(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】定期的な圧力放出を伴う空気-酸素混合機
(51)【国際特許分類】
A61M 16/12 20060101AFI20230417BHJP
A61M 16/20 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61M16/12
A61M16/20 G
(21)【出願番号】P 2021151002
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521409308
【氏名又は名称】バイオ-メド デバイスズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ジェイ ヒューイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック エヌ サンドグレン
(72)【発明者】
【氏名】シャミリ クリシュナムルティ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド シー バクティス
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519542(JP,A)
【文献】米国特許第5887611(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/12
A61M 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気/酸素混合機
であって、
第1のガス入口と、第2のガス入口と、配合バルブと、ガス出口とを備えたハウジングを含み、
前記第1のガス入口は、第1のガス室と流体連通しており、
前記第2のガス入口は、第2のガス室と流体連通しており、
前記配合バルブは、前記第1のガス室と、前記第2のガス室と、前記ガス出口と流体連通しており、
空気/酸素混合機は、
前記配合バルブ及び前記ガス出口と流体連通している排気バルブを含み、
前記排気バルブは、前記排気バルブからガスを抜くように、定期的に開く、
空気/酸素混合機。
【請求項2】
前記排気バルブは、定期的に前記排気バルブを開く制御装置によって制御される、電気的に作動するバルブである請求項1に記載の空気/酸素混合機。
【請求項3】
前記制御装置は、排気バルブが開く頻度と、排気バルブが開く期間とを
、排気バルブが開く特定の頻度と排気バルブが開く特定の期間とを含む、プログラムされたタイムサイクルに従って制御する請求項2に記載の空気/酸素混合機。
【請求項4】
前記排気バルブは、ソレノイドバルブである請求項3に記載の空気/酸素混合機。
【請求項5】
前記配合バルブとガス出口とは、酸素センサーを含むセンシングチャンバと流体連通している請求項1に記載の空気/酸素混合機。
【請求項6】
前記排気バルブは、前記センシングチャンバと流体連通しており、前記センシングチャンバからガスを抜く請求項5に記載の空気/酸素混合機。
【請求項7】
前記酸素センサーに電気的に接続された、酸素分析器および酸素パーセンテージ・ディスプレイを更に含む請求項5に記載の空気/酸素混合機。
【請求項8】
逆止バルブが、前記第1のガス入口と前記第1のガス室との間、および、前記第2のガス入口と前記第2のガス室との間に配置されている請求項1に記載の空気/酸素混合機。
【請求項9】
前記逆止バルブは、ダックビルバルブである請求項8に記載の空気/酸素混合機。
【請求項10】
前記配合バルブは、
前記第1のガス室および前記第2のガス室から伸びるガス・チャンネルの端を開閉するように往復運動によって作動可能であって、それによって第1のガスまたは第2のガスまたは第1のガスと第2のガスの混合ガスを放出する、両端にバルブシートを有する両頭のバルブである請求項1に記載の空気/酸素混合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野、特に、酸素増量空気を患者へ供給する空気/酸素混合機に関する。
【背景技術】
【0002】
急性低酸素血症呼吸不全は入院の一般的な理由であり、病気または怪我に起因しうる。過炭酸症呼吸不全も、通常入院を必要とする。酸素補給は、そのような健康状態の支えとなるケアの重要な面である。典型的病院環境では、呼吸補助は、鼻腔カニューレまたはマスクを介して供給される低流量の酸素富化空気又は酸素から、鼻腔カニューレ、及びマスクCAPAを含む様々なマスク、及び蘇生バッグを介して、または挿管を介して、患者の吸気流れ需要に等しいか又は超える量と割合で供給される高流量酸素増量空気にまで及びうる。
【0003】
空気/酸素混合機は、低流量呼吸補助と高流量呼吸補助の両方で使用されうる。典型的な空気/酸素混合機は、空気と酸素を混ぜることで、ガス流量最高60L/分において、21%から100%までの酸素(0.21から1.0までのFiO2)の患者用呼吸空気を提供しうる。空気/酸素混合機は、患者の吸気流量要求から独立した、正確な酸素供給を提供することができて、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)を提供することができる。
【0004】
空気/酸素混合機は、人工呼吸器なしで、または人工呼吸器と共に使用されうる。人工呼吸器は、典型的には、高流量呼吸補助のために使用され、患者の肺の中へ空気を移動させるために陽圧を使用する吸気段階と、陽圧が解放され、患者が肺の弾力ゆえに受動的に息を吐き出す呼気段階との間で、周期を成す。人工呼吸器制御システムは、患者が呼吸をしたときに呼気周期を誘発して、患者の呼吸周期のためのサポートを提供しても良いし、または吸気と呼気の周期は、完全に人工呼吸器の制御下であっても良い。
【0005】
標準的な医療用空気/酸素混合機はバード(Bird)空気/酸素混合機で、それはバードによって特許文献1に開示された設計原則に従って一般に動き、特許文献1の開示は、ここに参照として組み込まれる。典型的な空気/酸素混合機は、ハウジングを有し、ハウジングは、ハウジングの底面に配置された空気供給入口と酸素供給入口D.I.S.S.器具を有している。ソースの空気と酸素は、典型的には、これらの入口に50psi(345kPa)の圧力で供給される。各々の入口器具は、ダックビル逆止バルブを含み、ダックビル逆止バルブは、混合機から空気供給または酸素供給への可能性のある逆向きのガスの流れを防ぐために、そのバルブのビルが混合機のハウジングの中で上方内向きを向く状態で配置されている。概念的には、ガス入口に他のタイプの逆止バルブを使用することは可能であるが、ダックビルバルブは空気/酸素混合機において、ボール逆止バルブに勝る重要な利点がある。特に、ダックビルバルブは非常に低い圧力と流れでさえ開き、したがって、低い流量でさえ即時の自由なガス流を提供する。その上、ダックビルバルブは、必要ならば非常に高い流量を提供する。空気/酸素混合機は、新生児から小児、大人まで、多くの異なる種類の患者に使われる。新生児患者に必要とされるガス流量が大人に必要とされるガス流量より、かなり少ないということが認識されるべきで、したがって、非常に低い流量でさえ開き、安定した恒常的なガス流を提供するダックビルバルブの能力は、患者の看護に非常に有益である。対照的に、他のタイプの逆止バルブは、流量の全範囲にわたって満足できる機能を提供しない可能性がある。たとえば、より高い開口圧力を必要とするスプリング式ボール逆止バルブは、低い新生児の流量で、開いて閉じる周期を成す可能性があり、パルスでガスを供給して、患者に供給されている空気内のO2濃度を不定にしうる。しかし、より低い開口圧力で開くスプリング式ボール逆止バルブを指定すると、ガスが他のガスより高い圧力で供給されるとき閉じないという潜在的問題があり、以下に記す圧力バランス・ステージの効果を危うくする。
【0006】
図1は、2つの圧力バランス・ステージと配合ステージがある空気/酸素混合機の略図である。圧力バランス・ステージは、空気と酸素の作動圧力を等しくする。ガスソースは、混合機の下部に入り、それらはシャトル・スプールのそばを通り過ぎる。空気と酸素の圧力が互いに特定のpsi範囲内(通常20psiまたは30psi)のままであるならば、このスプールはリード・アラーム交差チャンネル中で浮遊し、通常、中心に置かれたままである。したがって、スプールはリード・アラーム縦チャンネルでリード・アラームに合わせてガスの通過を妨害する。ガスは、第1のバランス・ステージに引き続く。
【0007】
第1のバランス・ステージは、弾性ダイヤフラムによって分けられた空洞を含む。ダイヤフラムは、空洞を2つの室、空気室と酸素室に分ける。バルブスプールは伸びて、ダイヤフラムに接合される。バルブスプールの各先端は、たとえばボールまたは円盤または円錐台形要素であっても良いバルブ閉じ構造を有している。空気室と酸素室の各々は、開口および/またはバルブスプールが伸びる通路を有し、開口および/または通路を閉じるためのバルブ閉じ構造に対するバルブシートを有する。
【0008】
空気と酸素は、空洞の両側で、空気室内と酸素室内に入る。空気圧と酸素圧とが等しいならば、ダイヤフラムは動かず、空気と酸素は供給された圧力で流れる。一方のガスが、より高い圧力であるならば、ダイヤフラムは、より低圧の室の方へ動き、同時に、より高圧の室内ではバルブスプールのバルブ閉じ構造をバルブシートの方へ動かし、より低圧の室内ではバルブスプールのバルブ閉じ構造をバルブシートから遠ざけるよう動かし、空気室内の圧力と酸素室内の圧力とを大体等しくする。
【0009】
ガスは第1のステージと同じである第2の圧力バランス・ステージへと続き、第2の圧力バランス・ステージでは、ダイヤフラムはソース圧力のどのような違いにでも反応して、空気室内と酸素室内の空気圧と酸素圧を調節するためにバルブスプールを動かすことで、これらの圧力を等しくする。
【0010】
圧力バランス・ステージの後、ガスは配合ステージへと続き、フロントパネルのつまみでダイヤル入力されるパーセンテージに混ぜ合わせられる。配合ステージは、両端にバルブシートを有する両頭のバルブを備える。一方のバルブシートは空気の通過を制御し、他方のバルブシートは酸素の通過を制御する。フロントパネルのつまみは、特定のFiO2混合を設定するのに用いられる。つまみの設定値は、21%の酸素から100%の酸素にわたる。フロントパネルのつまみが反時計回りいっぱいの位置(21%)では、両頭のバルブは酸素の流れを完全に止め、空気だけを流れさせる。つまみを時計回りいっぱいの位置(100%)に調節することによって、空気の流れは妨げられ、酸素の流れだけを可能にする。
【0011】
両頭のバルブから供給された混合された空気/酸素は、ガス出口に届けられる。一般的に主要出口と低流補助出口があり、第3の低流出口がある場合もある。各々の出口は、ホースまたは他の装置が出口へ装着されない限り、ガスが出口を通過するのを防ぐ逆止バルブを有する。望ましくは、各々の出口は、混合機からのガスの放出を制御するためのオン/オフのバルブを有する。主要出口は一般的にハウジングの一方にあるので、都合の良いことには、流量計がそこに取り付けられても良く、出口オン/オフバルブを開閉するのに用いられても良い。
【0012】
図2は、低流補助出口を経由した空気/酸素混合の供給を示す。低流補助出口は、一般的にブリードポートを備えている。ブリードポートは、バルブを開けるブリードつまみで操作されるバルブによって制御される。ブリードは、一般的に、正確なO
2濃度の低流量を得るために必要である。ブリードポートのない出口は、毎分3リットル未満の流れで、フロントパネルつまみでの設定値にマッチしない酸素濃度でガスを供給するということが、よく観測される。このことは、入力ガス圧力における変動に起因する変動の結果であり、どのように、このことが要請された流量と濃度設定値と、相互作用するかによる。したがって、一般的な空気/酸素混合機において、ブリードポートは、高流混合機の15リットル/分未満の流れで、または中流混合機の6リットル/分未満の流れで、または低流混合機の3リットル/分未満の流れで、混合機を使用する場合、大気にガス混合物を取り出すのに用いられる。したがって、新生児患者への適用のような低流適用では、低流出口はブリードポートと共に使われることが、一般的である。
【0013】
ここで
図3に言及して、2つの入口の間の圧力の差が、選択されたpsiの差を上回る場合、リード・アラームは、起動されたハウジングの底にある。一般的に、選択されたpsiの差は、20psiまたは30psiである。2つのソース・ガスが圧力においてほとんど等しい場合、アラーム・バイパス・ポペットバルブはバイパス・チャンネルに位置し、両方のガスの流れを妨げる。選択されたpsiの差が発生するまで、ポペットバルブはそのままである。一旦、psiの差が選択された限度を超えることがポペットに適用されると、より高いガス圧はスプリング力に打ち勝ち、圧力はスプリング力と反対端の圧力に打ち勝つ。したがって、アラーム・チャンネル内に流入するためのガス(空気または酸素)のための経路をつくる。より高い圧力のガスは、また、直接混合機の出口ポートに流れて、圧力バランス・ステージと配合ステージを回避する。そのため、混合機出口の酸素濃度は、より高い圧力のガスの酸素濃度であるだろう。したがって、バイパス・メカニズムがリセットされるまで、混合機は酸素(100%)または空気(21%)(より高い圧力であるものどちらでも)を供給する。
【0014】
いくつかの例では、主要出口および/または補助出口から供給されるガスのO2濃度を確実に確認するために空気/酸素混合機と共に酸素測定システムを提供することが望ましいと考えられている。そのためには、特許文献2で記述されたように、電子酸素センサーが、ガス出口との流体連通で提供される。特許文献2の開示は、ここに参照として組み込まれる。
【0015】
標準的な空気/酸素混合機で使われるのに適している市販の酸素測定システムは、MaxO2 ME酸素センサーと、MaxO2 ME混合機キットを使用している空気/酸素混合機に据え付けられうるディスプレイとであって、両方とも、Maxtec,LLC、ソルトレークシティ・ユタから入手可能である。いくつかの実施例では、マニフォールドが、補助ガス出口に取り付けられても良く、マニフォールドを通して引き出されるガス流は、持続的に酸素測定システムにより測定されても良い。
【0016】
酸素測定システムと標準的な空気/酸素混合機の市販の組合せは、MaxBlend2であって、また、Maxtec,LLC、ソルトレークシティ・ユタから入手可能である。
【0017】
病院と他の医療設備では空気/酸素混合機と関連した患者の呼吸補助システムで予想外の酸素濃度に時々遭遇したと報告されている。ある場合には、患者の酸素飽和度が、空気/酸素混合機の設定値から得られるべきものより低かった。ある場合には、患者の酸素飽和度が、空気/酸素混合機の設定値から得られるべきものより高かった。ある場合には、ソースが空気の酸素含有量が、著しく21%を超えるものであるとわかった。ある場合には、ソースが酸素の酸素含有量が、100%未満の可能性があった。
【0018】
緊急時の即時使用のために空気/酸素混合機を待機状態にしておくことは、多くの病院と他の医療施設で一般的である。空気/酸素混合機は、ソースの空気と酸素に接続されている。流量計は、主要出口と補助出口の一方または両方に取り付けられていても良い。上記の課題は、ほとんどもっぱら、即時使用で利用可能に、患者の呼吸補助空気供給をする施設、特に新生児施設の環境にあるように思われる。空気/酸素混合機がソースの空気とソースの酸素に接続され続けず、流量計と患者の回路もまた主要出口または補助出口に接続され続けない場合は、課題は解決される。
【0019】
ソースの空気とソースの酸素がいくらか異なる圧力で供給されることは、一般的である。それら両方が正確に同じ圧力で空気/酸素混合機に届くことは、珍しい。観測された課題が、これらの圧力相違から生じる課題が原因で起こるということはありそうで、具体的には、フロントパネルのつまみが21%と100%の酸素の間のある中間の位置で設定されるならば、より高圧のガスは両頭の配合バルブを通過し、より低圧のガス・ライン内に入り、入口のダックビルバルブまで後退することはありそうである。ダックビルバルブがかなりの逆流を防止する一方で、まだバルブリップを通して若干の逆流漏出を許す可能性がある。もし、このことが起これば、より低圧のガス・ラインへの混合機からのガスの逆流を引き起こす。継時的に、ゆっくりした継続的なガスの逆流は、より低圧のソースの空気を、より高圧の酸素で汚染する、または、より低圧のソースの酸素を、より高圧のソースの空気で汚染する。
【0020】
したがって、より高圧のソースの酸素ラインは、ソースの空気が21%を超えるO2レベルを有する原因になりえる。あるいは、より高圧のソースの空気ラインは、ソースの酸素が100%未満のO2レベルを有する原因になりえる。このことは、今度は、空気酸素混合機がダイヤル入力されたFiO2を患者に正確に供給することができないということを意味し、潜在的に治療の進行を危うくする。供給ガス圧力と、時間の長さに応じて、空気/酸素混合機が、供給ラインと、ソースの空気とソースの酸素システムの内部バルブとに取り付けられ、汚染は1つのエリアに局所化されるか、または、より大きなセクションと潜在的には施設全体にさえ広がりうる。
【0021】
したがって、空気/酸素混合機に接続している低圧のソースの空気または酸素が、汚染される又は薄められる問題を解決する空気/酸素混合機が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】米国特許第3,727,627号明細書
【文献】米国特許第5,887,611号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、空気/酸素混合機に接続している低圧のソースの空気または酸素が、汚染される又は薄められる問題を解決することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の1つの実施例では、空気/酸素混合機は、第1のガス入口と、第2のガス入口と、配合バルブと、ガス出口とを備えたハウジングを含む。前記第1のガス入口は、第1のガス室と流体連通している。前記第2のガス入口は、第2のガス室と流体連通している。第1のガス入口と、第2のガス入口とは、各々の入口と室との間に配置されている逆止バルブを有する。1つの実施例では、前記逆止バルブは、ダックビルバルブである。前記配合バルブは、前記第1のガス室と、前記第2のガス室と、前記ガス出口と流体連通している。1つの実施例では、前記配合バルブは、付属のガス・チャンネルの端を開閉するように往復運動によって作動可能であって、それによって第1のガスまたは第2のガスまたは第1のガスと第2のガスの混合ガスを放出する、両端にバルブシートを有する両頭のバルブである。
【0025】
排気バルブは、前記配合バルブ及び前記ガス出口と流体連通しており、前記排気バルブからガスを抜くように、定期的に開く。望ましくは、前記排気バルブは、定期的に前記排気バルブを開く制御装置によって制御される、電気的に作動するバルブ、最も望ましくはソレノイドバルブである。望ましくは、前記制御装置は、排気バルブが開く頻度と、排気バルブが開く期間とを制御する。
【0026】
1つの実施例では、空気/酸素混合機は、付属の酸素分析器を備える。酸素分析器は、センシングチャンバ内に配置された酸素センサーと、ガスの酸素パーセンテージを表示するためのディスプレイを備える。1つのそのような実施例では、前記配合バルブとガス出口とは、酸素センサーを含むセンシングチャンバと流体連通しており、前記排気バルブは、前記センシングチャンバと流体連通しており、前記センシングチャンバからガスを抜く。
【0027】
他の実施例では、酸素分析器は、酸素センシングチャンバと流体連通している排気バルブを備えている。
【0028】
空気/酸素混合機に接続している低圧のソースの空気またはソースの酸素が、汚染されることを防ぐ方法であって、空気/酸素混合機は、第1のガス入口と、第2のガス入口と、配合バルブと、ガス出口とを備えたハウジングと、前記配合バルブ及び前記ガス出口と流体連通している排気バルブを含み、前記方法は、前記排気バルブからガスを抜くように、前記排気バルブを定期的に開くことを含む。1つの実施例では、前記排気バルブは、前記排気バルブからガスを抜くように定期的に前記排気バルブを開く制御装置によって制御される、電気的に作動する排気バルブ、望ましくはソレノイドバルブである。
【0029】
本発明の実施例の追加の機能及び詳細は、ここで、図面に関して述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】主要ガス出口を経由して混合ガスを出す、先行技術の空気/酸素混合機の略図である。
【
図2】補助ガス出口を経由して混合ガスを出す、先行技術の空気/酸素混合機の略図である。
【
図3】空気ソース圧力と酸素ソース圧力がアラームを起動させるために選択された設定値を上回る場合、起こっているアラーム状態を示す、先行技術の空気/酸素混合機の略図である。
【
図4】本発明に従った、付属する酸素測定システムとディスプレイを備えた空気/酸素混合機の正面と上面と左側の等角図である。
【
図5】空気/酸素混合機が取り外された、
図4の酸素測定システムとディスプレイの正面と上面と左側の等角図である。
【
図6】
図4の付属する酸素測定システムとディスプレイを備えた空気/酸素混合機の正面図である。
【
図7】
図4の付属する酸素測定システムとディスプレイを備えた空気/酸素混合機の左側面図である。
【
図8】
図4の付属する酸素測定システムとディスプレイを備えた空気/酸素混合機の正面と底面と左側の等角図である。
【
図9】酸素分析器マニフォールドを通るガス流経路を示すために仮想線で内部の構成要素を表した酸素分析器マニフォールド92を備えた
図8の空気/酸素混合機である。
【
図10】酸素分析器マニフォールドを通るガス流経路を示すために仮想線で内部の構成要素を表した、
図8および9の空気/酸素混合機の酸素分析器マニフォールドの詳細図である。;
【
図11】酸素分析器マニフォールドを通るガス流経路を示すために仮想線で内部の構成要素を表した酸素分析器マニフォールド92を有する
図4の付属の酸素測定システムとディスプレイを備えた空気/酸素混合機の底面図である。
【
図12】
図4の空気/酸素混合機のガス入口の分解図である。
【
図13】本発明に従った、付属の酸素測定システムとディスプレイを備えた空気/酸素混合機の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図4ー13に関して、空気/酸素混合機10が示されている。空気/酸素混合機10は、空気と酸素を混ぜることで、21%ー100%酸素(0.21ー1.0FiO
2)に及ぶ患者の呼吸空気を提供可能とする。空気/酸素混合機10は、一般に、上述したように特許文献1によって、作用する。
【0032】
空気/酸素混合機10は、第1のガス入口24と、第2のガス入口26を有する金属またはプラスチックのハウジング20を含む。ガス入口24とガス入口26は、ハウジング20の底面22に配置されるD.I.S.S.器具であり、病院分配システムを通して提供される、または、圧力調整器を介して圧縮ガスのタンクから直接提供される、50psi(345kPa)の圧力で供給されるソースの空気供給とソースの酸素供給に、管を介して接続することを意図する。ガス入口24(空気入口)とガス入口26(酸素入口)は、それぞれの中に備えられた微粒子フィルタ28、30を有する。微粒子フィルタ28、30は、30ミクロン・フィルタまたは48ミクロン・フィルタを含んでも良い。ガス入口24とガス入口26の各々は、入口内にそれぞれ配置されているダックビル逆止バルブ32、34を含み、そのバルブのビルは混合機のハウジング20内で上方内向きを向く状態である。
【0033】
空気/酸素混合機10には、2つの圧力バランス・ステージ12、14と配合ステージ16がある。
【0034】
第1のバランス・ステージ12は、弾性ダイヤフラム42によって分けられた空洞40を含む。ダイヤフラム42は、空洞を、第1室44と第2室46に分ける。図では、第1室44は空気室であり、第2室46は酸素室である。入口室48は、第1室44に隣接しており、他の入口室50は、第2室46に隣接している。
【0035】
バルブスプール52は、伸びて、ダイヤフラム42に接合され、入口室48および第1室44および第2室46および他の入口室50を通って伸びる。
【0036】
バルブスプール52の反対端または反対部分は、入口室48内に配置されたボール54と、入口室50内に配置されたボール56のようなバルブ閉じ構造である。バルブシート58は、入口室48と第1室44との間の開口内に位置し、バルブシート60は、入口室50と第2室46との間の開口内に位置する。ボール54は、バルブシート58に座し、ボール56は、バルブシート60に座す。バルブスプール52は、その両端に、スプールを中心位置に付勢するコイルばねを任意に備えていても良い。
【0037】
空気は、入口室48および第1室44に流体連通している第1のガス入口24から入る。酸素は、入口室50および第2室46に流体連通している第2のガス入口26から入る。もし空気圧と酸素圧が等しければ、ダイヤフラム42は動かず、空気と酸素は、供給された圧力で流れる。もし一方のガスが、より高圧であれば、ダイヤフラム42は、より低圧の室の方へ動き、同時に、より高圧の室内ではバルブスプール52とバルブ閉じ構造(例えばボール54またはボール56)をバルブシート58、60の方へ動かし、同時に、より低圧の室内ではバルブ閉じ構造(例えばボール54またはボール56)をバルブシート58、60から遠ざけるよう動かす。
【0038】
ガスは第1のステージ12と同じである第2の圧力バランス・ステージ14へと続き、第2の圧力バランス・ステージ14では、ダイヤフラム142はソース圧力のどのような違いにでも反応して、空気室内と酸素室内の空気圧と酸素圧を調節するためにバルブスプール152を動かすことで、これらの圧力を等しくする。
【0039】
圧力バランス・ステージ12、14の後、ガスは配合ステージ16へと続き、フロントパネルのつまみ70でダイヤルインされるパーセンテージに、配合バルブ72によって混ぜ合わせられる。配合ステージ16は、第1ガス室44および第2ガス室46および1以上のガス出口と、流体連通している。配合バルブ72は、両端にバルブシートを有する両頭のバルブである。一方のバルブシートは空気の通過を制御し、他方のバルブシートは酸素の通過を制御する。フロントパネルのつまみは、特定のFiO2混合を設定するのに用いられる。つまみの設定値は、21%の酸素から100%の酸素にわたる。フロントパネルのつまみが反時計回りいっぱいの位置(21%)では、両頭のバルブは酸素の流れを完全に止め、空気だけを流れさせる。つまみを時計回りいっぱいの位置(100%)に調節することによって、空気の流れは妨げられ、酸素の流れだけを可能にする。混合された空気/酸素は、配合ステージ16から1以上のガス出口80、82、84に届けられる。各々の出口は、ホースまたは他の装置が出口へ装着されない限り、ガスが出口を通過するのを防ぐ逆止バルブを有する。望ましくは、各々の出口は、混合機からのガスの放出を制御するためのオン/オフのバルブを有する。出口80は、ハウジング20の一方に配置された主要出口である。出口82は、ハウジング20の下面に配置された低流補助出口である。
【0040】
空気/酸素混合機10は、付属の酸素分析器90を備える。酸素分析器90は、補助出口82に据え付けるよう適合されたマニフォールド92を備えており、補助出口82は、配合ステージ16から届けられた混合された空気/酸素を、センシングチャンバ96にある酸素センサー94まで届けるための内部チャンネルを含む。センシングチャンバ96は、配合ステージ16および1以上の出口80、82、84と流体連通している。酸素センサー94は、2本の電極および膜および電解質を有するガルバニック分圧センサーを含んでも良い。酸化が鉛のアノードで起こるのと同時に、酸素は膜を通して拡散し、金のカソードで反応し、電流を発生させて、電圧出力を提供する。使用中の場合、混合された空気/酸素は1分につき1リットルのガス流で連続的な流れで酸素センサー94に届けられる。酸素分析器90は、酸素分析器90で測定されたガス酸素パーセンテージを表示する電気ディスプレイ・スクリーン98を備えている。
【0041】
空気/酸素混合機10は、配合バルブ72およびガス出口に流体連通している排気バルブ100を備える。排気バルブ100は、手動で作動可能であっても良いし、電気的に作動しても良い。排気バルブ100は空気/酸素混合機10からガスを排出し、それによってシステムの圧力を解放する。圧力の解放は2つのガス・ソース間のどんな圧力アンバランスも軽減し、それによって、より高圧のソースのガス・ラインからのガスで、より低圧のソースのガス・ラインを汚染すること又は薄めることを防ぐ。
【0042】
望ましくは、排気バルブ100は空気/酸素混合機10からガスを抜くために、定期的に自動的に開く。望ましくは、排気バルブ100は電気的に作動するバルブ、最も望ましくはソレノイドバルブであり、排気バルブ100を開くために排気バルブ100を定期的に動かす制御装置102により制御される。1つの実施例において、ソレノイドバルブは、2ポジションのラッチングソレノイドバルブである。ラッチングソレノイドは、電力の恒常的な使用なしでセットポジションを維持するために、電気電流パルスまたは内部の永久磁石を使用する。ラッチングソレノイド(双安定ソレノイドとしても知られる)は、プランジャーが完全に伸びている非通電と、プランジャーが永久磁石によってポジションに保持されている非通電の、2つの標準的なポジションがある。
【0043】
制御装置102は、ソレノイドバルブの開/閉状態を切り替えるために、5Vの電力を10-30msのパルスでソレノイドバルブに供給する。このように、制御装置102が空気/酸素混合機10からガスを抜くためにソレノイドバルブの開状態を作動させても良く、この後は、開状態を維持するために更なる電力は必要ではない。それから、制御装置102がソレノイドバルブの閉状態を作動させても良く、この後は、閉状態を維持するために更なる電力は必要ではない。
【0044】
制御装置102は、排気バルブ100が開く頻度と、排気バルブ100が開く期間との両方を制御する。別の実施例では、異なる排気サイクルが実行されても良い。ある実施例では、排気バルブ100は、24時間おきに1回、5分間、ガスを抜くために作動される。ほかの作動頻度が使用されても良く、例えば、12時間おきに1回、6時間おきに1回、3時間おきに1回、1時間おきに1回、30分おきに1回などである。作動頻度は、局所条件により決定されるどのような適切な期間でもあっても良く、一般にこれが1日1回の出来事である必要があるが、それはより頻繁でありえ、1または数時間、または1または数分、または1または数秒おきに1回を含む。これらの異なるサイクルは、メーカーによって設定されて、制御装置102で予めプログラムされる。排気バルブ100の開期間は、どんな圧力差の消失も可能とするのに十分でなければならない。30秒~5分の開期間が、一般的には十分である。
【0045】
いくつかの場合では、より高頻度で排気バルブを開くことが望ましい可能性がある。例えば、制御装置102が排気バルブ100を、排気バルブ100が、(1)30秒おきに10秒間開かれる(2)60秒おきに10秒間開かれる(3)90秒おきに15秒間開かれる(4)120秒おきに15秒間開かれる(5)180秒おきに15秒間開かれる、ように作動させても良い。
【0046】
いくつかの実施例では、制御装置は、ユーザーが制御装置を使って、排気バルブ100が開く頻度と、排気バルブ100が開く期間との一方または両方を選択できるようにしても良い。しかし、これらの設定におけるユーザーエラーの可能性を最小にするために、排気バルブ100が開く頻度と、排気バルブ100が開く期間は、メーカーによって設定されることが望ましい。
【0047】
いくつかの実施例では、制御装置102の機能は、酸素分析器90のディスプレイ98に組み込まれて、ディスプレイ98を通してアクセスされる。
【0048】
排気バルブ100は、空気/酸素混合機10のハウジング20の、または、酸素分析器90のマニフォールド92の任意の都合の良い位置に配置されている。
図4-11で示された実施例では、排気バルブ100はマニフォールド92に配置されている。
図9-11に見られるように、排気バルブ100は、隣接した補助出口82から排気バルブ100まで伸びるチャンネル108を介して、空気酸素混合機10と流体連通している。更なるチャンネル104がセンシングチャンバ96に接続している。
【0049】
他の実施例では、
図10に示されたように、マニフォールド92は、空気/酸素混合機およびディスプレイ・ユニットと分離して別に備えられても良く、入口ポートから排気バルブ100まで、それからチャンネル104を介して酸素センシングチャンバ96および酸素分析器94までを接続しているチャンネル108を含む。
【0050】
排気バルブ100は、空気/酸素混合機10に接続された、より低圧のソースの空気またはソースの酸素の汚染防止方法を提供する。空気/酸素混合機10からガスを抜くために排気バルブを定期的に開くことにより、それぞれ、圧力が、より低圧のソースの空気またはソースの酸素が、より高圧のソースの酸素またはソースの空気によって汚染されるか、薄められる点まで高まることを防ぐ。
【0051】
発明は、部分、機能など特定の取り合わせに関して記述されたが、これらはすべてのあり得る取り合わせまたは機能を余す所なく述べたつもりではない。実際に、他の多くの修正と変更が当業者に確かめられる。
【0052】
(付記1)
空気/酸素混合機あって、
第1のガス入口と、第2のガス入口と、配合バルブと、ガス出口とを備えたハウジングを含み、
前記第1のガス入口は、第1のガス室と流体連通しており、
前記第2のガス入口は、第2のガス室と流体連通しており、
前記配合バルブは、前記第1のガス室と、前記第2のガス室と、前記ガス出口と流体連通しており、
空気/酸素混合機は、
前記配合バルブ及び前記ガス出口と流体連通している排気バルブを含み、
前記排気バルブは、前記排気バルブからガスを抜くように、定期的に開く、
空気/酸素混合機。
【0053】
(付記2)
前記排気バルブは、定期的に前記排気バルブを開く制御装置によって制御される、電気的に作動するバルブである付記1に記載の空気/酸素混合機。
【0054】
(付記3)
前記制御装置は、排気バルブが開く頻度と、排気バルブが開く期間とを制御する付記2に記載の空気/酸素混合機。
【0055】
(付記4)
前記排気バルブは、ソレノイドバルブである付記3に記載の空気/酸素混合機。
【0056】
(付記5)
前記配合バルブとガス出口とは、酸素センサーを含むセンシングチャンバと流体連通している付記1に記載の空気/酸素混合機。
【0057】
(付記6)
前記排気バルブは、前記センシングチャンバと流体連通しており、前記センシングチャンバからガスを抜く付記5に記載の空気/酸素混合機。
【0058】
(付記7)
前記酸素センサーに電気的に接続された、酸素分析器および酸素パーセンテージ・ディスプレイを更に含む付記5に記載の空気/酸素混合機。
【0059】
(付記8)
逆止バルブが、前記第1のガス入口と前記第1のガス室との間、および、前記第2のガス入口と前記第2のガス室との間に配置されている付記1に記載の空気/酸素混合機。
【0060】
(付記9)
前記逆止バルブは、ダックビルバルブである付記8に記載の空気/酸素混合機。
【0061】
(付記10)
前記配合バルブは、付属のガス・チャンネルの端を開閉するように往復運動によって作動可能であって、それによって第1のガスまたは第2のガスまたは第1のガスと第2のガスの混合ガスを放出する、両端にバルブシートを有する両頭のバルブである付記1に記載の空気/酸素混合機。