(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2019156312
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000132747
【氏名又は名称】株式会社ソフイア
(74)【代理人】
【識別番号】100098073
【氏名又は名称】津久井 照保
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【氏名又は名称】川野 宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅也
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-240486(JP,A)
【文献】特開2017-108891(JP,A)
【文献】特開2016-137337(JP,A)
【文献】特開2016-116643(JP,A)
【文献】特開2013-212129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の実行条件の成立に対応して演出を実行可能な演出手段と、該演出手段の演出に対応して演出表示を表示可能な表示手段と、を備え、
前記実行条件が前記演出手段の演出周期よりも短期間内に連続して成立した場合には、先の前記実行条件の成立と後の前記実行条件の成立のいずれにも対応して、前記演出手段が前記演出を実行し、
先の前記実行条件の成立に対応した前記演出である先発演出と、後の前記実行条件の成立に対応した前記演出である後発演出と、は異なる態様であり、
前記演出手段は、前記先発演出を実行中に後の前記実行条件が成立した状況において、実行中の前記先発演出を中止または中断し、前記先発演出を中止または中断した態様から引き続き前記後発演出を前記先発演出の前記中止または中断以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行可能であり、
前記表示手段は、後
の前記実行条件
の成立に対応した前記演出表示として、先
の前記実行条件
の成立に対応した前記演出表示と同じ演出表示を表示可能であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
所定条件(遊技球の入賞口への入賞等)の成立に基づいて役物等の演出手段(可動演出手段)が演出動作を行ったり、表示装置等の表示手段が演出表示を行ったりする遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機において、演出手段が演出開始から演出終了までの周期動作を実行している最中に入賞等の所定条件が成立した場合に、実行中の周期動作が終了してから改めて次の演出手段の周期動作を開始すると、所定条件の成立と周期動作の開始とのタイムラグが際立って遊技者に違和感を与える可能性があり、遊技の興趣が減衰する虞がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者が遊技演出を違和感なく楽しみ易くなって遊技の興趣の減衰を抑えることができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、所定の実行条件の成立に対応して演出を実行可能な演出手段と、該演出手段の演出に対応して演出表示を表示可能な表示手段と、を備え、
前記実行条件が前記演出手段の演出周期よりも短期間内に連続して成立した場合には、先の前記実行条件の成立と後の前記実行条件の成立のいずれにも対応して、前記演出手段が前記演出を実行し、
先の前記実行条件の成立に対応した前記演出である先発演出と、後の前記実行条件の成立に対応した前記演出である後発演出と、は異なる態様であり、
前記演出手段は、前記先発演出を実行中に後の前記実行条件が成立した状況において、実行中の前記先発演出を中止または中断し、前記先発演出を中止または中断した態様から引き続き前記後発演出を前記先発演出の前記中止または中断以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行可能であり、
前記表示手段は、後の前記実行条件の成立に対応した前記演出表示として、先の前記実行条件の成立に対応した前記演出表示と同じ演出表示を表示可能であることを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遊技者が遊技演出を違和感なく楽しみ易くなり、遊技の興趣の減衰を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】球流路ユニットと大入賞口ソレノイドとを後方から見た斜視図である。
【
図6】球流路ユニットと大入賞口ソレノイドとの分解斜視図である。
【
図7】大入賞口ソレノイドが装着された球流路ユニットの説明図であり、(a)は背面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(b)のB領域の部分拡大図、(d)は無端帯状にする前の結束バンドの斜視図である。
【
図13】下側回動役物の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
【
図14】下側回動役物の動作の概略図であり、(a)は演出非実行状態の概略図、(b)は演出非実行状態から上方へ回動した状態の概略図である。
【
図15】下側回動役物の演出実行状態の概略図である。
【
図16】下側回動役物に軸着される役物側配線係合部の説明図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【
図17】下側ユニットカバーに備えられたカバー側配線係合部の説明図であり、(a)は下方から見た下側役物ユニットの部分斜視図、(b)はカバー側配線係合部の底面図である。
【
図18】下側役物ユニットの各配線係合部に配線を係合した状態の説明図である。
【
図19】遊技制御装置を中心に示した制御系統のブロック図である。
【
図20】演出制御装置を中心に示した制御系統のブロック図である。
【
図21】下側回動役物の回動動作に伴う発光接続配線の挙動の概略図であり、(a)は演出非実行状態の概略図、(b)は演出非実行状態から上方へ回動した状態の概略図である。
【
図22】下側回動役物を演出実行状態にしたときの発光接続配線の概略図である。
【
図23】回動役物ベース上の役物側配線係合部の挙動の説明図であり、(a)は下側回動役物を演出非実行状態にしたときの説明図、(b)は下側回動役物を演出実行状態にしたときの説明図である。
【
図24】配線係合部の変形例を備えた遊技盤の正面図である。
【
図25】配線係合部の変形例を備えた遊技盤の分解斜視図である。
【
図26】配線係合部の変形例を備えた下側役物ユニットの分解斜視図である。
【
図28】下側ユニットカバーを外して下側回動役物を演出非実行状態にした役物ユニット本体部の斜視図である。
【
図29】下側ユニットカバーを外して下側回動役物を演出実行状態にした役物ユニット本体部の斜視図である。
【
図31】下側ユニットカバーを外した役物ユニット本体部の正面図であり、(a)は下側回動役物を演出非実行状態にした時の正面図、(b)は下側回動役物を演出実行状態にした時の正面図である。
【
図32】回動パネルの説明図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【
図33】回動パネルの説明図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図34】変動入賞ユニットを備えた遊技盤の正面図である。
【
図35】第1ケース球流下路および変動入賞ユニットの内部構造を示す正面図である。
【
図36】(a)は変動入賞ユニットを備えた遊技盤の分解斜視図、(b)は上側昇降役物部材の各部の説明図である。
【
図38】第2ケース球流下路と側部装飾部材との位置関係を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図39】第2ケース球流下路と側部装飾部材との位置関係を示す斜視図である。
【
図40】ベース発光基板と側部発光基板との離間状態を示す正面図である。
【
図41】鎧装飾部および阻止壁装飾部材の後方に位置する発光基板を示す正面図である。
【
図44】変動入賞ユニット内の流路構造および遊技球の流下を示す説明図であり、(a)は球抜き開閉扉を開き、且つ第2大入賞開閉扉を閉じた状態の説明図、(b)は球抜き開閉扉および第2大入賞開閉扉を閉じた状態の説明図である。
【
図45】球抜き開閉ソレノイドおよびその周辺構造の分解斜視図である。
【
図46】球抜き開閉扉の状態を示す変動入賞ユニットの斜視図であり、(a)は球抜き開閉扉を開いた状態の斜視図、(b)は球抜き開閉扉を閉じた状態の斜視図である。
【
図47】球抜き開閉扉の状態を示す変動入賞ユニットの平面図であり、(a)は球抜き開閉扉を開いた状態の平面図、(b)は球抜き開閉扉を閉じた状態の平面図である。
【
図48】球抜き開閉扉の状態を示す変動入賞ユニットの側方から見た斜視図であり、(a)は球抜き開閉扉を開いた状態の平面図、(b)は球抜き開閉扉を閉じた状態の平面図である。
【
図49】遊技制御装置を中心に示した制御系統のブロック図である。
【
図50】演出制御装置を中心に示した制御系統のブロック図である。
【
図51】回動役物部材を演出実行位置に移動し、下側昇降役物部材を第1演出実行位置に移動した遊技盤の正面図である。
【
図52】下側昇降役物部材を第2演出実行位置に移動し、上側昇降役物部材を演出実行位置に移動した遊技盤の正面図である。
【
図53】上側昇降役物部材の上側スライドパネルおよび下側スライドパネルを突出させた遊技盤の正面図である。
【
図54】表示部に第1画像表示および第2画像表示を表示した遊技盤の正面図である。
【
図55】表示部にエフェクト画像表示を表示した遊技盤の正面図である。
【
図56】遊技制御装置におけるメイン処理のフローチャートの前半部である。
【
図57】遊技制御装置におけるメイン処理のフローチャートの後半部である。
【
図58】遊技制御装置におけるタイマ割込み処理のフローチャートである。
【
図59】遊技制御装置における特図ゲーム処理のフローチャートである。
【
図60】遊技制御装置における特図普段処理のフローチャートである。
【
図61】演出制御装置における1stメイン処理を説明するフローチャートである。
【
図62】演出制御装置における割込み処理を説明するフローチャートである。
【
図63】演出制御装置における2ndメイン処理を説明するフローチャートである。
【
図64】1stシーン制御処理を説明するフローチャートである。
【
図65】遊技球の入賞が回動役物部材の動作周期よりも長い間隔を空けて連続して発生した場合の遊技演出のタイミングチャートである。
【
図66】遊技球の入賞が回動役物部材の動作周期よりも短期間内に連続して発生した場合に、表示装置の演出表示を連続して実行するタイミングチャートである。
【
図67】遊技球の入賞が回動役物部材の動作周期よりも短期間内に連続して発生した場合に、先の入賞に対応する表示装置の演出表示のみを実行するタイミングチャートである。
【
図68】遊技球の入賞が回動役物部材の動作周期よりも短期間内に連続して発生した場合に、各入賞に対応する表示装置の演出表示をそれぞれ実行するタイミングチャートである。
【
図69】遊技球の入賞が回動役物部材の動作周期よりも短期間内に連続して発生した場合に、後の入賞の発生時に回動役物部材を微動作させるタイミングチャートである。
【
図70】遊技球の入賞が回動役物部材の動作周期よりも短期間内に連続して発生した場合に、後の入賞の発生時に回動役物部材を一時停止させるタイミングチャートである。
【
図71】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の初期位置から中間位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を初期位置へ一旦戻し、後の入賞に対応する演出動作を初期位置から実行させるタイミングチャートである。
【
図72】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の初期位置から中間位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を中間位置まで移動して一時停止し、その後、動作位置まで移動させるタイミングチャートである。
【
図73】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の中間位置から動作位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を中間位置に一旦戻し、後の入賞に対応する演出動作を中間位置から実行させるタイミングチャートである。
【
図74】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の中間位置から動作位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を動作位置まで移動して一時停止し、その後、初期位置まで移動させるタイミングチャートである。
【
図75】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の動作位置から中間位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を動作位置に一旦戻し、後の入賞に対応する演出動作を動作位置から実行させるタイミングチャートである。
【
図76】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の動作位置から中間位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を中間位置まで移動して一時停止し、その後、初期位置まで移動させるタイミングチャートである。
【
図77】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の中間位置から初期位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を中間位置に一旦戻し、後の入賞に対応する演出動作を中間位置から実行させるタイミングチャートである。
【
図78】先の入賞に対応した演出を実行時の回動役物部材の中間位置から初期位置への移動中に後の入賞が発生した場合に、回動役物部材を初期位置まで移動して一時停止し、その後、微動作させるタイミングチャートである。
【
図79】オーバー入賞の連続発生時に、回動役物部材の演出動作を非実行とし、各オーバー入賞に対応して演出音の出力および演出光の出力をそれぞれ実行するタイミングチャートである。
【
図80】オーバー入賞の連続発生時に、回動役物部材の演出動作を非実行とし、先のオーバー入賞に対応する演出音の出力および演出光の出力を実行する一方、後のオーバー入賞に対応する演出音の出力および演出光の出力を非実行とするタイミングチャートである。
【
図81】オーバー入賞の連続発生時に、各オーバー入賞に対応して回動役物部材の演出動作、演出音の出力、演出光の出力をそれぞれ実行するタイミングチャートである。
【
図82】オーバー入賞の連続発生時に、先のオーバー入賞に対応する回動役物部材の演出動作、演出音の出力、演出光の出力を非実行とする一方、後のオーバー入賞に対応する回動役物部材の演出動作、演出音の出力、演出光の出力を実行するタイミングチャートである。
【
図83】インターバル中の回動役物部材の演出動作の終了後に次回のラウンド遊技の開始タイミングを遅延するタイミングチャートである。
【
図84】入賞演出音の出力量をBGMよりも大きく設定し、入賞演出光の出力量を通常装飾光よりも大きく設定した装飾態様のタイミングチャートである。
【
図85】入賞演出音の出力時にBGMの出力量を下げ、入賞演出光の出力時に通常装飾光の出力量を下げる装飾態様のタイミングチャートである。
【
図86】オーバー入賞に対応する入賞演出音および入賞演出光の出力量をラウンド遊技中の入賞に対応する場合よりも大きく設定したタイミングチャートである。
【
図87】オーバー入賞に対応する入賞演出音および入賞演出光の出力量をラウンド遊技中の入賞に対応する場合よりも小さく設定したタイミングチャートである。
【
図88】オーバー入賞に対応する入賞演出音および入賞演出光の出力量をラウンド遊技中の入賞に対応する場合よりも小さく設定し、入賞演出音の出力時にBGMの出力量を下げ、入賞演出光の出力時に通常装飾光の出力量を下げる装飾態様のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて図面に基づき説明する。なお、説明の便宜上、パチンコ遊技機に対して遊技者側を「前」または「表」と称し、パチンコ遊技機を挟んで遊技者とは反対側を「後」または「裏」と称す。
パチンコ遊技機1は、
図1に示すように、矩形状の機枠(外枠)2の一側(
図1中、左側)に前面枠(内枠)3を開閉可能な状態で軸着し、該前面枠3内には、発射装置(図示せず)により発射された遊技球が流下可能な遊技領域5が表面に区画形成された矩形状の遊技盤6(
図2参照)を収納可能としている。また、前面枠3の表面のうち機枠2への軸着側(
図1中、左側)には透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技領域5をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の上部の左右両側には、効果音を発する上スピーカ11を備え、透明部材保持枠8の下部には上皿ユニット13を備え、透明部材保持枠8の下方には下皿ユニット14を配置している。そして、透明部材保持枠8の一側縁(
図1中、右側縁)には、パチンコ遊技機1の機種名やメーカー名を表記する等して装飾を施した保持枠突出部8aを前方へ突設し、隣の席から当該パチンコ遊技機1の遊技進行が覗き見られることを保持枠突出部8aにより抑制するように構成されている。また、下皿ユニット14の一側方(
図1中、右側方)には、発射装置を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)15を備え、下皿ユニット14の左右両側方には、効果音を発する下スピーカ16を備え、上皿ユニット13の前側には、遊技中に遊技者が操作するための遊技演出ボタン17を備えている。
【0010】
遊技盤6は、
図2および
図3に示すように、遊技板19の表面に、装飾模様が印刷された装飾用のセルシート20を貼付し、該セルシート20の上から透光可能な複数のサイドケース21を枠状に連結した状態で止着して当該遊技盤6の基部となる遊技ベースユニット22を構成し、サイドケース(区画部材)21により遊技領域5を区画形成している。また、遊技領域5の上寄りには、中央部分が開口されたセンターケース23を配設し、該センターケース23の左右両側には、遊技球が通過可能なケース球流下路(右側に位置する第1ケース球流下路26,左側に位置する第2ケース球流下路27)を備えている。さらに、第1ケース球流下路26の前側には流下路カバー26aを装着し、第1ケース球流下路26の下流側には普図始動ゲート28を配設し、普図始動ゲート28に入賞(通過)した遊技球をゲートスイッチ29により検出可能としている。そして、遊技球の普図始動ゲート28への入賞(詳しくは、ゲートスイッチ29による遊技球の検出)を始動条件(普図始動条件)として普図変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、第1ケース球流下路26の下流部のうち普図始動ゲート28よりも上流側に位置する箇所の側方には大入賞口31を配設し、第1ケース球流下路26の上流部には一般入賞口32を配設している。なお、大入賞口31の構成については、後で詳細に説明する。
【0011】
さらに、センターケース23の中央部分の下方には、遊技盤6の左右方向の中央部分に位置する第1始動入賞口36を備え、該第1始動入賞口36よりも第1ケース球流下路26側(
図2中、右側)にずれた箇所には、普通電動役物(開閉部材)41aが備えられた第2始動入賞口41を配設し、第2ケース球流下路27側(
図2中、左側)にずれた箇所には一般入賞口42を配設している。また、第1始動入賞口36には、当該第1始動入賞口36に入賞した遊技球を検出可能な第1始動口スイッチ46を備え、第2始動入賞口41には、当該第2始動入賞口41に入賞した遊技球を検出可能な第2始動口スイッチ47を備えている。そして、第1始動入賞口36への遊技球の入賞(詳しくは、第1始動口スイッチ46による遊技球の検出)を始動条件として特
図1変動表示ゲームを実行可能とし、第2始動入賞口41への遊技球の入賞(詳しくは、第2始動口スイッチ47による遊技球の検出)を始動条件として特
図2変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、特
図1変動表示ゲームの実行中に遊技球が第1始動入賞口36へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特
図1変動表示ゲームの実行を特
図1始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では4つ)まで記憶して保留する。また、特
図2変動表示ゲームの実行中に遊技球が第2始動入賞口41へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特
図2変動表示ゲームの実行を特
図2始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では4つ)まで記憶して保留する。
【0012】
さらに、第1始動入賞口36の下方に位置する遊技領域5の下端には、入賞せずに流下してきた遊技球を回収するアウト口49を開設し、遊技領域5のうち、センターケース23や始動入賞口36,41等の遊技用部材の取付部分を除いた箇所には風車50や複数の障害釘(図示せず)を植設している。そして、サイドケース21の一側の下部(
図2中、右下部)には一括表示装置51を備え、該一括表示装置51において普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム,特
図2変動表示ゲーム)、遊技状態の表示等を行うように構成されている。
【0013】
また、遊技ベースユニット22の裏面側には、
図3に示すように、中央部が透光性を有する制御ユニット(裏面構成体)54を装着し、該制御ユニット54の裏側には表示装置55を装着して制御ユニット54の中央部(透光部)およびセンターケース23の中央部から表示装置55の表示部55aを前方へ臨ませ(
図2参照)、複数の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲームや特
図2変動表示ゲームに対応する演出表示)を表示部55aで表示可能としている。なお、表示装置55は、長方形の表示部55aを縦向き(上下寸法が左右寸法よりも長くなる姿勢)にして制御ユニット54に装着されている。さらに、
図2に示すように、制御ユニット54のうち表示部55aの上側部分の前方には、横長な仕切り板(仕切り材)57を配置して表示部55aを上下に仕切り、大きさが異なる2つの表示手段が装着されているかのように見せている。
【0014】
そして、制御ユニット54の下部には入賞球流路56を備え、該入賞球流路56を始動入賞口36,41等の入賞装置の後部へ接続し、遊技領域5を流下して入賞装置に入賞した遊技球(入賞球)を入賞球流路56へ回収可能としている。さらに、制御ユニット54の裏側のうち表示装置55の下方には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置(遊技制御手段)58を装着し、表示装置55の裏側には、遊技における演出動作を制御する演出制御装置(演出制御手段)59を装着している。
【0015】
次に、センターケース23について説明する。
センターケース23は、
図4に示すように、透光性を有する枠状のケースベース61を当該センターケース23の基部として備え、該ケースベース61の中央部分には、表示装置55を視認可能とするケース窓部62を開設している。また、ケースベース61の上辺部の前面には、センターケース23の前方へ向けて突出した庇状の鎧部63をセンターケース23の左右両側へ向けて下り傾斜した円弧状態で配置している。そして、ケース窓部62の上縁部には、横長なケース上部装飾パネル64を配置している。
【0016】
さらに、鎧部63の傾斜下端に左右両側のケース球流下路26,27の上流開口をそれぞれ臨ませ、ケース窓部62と各ケース球流下路26,27との間には、遊技球がケース球流下路26,27からケース窓部62への侵入を阻止する球侵入阻止壁66を前方へ向けてそれぞれ突設している。そして、第1ケース球流下路26を左右方向へ蛇行する状態に形成し、該第1ケース球流下路26の下流開口をセンターケース23の下方へ開放している。また、第2ケース球流下路27の中流部においては左右に分岐し、下流部においては両分岐路を合流させ、第2ケース球流下路27の下流開口をセンターケース23の側方へ開放している。なお、第1ケース球流下路26の区画壁、流下路カバー26a、第2ケース球流下路27の区画壁をそれぞれ透光性部材(透明樹脂等)で構成し、第2ケース球流下路27の後方には流下路装飾部材67と流下路発光基板68とを配置し、第2ケース球流下路27を介して流下路装飾部材67の外観および流下路発光基板68からの光を遊技者側から視認可能としている。また、第1ケース球流下路26の後方の構造については、後で詳細に説明する。
【0017】
そして、
図2および
図4に示すように、第1ケース球流下路26側(
図2中、右側)に位置する球侵入阻止壁66には、遊技に関する情報(例えば、各変動表示ゲームの実行保留数等の情報)を表示するための情報表示装置70を備えている。具体的に説明すると、球侵入阻止壁66には、透光性を有する縦長なレンズカバー部70aを備えて情報表示装置70の前側部とし、該レンズカバー部70aの後方には、複数個のLEDを実装した情報表示基板70bを配置して情報表示装置70の後側部としている。そして、LEDの発光によって情報を遊技者へ伝達するように構成されている。
【0018】
また、第2ケース球流下路27側(
図2中、左側)に位置する球侵入阻止壁66の側方には、遊技者が手等を近づけて入力操作する近接操作部(入力部)72を備えている。具体的には、
図3および
図4に示すように、第2ケース球流下路27側の球侵入阻止壁66の側方には、近接操作部72の前側を構成する近接装飾パネル72aを透光可能な状態で配置し、該近接装飾パネル72aには、人の手を模した図形装飾と「タッ手」の文字装飾とを施している。さらに、近接装飾パネル72aの後方には、図示しない近接センサ(例えば、透光部と受光部とを備えた光電センサ)を近接操作部72の一部として配置し、遊技者が自らの手や、手に持った物品等を透明部材9越しに近接装飾パネル72aへ近づけてかざすと、近接センサが近接物(手や物品等)を検出して信号を遊技制御装置58へ出力し、遊技制御装置58がこの受信信号に基づいて遊技の進行を設定するように構成されている。なお、第2ケース球流下路27側の球侵入阻止壁66の側方には、遊技者が入力操作可能な近接操作部72を備えず、その代わりに、遊技者に情報を提供する出力部(例えば、遊技内容の告知を行う告知ランプ)を配置してもよい。
【0019】
そして、ケースベース61の下辺部には、遊技球が横方向(前後方向および左右方向)へ転動可能なステージ部76を配置し、ステージ部76の左右方向の中央部には、遊技球をステージ部76上からステージ部76の前方および下方へ案内する案内溝77を備えている(
図2参照)。また、ステージ部76の後方には、ステージ部76上の遊技球が後方の表示装置55側へ進入することを規制する透光性の進入規制壁78を立設し、ステージ部76の一側端(
図2中、左側端)には、遊技球が流下可能な球導入路(ワープ流路)79を設けている。そして、球導入路79の入口を第2ケース球流下路27の下方へ開放し、球導入路79の出口をステージ部76へ向けて開放し、遊技球が第2ケース球流下路27から球導入路79を通ってステージ部76上へ到達できるように構成されている。
【0020】
第1ケース球流下路26の側方に設けられた大入賞口31は、
図4および
図5に示すように、ケースベース61のうち普図始動ゲート28の上方からステージ部76側(
図4中、左側)へずれた位置に開設された大入賞開口83と、遊技球が第1ケース球流下路26から大入賞開口83へ流下することを許容したり阻止したりする羽根状の大入賞開閉部材84と、該大入賞開閉部材84に開閉動作を行わせる大入賞口ソレノイド85(
図5参照)と、大入賞開口83を通過した遊技球(入賞球)を検出可能なカウントスイッチ(大入賞口スイッチ)86とを備えて構成されている。さらに、遊技球の大入賞口31への入賞を阻止する閉状態においては、大入賞開閉部材84が縦向き姿勢となり(
図2参照)、遊技球の大入賞口31への入賞を許容する開状態において、大入賞開閉部材84が下端部を回動中心として回動して上端部を普図始動ゲート28側へ移動するように構成されている。
【0021】
さらに、
図3および
図4に示すように、ケースベース61のうち第1ケース球流下路26の後方には、一般入賞口32に入賞した遊技球(入賞球)を回収して流下させるための縦長な球流路ユニット90を備え、球流路ユニット90の下方には、大入賞口31に入賞した遊技球を流下させる大入賞球流下路94を備えている。そして、該大入賞球流下路94の上流部にはカウントスイッチ86を臨ませ、大入賞球流下路94の下流部には大入賞球流下検出スイッチ96を備えて遊技球(下流部まで流下してきた遊技球)を検出可能としている。さらに、大入賞球流下検出スイッチ96よりも上流側からV入賞流路97を分岐してV入賞検出スイッチ98を備え、V入賞流路97の入口をV入賞シャッター99により開閉可能とし、V入賞シャッター99を開いた状態では、大入賞球流下路94を流下する遊技球がV入賞流路97へ流入してV入賞検出スイッチ98により検出され、V入賞シャッター99を閉じた状態では、大入賞球流下路94を流下する遊技球がV入賞流路97へ流入せずにV入賞シャッター99上を通過し、大入賞球流下路94の下流部に到達して大入賞球流下検出スイッチ96により検出されるように構成されている。
【0022】
次に、第1ケース球流下路26の後方に配置される球流路ユニット90について説明する。
球流路ユニット90は、
図5から
図7に示すように、大入賞口31の一部である大入賞口ソレノイド85が後方に装着されるユニットであり、一般入賞口32に入賞した遊技球(入賞球)を回収する縦長な入賞球回収樋101と、前側のフロントパネル102aと後側のリアケース102bとを重ねて構成される箱状の回収樋収容ケース102と、回収樋収容ケース102の後方に配置される流路ユニット発光基板(電気基板)103と、該流路ユニット発光基板103を後方から被覆する基板カバー104と、当該球流路ユニット90の一側部(詳しくは、表示装置55側)を装飾する側部装飾パネル105とを備えて構成されている。そして、回収樋収容ケース102内に入賞球回収樋101を収容し、入賞球回収樋101の上流開口を一般入賞口32に連通し、入賞球回収樋101の下流開口を入賞球流路56の上部の一側(
図3中、右側)へ連通している。
【0023】
また、入賞球回収樋101、回収樋収容ケース102、側部装飾パネル105を透光性部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、流路ユニット発光基板103のうち遊技者側を向いた前面には複数個の発光体(LED)103aを実装しており、該発光体103aが光を前方のリアケース102bへ照射すると、リアケース102b内で光が拡散し、この拡散した光がリアケース102bの前方や側方へ出射されるように構成されている。なお、リアケース102bの前方へ出射した光は、入賞球回収樋101、フロントパネル102a、第1ケース球流下路26、流下路カバー26aを通って遊技者側(遊技盤6の前方)へ放射され、リアケース102bの側方(詳しくは、側部装飾パネル105側)へ出射した光は、側部装飾パネル105を通って表示装置55側へ放射される。
【0024】
そして、球流路ユニット90は、当該球流路ユニット90の流路ユニット発光基板103と、遊技盤6の裏面に装着される中継基板(電気基板)108とを複数本の配線109で接続し、さらには中継基板108と演出制御装置59とを中継配線(図示せず)で接続して、演出制御装置59等からの制御信号が中継配線、中継基板108、配線109を介して流路ユニット発光基板103へ送信されるように構成されている。具体的に説明すると、流路ユニット発光基板103のうち基板カバー104側を向いた裏面(言い換えると、発光体103aが実装された前面とは反対側の裏面)には配線コネクタ103bを実装し、基板カバー104に開設されたコネクタ露出開口104aから配線コネクタ103bを球流路ユニット90の後方へ臨ませている。そして、配線109の一端を配線コネクタ103bへ接続する一方、配線109の他端を中継基板108上の配線コネクタ108aへ接続し、配線109のうち基板カバー104側に位置する部分を基板カバー104の裏面に沿って球流路ユニット90の上下方向へ延在させている。
【0025】
また、流路ユニット発光基板103と中継基板108との間に位置する基板カバー104の裏面には配線係合部113を備え、無端帯状の結束バンド(係合部材)111を介して配線109を配線係合部113へ係合している。配線係合部113は、
図8から
図10に示すように、配線109の延在方向(球流路ユニット90の上下方向)に沿って離間した一対の係合支持部114を基板カバー104の後方へ向けて突設し、係合支持部114の突出端部同士の間に係合本体部115を架設している。また、一対の係合支持部114と係合本体部115とで囲まれた空間部を係合挿通穴116として結束バンド111を挿通可能とし、基板カバー104のうち一対の係合支持部114同士の間に開設されたカバー貫通穴104bと係合挿通穴116とを連通している(
図7(c)および
図8参照)。
【0026】
さらに、係合本体部115には、結束バンド111の移動を規制する係合移動規制部118を備えている。詳しくは、係合本体部115のうち遊技盤6の後方を向いた後縁部に係合移動規制部118を凹み形状で形成して結束バンド111を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド111の移動(具体的には、結束バンド111が配線109の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。また、係合移動規制部118の深さ寸法(係合移動規制部118を構成する凹みの段差寸法)dを結束バンド111の厚さ寸法tよりも大きく設定して、係合移動規制部118内の結束バンド111が配線係合部113よりも遊技盤6の後方へ突出することを避けている(
図7(c)参照)。
【0027】
このような構成の配線係合部113に配線109を係合するには、まず、複数本の配線109を一対の係合支持部114の間に側方から掛け渡し、係合支持部114の突出方向(球流路ユニット90の前後方向)に沿って並べる。このようにして配線109を配線係合部113へ当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド111(
図7(d)参照)を係合挿通穴116へ通し、結束バンド111の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド111を係合移動規制部118に嵌合しながら係止作業(結束バンド111の無端帯化)を行うことで、係止作業中に結束バンド111が不用意に配線係合部113からずれ難くなり、結束バンド111の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。
【0028】
結束バンド111の端部同士を係止して結束バンド111を無端帯状にすると、
図5および
図7に示すように、配線109が係合本体部115とともに無端帯状の結束バンド111内に結束される。言い換えると、配線109が結束バンド111によって係合本体部115(配線係合部113)へ係合される。さらに、結束バンド111の一部が係合移動規制部118に嵌合し、結束バンド111が係合本体部115の延在方向(言い換えると、配線109の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド111が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド111が配線109の一部に集中荷重を掛けて配線109が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。そして、結束バンド111の安定に伴って配線109が安定し、パチンコ遊技機1内での配線109の損傷や断線等の不具合を防止することができる。
【0029】
また、係合移動規制部118の深さ寸法dを結束バンド(係合部材)111の厚さ寸法tよりも大きく設定して、結束バンド111が配線係合部113よりも遊技盤6の後方へ突出することを避けているので、結束バンド111が他の構成や作業員の手等にぶつかり難くなり、結束バンド111の不用意な損傷や切断、さらには結束バンド111の切断によって配線109が配線係合部113からはずれてしまう不都合を抑えることができる。さらに、結束バンド111が配線係合部113の後側から出っ張ることがなく、パチンコ遊技機1内の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0030】
次に、制御ユニット54について説明する。
制御ユニット54は、
図11に示すように、遊技ベースユニット22の裏面に止着されるユニットケース130を前側が開放した状態で備え、該ユニットケース130の後部には矩形状の表示開口窓130aを前後方向へ貫通して開設し、ユニットケース130の後方に装着された表示装置55の表示部55aを表示開口窓130aに臨ませている。さらに、ユニットケース130の前側開放部には、遊技の進行に伴って装飾演出を実行可能なユニットを複数(本実施形態では3つ)組み合わせて収納している。具体的に説明すると、ユニットケース130のうち、表示開口窓130aの上縁部の前方に位置する箇所には横長な上側役物ユニット131を配置し、表示開口窓130aの下縁部の前方に位置する箇所には横長な下側役物ユニット133を配置し、ユニットケース130の一側(
図11中、左側)における上側役物ユニット131と下側役物ユニット133との間には縦長な発光装飾ユニット135を配置している。そして、下側役物ユニット133の下部の前方にはセンターケース23の進入規制壁78が位置するように構成されている。なお、上側役物ユニット131には、昇降して演出動作を実行する昇降演出部材131aを備えている。また、ユニットケース130のうち発光装飾ユニット135の側方(
図11中、左側方)、および、下側役物ユニット133の側部(
図11中、左側部)には、不正行為検出用の磁気センサ(詳しくは、遊技球を不正に操作しようとする磁石等の磁力を検出可能な磁気センサ)137をそれぞれ装着している。
【0031】
次に、下側役物ユニット133について説明する。
下側役物ユニット133は、可動部材を回動して装飾演出を実行するユニットであり、
図12に示すように、前部の下側ユニットカバー141aと後部の下側ユニットベース141bとを前後に重ねて構成された横長な下側ユニットケース141と、該下側ユニットケース141内に回動可能な状態で接続された左右の下側回動役物(可動部材)142と、下側ユニットカバー141aに装着された下側回動モータ(駆動源)143と、該下側回動モータ143と下側回動役物142とを接続する役物回動伝達機構(駆動伝達機構)144と、下側ユニットケース141内の左右方向の中央部分に配置された役物ユニット中継基板(電気基板)145と、該役物ユニット中継基板145の前方に配置されたユニット装飾部146とを備えて構成されている。
【0032】
具体的には、下側ユニットケース141内の左右両側に下側回動役物142の下部を回動可能な状態でそれぞれ軸着し、下側ユニットカバー141aには下側回動モータ143をそれぞれ装着して下側回動モータ143の出力軸を下側ユニットベース141b側へ突出している。さらに、下側ユニットベース141bのうち下側回動モータ143の出力軸と下側回動役物142との間には、複数枚(本実施形態では4枚)のギアを噛合して構成された役物回動伝達機構144をそれぞれ備え、下側回動モータ143からの出力(駆動力)を役物回動伝達機構144により下側回動役物142へ伝達して下側回動役物142を回動可能としている。また、下側ユニットカバー141aには複数のコネクタ露出開口148を開設し、役物ユニット中継基板145には複数の中継側配線コネクタ145aを実装してコネクタ露出開口148から当該下側役物ユニット133の前方へ臨ませ、中継側配線コネクタ145aに下側回動モータ143、下側回動役物142、演出制御装置59をそれぞれ電気的に接続して、演出制御装置59から出力された制御信号が役物ユニット中継基板145を介して下側回動モータ143、下側回動役物142へ送信されることにより、下側回動モータ143が駆動したり、下側回動役物142の内部構造が発光したりするように構成されている。
【0033】
下側回動役物142は、
図13に示すように、下側ユニットベース141bに下側が軸着される回動役物ベース151を備え、該回動役物ベース151の前面には、当該回動役物ベース151側から回動役物発光基板(電気基板)152、回動役物装飾パネル153の順に重ねて配置し、回動役物装飾パネル153を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、回動役物発光基板152の前面(回動役物装飾パネル153側)にはLED等の発光体152aを実装している。また、回動役物ベース151の下部には、回動中心となる役物軸受部155を開設し、該役物軸受部155から側方へ外れた箇所には、役物回動伝達機構144が噛合する扇状の役物ギア156を備え、回動役物ベース151の上部には役物ガイド突起157を突設して、下側ユニットカバー141aに開設された円弧状(詳しくは、下側回動役物142の回動方向に沿って延在する円弧状)の役物ガイド溝158へ係合している。さらに、回動役物ベース151の上縁部には役物検出片159を突設し、下側ユニットベース141bに設けられた回動役物位置検出センサ160(
図12参照)により役物検出片159を検出可能としている。
【0034】
このような構成を備えた下側役物ユニット133においては、
図14および
図15に示すように、下側回動モータ143を駆動すると、この駆動力が役物回動伝達機構144を介して下側回動役物142へ伝達して下側回動役物142が回動する。そして、下側ユニットケース141内の演出非実行位置(倒伏位置)に下側回動役物142が横向き倒伏姿勢で配置される演出非実行状態(
図14(a)参照)と、該演出非実行状態から下側回動役物142が上方へ回動して表示部55aの前方の演出実行位置(起立位置)に縦向き起立姿勢で配置される演出実行状態(
図15参照)とに変換するように構成されている。また、演出非実行状態においては、回動役物位置検出センサ160が役物検出片159を検出して、下側回動役物142が演出非実行位置に配置されていること(下側回動役物142が演出非実行状態であること)を把握することができるように構成されている。
【0035】
そして、下側役物ユニット133は、
図16(b)および
図18に示すように、下側回動役物142の回動役物発光基板152と役物ユニット中継基板145とを複数本の発光接続配線(配線)165で接続し、さらには役物ユニット中継基板145と演出制御装置59とを中継配線(図示せず)で接続して、演出制御装置59等からの制御信号が中継配線、役物ユニット中継基板145、発光接続配線165を介して回動役物発光基板152へ送信されるように構成されている。具体的に説明すると、回動役物発光基板152のうち回動役物ベース151側を向いた裏面(言い換えると、発光体152aが実装された表面(前面)とは反対側の裏面)には役物側配線コネクタ152bを実装して(
図13(b)および
図18参照)、回動役物ベース151と回動役物装飾パネル153との間から下側回動役物142の下方へ臨ませている。そして、発光接続配線165の一端を役物側配線コネクタ152bへ接続し、他端を役物ユニット中継基板145の中継側配線コネクタ145aへ接続している。
【0036】
また、
図13(b)に示すように、回動役物ベース151のうち役物軸受部155と役物ギア156との間には、下側回動役物142の回動中心軸と平行な係合軸部167を備え、該係合軸部167に役物側配線係合部(配線係合部)168を回動可能な状態で軸着し、該役物側配線係合部168に無端帯状の結束バンド(係合部材)171(
図16(b)参照)を介して発光接続配線165を係合するように構成されている。なお、本実施形態では、
図14および
図15に示すように、一方の下側回動役物142(
図14(a)中、右側の下側回動役物142)にのみ役物側配線係合部168を備えているが、本発明はこれに限定されず、他方の下側回動役物142(
図14(a)中、左側の下側回動役物142)にも役物側配線係合部168を備えてもよい。
【0037】
役物側配線係合部168は、
図13(b)および
図16に示すように、当該役物側配線係合部168の基部となる横向き短冊状の係合アーム175を下側役物ユニット133の左右方向に沿って延在する姿勢で備え、該係合アーム175のうち役物軸受部155側(
図13(b)中、左側)に位置する基部には、係合軸部167に軸着される係合軸受176を備え、フランジ付きビス等の軸受ストッパー177を係合軸部167に前後方向に通して止着し、係合軸受176の係合軸部167からの脱落を阻止している。また、係合アーム175のうち役物ギア156側(
図13(b)中、右側)の下縁部、言い換えると、係合アーム175の自由端側の下縁部には、係合アーム175の長尺方向に沿って離間した一対の係合支持部184を下側回動役物142の前方へ向けて突設し、係合支持部184の突出端部同士の間に係合本体部185を架設している。そして、一対の係合支持部184と係合本体部185とで囲まれた空間部を係合挿通穴186として結束バンド171を挿通可能としている。
【0038】
さらに、係合本体部185には、結束バンド171の移動を規制する係合移動規制部188を備えている。詳しくは、係合本体部185のうち下側ユニットカバー141a側を向いた前縁部に係合移動規制部188を凹み形状で形成して結束バンド171を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド171の移動(具体的には、結束バンド171が発光接続配線165の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。また、
図16(b)に示すように、係合移動規制部188の深さ寸法(係合移動規制部188を構成する凹みの段差寸法)dを結束バンド171の厚さ寸法tよりも大きく設定して、係合移動規制部188内の結束バンド171が役物側配線係合部168よりも前方の下側ユニットカバー141a側へ突出することを避けている。
【0039】
このような構成の役物側配線係合部168に発光接続配線165を係合するには、まず、複数本の発光接続配線165を一対の係合支持部184の間に上方から掛け渡し、係合支持部184の突出方向(下側役物ユニット133の前後方向)に沿って並べる(
図16(b)参照)。このようにして発光接続配線165を役物側配線係合部168に当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド171を係合挿通穴186へ通し、結束バンド171の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド171を係合移動規制部188に嵌合しながら係止作業を行うことで、係止作業中に結束バンド171が不用意に役物側配線係合部168からずれ難くなり、結束バンド171の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。
【0040】
結束バンド171の端部同士を係止して結束バンド171を無端帯状にすると、発光接続配線165が係合本体部185とともに無端帯状の結束バンド171内に結束される。言い換えると、発光接続配線165が結束バンド171によって係合本体部185(役物側配線係合部168)へ係合される。また、係合アーム175が仕切り部材として発光接続配線165と回動役物ベース151との間に介在する。さらに、結束バンド171の一部が係合移動規制部188に嵌合し、結束バンド171が係合本体部185の延在方向(言い換えると、発光接続配線165の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド171が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド171が発光接続配線165の一部に集中荷重を掛けて発光接続配線165が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。また、結束バンド171の安定に伴って発光接続配線165が安定し(具体的には、発光接続配線165の係合状態が安定し)、下側回動役物142上での発光接続配線165の損傷や断線等の不具合を防止することができる。
【0041】
そして、下側役物ユニット133は、下側ユニットカバー141aにも発光接続配線165を係合可能な構成を備えている。具体的には、
図17および
図18に示すように、下側ユニットカバー141aの前面部のうちコネクタ露出開口148(役物ユニット中継基板145)と下側回動役物142との間に位置する箇所には、無端帯状の結束バンド(係合部材)191を介して発光接続配線165を係合するカバー側配線係合部193を備えている。カバー側配線係合部193は、下側ユニットカバー141aの左右方向に沿って離間した一対の係合支持部194を下側ユニットカバー141aの前方へ向けて突設し、係合支持部194の突出端部同士の間に係合本体部195を架設している。また、一対の係合支持部194と係合本体部195とで囲まれた空間部を係合挿通穴196として結束バンド191を挿通可能とし、下側ユニットカバー141aのうち一対の係合支持部194同士の間に開設されたカバー貫通穴197と係合挿通穴196とを連通している(
図17参照)。
【0042】
さらに、下側ユニットカバー141aの係合本体部195にも、結束バンド191の移動を規制する係合移動規制部198を備えている。詳しくは、
図17(b)に示すように、係合本体部195のうち下側ユニットカバー141aの前方を向いた前縁部(
図17(b)中、上縁部)に係合移動規制部198を凹み形状で形成して結束バンド191を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド191の移動(具体的には、結束バンド191が発光接続配線165の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。また、係合移動規制部198の深さ寸法(係合移動規制部198を構成する凹みの段差寸法)dを結束バンド191の厚さ寸法tよりも大きく設定して、係合移動規制部198内の結束バンド191がカバー側配線係合部193よりも前方のセンターケース23側へ突出することを避けている。
【0043】
そして、カバー側配線係合部193に発光接続配線165を係合するには、まず、複数本の発光接続配線165を一対の係合支持部194の間に下方から掛け渡し、係合支持部194の突出方向(下側役物ユニット133の前後方向)に沿って並べる(
図17(b)参照)。このようにして発光接続配線165をカバー側配線係合部193に当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド191を係合挿通穴196へ通し、結束バンド191の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド191を係合移動規制部198に嵌合しながら係止作業を行うことで、係止作業中に結束バンド191が不用意にカバー側配線係合部193からずれ難くなり、結束バンド191の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。
【0044】
結束バンド191の端部同士を係止して結束バンド191を無端帯状にすると、発光接続配線165が係合本体部195とともに無端帯状の結束バンド191内に結束される。言い換えると、発光接続配線165が結束バンド191によって係合本体部195(カバー側配線係合部193)へ係合される。さらに、結束バンド191の一部が係合移動規制部198に嵌合し、結束バンド191が係合本体部195の延在方向(言い換えると、発光接続配線165の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド191が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド191が発光接続配線165の一部に集中荷重を掛けて発光接続配線165が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。また、結束バンド191の安定に伴って発光接続配線165が安定し(具体的には、発光接続配線165の係合状態が安定し)し、下側ユニットカバー141a上での発光接続配線165の損傷や断線等の不具合を防止することができる。
【0045】
このようにして各配線係合部168,193に係合される発光接続配線165においては、
図18に示すように、役物ユニット中継基板145寄りの部分がカバー側配線係合部193の下方を通って下側ユニットカバー141aの左右方向に沿って延在し、下側回動役物142寄りの部分が役物側配線コネクタ152bと役物側配線係合部168との間で十分に弛んだ状態(詳しくは、役物側配線係合部168の回動位置に拘らず十分に撓んだ状態)で配置されて役物側配線係合部168の上方を通っている。さらに、役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との間に位置する部分が下側ユニットカバー141aの側方(
図18中、右側方)へ膨出する円弧状態で湾曲し、下側回動役物142の回動位置や役物側配線係合部168の回動位置に拘らず十分に弛んで発光接続配線165に張力が掛らないように構成されている。
【0046】
次に、パチンコ遊技機1の遊技進行等の制御を行う遊技制御装置58を中心とする制御系統について説明する。
遊技制御装置58は、
図19に示すように、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための制御プログラム等を記憶しているROM、および遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力部(入力インターフェース)、出力部(出力インターフェース)等から構成されている。そして、各種検出装置(磁気センサ137、電波センサ201、第1始動口スイッチ46、第2始動口スイッチ47、ゲートスイッチ29、各一般入賞口32,42への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ203、V入賞検出スイッチ98、カウントスイッチ86、前面枠開放検出スイッチ204、透明部材保持枠開放検出スイッチ205、電源装置206等)からの検出信号を受けて、遊技状態の切り替え(通常遊技状態と、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態(大当り状態、電サポ状態等)との切り替え)、遊技者に対する報知、停電対応処理等、種々の処理を行う。さらに、演出制御装置59を介して各ユニットの動作(球流路ユニット90の発光動作や下側役物ユニット133の回動動作等)を制御する制御手段として機能したり、あるいは、払出制御装置210、大入賞口ソレノイド85、普通電動役物41aを開閉駆動するための普電ソレノイド211、一括表示装置51、外部情報端子212等に指令信号を送信したりして、遊技を統括的に制御する。
【0047】
演出制御装置59は、
図20に示すように、演出制御を司るCPU、演出制御を実行するための制御プログラムを格納したPROM、画像データ等を格納した画像ROM、映像表示のための画像処理を行うVDP、入力インターフェース、出力インターフェース等から構成されている。そして、パチンコ遊技機1における遊技の進行に伴って発生する信号、具体的には、遊技制御装置58からの制御信号、遊技演出ボタン17に設けられた演出ボタンスイッチ217からの信号、各ユニット等に設けられたセンサからの信号等に基づいて、各ユニット等の演出動作を制御する。詳しくは、表示装置55の表示部55aの表示、上スピーカ11や下スピーカ16からの効果音出力、遊技盤6に設けられた盤装飾装置220(球流路ユニット90の発光基板や下側役物ユニット133の発光基板等)の発光や透明部材保持枠8に設けられたLED等の枠装飾装置221の発光、遊技盤6に設けられた盤演出装置222(下側役物ユニット133の下側回動モータ143等)や透明部材保持枠8に設けられた演出部材(図示せず)を駆動するモータ等の枠演出装置223の駆動を制御する。
【0048】
次に、下側回動役物142の回動動作に伴う発光接続配線165の挙動について、
図21から
図23に基づき説明する。なお、下側回動役物142は、遊技の進行に伴って遊技制御装置58や演出制御装置59による制御に基づいて回動動作される。
下側役物ユニット133においては、
図21(a)および
図23(a)に示すように、下側回動役物142を演出非実行状態に設定すると、役物側配線係合部168が係合軸受176側から下側役物ユニット133の側方(
図21(a)中、右側方)へ向かって下り傾斜した姿勢となり、役物側配線係合部168の配線本体部が下側回動役物142の役物軸受部155よりも下方に位置する。また、発光接続配線165が役物側配線コネクタ152bと役物側配線係合部168との間、および役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との間で十分に弛んだ状態に設定される。
【0049】
このような演出非実行状態から下側回動モータ143を駆動して下側回動役物142を上方へ回動すると、
図21(b)に示すように、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとが下側回動役物142と共回りして上昇し、この上昇により役物側配線係合部168がカバー側配線係合部193から上方へ次第に離れて、発光接続配線165のうち役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との間に位置する弛み部分が次第に伸びる。また、伸ばされる発光接続配線165からの反力を受けて役物側配線係合部168が回動役物ベース151に対して下方へ回動する(言い換えると、役物側配線係合部(配線係合部)168の軸着箇所を中心にして位相をずらす相対運動を実行する)。さらに、役物側配線係合部168の回動役物ベース151に対する下方回動により、役物側配線係合部168が役物側配線コネクタ152bから下方へ次第に離れて、発光接続配線165のうち役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとの間に位置する弛み部分が次第に伸びる。この結果、役物側配線係合部168は、下側回動役物142との共回りによる上方回動と、係合軸部167を中心とする下方回動とを併せて行うことで、演出非実行状態における下り傾斜姿勢を殆ど維持しながら上昇する。
【0050】
引き続き下側回動モータ143を駆動して下側回動役物142を演出実行状態へ変換すると、
図22および
図23(b)に示すように、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとが下側回動役物142と共回りして上死位置にそれぞれ到達する。なお、役物側配線係合部168においては、演出非実行状態での下り傾斜姿勢を殆ど維持した状態で上死位置に到達する。また、役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193とが最も離間するとともに、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとが最も離間し、発光接続配線165が弛みを残しながらも演出非実行状態のときよりも伸びる。
【0051】
そして、下側回動モータ143を駆動して下側回動役物142を演出実行状態から演出非実行状態へ戻すと、役物側配線係合部168は、下側回動役物142の上昇時における動作とは反対の動作、すなわち、下側回動役物142との共回りによる下方回動と、係合軸部167を中心とする上方回動とを併せて行うことで、演出実行状態における下り傾斜姿勢を殆ど維持しながら下降する。また、役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との離間距離、および、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとの離間距離が演出非実行状態での設定に戻るとともに、発光接続配線165の弛みが戻る。
【0052】
このようにして、役物側配線係合部168が下側回動役物142に対して回動可能(相対運動可能)であることにより、役物側配線係合部168の姿勢(下り傾斜姿勢)が下側回動役物142の昇降動作に拘らず極端に変わらない。このため、発光接続配線165の一部(役物側配線係合部168に係合されている部分)が下側回動役物142の昇降動作(回動)に伴って極端に向きを変えて暴れてしまう不都合、ひいては暴れた発光接続配線165が他の構成に絡まって断線してしまう不都合(例えば、役物ギア156や役物回動伝達機構144の歯に挟まって断線してしまう不都合)を抑えることができる。また、役物側配線係合部168の係合アーム175が発光接続配線165と回動役物ベース151との間を仕切っているので、発光接続配線165が回動役物ベース151に近づくこと、さらには、役物ギア156に挟まって断線することを阻止することができる。
【0053】
また、係合移動規制部188,198の深さ寸法dを結束バンド(係合部材)171,191の厚さ寸法tよりも大きく設定して、結束バンド171,191が各配線係合部168,193よりも前方の遊技者側へ突出することを避けているので、結束バンド171,191が他の構成や作業員の手等にぶつかり難くなり、係合部材の不用意な損傷や切断、さらには結束バンド171,191の切断によって発光接続配線165が各配線係合部168,193からはずれてしまう不都合を抑えることができる。さらに、結束バンド171,191が各配線係合部168,193の前側から出っ張ることがなく、パチンコ遊技機1内の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0054】
なお、役物側配線係合部168においては、係合された発光接続配線165を役物側配線係合部168に対して摺動可能(詳しくは、発光接続配線165の延在方向に沿って摺動可能)としてもよい。例えば、無端帯状の結束バンド171内に配線を遊嵌したり、あるいは、役物側配線係合部168のうち発光接続配線165が当接する箇所に遊嵌溝を形成したりして、該遊嵌溝に発光接続配線165を遊嵌してもよい。このような遊嵌構成を備えて発光接続配線165を摺動可能とすれば、下側回動役物142の動作に拘らず、役物側配線コネクタ152bと役物側配線係合部168との間で発光接続配線165に張力が掛ることを避けることができ、発光接続配線165の断線や役物側配線コネクタ152bからの脱落を抑制することができる。
【0055】
ところで、上記実施形態では、係合移動規制部118,188,198を凹み形状で構成したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線係合部において結束バンドの移動を規制することができれば、どのような構造で係合移動規制部を構成してもよい。例えば、結束バンドが挿通される貫通穴でもよいし、あるいは、結束バンドの両側縁に当接可能な一対の突起でもよい。また、本発明における係合部材の一例として結束バンド111,171,191を挙げたが、本発明はこれに限定されない。要は配線を配線係合部へ係合することができれば、どのような構成の係合部材を採用してもよい。さらに、本発明における基板(電気基板)として中継基板108,145や発光基板103,152を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線によって互いに接続される基板同士であれば、どのような機能を有する基板の組み合わせを採用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、本発明の可動部材の一例として下側回動役物142を挙げたが、本発明はこれに限定されない。要は、遊技の進行に伴って動作可能な可動部材であれば、当該可動部材の構成や動作態様は問わない。そして、下側回動役物142に役物側配線係合部168を回動可能な状態で装着したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線係合部が可動部材に対して相対運動し得る状態で装着されていれば、どのような態様の相対運動を設定してもよい。例えば、可動部材に対して配線係合部がスライド移動するように構成してもよいし、あるいは、スライドしながら回動するように構成してもよい。
【0057】
次に、配線係合部の変形例について説明する。なお、変形例として説明する配線係合部は、
図24および
図25に示す遊技盤301の一部に備えられている。
【0058】
遊技盤301は、
図24および
図25に示すように、当該遊技盤301の基部となる遊技ベースユニット302の前面に遊技領域303を区画形成し、該遊技領域303の中央部分に枠状のセンターケース304を配置し、センターケース304の上枠部分には2つの装飾部材306,307を横に並べて配置している。また、遊技ベースユニット302の裏面側には制御ユニット(裏面構成体)310を装着し、該制御ユニット310のケースであるユニットケース311内には、複数のユニット(左上役物ユニット312,下側役物ユニット313,排出流路ユニット314)を装着し、役物ユニット312,313がセンターケース304の内側開口から遊技者側へ臨むように構成されている(
図24参照)。
【0059】
下側役物ユニット313は、可動部材を上下方向に回動して装飾演出を実行するユニットであり、
図26に示すように、横長な下側ユニット本体部320の前面に2つの装飾パネル(装飾フロントパネル321,装飾リアパネル322)を前後に重ねて配置して構成されている。下側ユニット本体部320は、
図27に示すように、前部の下側ユニットカバー325aと後部の下側ユニットベース325bとを前後に重ねて構成された横長な下側ユニットケース325と、該下側ユニットケース325内に回動可能な状態で接続された下側回動役物(可動部材)327と、下側ユニットカバー325aに装着された下側回動モータ(駆動源)328とを備えて構成されている。
【0060】
具体的には、下側ユニットベース325bのうち左右方向の中央部分に回動軸部331を備え、該回動軸部331に下側回動役物327の一側部(
図27中、右側部)を回動可能な状態で軸着し、ストッパー332により下側回動役物327の回動軸部331からの脱落を阻止している。また、下側ユニットベース325bのうち回動軸部331の側方(
図27中、左側方)には、下側回動役物327を後方から支持する支持プレート333を装着し、該支持プレート333上の円弧状の支持突条333aに摺動しながら下側回動役物327が回動するように構成されている。さらに、下側ユニットカバー325aの前面には下側回動モータ328を装着して下側回動モータ328の出力軸を下側ユニットベース325b側へ突出し、下側ユニットベース325bのうち下側回動モータ328の出力軸と下側回動役物327の一側部(軸着部)との間には回動伝達ギア335(
図28および
図29参照)を備え、下側回動モータ328からの出力(駆動力)を回動伝達ギア335により下側回動役物327へ伝達して下側回動役物327を回動可能としている。そして、下側回動モータ328を駆動することにより、下側回動役物327が横向き姿勢で下側ユニットケース325内に収容される演出非実行状態(
図28参照)と、下側回動役物327が軸着箇所から下側ユニットケース325の上方へ延出する演出実行状態(
図29参照)とに変換するように構成されている。なお、下側回動役物327の軸着部の側方には、コイルバネ等で構成された役物付勢部材336を備え、該役物付勢部材336が演出実行状態における下側回動役物327に対して付勢力(詳しくは、演出非実行状態(初期状態)に戻る回動方向(下側役物ユニット313の前方から見て反時計方向)への付勢力)を付与するように構成されている。
【0061】
下側回動役物327は、斧の形状を模した役物であり、斧の柄の形状を模した部分の一端部を軸着箇所とし、斧の刃の形状を模した部分が回動端部となって上下方向に回動して演出動作を行うように構成されている。具体的に説明すると、
図30に示すように、下側ユニットベース325bに軸着される回動役物ベース341を備え、該回動役物ベース341の一側部(
図30中、右側部)には、回動中心となる役物軸受部342を開設し、該役物軸受部342の前側には円環状の役物ギア部343を装着し、役物ギア部343の回動伝達ギア335側(
図30中、右側)には円弧状のギア343aを形成して回動伝達ギア335へ噛合している。さらに、役物軸受部342の後側には、下側回動役物327を演出非実行状態から演出実行状態へ変換する回動方向(下側役物ユニット313の前方から見て時計方向)へ付勢するコイルバネ等の役物付勢具344を備えている。
【0062】
また、役物ギア部343の下側(詳しくは、下側回動役物327の演出非実行状態において下側となる箇所)には役物非実行検出片347を突設し、下側ユニットベース325bに設けられた回動役物非実行検出センサ348(
図27および
図28参照)により役物非実行検出片347を検出可能としている。そして、役物ギア部343のうち中央の開口部分を挟んでギア343aとは反対側(
図30中、役物ギア部343の左側)には、役物ギア部343の円周方向に沿って延在する回動パネル350を止着し、該回動パネル350の上側(詳しくは、下側回動役物327の演出非実行状態において上側となる箇所)には役物実行検出片352を突設し、下側ユニットベース325bに設けられた回動役物実行検出センサ353(
図27および
図28参照)により役物実行検出片352を検出可能としている。
【0063】
さらに、回動役物ベース341のうち、斧の刃の形状を模した部分となる他側部(
図30中、左側部)の前側には、当該回動役物ベース341側から回動役物発光基板(電気基板)356、導光パネル357、光拡散シート358、刃先が上向きの刃形状を模した第1回動役物装飾パネル359の順に重ねて配置し、第1回動役物装飾パネル359を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、回動役物発光基板356の前面(第1回動役物装飾パネル359側)にはLED等の発光体356aを実装している。また、回動役物ベース341の前側のうち役物軸受部342と第1回動役物装飾パネル359との間には、斧の柄の形状を模した横向き矩形状の第2回動役物装飾パネル360を装着し、第1回動役物装飾パネル359と第2回動役物装飾パネル360との間の前方には、装飾模様が施された第1装飾プレート361を装着し、第1回動役物装飾パネル359を挟んで第1装飾プレート361とは反対側には、装飾模様が施された第2装飾プレート362を装着している。
【0064】
そして、下側役物ユニット313は、
図31に示すように、当該下側役物ユニット313の回動役物発光基板356と、下側役物ユニット313の後方に配置される中継基板(基板)365とを複数本の発光接続配線(配線)366で接続し、さらには中継基板365と演出制御装置(図示せず)とを中継配線(図示せず)で接続して、演出制御装置等からの制御信号が中継配線、中継基板365、発光接続配線366を介して回動役物発光基板356へ送信されるように構成されている。具体的に説明すると、回動役物発光基板356の第2回動役物装飾パネル360側(
図30中、右側)には配線コネクタ356bを実装し、発光接続配線366の一端を配線コネクタ356bへ接続する一方、発光接続配線366の他端を中継基板365上の配線コネクタ365aへ接続している(
図31参照)。また、発光接続配線366のうち回動役物発光基板356側に位置する部分を、第2回動役物装飾パネル360と回動役物ベース341との間に通して役物ギア部343の前方まで到達させ、発光接続配線366のうち中継基板365側に位置する部分を、下側役物ユニット313の後方から下側ユニットベース325bの配線挿通口(詳しくは、下側ユニットベース325bの下部に開設された配線挿通口)368に通して役物ギア部343の前方まで到達させている。さらに、回動役物ベース341の前面(詳しくは、第2回動役物装飾パネル360が装着される部分の前面)には役物ベース側配線係合部371を備え(
図30参照)、回動パネル350にはパネル側配線係合部372を備え(
図30参照)、下側ユニットベース325bにはユニットベース側配線係合部373を備え(
図27参照)、各配線係合部371,372,373に無端帯状の結束バンド(係合部材)375を介して発光接続配線366を係合するように構成されている。
【0065】
回動パネル350に設けられたパネル側配線係合部(配線係合部)372は、
図32および
図33に示すように、下側回動役物327の延在方向(言い換えると、発光接続配線366の延在方向)に沿って離間した一対の係合支持部381を回動パネル350の前方へ向けて突設し、係合支持部381の突出端部同士の間に係合本体部382を架設している。また、一対の係合支持部381と係合本体部382とで囲まれた空間部を係合挿通穴383として結束バンド375を挿通可能とし、回動パネル350のうち一対の係合支持部381同士の間に開設されたパネル貫通穴384と係合挿通穴383とを連通している(
図32(a)および
図33(b)参照)。
【0066】
さらに、パネル側配線係合部372の係合本体部382には、結束バンド375の移動を規制する係合移動規制部386を備えている。詳しくは、
図32(a)および(b),
図33(b)に示すように、係合本体部382のうち下側ユニットカバー325a側を向いた前縁部(
図33(b)中、上縁部)に係合移動規制部386を凹み形状で形成して結束バンド375を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド375の移動(具体的には、結束バンド375が発光接続配線366の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。
【0067】
また、係合移動規制部386の一側方(詳しくは、係合移動規制部386のうち回動役物発光基板356寄りの側方(
図33(b)中、左側方))には、結束バンド375を係合移動規制部386へ案内可能な係合案内部387を備え、該係合案内部387のうち結束バンド375が当接し得る前縁部と、係合本体部382のうち係合挿通穴383側となる後縁部との前後方向の離間距離L(
図33(b)参照)を係合移動規制部386側(係合本体部382側)に近づくにつれて次第に小さくなるように設定している。言い換えると、係合案内部387において結束バンド375が巻き付き得る箇所の太さを係合移動規制部386側(係合本体部382側)に近づくにつれて次第に細くなるように設定している。なお、係合案内部387の前縁部の傾斜端から係合本体部382の前縁部分が下側回動役物327の回動中心側(
図33(b)中、右側)へ向かって延在しているが、この前縁部が係合挿通穴383の開口縁(詳しくは、係合挿通穴383のうち係合本体部382側に位置する開口縁)と略平行になるように形成されている。
【0068】
そして、パネル側配線係合部372に発光接続配線366を係合するには、まず、複数本の発光接続配線366を一対の係合支持部381の間に上方から掛け渡し、係合支持部381の突出方向(
図32(b)中、上下方向)に沿って並べる。このようにして発光接続配線366をパネル側配線係合部372に当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド375を係合挿通穴383へ通し、結束バンド375の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド375を係合移動規制部386に嵌合しながら係止作業を行うことで、係止作業中に結束バンド375が不用意にパネル側配線係合部372からずれ難くなり、結束バンド375の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。また、結束バンド375を無端帯状にする作業中に結束バンド375が係合移動規制部386から側方に外れて係合案内部387に巻き付こうとしたとしても、徐々に締め込まれる結束バンド375が係合案内部387上では安定せずに摺動して係合移動規制部386に戻される。
【0069】
結束バンド375の端部同士を係止して結束バンド375を無端帯状にすると、発光接続配線366が係合本体部382とともに無端帯状の結束バンド375内に結束される。言い換えると、発光接続配線366が結束バンド375によって係合本体部382(パネル側配線係合部372)へ係合される。さらに、結束バンド375の一部が係合移動規制部386に嵌合し、結束バンド375が係合本体部382の延在方向(言い換えると、発光接続配線366の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド375が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド375が発光接続配線366の一部に集中荷重を掛けて発光接続配線366が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。また、結束バンド375の安定に伴って発光接続配線366が安定し(具体的には、発光接続配線366の係合状態が安定し)し、回動パネル350上での発光接続配線366の損傷や断線等の不具合を防止することができる。また、係合移動規制部386から外れた結束バンド375を係合案内部387により係合移動規制部386へ案内することができるので、結束バンド375が不安定になる不都合を一層抑制することができる。
【0070】
そして、
図31に示すように、下側回動役物327を回動すると、発光接続配線366のうち役物ギア部343の前方を通る部分が曲がる。このとき、発光接続配線366においては、曲がる部分の動きに起因して、パネル側配線係合部372に結束されている部分に対して回動役物発光基板356側にずれようとする力が作用することがある。しかしながら、パネル側配線係合部372に係合されている係合バンドが係合案内部387によって回動役物発光基板356側へずれることを阻止されるため、結束されている発光接続配線366もずれを生じることがない。したがって、下側回動役物327の回動(演出動作)の実行に拘わらず、発光接続配線366の結束状態を安定させることができる。
【0071】
なお、上記した係合案内部387は楔形状を呈して構成されているが、本発明はこれに限定されない。要は、係合移動規制部386から外れた結束バンド(係合部材)375を係合移動規制部386へ案内する機能を有するものであれば、係合案内部をどのような形状に設定してもよい。例えば、係合案内部を半円形状や半球状にして構成してもよい。また、上記したパネル側配線係合部372は、係合案内部387を係合移動規制部386の一側方のみに備えたが、本発明はこれに限定されない。要は、係合案内部387を係合移動規制部386の側方に備えていればよい。例えば、係合案内部を係合移動規制部386の他側方(中継基板364寄りの側方)にのみ備えてもよいし、あるいは、係合移動規制部386の両側方に備えてもよい。
【0072】
さらに、係合移動規制部の側方に係合案内部を備えた配線係合部としてパネル側配線係合部372を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、係合移動規制部を備えた配線係合部であれば、どのような態様の配線係合部に係合案内部を適用してもよい。
【0073】
次に、遊技領域上の構成に特徴を有するパチンコ遊技機の遊技盤501について説明する。
遊技盤501は、
図34,
図35,
図36(a)に示すように、当該遊技盤501の基部となる遊技ベースユニット502の前面に複数のサイドケース503を枠状に連結した状態で止着して遊技領域504を区画形成し、遊技領域504の上寄りには、中央部分が開口されたセンターケース505を配設している。また、該センターケース505の左右両側には、遊技球が通過可能なケース球流下路(右側に位置する第1ケース球流下路506,左側に位置する第2ケース球流下路507)を備え、第1ケース球流下路506の前側には透明な流下路カバー511を配置し、第1ケース球流下路506の上流部には普図始動ゲート512を配設し、普図始動ゲート512に入賞(通過)した遊技球をゲートスイッチ513により検出可能としている。そして、遊技球の普図始動ゲート512への入賞(詳しくは、ゲートスイッチ513による遊技球の検出)を始動条件(普図始動条件)として普図変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、第1ケース球流下路506の下流部には、羽根部材515によって開閉される第1大入賞口516を配設し、第1ケース球流下路506のうち普図始動ゲート512と第1大入賞口516との間に位置する箇所には一般入賞口517を配設している。
【0074】
また、遊技領域504のうちセンターケース505の中央部分の下方には第1始動入賞口521を備え、該第1始動入賞口521よりも第1ケース球流下路506側(
図34(a)中、右側)にずれた箇所には、第2大入賞部(第2大入賞口)523および第2始動入賞部(第2始動入賞口)524を含んで構成された変動入賞ユニット525を配設し、第1始動入賞口521よりも第2ケース球流下路507側(
図34(a)中、左側)にずれた箇所には、一般入賞口527が横に並んで配置された横長な一般入賞ユニット528を配設している。そして、第1始動入賞口521には、当該第1始動入賞口521に入賞した遊技球を検出可能な第1始動口スイッチ531を備え、第2始動入賞部524には、当該第2始動入賞部524に入賞した遊技球を検出可能な第2始動入賞検出スイッチ(第2始動口スイッチ)532を備えている。そして、第1始動入賞口521への遊技球の入賞(詳しくは、第1始動口スイッチ531による遊技球の検出)を始動条件として特
図1変動表示ゲームを実行可能とし、第2始動入賞部524への遊技球の入賞(詳しくは、第2始動入賞検出スイッチ532による遊技球の検出)を始動条件として特
図2変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、特
図1変動表示ゲームの実行中に遊技球が第1始動入賞口521へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特
図1変動表示ゲームの実行を特
図1始動記憶として予め設定された上限数まで記憶して保留する。また、特
図2変動表示ゲームの実行中に遊技球が第2始動入賞部524へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特
図2変動表示ゲームの実行を特
図2始動記憶として予め設定された上限数まで記憶して保留する。なお、第2始動入賞部524を含む変動入賞ユニット525の構成については、後で詳細に説明する。
【0075】
さらに、一般入賞ユニット528の上部には、遊技球が一般入賞口527へ向かって転動可能な球転動棚535を備え、一般入賞ユニット528の前面には一括表示装置536を備え、該一括表示装置536において普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム,特
図2変動表示ゲーム)、遊技状態の表示等を行うように構成されている。そして、第1始動入賞口521の下方に位置する遊技領域504の下端には、入賞せずに流下してきた遊技球を回収するアウト口537を開設し、遊技領域504のうち、センターケース505等の遊技用部材の取付部分を除いた箇所には複数の障害釘538を植設している。
【0076】
また、
図36(a)に示すように、遊技ベースユニット502の裏面側には制御ユニット(裏面構成体)541を装着し、該制御ユニット541の裏側には表示装置542を装着して制御ユニット541の中央部およびセンターケース505の中央部から表示装置542の表示部542aを前方へ臨ませ、複数の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームに対応する演出表示)を表示部542aで表示可能としている。そして、制御ユニット541の下部には排出流路ユニット543を備え、該排出流路ユニット543を第1始動入賞口521や変動入賞ユニット525等の入賞装置の後部へ接続し、遊技領域504を流下して入賞装置に入賞した遊技球(入賞球)を排出流路ユニット543へ回収可能としている。さらに、制御ユニット541の裏側のうち表示装置542の下方には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置546を装着し、表示装置542の裏側には、遊技における演出動作を制御する演出制御装置547を装着している。
【0077】
次に、センターケース505について説明する。
センターケース505は、
図34および
図36(a)に示すように、枠状のケースベース551を当該センターケース505の基部として備え、該ケースベース551の中央部分には、表示装置542を視認可能とするケース窓部552を開設している。また、ケースベース551の上辺部の前面には、センターケース505の前方へ向けて突出した庇状の鎧部553をセンターケース505の左右両側へ向けて下り傾斜した円弧状態で配置し、該鎧部553の下縁部には円弧状の鎧装飾部554を配置している。
【0078】
さらに、鎧部553の傾斜下端に左右両側のケース球流下路506,507の上流開口をそれぞれ臨ませ、ケース窓部552と各ケース球流下路506,507との間には、遊技球がケース球流下路506,507からケース窓部552への侵入を阻止する球侵入阻止壁(第1ケース球流下路506側に位置する第1球侵入阻止壁556,第2ケース球流下路507側に位置する第2球侵入阻止壁557)を前方へ向けてそれぞれ突設している。また、第1ケース球流下路506の下流開口をセンターケース505の下方へ開放して変動入賞ユニット525内へ連通し、第2ケース球流下路507の中流部においては左右に分岐し、下流部においては両分岐路を合流させ、第2ケース球流下路507の下流開口をセンターケース505の側方へ開放している。そして、第1球侵入阻止壁556のケース窓部552側の上部には阻止壁装飾部材559を備え、該阻止壁装飾部材559の姿勢を傾斜姿勢(第1ケース球流下路506の上流開口側(入口側)からケース窓部552の中央側へ向かって下り傾斜した姿勢)に設定し、第1球侵入阻止壁556のケース窓部552側のうち阻止壁装飾部材559よりも下方の位置には縦長な保留表示部560を備えている。
【0079】
保留表示部560においては、特
図1保留数表示部561、特
図2保留数表示部562、特
図1第4図柄表示部563、特
図2第4図柄表示部564をそれぞれLED等の発光部材により構成して配設している。具体的には、
図35に示すように、保留表示部560の上部に2つの特
図2保留数表示部562を縦に並べて配設し、保留表示部560の中央部に2つの特
図1保留数表示部561を縦に並べて配設し、保留表示部560の下部においては、上側に特
図1第4図柄表示部563を配設し、下側に特
図2第4図柄表示部564を配設している。特
図1保留数表示部561では特
図1変動表示ゲームの実行保留数を発光数により表示し、特
図2保留数表示部562では特
図2変動表示ゲームの実行保留数を発光数により表示する。また、特
図1第4図柄表示部563では、変動図柄の停止態様と合わせて特
図1変動表示ゲームの結果を報知するための特
図1第4図柄を発光により表示し、特
図2第4図柄表示部564では、変動図柄の停止態様と合わせて特
図2変動表示ゲームの結果を報知するための特
図2第4図柄を発光により表示する。なお、保留表示部560の下部に配設された2つの発光部材を用いて、特
図1変動表示ゲームの結果、あるいは特
図2変動表示ゲームの結果を報知するための第4図柄を発光により表示するように構成してもよい。さらに、保留表示部560に保留表示や図柄を表示せず、その代わりに表示装置542の表示部542aに保留表示や図柄を表示してもよい。
【0080】
そして、第2ケース球流下路507には、中流部の分岐路を左右に仕切る仕切り部材(仕切りプレート)567を第2ケース球流下路507の後部区画壁568(詳しくは、第2ケース球流下路507を後方の表示部542側から区画する後部区画壁568)から前方へ向けて突設し、該仕切り部材567の前縁部が鎧部553の前縁部や第2球侵入阻止壁557の前縁部に揃うように突出寸法(前後寸法)を設定している。さらに、仕切り部材567をビス等の止着具(図示せず)により止着して着脱可能としている。したがって、遊技球が繰り返し衝接する等して仕切り部材567が損傷し、仕切り部材567の交換が必要となった場合には、止着具による止着を解いて損傷状態の仕切り部材567を遊技盤501から取り外し、別個に準備した新品の仕切り部材567を止着具で止着することができる。
【0081】
また、ケースベース551の下辺部には、遊技球が横方向(前後方向および左右方向)へ転動可能なステージ部571を配置している。さらに、ステージ部571の左右方向の中央部には、遊技球をステージ部571上からステージ部571の前方および下方へ案内する案内溝572を備えている(
図34参照)。さらに、ステージ部571の後方には、ステージ部571上の遊技球が後方の表示装置542側へ進入することを規制する透光性の進入規制壁573を立設し、該進入規制壁573の後方には、横長なステージ装飾パネル574を止着し(
図36(a)参照)、ステージ部571の一側端(
図34中、左側端)には、遊技球が流下可能な球導入路(ワープ流路)575を設けている。そして、球導入路575の入口を第2ケース球流下路507の中流部へ開放し、球導入路575の出口をステージ部571へ向けて開放し、遊技球が第2ケース球流下路507から球導入路575を通ってステージ部571上へ到達できるように構成されている。さらに、ケースベース551のうちステージ部571を挟んで球導入路575とは反対側(
図34中、右側)には、遊技の進行(具体的には、大当り状態の発生)に伴って発光による報知(例えば、遊技者に遊技球の右打ちを促す報知)を実行可能な発光報知部576を備えている。
【0082】
次に、制御ユニット541について説明する。
制御ユニット541は、
図36(a)に示すように、遊技ベースユニット502の裏面に止着されるユニットケース580を前側が開放した状態で備え、該ユニットケース580の後部には矩形状の表示開口窓580aを前後方向へ貫通して開設し、ユニットケース580の後方に装着された表示装置542の表示部542aを表示開口窓580aに臨ませている(
図34参照)。さらに、ユニットケース580の前側開放部には複数のユニット(上部役物ユニット581,側部役物ユニット582,側部装飾ユニット583,下部役物ユニット584)を収納し、各ユニット581,582,583,584がセンターケース505の後方においてケース窓部552の開口縁に沿って位置し、遊技盤501の前方から視認できるように構成されている(
図34参照)。具体的に説明すると、ユニットケース580の内側の上部には、ハート形状を模した上側昇降役物部材586が昇降可能である倒L字状の上部役物ユニット581を備え、該上部役物ユニット581の一側方(
図36(a)中、右側方)には、円板状の回動役物部材587が回動可能な側部役物ユニット582を備え、該上部役物ユニット581のうち縦向き姿勢を呈する他側(
図36(a)中、左側)の前方には、縦長な側部装飾ユニット583を備えている。また、ユニットケース580の内側の下部には、矩形枠状の下側昇降役物部材589が昇降可能である下部役物ユニット584を備え、下側昇降役物部材589の枠内には平板状の透光パネル590を保持し、該透光パネル590を通して表示部542a上の表示内容の一部を遊技者側から視認可能としている。
【0083】
なお、
図36(b)に示すように、上部役物ユニット581の上側昇降役物部材586の左右両側には、発光可能な上側昇降発光パネル586aを備え、上側には上側スライドパネル586bを備えて上側昇降役物部材586の上方へ向けてスライド可能とし、下側には下側スライドパネル586cを備えて上側昇降役物部材586の下方へ向けてスライド可能としている。
【0084】
側部装飾ユニット583は、
図37に示すように、透光性を有する縦長な装飾ベース595を備え、該装飾ベース595の後側には、当該装飾ベース595側からベース発光基板596、基板カバー597、コネクタカバー598の順に重ねて配置し、ベース発光基板596の前面(装飾ベース595側)にはLED等の発光体596aを実装している。また、装飾ベース595の前側には、複数の装飾片600とブロック状の側部装飾部材601とを止着し、各装飾片600および側部装飾部材601がセンターケース505のケース窓部552から前方の遊技者側へ臨んで視認可能となるように構成されている(
図34参照)。なお、側部装飾ユニット583の前方に重なる構成(第2ケース球流下路507の後部区画壁568,第2球侵入阻止壁557,仕切り部材567)においては、透光性を有する材質(透明樹脂等)で構成されており、ベース発光基板596上の発光体596aからの光を透過して遊技盤501の前方へ出射可能としている。
【0085】
側部装飾部材(装飾部材)601は、透光性を有する短尺なブロック部材であり、
図38(a)に示すように、第2ケース球流下路507の上流開口側(入口側)からケース窓部552の中央側へ向かって下り傾斜した姿勢(言い換えると、阻止壁装飾部材559とは異なる傾斜姿勢)に設定されている。また、側部装飾部材601の傾斜下部を発光装飾部601aとして、LED等の発光体602aが実装された側部発光基板602を後方から収納し(
図37参照)、側部装飾部材601の傾斜上部を流下路重合部601bとし、該流下路重合部601bの前面部を発光装飾部601aの前面部よりも後方へずらして、流下路重合部601bの前後方向の寸法(厚さ寸法)を発光装飾部601aよりも薄くしている(
図37および
図38(b)参照)。
【0086】
このような構成の側部装飾部材601を備えた側部装飾ユニット583がセンターケース505の後方に配置されると、
図38および
図39に示すように、流下路重合部601bが後部区画壁568および第2球侵入阻止壁557(詳しくは、第2ケース球流下路507の側方区画壁となる第2球侵入阻止壁557)へ後方から重合し、発光装飾部601aが第2球侵入阻止壁557よりもケース窓部552の内側に位置する。言い換えると、側部装飾部材601が後部区画壁(所定部材)568および第2球侵入阻止壁(所定部材)557に前後に重なる位置と、後部区画壁568および第2球侵入阻止壁557から外れた位置との間に跨って連続して存在する。また、発光装飾部601aの前面部が後部区画壁568の後面部および第2球侵入阻止壁557の後縁部(後面部)よりも前方に配置され、且つ、第2球侵入阻止壁557の前縁部、仕切り部材567の前縁部に対して前後方向を揃えて位置する(
図38(b)および
図39参照)。このようにして側部装飾部材601の前面部が流下路重合部601bと発光装飾部601aとで前後方向にずれて構成されたことにより、側部装飾部材601が平坦な装飾構造になることを避けることができる。したがって、側部装飾部材601の配置により、美観に優れた装飾を施すことができ、遊技の興趣を高めることができる。なお、側部装飾部材601の前面部は、遊技盤501を覆うガラス板等の透明部材(図示せず)とは接触しない範囲で、第2球侵入阻止壁557の前縁部や鎧部553の前縁部よりも前方に突出していてもよい。
【0087】
さらに、
図40に示すように、いずれも不透光であるベース発光基板596と側部発光基板602とが遊技者側(遊技盤501の前方)から見て互いに左右方向へ離間して位置し、発光基板596,602同士の隙間の後方から表示装置542の表示部542aが臨むように構成されている。したがって、表示部542aのうち側部装飾部材601の後方で実行された表示が第2ケース球流下路507の後部区画壁568,第2球侵入阻止壁557、発光基板596,602同士の隙間、装飾ベース595を介して遊技者側から視認することができる。この結果、表示部542aにおける表示と、側部装飾部材601による装飾と、発光基板596,602からの発光とによって遊技演出の相乗効果の向上を期待することができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。なお、各発光基板596,602においては、隙間に臨む側縁部分に発光体596a,602aを実装しており、この発光体596a,602aからの光が隙間まで拡散し易い。したがって、各596a,602aの発光時には発光基板596,602同士の隙間が目立ち難くなり、隙間の暗さが目立って美観が損なわれる不都合を抑えることができる。
【0088】
なお、
図41に示すように、第1ケース球流下路506側に位置する阻止壁装飾部材559および鎧装飾部554においても、後方に発光基板605を配置して発光体605aからの光によって発光装飾を行うように構成されているが、発光基板605は単一の基板であり、離間状態の複数の基板では構成されていない。これは、仮に離間状態の複数の基板で発光基板を構成して阻止壁装飾部材559および鎧装飾部554の発光装飾を実行可能とした場合、阻止壁装飾部材559の下方に配置された保留表示部560が発光しているときに、離間状態の複数の基板上の発光体が消灯していると、基板同士の隙間の暗さと保留表示部560の発光による明るさとの違いが顕著に見えてしまい、美観が損なわれてしまうためである。また、複数の基板を配置すると、それぞれの基板からの配線の処理が複雑になってしまうためである。具体的には、第1大入賞口516、普図始動ゲート512、一般入賞口517等の遊技の結果に影響を及ぼすものが遊技盤501の第1ケース球流下路506側(特に上流側)には集中しているので、阻止壁装飾部材559の発光基板も複数で構成してしまうと、遊技の結果に影響を及ぼす構成の配線と、発光基板の配線とが混在してしまい、点検作業(遊技店における点検作業や、メーカー出荷の点検作業)の時に配線の区別が付き難くなってしまい、点検作業のミス(配線の抜けの見逃し等)が発生し易くなる虞がある。特に、遊技の結果に影響を及ぼす構成の配線(特に、カウントスイッチの配線)が抜けたままになってしまうと、遊技者に不利益が発生する虞がある。そこで、発光基板605を単一の基板で構成して、配線の混在化、ひいては配線の抜けの見逃し等を避け易いようにした。
【0089】
次に、変動入賞ユニット525について説明する。
変動入賞ユニット525は、
図42に示すように、第2大入賞部(第2大入賞口)523と第2始動入賞部(第2始動入賞口)524とを一体にして構成されたユニットであり、変動入賞ユニット525のうちアウト口537側となる一側部(
図42中、左側部)に第2始動入賞部524を備え、該第2始動入賞部524を挟んでアウト口537とは反対側となる他側部(
図42中、右側部)に第2大入賞部523を備え、第2始動入賞部524と第2大入賞部523との間には一般入賞口607を備えている。具体的には、
図42,
図43,
図44に示すように、遊技ベースユニット502に止着される入賞ユニットベース611を備え、該入賞ユニットベース611の前面には、ユニット流路形成パネル612を重ねて配置し、ユニット流路形成パネル612の裏面に流路区画壁612aを入賞ユニットベース611側へ向けて突設して(
図44参照)、遊技球が流下可能な流路構造を区画形成している。そして、ユニット流路形成パネル612および流路区画壁612aを透明樹脂等の透光可能な材料で構成して、変動入賞ユニット525内における遊技球の挙動を前方の遊技者側から視認可能としている。
【0090】
また、変動入賞ユニット525の上縁部を第2始動入賞部524側(
図44(a)中、左側)が第2大入賞部523側(
図44(a)中、右側)よりも低くなる段差状態に設定し、第2大入賞部523側の上縁部分には大入賞側入口617を開設して、第1ケース球流下路506の下流開口を通過した遊技球を変動入賞ユニット525内へ受け入れ可能としている。さらに、大入賞側入口617から変動入賞ユニット525の上縁部に沿って横長な球通過路618を第2大入賞部523側へ向けて下り傾斜した姿勢で備え、該球通過路618の出口(通過出口618a)を、変動入賞ユニット525の上縁部の段差部分、詳しくは段差部分の境界となる起立箇所の上側に開設し、球通過路618の中間部分に第2大入賞部523を臨ませている。また、変動入賞ユニット525の上縁部の第2始動入賞部524側には、アウト口537側(
図44(a)中、左側)へ向けて下り傾斜する球転動棚620を備え、該球転動棚620と通過出口618aとの間に一般入賞口607を開設している。そして、球転動棚620の傾斜下端には、球転動棚620を転動してきた遊技球やステージ部571側から飛翔してきた遊技球が流入可能な始動側入口622を開設し、該始動側入口622の下方に第2始動入賞部524を臨ませている。
【0091】
第2大入賞部523は、球通過路618の底面(球転動面)に開設された横長な第2大入賞開口625と、該第2大入賞開口625を開閉可能な横向き短冊状の第2大入賞開閉扉626と、該第2大入賞開閉扉626を開閉駆動する第2大入賞開閉ソレノイド627(
図43参照)と、第2大入賞開口625を通過した遊技球を流下させる第2大入賞球流下路628と、該第2大入賞球流下路628の途中に配置され、第2大入賞球流下路628を流下する遊技球を当該第2大入賞部523の入賞球として検出するカウントスイッチ629とを備えて構成されている。そして、第2大入賞開閉ソレノイド627を駆動しない常態では、第2大入賞開閉扉626が第2大入賞開口625を閉成して、球通過路618内の遊技球の入賞を阻止する閉状態となり、第2大入賞開閉扉626の上面が遊技球の転動面(球通過路618の底面の一部)として機能する。一方、第2大入賞開閉ソレノイド627を駆動すると、第2大入賞開閉扉626が入賞ユニットベース611内にスライドして収納されて第2大入賞開口625を開放し、球通過路618内の遊技球の入賞を許容する開状態に変換するように構成されている。
【0092】
さらに、第2大入賞球流下路628の下流部(カウントスイッチ629よりも下流側に位置する箇所)には、第2大入賞球流下検出スイッチ631を備えて遊技球(下流部まで流下してきた遊技球)を検出可能としている。さらに、第2大入賞球流下検出スイッチ631よりも上流側からV入賞流路632を分岐してV入賞検出スイッチ633を備え、V入賞流路632の入口をV入賞シャッター634により開閉可能とし、V入賞シャッター634を開いた状態では、第2大入賞球流下路628を流下する遊技球がV入賞流路632へ流入してV入賞検出スイッチ633により検出され、V入賞シャッター634を閉じた状態では、第2大入賞球流下路628を流下する遊技球がV入賞流路632へ流入せずにV入賞シャッター634上を通過し、第2大入賞球流下路628の下流部に到達して第2大入賞球流下検出スイッチ631により検出されるように構成されている。
【0093】
第2始動入賞部524は、
図44に示すように、球転動棚620の下り傾斜姿勢とは反対方向に下り傾斜した第2始動入賞流路640と、該第2始動入賞流路640の下流部に配置され、第2始動入賞流路640を流下した遊技球を当該第2始動入賞部524の入賞球として検出する第2始動入賞検出スイッチ532と、該第2始動入賞検出スイッチ532よりも上流側(始動側入口622側)に開設された球抜き開口641と、第2始動入賞部524の普通電動役物として機能し、該球抜き開口641を開閉可能な横向き短冊状の球抜き開閉扉(スライド動作するスライド部材)642と、普電ソレノイドとして機能して球抜き開閉扉642を開閉駆動する球抜き開閉ソレノイド643と、球抜き開口641の下方に連通する球抜き流路644とを備えて構成されている。そして、球抜き流路644の下流開口(球抜き出口644a)を変動入賞ユニット525の側方(詳しくは、アウト口537が位置する側方(
図44(a)中、左側方))に向けて開放している。さらに、ユニット流路形成パネル612のうち球抜き開閉扉642の前方に位置する箇所に露出開口645を開設し、該露出開口645を通して球抜き開閉扉642の開閉動作を視認することができるように構成されている。
【0094】
また、
図43および
図45に示すように、球抜き開閉ソレノイド643をソレノイドホルダー647に保持して入賞ユニットベース611の後方に配置し、該ソレノイドホルダー647の一側(
図45中、左側)に止着されるアームホルダー648にはリンクアーム649の一端を回動可能な状態で軸着している。さらに、リンクアーム649の他端を球抜き開閉扉642に係合し、球抜き開閉ソレノイド643の出力軸とリンクアーム649のうち回動軸から外れた箇所とを係合し、球抜き開閉ソレノイド643の動作によってリンクアーム649の回動、さらには球抜き開閉扉642のスライドが行われるように構成されている。なお、ソレノイドホルダー647の上部には磁気センサ650を備え、該磁気センサ650によって磁石の近接、さらには磁石によって遊技球を吸着しようとする不正行為を検知可能としている。
【0095】
そして、球抜き開閉ソレノイド643を駆動しない常態では、
図44(a),
図46(a),
図47(a),
図48(a)に示すように、球抜き開閉扉642が入賞ユニットベース611内に収納されて球抜き開口641を開放して、遊技球を第2始動入賞流路640へ流入させずに球抜き開口641から球抜き流路644へ流下させる開状態(入賞阻止状態)となるように設定されている。一方、球抜き開閉ソレノイド643を駆動すると、
図44(b),
図46(b),
図47(b),
図48(b)に示すように、球抜き開閉扉642が入賞ユニットベース611から前方にスライドして球抜き開口641を閉成し、遊技球の第2始動入賞流路640への流入(言い換えると、第2始動入賞部524における遊技球の入賞)を許容する閉状態(入賞許容状態)に変換するように構成されている。このとき、球抜き開閉扉642の上面(遊技球が転動可能な上面)が遊技球第2始動入賞流路640へ案内する球案内面として機能する。
【0096】
なお、球抜き開閉扉642は、遊技進行中の通常遊技状態(常態)においては、閉状態(球抜き開閉ソレノイド643を駆動しない常態)になったり、低確率ではあるが開状態(球抜き開閉ソレノイド643を駆動した状態)になったりする。また、通常遊技状態とは別個の遊技状態(具体的には、普図変動表示ゲームの結果が当たりになったこと等を契機として発生する遊技状態)では開状態(球抜き開閉ソレノイド643を駆動した状態)となる。すなわち、球抜き開閉扉(スライド部材)642は、通常遊技状態や、通常遊技状態と異なる特定遊技状態でスライド動作するように構成されている。
【0097】
また、球抜き開閉扉642の前縁部の第2始動入賞流路640側(
図45中、前縁部の右側)には縦向きの球移動規制突起653を突設し、球抜き開閉扉642の入賞阻止状態においては、球移動規制突起653が第2始動入賞流路640の上流開口に臨む箇所に位置して、遊技球の第2始動入賞流路640への流入を阻止(規制)するように構成されている(
図44(a),
図46(a),
図47(a),
図48(a)参照)。言い換えると、遊技球の始動側入口622側から第2始動入賞流路640側へ向かう移動(アウト口537に向かう方向とは異なる方向(特定方向)への移動)を球移動規制突起653によって規制可能としている。さらに、球抜き開閉扉642の入賞許容状態においては、球移動規制突起653が入賞阻止状態における位置から露出開口645の内側の位置まで移動して、遊技球の第2始動入賞流路640への流入を許容するように構成されている(
図44(b),
図46(b),
図47(b),
図48(b)参照)。
【0098】
そして、球移動規制突起653のうち入賞ユニットベース611側に位置する部分には球誘導面653a(
図47(a)および(b)参照)を備え、該球誘導面653aの姿勢を入賞ユニットベース611との離間距離(遊技球の通過空間の前後幅)が第2始動入賞流路640の上流開口へ向かうにつれて次第に狭くなる傾斜状態に設定している。このような設定の球誘導面653aに遊技球が当接しながら第2始動入賞流路640に向かって流下すると、この遊技球は、球誘導面653aに誘導されて前方のユニット流路形成パネル612側から後方の入賞ユニットベース611側へ寄り易くなる。この結果、ユニット流路形成パネル612を擦らずに第2始動入賞流路640へスムーズに流入することができる。しかも、透光性のユニット流路形成パネル612に擦り傷を付け難くなり、擦り傷によって第2始動入賞流路640内の遊技球の挙動が遊技者から見え難くなってしまう不都合、ひいては、遊技球の挙動が見え難くなって遊技の興趣が損なわれてしまう不都合を抑制することができる。また、球移動規制突起653を備えたことで、球詰まり等のイレギュラーな状態や不正行為(意図的な球詰まり操作や釣り糸ゴト等)が発生したとしても、遊技球の流下(入賞が発生する方向への流下)を球移動規制突起653によって阻止することができる。したがって、不用意に遊技球が入賞してしまう不都合を避けることができる。
【0099】
さらに、変動入賞ユニット525は、第2大入賞開口625に臨む箇所および球抜き開口641に臨む箇所に、遊技球の球威(流下勢)を減衰する減衰手段をそれぞれ備えている。具体的に説明すると、
図43,
図44,
図47に示すように、第2大入賞開口625に臨む箇所としては、入賞ユニットベース611の前面のうち、第2大入賞開口625の上方に位置する箇所(言い換えると、球通過路618を区画する部分)には、互いに平行な複数の通過減衰突条(減衰手段)657を球通過路618の長手方向(遊技球の転動方向)に沿って並べて突設している。また、第2大入賞開閉扉626の上面のうち入賞ユニットベース611寄りの位置には、互いに離間した複数の通過減衰突起(減衰手段)658を球通過路618の長手方向(遊技球の転動方向)に沿って並べて突設している。
【0100】
そして、
図43に示すように、球抜き開口641に臨む箇所としては、入賞ユニットベース611の前面のうち、球抜き開口641の上方に位置する箇所(言い換えると、球抜き開口641と始動側入口622との間に位置する箇所)には、互いに平行な複数の球抜き減衰突条(減衰手段)662を始動側入口622側から第2始動入賞流路640側へ向かう方向(遊技球の転動方向)に沿って並べて突設している。また、
図43,
図45,
図47(b)に示すように、球抜き開閉扉642の上面のうち入賞ユニットベース611寄りの位置には、互いに離間した複数の球抜き減衰突起(減衰手段)663を始動側入口622側から第2始動入賞流路640側へ向かう方向(遊技球の転動方向)に沿って並べて突設している。
【0101】
これらのような構成の減衰手段を備えたことによって、変動入賞ユニット525内の遊技球(詳しくは、球通過路618内を転動する遊技球、始動側入口622から流入して第2始動入賞流路640へ向おうとする遊技球)の球威を減衰することができる。これにより、遊技球が変動入賞ユニット525の内部構造に強く衝接する不都合、ひいては遊技球の衝接によって変動入賞ユニット525が損傷する不都合を抑えることができる。
【0102】
次に、遊技盤501を備えたパチンコ遊技機の遊技進行等の制御を行う遊技制御装置546を中心とする制御系統について説明する。
遊技制御装置546は、
図49に示すように、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための制御プログラム等を記憶しているROM、および遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力部(入力インターフェース)、出力部(出力インターフェース)等から構成されている。そして、各種検出装置(磁気センサ650、電波センサ670、第1始動口スイッチ531、第2始動入賞検出スイッチ(第2始動口スイッチ)532、ゲートスイッチ513、各一般入賞口517,527,607への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ671、V入賞検出スイッチ633、カウントスイッチ629、前面枠開放検出スイッチ673、透明部材保持枠開放検出スイッチ674、電源装置675等)からの検出信号を受けて、遊技状態の切り替え(通常遊技状態と、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態(大当り状態、電サポ状態等)との切り替え)、遊技者に対する報知、停電対応処理等、種々の処理を行う。さらに、演出制御装置547を介して各ユニットの動作(発光動作や移動・回動動作等)を制御する制御手段として機能したり、あるいは、払出制御装置680、大入賞口ソレノイド(羽根部材515を開閉駆動するための第1大入賞口ソレノイド681や第2大入賞開閉扉626を開閉駆動する第2大入賞開閉ソレノイド627)、球抜き開閉ソレノイド(普電ソレノイド)643、一括表示装置536、外部情報端子682等に指令信号を送信したりして、遊技を統括的に制御する。
【0103】
演出制御装置547は、
図50に示すように、演出制御を司るCPU(1stCPU547a,2ndCPU547b)、演出制御を実行するための制御プログラムを格納したPROM、画像データ等を格納した画像ROM、映像表示のための画像処理を行うVDP、入力インターフェース、出力インターフェース等から構成されている。そして、パチンコ遊技機における遊技の進行に伴って発生する信号、具体的には、遊技制御装置546からの制御信号、遊技者が操作可能な遊技演出ボタン(図示せず)に設けられた演出ボタンスイッチ685からの信号、各ユニット等に設けられたセンサからの信号等に基づいて、各ユニット等の演出動作を制御する。詳しくは、表示装置542の表示部542aの表示、上スピーカ686や下スピーカ687からの効果音出力、遊技盤501に設けられた盤装飾装置690(発光基板596,602,605等)の発光や枠装飾装置691の発光、遊技盤501に設けられた盤演出装置692や枠演出装置693の駆動を制御する。
【0104】
次に、遊技盤501上で行われる演出、特に、表示装置542の表示部542aにおいて飾り特図変動表示ゲームが実行中に併せて行われる演出について、役物ユニットを利用する演出態様と、表示装置542を利用する演出態様とに分けて説明する。なお、飾り特図変動表示ゲームは、遊技領域504を流下する遊技球が第1始動入賞口521や第2始動入賞部524へ入賞したことに基づいて、表示装置542の表示部542aの中央部分で横に並んだ3つの変動図柄(識別情報)を変動表示して実行される。このとき、表示部542aの一側には、前述の3つの変動図柄を縮小した縮小図柄が縦に並んで同時に変動表示され、縮小図柄の列の下方には、特
図1始動記憶および特
図2始動記憶の記憶数がそれぞれ数字で表示される。
【0105】
役物ユニットを用いて行われる演出態様について説明すると、
図51に示すように、まず、側部役物ユニット582が回動役物部材587を保留表示部560の後方である演出非実行位置(
図34参照)から回動して、表示部542aの側部の前方である演出実行位置(
図51参照)まで移動し、さらには、下部役物ユニット584が下側昇降役物部材589をステージ部571およびステージ装飾パネル574の後方である演出非実行位置(
図34参照)から上昇させて、透光パネル590の上半部分がステージ装飾パネル574よりも上方に露出した第1演出実行位置(
図51参照)まで移動する。このとき、下側昇降役物部材589と回動役物部材587とは十分に離間しているので、互いに演出動作の支障にはならない。
【0106】
次に、
図52に示すように、側部役物ユニット582が回動役物部材587を演出実行位置から演出非実行位置に戻す。また、上部役物ユニット581が上側昇降役物部材586を表示部542aよりも上方である演出非実行位置(
図50参照)から下降させて、表示部542aの上部の前方である演出実行位置(
図52参照)まで移動する。このとき、上側昇降役物部材586が上側昇降発光パネル586aを発光させながら移動し、側部装飾部材601へ光を照射する。したがって、上側昇降発光パネル586aが装飾手段として機能して側部装飾部材601を光によって装飾する。これにより、側部装飾部材601の美観を一層高めることができ、遊技の興趣をさらに向上させることができる。
【0107】
また、下部役物ユニット584が下側昇降役物部材589を第1演出実行位置からさらに上昇させて、透光パネル590の全体がステージ装飾パネル574よりも上方に露出する第2演出実行位置まで移動する。すると、透光パネル590を通して表示部542a上の表示内容(例えば、始動記憶を丸印で表示して報知する内容)が遊技者側から視認可能となる。したがって、遊技者は、表示部542a上の表示内容の周りに下側昇降役物部材589の枠構造の装飾が施された様子を見て楽しむことができ、遊技の興趣を高めることができる。なお、演出非実行位置の回動役物部材587、演出実行位置の上側昇降役物部材586、第2演出実行位置の下側昇降役物部材589は、互いに離間しているので、互いの演出動作の支障にはならない。
【0108】
さらに、
図53に示すように、下部役物ユニット584が下側昇降役物部材589を第2演出実行位置から下降させて演出非実行位置に戻し、上部役物ユニット581においては、上側スライドパネル586bを上方へスライドさせて上側昇降役物部材586の上方へ向けて突出するとともに、下側スライドパネル586cを下方へスライドさせて上側昇降役物部材586の下方へ向けて突出するこの結果、上部役物ユニット581がケース窓部552内の全体に広がって装飾動作を行うことができ、迫力のある遊技演出を遊技者に見せることができる。
【0109】
次に、表示装置542を用いて行われる演出態様について説明すると、
図54に示すように、表示装置542の表示部542aには、側部装飾部材601の後方に位置する箇所から発光報知部576の後方に位置する箇所に亘って延在する傾斜帯状の第1画像表示G1と、阻止壁装飾部材559の後方に位置する箇所から下側昇降役物部材589の上縁部のうち第2ケース球流下路507寄り(
図54中、左寄り)の部分の後方に位置する箇所に亘って延在する傾斜帯状の第2画像表示G2とを合わせて表示する。そして、第1画像表示G1と第2画像表示G2とを表示部542aの中央部分で交差させる。なお、発光報知部576においては、第1画像表示G1の表示色と同じ色で発光装飾が実行される。このような装飾を実行することにより側部装飾部材601の装飾との関連性を持たせることができ、遊技者が装飾に注目し易くなり、遊技の興趣を高めることができる。また、表示部542aのうち側部装飾部材601の後方で実行される第1画像表示G1の一部が第2ケース球流下路507の後部区画壁568,第2球侵入阻止壁557、発光基板596,602同士の隙間、装飾ベース595を介して遊技者側から視認される。このような演出を表示部542aにおいて実行すれば、表示部542aの全体に広がる演出表示を行うことができ、迫力のある遊技演出を遊技者に見せることができる。また、表示部542aが側部装飾部材601に応じた演出を行う演出手段として機能して、側部装飾部材601の装飾効果を一層高めることができ、遊技の興趣をさらに向上させることができる。
【0110】
なお、
図54に示すように、リーチ時に右図柄が仮停止する際に第1画像表示G1と第2画像表示G2を表示して、第1画像表示G1と第2画像表示G2との交差部分により右図柄に対する装飾演出(例えば強調するような装飾演出)を実行すれば、遊技者が注目し易くなり球技の興趣の向上を図ることができる。また、側部装飾部材601がケース窓部552の中央側に向かう延在構成を際立たせて遊技者に見せることができ、インパクトのある装飾演出を行うことができる。さらに、第2画像表示G2の下部を、表示部542a上の保留表示のうち表示態様変化中の保留表示(丸印で表示された保留表示)に重ねて表示すれば、第2画像表示G2によって保留表示の変化を強調することができて好適である。そして、画像表示G1,G2によって、図柄と保留表示の両方を装飾演出すれば、実行中の変動表示ゲームに関する演出と、後に実行する予定の変動表示ゲームに関する演出との両方に遊技者の興味を惹きつけることができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
【0111】
また、
図55に示すように、表示装置542の表示部542aのうち側部装飾部材601の後方に位置する部分に、側部装飾部材601の存在を目立たせるエフェクト画像表示GEを実行してもよい。なお、エフェクト画像表示GEの一部が第2ケース球流下路507の後部区画壁568,第2球侵入阻止壁557、発光基板596,602同士の隙間、装飾ベース595を介して遊技者側から視認される。このような演出の実行によっても、表示部542aが側部装飾部材601に応じた演出を行う演出手段として機能して、側部装飾部材601の装飾効果を一層高めることができ、遊技の興趣をさらに向上させることができる。
【0112】
次に、遊技制御装置546のメイン処理について説明する。なお、遊技制御装置546における制御処理は、電源投入時処理およびループ処理を含むメインルーチンであるメイン処理(
図56および
図57参照)と、メイン処理中のループ処理に対する割込みルーチンとして、所定時間周期(例えば4ms)で行われるタイマ割込み処理(
図58参照)とからなる。
【0113】
メイン処理は、パチンコ遊技機の電源が投入されることで開始される。このメイン処理においては、
図56に示すように、まず、割込みを禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、遊技制御装置546の入力ポートの状態を読み込む処理(ステップS4)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS5)を行う。
【0114】
次に、電源投入ディレイタイマの設定(ステップS6)、および停電監視信号のチェック回数の設定(ステップS7)を行い、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(ステップS8)。停電監視信号がオンである場合には、ステップS7で設定したチェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS8)。そして、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続している場合、すなわち、停電が発生していると判定された場合には待機し、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続していない場合には、ステップS8に戻って停電監視信号の判定を再び実行する。また、ステップS8において停電監視信号がオンではない場合、すなわち、停電が発生していないと判定された場合には、電源投入ディレイタイマを-1更新し(ステップS10)、電源投入ディレイタイマが0になったか否かを判定し(ステップS11)、0でない場合にはステップS7に戻る。そして、ステップS11において電源投入ディレイタイマが0である場合には、読出し書込み可能なRAMのアクセスを許可し(ステップS12)、出力部の全ポートをオフ(出力が無い状態)に設定し(ステップS13)、シリアルポートを設定する処理を行う(ステップS14)。
【0115】
また、電源装置675に設けられた初期化スイッチがONになっているか否かを判定し(ステップS15)、初期化スイッチがONでないと判定された場合には、RAM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータ1であるかをチェックし(ステップS16)、停電検査領域1の値が正常であれば、RAM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータ2であるかをチェックし(ステップS17)、停電検査領域2の値が正常であれば、RAMに記憶されているデータが正常なものであるか否かを判定するために、チェックサムが正常であるか否か調べる。具体的には、RAM内の領域のチェックサムを算出し(ステップS18)、算出されたチェックサムと、停電があった際にRAMに記憶されていたチェックサムとが一致するか否かを判定する(ステップS19)。そして、チェックサムが正常であると判定された場合、すなわちRAMに記憶されているデータが正常であると判定された場合には、初期化すべき領域に停電復旧時の初期値をセーブし(ステップS20)、RAM内の遊技状態を記憶する領域を調べて遊技状態が高確率状態(詳しくは、特図変動表示ゲームの結果態様が大当りとなる確率が通常の遊技進行時よりも高く設定された状態)であるか否かを判定し(ステップS21)、高確率状態であると判定された場合には、高確率報知フラグ領域にオン情報をセーブし(ステップS22)、一括表示装置536に設けられる高確率報知LEDを点灯させるオンデータをセグメント領域に設定する(ステップS23)。そして、ステップS21において高確率状態ではないと判定された場合、またはステップS23において高確率報知LEDを点灯させる準備を行った場合には、特図ゲーム処理を合理的に実行するために用意されている処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置547へ送信する(ステップS24)。
【0116】
一方、ステップS15にて初期化スイッチがオンであると判定された場合、またはステップS16,S17にて停電検査領域の値が異常であると判定された場合、またはステップS19にてチェックサムが異常であると判断された場合には、アクセス禁止領域より前の全作業領域のクリア(ステップS25)、およびアクセス禁止領域より後の全スタック領域のクリア(ステップS26)を実行し、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップS27)。さらに、点灯確認実行フラグ領域に実行フラグをセーブし(ステップS28)、電源投入時のコマンドを演出制御装置547へ送信する(ステップS29)。
【0117】
そして、ステップS24にて停電復旧時のコマンドを演出制御装置547に送信した後、またはステップS29にて電源投入時のコマンドを演出制御装置547に送信した後には、タイマ割込み信号および乱数更新トリガ信号を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動し(ステップS30)、乱数生成回路を起動設定する(ステップS31)。さらに、電源投入時の乱数生成回路内のソフト乱数レジスタの値を抽出して各種初期値乱数(特図変動表示ゲームにおける大当り図柄を決定する乱数の初期値、または普図変動表示ゲームにおける当たり図柄を決定する乱数の初期値)としてRAMにセーブし(ステップS32)、ステップS1で禁止された割込みを許可し(ステップS33)、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を行う(ステップS34)。
【0118】
ステップS34にて初期値乱数更新処理を実行したならば、停電が発生したか否かを判定するために、電源装置675から入力されている停電監視信号をポート及びデータバスを介して読み込んでチェックする回数を設定し(ステップS35)、停電監視信号がONであるか否かを判定する(ステップS36)。停電監視信号がオンではない場合、すなわち、停電が発生していないと判定された場合にはステップS34に戻り、上記初期値乱数更新処理(ステップS34)、停電監視信号のチェック回数の設定(ステップS35)、停電監視信号の判定(ステップS36)を繰り返し行う。一方、停電監視信号がオンである場合には、ステップS35で設定したチェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS37)。そして、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続していない場合には、ステップS36に戻って停電監視信号の判定を再び実行し、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続している場合、すなわち、停電が発生していると判定された場合は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS38)、全出力ポートにオフデータを出力する処理(ステップS39)を行う。さらに、各停電検査領域に停電検査領域チェックデータをセーブする処理(ステップS40,S41)、電源遮断時におけるRAMのチェックサムを算出する処理(ステップS42)を行った後、チェックサムをセーブし(ステップS43)、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS44)を行ってから、パチンコ遊技機の電源が遮断されるまで待機する。
【0119】
タイマ割込み処理は、
図58に示すように、まず、所定のレジスタに保持されている値をRAMに移してレジスタ退避の処理を行い(ステップS51)、各種検出装置(磁気センサ650、電波センサ670、第1始動口スイッチ531、第2始動入賞検出スイッチ(第2始動口スイッチ)532、ゲートスイッチ513等)からの入力を取込む入力処理(ステップS52)、各種処理でセットされた出力データに基づいてソレノイド(第1大入賞口ソレノイド681,第2大入賞開閉ソレノイド627,球抜き開閉ソレノイド643)等のアクチュエータを駆動制御する出力処理(ステップS53)を行う。
【0120】
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを払出制御装置89に出力する払出コマンド送信処理(ステップS54)、乱数更新処理1(ステップS55)、乱数更新処理2(ステップS56)を行う。その後、第1始動口スイッチ531、第2始動入賞検出スイッチ(第2始動口スイッチ)532、入賞口スイッチ671等の遊技球検出用センサから正常な信号の入力があるか否かの監視や、前面枠や透明部材保持枠(いずれも図示せず)が開放されていないか等のエラーの監視を行う入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS57)を行う。また、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS59)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS60)を行う。
【0121】
各変動表示ゲームの処理を実行したならば、一括表示装置536における各変動表示ゲームの表示内容や遊技に関する各種情報の表示内容を編集するセグメントLED編集処理(ステップS61)、磁気センサ650からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁気不正監視処理(ステップS62)、電波センサ670からの検出信号をチェックして異常がないか判定する電波不正監視処理(ステップS63)、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS64)を行う。そして、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言し(ステップS65)、ステップS51で退避したレジスタのデータを復帰し(ステップS66)、割込みを許可(ステップS67)してタイマ割込み処理を終了する。
【0122】
次に、タイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS58)の詳細について、
図59に基づいて説明する。
特図ゲーム処理では、第1始動口スイッチ531と第2始動入賞検出スイッチ(第2始動口スイッチ)532との入力の監視と、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図の表示の設定を行う。具体的に説明すると、
図59に示すように、まず、第1始動口スイッチ531および第2始動入賞検出スイッチ(第2始動口スイッチ)532の入賞を監視する始動口スイッチ監視処理(ステップS71)を行う。この始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口521、第2始動入賞部524に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数等)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。
【0123】
次に、カウントスイッチ629やV入賞検出スイッチ633等の信号を監視してカウントする大入賞口スイッチ監視処理(ステップS72)を行う。続いて、特図ゲーム処理タイマが0でなければ更新(-1)し(ステップS73)、当該ゲーム処理タイマが0であるか否かをチェックして(ステップS74)、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした(ステップS74;Yes)と判定すると、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する処理(ステップS75)を行って、当該テーブルを用いて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する処理(ステップS76)を行う。
【0124】
そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させる処理(ステップS77)を行った後、ゲーム処理番号に応じてゲーム分岐処理(ステップS77)を行う。ステップS78にて、ゲーム処理番号が「0」の場合は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図普段処理(ステップS79)を行う。また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「1」の場合は、特図の停止表示時間の設定や、特図表示中処理へ移行するために必要な情報の設定等を行う特図変動中処理(ステップS80)を行う。さらに、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「2」の場合は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りに応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間の設定や、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図表示中処理(ステップS81)を行う。
【0125】
また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「3」の場合は、大入賞口31の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理へ移行するために必要な情報の設定等を行うファンファーレ/インターバル中処理(ステップS82)を行う。また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「4」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定する処理や、大入賞口残存球処理へ移行するために必要な情報の設定等を行う大入賞口開放中処理(ステップS83)を行う。
【0126】
また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「5」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドであれば大入賞口31内にある残存球が排出されるための時間を設定する処理や、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行う大入賞口残存球処理(ステップS84)を行う。また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「6」の場合は、特図普段処理(ステップS79)へ移行するために必要な情報の設定等を行う大当り終了処理(ステップS85)を行う。
【0127】
上記ステップS79~S85を実行すると、一括表示装置536内の特
図1表示器の変動を制御するための変動パターンテーブルを準備した後(ステップS86)、特
図1表示器に係る図柄変動制御処理(ステップS87)を行う。その後、一括表示装置536内の特
図2表示器の変動を制御するための変動パターンテーブルを準備した後(ステップS88)、特
図2表示器に係る図柄変動制御処理(ステップS89)を行い、特図ゲーム処理を終了する。一方、ステップS74にて、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない(ステップS74;No)と判定した場合は、ステップS86へ移行して、それ以降の処理を行う。
【0128】
次に、特図ゲーム処理における特図普段処理(ステップS79)の詳細について、
図60に基づいて説明する。
特図普段処理では、まず、特
図2始動記憶の数が0であるか否かをチェックする(ステップS91)。そして、次のステップS92で特
図2始動記憶数が0であるか否かの判定を行い、特
図2始動記憶数が0である(Yes)と判定すると、ステップS93へ進む。ステップS93では、次のステップS94で特
図1始動記憶数が0であるか否かの判定を行い、特
図1始動記憶数が0である(ステップS94;Yes)と判定すると、既に客待ちデモが開始されているか否かをチェックして(ステップS95)、客待ちデモを開始していない、即ち、開始済みでない(ステップS96;No)と判定すると、客待ちデモフラグを客待ちデモ中に設定する処理(ステップS97)を行う。
【0129】
続いて、客待ちデモコマンドを準備して(ステップS98)、コマンド設定処理(ステップS99)を行い、ステップS100に移行する。一方、ステップS95にて、既に客待ちデモが開始されている(ステップS96;Yes)と判定すると、既に客待ちデモフラグは客待ちデモ中に設定(ステップS97)され、客待ちデモコマンドも準備(ステップS98)され、コマンド設定処理(ステップS99)も実行されているため、これらの処理を行わずにステップS100に移行する。ステップS100では、特図普段処理に移行するためのテーブルを準備する処理、具体的には、当該テーブルに、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を行って、特図普段処理を終了する。
【0130】
一方、ステップS92にて、特
図2始動記憶数が0でない(ステップS92;No)と判定すると、ステップS101へ移行して特
図2変動表示ゲームの変動を開始させる特
図2変動開始処理(ステップS101)を行う。そして、特図変動中処理に移行するためのテーブル(特
図2用)を準備する処理(ステップS102)、具体的には、当該テーブルに、特図変動中処理に係る処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、特
図2表示器における特
図2変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、一括表示装置536内の特
図2表示器の変動中に係るフラグ、特
図2表示器の点滅の周期のタイマの初期値等)等を設定する処理を行って、特図普段処理を終了する。また、ステップS94にて、特
図1始動記憶数が0でない(ステップS94;No)と判定すると、ステップS103へ移行して特
図1変動表示ゲームの変動を開始させる特
図1変動開始処理を行う。その後、特図変動中処理に移行するためのテーブル(特
図1用)を準備する処理(ステップS104)を行って、特図普段処理を終了する。
【0131】
次に、演出制御装置547にて行われる制御について説明する。前述したように演出制御装置547は、主制御用マイコンである1stCPU547aと、当該1stCPU547aの制御下で映像制御用マイコンとして映像制御を行う2ndCPU547bとを備えている。そして、1stCPU547aによる制御処理は、主に、
図61に示す1stメイン処理と、
図62に示す割込み処理とからなり、割り込み処理を所定周期(例えば、2ミリ秒の周期)で行う。
【0132】
まず、1stメイン処理について説明する。この1stメイン処理においては、
図61に示すように、始めにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理では、まず、割込みを禁止し(ステップS111)、CPUの初期化やRAMの初期値設定、乱数の初期化等を行う各種初期化処理を行う(ステップS112)。そして、各種割込みのタイマを起動して(ステップS113)、割込みを許可する(ステップS114)。
【0133】
この1stメイン処理においては、次にメインループ処理としてループの処理を行う。このループの処理では、まず、WDT(watch dog timer)をクリアし(ステップS115)、遊技演出操作ユニット(遊技演出ボタン)232の操作に基づく入力信号(立ち上がりエッジ)から入力情報を作成する演出ボタン入力処理(ステップS116)を行う。次いで、遊技制御コマンド解析処理(ステップS117)を行う。この遊技制御コマンド解析処理では、遊技制御装置546から送信される遊技に関するコマンドを正しく受信したか否かを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、後述するシーン制御処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。
【0134】
次いで、盤装飾装置690、枠装飾装置691、盤演出装置692、枠演出装置693等のテストを行うためのテストモードに関する処理であるテストモード処理(ステップS118)を行う。このテストモード処理によりテストモードとなった場合は、以降の遊技に関する処理は行わない。ただし、テストモードにおいて表示装置542での表示や上スピーカ686および下スピーカ687からの音声の出力、盤装飾装置690および枠装飾装置691のLEDの発光、盤演出装置692および枠演出装置693の動作等を行う場合は、これらを制御するための処理(後述のステップS122~S124)において制御を行う。なお、テストモードはパチンコ遊技機の電源遮断で終了するようになっている。
【0135】
次いで、遊技の演出の制御に関する1stシーン制御処理(ステップS119)、パチンコ遊技機における異常の発生を監視する遊技機エラー監視処理(ステップS120)、2ndCPU547bに出力するコマンドを編集する演出コマンド編集処理(ステップS121)を行う。次いで、上スピーカ686および下スピーカ687からの音声の出力に関する制御を行うサウンド制御処理(ステップS122)、盤装飾装置690、枠装飾装置691のLEDの制御を行う装飾制御処理(ステップS123)、盤演出装置692、枠演出装置693のモータやソレノイドの制御を行うモータ/SOL制御処理(ステップS124)を行う。次いで、飾り特図変動表示ゲームの変動態様の詳細を決定する乱数を更新する乱数更新処理(ステップS125)を行い、WDTをクリアする処理(ステップS115)に戻る。
【0136】
次に、割込み処理について説明する。この割込み処理においては、
図62に示すように、まず、プログラムで管理するソフトタイマを更新するタイマ更新処理(ステップS131)を行う。次いで、演出制御装置547に入力される信号を処理する入力処理(ステップS132)、演出制御装置547から出力する信号を処理する出力処理(ステップS133)を行う。次いで、遊技制御装置546から演出制御装置547へ送信される遊技に関するコマンドを受信するメインコマンド受信処理(ステップS134)を行って、割込み処理を終了する。
【0137】
演出制御装置547の2ndCPU547bは、
図63に示す2ndメイン処理を行う。この2ndメイン処理においては、
図63に示すように、はじめにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理として、まず、CPUを初期化するCPU初期化処理(ステップS141)を行い、RAMを0クリアして(ステップS142)、RAMの初期値を設定する(ステップS143)。次いで、VDPを初期化するVDP初期化処理(ステップS144)を行い、各種割込みを許可する(ステップS145)。次いで、各種制御処理の初期化処理(ステップS146)を行い、画面描画を許可する(ステップS147)。
【0138】
次に、メインループ処理としてループの処理を行う。具体的に説明すると、まず、システム周期待ちフラグをクリアし(ステップS148)、システム周期待ちフラグが1であるか否かの判定を行う(ステップS149)。システム周期とは、画像データを一時的に格納する二つのバッファを切り替える周期であって、切り替えが可能な状態となるとシステム周期フラグが「1」となる。このシステム周期待ちフラグが1となるまでは、システム周期待ちフラグが1であるか否かの判定(ステップS149)を繰り返し、システム周期待ちフラグが1となると(ステップS149;Yes)、WDT(watch dog timer)をクリアする(ステップS150)。
【0139】
次いで、受信コマンドチェック処理(ステップS151)を行う。この受信コマンドチェック処理では、1stCPU547aから送信されるコマンドを正しく受信したか否かを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、2ndシーン制御処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。次いで、受信したコマンドに基づき、表示内容を決定する2ndシーン制御処理(ステップS152)を行う。
【0140】
次いで、背景の設定を行う背景処理(ステップS153)を行う。この背景処理では、遊技状態(確率状態や客待ち状態の有無)や、遊技モード、演出モード、リーチシーン等に応じた背景を表示する処理を行う。次いで、飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動に関する表示制御処理である変動表示処理(ステップS154)を行う。その後、一括表示装置536における各変動表示ゲームの保留数の表示に連動して表示装置542に表示される記憶表示の設定を行う保留表示処理(ステップS155)を行う。この保留表示処理では、始動記憶領域(消化始動記憶領域、待機始動記憶領域)に記憶された事前演出情報に基づき、記憶表示の表示態様を変化させる事前演出(先読み演出、変動中演出)の表示に関する処理も行う。
【0141】
次いで、客待ちデモの表示に関する客待ちデモ処理(ステップS156)を行う。この客待ちデモ処理では、キャラクターや映像等を表示する客待ち画面の設定に関する処理や、客待ち画面に表示する告知表示の設定に関する処理等を行う。次いで、ROMのデータをRAMに設定されたバッファに転送し、実際に表示をさせる処理を行う表示システム処理(ステップS157)を行って、システム周期待ちフラグをクリアする処理(ステップS148)に戻る。
【0142】
次に、前述の1stメイン処理における1stシーン制御処理(ステップS119)の詳細について説明する。
図64に示すように、1stシーン制御処理において、演出制御装置547の1stCPU547aは、まず、テストモード中であるか否かを判定する(ステップS161)。ステップS161で、テストモード中であると判定した場合(ステップS161;Yes)には、1stシーン制御処理を終了する。一方、ステップS161で、テストモード中でないと判定した場合(ステップS161;No)には、シーン変更コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS162)。このシーン変更コマンドは、遊技制御装置546から演出制御装置547に送信される遊技に関する各種のコマンド(電源投入コマンド、停電復旧コマンド、客待ちデモコマンド、変動パターンコマンド、図柄停止コマンド、大当りファンファーレコマンド、大入賞口開放n回目コマンド、インターバルコマンド等)である。
【0143】
ステップS162で、シーン変更コマンドを受信したと判定した場合(ステップS162;Yes)には、更新する遊技状態(現在の遊技状態)を取得し(ステップS163)、受信したシーン変更コマンドが取得した現在の遊技状態に対して有効なものであるか否か、すなわち、有効なコマンドであるか否かを判定する(ステップS164)。ステップS164で、有効なコマンドであると判定した場合(ステップS164;Yes)には、受信コマンドをセーブし(ステップS165)、演出リクエストフラグをセットして(ステップS166)、受信したコマンドのコマンド識別子による分岐処理(ステップS167)を行う。
【0144】
一方、ステップS162でシーン変更コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS162;No)や、ステップS164で有効なコマンドでないと判定した場合(ステップS164;No)には、受信したコマンドのコマンド識別子による分岐処理(ステップS167)を行う。この場合、直近の有効であったコマンドの識別子による分岐を行う。
【0145】
コマンド識別子による分岐処理(ステップS167)では、受信したコマンドに基づき実行する処理を選択する。電源投入コマンドを受信した場合には、電源投入時に必要な処理を行う電源投入処理(ステップS168)を行う。また、停電復旧コマンドを受信した場合には、停電復旧時に必要な処理を行う停電復旧(客待ち以外)処理(ステップS169)を行う。また、客待ちデモコマンドを受信した場合には、客待ちデモの表示に関する処理等を行う客待ち処理(ステップS170)を行う。
【0146】
また、変動パターンコマンドを受信した場合には、飾り特図変動表示ゲームの実行に関する処理等を行う変動中処理(ステップS171)を行う。この変動中処理では、飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定を行う。この飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定では、例えば、遊技制御装置546から送信された変動パターンコマンドに含まれる情報(大当りか否か、変動パターン情報等)に基づき演出(変動パターンや変動時間等)の設定を行う。
【0147】
また、図柄停止コマンドを受信した場合には、飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動表示を停止して結果態様を表示する処理である図柄停止処理(ステップS172)を行う。この図柄停止処理では、飾り特図変動表示ゲームにおける結果の停止表示時間等の設定を行う。また、ファンファーレコマンドを受信した場合には、特別遊技状態の開始に関する処理である大当りファンファーレ処理(ステップS173)を行う。また、大入開放n回目コマンドを受信した場合には、ラウンド遊技に関する処理であるラウンド中処理(ステップS174)を行う。また、インターバルコマンドを受信した場合には、ラウンド間のインターバルに関する処理であるインターバル処理(ステップS175)を行う。また、エンディングコマンドを受信した場合には、特別遊技状態の終了に関する処理であるエンディング処理(ステップS176)を行う。
【0148】
コマンド識別子による分岐処理(ステップS167)により選択された前述の各処理を行った後、即座に映像に反映されないコマンドに基づく処理を行う。この処理として、まず、始動記憶の増減に関する情報を含む保留数コマンド(特
図1保留数コマンド、特
図2保留数コマンド)に基づく処理を行う保留数コマンド受信処理(ステップS177)を行い、特図変動表示ゲームの停止図柄に関する情報を含む飾り特図コマンドに基づく処理を行う飾り特図コマンド受信処理(ステップS178)を行う。
【0149】
次いで、始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果等を当該特図変動表示ゲームの実行前に事前に判定する先読み処理の結果を含む事前判定コマンド(図柄情報コマンド、変動パターン乱数コマンド)に基づく処理を行う事前判定コマンド受信処理(ステップS179)を行う。次いで、確率状態に関する情報を含む確率情報コマンドに基づき、対応する値を内部設定するとともに背景コマンドを2ndCPU547bに送信する処理を行う確率情報コマンド受信処理(ステップS180)を行って、1stシーン制御処理を終了する。
【0150】
ところで、上記実施形態では、後部区画壁568および第2球侵入阻止壁557を本発明の所定部材として例示し、側部装飾部材601を所定部材に重なる装飾部材として例示したが、本発明はこの組み合わせに限定されない。要は、装飾部材が所定部材に前後に重なる位置と所定部材から外れた位置との間に跨って連続して存在し、装飾部材の前面部を所定部材の後面部よりも前方に配置する構成であれば、所定部材と装飾部材との組み合わせの態様はどのように設定してもよい。また、装飾部材を装飾する装飾手段として上側昇降役物部材586の上側昇降発光パネル586aを例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、装飾部材を装飾可能であれば、どのような構成の装飾手段を適用してもよい。さらに、装飾部材に応じた演出を行う演出手段として表示装置542(表示部542a)を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、装飾部材に応じた演出を実行可能であれば、どのような構成の演出手段を適用してもよい。
【0151】
また、上記実施形態では、変動入賞ユニット525の球抜き開閉扉642を本発明のスライド部材として例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、通常遊技状態と異なる特定遊技状態でスライド動作するスライド部材であれば、どのような構成のスライド部材を本発明の変動入賞ユニットに適用してもよい。また、本発明の減衰手段として、通過減衰突条657,通過減衰突起658,球抜き減衰突条662,球抜き減衰突起663をそれぞれ例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、遊技球の球威を減衰可能であればどのような態様の減衰手段を適用してもよい。
【0152】
次に、遊技機の演出動作について説明する。
パチンコ遊技機1等の遊技機において、所定の演出実行条件(実行条件、演出開始条件)が成立すると、演出手段が演出動作を開始する。なお、演出実行条件としては、遊技球の入賞口への入賞や、遊技者による遊技演出ボタン(例えば、
図1に示す遊技演出ボタン17)の操作等が挙げられる。また、演出手段としては、移動や回動等の演出動作を行う演出役物等の可動演出手段、演出表示を行う表示装置等の表示手段、演出発光を行う装飾ランプ等の発光手段、演出音を出力するスピーカー等の音出力手段が挙げられる。
【0153】
演出手段の演出動作を例示すると、
図65に示すタイミングチャートでは、
図34に示した遊技盤501にて実行される遊技演出のうち、遊技球が第2大入賞部523に入賞したときに、可動演出手段(演出手段)の一種である回動役物部材587が実行する演出動作と、表示手段の一種である表示装置542が実行する演出表示とのタイミングを表している。具体的に説明すると、遊技球が変動入賞ユニット525内に流入してカウントスイッチ629に検出されると、第2大入賞部523への入賞が発生したと判断されて、回動役物部材587の演出動作および表示装置542の演出表示が実行される。回動役物部材587においては、演出非実行位置(初期位置)から演出実行位置(動作位置)まで移動し、再び演出非実行位置(初期位置)に戻る周期動作を行う(
図34および
図51参照)。また、表示装置542においては、エフェクト画像(例えば、光が輝く様子を模倣した画像)の表示と、入賞によって遊技者が獲得する遊技球数の情報(例えば、「+15」のように表現される情報)の表示とが実行される。なお、獲得遊技球数情報の表示実行時間Tgは、エフェクト画像の表示実行時間Teよりも短時間に設定されており、回動役物部材587の動作周期(演出周期、演出実行時間)Tmは、エフェクト画像の表示実行時間Teよりも長時間に設定されている。また、エフェクト画像は、回動役物部材587が動作位置から初期位置へ戻るまでの間に表示を終了してもよい。言い換えると、エフェクト画像の表示実行時間Teの終期は、回動役物部材587が動作位置から初期位置へ戻るまでの間に到来するように設定してもよい。
【0154】
そして、遊技球の入賞が回動役物部材587の動作周期Tmよりも長い間隔を空けて連続して発生した場合、言い換えると、遊技球の連続入賞間隔Tcが回動役物部材587の動作周期Tmよりも長い場合には、
図65に示すように、先の入賞に対応する演出動作(回動役物部材587の演出動作)および演出表示(表示装置542の演出表示)と、後の入賞に対応する演出動作および演出表示とは同じ態様で実行される。一方、遊技球の入賞が回動役物部材587の動作周期Tmよりも短期間内に連続して発生した場合、言い換えると、遊技球の連続入賞間隔Tcが回動役物部材587の動作周期Tmよりも短い場合には、先の演出動作が終わり次第、直ちに後の演出動作および演出表示を実行してもよいが、後の遊技球の入賞とのタイムラグが際立つ虞、さらには遊技者がこのタイムラグを気にして遊技に集中できなくなる虞がある。
【0155】
そこで、後の入賞に対応する演出動作(回動役物部材587の演出動作)および演出表示(表示装置542の演出表示)の設定に様々な工夫を施してもよい。例えば、
図66に示す設定では、回動役物部材587においては、先の入賞に対応する演出動作を動作周期に亘って実行(通常実行)するが、後の入賞に対応する演出動作は実行しない。また、表示装置542においては、先の入賞に対応する演出表示から継続して後の入賞に対応する演出表示を実行する。すなわち、非表示期間を途中に設けずに演出表示を連続して実行する。なお、
図67に示すように、表示装置542においても、後の入賞に対応する演出表示を実行しない設定にしてもよい。すなわち、先の入賞に対応する演出動作および演出表示のみ実行し、後の入賞に対応する演出動作および演出表示を実行しなくてもよい。あるいは、
図68に示すように、表示装置542においては、後の入賞に対応する演出表示を実行する設定にしてもよい。すなわち、先の入賞に対応する演出においては、回動役物部材587の演出動作および表示装置542の演出表示を実行し、後の入賞に対応する演出においては、回動役物部材587の演出動作を実行しない一方、表示装置542の演出表示を実行してもよい。
【0156】
さらに、
図69および
図70に示す設定では、表示装置542が演出表示を各入賞に対応してそれぞれ実行するが、回動役物部材587の演出動作の態様に工夫を施している。具体的に説明すると、
図69に示す設定では、回動役物部材587が先の入賞に対応する演出動作
(先の実行条件の成立に対応した演出(先発演出))を実行している最中に、後の入賞が発生すると、回動役物部材587が後の入賞の発生時に居る場所で演出動作
(実行中の先発演出)を一時中断して、
先発演出の中断以降に実行予定であった態様とは異なる態様である微動作(動作位置側に揺れる動きと初期位置側に揺れる動きとを繰り返す微振動)を
後の入賞に対応する演出動作(後の実行条件の成立に対応した演出(先発演出とは態様が異なる後発演出))として実行し、所定時間が経過した後で微動作を終了して、中断していた演出動作を再開する。また、
図70に示す設定では、回動役物部材587が先の入賞に対応する演出動作
(先の実行条件の成立に対応した演出(先発演出))を実行している最中に、後の入賞が発生すると、回動役物部材587が後の入賞の発生時に居る場所で演出動作
(実行中の先発演出)を中断して停止し
(言い換えると、先発演出を中断した態様から引き続き後の入賞に対応する演出動作(後の実行条件の成立に対応した演出(先発演出とは態様が異なる後発演出))を停止の態様(すなわち、先発演出の中断以降に実行予定であった態様とは異なる態様)で実行し)、所定時間が経過した後で初期位置に戻る。
【0157】
このように、遊技球の入賞(演出実行条件)が回動役物部材(演出手段)587の動作周期(演出周期)Tmよりも短期間内に連続して発生(成立)した場合には、後に成立した入賞(実行条件)に対応した演出(後発演出)として、先に成立した入賞(実行条件)に対応した演出(先発演出)における演出態様とは異なる特定演出態様で回動役物部材(演出手段)587が演出を実行可能であり、後に成立した入賞(実行条件)に対応した演出表示(後の実行条件の成立に対応した演出表示)として、先に成立した入賞(実行条件)に対応した演出表示(先の実行条件の成立に対応した演出表示)と同じ演出表示や異なる演出表示(特定態様表示)を表示装置542が表示可能であれば、遊技者が回動役物部材587の演出動作や表示装置542の演出表示を違和感なく楽しみ易くなり、遊技の興趣の減衰を抑えることができる。ここで、上記した回動役物部材587の特定演出態様とは、演出動作非実行とする態様も含み、上記した表示装置542の特定態様表示とは、演出表示非実行とする態様も含む。
【0158】
なお、回動役物部材587においては、初期位置および動作位置の2箇所の停止位置を設定したが、他の停止位置を追加して設定してもよい。例えば、初期位置と動作位置との間に中間位置を設定し(言い換えると、回動役物部材587の配置可能位置を初期位置、中間位置、動作位置の3段階に設定し)、遊技球の連続入賞数に応じて回動役物部材587が中間位置に停止したり、動作位置に停止したりするように設定してもよい。
【0159】
初期位置、中間位置、動作位置の3箇所を停止位置に設定した回動役物部材587の演出動作を例示すると、
図71および
図72に示すタイミングチャートでは、回動役物部材587が先の入賞に対応する演出動作
(先発演出)を実行し、初期位置から中間位置へ移動している最中に後の入賞が発生した場合の動作態様を示している。
図71においては、後の入賞が発生すると、中間位置に未到達の回動役物部材587が中間位置には移動せずに初期位置へ戻り
(言い換えると、実行中の先発演出を中止し)、戻った初期位置から後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、中間位置、動作位置、中間位置、初期位置の順で移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。また、
図72においては、後の入賞が発生すると、中間位置に未到達の回動役物部材587が中間位置まで一旦移動して一時停止し
(言い換えると、実行中の先発演出を中止し)、その後、一時停止を解除したならば後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、動作位置、中間位置、初期位置の順で移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。
【0160】
図73および
図74に示すタイミングチャートでは、回動役物部材587が先の入賞に対応する演出動作
(先発演出)を実行し、初期位置から中間位置を通過して動作位置へ移動している最中に後の入賞が発生した場合の動作態様を示している。
図73においては、後の入賞が発生すると、動作位置に未到達の回動役物部材587が動作位置には移動せずに
(言い換えると、実行中の先発演出を中止して)中間位置へ戻り、戻った中間位置から後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、動作位置、中間位置、初期位置の順で移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。また、
図74においては、後の入賞が発生すると、動作位置に未到達の回動役物部材587が動作位置まで一旦移動して一時停止し
(言い換えると、実行中の先発演出を中止し)、その後、一時停止を解除したならば後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、中間位置、初期位置の順で移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。
【0161】
図75および
図76に示すタイミングチャートでは、回動役物部材587が先の入賞に対応する演出動作
(先発演出)を実行し、初期位置から中間位置を通過して動作位置に到達し、動作位置から中間位置へ戻っている最中に後の入賞が発生した場合の動作態様を示している。
図75においては、後の入賞が発生すると、中間位置に未到達の回動役物部材587が中間位置には移動せずに
(言い換えると、実行中の先発演出を中止して)動作位置に戻り、戻った動作位置から後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、中間位置、初期位置の順で移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。また、
図76においては、後の入賞が発生すると、中間位置に未到達の回動役物部材587が中間位置まで一旦移動して一時停止し
(言い換えると、実行中の先発演出を中止し)、その後、一時停止を解除したならば後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、初期位置へ移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。
【0162】
図77および
図78に示すタイミングチャートでは、回動役物部材587が先の入賞に対応する演出動作
(先発演出)を実行し、初期位置から中間位置を通過して動作位置に到達し、動作位置から中間位置を通過して初期位置へ戻っている最中に後の入賞が発生した場合の動作態様を示している。
図77においては、後の入賞が発生すると、初期位置に未到達の回動役物部材587が初期位置には移動せずに
(言い換えると、実行中の先発演出を中止して)中間位置に戻り、戻った中間位置から後の入賞に対応する演出動作
(先発演出とは態様が異なる後発演出)を実行して、初期位置へ移動する
(言い換えると、先発演出を中止した態様から引き続き後発演出を先発演出の中止以降に実行予定であった態様とは異なる態様で実行する)。また、
図78においては、後の入賞が発生すると、初期位置に未到達の回動役物部材587が初期位置まで一旦移動し(言い換えると、先の入賞に対応する演出動作を完了し)、その後、後の入賞に対応する演出動作
(後発演出)として微動作(動作位置側に揺れる動きと初期位置側に揺れる動きとを繰り返す微振動)を実行する。なお、初期位置に移動した後には微動作の実行を行わない(言い換えると、後の入賞に対応する演出動作を実行しない)ように設定してもよいが、後の入賞に対応する演出動作を実行するように設定すれば、遊技者が入賞の把握をし易い。
【0163】
次に、大当り状態(大当り遊技)のインターバル中(前回のラウンド遊技の終了から次回のラウンド遊技の開始までの間)に遊技球入賞(オーバー入賞)が2回連続して検出された場合の演出の設定について、タイミングチャートを例示して説明する。なお、第2大入賞部523におけるオーバー入賞は、ラウンド遊技の終了に伴う第2大入賞開閉扉626の閉成直前に遊技球が第2大入賞開口625を通過した場合(
図44参照)、この遊技球(言い換えると、ラウンド遊技が終了した後でも残存している残存球)がカウントスイッチ629に検出されることで発生する。また、オーバー入賞に伴う演出としては、回動役物部材587の演出動作、スピーカー(音出力手段)686,687からの演出音の出力、装飾装置(光出力手段)690,691からの演出光の出力(発光)が実行され得るものとする(
図50参照)。
【0164】
図79に示す設定では、各オーバー入賞に対応して演出音の出力および演出光の出力をそれぞれ実行するが、回動役物部材587の演出動作は実行しない。
図80に示す設定では、先のオーバー入賞に対応して演出音の出力および演出光の出力をそれぞれ実行するが、回動役物部材587の演出動作は実行しない。また、後のオーバー入賞に対応する演出については、いずれの演出(回動役物部材587の演出動作、演出音の出力、演出光の出力)も実行しない。
【0165】
図81に示す設定では、各オーバー入賞に対応して回動役物部材587の演出動作、演出音および演出光の出力をそれぞれ実行する。なお、回動役物部材587においては、オーバー入賞の発生間隔が回動役物部材587の動作周期よりも短いため、回動役物部材587が先のオーバー入賞に対応する演出動作を実行している最中に、後のオーバー入賞が発生する。そこで、後のオーバー入賞が発生したタイミングで回動役物部材587が演出動作(先のオーバー入賞に対応する演出動作)を中断して僅かに停止し、この停止位置から後のオーバー入賞に対応する演出動作を実行する。
図82に示す設定では、先のオーバー入賞に対応して回動役物部材587の演出動作、演出音の出力、演出光の出力をそれぞれ実行するが、後のオーバー入賞に対応する演出については、いずれの演出(回動役物部材587の演出動作、演出音の出力、演出光の出力)も実行しない。
【0166】
このようにして、オーバー入賞に対しても遊技演出を実行するように設定すれば、インターバル中であっても遊技者に遊技演出を見せて楽しませることができ、遊技の興趣を高めることができる。なお、
図83に示すように、インターバル中に回動役物部材587の演出動作を実行する設定においては、回動役物部材587の演出動作が終了する前に次回のラウンド遊技の開始タイミングが到来する虞がある場合には、インターバルの終了タイミング(言い換えると、次回のラウンド遊技の開始タイミング)を遅延して、回動役物部材587の演出動作と次回のラウンド遊技とが重なって進行することを回避してもよい。このような回避を行えば、ラウンド遊技が開始したにも拘らずインターバル中の演出が行われること、ひいては遊技者がラウンド遊技の開始を認識し難くなって遊技の興趣が損なわれる不都合を避けることができる。
【0167】
なお、インターバルの終了タイミング(次回のラウンド遊技の開始タイミング)については、予め回動役物部材587の演出周期を考慮して設定しておいてもよい。具体的には、残存球検出可能期間(ラウンド遊技終了後でも残存している残存球をカウントスイッチ629が検出可能とする期間)の終期から次回のラウンド遊技の開始タイミングまでの時間を、回動役物部材587の演出周期よりも長く設定してもよい。このような時間設定を行えば、次回のラウンド遊技の開始タイミングが到来する前に回動役物部材587が初期位置に戻ることができ、次回のラウンド遊技の開始時点で回動役物部材587の演出動作のスタンバイができるようになる。
【0168】
また、これらの演出の設定は、大当り状態のインターバル中に検出されたオーバー入賞に対応した演出に限らず、大当り状態のエンディング演出(最終ラウンドの終了後に行うエンディング演出)時に検出されたオーバー入賞に対応した演出に適用してもよい。なお、
図83に示した演出の設定、すなわち、終了タイミングを遅延する設定をインターバルやエンディングに適用して大当り時間(大当り状態の開始から終了までの時間(出玉判定時間))を延長すれば、大当り状態における単位時間当たりの出玉数の数値を調整することができる。さらには、遊技者がエンディング演出を十分にせて楽しんだり、エンディング中に表示されるリザルト画面(大当り状態における遊技結果情報)を見逃さずに確認したりする時間を十分に確保し易い。また、大当り状態における単位時間当たりの出玉数の数値を調整する手段としては、大当り状態のエンディングで遊技結果(大当り状態での遊技結果)の表示を実行する等して、エンディングに費やす時間を長引かせて調整することも挙げられる。
【0169】
次に、遊技球入賞時の演出音および演出光の出力設定について説明する。
一般的なパチンコ遊技機においては、遊技中にスピーカー(例えば、
図50に示すスピーカー686,687)からBGM(遊技進行時の通常演出音)を流したり、装飾装置(例えば、
図50に示す装飾装置690,691)から装飾光を出力したりして遊技の興趣を高めているものがある。さらに、遊技球の入賞口への入賞時には、この入賞に対応して演出音や演出光を出力しているものがある。そこで、入賞に対応した演出音や演出光の出力態様に工夫を施してもよい。以下、演出音や演出光の出力態様の実施例をタイミングチャートに基づいて説明する。
【0170】
図84に示すタイミングチャートでは、カウントスイッチ629が遊技球を検出したこと(言い換えると、第2大入賞部523に遊技球が入賞したこと)に基づいて、スピーカー686,687から入賞演出音を出力し、装飾装置690,691から入賞演出光を出力する。このとき、入賞演出音の出力量(音量)をBGM(遊技進行時にスピーカー686,687から出力されている通常演出音)よりも大きく設定し、入賞演出光の出力量(光量)を通常装飾光(遊技進行時に装飾装置690,691から出力されている通常発光)よりも大きく設定する。このような出力量の設定を施せば、遊技球の入賞に伴う演出を際立たせることができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
【0171】
図85に示すタイミングチャートでは、カウントスイッチ629が遊技球を検出したこと(言い換えると、第2大入賞部523に遊技球が入賞したこと)に基づいて、スピーカー686,687から入賞演出音をBGMよりも大きな出力量で出力し、装飾装置690,691から入賞演出光を通常装飾光よりも大きな出力量で出力する。さらに、入賞演出音に重なるBGMの出力量(音量)を通常よりも入賞演出音の出力量(音量)との差dsの分だけ小さく設定して、入賞演出音とBGMとの出力量の和がBGMのみ実行中の出力量と同じになるように調整する。また、入賞演出光に重なる通常装飾光の出力量(光量)を通常よりも入賞演出光の出力量(光量)との差dlの分だけ小さく設定して、入賞演出光と通常装飾光との出力量の和が通常装飾光のみ実行中の出力量と同じになるように調整する。このような出力量の設定を施せば、遊技球の入賞時に遊技者が演出音をうるさく感じたり演出光を眩しく感じたりし難くなり、遊技の興趣が減衰することを抑えることができる。
【0172】
そして、遊技球の入賞がオーバー入賞である場合(すなわち、遊技球の入賞が大当り状態のインターバル中やエンディング演出時に発生した場合)には、このオーバー入賞に伴う音や光の演出の態様をラウンド遊技中の入賞に伴う音や光の演出の態様とは異ならせてもよい。例えば、
図86に示すタイミングチャートでは、オーバー入賞時における入賞演出音の出力量をラウンド遊技中の入賞時における入賞演出音の出力量よりも大きく設定し、オーバー入賞時における入賞演出光の出力量をラウンド遊技中の入賞時における入賞演出光の出力量よりも大きく設定している。また、
図87に示すタイミングチャートでは、オーバー入賞時における入賞演出音の出力量をラウンド遊技中の入賞時における入賞演出音の出力量よりも小さく設定し、オーバー入賞時における入賞演出光の出力量をラウンド遊技中の入賞時における入賞演出光の出力量よりも小さく設定している。これらのようにして、入賞演出音や入賞演出光の実行態様を遊技球が入賞した場面に応じて異ならせれば、遊技者が入賞演出音を聴いたり入賞演出光を見たりして遊技状態を容易に把握することができる。
【0173】
なお、
図88に示すタイミングチャートのように、遊技球の入賞のタイミングがラウンド遊技中であるか否かに拘らず、入賞演出音に重なるBGMの出力量(音量)を通常よりも入賞演出音の出力量(音量)との差dsの分だけ小さく設定して、入賞演出音とBGMとの出力量の和がBGMのみ実行中の出力量と同じになるように調整してもよい。また、入賞演出光に重なる通常装飾光の出力量(光量)を通常よりも入賞演出光の出力量(光量)との差dlの分だけ小さく設定して、入賞演出光と通常装飾光との出力量の和が通常装飾光のみ実行中の出力量と同じになるように調整してもよい。このような出力量の設定を施せば、遊技者が入賞演出音を聴いたり入賞演出光を見たりして遊技状態を容易に把握することができる上に、遊技状態を把握しようとする場面で音や光を不快に感じ難い。さらに、
図65~
図83において説明した実施形態においても、
図84~
図88のような演出音や演出光の出力態様の演出を任意に組み合わせて実行してもよい。また、
図1~
図64において説明した実施形態に、
図65~
図88において説明した態様の演出を任意に組み合わせて実行してもよい。
【0174】
ところで、上記説明では、大当り状態においてオーバー入賞が発生したときの演出態様を例として挙げたが、大当り状態であることに限定されない。例えば、大当り状態とは別個に特図変動ゲームの結果として発生し得る小当り状態や、特図変動ゲームが連続実行されて小当りが連続して発生する小当りラッシュ状態において、オーバー入賞が発生したときに上記のような演出態様を適用してもよい。また、遊技球の第2大入賞部523への入賞(遊技球のカウントスイッチ629による検出)を本発明の演出実行条件の一例として挙げたが、本発明はこれに限定されない。要は、可動演出手段、発光手段、音出力手段等の演出手段が演出動作を実行するための条件として設定されていれば、演出実行条件の内容は問わない。例えば、演出実行条件として、第2大入賞部523とは別個の入賞口に遊技球が入賞したことを設定してもよいし、あるいは、遊技者による遊技演出ボタンの操作を設定してもよい。
【0175】
さらに、演出手段の一種である可動演出手段として回動役物部材587を例示し、演出手段の一種である表示手段として表示装置542を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、演出手段として移動や回動等の演出動作を行ったり、演出表示を行ったりすることが可能であれば、どのような構成の可動演出手段や表示手段を採用してもよい。
【0176】
そして、上記実施形態毎や変形例毎に構成を異ならせて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一の実施形態や一の変形例の構成内容の全部または一部を、他の実施形態や他の変形例に適用してパチンコ遊技機を構成してもよい。そして、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らずどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機、スロットマシン等の遊技機であってもよい。
【0177】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0178】
1 パチンコ遊技機
5 遊技領域
6 遊技盤
23 センターケース
54 制御ユニット
55 表示装置
58 遊技制御装置
59 演出制御装置
90 球流路ユニット
101 入賞球回収樋
102 回収樋収容ケース
103 流路ユニット発光基板
103a 発光体
103b 配線コネクタ
104 基板カバー
104a コネクタ露出開口
108 中継基板
108a 配線コネクタ
109 配線
111 結束バンド
113 配線係合部
114 係合支持部
115 係合本体部
116 係合挿通穴
118 係合移動規制部
130 ユニットケース
131 上側役物ユニット
133 下側役物ユニット
135 発光装飾ユニット
141 下側ユニットケース
141a 下側ユニットカバー
141b 下側ユニットベース
142 下側回動役物
143 下側回動モータ
144 役物回動伝達機構
145 役物ユニット中継基板
145a 中継側配線コネクタ
148 コネクタ露出開口
151 回動役物ベース
152 回動役物発光基板
152a 発光体
152b 役物側配線コネクタ
153 回動役物装飾パネル
155 役物軸受部
156 役物ギア
165 発光接続配線
167 係合軸部
168 役物側配線係合部
171 結束バンド
175 係合アーム
176 係合軸受
184 係合支持部
185 係合本体部
186 係合挿通穴
188 係合移動規制部
191 結束バンド
193 カバー側配線係合部
194 係合支持部
195 係合本体部
196 係合挿通穴
197 カバー貫通穴
198 係合移動規制部
301 遊技盤
313 下側役物ユニット
320 下側ユニット本体部
325 下側ユニットケース
327 下側回動役物
341 回動役物ベース
343 役物ギア部
350 回動パネル
356 回動役物発光基板
356a 発光体
356b 配線コネクタ
365 中継基板
365a 配線コネクタ
366 発光接続配線
372 パネル側配線係合部
375 結束バンド
381 係合支持部
382 係合本体部
383 係合挿通穴
384 パネル貫通穴
386 係合移動規制部
387 係合案内部
501 遊技盤
504 遊技領域
505 センターケース
506 第1ケース球流下路
507 第2ケース球流下路
516 第1大入賞口
521 第1始動入賞口
523 第2大入賞部
524 第2始動入賞部
525 変動入賞ユニット
537 アウト口
542 表示装置
542a 表示部
553 鎧部
556 第1球侵入阻止壁
557 第2球侵入阻止壁
559 阻止壁装飾部材
560 保留表示部
567 仕切り部材
568 後部区画壁
571 ステージ部
576 発光報知部
580 ユニットケース
581 上部役物ユニット
582 側部役物ユニット
583 側部装飾ユニット
584 下部役物ユニット
586 上側昇降役物部材
586a 上側昇降発光パネル
586b 上側スライドパネル
586c 下側スライドパネル
587 回動役物部材
589 下側昇降役物部材
596 ベース発光基板
596a 発光体
601 側部装飾部材
601a 発光装飾部
601b 流下路重合部
602 側部発光基板
602a 発光体
605 発光基板
605a 発光体
617 大入賞側入口
618 球通過路
625 第2大入賞開口
626 第2大入賞開閉扉
628 第2大入賞球流下路
640 第2始動入賞流路
641 球抜き開口
642 球抜き開閉扉
643 球抜き開閉ソレノイド
644 球抜き流路
653 球移動規制突起
653a 球誘導面
657 通過減衰突条
658 通過減衰突起
662 球抜き減衰突条
663 球抜き減衰突起