(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】廃棄物収集装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/40 20230101AFI20230417BHJP
【FI】
C02F1/40 B
(21)【出願番号】P 2019552314
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(86)【国際出願番号】 AU2017051339
(87)【国際公開番号】W WO2018102869
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519206690
【氏名又は名称】シービン ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】セグリンスキー,ピーター
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04325150(US,A)
【文献】特開平06-026028(JP,A)
【文献】米国特許第05472597(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/40
B63B 1/00-85/00
B63J 1/00-99/00
E04H 3/00- 4/16
E02B 15/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口を有し、前記上端が水面付近となるように水域に対して取り付けられる入れ物と、
スライド運動のために前記開口内に取り付けられる管状部材と、
前記入れ物内から外方に水を圧送するためのポンプと、
前記管状部材を通過する水から固体の廃棄物を取り出すための前記管状部材内のバスケットとを備える廃棄物収集装置であって、
前記管状部材は、円筒状内壁及び円筒状外壁を備え、前記内壁の上端が、前記外壁の上端に隣接して配置され前記外壁の前記上端に接続され、前記内壁の下端が、前記外壁の下端に隣接して配置され前記外壁の前記下端に接続されており、それによって、接続された前記内壁及び前記外壁が、前記管状部材に浮力をもたらす閉じた環状隔室を画定するようになって
おり、
前記管状部材の前記内壁には、前記内壁の内面において長手方向に下側に延びる複数のリブが設けられており、前記リブは、前記バスケットが塞がれた場合に、いくらかの水が通って流れ得るような複数の細長い流路を画定している、
廃棄物収集装置。
【請求項2】
前記管状部材は、前記管状部材の長手方向中央軸線が前記入れ物の長手方向中央軸線と同軸となるように、前記入れ物の前記上端にある前記開口内に受け入れられるように寸法決定されている、請求項1に記載の廃棄物収集装置。
【請求項3】
前記管状部材の外面は、シールが形成され、水が前記管状部材を通過して前記入れ物に進入し得るように、前記開口の内面と係合している、請求項1又は2に記載の廃棄物収集装置。
【請求項4】
前記管状部材は、前記管状部材が最高位置にあるときにリムが前記開口の縁部と係合するように、前記管状部材の下端において前記管状部材の周縁から外方に延びる前記リムを含む、請求項3に記載の廃棄物収集装置。
【請求項5】
前記入れ物は、円筒状側壁及び下壁を備え、前記開口を含む上部カバーが、前記入れ物の前記側壁の上端に固定可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の廃棄物収集装置。
【請求項6】
前記上部カバーは、前記開口が円形であり前記上部カバーの中央に配置されるような環状の形状である、請求項5に記載の廃棄物収集装置。
【請求項7】
前記リブは、前記管状部材の前記内壁の前記上端の付近から下方に延びている、請求項
1に記載の廃棄物収集装置。
【請求項8】
前記リブは、前記内壁の前記内面に沿って等しい角度間隔で設けられている、請求項
7に記載の廃棄物収集装置。
【請求項9】
前記入れ物は、前記円筒状側壁の下端が上端の直径よりも小さいような先細の円筒状側壁を含む、請求項5又は6に記載の廃棄物収集装置。
【請求項10】
前記入れ物の前記側壁に隣接して垂直に延びる長尺部材と、前記長尺部材の下端から延びて前記入れ物の前記底壁の下面に接続する相互接続部分とを備える取付枠が設けられている、請求項1~
9のいずれか一項に記載の廃棄物収集装置。
【請求項11】
前記長尺部材及び前記相互接続部分は、U字状断面を有する、請求項
10に記載の廃棄物収集装置。
【請求項12】
前記長尺部材は、固定レールに対するスライド運動のために取り付けられている、請求項
10又は
11に記載の廃棄物収集装置。
【請求項13】
フロートが前記取付枠に接続されおり、前記フロートは、水面に対する前記入れ物の垂直位置を調節するためにバラストを充填できる中空容器を備える、請求項
10~
12のいずれか一項に記載の廃棄物収集装置。
【請求項14】
前記容器は、前記入れ物に隣接する弧状の前面と、前記長尺部材及び前記固定レールが内部に受け入れられるような通路を有する平坦な後面とを含む、請求項
12に記載の廃棄物収集装置。
【請求項15】
前記容器は、内方に先細る側面と、平坦な水平上面及び下面とを含む、請求項
14に記載の廃棄物収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水域から廃棄物を収集するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
湖、川及び海へと流れ込む廃棄物の量が、大きな環境問題となっている。本発明は、適切な処理のために浮遊廃棄物を収集するように、そのような水域内に展開される装置に関する。
【0003】
出願人の先のスペイン国特許第201330495号において提案された装置は、水域の表面付近に配置されるように考案されたごみ収集装置を備える。本装置は、内部バスケットに取り込まれる水を入れ物の上部に引き込むように作動する。水は、内部ポンプによって入れ物の外に圧送され、それによって水位を下げ、バスケットを落下させ、水の流入を可能にする。水位が上がると、バスケットは再び上方に移動する。説明された装置は、相当効率的に機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】スペイン国特許出願公開第201330495号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、性能が向上したごみ収集装置を提供することを目的とする。本発明は、装置を通る水の流れをより一定に維持すること、またバスケット内の大量の負荷に対処することに関する改良を目的とした特徴を有する廃棄物収集装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、上端に開口を有し、上端が水面付近となるように水域に対して取り付けられる入れ物と、
スライド運動のために開口内に取り付けられる管状部材と、
入れ物内から外方に水を圧送するためのポンプと、
管状部材を通過する水から廃棄物を取り出すための管状部材内のバスケットとを備える廃棄物収集装置であって、
管状部材は、管状部材に浮力をもたらす環状隔室を画定するために、管状部材の上端及び下端に接続された円筒状内壁及び円筒状外壁を備える、廃棄物収集装置が提供される。
【0007】
管状部材は、管状部材の長手方向中央軸線が入れ物の長手方向中央軸線と同軸となるように、入れ物の上端にある開口内に受け入れられるように寸法決定されていることが好ましい。
【0008】
管状部材の外面は、シールが形成され、水が管状部材を通過して入れ物に進入し得るように、開口の内面と係合していることが好ましい。
【0009】
好適な実施形態において、管状部材は、管状部材が最高位置にあるときにリムが開口の縁部と係合するように、管状部材の下端において管状部材の周縁から外方に延びるリムを含む。
【0010】
入れ物は、円筒状側壁及び下壁を備え、開口を含む上部カバーが、入れ物の側壁の上端に固定可能であることが好ましい。
【0011】
好適な実施形態において、上部カバーは、開口が円形であり上部カバーの中央に配置されるような環状の形状である。
【0012】
管状部材の内壁には、内壁の内面において長手方向に下側に延びる複数のリブが設けられており、リブは、バスケットが塞がれた場合に、いくらかの水が通って流れ得るような複数の細長い流路を画定していることが好ましい。
【0013】
リブは、管状部材の内壁の上端の付近から下方に延びていることが好ましい。
【0014】
一実施形態において、リブは、内壁の内面に沿って等しい角度間隔で設けられている。
【0015】
一実施形態において、入れ物は、円筒状側壁の下端が上端の直径よりも小さいような先細の円筒状側壁を含む。
【0016】
入れ物の側壁に隣接して垂直に延びる長尺部材と、長尺部材の下端から延びて入れ物の底壁の下面に接続する相互接続部分とを備える取付枠が設けられていることが好ましい。
【0017】
一実施形態において、長尺部材及び相互接続部分は、U字状断面を有する。
【0018】
一実施形態において、長尺部材は、固定レールに対するスライド運動のために取り付けられている。
【0019】
更なる実施形態において、フロートが取付枠に接続されており、フロートは、水面に対する入れ物の垂直位置を調節するためにバラストを充填できる中空容器を備える。
【0020】
一実施形態において、容器は、入れ物に隣接する弧状の前面と、長尺部材及びレールが内部に受け入れられるような通路を有する平坦な後面とを含む。
【0021】
一実施形態において、容器は、内方に先細る側面と、平坦な水平上面及び下面とを含む。
【0022】
本発明は、例として以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による廃棄物収集装置の上面斜視図である。
【
図5】本発明による廃棄物収集装置の第2の実施形態の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図を参照すると、水域の表面付近から廃棄物を取り込むために設けられた入れ物12を備える廃棄物収集装置10が示されている。
【0025】
図示の実施形態の入れ物12は、円筒状側壁14及び円形底壁16を備えるような円筒状である。図示の実施形態の円筒状側壁14は、その下端が上端よりも小さな直径となるように先細っている。
【0026】
入れ物12には、入れ物12の上端が水面付近となるように入れ物12が水域内の場所に固定され得るように、取付枠18が設けられる。
図1~
図4の実施形態は、取付枠18が浮きドックに固定され、ドックが移動するときに廃棄物収集装置10が水面に対して固定された位置に留まるように、浮きドックに固定するのに適し得る。
【0027】
取付枠18は、入れ物12の側壁14の垂直面に隣接して垂直に延びる長尺部材20を備える。取付枠18は、長尺部材20の下端から延びて入れ物12の底壁16の下面と接続する相互接続部分22も含む。長尺部材20は使用中、廃棄物収集装置10が取り付けられる物体に固定される。図示の実施形態の長尺部材20及び相互接続部分22は、U字状断面を有する長尺部材を備える。
【0028】
廃棄物収集装置10は、水が通って入れ物12から圧送され得る出口(不図示)を含む。出口は、入れ物12の底壁16に開口を備える。廃棄物収集装置10は、ポンプが作動して入れ物12内から水を汲み出すように出口と接続されたポンプ(不図示)を含む。ポンプは、外部に配置され、導管を介して出口に接続され得る。代わりに、ポンプは、出口を通って水を圧送するために入れ物12内又はその付近に設けられ得る。
【0029】
入れ物12は、その上端に開口24を画定する。入れ物12は、その側壁14の上端に固定できる上部カバー26を含む。上部カバー26は、円筒状入れ物12の開放した上端を横切って係合するように設けられ、開口24を含む。図示の実施形態において、上部カバー26は、開口24が上部カバー26の中央に配置された円形開口となるような環状の形状である。
【0030】
廃棄物収集装置10は管状部材28も含む。管状部材28は、管状部材28の長手方向中央軸線が入れ物12の長手方向中央軸線と同軸となるように、入れ物12の上端にある開口24内に受け入れられるように寸法決定される。管状部材28は、管状部材28が入れ物12に対して上方又は下方に摺動し得るように配置される。管状部材28の外面は、シールが形成され、水が管状部材28を通過して入れ物12に進入し得るように、開口24の内面と係合する。
【0031】
管状部材28は、その下端にリム30を含む。リム30は、管状部材28の下端において、その周縁から外方に延びる。リム30は、管状部材28が最高位置にあるときに、環状カバー26の開口24の周縁と係合するように設けられる。
【0032】
管状部材28は、円筒状内壁32及び円筒状外壁34を備える。内壁32及び外壁34は、同軸であり、内壁32及び外壁34が管状部材28内に環状隔室36を画定するように、それらの上端及び下端において接続される。環状隔室36は、管状部材28に浮力をもたらし、空にされたり、発泡体などの浮力材を充填されたりし得る。
【0033】
管状部材28には、バスケット(不図示)が設けられる。バスケットは、管状部材28の開放した上端に隣接して固定される上端を有する。バスケットは、管状部材28の内側にぶら下がり、水が管状部材28を通って下方に流れるときに、バスケット28が水中の廃棄材料を取り込み、廃棄材料をバスケット28内に保つような網状材料を備える。
【0034】
バスケット28は、固い網状枠又は可撓性網状袋を備え得る。好適な一実施形態において、バスケットは麻布袋を備える。麻布袋は、袋の壁が水の通過を可能にし、袋の繊維が小さな廃棄物粒子を収集することによって取り除くように機能するので、好適なろ過媒体を形成することが注目されている。
【0035】
管状部材28の内壁32には、複数のリブ38が設けられる。リブ38は、管状部材28の上端付近の場所から内壁32の内面に長手方向下向きに延びる。内壁32及び外壁34は、プラスチック材料により形成され得る。リブ38は、内壁32と一体に形成され得る。図示の実施形態において、リブ38は、内壁32の内面に沿って等しい角度間隔で設けられる。
【0036】
リブ38は、また複数の細長い流路39を画定し、各流路39は、一対の隣り合うリブ38の間に画定される。リブ38によって画定された流路39は、バスケットが収集された廃棄物によって塞がれた場合に、いくらかの水がバスケットに沿って流れることを可能にする。それによって、流路39は、ポンプが液上がり状態で作動したり、ポンプの吸入によって廃棄物収集装置10に損傷が生じたりする可能性を下げる。
【0037】
使用中、廃棄物収集装置10は、入れ物12の上端が水面の付近及び直下となるように、水域内に配置される。入れ物12の内部が空になると、管状部材28は、その上端が水面付近となるまで下方に落下する。水は、管状部材28を通って下方に流れ、入れ物12に入る。入れ物12内の水位が上がると、管状部材28は、上方に移動することによって、入れ物12への水の流れを制限する。ポンプが入れ物12内から水を汲み出すと、管状部材28を通って流入する水の体積が、圧送される水とバランスする。
【0038】
管状部材28の浮力性及び入れ物12内でのその配置により、波(船からの余波など)が管状部材28への水の突然の流入を生じさせると、管状部材28は、水中から上昇して内方への水流を更に制限する。
【0039】
図1~
図4の廃棄物収集装置10は、浮遊物体に接続される場所ではなく、水域の底に定着される場所で利用され得る。この場合、取付枠18は省略される。
【0040】
図5~
図8は、本発明による廃棄物収集装置10の第2の実施形態を示す。
図5~
図8の廃棄物収集装置10は、第1の実施形態と同様であり、同じ参照数字が、同じ部分を示すために使用される。
【0041】
図5~
図8の廃棄物収集装置10は、固定ドック又は鉄塔などの固定場所に取り付けられるために提供される。長尺部材20は、レール40に対するスライド運動のために取り付けられる。レール40は、固定場所に垂直に取り付けられ、長尺部材20の通路内に受け入れられる。複数のローラが、長尺部材20がレール40に対して垂直に摺動し得るように設けられる。したがって、廃棄物収集装置10は、物体に対して水の上面の位置が変化すると、上方又は下方に移動し得る。
【0042】
廃棄物収集装置10には、フロート42も設けられる。フロート42は、取付枠に取り付けられた中空容器を備える。図示の実施形態において、容器43は、入れ物12に隣接する弧状の前面44と、入れ物12から離れて配置された平坦な後面45と、内方に先細る側面46及び47と、平坦な水平上面48及び下面49とを含む。後面45は、長尺部材20及びレール40が通路50内に受け入れられるように、内部に垂直に延びる通路50を含む。
【0043】
フロート42には、フロート42の浮力を変化させるためにバラストを充填することができる。使用中、廃棄物収集装置10は、レール40に装着され、フロート42は、入れ物12の垂直位置を水面に対して適当な位置に調節するために、あるレベルまで充填される。廃棄物収集装置10は、前述されたように機能する。
【0044】
既に説明されたものに加えて、本発明の基本的な発明概念から逸脱せずに、前述の実施形態に対して各種の変更及び改良が行われ得ることは、当業者にとって容易に理解されるであろう。