(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】乳様突起及び耳介を同時に刺激する耳鳴り治療専用の骨伝導ヘッドセット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20230417BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20230417BHJP
A61F 11/00 20220101ALI20230417BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/10 101
A61F11/00 350
(21)【出願番号】P 2021539102
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2020015155
(87)【国際公開番号】W WO2021101124
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0148322
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520409589
【氏名又は名称】株式会社エムアイジェー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ジン スク
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-082324(JP,A)
【文献】特開2004-064457(JP,A)
【文献】特開2003-018683(JP,A)
【文献】特表2011-521560(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108853682(CN,A)
【文献】特表2010-502376(JP,A)
【文献】特表2012-525721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/10
A61F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の後頭部を帯状で取り囲むネックバンド部と、
前記ネックバンド部の両側端に一端が着脱可能に組み立てられ、前記使用者の耳に掛けられるための耳掛け溝を形成する耳掛け部と、
前記耳掛け部の内側面に形成される取付溝に組み立てられるマウント部に備えられ、前記使用者の耳介の後側に位置する乳様突起を介して骨伝導で聴覚神経に音を伝える第1骨伝導部と、
前記第1骨伝導部と一端が接して前記マウント部に組み立てられ、前記使用者の耳介の後側に弾力的に密着して、骨伝導で聴覚神経に音を伝える第2骨伝導部と、
を含み、
前記第2骨伝導部は、前記第1骨伝導部が取り付けられる前記マウント部と対応結合される内部孔を有する結合管と、前記結合管の外側枠から前記使用者の耳介の後側に弾力的に接するように前記耳介側に拡張される接触板と、前記第1骨伝導部で発生する音振動を前記耳介に伝えるように、前記結合管から前記接触板側に延長される振動伝達板と、を含む乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセット。
【請求項2】
前記結合管の外側枠から乳様突起の下部側に延長される延長板を含み、前記延長板の内側面は、皮膚との吸着力を発生させて着用感を高めるように外側に湾曲する弧形断面状をなす請求項
1に記載の乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセット。
【請求項3】
前記振動伝達板は、前記結合管に円形で巻き取られて配置される受信板体と、前記受信板体の一端から多岐に分岐されて、前記接触板に配置される伝達板体と、を含む請求項
1に記載の乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセット。
【請求項4】
前記ネックバンド部は、内側面への電源印加時、脳波同調用光を発生させる1対のLED部材を備える請求項1に記載の乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセット。
【請求項5】
外部からの聴覚的刺激がない状況で、音が聞こえると感じる耳鳴り患者に定期的に治療音源を提供することにより、耳鳴りを治療するように耳鳴りケアプログラムを備える制御部をさらに含む請求項1乃至請求項
4のいずれか一項に記載の乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨伝導ヘッドセットに係り、さらに詳しくは、乳様突起に接触して音振動を伝えるとともに、耳介に接触して音振動を伝えることができ、乳様突起及び耳介を同時に刺激する耳鳴りケア音源を提供しながら耳鳴りを治療することができる骨伝導ヘッドセットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人間の耳に聞こえる音は、波動の形態で伝えられる。外部音は、人間の外耳から入り、鼓膜を振動させ、鼓膜内側の内耳において細胞が刺激を受け取って脳に伝えられる。
【0003】
人間が聴くことができる音の周波数範囲は、約20~20000Hzであり、人間が話す声の周波数範囲は、約500~2000Hzである。
【0004】
しかしながら、難聴者の場合は、音の周波数範囲のうち、全ての周波数または一部の周波数の音を聴かないことがある。よって、最近は、頭蓋骨の振動を介して音を伝える骨伝導方式が用いられる。
【0005】
骨伝道方式は、頭蓋骨を振動させた音が蝸牛管に伝えられ、聴覚神経を経て脳に伝える方式であって、音認識の仕組みにより、振動が鼓膜と鼓膜中に位置する3つの骨を経由する過程を省略したものである。
【0006】
すなわち、耳の周辺の皮膚表面に加えられる音響振動が頭蓋骨を介して蝸牛に直ちに伝えられることにより、鼓膜や耳小骨に異常のある難聴者であっても、蝸牛と聴覚神経が正常であれば、皮膚を介した骨伝道により、音を確かに聴くことができるようになる。
【0007】
一方、空気伝導型ヘッドセットの場合、耳を塞いで使用することにより、周辺外部の騒音等を聴くことができず、不注意による事故の危険が増え、先進国では、耳を塞いで使用する空気伝導型イヤホン及びヘッドホンを着用した状態で、道路上で音楽等を聴かないように、法律的に規制している。
【0008】
また、最近、デジタル音響及び通信機器の急速な普及による青少年の騒音性難聴の世界的な増加により、人口に対して10%以上が難聴を訴えており、世界的な高齢化時代において、老人性難聴の増加も、社会的に問題視されているので、受信されるスピーカー音量を減らし、使用時間を減らすことを代案として提示している実情である。
【0009】
したがって、骨伝導ヘッドセットは、一般人の場合、耳を開いて使用することにより、周辺の騒音を同時に受信するので、不注意による事故を予防するとともに、鼓膜に直接的な影響を与えることなく、骨伝導原理を用いて使用するので、難聴を予防することができる。
【0010】
このような骨伝導ヘッドセットは、耳周辺の骨を振動させて音を伝えるので、聴覚障害者だけでなく、騒音が酷い場所で働く人も有用に使用することができる。
【0011】
従来は、骨伝導方式のヘッドセットが単純な音伝達の機能のみを行うので、様々な機能を実現し難く、長時間着用時、人体に接する部品の剛性により、使用者の不便さが加重されるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、上述したような問題点を解決するためのものであって、その目的は、乳様突起を介した音振動と耳介を介した音振動を同時に行い、音受信率を高めることができる乳様突起及び耳介を同時に刺激して、耳鳴りを治療することができる、乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットを提供することにある。
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は、下記の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するための具体的な手段として、本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットは、使用者の後頭部を帯状で取り囲むネックバンド部と、前記ネックバンドの両側端に一端が着脱可能に組み立てられ、前記使用者の耳に掛けられるための耳掛け溝を形成する耳掛け部と、前記耳掛け部の内側面に形成される取付溝に組み立てられるマウント部に備えられ、前記使用者の耳介の後側に位置する乳様突起を介して骨伝導で聴覚神経に音を伝える第1骨伝導部と、前記第1骨伝導部と一端が接して前記マウント部に組み立てられ、前記使用者の耳介の後側に弾力的に密着して、骨伝導で聴覚神経に音を伝える第2骨伝導部と、を含む。
【0015】
このとき、前記ネックバンド部は、少なくとも一つの内部バンド材を含み、前記内部バンド材は、長さの中央から、1対の耳掛け部と連結される両側端に行くにつれて、板幅が徐々に細くなる一定長さの板材で備えられてもよい。
【0016】
このとき、前記内部バンド材の両端には、前記内部バンド材の板幅よりも小さな板幅サイズを有する連結部を介して、組立孔を貫通形成した連結板を備え、前記連結板側に延長される一字状のプレス溝を陥没形成してもよい。
【0017】
このとき、前記耳掛け部は、前記ネックバンド部の両側端と連結され、前記マウント部と対応して挿入組立される組立溝を内側面に備える耳掛け本体と、前記耳掛け本体から後方側に曲線状で延長される耳掛け延長部と、前記耳掛け延長部の端部から、弾性力を有するように、前記ネックバンド部の両端が内側に集められる方向に折り曲げられてから、反対に広がる方向に折り曲げられた曲線状折曲部と、を含んでもよい。
【0018】
このとき、前記耳掛け部は、前記耳掛け溝を形成する下端の外部面に、使用者の皮膚に密着するように軟性素材からなる軟性接触部材を備えてもよい。
【0019】
このとき、前記マウント部は、前記取付溝に一端が対応結合される板体の他端に、前記第1骨伝導部が内部に収容される円筒収容管を備え、前記板体は、前記耳掛け部の内側面に対して一定の角度だけ傾斜して配置されることが好ましい。
【0020】
このとき、前記第2骨伝導部は、前記第1骨伝導部が取り付けられるマウント部と対応結合される内部孔を有する結合管と、前記結合管の外側枠から使用者の耳介の後側に弾力的に接するように前記耳介側に拡張される接触板と、前記第1骨伝導部で発生する音振動を前記耳介に伝えるように、前記結合管から前記接触板側に延長される振動伝達板と、を含んでもよい。
【0021】
このとき、前記結合管の外側枠から乳様突起の下部側に延長される延長板を含み、前記延長板の内側面は、皮膚との吸着力を発生させて着用感を高めるように外側に湾曲する弧形断面状をなしてもよい。
【0022】
このとき、前記振動伝達板は、前記結合管に円形で巻き取られて配置される受信板体と、前記受信板体の一端から多岐に分岐されて、前記接触板に配置される伝達板体と、を含んでもよい。
【0023】
このとき、前記ネックバンド部は、内側面への電源印加時、脳波同調用光を発生させる1対のLED部材を備えてもよい。
【0024】
このとき、外部からの聴覚的刺激がない状況で、音が聞こえると感じる耳鳴り患者に治療音源を提供することにより、耳鳴りを治療するように耳鳴りケアプログラムを備える制御部をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0025】
上述のように、本発明の好適な実施例によれば、次のような効果を奏する。
【0026】
ヘッドセットの着用時、使用者の乳様突起と対応する第1骨伝導部を介した骨伝導と一緒に、使用者の耳介の軟骨を介して音振動を聴覚神経に伝えることにより、鼓膜や中耳に与えられる音負担を減らすとともに、多様な経路の骨伝導方式で音聴取受信率を高めることができ、さらに高い正確度で音を聞き取り、使用者の満足度を高めることができる。
【0027】
耳鳴り患者に耳鳴り治療用ケア音源を提供することにより、耳鳴りを効率的に治療することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1a、
図1b、
図1c及び
図1dは、本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットを示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットに適用されるネックバンド部の内部バンド材を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットの後方を示す部分拡大図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットに適用される第1骨伝導部を示す分解斜視図及び断面図である。
【
図6】
図6a、
図6b、
図6c及び
図6dは、本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットに適用される第2骨伝導部を示す構成図である。
【
図7】本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセットを使用者が着用した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が、本発明を容易に実施することができる好適な実施例について詳述する。但し、本発明の好適な実施例についての構造原理を詳述するにあたって、関連した公知機能または構成についての具体的に説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0030】
また、図面全体にわたって類似した機能及び作用を行う部分については、同じ図面符号を付ける。
【0031】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているというのは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合を含む。また、ある構成要素を「含む」というのは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0032】
本発明の実施例による乳様突起及び耳介を同時に刺激する骨伝導ヘッドセット100は、
図1a、
図1b、
図1c及び
図1dに示すように、ネックバンド部10、耳掛け部20、第1骨伝導部30、及び第2骨伝導部40を含んでもよい。
【0033】
前記ネックバンド部10は、
図1a、
図1b、
図1c及び
図1dに示すように、使用者の後頭部側である首の後ろに位置して、それを取り囲んで収容するように略弧状の帯状で備えられる構造物である。
【0034】
このようなネックバンド部10は、ゴムや合成樹脂で成形され、弾性を有する外部材の胴体内部に備えられ、構造剛性を補強するように、金属材の内部バンド材12を含んでもよい。
【0035】
樹脂や合成樹脂のような軽い素材からなるネックバンド部10の内部に、重量の重い金属素材からなる内部バンド材を内蔵することにより、ネックバンド部の全体的な重量を減らして構造的剛性を確保することができる。
【0036】
前記内部バンド材12は、長さの中央から、1対の耳掛け部20と連結される両側端に行くにつれて、板幅が徐々に細くなる形状で備えられる一定の長さの金属板材で備えられてもよい。
【0037】
この場合、前記ネックバンド部10に内蔵される内部バンド材12の長さ中央の板幅が両側端よりも大きく設計されることにより、使用者が、首の後ろのサイズに応じて中心を取るとともに、曲線状からなるネックバンド部を反り変形するフレキシブルなフィッティング作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、前記内部バンド材12の両端には、
図4に示すように、前記耳掛け部20に備えられる被組立部と組み立てされて連結されるように、前記内部バンド材の板幅よりも小さな板幅サイズを有する連結部14を介して組立孔13aを貫通形成した連結板13を備える。
【0039】
前記連結部14の一側面には、前記連結板13側に延長される略一字状のプレス溝14aを陥没形成することにより、狭幅を有する連結部の曲げ変形時、集中応力による疲労破壊及び短絡を防止することができる。
【0040】
また、前記ネックバンド部10の内側面には、電源印加時、脳波同調用光を発生させる1対のLED部材15を備えてもよい。
【0041】
前記ネックバンド部10を、使用者の前面の顔側に反転させ、前記1対のLED部材と使用者の左右両側の目と相互1対1に対応させてから、使用者が目を閉じた状態で、前記1対のLED部材15に外部電源を供給して、脳波同調用の周波数帯域を有する光を発生させると、使用者の閉じた目から網膜に脳波同調用光を伝えて刺激する効果が得られる。
【0042】
このような前記1対のLED部材15は、使用者の両目と相互1対1に対応するように、前記ネックバンドの内側面に一定の間隔を置いて、それぞれ備えられることが好ましい。
【0043】
前記耳掛け部20は、
図1a、
図1b、
図1c、
図1d、及び
図4に示すように、前記ネックバンドの両側端に一端が着脱可能に組み立てられ、前記使用者の耳に掛けられて装着するための耳掛け溝が形成されている。
【0044】
このような耳掛け部20は、前記ネックバンド部10の両側端と連結され、前記第1骨伝導部30が設置されるマウント部39と対応して挿入組立される取付溝を内側面に備える耳掛け本体21を含み、前記耳掛け本体21から後方側に略曲線状で延長される耳掛け延長部22を含んでもよい。
【0045】
前記耳掛け本体の上端の外部面には、音量ボタン、電源ボタンのような多数のボタンを有する操作ボタン部25を含んでもよく、前記操作ボタン部の一側には、耳鳴りケアのための専用ボタン26を含んでもよい。
【0046】
また、前記耳掛け延長部22の端部には、外部音を受信するマイク24を露出させるとともに、弾性力を有するように、前記ネックバンド部10の両端が内側に集められる方向に折り曲げられてから、反対に広がる方向に折り曲げられた曲線状折曲部23を含んでもよい。
【0047】
前記マイク24は、使用者の声を受け入れ、電話通話の目的で使えるように、音源から電気を発生させるために、コンデンサーを適用するエレクトロスタティックマイクのようなコンデンサーマイクであるか、周辺音を捕集してノイズカンスリングにより、補聴機能のマイク機能を行うように、半導体製作技法で作られる低電気的かつ機械的に作動するメムス(Micro Electro Mechanics System)マイクで備えられてもよい。
【0048】
前記曲線状折曲部23により、使用者が首の後ろにヘッドセットのネックバンド部を弾力的に広げて着用する過程で、前記曲線状折曲部の曲線内側面が使用者の首の後ろの皮膚に柔らかく接触して滑り、ヘッドセットの着用感及び密着感を高めることができる。
【0049】
また、前記耳掛け部20は、
図4に示すように、使用者の耳に掛けられて装着するための耳掛け溝を形成する下端の外部面に、使用者の皮膚に密着するように、シリコン樹脂のような軟性素材からなる軟性接触部材27を備えてもよい。
【0050】
このような軟性接触部材27により、ヘッドセットの着用時、前記耳掛け部と使用者の耳との密着力を高めて、着用感を高めることができ、ヘッドセットの補聴機能時、前記第1、2骨伝導部で発生する自体振動がプラスチック成形物からなる耳掛け部20を介してマイク24に伝えられる振動干渉を最小化することにより、バックハウリングを減少させることができる。
【0051】
このため、前記軟性接触部材27は、前記マイクが外部に露出して備えられる曲線状折曲部23の端部まで延長されて備えられることが好ましい。
【0052】
これにより、前記耳掛け部に備えられる曲線状折曲部と軟性接触部材により、ヘッドセットの着用時の着用感を高めるとともに、ヘッドセットを着用した状態で、身体の動きが多い運動を行う場合、ヘッドセットがネックバンド部と連動して、使用者の後ろから外れるか、分離されてしまうことを減らすことができる。
【0053】
前記第1骨伝導部30は、
図2に示すように、前記耳掛け部の内側面に形成される取付溝に対応挿入されて着脱可能に組み立てられるマウント部29と結合され、前記使用者の耳介の後側に位置する骨突起である乳様突起を介して音振動を骨伝導することにより、蝸牛管の聴覚神経に音を伝えることである。
【0054】
このような第1骨伝導部30は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、一方側に基板32を備えるケース31の他方側に組み立てられる蓋ケース31aを含み、前記ケースの内部には、前記基板32に一端である下端が連結されるコイル型ボイスコイル33の他端である上端と連結されるボビン35を含み、前記コイル型ボイスコイルの内側に位置するように、前記ボビン35の内面である下面に備えられる円筒状マグネット34を含む。
【0055】
前記ケース31と蓋ケース31aとの間には、前記ボビン35の外面である上面が下面中央に付着固定されるサスペンション板バネ36の外側枠が固定設置され、前記サスペンション板バネの上部に配置される振動板であるダイアフラム37の外側枠が固定設置される。
【0056】
これにより、前記基板を介して外部から受信された信号や音の電気的信号が、前記ボイスコイルに伝えられると、前記ボイスコイルとマグネットとの間の相互作用により、前記サスペンション板バネの振動及び前記ダイアフラムの振動作用を生じ、騒音振動を発生させて音を再生することにより、受信される外部信号や音を使用者の鼓膜を介さずに、耳の後側に相当する骨突起である乳様突起を介して音振動が聴覚神経に伝えられるようにして、音を聴くことができる。
【0057】
前記マウント部39は、前記耳掛け部の内側面に形成される取付溝に一端が対応結合される板体の他端に、前記第1骨伝導部30を構成する円筒形ケース31が内部に収容される円筒収容管を備え、前記板体は、前記耳掛け部の内側面に対して一定の角度(θ)だけ傾斜して配置されることが好ましい。
【0058】
前記マウント部39は、弾性力を有するゴムまたは樹脂素材からなってもよい。
【0059】
この場合、前記第1骨伝導部30が収容されるマウント部39は、使用者のヘッドセットの装着時、内側に一定の角度だけ傾斜して配置された板体が、外側に弾性変形されながらバネの復元力を発生させることにより、前記マウント部に備えられる第1骨伝導部と前記乳様突起との密着力を高め、前記乳様突起を介した骨伝導効率を高めることができる。
【0060】
前記第2骨伝導部40は、
図1a、
図1b、
図1c、
図1d、及び
図2に示すように、前記第1骨伝導部30とともに、前記マウント部39に着脱可能に組み立てられ、前記使用者の耳介の後側に弾力的に密着することにより、耳介の軟骨を介して音振動を骨伝導として蝸牛管の聴覚神経に音を伝えることである。
【0061】
このような第2骨伝導部40は、前記第1骨伝導部30が取り付けられるマウント部39と対応結合されるように、内部孔41aを有する結合管41を含み、前記結合管41の外側枠から使用者の耳介の後側に弾力的に接するように、前記耳介側に拡張される接触板43を含み、前記第1骨伝導部30で発生する音振動を前記耳介に伝えるように、前記結合管から前記接触板側に延長される振動伝達板44を含んでもよい。
【0062】
前記第2骨伝導部40は、
図6aに示すように、前記結合管の外側枠から乳様突起の下部側に延長され、使用者の皮膚との接触面積を拡張させる延長板42を含み、使用者の皮膚と接する延長板42の内側面42aは、皮膚との吸着力を発生させて着用感を高めるように、外側から湾曲する弧形断面状からなってもよい。
【0063】
これとともに、前記延長板42は、ヘッドセットの着用時、使用者の皮膚との密着力を高めるように、外側に行くほど、板厚が薄くなる断面状からなることが好ましい。
【0064】
また、前記結合管41は、前記第1骨伝導部が内部に収容されるマウント部の円筒収容管の外部面に内部面が対応して挿入され、着脱可能に結合されるように、円形の内部孔41aを有する略中空円筒管からなってもよい。
【0065】
前記マウント部と対応する結合管41の内部孔41aの一端は開口しているのに対して、使用者の皮膚と対応する内部孔41aの他端は、前記マウント部の円筒収容管に収容される第1骨伝導部側へ使用者の皮膚で発生する汗や外部異物が混入することを遮断する密閉面を備えるものとして図示して説明したが、これに限定されるものではなく、前記使用者の乳様突起と前記第1骨伝導部が互いに直接接触するように開口形成されてもよい。
【0066】
前記接触板42は、
図6aに示すように、使用者の耳介の後側に弾力的に接するように、外側枠が波形からなる水かき状で備えられるものとして図示して説明したが、これに限定されるものではなく、
図6bに示すように、外側角がラウンド処理された略四角板状からなってもよい。
【0067】
また、前記振動伝達板44は、SUSのように振動伝達率に優れ、機械加工性に優れた金属薄板素材からなることが好ましい。
【0068】
このような振動伝達板44は、
図6cに示すように、前記結合管41の胴体に略円形に巻き取られて配置され、前記第1骨伝導部30で発生する音振動を受信する受信板体44aを含み、前記受信板体44aの一端から多岐に分岐され、前記接触板43の胴体に配置される伝達板体44bを含んでもよい。
【0069】
これにより、前記第1骨伝導部30で発生する音振動は、前記振動伝達板の受信板体を経て、多岐に分岐された伝達板体に伝えられることにより、前記乳様突起を介して音振動を骨伝導する第1骨伝導部の音振動を、前記接触板が弾力的に接する耳介の軟骨を介して聴覚神経に伝達させ、使用者は、さらに高い音受信率で音を明確に聴くことができる。
【0070】
ここで、前記振動伝達板44は、シリコン樹脂のような樹脂材で成形される結合管41及び接触板43の成形時、その内部に外部に露出しないように埋められて配置されてもよいが、これに限定されるものではなく、前記第1骨伝導部で発生する音振動を受信する受信率を高め、前記耳介の軟骨側に音振動を伝える骨伝導率を高めるように、一側面に露出して配置されてもよい。
【0071】
本発明の実施例によるヘッドセット100には、外部からの聴覚的刺激がない状況で、音が聞こえると感じる耳鳴り患者に定期的に治療音源を提供することにより、耳鳴りを治療することができるように、耳鳴りケアプログラムを備える制御部を含んでもよい。
【0072】
すなわち、前記ヘッドセットは、第1骨伝導部において、制御部のメモリに保存された耳鳴りケア音源を再生し、乳様突起及び耳介を介して再生された音源を骨伝導方式で伝えて聴取させることにより、耳鳴り治療を行うことができる。
【0073】
また、前記ヘッドセットは、無線方式でスマートフォンと連結され、前記スマートフォンのアプリケーションサーバに保存された耳鳴り音源を、ストリーミング方式で、第1骨伝導部において再生することができる。
【0074】
このとき、前記スマートフォンのアプリケーションには、使用者の耳鳴りを診断する診断プログラムをインストールし、様々な形態の耳鳴り治療情報を提供することにより、使用者の個人別に診断プログラムに合わせて耳鳴り状態を診断し、診断に合わせて耳鳴りケア音源を再生し、使用者に伝えて、耳鳴り患者の耳鳴り治療を効率的に行うことができる。
【0075】
以上、本発明は、上述した実施例及び添付された図面により限定されるのではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明白であろう。