(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
(21)【出願番号】P 2021119841
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500201602
【氏名又は名称】シロカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一威
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲生
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-142566(JP,U)
【文献】実開昭58-074419(JP,U)
【文献】特開2018-102627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-27/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋内の食材を加熱調理する加熱調理器であって、
前記内鍋を収容する本体部と、
前記本体部の上に取り付けられて前記内鍋を覆う蓋部と、
前記内鍋の内部と外部とを連通する連通路を開閉する弁部材と、
所定の操作に応じて前記弁部材を駆動して前記連通路を開く開弁機構と、
を備え、
前記本体部は、前記蓋部が載置される載置面を有し、
前記蓋部は、前記本体部の上に取り付けられて係止された第1状態から、前記載置面と平行な回転方向に前記本体部に対して回転されることにより、前記本体部との係止が解除されて前記本体部の上から取り外し可能な第2状態になり、
前記所定の操作は、前記第1状態から前記第2状態にするための前記蓋部の回転を含
み、
前記本体部は、前記回転方向に進むにつれて前記蓋部側に向かって傾斜している傾斜部を有し、
前記開弁機構は、前記第1状態から前記第2状態にするための前記蓋部の回転に従って移動することにより前記弁部材を駆動して前記連通路を開く駆動部材を含み、
前記駆動部材は、前記回転中に前記傾斜部に当接する部分を有し、前記回転中に前記傾斜部に沿って移動することにより前記弁部材を駆動する、ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記駆動部材は、前記本体部の前記載置面に対向する前記蓋部の面より前記部分が前記本体部側に突出するように構成されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記載置面より前記蓋部側に突出するように構成されており、
前記蓋部は、前記蓋部が前記本体部に取り付けられたときに前記傾斜部が収まる溝を有する、ことを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記駆動部材の前記部分は前記溝の内側に配置されている、ことを特徴とする請求項
3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記本体部は、前記蓋部側に突出可能なピン部材と、前記ピン部材を突出駆動するアクチュエータと、を有し、
前記駆動部材は、前記第1状態において、前記アクチュエータによる前記ピン部材の突出駆動に伴って移動することにより前記弁部材を駆動するように構成され、
前記傾斜部は、前記回転方向における前記ピン部材の隣に設けられている、ことを特徴とする請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記内鍋の内部から機外へ気体を排気するためにユーザにより押下されるボタンを更に備え、
前記所定の操作は、前記ボタンの押下を含む、ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記本体部は、前記内鍋を収容可能な収容部を有し、
前記蓋部は、前記収容部を覆う内蓋を有し、
前記第1状態では、前記収容部の周縁部から外側に向かって突出したフランジと、前記内蓋の周縁部から突出した爪部とが係合することにより、前記本体部と前記蓋部とが係止され、
前記第2状態では、前記第1状態から前記回転方向に前記本体部に対して前記蓋部が回転されることにより、前記フランジと前記爪部との係合が解除されて前記本体部と前記蓋部との係止が解除される、ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力鍋や炊飯器等の加熱調理器においては、内鍋が収容された本体の上に蓋体を載置し、本体と蓋体との重ね合わせ面と平行な方向に本体に対して蓋体を回転させることにより、本体に対する蓋体の開閉を行う構成のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱調理器では、内鍋内の食材の加熱調理が終了すると内鍋の内部圧力が徐々に減少していくため、内鍋と蓋とが貼り付き、ユーザが加熱調理器の蓋を開ける際に、当該蓋とともに内鍋も持ち上げられてしまう場合がある。そのため、加熱調理の終了後において加熱調理器の蓋を開ける際の当該蓋と内鍋との張り付きを回避することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、加熱調理の終了後に蓋を開ける際の蓋と内鍋との張り付きを回避することが可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての加熱調理器は、内鍋内の食材を加熱調理する加熱調理器であって、前記内鍋を収容する本体部と、前記本体部の上に取り付けられて前記内鍋を覆う蓋部と、前記内鍋の内部と外部とを連通する連通路を開閉する弁部材と、所定の操作に応じて前記弁部材を駆動して前記連通路を開く開弁機構と、を備え、前記本体部は、前記蓋部が載置される載置面を有し、前記蓋部は、前記本体部の上に取り付けられて係止された第1状態から、前記載置面と平行な回転方向に前記本体部に対して回転されることにより、前記本体部との係止が解除されて前記本体部の上から取り外し可能な第2状態になり、前記所定の操作は、前記第1状態から前記第2状態にするための前記蓋部の回転を含み、前記本体部は、前記回転方向に進むにつれて前記蓋部側に向かって傾斜している傾斜部を有し、前記開弁機構は、前記第1状態から前記第2状態にするための前記蓋部の回転に従って移動することにより前記弁部材を駆動して前記連通路を開く駆動部材を含み、前記駆動部材は、前記回転中に前記傾斜部に当接する部分を有し、前記回転中に前記傾斜部に沿って移動することにより前記弁部材を駆動する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、加熱調理の終了後に蓋を開ける際の蓋と内鍋との張り付きを回避することが可能な加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の加熱調理器の正面斜視図(本体部に蓋部を取り付けた状態)
【
図2】第1実施形態の加熱調理器の正面斜視図(本体部から蓋部を取り外した状態)
【
図3】第1実施形態の蓋部を下方から見たときの斜視図
【
図4】第1実施形態の加熱調理器の断面図(本体部に蓋部を取り付けた状態)
【
図5】第1実施形態の本体部の一部(傾斜部)を斜め上方から見た図
【
図6】第1実施形態の加熱調理器の後部断面を示す模式図
【
図7】第2実施形態の加熱調理器の正面斜視図(本体部に蓋部を取り付けた状態)
【
図8】第2実施形態の加熱調理器の正面斜視図(本体部から蓋部を取り外した状態)
【
図9】第2実施形態の本体部の一部(傾斜部)を斜め上方から見た図
【
図10】第1実施形態の蓋部を下方から見たときの斜視図
【
図11】第2実施形態の加熱調理器の後部断面を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の加熱調理器100について説明する。
図1~
図2は、本実施形態の加熱調理器100全体の外観構成の一例を示す正面斜視図である。
図1は、本体部1に対して蓋部2を取り付けた状態を示しており、
図2は、本体部1から蓋部2を取り外した状態を示している。なお、各図では、X軸方向を加熱調理器100の左右方向、Y軸方向を加熱調理器100の前後方向、Z軸方向を加熱調理器100の上下方向としている。以下の説明において「X軸方向」と記載している場合、それは+X方向および-X方向を含むものとして定義されうる。「Y軸方向」および「Z軸方向」についても同様である。
【0011】
本実施形態の加熱調理器100は、加圧調理器あるいは電気圧力鍋とも呼ばれ、調理対象物としての食材が入れられた内鍋3を加熱制御することで内鍋3内の食材を調理する装置である。加熱調理器100は、所定の加熱プログラムに従って内鍋3の加熱制御を行う本体部1と、本体部1の上部に着脱可能(取り外し可能)に取り付けられる蓋部2とを備える。本実施形態の加熱調理器100は、
図2に示されるように、本体部1から蓋部2を完全に取り外すことができるように、即ち、本体部1と蓋部2とを互いに分離できるように構成されている。
【0012】
本体部1は、内鍋3を収容可能な収容部10と、収容部10を取り囲む本体ハウジング11とを有する。収容部10は、上側が開放された有底円筒の形状を有し、本体部1から蓋部2が取り外された状態で、上側開放部から内鍋3を出し入れ自在に構成されている。収容部10は、外鍋とも呼ばれ、例えば金属などによって形成されうる。本体ハウジング11は、例えばプラスチック等によって形成され、本体部1の外装を構成するとともに、蓋部2が載置される載置面11aを上面として有する。本体ハウジング11の外周面には、ユーザによる操作を受け付ける操作部12が設けられる。操作部12は、内鍋3の加熱処理の内容(即ち、内鍋3に入れられた食材の調理内容)を設定・調整するためにユーザによって操作されるユーザインタフェースであり、例えばボタンやダイヤル、ディスプレイなどによって構成されうる。
【0013】
また、本体部1は、
図1~
図2では不図示であるが、収容部10(内鍋3)を加熱する加熱部と、内鍋3の加熱制御を行う制御部とを含みうる。加熱部は、収容部10に収容された内鍋3を加熱するために収容部10の周囲に配置されたヒータを有しうる。制御部は、例えばCPUなどのプロセッサおよびメモリを有し、内鍋3内の食材を調理するための所定の加熱プログラムに従って加熱部(ヒータ)への給電を制御することにより、内鍋3の加熱処理(食材の調理)を制御する。
【0014】
蓋部2は、本体部1の上部に取り付けられ、本体部1の収容部10に対して開閉される。蓋部2は、本体部1の上部に装着される、配置される、或いは、設置されると理解されてもよい。本実施形態の場合、蓋部2は、内蓋20と、蓋ハウジング21と、パッキン22と、ハンドル部23とを有する。内蓋20およびパッキン22は、
図3に示されるように、本体部1から取り外された蓋部2を下方から見たときに確認することができる。
図3は、蓋部2を下方から見たときの斜視図を示している。
【0015】
内蓋20は、内鍋3(収容部10)を開閉するための蓋である。内蓋20は、蓋部2が本体部1の上部に取り付けられた場合に、内鍋3(収容部10)の上側開放部を覆い、内鍋3を密封するように構成される。蓋ハウジング21は、例えばプラスチック等によって形成され、内蓋20を取り囲んで蓋部2の外装を構成するとともに、蓋部2が本体部1に取り付けられたときに本体部1(本体ハウジング11)の載置面11aに対向する対向面21aを下面として有する。対向面21aは、本体部1の載置面11aに重ね合わされる面として理解されてもよい。
【0016】
パッキン22は、収容部10(内鍋3)と内蓋20との間を密封するための部材であり、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等の材質によってリング状に形成される。パッキン22は、内蓋20に接合されたリング状の保持部材24によって着脱自在に保持されうる。保持部材24は、内蓋20と同様に金属などによって形成される。また、ハンドル部23は、蓋部2の開閉動作を行うためにユーザが把持する部分であり、左右方向(X軸方向)に延設するように蓋部2の上部に設けられうる。
【0017】
次に、本実施形態の加熱調理器100における係止機構(固定機構)および排気機構について説明する。
係止機構は、本体部1に対して蓋部2を係止(固定)するための機構であり、本実施形態の場合、本体部1における収容部10のフランジ10aと、蓋部2における内蓋20の爪部20aとによって構成されうる。収容部10のフランジ10aは、
図2に示されるように、収容部10の周縁部から外側(半径方向)に向かって突出した部分であり、周方向(Z軸周りの回転方向)に沿って間隔をあけて複数設けられている。また、内蓋20の爪部20aは、
図3に示されるように、収容部10のフランジ10aに係合する(篏合する、引っ掛かる)ように内蓋20の周縁部から突出した部分であり、収容部10のフランジ10aの位置に対応するように周方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。
【0018】
このように構成された係止機構を有する加熱調理器100では、内蓋20の各爪部20aを収容部10のフランジ10aの間に通しながら本体部1の上に蓋部2を配置し、載置面11aと平行な第1回転方向(
図1~
図2の矢印A1の方向)に本体部1に対して蓋部2を回転させることにより、収容部10の各フランジ10aと内蓋20の各爪部20aとを係合させ、本体部1に対して蓋部2を係止(固定)した係止状態(第1状態)にすることができる。また、係止状態から、第1回転方向と反対の第2回転方向(
図1~
図2の矢印A2の方向)に本体部1に対して蓋部2を回転させることにより、収容部10の各フランジ10aと内蓋20の各爪部20aとの係合を解除し、本体部1の対する蓋部2の係止を解除した解除状態(第2状態)にすることができる。解除状態は、本体部1から蓋部2を取り外し可能な状態である。なお、ユーザが係止状態か解除状態かを一目で認識することができるように、本体部1および蓋部2に目印が記されていてもよい。
【0019】
排気機構は、加熱調理中において内鍋3の内部の気体(蒸気)を機外(外部)へ排出するための機構であり、
図4に示されるように、連通管25および排気弁26を含みうる。
図4は、本体部1に対して蓋部2を取り付けた状態の加熱調理器100の断面図(
図1の線A-AにおけるYZ断面図)を示している。なお、連通管25および排気弁26は、蓋部2の構成要素として理解されてもよい。
【0020】
連通管25は、内鍋3(収容部10)の内部と外部とを連通する連通路を規定する管であり、内蓋20に設けられる。連通管25は、一方の端部(下端部)が内鍋3の内部に配置され、他方の端部(上端部)が内鍋3の外部に配置されるように、内蓋20を貫通している。排気弁26は、連通管25の流路(連通路)を開閉するための弁部材であり、連通管25の上端部に配置される。排気弁26は、質量体(重り)を含み、自重により連通管25の流路を閉じる(塞ぐ)ように構成される。そして、内鍋3の加熱処理において内鍋3の内部圧力が排気弁26の自重より高くなると、内鍋3の内部圧力によって排気弁26が押されて連通管25の流路が開き、内鍋3の内部の気体(蒸気)が機外に排出される。これにより、内鍋3の内部圧力を機外の圧力より高くし、内鍋3内の食材を加熱調理する時間を短縮することが可能となる。
【0021】
ここで、一般的な加熱調理器では、所定の加熱プログラムによる内鍋3の加熱処理(即ち、内鍋3内の食材の加熱調理)が終了すると、内鍋3の内部圧力が徐々に減少していく。このときの連通管25の流路は排気弁26によって塞がれているため、パッキン22を介して内鍋3と内蓋20とが貼り付き、ユーザが蓋部2を開けて持ち上げる際に、蓋部2とともに内鍋3も持ち上げられてしまう場合がある。そこで、本実施形態の加熱調理器100は、ユーザによる所定の操作に応じて排気弁26を駆動して連通管25の流路を開くことにより内鍋3の内部と外部との圧力差を低減する開弁機構を有する。所定の操作は、係止状態から解除状態にするための本体部1に対する蓋部2の回転を含む。以下に、開弁機構の詳細な構成および動作について説明する。
【0022】
開弁機構は、
図4に示されるように、係止状態から解除状態にするための本体部1に対する蓋部2の回転に従って移動することにより排気弁26を駆動して連通管25の流路を開く駆動部材27を含む。駆動部材27は、蓋ハウジング21の対向面21a(下面)に設けられた開口21bから露出した部分(以下、第1部分27a)を一方の端部とし、排気弁26に当接して作用する部分(以下、第2部分27b)を他方の端部とするように延設された部材であり、蓋部2(蓋ハウジング21)の内部に設けられている。本実施形態の駆動部材27は、第1部分27aが蓋ハウジング21の対向面21aの開口21bから対向面21aより突出するように構成されている。駆動部材27は、バネ等の付勢部材28(
図4では不図示)によって-Z方向に付勢されており、第1部分27aが+Z方向に押されると、それに伴って駆動部材27自体も+Z方向に移動し、第2部分27bが排気弁26に当接して当該排気弁26を+Z方向に押し上げる(駆動する)。これにより、連通管25の流路を開くことができる。
【0023】
また、開弁機構は、本体部1の本体ハウジング11に設けられた傾斜部11b(傾斜面)を含む。そして、駆動部材27は、係止状態から解除状態にするための本体部1に対する蓋部2の回転中に、本体ハウジング11の傾斜部11bに第1部分27aが当接するように構成される。本体ハウジング11の傾斜部11bは、
図5に示されるように、係止状態から解除状態にするために蓋部2を回転させる第2回転方向A2に進むにつれて蓋部2側(+Z方向)に向かって傾斜するように構成されている。そのため、駆動部材27は、第2回転方向A2への蓋部2の回転中に第1部分27aが本体ハウジング11の傾斜部11bによって+Z方向に押されていくことで、当該傾斜部11bに沿って+Z方向に移動して排気弁26を持ち上げることができる。つまり、係止状態から解除状態にするための蓋部2の回転に応じて、連通管25の通路を開くことができる。なお、本実施形態では、駆動部材27および傾斜部11bが加熱調理器100の後部に設けられているが、それに限られず、加熱調理器100の任意の位置に設けられてもよい。また、
図5は、本体ハウジング11の傾斜部11bを視認することができるように、蓋部2を取り外した状態の本体部1の一部(後部)を斜め上方から見た図を示している。
【0024】
次に、係止状態から解除状態にするための蓋部2の回転中における開弁機構(駆動部材27)の動作について説明する。
図6は、本実施形態の加熱調理器100の後部の断面(XZ断面)を模式的に示した図である。
図6では、本体ハウジング11の傾斜部11bと、蓋ハウジング21の内部に設けられた駆動部材27および付勢部材28と、蓋ハウジング21の上部に設けられた排気弁26とが図示されている。また、
図6では、排気弁26の内側に配置される連通管25の先端が破線で示されている。なお、付勢部材28は、前述したように、駆動部材27を-Z方向に付勢する部材であり、バネ等によって構成されうる。
【0025】
図6(a)は、蓋部2が本体部1に係止されている係止状態を示している。
図6(a)に示されるように、係止状態における駆動部材27では、第1部分27aが本体ハウジング11の傾斜部11bに配置されておらず、第2部分27aが排気弁26に当接していない。したがって、係止状態では、排気弁26が、その自重により連通管25の通路を閉じている状態となる。
【0026】
図6(b)~(c)は、係止状態から解除状態になるように本体部1に対して蓋部2を第2回転方向A2に回転させている様子を示している。
図6(b)は係止状態と解除状態との間の状態として、
図6(c)は解除状態として理解されてもよい。
図6(b)~(c)に示されるように、本体部1に対して蓋部2を第2回転方向A2に回転させると、当該回転中において駆動部材27の第1部分27aが本体ハウジング11の傾斜部11aに当接し、第1部分27aが傾斜部11aによって+Z方向に押されていく。これにより、駆動部材27は、+Z方向に移動するため、第2部分27bを排気弁26に当接させて排気弁26を+Z方向に押し上げ(駆動し)、連通管25の流路を開くことができる。
【0027】
上述したように、本実施形態の加熱調理器100は、係止状態から解除状態にするための蓋部2の回転に従って排気弁26を駆動して連通管25の流路を開く開弁機構(駆動部材27、傾斜部11b)を有する。このような開弁機構を設けることにより、ユーザが係止状態から解除状態にするために蓋部2を回転させるだけで、連通管25の流路が開き、内鍋3の内部と外部との圧力差を低減することができる。つまり、内鍋3と内蓋20との張り付きを回避し、本体部1に内鍋3を残したまま本体部1から蓋部2を容易に取り外すことが可能となる。
【0028】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態の加熱調理器200について説明する。本実施形態の加熱調理器200は、第1実施形態の加熱調理器100と比べて開弁機構および排気機構の構成が異なる。そのため、以下では主に、本実施形態の加熱調理器200における開弁機構および排気機構の構成について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態を基本的に引き継ぐものであり、以下で言及すること以外は第1実施形態で説明したとおりである。
【0029】
図7~
図8は、本実施形態の加熱調理器200全体の外観構成の一例を示す正面斜視図である。
図7は、本体部1に対して蓋部2を取り付けた状態を示しており、
図8は、本体部1から蓋部2を取り外した状態を示している。
図8では、後述するカバー部材29が蓋部2から取り外された状態も示されている。また、
図9は、本体ハウジング11の傾斜部11bを視認することができるように、蓋部2を取り外した状態の本体部1の一部(後部)を斜め上方から見た図を示している。
【0030】
本実施形態の加熱調理器200における排気機構は、連通管25および排気弁26に加えてカバー部材29を含む。カバー部材29は、連通管25および排気弁26を覆うように構成された部材であり、排気弁26が開いた場合に連通管25を介して内鍋3の内部から放出された気体(蒸気)を一時的に滞留させ、上面に設けられた排気孔29aから排出するように構成される。このカバー部材29を設けることにより、連通管25を介して内鍋3の内部から放出された気体(蒸気)を、カバー部材29の内部で温度を低下させてから、排気孔29aを介して機外へ排出することができる。したがって、排気孔29aから機外に排出される気体の温度を低下させることができるため、安全性の点で有利になりうる。
【0031】
また、排気機構は、
図8~
図9に示されるように、本体ハウジング11の載置面11aから蓋部側(+Z方向)に突出可能なピン部材14と、当該ピン部材14を突出駆動するアクチュエータ15(
図7~
図9では不図示)とを含む。ピン部材14は、係止状態において載置面11aから突出したときに駆動部材27の第1部分27aを+Z方向に押圧することができる位置に配置されている。また、アクチュエータ15は、制御部の制御指令のもと、係止状態における所定のタイミングでピン部材14を駆動してピン部材14を載置面11aから突出させる。これにより、駆動部材27は、載置面11aから突出したピン部材14により+Z方向に押されるため、それに伴って+Z方向に移動し、排気弁26を駆動して連通管25の流路を開くことができる。つまり、係止状態において、内鍋3の内部の気体(蒸気)をカバー部材29の排気孔29aから機外に排出する自動排気を行うことができる。なお、ピン部材14およびアクチュエータ15は、開弁機構の一部として理解されてもよい。
【0032】
ここで、排気機構は、
図7~
図8に示されるように蓋部2の上面に設けられた排気ボタン30をユーザが押下した場合に、内鍋3の内部から機外へ気体を強制排気する構成を有していてもよい。例えば、排気ボタン30の押下に応じて駆動部材27を+Z方向へ移動させるように排気ボタン20と駆動部材27とを連結する連結部材(不図示)を排気機構に設けることで、ユーザが排気ボタン30を押下した場合に、駆動部材27により排気弁26を駆動して連通管25の流路を開き、強制排気を行うことができる。なお、排気ボタン30および連結部材は、開弁機構の一部として理解されてもよく、ユーザによる所定の操作として、ユーザによる排気ボタン30の押下が含まれてもよい。
【0033】
本実施形態の加熱調理器200における開弁機構は、第1実施形態と同様に、駆動部材27と本体ハウジング11の傾斜部11bとを含みうる。但し、本実施形態の開弁機構における傾斜部11bは、
図8~
図9に示されるように、第2回転方向A2におけるピン部材14の隣に配置されているとともに、本体ハウジング11aの載置面11aより蓋部2側(+Z方向)に突出するように構成されている。また、蓋部2は、
図10に示されるように、本体部1の上部に取り付けられたときに本体ハウジング11の傾斜部11bが収まるように対向面21aに形成された溝21cを有する。
図10は、蓋部2を下方から見たときの斜視図を示している。
【0034】
駆動部材27は、基本的な構成は第1実施形態で説明したとおりであるが、本実施形態では、
図10に示されるように、第1部分27aが当該溝21cの内側に配置される。この場合において、駆動部材27は、例えば蓋部2がテーブル等に置かれた際に第1部分27が当該テーブル等に接触して負荷が掛かることを低減するため、第1部分27aが対向面21aより本体部1側に突出しないように構成されるとよい。
【0035】
このように構成された本実施形態の開弁機構においても、第1実施形態と同様に、駆動部材27は、係止状態から解除状態にするための蓋部2の回転中に第1部分27aが本体ハウジング11の傾斜部11bによって+Z方向に押されていくことで、当該傾斜部11bに沿って+Z方向に移動して排気弁26を持ち上げることができる。つまり、係止状態から解除状態にするための蓋部2の回転に応じて、連通管25の通路を開くことができる。
【0036】
次に、本実施形態の加熱調理器200における駆動部材27の動作について説明する。
図11は、本実施形態の加熱調理器200の後部の断面(XZ断面)を模式的に示した図である。
図11では、本体ハウジング11の傾斜部11bと、蓋ハウジング21の内部に設けられた駆動部材27および付勢部材28と、蓋ハウジング21の上部に設けられた排気弁26と、ピン部材14と、アクチュエータ15とが図示されている。また、
図11では、排気弁26の内側に配置される連通管25の先端が破線で示されている。なお、付勢部材28は、駆動部材27を-Z方向に付勢する部材であり、バネ等によって構成されうる。
【0037】
図11(a)は、蓋部2が本体部1に係止されている係止状態において自動排気を実施していない状態、即ち、アクチュエータ15によるピン部材14の突出駆動を行っていない状態を示している。係止状態では、駆動部材27の第1部分27aは、駆動部材27の第1部分27aがピン部材14の上方に配置され、本体ハウジング11の傾斜部11bに配置されていない。そして、
図11(a)の状態では、アクチュエータ15によるピン部材14の突出駆動が行われていないため、付勢部材28により-Z方向へ駆動部材27が付勢された状態であり、駆動部材27の第2部分27aは排気弁26に当接していない。したがって、この状態では、排気弁26が、その自重により連通管25の通路を閉じている状態となる。
【0038】
図11(b)は、係止状態において自動排気を実施している状態、即ち、アクチュエータ15によるピン部材14の突出駆動を行っている状態を示している。この状態では、ピン部材14により駆動部材27の第1部分27aが+Z方向に押圧され、それに伴って駆動部材27が+Z方向に移動する。そのため、駆動部材27は、第2部分27bを排気弁26に当接させて排気弁26を+Z方向に押し上げ(駆動し)、連通管25の流路を開くことができる。
【0039】
図11(c)は、係止状態から解除状態になるように本体部1に対して蓋部2を第2回転方向A2に回転させている様子を示している。
図11(c)は、第1実施形態の
図6(b)に対応する図であり、係止状態と解除状態との間の状態として理解されてもよい。
図11(c)に示されるように、本体部1に対して蓋部2を第2回転方向A2に回転させると、当該回転中において駆動部材27の第1部分27aが本体ハウジング11の傾斜部11aに当接し、第1部分27aが傾斜部11aによって+Z方向に押されていく。これにより、駆動部材27は、+Z方向に移動するため、第2部分27bを排気弁26に当接させて排気弁26を+Z方向に押し上げ(駆動し)、連通管25の流路を開くことができる。
【0040】
上述したように、本実施形態の加熱調理器200も、第1実施形態の加熱調理器100と同様に、開弁機構(駆動部材27、傾斜部11b)を設けることにより、ユーザが係止状態から解除状態にするために蓋部2を回転させるだけで、連通管25の流路が開き、内鍋3の内部と外部との圧力差を低減することができる。つまり、内鍋3と内蓋20との張り付きを回避し、本体部1に内鍋3を残したまま本体部1から蓋部2を容易に取り外すことが可能となる。また、本実施形態の加熱調理器200では、自動排気を行う場合にも駆動部材27が用いられる。換言すると、係止状態から解除状態にするための蓋部2の回転に応じて連通管25の流路を開く動作を、自動排気に用いられる駆動部材27を利用して行うことができるため、部品数を削減することができ、コストの点でも有利になりうる。
【0041】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:本体部、2:蓋部、3:内鍋、10:収容部、11:本体ハウジング、11a:載置面、11b:傾斜部、14:ピン部材、15:アクチュエータ、20:内蓋、21:蓋ハウジング、21a:対向面、25:連通管、26:排気弁、27:駆動部材