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特許7262778バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置
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  • 特許-バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/16 20060101AFI20230417BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
F16K7/16 D
F16K27/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019557124
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2018041944
(87)【国際公開番号】W WO2019107139
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2017230435
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186750
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】執行 耕平
(72)【発明者】
【氏名】相川 献治
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-014415(JP,A)
【文献】実開平05-050254(JP,U)
【文献】特開2007-078006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/16
F16K 1/42; 1/52
F16K 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック状のバルブボディを有するバルブ装置であって、
前記バルブボディは、当該バルブボディの表面で開口しかつバルブ要素が内蔵される収容凹部と、前記収容凹部の底面に接続された一次側流路および前記収容凹部の側面に接続された二次側流路と、を画定し、
前記バルブ要素は、前記一次側流路と前記二次側流路との前記収容凹部を通じた直接的な連通を遮断するシール部と、当該バルブ要素を通じて前記一次側流路と前記二次側流路とを連通させる迂回流路と、当該迂回流路と前記収容凹部を介して前記二次側流路とを連通させるブリード孔と、を有し、
前記バルブ要素は、
一端面に形成された環状の座面と、他端面に形成された環状のシール面と、前記座面および前記シール面の内側に形成され前記一端面および前記他端面を貫通する流通流路とを有するバルブシートと、
前記バルブシートのシール面が当接し当該シール面からの押圧力を支持する環状の支持面を有するバルブシートサポートと、
前記バルブシートサポートに支持された前記座面に当接および離隔可能に設けられたダイヤフラムと、を有し、
前記バルブシートサポートは、中心部に貫通孔を有する円柱状部材からなり、前記貫通孔が前記一次側流路と前記流通流路とを接続する前記迂回流路であり、前記収容凹部の内壁面の一部と協働して前記一次側流路と前記二次側流路との連通を遮断するシール面を有し、
前記ブリード孔は、前記バルブシートサポートに迂回流路に直交する方向に形成されている、バルブ装置。
【請求項2】
ブロック状のバルブボディを有するバルブ装置であって、
前記バルブボディは、第1および第2のバルブ要素がそれぞれ内蔵される第1および第2の収容凹部と、前記第1および第2の収容凹部の底面に接続され前記第1および第2の収容凹部をそれぞれ前記バルブボディの外部へ連通させる一次側流路と、前記第1および第2の収容凹部の側面に接続され前記第1および第2の収容凹部をそれぞれ前記バルブボディの外部へ連通させる二次側流路と、前記第1および第2の収容凹部の側面を接続して前記二次側流路の各々を互いに連通させる連通流路とを画定し、
前記第1および第2のバルブ要素の各々は、前記一次側流路と前記二次側流路と前記連通流路との前記第1および第2の収容凹部を通じた直接的な連通を遮断するシール部と、当該バルブ要素を通じて前記一次側流路と前記二次側流路と前記連通流路とを連通させる迂回流路と、を有し、
前記第1および第2のバルブ要素の一方は、前記第1および第2の収容凹部の一方を介して前記迂回流路と前記二次側流路とを連通させるブリード孔を有し、
前記第1および第2のバルブ要素の各々は、
一端面に形成された環状の座面と、他端面に形成された環状のシール面と、前記座面および前記シール面の内側に形成され前記一端面および前記他端面を貫通する流通流路とを有するバルブシートと、
前記バルブシートのシール面が当接し当該シール面からの押圧力を支持する環状の支持面を有するバルブシートサポートと、
前記バルブシートサポートに支持された前記座面に当接および離隔可能に設けられたダイヤフラムと、を有し、
前記ダイヤフラムは、当該ダイヤフラムと前記座面との間隙を通じて、前記流通流路と前記二次側流路および前記連通流路とを連通させ、
前記バルブシートサポートは、中心部に貫通孔を有する円柱状部材からなり、前記貫通孔が前記一次側流路と前記流通流路とを接続する前記迂回流路であり、前記第1および第2の収容凹部の内壁面の一部と協働して前記一次側流路と前記二次側流路および前記連通流路との連通を遮断するシール面を有し、
前記ブリード孔は、前記第1および第2のバルブ要素の一方のバルブシートサポートに前記迂回流路に直交する方向に形成されている、バルブ装置。
【請求項3】
複数の流体機器が配列された流体制御装置であって、
前記複数の流体機器は、請求項1または2に記載のバルブ装置を含む、流体制御装置。
【請求項4】
プロセスガスの流量制御に請求項1または2に記載のバルブ装置を含む流体制御装置を用いた流量制御方法。
【請求項5】
密閉された処理チャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置、フラットパネルディスプレイ又はソーラーパネルの製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの制御に請求項1または2に記載のバルブ装置を含む流体制御装置を用いた製品製造方法。
【請求項6】
処理チャンバにプロセスガスを供給するための流体制御装置を有し、
前記流体制御装置は、請求項1または2に記載のバルブ装置を含む半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス等の各種製造プロセスにおいては、正確に計量したプロセスガスをプロセスチャンバに供給するために、開閉バルブ、レギュレータ、マスフローコントローラ等の各種の流体機器を集積化した流体制御装置が用いられている。
上記のような流体制御装置では、管継手の代わりに、流路を形成した設置ブロック(以下、ベースブロックと呼ぶ)をベースプレートの長手方向に沿って配置し、このベースブロック上に複数の流体機器や管継手が接続される継手ブロック等を含む各種流体機器を設置することで、集積化を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-3013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような流体制御装置に適用されるバルブ装置に対して多様な機能が要求されるようになってきている。例えば、逆流防止のため等にバルブを閉じていても一定流量の流体が一次側流路から二次側流路に流れるブリード機能である。
しかしながら、バルブ装置にブリード機能を付加するためには、バルブ装置のバルブボディにブリード孔(オリフィス)を加工する必要があり、加工が容易ではなく、装置のコストも高くなるという問題があった。
【0005】
本発明の一の目的は、小型化、低コスト化が可能でかつブリード機能をもつバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るバルブ装置は、ブロック状のバルブボディを有するバルブ装置であって、
前記バルブボディは、当該バルブボディの表面で開口しかつバルブ要素が内蔵される収容凹部と、前記収容凹部に接続された一次側流路および二次側流路と、を画定し、
前記バルブ要素は、前記一次側流路と前記二次側流路との前記収容凹部を通じた直接的な連通を遮断するシール部と、当該バルブ要素を通じて前記一次側流路と前記二次側流路とを連通させる迂回流路と、当該迂回流路と前記収容凹部を介して前記二次側流路とを連通させるブリード孔と、を有するバルブ装置。
【0007】
好適には、前記バルブ要素は、一端面に形成された環状の座面と、他端面に形成された環状のシール面と、前記座面および前記シール面の内側に形成され前記一端面および前記他端面を貫通する流通流路とを有するバルブシートと、
前記バルブシートのシール面が当接し当該シール面からの押圧力を支持する支持面を有するバルブシートサポートと、
前記バルブシートサポートに支持された前記座面に当接および離隔可能に設けられたダイヤフラムと、を有し、
前記ダイヤフラムは、当該ダイヤフラムと前記座面との間隙を通じて、前記流通流路と前記二次側流路とを連通させ、
前記バルブシートサポートは、前記収容凹部の内壁面の一部と協働して前記一次側流路と前記二次側流路との連通を遮断するシール面と、前記一次側流路と前記流通流路とを接続する前記迂回流路とを有する、構成とすることができる。
【0008】
本発明の第2の観点に係るバルブ装置は、ブロック状のバルブボディを有するバルブ装置であって、
前記バルブボディは、第1および第2のバルブ要素がそれぞれ内蔵される第1および第2の収容凹部と、前記第1および第2の収容凹部をそれぞれ前記バルブボディ外部へ連通させる一次側流路と、前記第1および第2の収容凹部をそれぞれ前記バルブボディ外部へ連通させる二次側流路と、前記第1および第2の収容凹部を接続して前記二次側流路の各々を互いに連通させる連通流路を画定し、
前記第1および第2のバルブ要素の各々は、前記一次側流路と前記二次側流路との前記収容凹部を通じた直接的な連通を遮断するシール部と、当該バルブ要素を通じて前記一次側流路と前記二次側流路とを連通させる迂回流路と、を有し、
前記第1および第2のバルブ要素の一方は、前記収容凹部を介して前記迂回流路と前記二次側流路とを連通させるブリード孔を有する。
【0009】
本発明の流量制御装置は、プロセスガスの流量制御に上記構成のバルブ装置を含む流体制御装置を用いる。
【0010】
本発明の製品製造方法は、密閉された処理チャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置、フラットパネルディスプレイ、ソーラーパネル等の製品の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの制御に上記構成のバルブ装置を含む流体制御装置を用いる。
【0011】
本発明の半導体製造装置は、処理チャンバにプロセスガスを供給するための流体制御装置を有し、流体制御装置は、上記構成のバルブ装置を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型化、低コスト化が可能でかつブリード機能をもつバルブ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の一実施形態に係るバルブ装置の一部に縦断面を含む正面図。
図1B図1Aのバルブ装置の上面図。
図1C図1Aのバルブ装置の底面図。
図1D図1Aのバルブ装置の側面図。
図2図1Aのバルブ装置の要部拡大断面図であって、バルブ閉鎖状態を示す図。
図3図1Aのバルブ装置の要部拡大断面図であって、バルブ開放状態を示す図。
図4】インナーディスクの断面図。
図5】バルブシートの断面図。
図6】バルブシートサポートの断面図。
図7】本発明のさらに他の実施形態に係るバルブ装置の一部に縦断面を含む正面図。
図8図7のバルブ装置の要部拡大断面図。
図9】本発明の一実施形態に係る半導体製造装置の概略構成図。
図10】本発明のバルブ装置が適用可能な流体制御装置の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面においては、機能が実質的に同様の構成要素には、同じ符号を使用することにより重複した説明を省略する。
図1A図1Dは本発明の一実施形態に係るバルブ装置の構造を示し、図2および図3図1Aのバルブ装置の動作を示す、図4はインナーディスク、図5はバルブシートおよび図6はバルブシートサポートの断面構造を示している。
図1A図3において、図中の矢印A1,A2は上下方向であってA1が上方向、A2が下方向を示すものとする。矢印B1,B2は、バルブ装置1のバルブボディ20の長手方向であって、B1が一端側、B2が他端側を示すものとする。C1,C2は、バルブボディ20の長手方向B1,B2に直交する幅方向を示し、C1が前面側、C2が背面側を示すものとする。
【0015】
バルブボディ20は、上面視で長方形状を有するブロック状の部材であり、上面20f1および底面20f2、上面20f1および底面20f2の間で延びる側面4つの側面20f3~20f6を画定している。加えて、上面20f1で開口する収容凹部22を画定している。図2等からわかるように、収容凹部22は、直径の異なる内周面22a,22b,22cと底面22dとで構成されている。内周面22a,22b,22cは、この順に直径が小さくなっている。収容凹部22に、後述するバルブ要素2が内蔵されている。
バルブボディ20は、収容凹部22に接続された一次側流路21および二次側流路24を画定している。一次側流路21は、ガス等の流体が外部から供給される側の流路であり、二次側流路24はガス等の流体を外部へ流出させる流路である。一次側流路21は、バルブボディ20の底面20f2に対して傾斜して形成され底面20f2で開口している。一次側流路21の開口の周囲には、シール保持部21aが形成されている。シール保持部21aには、シール部材として図示しないガスケットが配置される。バルブボディ20は図示しない他の流路ブロックとねじ穴20h1に締結ボルトをねじ込むことで連結される。この際に、シール保持部21aに保持部されたガスケットは、図示しない他の流路ブロックとの間で締結ボルトの締結力で押し潰されるので、一次側流路21の開口の周囲はシールされる。
【0016】
ガスケットとしては、金属製又は樹脂製などのガスケットを挙げることが出来る。ガスケットしては、軟質ガスケット、セミメタルガスケット、メタルガスケットなどが挙げられる。具体的には、以下のものが好適に使用される。
(1)軟質ガスケット
・ゴムOリング
・ゴムシート(全面座用)
・ジョイントシート
・膨張黒鉛シート
・PTFEシート
・PTFEジャケット形
(2)セミメタルガスケット
・うず巻形ガスケット(Spiral-wound gaskets)
・メタルジャケットガスケット
(3)メタルガスケット
・金属平形ガスケット
・メタル中空Oリング
・リングジョイント
なお、後述する分岐流路25,26の開口の周囲に設けられたシール保持部25a1,26b1も同様であり詳細説明は省略する
【0017】
二次側流路24は、バルブボディ20の長手方向B1,B2において収容凹部22に対して互いに反対側に形成された2つの二次側流路24A,24Bを含む。二次側流路24A,24Bは、バルブボディ20の長手方向B1,B2に延びる共通の軸線J1上に形成されている。二次側流路24Aは、一端が収容凹部22の内周面22bで開口し、他端24a1はバルブボディ20の内部で閉塞している。二次側流路24Bは、一端が収容凹部22の内周面22bで開口し、他端24b1は側面20f6側で開口している。二次側流路24Bの側面20f6の開口には、溶接等の手段により、閉塞部材30が設けられ、二次側流路24Bの開口は閉塞されている。二次側流路24A,24Bは、ドリル等の工具を用いて容易に加工できる。
二次側流路24Aは、他端24a1で2本の分岐流路25に分岐し、上面20f1で開口している。二次側流路24Bは、中途で2本の分岐流路26に分岐し、上面20f1で開口している。
すなわち、本実施形態に係るバルブ装置1では、一次側流路21に流入するガス等の流体を、二次側流路24の分岐流路25,26により4つに分流することができる。
【0018】
バルブ要素2は、ダイヤフラム14と、インナーディスク15と、バルブシート16と、バルブシートサポート50とを有する。バルブ要素2は、一次側流路21と二次側流路24との収容凹部22を通じた直接的な連通を遮断し、かつ、当該バルブ要素2を通じて一次側流路21と二次側流路24とを連通させる。以下、バルブ要素2について具体的に説明する。
収容凹部22内には、内周面22cと嵌合する外径をもつバルブシートサポート50が挿入されている。
バルブシートサポート50は、図6に示すように、円柱状の金属製部材であり、中心部に貫通孔からなる迂回流路50aが形成され、上端面に迂回流路50aを中心とする環状の支持面50f1が形成されている。加えて、バルブシートサポート50は、迂回流路50aに直交する方向に一本のブリード孔51が形成されている。ブリード孔50pの直径は、迂回流路50aの直径よりも十分に小さい。
バルブシートサポート50の支持面50f1は、平坦面からなり、その外周部には、段差が形成されている。バルブシートサポート50の外周面50b1は、収容凹部22の内周面22cに嵌る直径を有し、下端側の小径化された外周面50b2との間には段差が存在する。この段差により、円環状の端面50b3が形成されている。外周面50b2には、図2等に示すように、PTFE等の樹脂製のシール部材51が嵌め込まれる。シール部材51は、断面形状が矩形状に形成され、後述するように、収容凹部22の底面22dとバルブシートサポート50の端面50b3との間で押し潰される寸法を有する。シール部材51が収容凹部22の底面22dとバルブシートサポート50の端面50b3との間で押し潰されると、バルブシートサポート50の外周面50b1と収容凹部22の内周面22cおよび底面22dとの間に樹脂が入り込み、バルブシートサポート50と収容凹部22との間が確実にシールされる。すなわち、シール部としての外周面50b2および端面50b3は、収容凹部22の内周面22cおよび底面22dと協働して一次側流路21と二次側流路24との連通を遮断する。
【0019】
バルブシートサポート50の迂回流路50aは、収容凹部22の底面22dで開口する一次側流路21と接続される。
バルブシートサポート50の支持面50f1上には、バルブシート16が設けられている。
バルブシート16は、PFA、PTFE等の樹脂で弾性変形可能に形成され図5に示すように、円環状に形成され、一端面に円環状の座面16sが形成され、他端面に円環状のシール面16fが形成されている。座面16sおよびシール面16fの内側には、貫通孔からなる流通流路16aが形成されている。バルブシート16は、その外周側に小径部16b1と大径部16b2とを有し、小径部16b1と大径部16b2との間には段差部が形成されている。
【0020】
バルブシート16は、位置決め押圧部材としてのインナーディスク15により、バルブシートサポート50の支持面50f1に対して位置決めされ、かつバルブシートサポート50の支持面50f1に向けて押圧されている。具体的には、インナーディスク15の中心部に形成された大径部15a1と小径部15a2とが形成され、大径部15a1と小径部15a2との間には段差面15a3が形成されている。インナーディスク15の一端面側には、円環状の平坦面15f1が形成されている。インナーディスク15の他端面側には、外側に円環状の平坦面15f2が形成され、内側に円環状の平坦面15f3が形成されている。平坦面15f2と平坦面15f3とは高さが異なり、平坦面15f3が平坦面15f1寄りに位置している。インナーディスク15の外周側には、収容凹部22の内周面22aに嵌合する外周面15bが形成されている。さらに、一端面および他端面を貫通する流路15hが円周方向に等間隔に複数形成されている。インナーディスク15の大径部15a1と小径部15a2とに、バルブシート16の大径部16b2と小径部16b1とが嵌ることにより、バルブシート16は、バルブシートサポート50の支持面50f1に対して位置決めされる。
インナーディスク15の平坦面15f2は、収納凹部22の内周面22aと内周面22bとの間に形成された平坦な段差面上に設置される。インナーディスク15の平坦面15f1上には、ダイヤフラム14が設置され、ダイヤフラム14上には、押えリング13が設置される。
【0021】
アクチュエータ10は、空圧等の駆動源により駆動され、上下方向A1,A2に移動可能に保持されたダイヤフラム押え12を移動させる。アクチュエータ10のケーシング11の先端部は、図1Aに示すように、バルブボディ20にねじ込まれて固定されている。そしてこの先端部が、押えリング13を下方A2に向けて押圧し、ダイヤフラム14は、収容凹部22内で固定される。ダイヤフラム14は、収容凹部22を開口側で密閉している。また、インナーディスク15も下方A2に向けて押圧される。インナーディスク15の平坦面15f2が収容凹部22の段差面に押し付けられた状態において、段差面15a3がバルブシート16をバルブシートサポート50の支持面50f1に向けて押圧するように、段差面15a3の高さは設定されている。また、インナーディスク15の平坦面15f3は、バルブシートサポート50の上端面に当接しないようになっている。
ダイヤフラム14は、バルブシート16よりも大きな直径を有し、ステンレス、NiCo系合金などの金属やフッ素系樹脂で球殻状に弾性変形可能に形成されている。ダイヤフラム14は、バルブシート16の座面16sに対して当接離隔可能にバルブボディ20に支持されている。
【0022】
図2において、ダイヤフラム14はダイヤフラム押え12により押圧されて弾性変形し、バルブシート16の座面16sに押し付けられてバルブ閉の状態にある。この状態において、ブリード孔50pからは、バルブを閉じていても一定流量の流体が一次側流路21から二次側流路24に流れる。これにより、二次側流路24は一次側流路21に供給される流体で常時満たされた状態になる。
ダイヤフラム14は、ダイヤフラム押え12による押圧を開放すると、図3に示すように、球殻状に復元する。ダイヤフラム14がバルブシート16の座面16sに押し付けられている状態では、一次側流路21と二次側流路24との間の流路は閉鎖された状態にある。ダイヤフラム押え12が上方向A1に移動されると、図3に示すように、ダイヤフラム14がバルブシート16の座面16sから離れる。そして、一次側流路21から供給される流体は、ダイヤフラム14とバルブシート16の座面16sとの間隙を通じて、二次側流路24A,24Bに流入し、最終的には、分岐路25,26を通じてバルブボディ20の外部に流出する。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、バルブボディ20に直接ブリード孔50pを加工せず、バルブ要素2の構成部品であるバルブシートサポートに加工することにより、バルブ装置1にブリード機能を容易に付加できる。また、ブリード孔50のためにバルブボディ20を拡大させる必要もないので、バルブボディ20の小型化も維持できる。
【0024】
上記実施形態では、二次側流路24は、バルブボディ20内で複数に分岐し、分岐流路25,26がバルブボディ20の上面20f1で開口する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、底面20f2や側面20f3~20f6のいずれかで開口する構成も採用できる。
【0025】
上記実施形態では、インナーディスク15とバルブシート16とを別部材としたが、インナーディスク15とバルブシート16とを一体化することも可能である。
【0026】
第2実施形態
図7に本発明の第2の実施形態に係るバルブ装置1Bを示す、図8図7のバルブ装置1Bの要部拡大図を示す。なお、図7図8において、上記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を使用している。
本実施形態に係るバルブ装置1Bは、共通のバルブボディ20に2つのバルブ要素2A,2Bを備える
【0027】
バルブボディ20は、上面20f1で開口する2つの収容凹部22A,22Bを画定している。収容凹部22A,22Bは上記収容凹部22と同様の構造を有し、長手方向B1,B2において離隔して配置されている。収容凹部22A,22Bにバルブ要素2A,2Bがそれぞれ内蔵されている。第1および第2の収容凹部22A,22Bにそれぞれ接続された一次側流路21A,21Bと、収容凹部22A,22Bにそれぞれ接続された二次側流路24A,24Bと、収容凹部22Aと収容凹部22Bとを接続する連通流路24Cとを画定する。連通流路24Cは、二次側流路24の一部として機能する。
【0028】
一次側流路21Aは、バルブボディ20の底面20f2に対して傾斜して形成され、一端が収容凹部22Aの底面22dで接続され、他端が底面20f2で開口している。
一次側流路21Bは、バルブボディ20の底面20f2に対して一次側流路21Aとは逆向きに傾斜して形成され、一端が収容凹部22Bの底面22dで接続され、他端が底面20f2で開口している。
一次側流路21A,21Bの開口の周囲には、上記したシール保持部21aと同様のシール保持部21a,21bがそれぞれ形成されている。
【0029】
二次側流路24は、バルブボディ20の長手方向B1,B2において収容凹部22A,22Bに対して互いに反対側に形成された2つの二次側流路24A,24Bと収容凹部22A,22B間を接続する連通流路24Cとを含む。
二次側流路24A,24Bと連通流路24Cとは、バルブボディ20の長手方向B1,B2に延びる共通の軸線J1上に形成されている。
二次側流路24Aは、一端が収容凹部22Aの内周面22bで開口し、他端24a1はバルブボディ20の内部で閉塞している。
二次側流路24Bは、一端が収容凹部22Bの内周面22bで開口し、他端24b1は側面20f6側で開口している。
二次側流路24Bの側面20f6の開口には、溶接等の手段により、閉塞部材30が設けられ、二次側流路24Bの開口は閉塞されている。
連通流路24Cは、一端が収容凹部22Aの内周面22bで開口し、他端が収容凹部22Bの内周面22bで開口している。連通流路24Cを介して二次側流路24Aと二次側流路24Bとは連通している。
二次側流路24を構成する二次側流路24A,24Bおよび連通流路24Cは、ドリル等の工具を用いて容易に加工できる。なお、二次側流路24はバルブボディ20の他端からドリル等を用いて切削加工しても良いし、一端、及び他端の両方からドリル等を用いて切削加工を行い、バルブボディ20内で連通させても良い。
二次側流路24Aは、他端24a1で2本の分岐流路25に分岐し、上面20f1で開口している。
二次側流路24Bは、中途で2本の分岐流路26に分岐し、上面20f1で開口している。
【0030】
バルブ要素2Aは、第1実施形態のバルブ要素2と基本的には同様であるが、バルブ要素2Bはバルブシートサポート50にブリード孔50pを備えていない。すなわち、バルブ要素2Aはブリード機能が付加されているが、バルブ要素2Bはブリード機能を備えていない。
【0031】
このように、共通のバルブボディ20に2つのバルブ要素2A,2Bを設け、1方のバルブ要素2Aにのみブリード機能を不要することができる。一次側流路21Aまたは21Bから供給される流体は、二次側流路24A,24B,24Cに共通に流出する。バルブ要素2Aとバルブ要素2Bとは、選択的に一方が開放され、他方が閉鎖される。
【0032】
次に、図9を参照して、上記したバルブ装置1の適用例について説明する。
図9に示す半導体製造装置1000は、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition 法)による半導体製造プロセスを実行するためのシステムであり、600はプロセスガス供給源、700はガスボックス、710はタンク、720はバルブ、800は処理チャンバ、900は排気ポンプを示している。
基板に膜を堆積させる処理プロセスにおいては、処理ガスを安定的に供給するためにガスボックス700から供給される処理ガスをバッファとしてのタンク710に一時的に貯留し、処理チャンバ800の直近に設けられたバルブ720を高頻度で開閉させてタンクからの処理ガスを真空雰囲気の処理チャンバ800へ供給する。
ALD法は、化学気相成長法の1つであり、温度や時間等の成膜条件の下で、2種類以上の処理ガスを1種類ずつ基板表面上に交互に流し、基板表面上原子と反応させて単層ずつ膜を堆積させる方法であり、単原子層ずつ制御が可能である為、均一な膜厚を形成させることができ、膜質としても非常に緻密に膜を成長させることができる。
ALD法による半導体製造プロセスでは、処理ガスの流量を精密に調整する必要があるとともに、基板の大口径化等により、処理ガスの流量をある程度確保する必要もある。
ガスボックス700は、正確に計量したプロセスガスを処理チャンバ800に供給するために、各種の流体機器を集積化した流体制御装置をボックスに収容したものである。この流体制御装置に、上記したバルブ装置1,1Bが含まれる。
タンク710は、ガスボックス700から供給される処理ガスを一時的に貯留するバッファとして機能する。
処理チャンバ800は、ALD法による基板への膜形成のための密閉処理空間を提供する。
排気ポンプ900は、処理チャンバ800内を真空引きする。
【0033】
図10を参照して、本発明のバルブ装置が適用可能な流体制御装置の一例を説明する。
図10に示す流体制御装置には、幅方向W1,W2に沿って配列され長手方向G1,G2に延びる金属製のベースプレートBSが設けられている。なお、W1は正面側、W2は背面側,G1は上流側、G2は下流側の方向を示している。ベースプレートBSには、複数の流路ブロック992を介して各種流体機器991A~991Eが設置され、複数の流路ブロック992によって、上流側G1から下流側G2に向かって流体が流通する図示しない流路がそれぞれ形成されている。
【0034】
ここで、「流体機器」とは、流体の流れを制御する流体制御装置に使用される機器であって、流体流路を画定するボディを備え、このボディの表面で開口する少なくとも2つの流路口を有する機器である。具体的には、開閉弁(2方弁)991A、レギュレータ991B、プレッシャーゲージ991C、開閉弁(3方弁)991D、マスフローコントローラ991E等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。なお、導入管993は、上記した図示しない流路の上流側の流路口に接続されている。
【0035】
本発明は、上記した開閉弁991A、991D、レギュレータ991B等の種々のバルブ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1,1B バルブ装置
2,2A,2B バルブ要素
10,10A,10B アクチュエータ
11 ケーシング
12 ダイヤフラム押え
13 押えリング
14 ダイヤフラム
15 インナーディスク
15h 流路
16 バルブシート
16a 流通流路
16f シール面
16s 座面
20 バルブボディ
20f1 上面
20f2 底面
20f3~20f6 側面
20h1 ねじ穴
21,21A,21B 一次側流路
21a シール保持部
22,22A,22B 収容凹部
24A,24B,24C、24 二次側流路
25,26 分岐流路
30 閉塞部材
50 バルブシートサポート
50a 迂回流路
50f1 支持面
50b2外周面(シール面、シール部)
50b3 端面(シール面、シール部)
50p ブリード孔
51 シール部材
600 プロセスガス供給源
700 ガスボックス
710 タンク
720 バルブ
800 処理チャンバ
900 排気ポンプ
1000 半導体製造装置
A1 上方向
A2 下方向
991A :開閉弁
991B :レギュレータ
991C :プレッシャーゲージ
991D :開閉弁
991E :マスフローコントローラ
992 :流路ブロック
993 :導入管
BS :ベースプレート
G1 :長手方向(上流側)
G2 :長手方向(下流側)
W1 :幅方向
W2 :幅方向
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10