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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019137489
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021019770
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 大城
【審査官】中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-074946(JP,A)
【文献】特開2014-171736(JP,A)
【文献】特開2011-200511(JP,A)
【文献】特開2017-140491(JP,A)
【文献】特開2016-086908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部を低輝度状態および高輝度状態の一方から他方に切り替える発光演出を実行する演出実行手段と、
遊技者の要求により、前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を増減させる輝度差調整手段と、
を備え
前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を減少させる場合、前記低輝度状態の輝度を増加させつつ、前記高輝度状態の輝度を減少させることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
発光部と、
前記発光部を低輝度状態および高輝度状態の一方から他方に切り替える発光演出を実行する演出実行手段と、
遊技者の要求により、前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を増減させる輝度差調整手段と、
を備え
前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を減少させる場合、前記低輝度状態の輝度を減少させつつ、当該低輝度状態の輝度よりも大きく前記高輝度状態の輝度を減少させることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部から出力される光の光量調整機能を備える遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-024615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光量調整をしても発光部から出力される光を遊技者が眩しく感じしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、発光部から出力される光を遊技者が眩しく感じてしまうおそれを低減することが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、発光部と、前記発光部を低輝度状態および高輝度状態の一方から他方に切り替える発光演出を実行する演出実行手段と、遊技者の要求により、前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を増減させる輝度差調整手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光部から出力される光を眩しく感じてしまうおそれを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】発光演出の概要を説明するための図である。
図3】(a)は光量調整時に表示領域に表示される画像を示した図であり、(b)は光量を増減させる操作に伴い、低輝度状態と高輝度状態の輝度差が増減することを説明するための図である。
図4】第二具体例を説明するための図である。
図5】第三具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0010】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、図2(a)には、表示領域911を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0012】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
大当たりの抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口が複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、大入賞口906が頻繁に開放状態となり、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものであって、公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。獲得できる遊技球の期待値が異なる複数種の大当たり遊技が設定されていてもよい。本実施形態では、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄(図示せず)の組み合わせによって当否判定結果が遊技者に報知される。
【0015】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0016】
2)輝度差調整手段
本実施形態にかかる遊技機1は、一または複数の発光部10を備える。当該発光部10のうちの少なくとも一部を用いて発光演出が実行される(以下、単に発光部10というときは、当該発光演出に用いられる発光部をいうものとする)。発光部10は、一または複数の光源(LED)やそれを覆うカバー等がユニット化されたものである。このような発光部10が複数設けられていてもよい。本実施形態における発光部10は、遊技機1の枠(筐体前側)に設けられたものである(図1参照)が、遊技領域902内に設けられたものであってもよい。また、当該発光部10は、表示装置91(表示領域911)であってもよい。
【0017】
発光部10から出力される光の眩しさの度合が「輝度」(cd/m2)である。なお、明るさ(眩しさ)の度合を示す単位であれば「輝度」以外の単位を基準として以下に示すように制御してもよい。ただし、他の単位を基準として以下に示すように制御することも、結局は「輝度」を基準として制御することと同じであるため、本願発明に含まれるものとする。
【0018】
発光演出は、発光部10を低輝度状態(図2(a)参照)および高輝度状態(図2(b)参照)の一方から他方に切り替える演出である。本実施形態では、低輝度状態および高輝度状態の一方から他方に切り替えることを複数回繰り返す。遊技者によっては発光部10が点滅しているかのように見える。本実施形態では、低輝度状態および高輝度状態における発光部10の発光色は同じである。
【0019】
本実施形態にかかる遊技機1は、輝度差調整手段(機能)を備える。輝度差調整手段は、発光演出における発光部10の発光を眩しいと感じる遊技者に対してはその眩しさを低減させ、発光部10の発光をより激しく(華やかに)したいと思う遊技者に対してはそれを叶えるようにするためのものである。具体的には、輝度差調整手段は、発光演出における発光部10の低輝度状態と高輝度状態の輝度差を小さくするように、または、当該輝度差を大きくするように変化させる。上記輝度差が小さくなるということは、発光演出時における明るい状態と暗い状態の「差」が小さくなるということであるから、遊技者が眩しさを感じにくくなる。一方、上記輝度差が大きくなるということは、発光演出時における明るい状態と暗い状態の「差」が大きくなるということであるから、発光演出がより激しいものとなる。
【0020】
本実施形態にかかる遊技機1は、公知の光量調整手段(機能)を備える。当該光量調整手段は、遊技者が所定の操作手段80(例えば十字キー(図1参照))を操作することで、上記発光部10とは異なる発光部(以下、他の発光部20と称することもある。当該他の発光部20の一例を図1に示す)から出力される光量(輝度)を増減させること、すなわち光量調整ができるものである。操作手段80としての十字キーの「上」を操作した場合光量が増加し、「下」を操作した場合光量が低下するような設定とすることが考えられる。光量調整がなされ場合、現在の光量が表示領域911に表示されるようにするとよい(図3(a)参照)。また、当否判定結果を報知する演出が実行されている最中(識別図柄の変動中)であっても光量調整ができるようにしてもよいし、当否判定結果を報知する演出が実行されていない状態(待機状態)に限り光量調整ができるようにしてもよい。
【0021】
輝度差調整機能は、光量調整機能と一緒に発現される。具体的には、遊技者が操作手段80を操作することで光量を低減させた場合、輝度差調整機能により発光演出における発光部10の低輝度状態と高輝度状態の輝度差が小さくなるように設定する。一方、遊技者が操作手段80を操作することで光量を増加させた場合、輝度差調整機能により発光演出における発光部10の低輝度状態と高輝度状態の輝度差が大きくなるように設定する(図3(b)参照)。つまり、光量調整手段により光量を小さくする遊技者は、演出として出力される光が眩しいと感じているであろうから、上記輝度差が小さくなるように制御する。一方、光量調整手段により光量を大きくする遊技者は、演出をより激しく(華やかに)したいと考えているであろうから、上記輝度差が大きくなるように制御する。
【0022】
本実施形態では、低輝度状態と高輝度状態の輝度差を減少させる場合、低輝度状態の輝度(以下L1とする)を増加させつつ、高輝度状態の輝度(以下L2とする)を減少させるよう制御する。例えば、最も輝度差が大きい状態(輝度差MAX)(設定5)がL1=1、L2=10(輝度差9)であるとする場合、一段階輝度差を減少させた状態(設定4)がL1=2、L2=9(輝度差7)であり、二段階輝度差を減少させた状態(設定3)がL1=3、L2=8(輝度差5)であり、三段階輝度差を減少させた状態(設定2)がL1=4、L2=7(輝度差3)であり、四段階輝度差を減少させた状態(設定1)がL1=5、L2=6(輝度差1)であるといった態様とする(図3(b)参照)(なお、これらの「値」は一例(基準値)に過ぎない)。低輝度状態と高輝度状態の輝度差を増加させる場合には逆となる。すなわち、低輝度状態の輝度(L1)を減少させつつ、高輝度状態の輝度(L2)を増加させるという制御になる。
【0023】
このようにすることで、低輝度状態と高輝度状態の輝度の平均値が大きく変化しないようにしつつ、低輝度状態と高輝度状態の輝度の差を小さくすることが可能である。本実施形態のように、一段階設定を変化させた場合における低輝度状態の輝度増加量と高輝度状態の輝度低下量を同じにすれば、低輝度状態と高輝度状態の輝度の平均値は保たれる(上記例で言えば、輝度平均値は常に「5.5」である)ため好ましい。なお、発光部10から全く光が出力されない状態(輝度=0である状態)が低輝度状態とされる設定が存在していてもよい。
【0024】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、低輝度状態および高輝度状態の一方から他方に切り替える発光演出について、両状態の輝度差を増減させることが可能なものである。輝度差を低減させることにより、低輝度状態および高輝度状態の「落差」が小さくなるから、遊技者が眩しさを感じにくくなる。輝度差を増加させることにより、低輝度状態および高輝度状態の「落差」が大きくなるから、演出がより激しい(華やかな)ものとなる。
【0025】
3)以下、上記発光演出や輝度差調整手段に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0026】
〇第一具体例
上記実施形態では、発光演出を実行する発光部10の輝度差調整と、他の発光部20の発光量調整が一度に行われること(発光量の低減は輝度差の低減につながり、発光量の増加は輝度差の増加につながるような操作手法であること)を説明したが、発光演出を実行する発光部10についての輝度差調整を独立して行うことが可能な構成としてもよい。
【0027】
また、発光演出を実行する発光部10が複数設けられる場合、発光部10毎に輝度差調整が可能な構成としてもよい。
【0028】
〇第二具体例
低輝度状態と高輝度状態の輝度差を減少させる場合、低輝度状態の輝度(L1)を減少させつつ、当該低輝度状態の輝度よりも大きく高輝度状態の輝度(L2)を減少させるよう制御する。例えば、図4に示すように、最も輝度差が大きい状態(輝度差MAX)(設定5)がL1=5、L2=15(輝度差10)であるとする場合、一段階輝度差を減少させた状態(設定4)がL1=4、L2=12(輝度差8)であり、二段階輝度差を減少させた状態(設定3)がL1=3、L2=9(輝度差6)であり、三段階輝度差を減少させた状態(設定2)がL1=2、L2=6(輝度差4)であり、四段階輝度差を減少させた状態(設定1)がL1=1、L2=3(輝度差2)であるといった態様とする(なお、これらの「値」は一例(基準値)に過ぎない)。低輝度状態と高輝度状態の輝度差を増加させる場合には逆となる。すなわち、低輝度状態の輝度(L1)を増加させつつ、当該低輝度状態の輝度よりも大きく高輝度状態の輝度(L2)を増加させるという制御になる。
【0029】
本例のようにすることで、発光演出が眩しいと感じた遊技者が低輝度状態と高輝度状態の輝度差を減少させると、低輝度状態および高輝度状態の両方の輝度(全体の輝度)が減少しつつ、両状態の輝度の差が小さくなるため、より遊技者が眩しさを感じにくくなるという利点がある。
【0030】
〇第三具体例
発光演出時に発光する発光部10として第一発光部11および第二発光部12が設けられ、発光演出は、第一発光部11が発光した状態(図5(a)参照)および第二発光部12が発光した状態(図5(b)参照)の一方の状態から他方の状態に切り替えられるものであるとする。第一発光部11の発光は、第二発光部12の発光よりも低輝度であるとする。すなわち、上記実施形態でいう低輝度状態となる発光部(第一発光部11)と高輝度状態となる発光部(第二発光部12)が別であるとする。このような構成に対し、上記実施形態と同様の構成が適用されたものとしてもよい。すなわち、第一発光部11と第二発光部12の輝度の差を遊技者が任意に増減することができるようにする。
【0031】
〇第四具体例
上記実施形態における輝度差調整手段(機能)は、遊技者が利用可能なものであることを説明したが、遊技者は利用できないものの、遊技店側が利用できるものとしてもよい。すなわち、低輝度状態と高輝度状態の輝度の差の調整を、遊技店が調整の一つとして行うことができるものとしてもよい。ただし、演出時における発光を眩しいと感じるかどうかは、遊技者によって差があることであるため、上記実施形態のように輝度差調整手段(機能)を遊技者が利用可能なものとした方が好ましい。
【0032】
4)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0033】
上記実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、回動式遊技機(スロットマシン)等、他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0034】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0035】
・手段1
発光部と、前記発光部を低輝度状態および高輝度状態の一方から他方に切り替える発光演出を実行する演出実行手段と、遊技者の要求により、前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を増減させる輝度差調整手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、低輝度状態と高輝度状態の輝度の差を調整することが可能である(輝度の差を小さくすることが可能である)ため、発光演出にて遊技者が眩しく感じてしまうおそれを低減することが可能である。
【0036】
・手段2
前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を減少させる場合、前記低輝度状態の輝度を増加させつつ、前記高輝度状態の輝度を減少させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
このようにすることで、低輝度状態と高輝度状態の輝度の平均値が大きく変化しないようにしつつ、低輝度状態と高輝度状態の輝度の差を小さくすることが可能である
【0037】
・手段3
前記低輝度状態と前記高輝度状態の輝度の差を減少させる場合、前記低光度状態の輝度を減少させつつ、当該低輝度状態の輝度よりも大きく前記高輝度状態の輝度を減少させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
このようにすることで、低輝度状態および高輝度状態の両方の輝度(全体の輝度)を減少させつつ、両状態の輝度の差が小さくなるため、より遊技者が眩しさを感じにくくなる。
【符号の説明】
【0038】
1 遊技機
10 発光部
80 操作手段
91 表示装置
911 表示領域

図1
図2
図3
図4
図5