(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】食品カウンタ装置
(51)【国際特許分類】
G06M 7/00 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
G06M7/00 311Z
G06M7/00 301B
(21)【出願番号】P 2021174105
(22)【出願日】2021-10-25
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】393009323
【氏名又は名称】オグラ金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】小倉 勝興
(72)【発明者】
【氏名】川田 潤
(72)【発明者】
【氏名】矢島 直登
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-511423(JP,A)
【文献】特開2011-213471(JP,A)
【文献】実開平3-3069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M 7/00
B65B 1/00-3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物が投入される投入口が形成された載置板部を有する基台と、
前記投入口の下方に設けられ前記投入口から落下する前記加工物を検知するセンサと、
前記センサの検知結果に基づいて前記加工物を計数する制御装置と、を具備し、
前記制御装置は、前記センサによる検知時間の長さに基づいて前記加工物を判別して前記加工物の計数を行うことを特徴とする食品カウンタ装置。
【請求項2】
前記投入口の側部及び後部には、前記載置板部の上方及び下方に突出するガイド板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食品カウンタ装置。
【請求項3】
前記ガイド板は、前記載置板部の上方に突出し前記投入口の側部から前記載置板部の上面に沿って前方に延在する載置板ガイド部を有することを特徴とする請求項2に記載の食品カウンタ装置。
【請求項4】
前記基台は、前記載置板部と、前記載置板部の前方端部から下方に延在して前記載置板部を支持する縦板部と、前記縦板部の下方端部から前方に延在して作業台に固定される底板部と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の食品カウンタ装置。
【請求項5】
前記縦板部は、上部が前方になるよう傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の食品カウンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品を計数する食品カウンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工食品その他各種製品の製造工場等において、カウンタ装置を利用して生産品等の計数を行うことが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、所定の3次元形状及び大きさに製剤化された医薬用または食品用の成形物を計数するための計数器が開示されている。同文献に開示された計数器は、成形物を貯蔵するための貯蔵部と成形物を通過させて計数するための複数の貫通孔からなる計数部とが設けられた計数盤と、この計数盤をスライド可能に載置するための載置面部を有している載置台と、載置台の一部に設けられて計数盤の計数部における貫通孔を通過した成形物を集めて落下させるためのホッパーを備えている。
【0004】
使用者によって貯蔵部に貯蔵された錠剤は、計数器において、全ての貫通孔に1つずつ嵌め込まれた第1のグループと、貫通孔に嵌め込まれていない第2のグループと、に分けられる。そして、第2のグループの錠剤が貯蔵部へ返却され、貫通孔に嵌め込まれ第1のグループの錠剤がホッパーに送られ包装用の袋や箱等の中へ落下する。
【0005】
また例えば、特許文献2には、ブロワーと、該ブロワーに接続された吸着ノズルと、該ノズルの上部に取り付けられた近接センサと、を有する食品固形物の吸着計数装置が開示されている。吸着ノズルの下方先端内部にはノズル口からの吸引風量の変化によって進退するフロートが設けられており、該フロートには近接センサによって検知される被検知部が設けられている。
【0006】
同文献に開示された食品固形物の吸着計数装置では、ノズル口に食品固形物が吸着されていない未吸着時は、吸い込み風量が大きいために、ノズル内部のフィンにより発生する揚力でロッドが持ち上がり、その上端を近接センサが検知する。他方、食品固形物が吸着されると、ノズル内の吸引風量が低下し、ロッドは自重で落下する。その時、ロッドが近接センサの検知部から外れるので、そのことが吸着確認信号として制御部に取り込まれ計数充填制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-285927号公報
【文献】特開2005-190157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術のカウンタ装置では、形状や大きさ、重量等が異なる加工食品等を正確にカウントできないとういう問題点があった。
【0009】
具体的には、特許文献1に開示された従来技術のように、成形物が一つずつ嵌め込まれる複数の貫通孔を利用して成形物の計数を行うカウンタ装置では、形状の異なる計測対象物の計数が難しい。例えば、貫通孔よりも僅かに大きい計数対象物は、貫通孔に嵌め込まれることがなく、計数されない。
【0010】
また、カウンタ装置に送られる計数対象の食品加工物等に、氷の粒や塊、水滴等の計数対象物以外の物質が混在している場合、それら計数対象物でない物質が貫通孔に侵入し貫通孔が塞がれ、誤計数が発生する恐れがある。
【0011】
また、特許文献2に開示された従来技術のように、昇降するフロートを利用して計数対象物の吸着を判定して計数を行うカウンタ装置においても、形状、大きさ、重量等が異なる計数対象物が混在している場合、フロートの昇降条件と計数対象物の数との関係が変化し、正確な計数ができなかった。また、氷等の異物混在によっても計数に誤差が生ずる。
【0012】
そのため、従来技術のカウンタ装置は、例えば、輸送等のために冷凍された魚介類等の加工を行う水産加工工場等においては、加工した水産物の切り身等を正確にカウントすることができなかった。
【0013】
従来、魚類の切り身加工等を行う作業者は、魚類等を包丁で切断して切り身にした後、加工した切り身等の数を作業者自身が手作業で数えて記録する作業を行っていた。そのため、作業者の作業負担が大きく、生産性を高めることが困難であった。また、計数ミスが発生することもあり、改善が望まれていた。
【0014】
また、従来の高精度な解析を行う生産品自動検査装置等は、その構造が複雑で、設置や移動が容易ではない。そのため、加工食品に応じて作業テーブル等を頻繁に移動して作業状態を変更する水産物加工工場等においては、作業内容に応じて設置、移動、計数設定等を容易に行える食品カウンタ装置が求められていた。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、形状や大きさ、重量等が異なる食品加工物を効率良く正確に計数することができ、且つ作業環境に合わせて容易に移動、設置、計数設定できる食品カウンタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の食品カウンタ装置は、加工物が投入される投入口が形成された載置板部を有する基台と、前記投入口の下方に設けられ前記投入口から落下する前記加工物を検知するセンサと、前記センサの検知結果に基づいて前記加工物を計数する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記センサによる検知時間の長さに基づいて前記加工物を判別して前記加工物の計数を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の食品カウンタ装置によれば、加工物が投入される投入口が形成された載置板部を有する基台と、前記投入口の下方に設けられ前記投入口から落下する前記加工物を検知するセンサと、前記センサの検知結果に基づいて前記加工物を計数する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記センサによる検知時間の長さに基づいて前記加工物を判別して前記加工物の計数を行うことを特徴とする。このような構成により、形状、大きさ、重量が異なり更に氷の粒等が混在する食品加工物であっても効率良く正確に計数することができる。
【0018】
具体的には、投入口に投入されて落下する加工物は、センサによって検知され、検知時間の長さを基に判別されてカウントされる。よって、切断部分によって形状や大きさ、重量が大きく異なる魚類の切り身等の食品加工物であっても、正確に判別されて計数される。また、氷の粒や塊、水滴等が同時に投げ込まれても計数対象物ではないことが判別されるので、誤計数されることはなく、正確な計数結果が得られる。
【0019】
また、魚類の切り身等を加工した作業者は、その加工物を載置板部に載せて投入口に容易に挿入することができる。そして、投入口に挿入された加工物は落下して、上記のとおり正確に計数された後、下方に置かれた番重等に収容される。よって、作業者の負担は小さく、効率的な作業が行われ、食品加工の生産性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の食品カウンタ装置によれば、前記投入口の側部及び後部には、前記載置板部の上方及び下方に突出するガイド板が設けられても良い。これにより、加工物は、作業者によって前方から投げ込まれるように高速に送り込まれても、ガイド板に衝突してガイドされ、載置板部から外側に落下することなく、投入口に落下する。そして、加工物が略水平方向に高速度に投げ込まれても、加工物の落下速度は所定の範囲内に正確に調整される。よって、加工物の正確な判別と計数が可能となる。
【0021】
また、本発明の食品カウンタ装置によれば、前記ガイド板は、前記載置板部の上方に突出し前記投入口の側部から前記載置板部の上面に沿って前方に延在する載置板ガイド部を有しても良い。これにより、作業者によって送り込まれた加工物は、載置板ガイド部に進行方向をガイドされ、載置板部の側方からの落下が防止される。よって、作業性が高められると共に、加工物が番重等の外に落下することによる不良品の発生が抑えられ、生産性が向上する。
【0022】
また、本発明の食品カウンタ装置によれば、前記基台は、前記載置板部と、前記載置板部の前方端部から下方に延在して前記載置板部を支持する縦板部と、前記縦板部の下方端部から前方に延在して作業台に固定される底板部と、を有しても良い。このような構造により、作業者は、切り身加工等を行う作業台の上面周囲縁部近傍に底板部を固定し、載置板部の投入口の下方に加工物を収容して搬送するための番重等を載置し、食品カウンタ装置の設置及び設定、並びに食品カウンタ装置を利用した食品加工及び計数等を容易に行うことができる。また、底板部の上面には、加工物の重量を計測する重量計等を設置することもできる。よって、生産性に優れた作業環境を効率良く構築することができる。
【0023】
また、本発明の食品カウンタ装置によれば、前記縦板部は、上部が前方になるよう傾斜していても良い。これにより、底板部の上面に重量計等を載置した場合において、重量計等と載置板部との間に加工物が落下することを防止することができる。よって、効率的な食品加工及び計数が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置のカウンタユニットを前方側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置のカウンタユニットを後方側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置のカウンタユニットの平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置のカウンタユニットの断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置の表示装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る食品カウンタ装置1を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、食品カウンタ装置1の使用状態の概略を示す斜視図である。
図1を参照して、食品カウンタ装置1は、例えば、水産物加工工場等の食品加工工場において、魚の切り身等の加工物を計数する装置である。
【0026】
食品カウンタ装置1は、計数対象の加工物が投入されるカウンタユニット2と、計数結果を表示する表示装置3と、カウンタユニット2からの加工物検知情報を基にして加工物を計数する制御装置4と、を有する。
【0027】
食品カウンタ装置1のカウンタユニット2は、作業者が加工作業を行う作業台50等に固定される。また、表示装置3は、作業台50の上部等に載置される。カウンタユニット2及び表示装置3の詳細については後述する。
【0028】
作業台50は、加工対象物が載置されるテーブル等である。作業台50には、包丁を使用して魚等を切り身にする加工等で加工対象物を載せるために用いられる、まな板52が載置されても良い。また、作業台50には、加工材料となる魚介類等が入れられた材料用番重53等が載置されても良い。
【0029】
また、作業台50には、例えば、カウンタユニット2の底板部11の上部に、加工物の重量を計測する重量計51等が載置されても良い。重量計51は、包丁等で切断された魚の切り身等の重量を測定する、例えば、デジタル表示式の上皿電子はかりである。
【0030】
作業台50の側方のカウンタユニット2の下方には、カウンタユニット2でカウントされた加工物が収容される番重54が載置される。番重54は、加工物を入れて搬送するための容器であり、移動可能な架台55上に複数段重ねて載置されても良い。加工物は、カウンタユニット2から落下し、番重54に収められて、その後移送される。
【0031】
制御装置4は、カウンタユニット2からの検知情報を基に加工物の計数を行う装置である。制御装置4は、キャスタ44を備えた移動可能な支持台43と、支持台43に支持された制御ボックス40と、を有し、作業台50の下方等、作業の邪魔にならない場所に配置される。制御装置4は、キャスタ44に支持されているので、移動が容易である。
【0032】
制御ボックス40は、防水性のボックスであり、制御ボックス40の内部に計数を実行する制御回路が構成されている。具体的には、制御ボックス40の内部には、図示を省略するが、計数演算を実行するPLC(Programmable Logic Controller)の他、電源装置、リレー、アンプユニット、漏電ブレーカ等が設けられている。また、制御ボックス40には、電源スイッチ41や、電源のON・OFFを示す電源ランプ42等が設けられても良い。
【0033】
図2は、カウンタユニット2の概略を示す斜視図であり、加工物を送る方向に向かって左斜め上から見た図である。
図2に示すように、カウンタユニット2は、加工物が投入される投入口16が形成された載置板部14を有する基台10を備えている。
【0034】
基台10は、例えば、ステンレス鋼板等の鋼板から略Z形状に曲折形成された部材である。具体的には、基台10は、略水平な略方形板状の載置板部14と、上下方向に延在して上端部近傍で載置板部14の端部近傍を支持する略方形板状の縦板部12と、縦板部12の下端部近傍を支持する略水平な略方形板状の底板部11と、を有する。
【0035】
以下の説明では、底板部11側を前方、載置板部14側を後方、と称する。上述のとおり基台10は、側面視略Z形状に曲折形成されており、投入口16が形成された載置板部14と、載置板部14の前方端部近傍から下方に延在して載置板部14を支持する縦板部12と、縦板部12の下方端部近傍から前方に延在して作業台50(
図1参照)に固定される底板部11と、を有する。
【0036】
図1及び
図2を参照して、底板部11は、作業台50の上面の縁部近傍に固定されカウンタユニット2を支持する。カウンタユニット2は、載置板部14が作業台50の上面の縁部より外側に位置するよう固定されている。これにより、載置板部14は、番重54の上方に位置することになる。
【0037】
図2を参照して、載置板部14は、加工物が載せられる部材であり、載せられて送り込まれる加工物を支持する。載置板部14には、加工物が投入される投入口16が形成されている。作業者によって載置板部14に載せられた加工物は、投入口16に送り込まれて下方に落下する。
【0038】
投入口16の両側部及び後部には、載置板部14の上方及び下方に突出するガイド板20が設けられている。具体的には、ガイド板20は、例えば、各種鋼板等から曲折成形された部材であり、投入口16の両側部において載置板部14の端部を覆う側壁部21と、投入口16の後部において載置板部14の端部を覆う側壁部21と、を有する。そして、ガイド板20は、投入口16に投げ込まれる加工物の落下をガイドする。
【0039】
このようなガイド板20が設けられることにより、加工物は、作業者によって前方から投げ込まれるように高速で送り込まれても、ガイド板20に衝突してガイドされる。よって、加工物は、載置板部14から外側に落下することなく、投入口16に落下する。また、加工物が略水平方向に高速度に投げ込まれても、加工物とガイド板20との衝突によって、加工物の落下速度は所定の範囲内に正確に調整される。よって、加工物の正確な判別と計数が可能となる。
【0040】
ガイド板20には、載置板部14の上方に突出し投入口16の側部から載置板部14の上面に沿って前方に延在する載置板ガイド部22が形成されている。これにより、作業者によって載置板部14の上面に送り込まれた加工物は、載置板ガイド部22に進行方向をガイドされ、載置板部14の側方からの落下が防止される。よって、作業性が高められると共に、加工物が番重54(
図1参照)の外に落下することによる不良品の発生が抑えられ、生産性が向上する。
【0041】
底板部11と縦板部12の接合部近傍には、底板部11及び縦板部12を支持する略3角形板状の支持部材25が設けられている。支持部材25は、例えば、各種鋼板等から曲折成形された部材であり、底板部11の上面と縦板部12の前面に固定されている。
【0042】
載置板部14と縦板部12の接合部近傍には、載置板部14及び縦板部12を支持する略3角形板状の支持部材26が設けられている。支持部材26は、例えば、各種鋼板等から曲折成形された部材であり、載置板部14の下面と縦板部12の後面に固定されている。
【0043】
このように、支持部材25、26が設けられ、基台10の載置板部14、縦板部12及び底板部11が支持されることにより、基台10は、載置板部14の上面に載置される加工物の荷重に耐えることができる。即ち、カウンタユニット2は、軽量でありながら優れた強度を有する。
【0044】
縦板部12の左右両端部近傍には、側板部13が形成されている。側板部13は、例えば、縦板部12の辺部近傍を曲折することによって形成される。このように側板部13に側板部13が形成されることにより、側板部13の強度を上げ、基台10を構成する鋼板等を薄いものとしてカウンタユニット2の軽量化を図ることができる。
【0045】
また同様に、載置板部14の左右両端部近傍には、側板部15が形成されている。側板部15は、例えば、載置板部14の辺部近傍を曲折することによって形成される。このように載置板部14に側板部15が形成されることにより、載置板部14の強度を確保しつつ基台10を構成する鋼板等を薄くしてカウンタユニット2の軽量化を図ることができる。よって、作業者は、カウンタユニット2の搬送及び作業台50への取り付け取り外しを容易に行うことができる。
【0046】
図3は、カウンタユニット2の後方から向かって右斜め上から見た概略を示す斜視図である。
図3に示すように、載置板部14の後端部近傍には、背面部材27が設けられている。また、載置板部14の後端部近傍の左右両側部近傍には、側面部材28が設けられている。背面部材27及び側面部材28は、例えば各種鋼板等から曲折成形された部材である。
【0047】
背面部材27及び側面部材28が設けられることにより、投入口16の下方に設けられた加工物を検知する光電センサ30(
図4参照)の後方及び側方が背面部材27及び側面部材28に覆われる。これにより、光電センサ30の防水が図られると共に光電センサ30による加工物の検知性能が向上する。
【0048】
投入口16の後部に設けられた後壁部23の上端部近傍には、端辺に沿って後方に曲折された曲折部24が形成されている。このような曲折部24が形成されることにより、後壁部23の強度を高めることができる。また、後壁部23の上端辺部に上方から加工物が接触して加工物が傷付くことを防止することができる。
【0049】
投入口16の前部には、載置板部14から下方に延在する前壁部17が形成されている。前壁部17は、例えば、載置板部14の投入口16側の端部近傍から下方に曲折成形されても良い。このような前壁部17が形成されることにより、投入口16内の加工物の落下をガイドして、計数のための正確な加工物検知が可能となる。
【0050】
図4は、カウンタユニット2の概略を示す平面図である。
図4に示すように、投入口16は、上面視略長方形状の形態を成す。即ち、投入口16は、短手が載置板部14の前後方向、長手が載置板部14の左右方向になるよう形成されている。これにより、加工物を高精度に検知できるよう落下させることができる。
【0051】
載置板部14の下方であって、投入口16の側端部近傍、即ち短辺の外側近傍には、落下する加工物を検知するセンサである光電センサ30が設けられている。光電センサ30は、光の変化により物質の有無を検出するセンサであり、光を出す投光器31と、光を受ける受光器32と、を有する。
【0052】
具体的には、投入口16の左右一方の端部外側近傍には、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を有し、赤外線、赤色、青色、緑色等の光を発する投光器31が設けられている。投入口16の他方の端部外側近傍には、投光器31で発せられた光を受ける受光器32が設けられている。
【0053】
加工物が投入口16内を落下して投光器31の前を通過すると、投光器31から投光された光が加工物によって遮られ、受光器32に到達する光の量が変化する。受光器32における受光の変化が電気信号に変換され出力され、その電気信号が制御装置4(
図1参照)に送られる。
【0054】
このような透過形の光電センサ30が設けられることにより、高速度且つ高精度に加工物の落下を検知することができる。即ち、透過形の光電センサ30は、検知距離が長く、安定した動作で、形状、大きさ、色等が異なり、傾きや落下経路等が異なる加工物を正確に検知することができる。なお、光電センサ30は、拡散反射形、回帰反射形等、その他の形式でも良い。
【0055】
図1ないし
図4を参照して、制御装置4は、光電センサ30による加工物の検知結果に基づいて、加工物の計数を行う。具体的には、制御装置4は、光電センサ30による加工物の検知時間の長さに基づいて加工物を判別して、加工物の計数を行う。このような計数の演算により、形状、大きさ、重量が異なり更に氷の粒等が混在する食品加工物であっても、効率良く正確に加工物を計数することができる。
【0056】
具体的には、投入口16に投入されて落下する加工物は、光電センサ30によって検知され、検知時間の長さを基に判別されてカウントされる。よって、切断部分によって形状や重量が大きく異なる魚類の切り身等の食品加工物であっても、正確に判別されて計数される。また、氷の粒や塊、水滴等が同時に投げ込まれても計数対象物ではないことが判別されるので、誤計数されることはなく、正確な計数結果が得られる。
【0057】
また、魚類の切り身等を加工した作業者は、その加工物を載置板部14に載せて投入口16に容易に挿入することができる。そして、投入口16に挿入された加工物は落下して、上記のとおり正確に計数された後、下方に置かれた番重54に収容される。よって、作業者の負担は小さく、効率的な作業が行われ、食品加工の生産性を向上させることができる。
【0058】
図3及び
図4を参照して、前述のとおり、投入口16の前方には、左右一対の載置板ガイド部22が設けられている。載置板ガイド部22は、投入口16の両側部に形成された側壁部21の前方端部近傍から、載置板部14の上面に沿って、載置板部14の前方角部近傍に延在している。
【0059】
換言すれば、両側部の載置板ガイド部22は、前方が載置板部14の幅に略等しく幅広で、後方が投入口16の幅に略等しく幅狭になるように設けられている。これにより、加工物が載置板部14の外に落下することを防止できる。また、加工物が投入口16に側方等に留まることを防止できる。よって、安全に効率良く加工物を投入口16に導くことができる。
【0060】
図5は、カウンタユニット2の概略を示す断面図である。
図5に示すように、光電センサ30は、投入口16の前壁部17、側壁部21、後壁部23よりも下方に設けられている。詳しくは、光電センサ30は、前壁部17、側壁部21及び後壁部23の下端部近傍に設けられている。
【0061】
投入口16の前部に設けられた前壁部17の下端部近傍には、下部が斜め前方になるよう曲折された曲折部18が形成されている。このような曲折部18が形成されることにより、前壁部17の強度を高め、変形を抑えることができる。よって、前壁部17を薄くして食品カウンタ装置1を軽量化できると共に、薄板から成る軽量な基台10であっても光電センサ30による高精度な加工物検知が可能となる。
【0062】
前述のとおり、底板部11の上面には、加工物を計量する重量計51(
図1参照)等が載置されても良い。底板部11から載置板部14の上面までの高さは、底板部11に載置される重量計51の高さに合わせて設計されても良い。
【0063】
具体的には、載置板部14の上面は、底板部11の上面に載置される重量計51の上面と略同じ高さであるか、重量計51よりも僅かに低い位置であることが望ましい。これにより、重量計51に載せられ計量された加工物を、載置板部14の上面に載せ易くなり、安全且つ容易に送ることができる。よって、作業効率が向上し、生産性を高めることができる。
【0064】
縦板部12は、上部が前方になるよう傾斜している。詳しくは、底板部11と縦板部12のなす角度θ1は、70度以上90度未満、好ましくは、80度以上90度未満である。これにより、底板部11の上面に重量計51等を載置した場合において、重量計51等と載置板部14との間に加工物が落下することを防止することができる。よって、効率的な食品加工及び計数が実現する。
【0065】
図6は、表示装置3の概略を示す斜視図である。
図6に示すように、表示装置3は、表示器ボックス35と、タッチパネル36と、カード支持部37と、カードケース部38と、を有する。
【0066】
表示器ボックス35は、例えば、各種鋼板等から形成された、タッチパネル36等を支持する筐体状の部材である。表示器ボックス35の前面は、作業者から見やすいように傾斜している。表示器ボックス35は、カウンタユニット2(
図1参照)とは別に、即ち分離可能に、設けられている。よって、作業者は、表示装置3を視認し易い好適な位置に置くことができる。
【0067】
タッチパネル36は、表示器ボックス35の前面に設けられている。タッチパネル36は、加工物の計数結果を表示する手段であると共に、計数に必要な情報を入力する手段である。作業者は、タッチパネル36を利用して、加工物の情報等を入力することにより、加工物の種類に応じて、計数の設定を変更することができる。よって、形状等が大きく異なる加工物についても、容易な設定変更作業で正確な計数を行うことができる。
【0068】
表示器ボックス35の前面下部には、加工情報等を示すカード39を載せるカード支持部37が設けられている。また、表示器ボックス35の側面には、カード39を収容するカードケース部38が設けられている。
【0069】
カード39は、例えば、加工物の生産情報等を記入した書類等である。表示器ボックス35の前面下部に設けられたカード支持部37には、カード39として、例えば、加工中の加工物に関する加工指示書等が置かれても良い。このように、加工情報等が記入されたカード39は、表示器ボックス35の前方から目視可能に支持されるので、作業者は、カード39で加工情報を確認しながら効率的な加工作業を行うことができる。
【0070】
また、表示器ボックス35の側面に設けられたカードケース部38には、カード39として、例えば、次回加工予定の加工物に関する加工指示書等が入れられても良い。これにより、次回の加工物の加工を開始する前には、次回の加工指示書等であるカード39をカードケース部38からカード支持部37に容易に移すことができる。よって、作業者は、加工物を変更する作業を効率的に行うことができ、その後の加工を正確且つ容易に行うことができる。
【0071】
以上説明の如く、本実施形態に係る食品カウンタ装置1は、形状や大きさ、重量等が異なる食品加工物や、氷の粒等が混在する冷凍食品加工物等を効率良く正確に計数することができる。また、食品カウンタ装置1は、移動、設置、計数設定が容易である。よって、食品カウンタ装置1は、食品加工工場における生産性を向上させることができる。
【0072】
なお、以上の説明では、魚の切り身をカウントする例を示したが、食品カウンタ装置1は、水産加工品の他、肉類、果実類、野菜類、菓子類その他各種加工食品またはそれら加工食品のパック詰め製品等の計数に利用されても良い。
【0073】
また、本実施形態に係る食品カウンタ装置1は、図示しない生産管理システム等に情報通信可能に接続されても良い。具体的には、表示装置3及び制御装置4は、生産管理システムを構成する機器に対してデータ通信可能に有線または無線接続されても良い。
【0074】
例えば、制御装置4は、加工物の計数情報を記録すると共にその計数情報を生産管理システムに送信することができる。また、表示装置3は、加工物の計数結果の他に、生産管理システムから送信される生産管理情報等を受信してタッチパネル36等に表示することができる。また、作業者は、表示装置3のタッチパネル36等を利用して、生産情報等を入力して生産管理システムに送信することも可能である。
【0075】
このように生産管理システムに連結された構成により、食品カウンタ装置1は、食品加工工場等において、生産計画、加工数量、進捗、納期等の生産管理を効率化し、生産性を向上させることができる。
【0076】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 食品カウンタ装置
2 カウンタユニット
3 表示装置
4 制御装置
10 基台
11 底板部
12 縦板部
13 側板部
14 載置板部
15 側板部
16 投入口
17 前壁部
18 曲折部
20 ガイド板
21 側壁部
22 載置板ガイド部
23 後壁部
24 曲折部
25 支持部材
26 支持部材
27 背面板材
28 側面部材
30 光電センサ
31 投光器
32 受光器
35 表示器ボックス
36 タッチパネル
37 カード支持部
38 カードケース部
39 カード
40 制御ボックス
41 電源スイッチ
42 電源ランプ
43 支持台
44 キャスタ
50 作業台
51 重量計
52 まな板
53 材料用番重
54 番重
55 架台