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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】エビ養殖用の養殖システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/59 20170101AFI20230417BHJP
   A01K 61/80 20170101ALI20230417BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20230417BHJP
【FI】
A01K61/59
A01K61/80
A23K20/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019070986
(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2020167950
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】508186185
【氏名又は名称】株式会社マクスマラシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】成田 繁壮
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510611(JP,A)
【文献】特開平10-313730(JP,A)
【文献】特開2007-289130(JP,A)
【文献】特開2007-036943(JP,A)
【文献】特開2018-042025(JP,A)
【文献】実開平01-168157(JP,U)
【文献】米国特許第04922856(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 - 61/65
A01K 61/80 - 63/10
A23K 20/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エビ類の養殖を行うエビ養殖用の養殖システムにおいて、
前記エビ類を養殖するため水が入った養殖槽と、
前記養殖槽の水中に配置され前記エビ類の動作音及び前記養殖槽内の雑音を検知する音響センサーと、
前記エビ類の餌を供給する餌供給部と、
前記音響センサーで検知した前記エビ類の動作音及び前記雑音が第1閾値を超えて第1所定時間経過後、前記餌供給部へ第1の餌の供給信号を送信し、且つ前記動作音及び前記雑音が前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えた後、前記餌供給部へ第2の餌の供給信号を送信する制御部と、
を備えるエビ養殖用の養殖システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作音及び前記雑音が前記第2閾値を超えた後、前記第1所定時間とは異なる第2所定時間が経過後に、前記餌供給部へ前記第2の餌の供給信号を送信する請求項1に記載のエビ養殖用の養殖システム。
【請求項3】
エビ類の養殖を行うエビ養殖用の養殖システムにおいて、
前記エビ類を養殖するため水が入った養殖槽と、
前記養殖槽の水中に配置され前記エビ類の動作音を検知する音響センサーと、
前記エビ類の餌を供給する餌供給部と、
前記音響センサーで検知した前記エビ類の動作音が第1閾値を超え、さらに前記動作音と時間との第1積分値が第1開積分値を超えた後、前記餌供給部へ第1の餌の供給信号を送信し、且つ前記動作音が前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えた後、前記動作音と前記時間との第2積分値が前記第1開積分値とは異なる第2開積分値を超えた後、前記餌供給部へ第2の餌の供給信号を送信する制御部と、
を備えるエビ養殖用の養殖システム。
【請求項4】
前記餌は、鉄イオン化合物を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエビ養殖用の養殖システム。
【請求項5】
さらに、水中に配置され前記水の温度を検知する温度センサー、水中に配置されリン酸塩濃度を検知するリン酸塩センサー、水中に配置され溶存酸素量値を検知する溶存酸素量センサー、水中に配置され水のアンモニア性窒素濃度を検知するアンモニア性窒素センサー、水中に配置され水の亜硝酸性窒素濃度を検知する亜硝酸性窒素センサー、水中に配置され水の硝酸性窒素濃度を検知する硝酸性窒素センサー、水中に配置され水素イオン濃度を検知する酸/アルカリセンサー、又は水中に配置され鉄イオン濃度を検知する鉄イオンセンサーのいずれか一つ以上を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエビ養殖用の養殖システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上に設けたエビ類の養殖を行うエビ養殖用の養殖槽に関する。特に海水又は淡水の供給および排出をせずに、適切な量のエビの給餌を行い、エビの養殖を行うエビ養殖用の養殖システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の産業規模でなされるエビ養殖は、海辺近くの野外に潮だまりのような池を設け、ここの池に稚エビを低密度で放養し、餌を与えるといった粗放的なものが一般的であった。しかし、エビ類の生産効率を向上するために、特許文献1の開示されているように、遮光性を有するハウス内に直方体状のコンクリート製の水槽を配置して、エビ類を養殖するエビ養殖用の養殖システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-217895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エビ類の飼育量や餌の投入量などを調整しないと、エビ類の養殖が失敗することがある。またエビ類の飼育期間によってエビ類の大きさが変わり餌の投入量も変わってくるため、エビ類の養殖には専門的な知識が必要であった。
そこで本発明は、上記課題を解決するエビ養殖用の養殖システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、エビ類の養殖を行うエビ養殖用の養殖システムである。そして養殖システムは、エビ類を養殖するため水が入った養殖槽と、養殖槽の水中に配置されエビ類の動作音を検知する音響センサーと、エビ類の餌を供給する餌供給部と、音響センサーで検知したエビ類の動作音に基づいて餌供給部へ餌の供給信号を送信する制御部と、を備える。
【0006】
餌は、鉄イオン化合物を含むことが好ましい。また制御部は、動作音が第1閾値を超えて第1所定時間経過後に餌供給部へ餌の供給信号を送信することが好ましい。また制御部は、第1閾値とこの第1閾値とは異なる第2閾値とが設定され、制御部が動作音が第2閾値を超えて餌供給部へ餌の供給信号を送信するようにすることが好ましい。また制御部は、第1閾値とこの第1閾値とは異なる第2閾値とが設定され、制御部は、動作音が第2閾値を超え第1所定時間とは異なる第2所定時間が経過後に、餌供給部へ餌の供給信号を送信してもよい。
【0007】
制御部は、動作音が第1閾値を超えて動作音と時間との積分値が第1所定積分値を超えた後に餌供給部へ餌の供給信号を送信することが好ましい。また制御部は、第1閾値とこの第1閾値とは異なる第2閾値とが設定され、制御部は、動作音が第2閾値を超えて餌供給部へ餌の供給信号を送信することが好ましい。また制御部は、第1閾値とこの第1閾値とは異なる第2閾値とが設定され、制御部は、動作音が第2閾値を超え第1所定積分値とは異なる第2積分値を超えた後に、餌供給部へ餌の供給信号を送信してもよい。
【0008】
養殖システムは、さらに、水中に配置され水の温度を検知する温度センサー、水中に配置されリン酸塩濃度を検知するリン酸塩センサー、水中に配置され溶存酸素量値を検知する溶存酸素量センサー、水中に配置され水のアンモニア性窒素濃度を検知するアンモニア性窒素センサー、水中に配置され水の亜硝酸性窒素濃度を検知する亜硝酸性窒素センサー、水中に配置され水の硝酸性窒素濃度を検知する硝酸性窒素センサー、水中に配置され水素イオン濃度を検知する酸/アルカリセンサー、又は水中に配置され鉄イオン濃度を検知する鉄イオンセンサーのいずれか一つ以上を備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態の養殖システムは、エビ類の動作状況に応じて餌の投入量を変えることができるため、専門的な知識が充分でなくてもエビ類の養殖を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は複数の設備類を取り付けた養殖システムの平面概念図である。(b)は複数の設備類を取り付けた養殖システムの断面概念図である。
図2】養殖槽100に設けられた設備類とセンサー類とが制御部20に接続された図である。
図3】検知した動作音に基づいて、餌供給部へ開閉信号を送信する第1例と第2例とを説明する図である。
図4】検知した動作音に基づいて、餌供給部へ開閉信号を送信する第3例と第4例とを説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。説明に用いる各図はこれら発明を理解できる程度に概略的に示してあり、大きさ等は誇張して描いている。また説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示している。また海水で養殖するエビ類を前提に説明するが、淡水で養殖するエビ類にも本実施形態は適用できる。
【0012】
<養殖槽の構成>
図1は、本実施形態に係る陸上に配置したエビ養殖用の養殖システムを示す説明図である。図1(a)は養殖システムの平面概念図であり(b)は養殖システムの断面概念図である。本実施形態に係るエビ養殖用の養殖槽100は、陸上に敷設して海水を閉鎖循環(自己循環)系で循環させてエビ類の養殖を行うものである。
【0013】
エビ養殖用の養殖槽100は、海水が循環する仕切り壁で仕切られていても良いが、基本的に1つの槽であり、この一つの養殖槽100で、エビ類に餌を供給して飼育し、海水を浄化し、海水にミネラルを供給する。
【0014】
養殖槽100は、図1(a)に示されているように平面視でトラック形状であり、例えばトラック形状の大きさは金属製の3m×20mである。養殖槽100はこの形状に限られず、鉄筋コンクリート製の20m×50mの矩形形状であってもよく、直径10mの円形状であってもよい。また図1(b)に示されているように、エビ類は、一般に養殖槽100の底面102付近に住み付くので、養殖槽100の高さは1.0m以上あればよく、海水の深さが0.7m以上あればよい。図示しないが、養殖槽100は、屋根またはシート等で覆われていることが好ましい。昼間の日光を遮って海水の急激な温度変化しないようにするためであり、雨天により海水濃度が急激に変化したり海水の水素イオン濃度(pH)が急激に変動しないようにしたりするためである。なお、本実施形態では養殖槽100は、金属製もしくは鉄筋コンクリート製であることを前提として説明するが、養殖槽100は、野外の土を掘り起こして造成した養殖池も含む概念である。
【0015】
養殖槽100は、底部102に排水口99が設けられている。養殖槽100の底面102は、平ら(水平)に描かれているが排水口99に向かって傾斜していることが好ましい。なお、図1(a)及び(b)に示された例では、排水口99を底部の端に設けてあるが、排水口99の位置は底部の中央であってもよい。排水口99には、排水配管98が接続されており、その排水配管98には海水を止めたり流したりする排水バルブ96が配置されている。
【0016】
養殖槽100の上部には、給水配管94が配置され、給水配管94には海水を給水したり給水を止めたりする給水バルブ92が配置される。養殖槽100は、閉鎖循環(自己循環)系であり、基本的に、一度海水を養殖槽100に給水すると、エビ類の養殖期間である例えば6カ月海水を供する必要はなく、また排水口99から海水を排水することもない。養殖槽100から海水が蒸発して水位が低くなったりした場合に、給水配管94から海水又は淡水を給水すればよい。
【0017】
(設備類)
底部102の近傍には、養殖槽100の外部に設置された空気ポンプ82に接続されたブロワー80が配置される。ブロワー80は、酸素あるいは大気を養殖槽100の海水中へ散気する。空気ポンプ82は、回転速度を可変することでブロワー80からの散気量を可変することができる。
【0018】
養殖槽100は、その中央に対流発生部70及び餌供給部発50を配置している。対流発生部70は、回転モータ72とこの回転モータ72に接続されたブレード74とからなり、このブレード74が海中に入れられている。回転モータ72は、回転速度を可変することでブレード74の回転を変えることができる。対流発生部70は、ブレード74を使用する代わりにスクリューを使用したジェット水流で対流を発生させてもよい。餌供給部50は、ホッパ54とホッパ弁52とからなり、ホッパ弁52が開くことで餌が自重により養殖槽100の海水に落ち、ホッパ弁52が閉まると餌の供給をストップさせる。なお、餌供給部50は、餌を飛ばして投入する投入機であってもよい。またホッパ弁52又は投入機は、餌の供給量を可変できるようにしてもよい。
【0019】
エビの餌は、魚粉、イカミール、オキアミミール、エビミール及び貝肉ミール等を配合したもので、鉄イオン化合物(フミン酸鉄およびフルボ酸鉄)を加えた餌が好ましい。下記に説明する鉄イオン化合物供給部を設ける必要がなくなる。また鉄イオン化合物(フミン酸鉄およびフルボ酸鉄)を加えることで、餌に抗生物質を入れなくてもよいし、又は餌に含まれる抗生物質等を減らすことができる。
【0020】
また、養殖槽100は、凝集剤供給するための凝集剤供給部60を有してもいても良い。凝集剤供給部60は、ホッパ64とホッパ弁62とからなり、ホッパ弁62が開くことで凝集剤が自重により養殖槽100の海水に落ち、ホッパ弁52が閉まると凝集剤の供給をストップさせる。凝集剤は、固形性有機物および/またはリンを凝集する役目を有し、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC)が挙げられる。凝集剤供給部60は、養殖槽100内の海水中に凝集剤を供給し、海水中の固形性有機物および/またはリンを所定濃度になるまで除去することができる。そしてエビ類の養殖期間の終了後に、底面102付近に沈殿したこれら固形物を、排水口99から海水とともに排水しても良い。なお、ポリ塩化アルミニウム(PAC)は酸性であるため、何らかのアクシデントにより養殖槽100の海水のpH値が高アルカリ性(約8.5以上)になった場合には、pH調整剤として添加することができる。
【0021】
生物学的窒素除去部41は、エビの残餌や排泄物を硝化させる細菌を使用し、窒素を除去する。生物学的窒素除去部41は、窒素除去細菌を含む粒体もしくは液体を養殖槽100の海水に供給し、生物学的な細菌の作用により残餌や排泄物から発生するアンモニアを分解する。生物学的窒素除去部41は、ホッパ42とホッパ弁43とからなるが、必ずしも供給装置として用意する必要はなく、一定量の窒素除去細菌を含む粒体が海水に浸るようにする装置でもよい。
【0022】
窒素除去細菌は、アンモニアを酸化し亜硝酸を生ずるアンモニア酸化細菌と亜硝酸を酸化し硝酸を生ずる亜硝酸酸化細菌とを含む。アンモニア酸化細菌は、好気性条件の下で養殖槽100の海水を亜硝酸性窒素に変換し、亜硝酸酸化細菌により、亜硝酸を酸化し硝酸に変換される。生物学的窒素除去部41は、アンモニア等が増えたらホッパ弁43を開き、自動的に窒素除去細菌を含む粒体もしくは液体を供給することが好ましい。アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌は、海水のアンモニア性窒素濃度、養殖池100での海水温度およびDO(溶存酸素量)値に影響を受ける。このため、生物学的窒素除去部41は、窒素除去細菌を含む粒体もしくは液体を供給せず、窒素除去を行っても良い。例えば、ブレード74で対流の強さを変えて、アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌に接する流量を変えて窒素除去の調整することもできる。
【0023】
アルカリ化剤供給部44は、海水のpH値をアルカリ化させるアルカリ化剤を供給する。アルカリ化剤供給部44は、ホッパ45とホッパ弁46とからなる。アンモニア酸化細菌によってアンモニアから亜硝酸に分解される際に水素イオンが生成されるため、養殖槽100の海水は、pH値が下がり酸化される。このためpH値を上げるために、アルカリ化剤供給部44は、アルカリ化剤を供給する。アルカリ化剤は、例えば、水酸化カルシウムCa(OH)である。
【0024】
鉄イオン化合物供給部47は、海水にミネラルや鉄イオン化合物を加え、水質悪化、悪臭等の発生を抑えるためのものである。鉄イオン化合物供給部47は、フミン酸およびフルボ酸を含有する鉄イオン化合物(フミン酸鉄およびフルボ酸鉄)として養殖槽100の海水に供給する。鉄イオン化合物供給部47は、ホッパ48とホッパ弁49とからなるが、必ずしも供給装置として用意する必要はなく、一定量の鉄イオン化合物を海水に浸るようにした装置でもよい。フミン酸鉄およびフルボ酸鉄は、例えばシリカ等の他の物質と結合させた粒体であってもよくまたはフミン酸鉄およびフルボ酸鉄を含む溶液であってもよい。鉄イオン化合物供給部47は、不図示の電磁弁等で自動的に鉄イオン化合物を供給することが好ましい。フミン酸およびフルボ酸が養殖槽100の海水に含まれる量は、鉄イオン化合物の供給量で変化させることができる。また鉄イオン化合物が粒体である場合には、ブレード74で対流の強さを変えて、フミン酸鉄およびフルボ酸鉄を含む粒体に接する流量を変えて調整することもできる。また前述したように、エビの餌に鉄イオン化合物が含まれる場合には、鉄イオン化合物供給部は無くても良い。
【0025】
養殖槽100は、内側の側壁の一部に温調器H/Cが取り付けられている。温調器H/Cは、海水を加熱するヒーターと海水を冷却するクーラーとを有しており、海水温度をエビの生育に適正な摂氏23から27度に保つ。ヒーターとクーラーは、ヒートポンプ方式等を含めて、エネルギーコストを低減できるような機器を選定することが好ましい。
【0026】
なお、養殖槽100は、海水のpH値を好ましい範囲(約7.5~8.5)に調整するために図示しない酸化剤供給部を有していても良い。一例では、生物学的窒素除去部41の作用により海水が酸性になると、アルカリ化剤供給部44からアルカリ化剤を供給して、海水のpH値を好ましい範囲に調整している。しかし、何らかのアクシデントによりpH値が必要以上にアルカリ性(例えば8.5以上)になった場合には、上述のブロワー80で酸素の供給量を増やして海水のpH値を下げることができる。
【0027】
(センサー類)
養殖槽100は、海水の状態を検知するために、音響センサー30のほかに温度センサー等が設けられている。音響センサー30は海水中に配置されエビ類の動作音、例えばエビ類が移動している音及びエビ類が餌を食べている音を検知する。同じ数量のエビ類であれば、エビ類が成長して大きくなるとエビ類の動作音が大きくなる傾向がある。図1では音響センサー30は、養殖槽100の中央に配置されているが、エビ類の動作音を集音しやすい場所であれば特に限定しない。また図1では音響センサー30は、1つ設けられているが2以上設けられていてもよい。以下に温度センサー等の配置位置及び数も、本実施形態の位置に限られず、また温度センサー等が2以上あってもよい。
【0028】

温度センサーTPは、海水中に配置され海水の温度を検知する。POセンサーPO4は、海水中に配置され養殖槽100の海水のリン酸塩(PO)濃度を検知する。溶存酸素量センサーDOは、海水中に配置され養殖槽100の海水の生物的溶存酸素量(BDO)値又は溶存酸素量(DO)値(以下、DO値という。)を検知する。アンモニア性窒素センサーNH4は、海水中に配置され養殖槽100の海水のアンモニア性窒素濃度(NH-N)を検知する。亜硝酸性窒素センサーNO2は、海水中に配置され養殖槽100の海水の亜硝酸性窒素濃度(NO-N)を検知する。硝酸性窒素センサーNO3は、海水中に配置され養殖槽100の海水の硝酸性窒素濃度(NO-N)を検知する。また、酸/アルカリセンサーpHは、海水中に配置され養殖槽100の海水の水素イオン濃度(pH)を検知する。鉄イオンセンサーFeは、海水中に配置され養殖槽100の海水の鉄イオン濃度を検知する。なお養殖槽100にこれらすべてのセンサー類を設ける必要はないが、本実施形態の説明では、すべてのセンサー類を使用する前提とする。
【0029】
<養殖槽の制御>
図2は、養殖槽100に設けられた設備類とセンサー類とが制御部20に接続された図である。制御部20は、クラウドコンピュータ又はオンプレミスのコンピュータもしくはシーケンサー等である。制御部20は、閉鎖循環(自己循環)系の海水をエビ類の養殖に適した環境に制御する。
【0030】
音響センサー30が検知した動作音は制御部20に送られる。制御部20は、この動作音に基づいて、餌供給部50のホッパ弁52が開いたり閉じたりして、餌供給部50が給餌する。音響センサー30が検知した動作音に基づいて給餌する内容についてはさらに後述する。
【0031】
温度センサーTPが検知した養殖槽100の海水温度は制御部20に送られる。制御部20は、この海水温度に基づいて温調器H/Cにより海水温度を上げたり下げたりして、エビの生育に適正な摂氏23から27度に保つ。また、アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌は、養殖池100での海水温度が高くなると反応速度(増殖速度)が上がるため、制御部20は、エビの生育に適正な範囲内で、温調器H/Cにより海水温度を上げたり下げたりすることもできる。
【0032】
溶存酸素量センサーDOが検知した養殖槽100の海水のDO値は制御部20に送られる。制御部20は、このDO値に基づいて空気ポンプ82に制御信号を送りブロワー80から出る酸素あるいは大気の量を調整する。ブロワー80によりDO値が5ppmを下回らないようにする。またアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌は、養殖池100でのDO値が高くなると反応速度(増殖速度)が上がる。そのため、制御部20は、ブロアー80の空気ポンプ82の回転速度を可変してDO値を上げたり下げたりして、アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の反応速度を調整できる。
【0033】
アンモニア性窒素センサーNH4、亜硝酸性窒素センサーNO2及び硝酸性窒素センサーNO3が検知した養殖槽100の海水のアンモニア性窒素濃度(NH-N)、亜硝酸性窒素濃度(NO-N)及び硝酸性窒素濃度(NO-N)が制御部20に送られる。これら濃度が高い場合には、アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の反応速度を上げて、濃度を下げる。制御部20は、温調器H/Cによる海水温度の上下及び空気ポンプ82による海水中のDO値の上下の少なくとも一方で、アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の反応速度を調整することができる。またアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌は、流速が早いほど海水中の酸素が混ざり合うため反応速度が上がる。このため、制御部20は、ブレード74の回転モータ72の回転速度を可変して回転を上げたり下げたりしてアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の反応速度を調整することができる。さらに、制御部20は、生物学的窒素除去部41に信号を送って、ホッパ弁43を開け窒素除去細菌を海水中に供給してもよい。
【0034】
POセンサーPO4が検知した養殖槽100の海水のリン酸濃度(PO)が制御部20に送られる。制御部20は、凝集剤供給部60に信号を送って、ホッパ弁62を開けて、凝集剤を海水中に供給し、海水中の固形性有機物および/またはリンを所定濃度になるまで除去する。
【0035】
酸/アルカリセンサーpHが検知した養殖槽100の海水の水素イオン濃度(pH値)が制御部20に送られる。通常は、残餌やエビの排泄物をアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌で処理するため、養殖槽100の海水がアルカリ性になっていく。このため、制御部20は、アルカリ化剤供給部44に信号を送って、ホッパ弁46を開けて、酸化剤を海水中に供給し、海水中のpH値を所定の範囲にしている。なお、生物起源の貝類の殻等の酸化剤は、酸性化の速度が遅いため、pH値が急な変化でアルカリ性に代わる際には、制御部20は、凝集剤供給部60のホッパ弁62に信号を送って、ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を入れても良い。また制御部20は、アルカリ化剤供給部44を動かすことなく空気ポンプ82の回転速度を上げてブロアー80からの散気を多くしても酸性化することができる。図1に示されたように、アルカリ化剤供給部44とブロアー80とは隣接して配置することが好ましい。ブロアー80からの泡が生物起源の貝類等に当たると、酸性化の速度が速くなるからである。また何らかのアクシデントで、酸化剤又は凝集剤が海水中に入れられ過ぎられ、養殖槽100の海水のpH値が所定の範囲よりも酸性になってしまった場合には、制御部20は不図示のアルカリ化剤供給部に信号を送りアルカリ化剤を海中に添加することもできる。
【0036】
鉄イオンセンサーFeが検知した養殖槽100の海水の鉄イオン濃度が制御部20に送られる。制御部20は、鉄イオン化合物供給部47に信号を送って、ホッパ弁49を開けて、フミン酸鉄又はフルボ酸鉄を海水中に供給し、海水中の鉄イオン濃度が所定濃度にするようにしてもよい。鉄イオン化合物供給部47を用意しない場合には鉄イオンセンサーFeも必要ないことがある。
【0037】
<動作音に基づいた給餌について>
昼行性のエビと夜行性のエビと薄明薄暮性のエビとに大きく分類できるが、エビの種類によって行動する時間帯が異なる。その行動する時間帯に餌を与えると、エビ類が餌を良く食べることが知られている。餌を良く食べると言うことはエビ類の成長が早まることを意味する。一方、エビ類の成長を早めるために、必要以上に餌を養殖槽100の海水に入れると、雑菌が繁殖したり海水が汚れてアンモニア等が発生したりしてエビ類が死んだり弱ったりしてしまうことがある。このため、図2で示された制御をしてアンモニア等を抑えることができるとしても、必要以上に餌を養殖槽100の海水に入れることは好ましくない。また、海老の成長を速めながら海水の環境を適正に保つためには、餌の供給量と供給時間帯とを調整することが好ましい。
【0038】
図3は、音響センサー30が検知したあるエビの動作音のアナログデータであり、縦軸が音量であり横軸が時間である。エビの動作音はエビ類が養殖槽内を移動している音及びエビ類が餌を食べている音などが含まれる。エビ類の動作行動は、海水中のDO値、pH値、温度等によって大きく変動する。制御部20は、デジタルデータを処理しているが、理解を容易にするために図3では動作音はアナログデータで示されている。
【0039】
制御部20は、音響センサー30が検知したエビ類の動作音に基づいて、餌供給部50のホッパ弁52を開けたり閉じたりする信号又は餌の投入機で投入/非投入の信号を送信する。以下、ホッパ弁52を開けたり閉じたりする信号を代表して説明する。図3は、これらの開閉信号を送信する第1例と第2例とを説明する図である。また図4は第3例と第4例とを説明する図である。
【0040】
(第1例)
不図示の入力装置及び表示装置によって、ホッパ弁52を開けたり閉じたりする閾値TH1(dB)が設定される。図3ではX1dBに設定されている。また、閾値TH1に達してからホッパ弁52を開ける信号を送信するまでの開時間St1と、閾値TH1に達してからホッパ弁52を閉じるまでの閉時間St2が設定される。開時間St1と閉時間St2とは、同じ時間であっても良いし異なる時間であってもよい。例えば開時間St1は5分と設定され、閉時間St2は7分と設定される。このように開時間St1もしくは閉時間St2を設定する理由は、音響センサー30がエビ類の動作音だけでなく、海水面の波音などの突発的な雑音も検知するため、そのような雑音の影響を小さくするためである。なお、開時間St1及び閉時間St2は、1秒から59分まで設定できるようにしておくことが好ましい。さらに好ましくは1分から30分が設定できることが好ましい。
【0041】
図3の点P1において、動作音の小さい状態から閾値TH1に達してから開時間St1を経て、ホッパ弁52を開ける信号が制御部20からホッパ弁52に送信される。また点Q1において、動作音の大きい状態から閾値TH1に達してから閉時間St2を経て、ホッパ弁52を閉める信号が制御部20からホッパ弁52に送信される。ホッパ弁52を開ける信号から閉める信号まで、海水に餌が供給される。再び点P2において、閾値TH1に達してから開時間St1を経て、ホッパ弁52を開ける信号が制御部20からホッパ弁52に送信され、点Q2において、閾値TH1に達してから閉時間St2を経て、ホッパ弁52を閉める信号が制御部20からホッパ弁52に送信される。
【0042】
点P3において、動作音の小さい状態から閾値TH1に達してから開時間St1を経て、ホッパ弁52を開ける信号が制御部20からホッパ弁52に送信される。しかし、点Q3において、動作音の大きい状態から閾値TH1に達してから再び動作音の小さい状態から閾値TH1に入っている。閾値TH1より低い期間は閉時間St2(例えば7分)よりも短いので、制御部20は、ホッパ弁52を閉める信号を送信せず、餌供給部50から餌が供給し続ける。点Q4において、動作音の大きい状態から閾値TH1に達してから再び動作音の小さい状態から閾値TH1に入っている。閾値TH1より低い期間は閉時間St2よりも長いので、制御部20は、ホッパ弁52を閉める信号を送信し、餌供給部50から餌の供給を止める。
【0043】
点P5において、動作音の小さい状態から閾値TH1に達しているが、開時間St1を経ないで再び閾値TH1よりも動作音が小さくなっている。このため制御部20は、ホッパ弁52を開ける信号をホッパ弁52に送信していない。
【0044】
(第2例)
第2例では、不図示の入力装置及び表示装置によって、閾値TH1(dB)が設定されるとともに、閾値TH1に達してからホッパ弁52を開ける信号を送信するまでの開積分値It1と、閾値TH1に達してからホッパ弁52を閉じるまでの閉積分値It2が設定される。開積分値It1と閉積分値St2とは、同じ積分値(時間*音量)であっても良いし異なる積分値であってもよい。
【0045】
図3の点R1において、動作音の小さい状態から閾値TH1に達してからの開積分値It1を超えてから、ホッパ弁52を開ける信号が制御部20からホッパ弁52に送信される。また点S1において、動作音の大きい状態から閾値TH1に達してから閉積分値It2を超えてから、ホッパ弁52を閉める信号が制御部20からホッパ弁52に送信される。ホッパ弁52を開ける信号から閉める信号まで、海水に餌が供給される。再び点R2において閾値TH1に達するが、開積分値It1を超えていないまま、再び閾値TH1よりも動作音が小さくなっている。このため制御部20は、ホッパ弁52を開ける信号をホッパ弁52に送信していない。
【0046】
点R2において、第1例のように、開時間St1を設定していた場合には、制御部20はホッパ弁52を開ける信号をホッパ弁52に送信する。しかし、第2例であると、閾値TH1に達しての動作音があまり大きくないために、開積分値It1を超えないため、制御部20は、ホッパ弁52を開ける信号を送信しない。
【0047】
本実施形態では、制御部20が、音響センサー30が検知したエビ類の動作音に基づいて、餌供給部50のホッパ弁52を開けたり閉じたりする信号を送信する。このため、余分な餌によって養殖槽100の海水中に雑菌が繁殖したり海水が汚れてアンモニア等が発生したりすることが少なくなる。
【0048】
次に図4を使って、第3例と第4例とを説明する。まず、第1例と第2例と異なる点は第1閾値TH1及び第2閾値TH2が設定される点である。またホッパ52は、少なくとも2段階に餌を供給する供給量を可変できる点である。
【0049】
(第3例)
不図示の入力装置及び表示装置によって、ホッパ弁52を開けたり閉じたりする第1閾値TH1(X1dB)及び第2閾値TH2(X2dB)が設定される。図4では第2閾値TH2が第1閾値TH1より大きい動作音用の閾値である。また、第1閾値TH1に達してからホッパ弁52を第1角度開ける信号を送信するまでの開時間St1と、第2閾値TH2に達してからホッパ弁52を第1角度よりも大きな第2角度開ける信号を送信するまでの開時間St11とが設定される。さらに第1閾値TH1に達してからホッパ弁52を閉じるまでの閉時間St2と、第2閾値TH2に達してからホッパ弁52を第2角度から第1角度にする閉時間St12とが設定される。開時間St1と閉時間St2とは、同じ時間であっても良いし異なる時間であってもよい。また開時間St11及び閉時間St12は、開時間St1及び閉時間St2とそれぞれ同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。図4では開時間St11は開時間St1より短く設定され、閉時間St12も閉時間St2より短く設定されている。なお開時間St11及び閉時間St12は、0秒から59分まで設定できるようにしておくことが好ましい。
【0050】
0秒の設定とは、第2閾値TH2を超えると制御部20がすぐにホッパ弁52を第2角度に開く信号を送信することを意味する。第2閾値TH2で0秒でも良い理由は、すでに制御部20が第1閾値TH1を超える動作音を所定時間又は所定積分値を超えていると判定しているため、雑音の影響はすでに取り除かれていると考えられるからである。
【0051】
図4の点P1において、動作音の小さい状態から第1閾値TH1に達してから開時間St1を経て、制御部20はホッパ弁52を第1角度に開く信号を送信する。さらに点P11において、第2閾値TH11に達して開時間St11を経過すると、制御部20はホッパ弁52を第2角度に開く信号を送信する。
【0052】
また点Q11において、動作音の大きい状態から第2閾値TH2に達してから閉時間St12を経て、制御部20はホッパ弁52を第2角度から第1角度にする信号をホッパ弁52に送信する。また点Q1において、第2閾値TH2から第1閾値TH1に達してから閉時間St2を経て、制御部20はホッパ弁52を閉める信号をホッパ弁52に送信する。ホッパ弁52が第2角度で開いている状態では、海水に餌が大量に供給される。そしてホッパ弁52が第1角度で開いている状態では、海水に餌が少量供給される。
【0053】
点P2において、動作音の小さい状態から第1閾値TH1に達してから開時間St1を経て、制御部20はホッパ弁52を第1角度開ける信号を送信し、その後動作音は第2閾値TH2に入るが、その期間は一瞬であり開時間St11よりも短いので、制御部20はホッパ弁52を第1角度開ける信号を送信したままで、第2角度開ける信号を送信しない。そして点Q2において、動作音の大きい状態から第1閾値TH1に達してから閉時間St2を経て、制御部20は、ホッパ弁52を閉める信号を送信し、餌供給部50から餌の供給を止める。
【0054】
(第4例)
第4例では、不図示の入力装置及び表示装置によって、第1閾値TH1(X1dB)及び第2閾値TH2(X2dB)が設定される。また第1閾値TH1に達してからホッパ弁52を第1角度開ける信号を送信するまでの開積分値It1と、第2閾値TH2に達してからホッパ弁52を第1角度よりも大きな第2角度開ける信号を送信するまでの開積分値It11とが設定される。さらに第1閾値TH1に達してからホッパ弁52を閉じるまでの閉積分値It2と、第2閾値TH2に達してからホッパ弁52を第2角度から第1角度にする閉積分値It12とが設定される。開積分値It1と閉積分値It2とは、同じ積分値(時間*音量)であっても良いし異なる積分値であってもよい。また開積分値It11及び閉積分値It12は、開積分値It1及び閉積分値It2とそれぞれ同じ積分値であってもよいし、異なる積分値であってもよい。図4では開積分値It11は開積分値It1より大きく設定され、閉積分値It12も閉積分値It2より大きく設定されている。
【0055】
図4の点R1において、動作音の小さい状態から第1閾値TH1に達してからの開積分値It1を超えてから、制御部20はホッパ弁52を第1角度開ける信号をホッパ弁52に送信する。点R11において、第2閾値TH2に達してからの開積分値It11を超えてから、制御部20はホッパ弁52を第2角度開ける信号をホッパ弁52に送信する。
【0056】
点S11において、動作音の大きい状態から第2閾値TH2に達するが、その積分値が閉積分値It12を超えていないため、制御部20はホッパ弁52を第2角度から第1角度に閉める信号を送信しない。点S12において、動作音が第2閾値TH2に達してその積分値が閉積分値It12を超えて、制御部20はホッパ弁52を第2角度から第1角度に閉める信号を送信する。そして再び点R12において、第2閾値TH2に達してからの開積分値It11を超えて、制御部20はホッパ弁52を第2角度開ける信号をホッパ弁52に送信する。そして点S13において、動作音が第2閾値TH2に達してその積分値が閉積分値It12を超えて、制御部20はホッパ弁52を第2角度から第1角度に閉める信号を送信し、
する。点S1において、閾値TH1に達してから閉積分値It2を超えてから、制御部20は、ホッパ弁52を閉める信号をホッパ弁52に送信する。点R13において、第2閾値TH2に達してからの積分値が開積分値It11を超えていないから、ホッパ弁52を第2角度開ける信号を送信することはない。つまり点R3で制御部20がホッパ弁52を第1角度開ける信号をホッパ弁52に送信して、ホッパ弁52が第1角度開けられた状態のままである。
【0057】
第3例及び第4例では、制御部20が、音響センサー30が検知したエビ類の動作音に基づいて、餌供給部50のホッパ弁52の開く角度を大きくしたり小さくしたり閉じたりしたりできる。このため、エビ類の活動の活発さに応じて餌が供給されるので、余分な餌によって養殖槽100の海水中に雑菌が繁殖したり海水が汚れてアンモニア等が発生したりすることが少なくなるとともに、エビ類に十分な餌を供給することができる。またエビ類が成長するとその動作音も大きくなる傾向があるので、成長したエビ類には多くの餌を供給することができ、未だ小さなエビ類にはそのエビ類に適した餌の量を供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本実施形態のエビ養殖用の養殖槽は、海水で育つエビ類を前提に説明したが、淡水で育つエビ類にも適用できる。鉄イオン化合物を含む餌が供給されることで、餌に抗生物質を入れなくてもよい、又は餌に含まれる抗生物質を減らすとともに味の良いエビ類を養殖できる。
【符号の説明】
【0059】
20 … 制御部
30 … 音響センサー
41 … 生物学的窒素除去部
44 … アルカリ化剤供給部
47 … 鉄イオン化合物供給部
50 … 餌供給部
43、46、49、52 … ホッパ弁
42、45、48、54 … ホッパ
70 … 対流発生部
72 … 回転モータ
74 … ブレード
80 … ブロワー
82 … 空気ポンプ
92 … 給水バルブ
94 … 給水配管
96 … 排水バルブ
98 … 排水配管
99 … 排水口
100 … 養殖槽
102 … 底部
図1
図2
図3
図4