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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ポンプ装置、制御盤及び制御基板
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/03 20060101AFI20230417BHJP
   F04B 49/08 20060101ALI20230417BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20230417BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
F04B49/03 311
F04B49/08 311
F04B49/10 311
F04B49/02 311
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019026850
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020133472
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智志
(72)【発明者】
【氏名】高木 正志
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-303165(JP,A)
【文献】特開2017-141788(JP,A)
【文献】特開2005-221219(JP,A)
【文献】特開2010-249292(JP,A)
【文献】特開2016-174698(JP,A)
【文献】特開2017-047007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/03
F04B 49/08
F04B 49/10
F04B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記ポンプユニットの二次側の圧力、又は、前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器と、
前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁と、
前記ポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低い圧力値である第1閾値及び前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低い温度値である第2閾値の少なくとも一方を含む閾値を記憶する記憶部と、
前記検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記自動開閉弁を開ける制御部と、
を備え
前記配管は、前記制御部に前記ポンプユニットの起動信号を発報する流水検知器、及び、前記流水検知器の二次側に設けられた、火災時に開放されて放水する消火用の放水手段に接続され
前記自動開閉弁は、前記流水検知器の一次側に設けられるポンプ装置。
【請求項2】
前記流水検知器は、逆流を防止する機能を有し、
前記自動開閉弁は、前記流水検知器の二次側にさらに設けられる、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記第1閾値は、前記配管に接続される前記ポンプユニットの起動圧力若しくは補助ポンプユニットの起動圧力よりも高い圧力に設定され、前記第2閾値は、前記ポンプユニットの起動圧力若しくは前記補助ポンプユニットの起動圧力となる前記配管若しくは水の温度よりも高い温度に設定される、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶される閾値は、前記第1閾値及び前記第2閾値よりも低い第3閾値を含み、
前記制御部は、前記自動開閉弁を開いた後、前記検出器で検出された検出値が前記第3閾値以下となったときに、前記自動開閉弁を閉じる、請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
警告を行う報知手段を備え、
前記制御部は、前記検出器で検出した検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記報知手段により前記警告を行う、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
外部に設けられた外部端末へ情報を送信する通信部を備え、
前記制御部は、前記検出器で検出した検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記通信部により、警告のための情報を前記外部端末へ送信する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記制御部は、火災時において、前記検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記自動開閉弁を閉じるか、又は、閉じた状態を維持する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記自動開閉弁の呼び径は、前記ポンプユニットの吐出口の呼び径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記自動開閉弁からの排水される流量を絞ることができるオリフィス又は手動開閉弁を備える請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上である状態が、あらかじめ前記記憶部に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合、若しくは電気的に接続したタイマーがあらかじめ設定した時間をカウントした場合に前記自動開閉弁を開ける、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記ポンプユニットの二次側に設けられた圧力タンクを備える、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記排水管及び前記自動開閉弁は、前記圧力タンクの二次側に設けられたことを特徴とする、請求項11に記載のポンプ装置。
【請求項13】
前記記憶部に記憶された閾値は、前記第1閾値及び前記第2閾値よりも低い第4閾値を含み
前記制御部は、前記検出器で検出された検出値が、前記第4閾値以下となったときに、前記ポンプユニットを起動する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項14】
前記起動により運転を継続した状態が、あらかじめ前記記憶部に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合、若しくは電気的に接続したタイマーがあらかじめ設定した時間をカウントした場合、若しくは前記検出器で検出された検出値が、前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方よりも低く、且つ、前記第4閾値以上となった場合に、前記ポンプユニットを停止する、請求項13に記載のポンプ装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のポンプ装置に用いられる制御盤であって、
末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されたポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低い圧力値である第1閾値及び前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低い温度値である第2閾値の少なくとも一方を含む閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットの二次側の圧力又は前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を開ける制御部と、
を備える制御盤。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のポンプ装置に用いられる制御基板であって、
末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されたポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低い圧力値である第1閾値及び前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低い温度値である第2閾値の少なくとも一方を含む閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットの二次側の圧力又は前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を開ける制御部と、
前記記憶部及び前記制御部が実装された基板と、
を備える制御基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に用いられるポンプ装置、制御盤及び制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、建造物に給水するポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置として、例えば、火災時にスプリンクラー等へ水を供給する消火ポンプ装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
このようなポンプ装置は、火災時にポンプ装置が起動することから、火災が起きていない場合には、火災発生時に備え、常時通電されているとともに、ポンプ装置の二次側の配管内が所定の圧力に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6442338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したポンプ装置では、ポンプ装置の二次側の配管内が所定の圧力に維持されているが、水温が上昇すると、配管内の水及び空気が熱により膨張する虞がある。このとき、ポンプ装置の二次側の配管は外部に水が漏水しないように密閉されていることから、配管内の圧力が異常昇圧する虞がある。
【0006】
そこで本発明は、二次側の配管の異常昇圧を防止できるポンプ装置、制御基板及び制御盤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、前記ポンプユニットの二次側の圧力、又は、前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器と、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁と、前記ポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低い圧力値である第1閾値及び前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低い温度値である第2閾値の少なくとも一方を含む閾値を記憶する記憶部と、前記検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記自動開閉弁を開ける制御部と、を備え、前記配管は、前記制御部に前記ポンプユニットの起動信号を発報する流水検知器、及び、前記流水検知器の二次側に設けられた、火災時に開放されて放水する消火用の放水手段に接続され前記自動開閉弁は、前記流水検知器の一次側に設けられる。
【0008】
本発明の一態様によれば、制御盤は、上述のポンプ装置に用いられる制御盤であって、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されたポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低い圧力値である第1閾値及び前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低い温度値である第2閾値の少なくとも一方を含む閾値を記憶する記憶部と、前記ポンプユニットの二次側の圧力又は前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を開ける制御部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、制御基板は、上述のポンプ装置に用いられる制御基板であって、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されたポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低い圧力値である第1閾値及び前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低い温度値である第2閾値の少なくとも一方を含む閾値を記憶する記憶部と、前記ポンプユニットの二次側の圧力又は前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器で検出された検出値が前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方以上であるときに、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を開ける制御部と、前記記憶部及び前記制御部が実装された基板と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二次側の配管の異常昇圧を防止できるポンプ装置、制御基板及び制御盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る給水設備の構成を示す説明図。
図2】同給水設備に用いられるポンプ装置の構成を示す側面図。
図3】同ポンプ装置に用いられる制御盤の構成を示す正面図。
図4】同制御盤の内部構成を示す正面図。
図5】本発明の他の実施形態に係る給水設備の構成を示す説明図。
図6】本発明の他の実施形態に係る給水設備に用いられるポンプ装置の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1の構成を、図1乃至図4を用いて説明する。なお、本実施形態においては、ポンプ装置1は、給水設備として消火設備100に用いられる消火ポンプ装置の例を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る消火設備100の構成を示す説明図、図2は、ポンプ装置1の構成を示す側面図、図3及び図4は、ポンプ装置1に用いられる制御盤18の外観及び内部の構成それぞれ示す正面図である。
【0014】
図1に示すように、ポンプ装置1は、建造物に設けられた消火設備100に用いられる。まず、消火設備100の構成について説明する。図1に示すように、消火設備100は、ポンプ装置1と、補助加圧装置101と、放水手段201と、火災判断機器301と、給水源401と、を備えている。
【0015】
補助加圧装置101は、放水手段201へ接続される配管501内の圧力が低下したときに、ポンプ装置1が始動する前に補助加圧装置101が自動運転し、配管501内の圧力を回復させるポンプ装置である。
【0016】
補助加圧装置101は、例えば、補助ポンプユニット111と、補助ポンプユニット111の二次側に設けられた圧力タンク112と、圧力タンク112に接続された圧力検出器113と、呼水槽114と、制御盤115と、を備えている。
【0017】
補助ポンプユニット111は、補助モータ121と、補助モータ121により駆動される補助ポンプ122と、補助ポンプ122に接続される連結管123と、を備えている。補助モータ121は、制御盤115に電気的に接続される。補助ポンプ122は、一次側が呼水槽114に接続され、二次側が連結管123に接続される。連結管123は、配管501に接続される。より具体的には、連結管123は、配管501であって、且つ、後述する流水検知器314の一次側に接続される。
【0018】
圧力タンク112は、連結管123に設けられる。
【0019】
圧力検出器113は、圧力タンク112内の圧力を検出する。圧力検出器113は、電気的に制御盤115に接続される。圧力検出器113は、検出した圧力値の信号を制御盤115に送信する。
【0020】
呼水槽114は、補助ポンプユニット111の水源である。
【0021】
制御盤115は、例えば、記憶部131及び制御部132を備える。記憶部131は、例えば、補助ポンプユニット111を起動する補助起動圧力、及び、補助ポンプユニット111を停止する補助停止圧力が記憶されている。補助起動圧力は、ポンプ装置1のポンプユニット12の起動圧力よりも高く設定される。また、補助停止圧力は、ポンプ装置1の締切圧力よりも低く設定される。
【0022】
制御部132は、圧力検出器113で検出した圧力が記憶部131に記憶された起動圧力以下と判断すると、補助ポンプユニット111を起動する。また、制御部132は、補助ポンプユニット111の運転中に圧力検出器113で検出した圧力が記憶部131に記憶された停止圧力以上と判断すると、補助ポンプユニット111を停止する。
【0023】
放水手段201は、例えば、建造物のフロア毎に設けられた複数の放水器や、他の放水装置に接続される配管等である。放水手段201は、火災時に開放されることで消火のために放水を行う。具体例として、放水手段201は、例えば複数のスプリンクラー211と、消火栓212と、連結送水管213と、を含む。
【0024】
スプリンクラー211は、配管501から分岐して接続され、各フロアに配設された配設管211aと、配設管211aに設けられたフロア毎に複数設けられたスプリンクラヘッド211bと、を備える。また、スプリンクラー211は、配設管211a及びスプリンクラヘッド211bの間に水量(流量)及び圧力の検出が可能な検出器を備えていてもよい。
【0025】
スプリンクラヘッド211bは、例えば、火災時の熱により開口し放水することで、建造物のフロアに放水可能な放水口を有している。また、スプリンクラヘッド211bは、例えば、同一フロアに設けられたスプリンクラヘッド211bのいずれかが開となり放水した場合に、同一フロア内に設けられた他のスプリンクラヘッド211bも開となり連動して放水可能に形成されている。
【0026】
消火栓212は、建造物の屋内及び屋外の少なくとも一方に設けられる。消火栓212は、例えば、屋内消火栓である。消火栓212は、例えば、消火栓箱212aと、消火栓箱212aに収容され、配管501に接続されるホース212bと、ホース212bに設けられたノズル212cと、ノズル212cに設けられた開閉弁と、を備えている。また、ホース212bと配管501との間には、開閉弁が設けられた放水口が設けられ、この放水口にホース212bが接続されることで、配管501にホース212bが流体的に接続される。
【0027】
連結送水管213は、例えば、建造物の屋内又は屋外に設けられる。連結送水管213は、いわゆる消防隊専用栓である。連結送水管213は、例えば、屋内に設けられる湿式の差込式放水口である。
【0028】
火災判断機器301は、ポンプ装置1の後述するポンプユニット12を起動する起動装置である。例えば、火災判断機器301は、火災報知器311と、消火栓用手動起動装置312と、遠隔起動装置313と、流水検知器314と、圧力検出器33と、を含む。火災判断機器301は、例えば、信号線99を介して制御盤18に電気的に接続される。ポンプユニット12が起動した場合は、防災センター等へ自動的に通報される。この場合、ポンプユニット12の停止は手動で行う必要があり、また、火災発生を知らせるアラームが建物内に響き渡るため、火災時以外にはポンプユニット12を起動させないようにする必要がある。
【0029】
火災報知器311は、例えば、煙や熱を感知し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0030】
消火栓用手動起動装置312は、例えば、消火栓212の消火栓箱212aに設けられる。消火栓用手動起動装置312は、手動により操作されることで、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0031】
遠隔起動装置313は、例えば、防災センター等からの遠隔操作されることで、制御盤18に、ポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0032】
流水検知器314は、例えば、配管501内に所定の流量又は流速の水が流れた場合に、内部に設けられたスイッチが作動し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0033】
給水源401は、消火用の水槽である。給水源401は、ポンプ装置1の一次側に設けられる。
【0034】
配管501は、ポンプ装置1の二次側に設けられ、スプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213に接続される。配管501には、流水検知器314が設けられる。配管501は、末端又は中途部においてスプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213により閉鎖される。
【0035】
図1及び図2に示すように、ポンプ装置1は、ベース11と、ポンプユニット12と、吐出管13と、圧力タンク14と、自動開閉弁15と、温度検出器16と、呼水槽17と、制御盤18と、を備えている。
【0036】
ベース11は、建造物のポンプ装置1の設置面に固定される。ベース11は、その上面にポンプユニット12、圧力タンク14、呼水槽17及び制御盤18を固定する。
【0037】
ポンプユニット12は、ポンプ21及びモータ22を備えている。ポンプ21は、吸込口21a及び吐出口21bを備えている。ポンプ21は、その内部に回転軸に固定されたインペラを収容する。ポンプ21は、増圧した水を二次側に吐出する。
【0038】
モータ22は、回転軸を回転可能に形成されている。モータ22は、回転軸を回転することで、ポンプ21のインペラを駆動する。モータ22は、信号線99を介して電気的に制御盤18に接続される。
【0039】
吐出管13は、一端がポンプ21の吐出口21bに接続されるとともに、他端が配管501に接続される。吐出管13は、圧力タンク14よりも一次側に逆止弁13aを有する。
【0040】
圧力タンク14は、タンク31と、圧力計32と、圧力検出器33と、を備えている。タンク31は、ポンプ21から吐出された所定の圧力の水を貯留可能に形成されている。タンク31は、例えば、吐出管13に設けられる。圧力計32は、タンク31内の圧力を検出し、外部に表示可能に形成されている。圧力検出器33は、信号線99を介して制御盤18に接続されている。圧力検出器33は、タンク31内の圧力を制御盤18に送信可能に形成されている。
【0041】
自動開閉弁15は、例えば、ポンプユニット12の二次側であって、且つ、流水検知器314の一次側に設けられ、ポンプユニット12の二次側であって、且つ、流水検知器314の一次側に接続された分岐管15aを開閉する。ここで、分岐管15aは、例えば、排水口15b等に接続されている。換言すると、自動開閉弁15は、ポンプユニット12の二次側の分岐管15aに設けられ、分岐管15aを開くことで、ポンプユニット12の二次側の水を排水口15bに排水する。
【0042】
自動開閉弁15は、信号線99によって制御盤18に電気的に接続される。自動開閉弁15は、常時閉であり、制御盤18からの信号によって開き、ポンプユニット12の二次側及び配管501に存する水を排水口15bに排水する。
【0043】
温度検出器16は、例えば、吐出管13又は配管501に設けられる。温度検出器16は、ポンプユニット12の二次側のいずれかの配管13、501内の水の温度、又は、いずれかの配管13、501の表面温度を検出する。温度検出器16は、信号線99を介して制御盤18に電気的に接続される。温度検出器16は、検出した温度情報を制御盤18に送信する。
【0044】
呼水槽17は、ポンプ21に呼び水を供給可能に、配管17aを介してポンプ21に接続される。また、呼水槽17は、ポンプ21の温度上昇を抑えるために、オリフィスが設けられ、ポンプ21で増圧された水の一部を絞り、呼水槽17に逃がす逃がし管17bを有する。
【0045】
制御盤18は、内部に制御部41を備えている。また、制御盤18は、入力装置42と、記憶部43と、報知部44と、通信部45と、端子部48と、を備えている。制御盤18は、また、例えば、制御基板46と、筐体47と、を備えている。
【0046】
制御基板46は、例えば、一枚の基板46aに、制御部41、記憶部43、通信部45及び端子部48が実装されることで構成される。筐体47は、内部に制御基板46を収容するとともに、外面の一部に入力装置42及び報知部44を配置する。また、筐体47は、内部に電源トランス、電流測定用変流器、電磁接触器、配線用遮断器等の複数の機器38を収容する。
【0047】
制御部41は、信号線99を介してモータ22及び圧力検出器33に接続される。制御部41は、入力装置42、記憶部43、報知部44及び通信部45と、バスライン等の信号線99を介して電気的に接続される。
【0048】
制御部41は、モータ22を駆動可能に形成されている。制御部41は、火災と判断したときに、モータ22を駆動可能に形成されている。具体例として、制御部41は、火災判断機器301から発報されたポンプユニット12の起動信号を受信すると、記憶部43に記憶されたプログラムに準じてモータ22を駆動する。
【0049】
制御部41は、日付を管理可能なカレンダー機能及び時刻を管理可能な時計機能を有している。制御部41は、ポンプユニット12の駆動後に経過した時間をカウントするカウンタ機能を有している。制御部41は、ポンプユニット12の駆動停止後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値、ポンプユニット12の起動停止回数、自動開閉弁15の開閉履歴等を記憶部43に記憶する機能を有している。
【0050】
制御部41は、ポンプユニット12の異常発生時に、当該異常の情報を報知部44に送信する機能を有している。制御部41は、入力装置42により入力された指示に基づいて、カウンタ機能でカウントした時間、過去のポンプユニット12の駆動情報等の履歴情報を通信部45に送信可能に形成されている。
【0051】
入力装置42は、日時及び指令等の情報を入力可能に形成されている。入力装置42は、入力された情報を制御部41に送信可能に形成されている。
【0052】
記憶部43には、例えば、ポンプユニット12を起動する起動圧力、締切り運転時の締切揚程、並びに、火災発生時及び各点検運転におけるポンプユニット12の制御プログラム等が記憶されている。
【0053】
また、記憶部43には、自動開閉弁15を開閉する条件である閾値が記憶されている。例えば、閾値は、第1閾値、第2閾値及び第3閾値を含む。
【0054】
第1閾値は、例えば、自動開閉弁15を開くと判断するポンプユニット12の二次側の圧力値である。第1閾値は、ポンプユニット12の二次側の配管、本実施形態においては吐出管13及び配管501並びにポンプユニット12の二次側の設備の破損が起こらないことを保証する許容圧力より低い圧力であって、且つ、ポンプユニット12の起動圧力や補助ポンプユニット111の起動圧力よりも高い圧力に設定される。ここで、ポンプユニット12の二次側の設備とは、スプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213等である。
【0055】
第2閾値は、自動開閉弁15を開くと判断するポンプユニット12の二次側の水温又は水温を推定できる配管13、501の表面温度である。例えば、第2閾値は、吐出管13及び配管501を含むポンプユニット12の二次側の配管内の容量、及び、温度変化に伴う水の熱膨張量に基づいて予め設定される。即ち、第2閾値は、熱により膨張したときに、ポンプユニット12の二次側の圧力が上記許容圧力に昇圧する温度よりも低い温度であって、且つ、ポンプユニット12の起動圧力や補助ポンプユニット111の補助起動圧力よりも高い圧力となる温度であり、好適には、安全性を考慮して、将来的に上記許容圧力に昇圧する虞のある温度よりも低い温度に設定される。
【0056】
例えば、ポンプユニット12の二次側の配管13、501に水が充水された時、換言すると、ポンプユニット12が初めて起動した時、ポンプユニット12の二次側の配管13、501に満たされる水の圧力は締切り揚程となる。この時の水温とポンプユニット12の締切り揚程から、例えば、水と空気の容積を一定と仮定し、ボイル・シャルルの法則等により、配管13、501の許容圧力となる水温が推定できる。
【0057】
第3閾値は、自動開閉弁15を開いた後に自動開閉弁15を閉じる条件であり、例えば、ポンプユニット12の二次側の圧力値である。例えば、第3閾値は、上記許容圧力及び第1閾値より低い圧力であって、且つ、ポンプユニット12の起動圧力や補助ポンプユニット111の補助起動圧力よりも高い圧力に設定される。
【0058】
これらのように、閾値は、ポンプユニット12の二次側の圧力がポンプユニット12の二次側に流体的に接続された設備が破損する虞がある場合に、自動開閉弁15を開いて排水することでポンプユニット12の二次側の圧力を低下させる圧力値及び温度値である。また、閾値は、自動開閉弁15を開いてポンプユニット12の二次側の圧力を低下させたときに、ポンプユニット12の二次側の圧力が、ポンプユニット12が起動すること、又は、補助ポンプユニット111を起動することを抑制できる圧力値及び温度値である。
【0059】
さらに、記憶部43には、ポンプユニット12の識別番号、形式、位置情報等のポンプ装置1の情報、及び、ポンプユニット12の二次側の圧力が昇圧したときに警告を送信する外部に設けられたパーソナルコンピュータやタブレット端末等の外部端末90の情報等が記憶されている。
【0060】
報知部44は、ポンプユニット12の異常発生時に、制御部41から送信された情報に基づいて、当該異常を外部に報知可能に形成されている。報知部44は、情報を表示する表示部である。報知部44は、例えば、点灯又は点滅することで情報を表示するランプ、音により外部に情報を報知する音響及び情報を表示するディスプレイを含む。
【0061】
通信部45は、外部と情報を送受信可能に構成される。例えば、通信部45は、制御部41から送信された情報を無線又は有線により外部に出力する。例えば、通信部45は、外部端末90に情報を送信する。換言すると、制御部41は、通信部45を介して、インターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークや無線又は有線ケーブル等によりに外部端末90に情報を送信し、外部端末90に当該情報を表示させる。
【0062】
なお、例えば、外部端末90に情報を表示させる機能は、外部端末90のプロセッサが処理することで達成される。外部端末90は、例えば、異常昇圧等に関する情報を表示する表示部である。また、ここで、外部端末90は、例えば、ポンプ装置1から離れた場所にユーザが有する第1外部端末91と、ユーザ以外の管理者、具体例としてポンプ装置1の製造メーカ、建造物を管理する管理センター、及び、消防署や防災センター等の外部機関等のポンプ装置1や消火設備100を監督又は管理を行う管理者が有する第2外部端末92と、を含む。
【0063】
また、制御部41は、以下の(1)乃至(3)の機能を有している。
【0064】
(1)温度検出器16及び圧力検出器33の少なくとも一方で検出された検出値に基づいてポンプユニット12の二次側の圧力の異常昇圧を判断する機能。
【0065】
(2)ポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧と判断した場合に、警告を行う機能。
【0066】
(3)ポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧と判断した場合に、ポンプユニット12の二次側の圧力を減圧する機能。
【0067】
次に、制御部41が有する(1)乃至(3)の機能について説明する。
(1)の機能は、圧力検出器33で検出された圧力及び温度検出器16で検出された温度の少なくとも一方の値と、閾値とを比較し、ポンプユニット12の二次側の圧力が異常か、又は異常となる虞があるかを判断する機能である。
【0068】
(1)の機能の具体例を以下説明する。(1)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、圧力検出器33で検出された圧力情報である信号、温度検出器16で検出された温度情報である信号の少なくとも一方を受信する。制御部41は、受信した信号と第1閾値とを比較する。
【0069】
具体的には、制御部41は、圧力検出器33で検出された圧力又は温度検出器16で検出された温度が第1閾値の圧力値又は温度値以上であるか否かを判断する。圧力検出器33で検出された圧力又は温度検出器16で検出された温度が第1閾値の圧力値又は温度値よりも小さい値である場合には、制御部41は、ポンプユニット12の二次側の圧力に異常昇圧がない、又は、異常昇圧の虞がないと判断する。圧力検出器33で検出された圧力又は温度検出器16で検出された温度が第1閾値の圧力値又は温度以上の値である場合には、制御部41は、ポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧しているか、又は、異常昇圧の虞があると判断する。
【0070】
(2)の機能は、(1)の機能でポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧又はその虞があると判断した場合に警告を行う機能である。
【0071】
(2)の機能の具体例を以下説明する。(2)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、(1)の機能でポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧又はその虞があると判断した場合に、報知部44を制御し、音、光又は情報の表示によって、異常昇圧の情報をポンプ装置1の周囲に警告する。また、制御部41は、当該異常昇圧の情報及び記憶部43に記憶されたポンプ装置1の識別番号、形式、位置情報を、第1外部端末91及び第2外部端末92へ当該情報を送信し、外部への警告を行う。
【0072】
(3)の機能は、ポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧と判断した場合に、ポンプユニット12の二次側の圧力を減圧する機能である。
【0073】
(3)の機能の具体例を以下説明する。(3)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、(1)の機能でポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧又はその虞があると判断した場合に、自動開閉弁15を開けるための信号を自動開閉弁15に送信し、自動開閉弁15を開き、ポンプユニット12の二次側に接続される分岐管15a及び排水口15bを連通させて、ポンプユニット12の二次側の水を排水口15bから排水する。これにより、制御部41は、ポンプユニット12の二次側の圧力を減圧する。なお、制御部41は、火災判断機器301からポンプユニット12の起動信号を発報されている場合には、自動開閉弁15を開くことなく、閉状態を維持する。
【0074】
自動開閉弁15を開いた後、制御部41は、圧力検出器33で検出された圧力情報である信号を受信し、受信した信号と第3閾値とを比較する。具体的には、制御部41は、圧力検出器33で検出された圧力が第3閾値の圧力値以下であるか否かを判断する。圧力検出器33で検出された圧力が第3閾値よりも大きい値である場合には、制御部41は、ポンプユニット12の二次側の圧力が異常な圧力であると判断し、自動開閉弁15の開状態を維持する。圧力検出器33で検出された圧力で検出された温度が第3閾値以下の値である場合には、制御部41は、ポンプユニット12の二次側の圧力が正常な圧力まで減圧されたと判断し、自動開閉弁15への信号を停止し、自動開閉弁15を閉じる。また、制御部41は、ポンプユニット12の二次側の圧力が正常な圧力まで減圧されたと判断すると、報知部44による警告を解除するとともに、ポンプユニット12の二次側の圧力が正常な圧力まで減圧された旨の情報及び記憶部43に記憶されたポンプ装置1の識別番号、形式、位置情報を、第1外部端末91及び第2外部端末92へ当該情報を送信し、外部への警告を行う。
【0075】
このように構成された消火設備100に用いられるポンプ装置1によれば、圧力検出器33で検出された圧力及び温度検出器16で検出された温度の少なくとも一方の値と閾値とを比較し、ポンプユニット12の二次側の異常圧力を検知し、自動開閉弁15を開いて配管13、501内の圧力を減圧できる。また、ポンプ装置1は、ポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧又はその虞があると判断した場合に報知部44、第1外部端末91及び第2外部端末92に警告を行うことができる。これにより、正常な圧力まで配管13、501内の圧力を減圧でき、異常昇圧した情報を、ポンプ装置1の周囲、ユーザ及び管理者に警告することができることから、ポンプ装置1や消火設備100の破損を防止できる。
【0076】
さらに、ポンプ装置1は、制御部41は、火災判断機器301からポンプユニット12の起動信号を発報されている場合には、常時閉じている自動開閉弁15を開くことなく、閉状態を維持することから、火災時に自動開閉弁15が開くことによる、放水量の低下等を防止できる。即ち、ポンプ装置1は、自動開閉弁15で減圧する構成であっても、火災時に消火活動を邪魔することを防止できる。加えて、火災時に生じる熱によって、異常昇圧の虞が判断され、誤って自動開閉弁15が開き、ポンプユニット12の二次側が減圧されることを防止できる。
【0077】
また、第1閾値及び第2閾値は、ポンプユニット12の二次側の配管、本実施形態においては吐出管13及び配管501並びにポンプユニット12の二次側の設備の破損が起こらないことを保証する許容圧力より低い圧力又はポンプユニット12の二次側の圧力が上記許容圧力に昇圧する温度よりも低い温度に設定される。このため、当該配管13、501及び設備が許容圧力を超える前に自動開閉弁15が開き、当該配管及び設備が破損することを防止できる。また、第1閾値及び第2閾値は、ポンプユニット12の起動圧力や補助ポンプユニット111の補助起動圧力よりも高い圧力又は当該圧力となる温度に設定される。即ち、第1閾値及び第2閾値は、消火設備100を使用目的の範囲内の圧力においては異常昇圧と判断させないことから、過剰な減圧を防止することができる。
【0078】
加えて、自動開閉弁15を開いた後に自動開閉弁15を閉じる第3閾値は、上記許容圧力及び第1閾値より低い圧力であって、且つ、ポンプユニット12の起動圧力や補助ポンプユニット111の補助起動圧力よりも高い圧力に設定される。このため、自動開閉弁15によりポンプユニット12の二次側の圧力を減圧させても、消火設備100を使用する範囲内の圧力にポンプユニット12の二次側の圧力が維持される。即ち、ポンプ装置1は、ポンプユニット12の減圧をした後に、補助ポンプユニット111が起動されることを抑制できる。これにより、ポンプ装置1は、消火設備100のランニングコストが増加することを防止できる。
【0079】
また、ポンプ装置1は圧力タンク14を備える構成であることから、ポンプユニット12の二次側に昇温による圧力変化が小さい空気を貯留できることから、昇温による圧力変化量を低減することができる。
【0080】
上述したように、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1によれば、ポンプユニット12の二次側の圧力又は温度から異常昇圧を検知可能となる。加えて、ポンプ装置1によれば、異常昇圧を検知した場合に、ポンプユニット12の二次側を排水することで、ポンプユニット12の二次側の配管13、501内の異常昇圧を防止できる。
【0081】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、ポンプユニット12の二次側の異常昇圧を判断するために、圧力検出器33及び温度検出器16を用い、少なくとも一方の検出値によって異常昇圧を判断する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、圧力検出器33及び温度検出器16の双方の検出値によって異常昇圧を判断する構成であってもよい。また、圧力検出器33及び温度検出器16の一方でのみを用いる構成であってもよい。
【0082】
また、上述した例では、消火設備100としてスプリンクラー211が設けられる構成を説明したが、スプリンクラー211は、スプリンクラヘッド211bに閉塞弁が設けられ、火災時に開放する構成であっても、常時開放するいわゆる開放型であってもよい。例えば、開放型のスプリンクラヘッド211bを用いる場合には、火災時のみ開放される開閉弁を設ける構成とすればよい。また、消火設備100はスプリンクラー211ではなく、泡消火設備や水噴霧消火設備を用いる構成であってもよい。
【0083】
また、上述した例では、ポンプ装置1は消火ポンプ装置であり、そして、ポンプ装置1が消火設備100に用いられる例を説明したがこれに限定されない。例えば、ポンプ装置1は、末端又は中途部でポンプユニット12の二次側が閉鎖され、昇温によって異常昇圧する虞がある他の設備やポンプ装置に適用できる。例えば、飲料用水の給水装置に用いられる構成であってもよいが、飲料用水は配管内の水の入れ替わりが多いため、水温の変化は消火ポンプ用の配管に比べて小さい。また、給湯用水の給水装置に用いられる構成であってもよいが、配管には断熱材を巻くことが多く、直射日光による影響も受け難いため、水温の変化は消火ポンプ用の配管に比べて小さい。
【0084】
また、上述した例では、報知部44及び外部端末90へ点検運転の情報及び結果、並びに、警告を表示又は送信する構成を説明したがこれに限定されず、いずれに警告を行う構成であってもよく、また、他の機器に警告を行う構成であってもよい。
【0085】
また、上述した例では、補助ポンプユニット111が設けられる構成を説明したが、補助ポンプユニット111を有さない構成であっても良い。この場合、第3閾値により、ポンプユニット12の起動を抑制しつつ、ポンプユニット12の二次側の異常昇圧を防止できる。ポンプユニット12が起動した場合は、防災センター等へ自動的に通報され、そしてポンプ装置1の停止を手動で行う必要があることから、補助ポンプユニット111を有する場合と比べ一層の効果を有する。
【0086】
また、上述した例では、自動開閉弁15で減圧する構成を記載したが、自動開閉弁15の呼び径をポンプユニット12の吐出口の呼び径より小さい径とし、ポンプユニット12の二次側の圧力を緩やかに減圧できる構成としてもよい。即ち、緩やかな減圧によりポンプユニット12又は補助ポンプユニット111の起動圧力まで下回る虞がなく、ポンプユニット12又は補助ポンプユニット111の起動を抑制することができる。更に、図5に示すように、自動開閉弁15にオリフィスや手動開閉弁等の絞り15cを設けることで、自動開閉弁15による精密な開閉動作を不要とする構成としてもよい。即ち、自動開閉弁15は単純な開閉のみ行えれば良く、細かな開度の調整が不要となり、より安価なものが採用できる。
【0087】
また、消火設備に用いられる流水検知器314は、配管501から吐出管13へ逆流を防止する機能を併せ持つものが多く採用されている。この場合、上述した構成であれば、流水検知器314の一次側の圧力を減圧することができる。流水検知器314の二次側を減圧することはできないが、流水検知器314の一次側の圧力が二次側の圧力よりも低くなるため、流水検知器314が流水を検知することなく、流水検知器314の一次側の異常昇圧を防止することができ、吐出管13や逆止弁13a等の破損を防止することができる。
【0088】
また、上述した例では、流水検知器314の一次側に設けられた自動開閉弁15により減圧する構成を記載したが、流水検知器314の二次側にも同様に自動開閉弁15を設ける構成であっても良い。この場合、流水検知器314が逆流防止機能を有する場合であっても、流水検知器314の一次側から先に減圧することで、流水検知器314が流水を検知することなく、流水検知器314の一次側と二次側の異常昇圧を防止することができる。
【0089】
また、上述した例では、流水検知器314の一次側に設けられた自動開閉弁15により減圧する構成を記載したが、流水検知器314の二次側に自動開閉弁15を設ける構成であっても良い。なお、流水検知器314が逆流防止機能を有する場合には、減圧に伴い流水検知器314が流水を検知する虞があるが、自動開閉弁15にオリフィスや手動開閉弁等の絞り15cを設け、流水検知器314が検知する流量よりも小さな流量を排水することで、流水検知器314が流水を検知することなく異常昇圧を防止することができる。
【0090】
また、上述した例では,ポンプユニットの制御部41は、圧力検出器33で検出された圧力又は温度検出器16で検出された温度が第1閾値の圧力値又は温度値以上である場合に異常昇圧と判断する機能を有する場合を記載したが、この判断に際して時間の閾値を追加し設けてもよい。この時間の閾値は、圧力検出器33で検出された圧力又は温度検出器16で検出された温度が第1閾値の圧力値又は温度値以上である継続時間が、時間の閾値を超えた場合に、制御部41が異常昇圧であると判断するために用いられる。これにより、ウォーターハンマー等による瞬時のみの圧力上昇に対して異常昇圧と判断することを防止することができる。また、この時間の閾値は,例えば記憶部43に格納してもよく、また、制御部41にタイマーを電気的に接続し、このタイマーによって設定されてもよい。
【0091】
また、上述した例では、自動開閉弁15は流水検知器314の一次側に設けられる構成としたが、図6に示すように圧力タンク14へ設ける構成であっても良い。圧力タンク14にはドレン配管34が設けられるが、ドレン配管34に自動開閉弁15を設けることで、分岐管15aは不要となり、ポンプ装置のコストダウン及び小型化を図ることができる。
【0092】
また、上述した例では、補助ポンプユニット111を有さず、第3閾値により、ポンプユニット12の起動を抑制しつつ、ポンプユニット12の二次側の異常昇圧を防止する構成を説明したが、第3閾値よりも低い第4閾値を更に設け、ポンプユニット12の二次側の配管13、501の圧力が第4閾値を下回った場合にポンプユニット12を起動する構成としても良い。
【0093】
即ち、第4閾値は補助ポンプユニット111の起動圧力に相当する。これにより、ポンプユニット12の二次側の配管13、501から漏水が発生した場合において、補助ポンプユニット111を用いることなく圧力の回復をすることができる。また、第4閾値を、火災時を想定した防災センター等への通報を伴うポンプユニット12の起動圧力よりも高く設定し、第4閾値による起動時には防災センター等への通報を行わないか、又は火災以外の理由でポンプユニット12を起動したことを防災センター等へ通報することで、火災発生との誤認を防ぐことができる。更に、配管13、501の圧力が第3閾値を超えた時、又は配管13、501圧力が第3閾値まで回復すると想定される時間として設定された運転継続時間が経過した時に、ポンプユニット12を停止させることで、配管13、501の許容圧力を超えることなく圧力を回復させることができる。尚、前記運転継続時間は、配管13、501の圧力が第4閾値を下回りポンプユニット12を起動させてからの運転継続時間であり、記憶部43に前記運転継続時間の閾値を記憶し、前記運転継続時間が前記時間の閾値を超えた場合にポンプユニット12を停止させるか、制御部41にタイマーを電気的に接続し、このタイマーによって設定された前記運転継続時間が経過した場合にポンプユニット12を停止させる構成としても良い。
【0094】
また、上述した例では、(2)の機能として、(1)の機能でポンプユニット12の二次側の圧力が異常昇圧又はその虞があると判断した場合に警告を行う機能を説明したが、第1外部端末91及び第2外部端末92へ送信する情報は異常昇圧の情報及びポンプ装置1の識別番号、形式、位置情報に限定されない。例えば、当該情報とし自動開閉弁15の開閉履歴を含めても良い。これにより、異常昇圧の頻度や程度をユーザや管理者が把握できる。例えば、当該情報として第4閾値によるポンプユニット12の起動停止回数を含めても良い。これにより、漏水等による圧力低下の頻度や程度をユーザや管理者が把握できる。
【0095】
また、上述した例では、自動開閉弁15を用いてポンプユニット12の二次側の配管13、501内の圧力を減圧する構成を説明したが、ばね等の反力を用いた機械式安全弁を用いても減圧は可能である。但し、機械式安全弁では閾値の変更が可能であったとしても、安全弁本体を調整、又は交換する必要があり、また、機械式安全弁のみでは配管内の圧力を安全な圧力まで減圧できたかどうかが確認できず、減圧した履歴や回数も把握できないため、シール性能の低下有無や寿命を判断することが困難であることから、自動開閉弁15を用いることが好ましい。
【0096】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記ポンプユニットの二次側の圧力、又は、前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器と、
前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁と、
前記ポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低いか、又は、前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低く設定される閾値を記憶する記憶部と、
前記検出器で検出された検出値が前記閾値以上であるときに、前記自動開閉弁を開ける制御部と、
を備えるポンプ装置。
[2] 前記配管は、火災時に開放されて放水する消火用の放水手段に接続される、[1]に記載のポンプ装置。
[3] 前記閾値は、前記配管に接続される前記ポンプユニットの起動圧力若しくは補助ポンプユニットの起動圧力若しくは前記いずれかの圧力よりも高い圧力、又は、前記ポンプユニットの起動圧力若しくは前記補助ポンプユニットの起動圧力若しくは前記いずれかの圧力となる前記配管若しくは水の温度よりも高い温度に設定される、[2]に記載のポンプ装置。
[4] 前記記憶部は、前記閾値を複数有し
前記検出器で検出された検出値が前記閾値よりも低い閾値以下となったときに、前記自動開閉弁を閉じる、[3]に記載のポンプ装置。
[5] 警告を行う報知手段を備え、
前記制御部は、前記検出器で検出した検出値が前記閾値以上であるときに、前記報知手段により前記警告を行う、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[6] 外部に設けられた外部端末へ情報を送信する通信部を備え、
前記制御部は、前記検出器で検出した検出値が前記閾値以上であるときに、前記通信部により、警告のための情報を前記外部端末へ送信する、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[7] 前記制御部は、火災時において、前記検出器で検出された検出値が前記閾値以上であるときに、前記自動開閉弁を閉じるか、又は、閉じた状態を維持する、[1]に記載のポンプ装置。
[8] 前記自動開閉弁の呼び径は、前記ポンプユニットの吐出口の呼び径よりも小さいことを特徴とする、[1]に記載のポンプ装置。
[9] 前記自動開閉弁からの排水される流量を絞ることができるオリフィス又は手動開閉弁を備える[1]に記載のポンプ装置。
[10] 前記検出器で検出された検出値が前記閾値以上である状態が、あらかじめ前記記憶部に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合、若しくは電気的に接続したタイマーがあらかじめ設定した時間をカウントした場合に前記自動開閉弁を開ける、[1]に記載のポンプ装置。
[11] 前記ポンプユニットの二次側に設けられた圧力タンクを備える、[1]に記載のポンプ装置。
[12] 前記排水管及び前記自動開閉弁は、前記圧力タンクの二次側に設けられたことを特徴とする、[11]に記載のポンプ装置。
[13] 前記記憶部は、前記閾値を複数有し、
前記検出器で検出された検出値が、前記制御部が前記自動開閉弁を開く前記閾値よりも低い前記閾値以下となったときに、前記ポンプユニットを起動する、[1]に記載のポンプ装置。
[14] 前記起動により運転を継続した状態が、あらかじめ前記記憶部に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合、若しくは電気的に接続したタイマーがあらかじめ設定した時間をカウントした場合、若しくは前記検出器で検出された検出値が、前記制御部が前記自動開閉弁を開く前記閾値よりも低く、且つ、前記制御部が前記ポンプユニットを起動する前記閾値よりも高い前記閾値以上となった場合に、前記ポンプユニットを停止する、[13]に記載のポンプ装置。
[15] 末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されたポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低いか、又は、前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低く設定される閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットの二次側の圧力又は前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器で検出された検出値が前記閾値以上であるときに、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を開ける制御部と、
を備える制御盤。
[16] 末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されたポンプユニットの二次側の配管の許容圧力よりも低いか、又は、前記配管内の圧力が前記許容圧力となる温度よりも低く設定される閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットの二次側の圧力又は前記ポンプユニットの二次側の配管若しくは水の温度を検出する少なくとも1つ以上の検出器で検出された検出値が前記閾値以上であるときに、前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を開ける制御部と、
前記記憶部及び前記制御部が実装された基板と、
を備える制御基板。
【符号の説明】
【0097】
1…ポンプ装置、11…ベース、12…ポンプユニット、13…吐出管、13a…逆止弁、14…圧力タンク、15…自動開閉弁、15a…分岐管、15b…排水口、15c…絞り、16…温度検出器、17…呼水槽、17a…配管、17b…逃がし管、18…制御盤、21…ポンプ、21a…吸込口、21b…吐出口、22…モータ、31…タンク、32…圧力計、33…圧力検出器、34…ドレン配管、38…機器、41…制御部、42…入力装置、43…記憶部、44…報知部、45…通信部、46…制御基板、47…筐体、48…端子部、90…外部端末、91…第1外部端末、92…第2外部端末、99…信号線、100…消火設備、101…補助加圧装置、111…補助ポンプユニット、112…圧力タンク、113…圧力検出器、114…呼水槽、115…制御盤、121…補助モータ、122…補助ポンプ、123…連結管、131…記憶部、132…制御部、201…放水手段、211…スプリンクラー、211a…配設管、211b…スプリンクラヘッド、212…消火栓、212a…消火栓箱、212b…ホース、212c…ノズル、213…連結送水管、301…火災判断機器、311…火災報知器、312…消火栓用手動起動装置、313…遠隔起動装置、314…流水検知器、401…給水源、501…配管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6