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特許7262842難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程
(51)【国際特許分類】
   C14C 11/00 20060101AFI20230417BHJP
   C08G 18/12 20060101ALI20230417BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
C14C11/00
C08G18/12
B60N2/58
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021215058
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2022105324
(43)【公開日】2022-07-13
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】202011624327.8
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519464120
【氏名又は名称】烟台大学
【氏名又は名称原語表記】YANTAI UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】NO.30, Qingquan Road, Laishan District, Yantai City, Shandong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】段 宝栄
(72)【発明者】
【氏名】王 全杰
(72)【発明者】
【氏名】唐 志海
(72)【発明者】
【氏名】翁 永根
(72)【発明者】
【氏名】祝 妙鳳
(72)【発明者】
【氏名】趙 佳
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ち▼研
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095647(JP,A)
【文献】特開2011-213956(JP,A)
【文献】特開2011-016931(JP,A)
【文献】特開2010-121012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000088(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110055358(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110343413(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C14C 1/00-99/00
C09D 1/00-201/10
C08G 18/12
B60N 2/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリミング工程と、脱灰工程と、再なめし工程と、中和工程と、加脂工程と、仕上げ工程とを備えた難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程であって、以下の工程を含むことを特徴とする、難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程。
前記仕上げ工程は、順次実施する下塗りと、中塗りと、上塗りとを備え、仕上げはいずれもローラーコーティングを用い、ローラーコーティングの温度は101~105℃、下塗りは3回塗り、中塗りは2回塗り、上塗りは1回塗りであり、各層の塗料は以下の通りである。
(a)、下塗り塗料の配合比率:水性顔料ペースト0.7~2.5部、水32部、カチオン性油0.2~0.5部;
(b)、中塗り塗料の配合比率:水30部、つや消しポリウレタン20~70部、つやありポリウレタン7~18部、架橋剤6~13部、耐摩耗性ポリウレタン7~14部、カルボジイミド0.4~0.7部、窒素-リン系膨張性難燃剤1.2~2.6部、成膜促進剤1.3~2.6部;
ここで、前記耐摩耗性ポリウレタンの調製方法:ポリカーボネートジオール43部、イソホロンジイソシアネート12.2~13.9部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.18~0.45部を反応容器に入れ、75~90℃で1~2時間攪拌しながら反応させてポリウレタンプレポリマーを得る;
親水性鎖延長剤ジメチロールプロピオン酸0.9~3.4部、窒素-リン系膨張性難燃剤2.2~3.4部、アセトン溶媒12.5~16.5部をポリウレタンプレポリマーに添加し、70~80℃の条件で1~2時間撹拌しながら反応させ後、さらにトリエチルアミン3.0~5.0部及び水100~150部を加えて20~60分間乳化し、次に、物質A1~2部及びエポキシ末端ポリエーテルシリコーンオイル0.2~0.6部を加え、pHを6.5に調整し、70~80℃で1~2時間攪拌しながら反応させて前記耐摩耗性ポリウレタンを得る;
前記物質Aの調製方法:水10部に硫酸アルミニウム3部、硫酸クロム2~3部を加え、pHを3.8~4.2に調整し、次に、没食子酸1.1~2.3部、クエン酸ナトリウム1.2~3.2部、マルトヘキサオース0.2~0.3部を加え、60~70℃で1~2時間撹拌しながら反応させた後、さらに(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン0.3~0.6部及び物質B0.3~0.6部を加え、70~80℃で1~2時間反応させて前記物質Aを得る;
前記物質Bの調製方法:スルファミン酸1~4部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2~0.4部をパーフルオロポリエーテルアシルフルオリド7部に加え、40~50℃で1~2時間反応させた後、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン0.6~0.8部を加え、45~55℃で1~2時間反応させて前記物質Bを得る;
前記中塗り塗料の配合方法及び前記耐摩耗性ポリウレタンの調製方法に用いられる前記窒素-リン系膨張性難燃剤の調製方法:亜リン酸ジメチルの質量に対して1~4質量%の塩基触媒であるナトリウムメトキシドを亜リン酸ジメチル1molに加えてからアクリルアミド1.1~1.2molを加え、70~80℃で1~5時間反応させて中間生成物として3-ジメトキシホスホリルプロピオンアミドを得、中間生成物の温度を50℃~55℃に下げ、トリメチルクロロシラン0.1~0.2mol及びシアヌル酸クロリド0.1molを加え、60~80℃で2~5時間撹拌しながら反応させ、撹拌過程で溶液のpHを6.5~7.0に調整し、次に、1,3-プロパンジチオール1.6~2.7g及びMOFs0.2~0.4gを加え、60~80℃で1~3時間攪拌しながら反応させ、固形分が80%以上になるまで濃縮して前記窒素-リン系膨張性難燃剤を得る;
前記MOFsの調製方法:テトラモリブデン酸アンモニウム1部、4-アセトアミドサリチル酸ナトリウム2~3部を硫酸ジルコニウム1~2部、塩化ジエチルアルミニウム1.2~1.6部及び脱イオン水15部に加え、55~60℃で40~60分間攪拌し、pHを7.2に調整し、2-アセチル吉草酸エチル1~3部を加えた後180~190℃で1~2時間攪拌しながら反応させ、ろ過、水洗、乾燥させて前記MOFsを得る;
成膜促進剤の調製方法:ポリエチレンイミン6部及び2-アセトキシイソブチリルクロリド8.2-9.4部を50~60℃で1~2時間攪拌しながら反応させた後、サリチル酸1.1~1.4部及びセミカルバジド1.1~2.3部を順番に加え、50~70℃で30~90分間反応させて成膜促進剤を得る;
(c)、上塗り塗料の配合比率:水14部、耐粘着性剤1.3~1.9部、仕上げ5~7部及びカチオン性油0.2~0.3部;
ここで、前記耐粘着性剤の調製方法:1,2-ベンゼンジオール6~9部及び水12部をトリフルオロアセトアミド12部に加え、50~60℃で1~2時間攪拌しながら反応させ、乾燥後、フェニルホスホリルジクロリド2.1~3.8部及びベンゼン13部を加え、60~65℃で1時間攪拌しながら反応させた後、残りのベンゼンを蒸留除去し、残留物を乾燥させて前記耐粘着性剤を得る。
なお、前記部は、全て質量部である。
【請求項2】
前記脱灰工程は、トリミング後の石灰漬け裸皮重量を計算基準として、乳酸マグネシウム0.3~1.4%、2-ヒドロキシプロピオン酸0.2%を加えて予備脱灰し、浴比は100%~200%、浴のpHは9.0~10.0であり、浴温度を18~22℃に制御し、60~90分間回転させる予備脱灰工程と、浴比は100%~120%、浴温度は18~22℃であり、4-メチルサリチル酸0.3~0.7%を加え、pHは9.0~10.0で、60~90分間回転させる本脱灰工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程。
【請求項3】
前記再なめし工程:浴比は100~200%、浴温度は40℃であり、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩2%~4%を加え、30~50分間回転させ、ギ酸ナトリウム0.2~0.6%を加え、30分間回転させた後、炭酸水素ナトリウムを加えてpHを5.0に調整し、さらに40分間回転させ、毎回50℃の水で10分間2回水洗し、排液することを特徴とする、請求項1に記載の難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程。
【請求項4】
前記中和工程:トリミング後のシェービングされた皮重量を計算基準として、浴比は120%、浴温度は34~36℃であり、ギ酸ナトリウム0.8~1.0%を加え、30~50分間回転させ、炭酸ナトリウム0.4%~0.8%を加え、さらに40~70分間回転させ、55~60℃の水で2回水洗し、排液することを特徴とする、請求項1に記載の難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程。
【請求項5】
前記加脂工程:トリミング後のシェービングされた皮重量を計算基準として、浴比は80%、浴温度は38~42℃であり、加脂剤S5~7%、リン酸化油1-2%、BUXOM B、加脂剤吸収促進材1-2%を加え、30~60分間回転させ、水100%を加え、浴温度を48~52℃に調整し、60~90分間回転させ、ギ酸1.5~2.0%を加え、60~90分間回転させ、62~65℃の水で2回水洗し、排液することを特徴とする、請求項1に記載の難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程。
ここで、前記加脂剤吸収促進材の調製方法は以下の通りである。
60メッシュ以上の標準ふるいで処理したデンプンを、その質量の80%の水に加え、70~80℃で20~40分間攪拌・糊化した後、デンプンの質量に対して0.3~2質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びデンプンの質量に対して20~40質量%の三塩化リンを加え、40~60℃で1~2時間攪拌しながら反応させ、次に、デンプンの質量に対して10~20質量%のオレイン酸アミド及びデンプンの質量に対して30~40質量%の無水マレイン酸、30質量%の水酸化ナトリウムを加え、pHを7.5に調整して、前記加脂剤吸収促進材を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシート用皮革製造工程に関し、特に、難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
現在中国は、世界最大の自動車消費市場であり、2019年の中国の自動車生産・販売台数はそれぞれ2572.1万台及び2576.9万台に達した。生産・販売台数は引き続き世界一であり、このうち20%に本革シートが装備されている。自動車用の本革に対する市場の需要は非常に大きく、自動車市場の繁栄に伴い、自動車の製革のビジネスチャンスがますます多くの皮革企業に注目されている。2017年末の中国皮革協会年次総会の報告において、全国の皮革産業のすべての製品の利益が全般的に減少している環境であっても、自動車用皮革の利益だけが成長し続けていることが指摘されている。
【0003】
煙台大学の皮革・タンパク質試験所は、自動車用皮革及び補助的な化学品の研究開発に長い間取り組んできた。煙台大学の特許文献1は、防汚性、超低TVOC放散、耐摩耗性牛革カーシート用皮革製造工程に関する。下塗り塗料には、水性顔料ペースト、耐光性塗料、耐光性アクリル樹脂塗料、耐光性水性ポリウレタン、難燃性塗料及びカチオン性オイルが含まれ、中塗り塗料には、つや消しポリウレタン、光沢ポリウレタン、架橋剤、材料B、耐摩耗性ポリウレタン、カルボジイミド、PTFEエマルション及び煙抑制材料が含まれ、上塗り塗料には、仕上げ剤及びカチオン性オイルが含まれる。調製された牛革カーシート用皮革は、難燃性、耐光性及び低フォギング性を維持することに基づいて、防汚性、耐摩耗性をさらに向上させ、TVOC放散量を削減した。自動車用皮革は、人と密着しているため、人体の摩耗により塗膜が剥がれやすくなり、自動車用皮革への既存の自動車メーカーの基準が異なるため、自動車用皮革の耐摩耗性をさらに向上させる必要がある。
【0004】
特許文献2は、難燃性、耐黄変性、低フォギング性の牛革カーシート用皮革製造工程を開示している。生産プロセスにおいて塩化アンモニウムによる脱灰を塩化アンモニウムレスによる脱灰に置き換えることで、高温水洗でシートレザーのフォギング発生量を抑え、再なめし、加脂、仕上げを段階的に実施して皮革の難燃性を向上させ、耐光性材料で塗膜の耐光性を向上させるカーシート用皮革工程である。この工程では、革の化学材料の使用量を減らすため、スプレーコーティングの代わりにローラーコーティングを選択する。難燃性、低フォギング性、耐光性、耐熱性、耐黄変性を備えた高性能の自動車内装皮革製品の研究開発によると、幅広い市場の見通しがある。難燃性を評価する従来の指標として酸素指数は32、アフターバーン時間は5s、無炎燃焼時間は3s、煙密度は29.7である。自動車火災は、確率の低い出来事であるが、難燃性に対する各自動車メーカーの基準を下げていない。特許文献3は、難燃性、耐光性、低フォギング性、分解性牛革カーシート用皮革製造工程を開示している。塩化アンモニウムによる脱灰を塩化アンモニウムレスによる脱灰に置き換え、従来のクロムなめし剤の代わりに、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩、難燃性デンプンベースの皮革界面活性剤を皮革用なめし剤として選択し、高温水洗でシートレザーのフォギング発生量を抑え、再なめし、加脂、仕上げを段階的に実施して皮革の難燃性を向上させ、耐光性材料で塗膜の耐光性を向上させ、革の化学材料の使用量を減らすために、スプレーコーティングの代わりにローラーコーティングを選択する。酸素指数は、32、アフターバーン時間は5s、無炎燃焼時間は5sであるため、まだ改善の余地があることを示している。
【0005】
加脂は、自動車用皮革生産の重要工程の一つであり、出来上がる革の柔軟性、豊満性、弾力性を決定し、出来上がる革の強度や伸びなどの物理的や機械的特性、及び出来上がる革の吸水性、通気性、水蒸気透過性などの衛生特性に影響を及ぼす。さらに加脂によって、出来上がった革に防水性、耐油性、防汚性、防曇性などの特殊な特性を与えることも可能である。従来技術の製革加工工程として、ソファ用革加工中の油脂の60~70%のみが皮革に吸収される。加脂とは皮革中に最も多くの化学品を使用する工程の一つであり、吸収されなかった加脂剤が廃水に入りこむことであり、化学品の無駄が生じるだけでなく、廃水中のCOD及びBOD指標を上がり、廃水処理コストが増加していた。したがって、皮革産業の水処理を向上させるため補助材料が必要である。特許文献1には、結合性の難燃性加脂剤が用いられ、デンプンベースの界面活性剤を利用して油脂の均一な浸透を促進することで、浴液が清澄化され、油脂吸収率も95%に達し、皮革繊維としっかりと結合しているため、明らかに遊離油脂の発生が減少したが、この指標にはやはり向上の余地があることが記載されている。
【0006】
カーシートクッションの使用中、皮革中の低分子化合物の移動により特殊な臭いが発生する。放出されるガスには、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンゼン、トルエンなどの化合物が含まれているため、自動車用皮革の臭いを減らす必要があった。
【0007】
皮革加工では、熟成工程において粒子面と粒子面、肉面と肉面を合わせて積み重ねて置くが、最終仕上げ工程を経た後、皮革の粒子面粘着性が高まり、放置過程中で粒子面と粒子面の塗膜同士が互いに粘着してしまうことで、塗膜の一部が剥がれるか、色が崩れるという問題が発生する可能性がある。
【0008】
上記をまとめると、耐摩耗性、難燃性及び加脂剤の吸収率を含むより顕著な技術的問題ついて、新しい技術的手段を提案し、これらの指標をさらに最適化し向上させて、国産自動車用皮革の全体的な品質をさらに向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許番号第CN201910405405.6号
【文献】中国特許番号第CN201510694401.6号
【文献】中国特許番号第CN201510694403.5号
【非特許文献】
【0010】
【文献】GBT 4689.8-1984,QB/T 3812.5-1999
【文献】2005年6月出版の皮革分析検査技術
【文献】2001年9月の定期刊行物中国皮革
【文献】皮革難燃性に対するリン系難燃剤の影響[J]、中国皮革、2012年8月;TS-INT-002-2008自動車用材料及び部品のTVOC放散測定方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、調製されたカーシート用皮革がより優れた難燃性、低フォギング特性の維持に基づいて、より良い耐摩耗性及びより低いVOCを備え、さらに加脂剤吸収率を改善し、仕上げされた皮革の静置保管過程中の粒子面層粘着問題を解決する難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程を提供することを、その技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の技術的手段は、以下の通りである。
脱灰工程と、再なめし工程と、中和工程と、加脂工程と、仕上げ工程とを備えた難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程であって、以下の工程を含むことを特徴とする難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革製造工程。
前記仕上げ工程は、順次実施する下塗りと、中塗りと、上塗りとを備え、仕上げはいずれもローラーコーティングを用い、ローラーコーティングの温度は101~105℃、下塗りは3回塗り、中塗りは2回塗り、上塗りは1回塗りであり、各層の塗料は以下の通りである。
(a)、下塗り塗料の配合比率:水性顔料ペースト0.7~2.5部、水32部、カチオン性油0.2~0.5部;
(b)、中塗り塗料の配合比率:水30部、つや消しポリウレタン20~70部、つやありポリウレタン7~18部、架橋剤6~13部、耐摩耗性ポリウレタン7~14部、カルボジイミド0.4~0.7部、窒素-リン系膨張性難燃剤1.2~2.6部、成膜促進剤1.3~2.6部;
ここで、耐摩耗性ポリウレタンの調製方法:ポリカーボネートジオール43部、イソホロンジイソシアネート12.2~13.9部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.18~0.45部を反応容器に入れ、75~90℃で1~2時間攪拌しながら反応させてポリウレタンプレポリマーを得る;
親水性鎖延長剤ジメチロールプロピオン酸0.9~3.4部、窒素-リン系膨張性難燃剤2.2~3.4部、アセトン溶媒12.5~16.5部をポリウレタンプレポリマーに添加し、70~80℃の条件で1~2時間撹拌しながら反応させ後、さらにトリエチルアミン3.0~5.0部及び水100~150部を加えて20~60分間乳化し、次に、物質A1~2部及びエポキシ末端ポリエーテルシリコーンオイル0.2~0.6部を加え、pHを6.5に調整し、70~80℃で1~2時間攪拌しながら反応させて耐摩耗性ポリウレタンを得る;
前記物質Aの調製方法:水10部に硫酸アルミニウム3部、硫酸クロム2~3部を加え、pHを3.8~4.2に調整し、次に、没食子酸1.1~2.3部、クエン酸ナトリウム1.2~3.2部、マルトヘキサオース0.2~0.3部を加え、60~70℃で1~2時間撹拌しながら反応させた後、さらに(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン0.3~0.6部及び物質B0.3~0.6部を加え、70~80℃で1~2時間反応させて物質Aを得る;
物質Bの調製方法:スルファミン酸1~4部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2~0.4部をパーフルオロポリエーテルアシルフルオリド7部に加え、40~50℃で1~2時間反応させた後、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン0.6~0.8部を加え、45~55℃で1~2時間反応させて物質Bを得る;
窒素-リン系膨張性難燃剤の調製方法:亜リン酸ジメチルの質量に対して1~4質量%の塩基触媒であるナトリウムメトキシドを亜リン酸ジメチル1molに加えてからアクリルアミド1.1~1.2molを加え、70~80℃で1~5時間反応させて中間生成物として3-ジメトキシホスホリルプロピオンアミドを得、中間生成物の温度を50℃~55℃に下げ、トリメチルクロロシラン0.1~0.2mol及びシアヌル酸クロリド0.1molを加え、60~80℃で2~5時間撹拌しながら反応させ、撹拌過程で溶液のpHを6.5~7.0に調整し、次に、1,3-プロパンジチオール1.6~2.7g及びMOFs0.2~0.4gを加え、60~80℃で1~3時間攪拌しながら反応させ、固形分が80%以上になるまで濃縮して窒素-リン系膨張性難燃剤を得る;
MOFs(metal-organic frameworks,金属有機構造体)の調製方法:テトラモリブデン酸アンモニウム1部、4-アセトアミドサリチル酸ナトリウム2~3部を硫酸ジルコニウム1~2部、塩化ジエチルアルミニウム1.2~1.6部及び脱イオン水15部に加え、55~60℃で40~60分間攪拌し、pHを7.2に調整し、2-アセチル吉草酸エチル1~3部を加えた後180~190℃で1~2時間攪拌しながら反応させ、ろ過、水洗、乾燥させてMOFsを得る;
成膜促進剤の調製方法:ポリエチレンイミン6部及び2-アセトキシイソブチリルクロリド8.2-9.4部を50~60℃で1~2時間攪拌しながら反応させた後、サリチル酸1.1~1.4部及びセミカルバジド1.1~2.3部を順番に加え、50~70℃で30~90分間反応させて成膜促進剤を得る;
(c)、上塗り塗料の配合比率:水14部、耐粘着性剤1.3~1.9部、仕上げ剤5~7部及びカチオン性油0.2~0.3部;
ここで、耐粘着性剤の調製方法:1,2-ベンゼンジオール6~9部及び水12部をトリフルオロアセトアミド12部に加え、50~60℃で1~2時間攪拌しながら反応させ、乾燥後、フェニルホスホリルジクロリド2.1~3.8部及びベンゼン13部を加え、60~65℃で1時間攪拌しながら反応させた後、残りのベンゼンを蒸留除去し、残留物を乾燥させて前記耐粘着性剤を得る。
【0013】
前記脱灰工程は、予備脱灰工程と本脱灰工程とを含む。
予備脱灰工程:トリミング後の石灰漬け裸皮重量を計算基準として、乳酸マグネシウム0.3~1.4%、2-ヒドロキシプロピオン酸0.2%を加えて予備脱灰し、浴比は100%~200%、浴のpHは9.0~10.0であり、浴温度を18~22℃に制御し、60~90分間回転させる。
本脱灰工程:浴比は100%~120%、浴温度は18~22℃であり、4-メチルサリチル酸0.3~0.7%を加え、pHは9.0~10.0で、60~90分間回転させる。
【0014】
前記再なめし工程:浴比は100~200%、浴温度は40℃であり、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩2%~4%を加え、30~50分間回転させ、ギ酸ナトリウム0.2~0.6%を加え、30分間回転させた後、炭酸水素ナトリウムを加えてpHを5.0に調整し、さらに40分間回転させ、毎回50℃の水で10分間2回水洗し、排液する。
【0015】
前記中和工程:トリミング後のシェービングされた皮重量を計算基準として、浴比は120%、浴温度は34~36℃であり、ギ酸ナトリウム0.8~1.0%を加え、30~50分間回転させ、炭酸ナトリウム0.4%~0.8%を加え、さらに40~70分間回転させ、55~60℃の水で2回水洗し、排液する。
【0016】
前記加脂工程:トリミング後のシェービングされた皮重量を計算基準として、浴比は80%、浴温度は38~42℃であり、加脂剤SE5~7%、リン酸化油1-2%、BUXOM BP、加脂剤吸収促進材1-2%を加え、30~60分間回転させ、水100%を加え、浴温度を48~52℃に調整し、60~90分間回転させ、ギ酸1.5~2.0%を加え、60~90分間回転させ、62~65℃の水で2回水洗し、排液する。
【0017】
加脂剤吸収促進材の調製方法:60メッシュ以上の標準ふるいで処理したデンプンを、その質量の80%の水に加え、70~80℃で20~40分間攪拌・糊化した後、デンプンの質量に対して0.3~2質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びデンプンの質量に対して20~40質量%の三塩化リンを加え、40~60℃で1~2時間攪拌しながら反応させ、次に、デンプンの質量に対して10~20質量%のオレイン酸アミド及びデンプンの質量に対して30~40質量%の無水マレイン酸、30質量%の水酸化ナトリウムを加え、pHを7.5に調整して、前記加脂剤吸収促進材を得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有利な効果は、以下の通りである。
(1)、本発明は、耐磨耗性ポリウレタンとしてポリカーボネートジオールを使用してイソホロンジイソシアネートと反応させ、物質A及びエポキシ末端ポリエーテルシリコーンオイルを用いて、物質Aの架橋によるポリウレタンの柔軟性の低下、プレートが剛性であるという欠陥を改善する。硫酸アルミニウム、硫酸クロムを用いてpH3.8~4.2の環境で加水分解し、加水分解物を錯化剤として使用し、さらに沒食子酸、クエン酸ナトリウム、マルトヘキサオースを加えて金属錯化剤と反応させる。ここで、沒食子酸の反応基はヒドロキシル基、カルボキシル基であり、クエン酸ナトリウムの反応基はカルボン酸ナトリウム、ヒドロキシル基である。マルトヘキサオースは医学で広く使用されているが、大量のヒドロキシル基及びそれらの環状構造を持っている。環状構造を利用してポリウレタンの剛性を高め、ヒドロキシル基を利用して上述の硫酸アルミニウム及び硫酸クロムと錯化合反応すると共に硫酸アルミニウム、硫酸クロムを利用してポリウレタン鎖上のカルボン酸塩、ヒドロキシル基と錯化して、空間網目状構造のポリウレタンを形成する。網目状構造によりポリウレタンの柔軟性を低下させるため、本発明はパーフルオロポリエーテルアシルフルオリドのフッ化アシルを用いてスルファミン酸のアミノ基と反応させ、パーフルオロポリエーテルアシルフルオリドの柔軟基を導入し、空間に分布している網目間隔を柔軟基で充填する。このようにしてポリウレタンの相互直接鎖状移動の摩擦力が低下し、柔軟性が向上し、同時に2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジンを用いて柔軟な剛性を高め、ポリウレタンの耐摩耗性を全体的に向上させる。
【0019】
(2)、テトラモリブデン酸アンモニウムと4-アセトアミドサリチル酸ナトリウムのカルボン酸アニオン陰イオンは、電気陰性的に結合し、さらに硫酸ジルコニウムを加え、加水分解環境下で錯イオンを形成する。塩化ジエチルアルミニウムが4-アセトアミドサリチル酸ナトリウムのアミノ基と結合して反応し、有機アルミニウムを導入し、同時にアルカリの環境下で、ジルコニウム錯体、モリブデン化合物が2-アセチル吉草酸エチルのカルボン酸イオンと結合して分岐化合物を導入し、MOFsの空間間隔を広げて、MOFsと膨張性難燃剤の結合が容易になる。
【0020】
(3)、MOFsシステムをポリウレタンの柔軟性と剛性の鎖セグメントに分散させ、ポリウレタンの難燃性・煙抑制特性を高め、同時に膨張性難燃剤材料の受熱条件下で膨張し、膨張層がMOFsの緩い空間に分散し、MOFsの網目空間に充填し、受熱環境において形成されたチャー層は緻密で厚く、煙の放出を防止する。
【0021】
(4)、ポリエチレンイミン及び2-アセトキシイソブチリルクロリドイミンが酸塩化物と反応し、サリチル酸及びセミカルバジドを導入して、ポリウレタンの成膜性及び耐摩耗性を向上させる。
【0022】
(5)、トリフルオロアセトアミドは、水系で1,2-ベンゼンジオールと反応し、アミドのアミノ基を用いてフェノール性ヒドロキシル基と反応してからベンゼン系でフェニルホスホリルジクロリドと変性反応を起こし、塗膜粘着を防止するための耐粘着性剤を得る。
【0023】
(6)、本発明は、デンプン糊化を使用して三塩化リンと反応し、P-Cl化学結合をシステムに導入し、次に、オレイン酸アミドと反応し、アミド結合を化合物に導入し、さらに無水マレイン酸を加えて開環反応を行うこの化合物は、加脂工程での油脂吸収を向上させる強力な作用があり、システムの残留油脂を2%未満にすることができ、製革加脂工程での水はより清澄化される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態と併せて、本発明を以下でさらに説明する。
【0025】
本発明の実施形態の製造工程は、以下の通りである。
【0026】
(1)、予備水漬け:原皮重量を工程(1)の材料使用量及び浴比の基準として、殺菌剤(Badericides 72、輝鷹興業皮革有限公司(Hueiing Enterprise Co.,Ltd.)製)0.10%、水漬け助剤(Humectan RDL、輝鷹興業皮革有限公司(Hueiing Enterprise Co.,Ltd.)製)0.18%、ソーダ灰0.2%を加え、浴比を400%に制御し、浴温度は20~22℃、浴のpHは8.8~9.2,ボーメ度は8であり、60分間ごとに5分回転させ、合計18時間実施し、次に、裏打ち、トリミング、計量を順次実施して工程(2)~工程(3)の材料使用量及び浴比の基準とする。
【0027】
水分補給の実測データ:生皮の緩い部位に水55%を補給し、タイトな部位に水25%~30%を補給する。
【0028】
(2)、本水漬け:殺菌剤(Badericides 72、輝鷹興業皮革有限公司(Hueiing Enterprise Co.,Ltd.)製)0.4%、水漬け助剤(Humectan RDL、輝鷹興業皮革有限公司(Hueiing Enterprise Co.,Ltd.)製)0.4%、ソーダ灰0.3%を加え、浴比を700%に制御し、浴温度は18~20℃、浴のpHは9.8~10.2,ボーメ度は3~4であり、浴液に浸漬することを主とし、回転を従とし、60分間ごとに5分回転させ、合計20時間実施する。
【0029】
水分補給の実測データ:生皮の緩い部位に水80%を補給し、タイトな部位に水60%を補給する。
【0030】
(3)、石灰浸け:石灰浸け助剤0.6%(DERMOLLANAR、輝鷹興業皮革有限公司(Hueiing Enterprise Co.,Ltd.)製)、硫化水素ナトリウム0.4%、硫化ナトリウム1.5%(3回に分けて添加)、石灰1.4%を加え、浴比は90%、浴温度は24℃、回転時間は180分間、浴のpHは11であり、ドラムを一晩停止し、次に、裏打ち、トリミング、計量を実施して工程(4)~工程(8)の材料使用量及び浴比の基準とする。
【0031】
(4)、予備脱灰:乳酸マグネシウム0.6%、2-ヒドロキシプロピオン酸0.2%を加えて予備脱灰を実施し、浴比は150%、浴のpHは9.5であり、浴温度を22℃に制御し、60分間回転させる。
【0032】
(5)、本脱灰:浴比は100%、浴温度は20℃であり、4-メチルサリチル酸0.6%を加え、pHは9.0であり、90分間回転させる。
【0033】
(6)、軟化:浴比は0.3、温度は28℃であり、Dermascal ASB1.0%(同様のメーカー製品に交換可能)を加え、回転中に回転ドラムのシャフトから氷酢酸0.2%(事前に10倍の冷水で希釈)を加え、40分間回転させ、pH8.5を測定し、メタ重亜硫酸ナトリウム0.1%、Oropon OOパンクレアチン製剤(徳瑞皮革科技(青島)有限公司(Together for Leather China Ltd.)製)1.5%を加え、240分間回転させ、2回水洗し、毎回の浴比は100%であった。
【0034】
(7)、浸酸:浴比は70%、浴温度は19~20℃、食塩9%を加え、40分間回転させ、ボーメ度を8~10に調整し、ギ酸ナトリウム0.9%、硫酸4.2%を加え、90分間回転させ、pHは2.5であり、3分の2の浴液を廃棄して工程(8)へ進む。
【0035】
(8)、なめし:HLS高吸収クロムなめし剤4.2%(兄弟化工有限公司(Brother Enterprises Holding Co., Ltd.)製)を加え、2時間回転させ、重曹0.9%を20分間隔で3回添加し、添加後6時間回転させ、実測pHは4.2~4.5であった。
【0036】
(9)、静置保管(熟成):牛皮をドラムから取り出して、48時間静置保管(熟成)した。
【0037】
(10)、水絞り、シェービング:厚みを1.8~2.0mmにシェービングし、水分を60%まで絞り出し、計量して工程(11)~工程(14)の材料使用量及び浴比の基準とする。
【0038】
(11)、再湿潤:浴比は250%、浴温度が35℃であり、ギ酸0.2%、脱脂剤FA0.5%(科莱恩化工(中国)有限公司(Clariant Chemicals (China) Ltd.)製)を加え、40分間回転させ、、pHは3.5で、排液し、毎回10分間2回水洗し、排液した。
【0039】
(12)、再なめし:浴比は200%、浴温度は40℃であり、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩2%を加え、50分間回転させ、ギ酸ナトリウム0.4%を加え、30分間回転させ、次に、炭酸水素ナトリウムを加えてpHを5.0に調整し、さらに40分間回転させ、毎回50℃の水で10分間2回水洗し、排液した。
【0040】
(13)、中和:浴比は120%、浴温度は35℃であり、ギ酸ナトリウム0.9%を加え、40分間回転させ、炭酸ナトリウム0.4%~0.8%を加え、さらに50分間回転させ、pHを5.2に調整し、毎回55℃の水で10分間2回水洗し、排液した。
【0041】
(14)、加脂:浴比は80%、浴温度は40℃であり、加脂剤SE7%(上海皮革化工工場(Shanghai Leather Co., Ltd.)製)を加え、60分間回転させ、リン酸化油(BUXOM SP 山東力厚軽工新材料有限公司(Shandong Leahou Light Industrial of New Material Co., Ltd.)製)2%、BUXOM BP(山東力厚軽工新材料有限公司(Shandong Leahou Light Industrial of New Material Co., Ltd.)製)1%、加脂剤吸収促進材1%を加え、1時間回転させ、水100%を加え、浴温度を50℃に調整し、60分間回転させ、ギ酸1.5%を加え、60分間回転させ、毎回65℃の水で10分間2回水洗し、排液し、1気圧減圧で真空乾燥させた。
【0042】
前記加脂剤吸収促進材の調製方法:60メッシュ以上の標準ふるいで処理したデンプンを、その質量の80%の水に加え、70℃で40分間攪拌・糊化した後、デンプンの質量に対して2質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びデンプンの質量に対して40質量%の三塩化リンを加え、60℃で2時間攪拌しながら反応させ、次に、デンプンの質量に対して20質量%のオレイン酸アミド及びデンプンの質量に対して35質量%の無水マレイン酸、30質量%の水酸化ナトリウムを加え、pHを7.5に調整して、前記加脂剤吸収促進材を得る。
【0043】
(15)、吊り干し、乾燥、味入れ:在来の製造工程である。
【0044】
(16)、仕上げ:下塗り、中塗り、上塗りを順次実施し、仕上げはいずれもローラーコーティングを用い、ローラーコーティングの温度は101~105℃、下塗りは3回塗り、中塗りは2回塗り、上塗りは1回塗りであり、各層の塗料は以下の通りである。
(a)、下塗り塗料の配合比率:水性顔料ペーストNEOSAN 2000(科莱恩化工(中国)有限公司(Clariant Chemicals (China) Ltd.))1.8部、水32部、カチオン性油としてのEuderm oil KWO-C(カチオン、朗盛化学(中国)有限公司(Lanxess Chemicals (China) Ltd.)製)0.4部;
(b)、中塗り塗料の配合比率:水30部、つや消しポリウレタンMATT 200(温州国仕邦高分子材料有限公司(WenZhou GSB Macromole Material Co., Ltd.)製)60部、つやありポリウレタンHPV-C(米サイテック社製)15部、架橋剤架橋剤XL-701(米スタール社(Stahl)製)13部、耐摩耗性ポリウレタン11部、カルボジイミド0.5部、窒素-リン系膨張性難燃剤2.6部、成膜促進剤2.6部;
ここで、耐摩耗性ポリウレタンの調製方法:ポリカーボネートジオール43部、イソホロンジイソシアネート13.9部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.45部を反応容器に入れ、75℃で1時間攪拌しながら反応させてポリウレタンプレポリマーを得る;
親水性鎖延長剤ジメチロールプロピオン酸3.4部、アセトン溶媒12.5~16.5部をポリウレタンプレポリマーに添加し、80℃の条件で2時間撹拌しながら反応させ後、さらにトリエチルアミン5.0部及び水150部を加えて60分間乳化し、次に、物質A1部及びエポキシ末端ポリエーテルシリコーンオイル0.2部を加え、pHを6.5に調整し、80℃で1~2時間攪拌しながら反応させて耐摩耗性ポリウレタンを得る;
前記物質Aの調製方法:水10部に硫酸アルミニウム3部、硫酸クロム3部を加え、pHを3.8~4.2に調整し、次に、没食子酸1.1部、クエン酸ナトリウム1.2部、マルトヘキサオース0.3部を加え、70℃で2時間撹拌しながら反応させた後、さらに(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン0.6部及び物質B0.3部を加え、70℃で1時間反応させて物質Aを得る;
物質Bの調製方法:スルファミン酸4部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部をパーフルオロポリエーテルアシルフルオリド7部に加え、50℃で2時間反応させた後、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン0.6部を加え、55℃で2時間反応させて物質Bを得る;
窒素-リン系膨張性難燃剤の調製方法:亜リン酸ジメチルの質量に対して4質量%の塩基触媒であるナトリウムメトキシドを亜リン酸ジメチル1molに加えてからアクリルアミド1.1molを加え、70℃で5時間反応させて中間生成物として3-ジメトキシホスホリルプロピオンアミドを得、中間生成物の温度を55℃に下げ、トリメチルクロロシラン0.1mol及びシアヌル酸クロリド0.1molを加え、80℃で5時間撹拌しながら反応させ、撹拌過程で溶液のpHを6.5~7.0に調整し、次に、1,3-プロパンジチオール2.7g及びMOFs0.4gを加え、80℃で3時間攪拌しながら反応させ、固形分が80%以上になるまで濃縮して窒素-リン系膨張性難燃剤を得る;
MOFsの調製方法:テトラモリブデン酸アンモニウム1部、4-アセトアミドサリチル酸ナトリウム3部、硫酸ジルコニウム2部、塩化ジエチルアルミニウム1.2部を脱イオン水15部に加え、55℃で40分間攪拌し、pHを7.2に調整し、2-アセチル吉草酸エチル1部を加えた後180℃で180℃で1時間攪拌しながら反応させ、ろ過、水洗、乾燥させてMOFsを得る;
成膜促進剤の調製方法:ポリエチレンイミン6部及び2-アセトキシイソブチリルクロリド8.2部を50℃で1時間攪拌しながら反応させた後、サリチル酸1.1部及びセミカルバジド1.1~2.3部を順番に加え、50℃で30分間反応させて成膜促進剤を得る;
(c)、上塗り塗料の配合比率:水14部、仕上げ剤2229W(山東川澤商貿有限公司(Shandong Chuanze Trading Co., Ltd.)製)6部、カチオン性油としてのEuderm oil KWO-C(カチオン、朗盛化学(中国)有限公司(Lanxess Chemicals (China) Ltd.)製)0.2部、耐粘着性剤1.9部。
【0045】
ここで、耐粘着性剤の調製方法:1,2-ベンゼンジオール9部及び水12部をトリフルオロアセトアミド12部に加え、50℃で1時間攪拌しながら反応させ、乾燥後、フェニルホスホリルジクロリド2.1部及びベンゼン13部を加え、65℃で1時間攪拌しながら反応させた後、残りのベンゼンを蒸留除去し、残留物を乾燥させて前記耐粘着性剤を得る。
【0046】
本発明の実施形態に関与するメーカーを指定していない化学品は、輝鷹興業皮革有限公司(Hueiing Enterprise Co.,Ltd.)の同種製品と交換できる。湿熱安定性は非特許文献1を参照し、引張強度と最大切断時の伸び、乾燥状態での染色摩擦堅ろう度、湿潤状態での染色摩擦堅ろう度、塗膜粘着堅ろう度、皮革フォッギング性、皮革耐摩耗性、耐光性の測定は、兪従正、丁紹蘭及び孫根行氏の(非特許文献2)を参照する;乾燥・熱収縮温度の測定は、劉捷、湯克勇の非特許文献3を参照し、酸素指数、垂直燃焼法、煙密度は段宝栄が一連して発表した学術論文又は(段宝栄らの非特許文献4)を参照する。その他、規格が不明確または明記されていない場合、軽工業規格又は自動車の試験方法を参照して試験を実施し、特許文献2を参照することもできる。
【0047】
本発明の実施形態で調製された難燃性、耐摩耗性、耐粘着性、低VOCのカーシート用皮革と従来の同種のカーシート用皮革をそれぞれ試験した。試験データを表1に示す。
【0048】
【0049】
比較例は、特許文献1の実施例のデータを比較に使用した。VOCは超低TVOC放散で表されている。塗膜の相互非接着性は熟練した仕上げエンジニア3名が100枚の牛革シートから皮革の粒子面粘着確率を確認し、粘着確率の平均値を求め、比較例の塗膜の相互非接着性は本発明者のチームの以前の測定データである。
【0050】
【0051】
表2から分かるように、上述の一部材料を添加しなかった場合の特性は低下した。一部材料を添加しないとは、特定の材料が添加されておらず、その他の材料が添加された状態でデータ試験を実施する場合を意味する。
【0052】
【0053】
油脂の試験基準は、抽出法で試験し、試料を乾燥させ、非特許文献2のソックスレー抽出法で試験した。
【0054】
表3から分かるように、本発明の加脂剤吸収促進材を添加した浴液中の油脂残留量は大幅に減少し、加脂剤吸収促進材を添加しない場合、浴液の油脂残留量が大幅に上がる。
【0055】
本発明で使用されるエポキシ末端ポリエーテルシリコーンオイルの型番は、IOTA-EO11000で、安徽艾約塔硅油有限公司から購入した。
【0056】
本発明で記載されている部は、全て質量部を意味する。