記特定部の厚さは、前記第2壁部の厚さ未満とされ得る。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の処理容器において、前記特定部を設けられていない前記第1壁部の破壊強度は、前記特定部の破壊強度より強く構成され得る。
【0011】
(4)上記(1)~(3)の何れかの処理容器において、前記処理容器は、遠心機に含まれる自転体に装着されるものであり、前記自転体は、前記第1壁部の少なくとも一部を露出する窓を有しており、前記特定部は、前記窓により露出する位置にある前記第1壁部の少なくとも一部に設けられ得る。
【0012】
(5)上記(1)~(4)の何れかの処理容器において、前記特定部は、前記第1容器の軸方向長さを100とした場合に、該第1容器の底部から70の範囲に対向する前記第1壁部の少なくとも一部に設けられ得る。
【0013】
(6)ある観点に従う発明は、上記(1)~(5)の処理容器を保持可能に構成されて、自転軸線を中心に自転可能な自転体と、前記自転体を保持して、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体及び前記自転体に回転力を付与する駆動部と、を含む遠心機である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な構造で、被処理材料の漏れを低減又は防止できる処理容器、及び該処理容器を使用する遠心機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遠心機の概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る処理容器の概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る材料処理方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る処理容器の概略断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る処理容器の要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠心機の概略構成を示す断面図である。同図に示すように、遠心機1は、回転軸10と、公転体20と、自転ユニット30と、バランス錘40と、駆動部50と、支持基板60と、区画体70と、筐体80と、処理容器100とを含み構成される。
【0018】
回転軸10は、支持基板60等を貫通して、仮想の直線である公転軸線L1を中心として回転するように構成されている。回転軸10は、図示するように鉛直に延びる公転軸線L1を中心として回転するように構成されてよい。ただし、回転軸10は、これに限定されるものでない。
【0019】
公転体20は、第1アーム22と、第2アーム24とを含み構成される。公転体20は、回転軸10に取り付けられて、該回転軸10と共に公転軸線L1を中心として回転するように構成される。
【0020】
第1アーム22は、公転軸線L1に直交する第1の方向に延びて、途中で屈曲するように構成され、自転ユニット30を取り付けられる。第2アーム24は、第1の方向と反対方向である第2の方向に延びて、バランス錘40を取り付けられる。
【0021】
自転ユニット30は、自転軸32と、自転体34とを含み構成される。
自転軸32は、ベアリング36を介して、公転体20の第1アーム22に回転可能に取り付けられる。自転軸32が取り付けられる位置は、第1アーム22の屈曲した部分を挟んで、公転軸線L1と反対側である。これにより、自転軸32は、公転体20の回転に伴って、公転軸線L1を中心に公転する。併せて、自転軸32は、公転体20を通る仮想の直線である自転軸線L2を中心として自転可能となる。
【0022】
自転体34は、一端側が開口した有底形状であり、その底部を自転軸32の一端に取り付けられる。これにより、自転体34は、自転軸32と共に、公転軸線L1を中心に公転し、自転軸線L2を中心に自転する。また、自転体34は、開口した部分より処理容器100を受け入れて保持する。
【0023】
なお、
図1においては、図面の都合上、処理容器100、具体的には、
図2に示す側壁部124の自転体34に挿入されている領域及び底部126の全領域が、自転体34に密着しているように表している。しかしながら、側壁部124の一部を露出するための
図5に示す窓38が、自転体34に設けられてよく(当該窓については、例えば特許文献4も参照)、また、自転体34と、側壁部124や底部126との全面的な密着を回避するための図示しないスペーサが、それらの間に設けられてよい。
【0024】
バランス錘40は、公転体20の第2アーム24に、公転軸線L1からの距離を変更可能に取り付けられる。バランス錘40は、公転体20のバランスを調整するものであり、遠心機1を安定して動作させることに寄与する。
【0025】
駆動部50は、駆動源51と、第1プーリー52と、第2プーリー53と、ベルト54と、自転駆動機構55とを含み構成される。駆動部50は、回転軸10と自転ユニット30の自転軸32とを回転させる。
【0026】
駆動源51は、支持基板60に固定されており、当該駆動源51の駆動軸に固定される第1プーリー52、回転軸10に固定される第2プーリー53、及び、第1プーリー52と第2プーリー53とに掛け回されるベルト54を利用して、回転軸10に回転力を付与する。
【0027】
自転駆動機構55は、自転ギヤ56と、自転力付与ギヤ57と、中間ギヤ58とを含み構成される。
自転ギヤ56は、自転ユニット30の自転軸32の他端側に固定されている。自転力付与ギヤ57は、回転軸10と同心となるように支持基板60に固定されている。中間ギヤ58は、ベアリング59を介して回転可能に公転体20に取り付けられている。中間ギヤ58は、自転ギヤ56と自転力付与ギヤ57との間で回転力の伝達を行う。
【0028】
自転ギヤ56、自転力付与ギヤ57、及び中間ギヤ58が上記のように構成されていることに基づき、自転ギヤ56及び自転力付与ギヤ57の回転角速度は関連付けられる。これにより、自転ギヤ56及び自転力付与ギヤ57は遊星歯車機構と同様の挙動を示す。したがって、自転ギヤ56は、駆動源51が駆動して回転軸10を回転させた際に回転し、自転ユニット30の自転軸32を回転させる。
【0029】
区画体70は、区画体本体72と、蓋体74とを含み構成される。
区画体本体72は、一端側に開口部を有して、公転体20等を収容する。蓋体74は、区画体本体72の開口部を閉塞する。また、蓋体74は、自転ユニット30の自転体34に処理容器100を着脱する場合等に、区画体本体72から取り外される。
【0030】
処理容器100は、第1容器110と、第2容器120とを含み構成される。処理容器100の詳細については後述する。
【0031】
被処理材料Mは、処理容器100の第1容器110内に収容されるものであり、流体として挙動するものであればよく、その組成や用途を特に限定されない。例えば、被処理材料Mは、流体成分(樹脂等)のみを含む材料、流体成分のほかに粒状成分(粉状成分)を含む材料、粒状(粉状)材料及び該粒状材料を粉砕するためのメディア(例えばジルコニアボール)を含む材料、並びに、乳化処理の対象となる流体を含む材料等である。被処理材料Mの具体例としては、接着剤、シーラント剤、液晶材料、LEDの蛍光体と樹脂とを含む混合材料、半田ペースト、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、及び、液状の薬剤等が挙げられる。
【0032】
ここで、処理容器100は、その内部空間を加圧した状態で被処理材料Mを処理できるものである。このことから、被処理材料Mは、加圧状態での処理を必要とするものであることが好ましい。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る処理容器の概略断面図である。同図に示すように、処理容器100は、第1容器110と、第2容器120とを含み構成される。
【0034】
第1容器110は、その中心を通る仮想の直線である中心軸CL1に沿って筒状に延びる側壁部112と、該側壁部112の一端側に設けられる底部114と、側壁部112の他端側に設けられる開口部116とを有する有底筒状に形成されており、被処理材料Mを収容する。例えば、第1容器110は、有底円筒状であり、第2容器120の内部空間に収納される。
【0035】
第2容器120は、本体部122と、蓋部140とを含み、本体部122及び蓋部140により形成される内部空間を、第1容器110を収納した状態で加圧可能に構成される。
【0036】
本体部122は、その中心を通る仮想の直線である中心軸CL2に沿って筒状に延びる側壁部124と、該側壁部124の一端側に設けられる底部126と、側壁部124の他端側に設けられる開口部128とを有する有底筒状に形成されている。
【0037】
底部126には、第1容器110が、第2容器120の内部空間で移動することを防ぐため、言い換えれば、第1容器110を固定するための支持部130が設けられる。
【0038】
例えば、支持部130は、底部126から第2容器120の内部空間側に、筒状に延びるように構成される。当該支持部130の内径は、第1容器110の外径よりわずかに大きく構成される。このように構成することで、支持部130は、第1容器110を底部114側から挿入されて、当該第1容器110を支持する。なお、支持部130は、第2容器120の内部空間における第1容器110の移動を防ぐことができれば任意の構成であってよく、また、側壁部124に設けられてもよい。
【0039】
蓋部140は、本体部122の開口部128を閉塞するものであり、例えば、図示しないねじ機構により、本体部122に取り付けられる。蓋部140は、本体部122との間での気密性をより確実に維持するために、図示しないOリング等のシール部材を本体部122との間に介在させることも可能である。
【0040】
また、蓋部140には、第2容器120の内部空間を加圧するために、第2容器120の外部空間と内部空間とを連通し、第2容器120の外部空間側にバルブ142を設けられた管144が取り付けられる。なお、管144は、本体部122に設けてもよい。
【0041】
なお、第2容器120(本体部122及び/又は蓋部140)には、第2容器120の内部空間の圧力を測定するための図示しない圧力計や、第2容器120の内部空間の圧力が所定値以上となったときに開放状態となる図示しない安全弁を設けることも可能である。
【0042】
ここで、第2容器120の側壁部124及び底部126は、それぞれ、第1容器110の側壁部112及び底部114と対向することから、本願発明の第1壁部W1である。また、第2容器120の蓋部140は、第1容器110の開口部116に対向することから、本願発明の第2壁部W2である。また、本実施形態では、特定部SPが、第1壁部W1の実質的に全域に設けられている。
【0043】
特定部SPの破壊強度は、第2壁部W2の破壊強度より弱く構成される。これは、図示するように、特定部SPの厚さを、第2壁部W2の厚さ未満とすることや、材質を異なるものとすることにより実現することができる。
【0044】
上記のように構成することで、遠心機1を用いた被処理材料Mの処理中に、何らかの要因により、第2容器120の内部空間の圧力が過剰に上がった場合等に、特定部SPの少なくとも一部に孔があくようにして、第2壁部W2に孔があくことを防止できる。つまり、そのような場合に、特定部SPに孔があくことにより、第2容器120の内部空間の圧力を低下させて、第2壁部W2に孔があくことを防止できる。そして、特定部SPの設けられる位置は、第1容器110の開口部116と対向する部分でないから、第2壁部W2に孔があく場合と比べて、第1容器110内の被処理材料Mが、第2容器120の外部空間に漏れる量を低減し、又は、当該漏れを防止することを可能とする。
【0045】
なお、上記のように、特定部SP及び第2壁部W2を構成することは、第2容器120に安全弁を設ける場合であっても有効である。これは、万が一安全弁が働かない場合であっても、特定部SPに孔があくことから、第1容器110内の被処理材料Mが、第2容器120の外部空間に漏れる量を低減し、又は、当該漏れを防止することを可能とできるためである。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態に係る材料処理方法を説明するためのフローチャートである。かかる材料処理方法は、遠心機1において実行される。
【0047】
まず、遠心機1のユーザは、処理容器100を組み立てる(S301)。本工程において、まず、ユーザは、第1容器110内に被処理材料Mを収納する。次に、ユーザは、第2容器120の本体部122内に、第1容器110を収納する。この際、ユーザは、本体部122に設けられた支持部130を利用して、本体部122内で、第1容器110を固定する。次に、ユーザは、本体部122の開口部128を、蓋部140で閉塞する。以上により、処理容器100の組み立てが完了する。
【0048】
なお、処理容器100の組立て作業は、ユーザに代わり、所定のロボットを用いて自動的に行っても良い。以下の各工程においても、同様に、ユーザが行う作業は、該ユーザに代わり、所定のロボットを用いて自動的に行っても良い。
【0049】
次に、ユーザは、処理容器100(第2容器120)の内部空間を加圧する(S302)。本工程において、まず、ユーザは、第2容器120の管144に設けられたバルブ142を開状態とし、所定のガスを処理容器100の外部空間から、内部空間に供給し、当該処理容器100の内部空間を、所望の圧力となるまで加圧する。次に、ユーザは、バルブ142を閉状態とする。これにより、処理容器100の内部空間は、加圧された状態を維持される。以上により、処理容器100の内部空間の加圧が完了する。
【0050】
次に、ユーザは、蓋体74を区画体本体72から取り外して、自転ユニット30の自転体34に、処理容器100を装着する(S303)。ユーザは、処理容器100を、第2容器120の底部126側から、自転体34の開口端に挿入することにより、該自転体34に装着する。
【0051】
次に、ユーザは、蓋体74を区画体本体72に取り付け、遠心機1を動作させる(S304)。遠心機1が動作することにより、処理容器100は、公転軸線L1を中心に回転(公転)しながら、自転軸線L2を中心に自転する。これにより、被処理材料Mは処理される。
【0052】
被処理材料Mの処理完了後、ユーザは、遠心機1を停止させる(S305)。その後、ユーザは、遠心機1より処理容器100を取り出し、該処理容器100を分解して第1容器110を取り出すことで、該第1容器110に収容された処理済みの被処理材料Mを利用できる。
【0053】
ここで、処理容器100においては、上述したように、特定部SPの破壊強度が、第2壁部W2の破壊強度より弱く構成される。そのため、遠心機1を用いた被処理材料Mの処理中に、何らかの要因により、第2容器120の内部空間の圧力が過剰に上がった場合等に、特定部SPの少なくとも一部に孔があくようにして、第2壁部W2に孔があくことを防止できる。これにより、第1容器110の開口部116に対向している第2壁部W2に孔があく場合と比べて、第1容器110内の被処理材料Mが、第2容器120の外部空間に漏れる量を低減し、又は、当該漏れを防止することを可能とする。
【0054】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0055】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0056】
また、処理容器は、特定部SPが、第1壁部W1の一部の領域に設けられるように構成されてもよい。
図4は、特定部SPが第1壁部W1の一部に設けられる処理容器200の概略断面図である。なお、同図においては、処理容器100と共通する構成について、同一の符号を付しており、以下においても、処理容器100と共通する構成については、説明を省略する。
【0057】
第2容器220は、本体部222と、蓋部140とを含み、本体部222及び蓋部140により形成される内部空間を、第1容器110を収納した状態で加圧可能に構成される。
【0058】
本体部222は、その中心を通る仮想の直線である中心軸CL3に沿って筒状に延びる側壁部224と、該側壁部224の一端側に設けられる底部226と、側壁部224の他端側に設けられる開口部228とを有する有底筒状に形成されている。
【0059】
ここで、第2容器220の側壁部224及び底部226は、第1容器110の側壁部112及び底部114と対向することから、本願発明の第1壁部W1である。
【0060】
そして、第2容器220では、特定部SPが、第1壁部W1の一部に設けられている。具体的には、
図4に示す、特定部SPは、第1容器110の中心軸CL1に沿った軸方向長さを100とした場合に、該第1容器110の底部114から70の範囲の側壁部112及び底部114に対向する第1壁部W1の少なくとも一部に設けられる(この範囲は、実験等に求めることができるものであるが、発明者による実験においては、前述の範囲にすることで良好な結果が得られている。)。つまり、特定部SPは、第1容器110の開口部116から離れた部分に設けられることとなる。また、(特定部SPを設けられていない)第1壁部W1の破壊強度は、特定部SPの破壊強度より強く構成される。これは、図示するように、(特定部SPを設けられていない)第1壁部W1の厚さを、特定部SPの厚さより厚くすることや、材質を異なるものとすることにより実現できる。以上により、処理容器200では、第2壁部W2だけでなく、第1容器110の開口部116に近接する(特定部SPを設けられていない)第1壁部W1に孔があくことが防止される。そのため、処理容器200は、特定部SPの少なくとも一部に孔があいた場合に、第1容器110内の被処理材料Mが、第2容器220の外部空間に漏れる量をより低減し、又は、当該漏れをより確実に防止することを可能とする。
【0061】
また、第2容器220は、処理容器200を遠心機1の自転体34に装着した場合に、該自転体34の窓38から露出する位置にある第1壁部W1(側壁部224)の少なくとも一部に特定部SPを設けるように構成してもよい。
図5は、この場合を示す要部概略断面図である。このように構成することで、特定部SPを設ける領域を最小にしつつ、特定部SPに孔があく際に、自転体34が影響を及ぼすことを防止できる。また、自転体34と、側壁部124や底部126との全面的な密着を回避するスペーサを不要とでき得る。
【0062】
なお、特定部SPは、図示するように、第2容器220の内部空間側に設ける他、外部空間側に設けてもよい。
【0063】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、自転公転式の遠心機の分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 :遠心機
10 :回転軸
20 :公転体
22 :第1アーム
24 :第2アーム
30 :自転ユニット
32 :自転軸
34 :自転体
36 :ベアリング
38 :窓
40 :バランス錘
50 :駆動部
51 :駆動源
52 :第1プーリー
53 :第2プーリー
54 :ベルト
55 :自転駆動機構
56 :自転ギヤ
57 :自転力付与ギヤ
58 :中間ギヤ
59 :ベアリング
60 :支持基板
70 :区画体
72 :区画体本体
74 :蓋体
80 :筐体
100 :処理容器
110 :第1容器
112 :側壁部
114 :底部
116 :開口部
120 :第2容器
122 :本体部
124 :側壁部
126 :底部
128 :開口部
130 :支持部
140 :蓋部
142 :バルブ
144 :管
200 :処理容器
220 :第2容器
222 :本体部
224 :側壁部
226 :底部
228 :開口部
CL1 :中心軸
CL2 :中心軸
CL3 :中心軸
L1 :公転軸線
L2 :自転軸線
M :被処理材料
SP :特定部
W1 :第1壁部
W2 :第2壁部