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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】骨伝導補聴装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20230417BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H04R25/00 F
H04R1/00 317
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021504537
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 CN2020095766
(87)【国際公開番号】W WO2021248437
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521033712
【氏名又は名称】ソニタス・メディカル(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】プ、キアンリン
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515574(JP,A)
【文献】米国特許第05447489(US,A)
【文献】特表2013-531932(JP,A)
【文献】国際公開第2020/084420(WO,A1)
【文献】特表2019-536387(JP,A)
【文献】中国実用新案第201708923(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 25/00
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨伝導補聴装置であって、筐体、圧電振動コンポーネント及び振動伝達部品を備え、前記圧電振動コンポーネント及び前記振動伝達部品はいずれも前記筐体内に設置され、前記振動伝達部品の第1端は前記圧電振動コンポーネントに接続され、第2端は前記筐体に接続され、前記筐体は接触によって振動を出力する振動出力部を備え
前記圧電振動コンポーネントは圧電振動子、2つの重量ブロック及び弾性減衰部材を備え、前記圧電振動子の中央部は前記振動伝達部品の第1端に固定接続され、2つの前記重量ブロックはそれぞれ前記圧電振動子の両側に設置され、前記弾性減衰部材は前記圧電振動子と前記筐体の底壁との間、及び前記重量ブロックと前記筐体の底壁との間に設置され、
前記重量ブロックは支持面を備え、前記支持面には前記圧電振動子に向けて突出する支持部が設置され、前記支持部は前記圧電振動子に支持され、
前記重量ブロックの前記圧電振動子の外側に位置する部分に、前記筐体の底壁に向けて突出する突起が設置され、前記突起と前記圧電振動子との間に隙間がある、骨伝導補聴装置。
【請求項2】
前記振動出力部は歯と接触するように設置される請求項1に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項3】
前記振動出力部は1個の歯又は隣接する2個の歯と接触するように設置される請求項2に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項4】
前記振動出力部は前記筐体の底壁に設置される外に向けて突出する突出部を備え、前記突出部は前記振動伝達部品の第2端に接続され、前記突出部の外表面は歯と接触するように設置される請求項2に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項5】
前記突出部は円弧状であり、そして前記突出部の内表面及び外表面は円弧状であり、前記振動伝達部品は前記突出部の内表面に適応する円弧状適応面を備え、前記円弧状適応面は前記突出部の内表面に接着固定され、前記突出部の外表面は隣接する2個の歯の側壁面と接触するように設置される請求項4に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項6】
前記重量ブロックの支持面と前記圧電振動子との間に接着剤が設置される請求項1~5のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項7】
前記重量ブロックの重心の前記圧電振動子への投影は、該重量ブロックの支持部と前記圧電振動子との接触面にあたる請求項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項8】
前記弾性減衰部材は前記筐体の底部に充填される、ショア硬度shore-00が45~65であるシリコーンゴムを備え、そして前記シリコーンゴムの、前記筐体の底壁から遠い一端は前記重量ブロックの支持面と揃えられる請求項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項9】
前記振動伝達部品の第1端に取り付け溝が設置され、前記圧電振動子の中央部は接着によって前記取り付け溝に固定される請求項1~5のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項10】
前記筐体はプラスチック筐体を採用し、又は透かし彫りのメタルストリップを採用して製作される請求項1~5のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項11】
前記筐体の壁厚は0.3mm~0.5mmである請求項1~5のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項12】
前記筐体の頂壁に固定溝が設置され、前記固定溝は前記骨伝導補聴装置の固定部材を固定することに用いられるように設置される請求項1~5のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項13】
前記固定溝の溝壁に前記固定溝と前記筐体の内腔とを連通させるケーブルホールが設置される請求項1に記載の骨伝導補聴装置。
【請求項14】
前記固定部材はU字型であり、そして中空構造であり、前記固定部材は歯を挟むことに用いられるように設置され、前記圧電振動コンポーネントに接続される導線は前記ケーブルホールを通過した後、前記固定部材内に延伸し、そして前記固定部材の他端に固定される電気制御部品と電気接続する請求項1に記載の骨伝導補聴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文は補聴機器分野に関するが、それには限らず、特に骨伝導補聴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に存在する骨伝導補聴装置は、いずれも骨アンカー型補聴器であり、その動作原理は、音を振動に変換した後、頭蓋骨を介して蝸牛に伝導するということであり、それによって、聴力を改善する目的を実現する。骨伝導補聴装置は通常チタンネジで骨に埋め込まれるため、補聴器の設置には外科的な埋め込みが必要であり、これにより、補聴器の設置は不便である。
【発明の概要】
【0003】
以下は本文が詳細に記述するテーマについての概説である。本概説は特許請求の保護範囲を制限するためのものではない。
【0004】
本願は骨伝導補聴装置を提供し、筐体、圧電振動コンポーネント及び振動伝達部品を備え、前記圧電振動コンポーネント及び前記振動伝達部品はいずれも前記筐体内に設置され、前記振動伝達部品の第1端は前記圧電振動コンポーネントに接続され、第2端は前記筐体に接続され、前記筐体は接触によって振動を出力する振動出力部を備える。
【0005】
図面の簡単な説明及び本願実施例の実施形態を読みそして理解した後、その他の態様を分かることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は本願実施例の骨伝導補聴装置の断面構造模式図である。
図2図2は本願実施例の骨伝導補聴装置の底筐体の正面構造模式図である。
図3図3は本願実施例の骨伝導補聴装置の底筐体の底面構造模式図である。
図4図4は本願実施例の骨伝導補聴装置の底筐体の左側面構造模式図である。
図5図5は本願実施例の骨伝導補聴装置の振動伝達部品の正面構造模式図である。
図6図6は本願実施例の骨伝導補聴装置の振動伝達部品の底面構造模式図である。
図7図7は本願実施例の骨伝導補聴装置の振動伝達部品の左側面構造模式図である。
図8図8は本願実施例の骨伝導補聴装置の重量ブロックの正面構造模式図である。
図9図9は本願実施例の骨伝導補聴装置の重量ブロックの底面構造模式図である。
図10図10は本願実施例の骨伝導補聴装置の重量ブロックの右側面構造模式図である。
図11図11は本願実施例の骨伝導補聴装置の圧電振動子の正面構造模式図である。
図12図12は本願実施例の骨伝導補聴装置の圧電振動子の底面構造模式図である。
図13図13は本願実施例の骨伝導補聴装置の圧電振動子の右側面構造模式図である。
図14図14は本願実施例の骨伝導補聴装置の上蓋の正面構造模式図である。
図15図15は本願実施例の骨伝導補聴装置の上蓋の底面構造模式図である。
図16図16は本願実施例の骨伝導補聴装置の上蓋の左側面構造模式図である。
図17図17は本願実施例の骨伝導補聴装置の使用状態の構造模式図である。
図18図18は本願実施例の骨伝導補聴装置の周波数‐出力ゲインの関係模式図である。
図19図19は本願実施例の骨伝導補聴装置の弾性減衰部材の減衰が増加した後の周波数‐出力ゲインの関係模式図である。
図20図20は本願実施例の骨伝導補聴装置の弾性減衰部材の減衰が減少した後の周波数‐出力ゲインの関係模式図である。
【0007】
図面標記:
100:骨伝導補聴装置、1:筐体、11:底筐体、12:トップ蓋、13:突出部、14:固定溝、15:ケーブルホール、16:底壁、17:頂壁、2:圧電振動子、21:導線、3:重量ブロック、31:支持面、32:支持部、33:回避溝、34:突起、4:弾性減衰部材、5:振動伝達部品、51:円弧状適応面、52、取り付け溝、6、接着剤、200:固定部材、300、電気制御部品、400:歯。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は図面を参照しながら、本願実施例を説明する。尚、衝突しないかぎり、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに任意に組み合わせられてもよい。
【0009】
本願実施例を十分に理解してもらうために、以下の記述では多くの実施形態を説明する。しかし、本願実施例は更にここに説明するのと異なる形態で実施されてもよく、従って、本願実施例の保護範囲は以下に開示する実現方式に制限されない。
【0010】
本願実施例は骨伝導補聴装置100を提供し、図1に示すように、筐体1、圧電振動コンポーネント及び振動伝達部品5を備え、圧電振動コンポーネント及び振動伝達部品5はいずれも筐体1内に設置され、振動伝達部品5の第1端は圧電振動コンポーネントに接続され、第2端は筐体1に接続され、筐体1は接触によって振動を出力する振動出力部を備える。
【0011】
幾つかの例示的な実施例では、図17に示すように、振動出力部は、歯400と接触するように設置される。振動出力部は歯400の歯冠と接触してもよい。
【0012】
該骨伝導補聴装置100において、圧電振動コンポーネントは音によって発生された電気信号に基づいて振動し、そして振動伝達部品5を介して振動を筐体1に伝達してもよく、筐体1の振動出力部は歯400(例えば歯冠)等と接触してもよく、そして振動を歯400に伝達してもよく、これにより、振動は頭蓋骨を介して蝸牛に伝導されることができ、聴力改善の目的が実現される。
【0013】
該骨伝導補聴装置100の筐体1は非侵入型の接触によって振動を伝達し、それによって、骨伝導補聴装置100を設置する際は、外科手術によって頭蓋骨にアンカー固定する必要がなく、骨伝導補聴装置100と歯400とを接触させるだけでよく、設置が便利で、骨伝導補聴装置100の使用の利便性が向上する。
【0014】
他の例示的な実施例では、振動出力部は皮膚と接触するように設置されてもよい。振動出力部の振動は皮膚を介して骨に伝達され、そして蝸牛に伝導されてもよく、それによって聴力改善の目的を実現する。
【0015】
幾つかの例示的な実施例では、振動出力部は1個の歯400又は隣接する2個の歯400と接触するように設置される。
【0016】
図17に示すように、振動出力部は隣接する2個の歯400(例えば歯冠)の側壁面と接触し、これにより、振動は2個の歯400に伝達されることができ、振動伝達の有効性と信頼性が増加され、補聴効果が改善される。
【0017】
幾つかの例示的な実施例では、振動出力部と接触する歯400は口腔内側の大臼歯であってもよい。
【0018】
幾つかの例示的な実施例では、図1図4、及び図17に示すように、振動出力部は筐体1の底壁16に設置される外に向けて突出する突出部13を備え、突出部13は振動伝達部品5の第2端(振動伝達部品5のボトム端であり、図1における下端である)に接続され、突出部13の外表面は歯400(例えば歯冠)と接触するように設置される。
【0019】
振動伝達部品5の両端はそれぞれ圧電振動コンポーネント及び筐体1の振動出力部に接続され、それによって、圧電振動コンポーネントの振動を直接に振動出力部に伝達することができ、振動出力部の振幅及び振動出力の有効性が高められ、補聴効果の改善に利する。振動出力部は筐体1の底壁16(歯400に近い側)に設置される外に向けて突出する突出部13を備え、該突出部13の外表面を介して歯400との密接な接触を実現でき、接触の信頼性を強化でき、そして振動伝達の有効性が高められ、これにより、補聴効果が改善される。
【0020】
振動伝達部品5はノッキングブロックに類似し、筐体1の突出部13を介して歯400をノッキングし、歯400を振動させ、振動を歯400に伝達することが実現される。
【0021】
幾つかの例示的な実施例では、図1図7及び図17に示すように、突出部13は円弧状であり、そして突出部13の内表面及び外表面は円弧状であり、振動伝達部品5は突出部13の内表面に適応する円弧状適応面51を備え、円弧状適応面51は突出部13の内表面に接着固定され、突出部13の外表面は隣接する歯400の側壁面と接触するように設置される。
【0022】
突出部13は2個の歯400の間に延在してもよく、突出部13の円弧状外表面は隣接する2個の歯400の側壁面(例えば歯冠の側壁面)と有効に接触するように確保でき、接触はより緊密で信頼性が高く、そして突出部13の振動を2個の歯400に伝達でき、振動伝達の有効性と信頼性が増加され、補聴効果が改善される。
【0023】
図1に示すように、突出部13は筐体1の底部に波状構造を形成してもよく、筐体1の弾性及び振動特性の向上に利し、これにより、筐体1を介して振動を歯400に伝達することができる。
【0024】
幾つかの例示的な実施例では、図1及び図5図7に示すように、振動伝達部品5の底部は半月形であり、半月形の底面は突出部13の内表面に適応する円弧状適応面51である。
【0025】
幾つかの例示的な実施例では、振動出力部は筐体1の底壁16に一体的に形成された突出部13を備える。他の例示的な実施例では、振動出力部は筐体1の他の部分とは別々に形成されてもよく、そして筐体1の他の部分(例えば筐体1の底壁16)に接続され又は振動伝達部品5に接続されてもよい。
【0026】
幾つかの例示的な実施例では、図1に示すように、圧電振動コンポーネントは圧電振動子2、2つの重量ブロック3及び弾性減衰部材4を備え、圧電振動子2の中央部は振動伝達部品5の第1端に固定接続され、2つの重量ブロック3はそれぞれ圧電振動子2の両側に設置され、弾性減衰部材4は圧電振動子2と筐体1の底壁16との間、及び重量ブロック3と筐体1の底壁16との間に設置される。
【0027】
圧電振動子2の中央部は振動伝達部品5に固定され、両側に重量ブロック3が設置され、中間が固定し両側が振動するという単純支持梁で形成する圧電振動コンポーネントが形成される。圧電振動子2が振動する時、重量ブロック3はそれに伴って振動し、そして振動伝達部品5の伝達する振動力を増大させる。弾性減衰部材4が設置されることによって、圧電振動コンポーネントの力の出力はゲインを確保すると同時に周波数帯域も考慮でき、出力ゲインと周波数帯域幅のバランスが実現される。
【0028】
幾つかの例示的な実施例では、図1及び図8図10に示すように、重量ブロック3は支持面31を備え、支持面31には圧電振動子2に向けて突出する支持部32が設置され、支持部32は圧電振動子2に支持され、重量ブロック3の支持面31と圧電振動子2との間に接着剤6が設置される。
【0029】
重量ブロック3には突出する支持部32が設置され、該支持部32は圧電振動子2と接触し、これにより、重量ブロック3と圧電振動子2との接触面積は小さく、圧電振動子2の振動が影響されることが防止される。
【0030】
重量ブロック3の支持面31と圧電振動子2との間に接着剤6が設置され、接着剤6は圧電振動子2の振動に影響を与えることはなく、それは主に、重量ブロック3と圧電振動子2との間の結合面は振動する時に相対的に変位が小さいからである。そして、該接着剤6は重量ブロック3と圧電振動子2との間に弾性支持を提供し、振動する時の重量ブロック3の脱落を防止することができる。
【0031】
幾つかの例示的な実施例では、重量ブロック3の支持面31と圧電振動子2との間の接着剤6はLoctite社生産のM-11接着剤である。
【0032】
幾つかの例示的な実施例では、図1に示すように、重量ブロック3の重心の圧電振動子2への投影は、該重量ブロック3の支持部32と圧電振動子2との接触面にあたる。
【0033】
重量ブロック3の重心の圧電振動子2への投影が重量ブロック3の支持部32と圧電振動子2との接触面にあたることによって、重量ブロック3の取り付けは安定し、振動時の重量ブロック3の歪み発生を防止することができる。
【0034】
幾つかの例示的な実施例では、図1に示すように、重量ブロック3の圧電振動子2の外側に位置する部分に、筐体1の底壁16に向けて突出する突起34が設置され、突起34と圧電振動子2との間に隙間がある。
【0035】
突起34の設置によって、筐体1内の圧電振動子2の両側の空間を利用して重量ブロック3の重量を増加させ、振動伝達部品5の伝達する振動力を増大させることができる。突起34と圧電振動子2の互いに近い側壁面の間に隙間Sがあり、それによって、突起34と圧電振動子2とが接触して圧電振動子2の振動に影響を与えるというのを防止する。
【0036】
幾つかの例示的な実施例では、重量ブロック3はタングステン鋼ブロックであり、タングステン鋼ブロックは比重が大きく、コストが低い。
【0037】
幾つかの例示的な実施例では、図1に示すように、弾性減衰部材4は筐体1の底部に充填される、ショア硬度shore-00が45~65であるシリコーンゴムを備え、そしてシリコーンゴムの、筐体1の底壁16から遠い一端は重量ブロック3の支持面31と揃えられる。
【0038】
ショア硬度shore-00が45~65であるシリコーンゴムの、筐体1の底壁16から遠い一端(即ち上端)が重量ブロック3の支持面31と揃えられ、即ち接着剤6と揃えられることによって、重量ブロック3の一部及び圧電振動子2はシリコーンゴムに浸漬される。
【0039】
1つの例示的な実施例では、シリコーンゴムのショア硬度shore-00は55である。
【0040】
1つの例示的な実施例では、シリコーンゴムについて、Nusil社提供の型番が4086のシリコーンゴムが採用されてもよい。
【0041】
異なる硬度のゴムは異なる出力パフォーマンスを有する。図18に示すように、シリコーンゴムの硬度が一定の範囲(例えばショア硬度shore-00は45~65である)内にあり、シリコーンゴムの弾性減衰が装置の出力ゲインと周波数帯域幅のバランスを実現させると、使用の需要を満足させることができる。
【0042】
図19に示すように、シリコーンゴムの硬度が増大すると、減衰が増大し、それによって内部の負荷消費が増加し、出力ゲインが低下する。図形での明らかな変化は、ぺちゃんこになり(出力ゲインが低下し)、周波数帯域幅が広くなるということである。出力ゲインと周波数帯域幅は2つの負の相関のパラメータであり、出力ゲイン(グラフの上端が十分に高い)と周波数帯域幅の維持(グラフの上端が十分に広い)とのバランスが必要である。
【0043】
図20に示すように、シリコーンゴムの硬度が低下し、内部減衰が小さくなると、明らかな共振ピークが現れる。共振現象はスペクトル範囲内でのエネルギー出力のアンバランスを招き、単一の周波数ポイント出力を必要とする装置(例えば超音波発生器)である場合、比較的に高い共振ピークが好まれ、より広い周波数帯域を必要とする装置の場合、出力されるエネルギーが周波数帯域全体において平坦でバランスの取れたものであることが望まれる。
【0044】
幾つかの例示的な実施例では、圧電振動子2は圧電セラミック材料で製作される。
【0045】
幾つかの例示的な実施例では、図7に示すように、振動伝達部品5の第1端に取り付け溝52が設置され、圧電振動子2の中央部は接着によって取り付け溝52に固定される。
【0046】
1つの例示的な実施例では、図7に示すように、取り付け溝52は上端が開口し、両側が貫通する溝構造であり、即ち、取り付け溝52は底壁と両側壁を有し、圧電振動子2の中央部は取り付け溝52内に取り付けられてもよく、そして接着剤を介して取り付け溝52に接着固定される。圧電振動子2は取り付け溝52の底壁及び両側壁に固定され、それによって、3つの壁面を介して振動を振動伝達部品5に伝達でき、振動伝達の効果が良い。
【0047】
幾つかの例示的な実施例では、筐体1にはプラスチック筐体が採用される。1つの例示的な実施例では、筐体1はsabic社生産の型番がHU1010のプラスチックで製作されてもよい。
【0048】
幾つかの例示的な実施例では、筐体1は透かし彫りのメタルストリップで製作される。透かし彫りのメタルストリップにおける透かし彫り構造はメタルストリップの弾性を改善できる。
【0049】
1つの例示的な実施例では、骨伝導補聴装置100が口腔内に設置されそして歯400と接触して振動を伝達する時、透かし彫りのメタルストリップの外側にシーリングフィルムを被覆してもよく、それによって、唾液等が骨伝導補聴装置100の内部に入るのを防止する。
【0050】
幾つかの例示的な実施例では、筐体1の壁厚は0.3mm~0.5mmである。1つの例示的な実施例では、HU1010プラスチックで製作される筐体1の壁厚は0.4mmである。
【0051】
幾つかの例示的な実施例では、図1及び図14図16に示すように、筐体1の頂壁17(歯400から遠い側)に固定溝14が設置され、固定溝14は骨伝導補聴装置100の固定部材200を固定することに用いられるように設置される。
【0052】
幾つかの例示的な実施例では、図1及び図14図16に示すように、固定溝14の溝壁に固定溝14と筐体1の内腔とを連通させるケーブルホール15が設置される。圧電振動子2に接続される導線21(図11図13に示すように)はケーブルホール15を通過し、筐体1の外に延出してもよく、それによって、電気制御部品300と電気接続することができる。
【0053】
幾つかの例示的な実施例では、図17に示すように、固定部材200はU字型であり、そして中空構造であり、固定部材200は歯400を挟むことに用いられるように設置され、圧電振動コンポーネントに接続される導線21はケーブルホール15を通過した後、固定部材200内に延伸し、そして固定部材200の他端に固定される電気制御部品300と電気接続する。
【0054】
幾つかの例示的な実施例では、図17に示すように、骨伝導補聴装置100と電気制御部品300はそれぞれ歯400の両側(即ち頬側と舌側)に設置される。
【0055】
幾つかの例示的な実施例では、固定部材200はU字型鋼管であり、耐蝕性能が良い。
【0056】
1つの例示的な実施例では、図17に示すように、骨伝導補聴装置100は歯(例えば大臼歯)400の頬側に設置されてもよく、電気制御部品300は歯(例えば大臼歯)400の舌側に設置されてもよく、U字型固定部材200の両端はそれぞれ骨伝導補聴装置100と電気制御部品300に接続される。U字型固定部材200は歯(例えば大臼歯)400の裏側を回り、そして両側から歯(例えば大臼歯)400の歯冠を挟み、しまりばねによって骨伝導補聴装置100と電気制御部品300の固定を実現する。圧電振動コンポーネントの圧電振動子2に接続された導線21はケーブルホール15を通過した後、固定部材200内に延伸し、そして固定部材200の他端に固定される電気制御部品300と電気接続してもよい。
【0057】
幾つかの例示的な実施例では、図10に示すように、重量ブロック3の頂部に回避溝33が設置され、それによって、筐体1に固定部材200を取り付ける固定溝14を回避することができる。
【0058】
幾つかの例示的な実施例では、図1図4及び図14図16に示すように、筐体1は底筐体11とトップ蓋12を備え、底筐体11とトップ蓋12は接着によって固定され、これにより、筐体1のシール防水性能が良い。振動出力部(突出部13)は底筐体11の底壁16に設置されてもよく、固定溝14はトップ蓋12の頂壁17に設置されてもよい。
【0059】
如何なる制御される振動(周波数帯域幅と振幅)も減衰弾性構造を精密に設計される必要があり、そうしてはじめて、様々な要素を考慮しながら理想的な出力を取得することができる。幾つかの場合、圧電振動子の主な課題は、振動出力周波数帯域幅は中高周波数にあり、そして出力周波数帯域幅と圧電振動子の寸法とが関連し、周波数帯域をより広くする必要がある場合、圧電振動子の寸法をより大きくする必要があり、空間が限られた小寸法部位に圧電振動子を使用し、それと同時に比較的に良い周波数帯域幅を得たい場合は、適切な減衰弾性構造を設計してピーク値を下げ、周波数帯域幅を拡大し、そして周波数帯域を高から低にシフトする必要がある。本願実施例では、プラスチック材質の薄壁筐体、筐体底部の突出部によって形成される波状構造、及び充填される弾性シリコーンゴムによって形成される減衰弾性構造によって、骨伝導補聴装置は良好な振動特性を有する。
【0060】
本願実施例の説明では、ポジション又は位置関係を指示する用語「頂」は、骨伝導補聴装置と接触する皮膚、骨又は歯から離れた側を指し、用語「底」は、骨伝導補聴装置と接触する皮膚、骨又は歯に近い側を指す。
【0061】
本願実施例に開示される実施形態は以上の通りであるが、その記載内容は本願実施例を理解するために採用される実施形態であり、本願実施例を限定するためのものではない。当業者が本願実施例に開示される精神と範囲を離脱せずに、実施の形式及び詳細において修正と変更を行うことができるが、本願実施例の特許保護範囲は、特許請求の範囲に記載の範囲に準じる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
骨伝導補聴装置であって、筐体、圧電振動コンポーネント及び振動伝達部品を備え、前記圧電振動コンポーネント及び前記振動伝達部品はいずれも前記筐体内に設置され、前記振動伝達部品の第1端は前記圧電振動コンポーネントに接続され、第2端は前記筐体に接続され、前記筐体は接触によって振動を出力する振動出力部を備える骨伝導補聴装置。
[2]
前記振動出力部は歯と接触するように設置される[1]に記載の骨伝導補聴装置。
[3]
前記振動出力部は1個の歯又は隣接する2個の歯と接触するように設置される[2]に記載の骨伝導補聴装置。
[4]
前記振動出力部は前記筐体の底壁に設置される外に向けて突出する突出部を備え、前記突出部は前記振動伝達部品の第2端に接続され、前記突出部の外表面は歯と接触するように設置される[2]に記載の骨伝導補聴装置。
[5]
前記突出部は円弧状であり、そして前記突出部の内表面及び外表面は円弧状であり、前記振動伝達部品は前記突出部の内表面に適応する円弧状適応面を備え、前記円弧状適応面は前記突出部の内表面に接着固定され、前記突出部の外表面は隣接する2個の歯の側壁面と接触するように設置される[4]に記載の骨伝導補聴装置。
[6]
前記圧電振動コンポーネントは圧電振動子、2つの重量ブロック及び弾性減衰部材を備え、前記圧電振動子の中央部は前記振動伝達部品の第1端に固定接続され、2つの前記重量ブロックはそれぞれ前記圧電振動子の両側に設置され、前記弾性減衰部材は前記圧電振動子と前記筐体の底壁との間、及び前記重量ブロックと前記筐体の底壁との間に設置される[1]~[5]のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
[7]
前記重量ブロックは支持面を備え、前記支持面には前記圧電振動子に向けて突出する支持部が設置され、前記支持部は前記圧電振動子に支持され、前記重量ブロックの支持面と前記圧電振動子との間に接着剤が設置される[6]に記載の骨伝導補聴装置。
[8]
前記重量ブロックの重心の前記圧電振動子への投影は、該重量ブロックの支持部と前記圧電振動子との接触面にあたる[7]に記載の骨伝導補聴装置。
[9]
前記弾性減衰部材は前記筐体の底部に充填される、ショア硬度shore-00が45~65であるシリコーンゴムを備え、そして前記シリコーンゴムの、前記筐体の底壁から遠い一端は前記重量ブロックの支持面と揃えられる[7]に記載の骨伝導補聴装置。
[10]
前記振動伝達部品の第1端に取り付け溝が設置され、前記圧電振動子の中央部は接着によって前記取り付け溝に固定される[6]に記載の骨伝導補聴装置。
[11]
前記筐体はプラスチック筐体を採用し、又は透かし彫りのメタルストリップを採用して製作される[1]~[5]のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
[12]
前記筐体の壁厚は0.3mm~0.5mmである[1]~[5]のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
[13]
前記筐体の頂壁に固定溝が設置され、前記固定溝は前記骨伝導補聴装置の固定部材を固定することに用いられるように設置される[1]~[5]のいずれか1項に記載の骨伝導補聴装置。
[14]
前記固定溝の溝壁に前記固定溝と前記筐体の内腔とを連通させるケーブルホールが設置される[13]に記載の骨伝導補聴装置。
[15]
前記固定部材はU字型であり、そして中空構造であり、前記固定部材は歯を挟むことに用いられるように設置され、前記圧電振動コンポーネントに接続される導線は前記ケーブルホールを通過した後、前記固定部材内に延伸し、そして前記固定部材の他端に固定される電気制御部品と電気接続する[14]に記載の骨伝導補聴装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20