(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】下地材
(51)【国際特許分類】
E04C 2/20 20060101AFI20230417BHJP
E04C 2/22 20060101ALI20230417BHJP
E04C 2/26 20060101ALI20230417BHJP
E04C 2/30 20060101ALI20230417BHJP
E04C 2/38 20060101ALI20230417BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230417BHJP
E04F 13/30 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
E04C2/20 K
E04C2/22
E04C2/26 V
E04C2/30 Q
E04C2/38 P
E04F13/08 101L
E04F13/30
(21)【出願番号】P 2022077275
(22)【出願日】2022-05-09
【審査請求日】2023-01-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522027965
【氏名又は名称】株式会社コノミハウス
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】新田 英樹
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-151726(JP,A)
【文献】特開2010-088489(JP,A)
【文献】特開平10-121649(JP,A)
【文献】特開平10-244597(JP,A)
【文献】特開平06-238761(JP,A)
【文献】特開2003-000359(JP,A)
【文献】特開2019-007300(JP,A)
【文献】特開2007-211406(JP,A)
【文献】特開平10-121575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/00-2/54
E04B 2/72-2/82
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、正面、及びキッチンユニットに面する背面、及び床面に面する底面を有し、板状の形状を有する発泡部材で構成される、室内に設置されるキッチンカウンター用の下地材ユニットであって、
前記発泡部材の周辺部に金属製フレームを備え、
前記発泡部材は、発泡スチロールからなり、
前記正面に左官材を用いた表面処理による仕上げ加工を施された部材であ
り、
前記金属フレームは、前記下地材ユニットを前記床面に磁気的に着脱可能に固定するための、磁性材料で構成される固定部を備える、下地材ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の下地材ユニットであって、
当該発泡部材の前記上面、前記正面及び前記背面に、前記発泡部材を補強する補強部材をさらに備える、下地材ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の下地材ユニット
を複数備えた下地材セットであって、前記下地
セットは、床面を上面から平面視したときに、コの字型形状を有することを特徴とする下地材セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡スチロール等の発泡素材で構成される、壁材の元となる下地材に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、加工性に優れ、コストが抑えられる、発泡スチロール等の発泡素材を、建物の外壁用の壁材の下地材として利用したものが普及している。
【0003】
例えば、特許文献1において、外壁用の下地材について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、外壁の用途に用いられる下地材であり、外壁の場合、設置後に、現場で左官材を塗って仕上げることが可能であるものの、乾燥のための時間が必要であり、作業者は、現場へ何度も足を運ぶ必要があり、手間がかかるものであった。一方、室内に設置する壁や土台(例えばキッチンカウンターの台など)として左官材で表面処理された壁材を利用したい場合があり、室内の場合、作業者は、上記のような塗装工程のため、何度もその室内に訪問することは、家主の事情もあり難しい、という課題がある。
【0006】
かかる課題を解決するため、現場より離れた工務店等の作業場において、下地材に対し、左官材により表面処理を施した後、現場に搬送することが考える。しかしながら、そのような場合であっても、現場に搬送する際に外部より予期せぬ力がかかってしまい、表面処理で仕上げた部分がひび割れしてしまう等の課題が発生していた。
【0007】
そこで、本発明は、作業時間の短縮を実現可能な、室内用の、特に、キッチンカウンター用の下地材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における、本発明の一態様における、所定の形状を有する発泡素材で構成される、室内用の下地材ユニットであって、前記発泡素材の周辺部に金属製フレームを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業時間の短縮を実現可能な、室内用の、特に、キッチンカウンター用の下地材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、室内に設置された下地材の一例を説明する図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る、下地材の構成の一例を説明する図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る、室内に設置された下地材の他の一例を説明する図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る、下地材の構成の他の一例を説明する図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る、固定部を備えた下地材の構成の一例を説明する図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る、固定部の構成の一例を説明する図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る、固定部の構成の他の例を説明する図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る、固定部を備えた下地材の構成の他の一例を説明する図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る、室内に設置された下地材ユニットの一例を説明する図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る、室内に設置された下地材ユニットの他の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0012】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、室内に設置された下地材の一例を説明する図である。
【0013】
図1に示すように、下地材1は、左官材等により表面処理を施したうえで、キッチンカウンターの台として室内に設置される。ここで、下地材1は、直方体状に形成され、発泡スチロール等発泡素材からなる軽量素材で構成され、後述するように、発泡素材をベニア板等の板状の素材で補強する点を特徴とする。上述の通り、室内に設置する壁や土台(例えばキッチンカウンターの台など)として下地材を設置する場合、諸般の事情により、作業者は、室内の現場に何度も足を運ぶことが困難であることから、予め、現場より離れた工務店等の作業場において、下地材に対し、左官材により表面処理を施した後、現場に搬送する。ここで、発泡素材をベニア板等の板状の部材で補強することにより、表面処理を施した表面のひび割れを未然に防ぎつつ、現場に表面処理済みの下地材を運搬することができる。本例においては、下地材をキッチン周りの台として適用する例について説明するが、室内であれば、キッチン周りの用途以外に、間仕切り等の用途にも適用することができる。
【0014】
図2は、本発明の第一実施形態に係る、下地材の構成の一例を説明する図である。
【0015】
図2に示すように、下地材1は、発泡スチロール等発泡素材2からなる軽量素材と、ベニア板等の板状の補強部材3とで構成される。発泡素材2の上面に対し、補強部材3を備えることで、発泡素材2を補強することができる。ここで、
図2においては、発泡素材2の上面の全面に渡って補強部材3を貼付する例を挙げているが、発泡素材2の補強効果が得られるのであれば、発泡部材2の上面の一部(例えば、一または複数の角部の所定範囲等)に貼付してもよく、また、発泡部材2の側面の全部または一部に貼付してもよい。
【0016】
図3は、本発明の第一実施形態に係る、室内に設置された下地材の他の一例を説明する図である。
【0017】
図3に示すように、下地材1A、1Bは、キッチンカウンターとして、各々左官材等で表面処理を施された状態で、キッチンを取り囲むように設置される。下地材1A及び1Bは、上面から見て、L字型を形成するように、相互に接続するように設置される。このように、直方体の下地材を複数組み合わせることで、上面から見てL字型、コの字型等の所望の形状とすることができ、下地材セットとして形成することができる。
【0018】
図4は、本発明の第一実施形態に係る、下地材の構成の他の一例を説明する図である。
【0019】
図4に示すように、下地材1Aは、発泡スチロール等発泡素材2Aからなる軽量素材と、ベニア板等の板状の補強部材3Aとで構成され、また、下地材1Bは、下地材1Aと、上面から見てL字型を形成するように接続され、発泡スチロール等発泡素材2Bからなる軽量素材と、ベニア板等の板状の補強部材3Bとで構成される。そして、発泡素材2A及び2Bの各々上面に対し、補強部材3A、3Bを備えることで、発泡素材2A、2Bを補強することができる。ここで、
図4においては、発泡素材2A、2Bの各々の上面の全面に渡って補強部材3A、3Bを貼付する例を挙げているが、発泡素材2A、2B各々の補強効果が得られるのであれば、発泡部材2A、2Bの各々の上面の一部(例えば、一または複数の角部の所定範囲等)に貼付してもよく、また、発泡部材2A、2Bの各々の側面の全部または一部に貼付してもよい。また、下地材1A、1Bに横断するように、補強部材3を設けることもでき、これにより、下地材1A、1Bの接続を補強する効果が得られる。
【0020】
図5は、本発明の第一実施形態に係る、固定部を備えた下地材の構成の一例を説明する図である。
【0021】
図5に示すように、下地材1は、床に面する底面に、下地材1と床とを固定するための固定部5を備える。例えば、固定部5は、板状の金属で構成され、下地材1の底面の全面または一部に貼付される。さらに、固定部5は、床に設置された磁性材料で構成される床側固定部材7A、7B、7C、7Dと接触することで下地材1と床とを固定する、磁性材料で構成される下地材側固定部材6A、6B、6C、6Dを有する。本例においては、磁材部材6A乃至6Dは、金属製の固体部5に埋め込まれるように備えられる。
【0022】
図6は、本発明の第一実施形態に係る、固定部の構成の一例を説明する図である。
【0023】
図6に示すように、下地材1の底面に備えられる固定部5に取り付けられる下地材側固定部材6A乃至6D(以下、総称して下地材側固定部材6という)は、マグネット等の磁性材料で構成され、中央に貫通穴を有する。床側固定部材7A乃至7D(以下、総称して床側固定部材7という)についても磁性材料で構成され、中央に棒状に形成される凸部を有する。下地材側固定部材6の貫通穴に、床側固定部材7の凸部が貫通するように接触することで、下地材側固定部材6と床側固定部材7とが固定され、下地材1と床とが固定される。
【0024】
図7は、本発明の第一実施形態に係る、固定部の構成の他の一例を説明する図である。
【0025】
図7に示すように、
図6において説明した固定部材の代わりに、下地材側固定部材として、平面状のマグネット等の磁性材料からなる固定部材8と、床側固定部材として、固定部材8と同様に、平面状の磁性材料からなる固定部材9とを用いることができる。下地材側固定部材8の平面と、床側固定部材7の平面とが接触することで、下地材側固定部材8と床側固定部材9とが固定され、下地材1と床とが固定される。
【0026】
このように固定部材としてマグネット等の材料を用いることで、下地材と床との固定を実現できるとともに、釘やネジ等で固定するよりも、位置の調整を容易に行うことができる。特に発泡部材の軽量さもあいまって、位置調整を容易に実現することができる。また、釘やネジ、ビス等を用いることで、固定部材による固定をさらに強化することもできる。
【0027】
図8は、本発明の第一実施形態に係る、固定部を備えた下地材の構成の他の一例を説明する図である。
【0028】
図8に示すように、下地材1は、床に面する底面のほか、壁に面する側面に、下地材1と壁とを固定するための固定部10を備えることもできる。例えば、固定部10は、板状の金属で構成され、下地材1の側面の全面または一部に貼付される。さらに、固定部10は、壁に設置された磁性材料で構成される(図示しない)壁側固定部材と接触することで下地材1と壁とを固定する、磁性材料で構成される下地材側固定部材11A、11B、11C、11Dを有する。本例においては、磁材部材11A乃至11Dは、金属製の固体部10に埋め込まれるように備えられる。下地材側固定部材11A、11B、11C、11D、及び(図示しない)壁側固定部材は、
図6及び
図7において例示した固定部材と同様の構成とすることができる。ここで、下地材を壁に接するように配置する場合であって、下地材と床とを固定することで、下地材と壁との固定を不要とすることもできるが、下地材と壁とを固定することで、下地材の固定をさらに強固にすることができる。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、室内のキッチンカウンター向けの下地材であって、発泡素材を下地材に用いることで、現場から離れた作業場等で成形、表面処理等を施すことができ、特に下地材をベニア板等の補強材で補強することで、搬送に際しても、ひび割れ等の劣化を防ぐことができる。また、磁材材料からなる固定部を下地材に設けることで、容易に、下地材を床や壁に固定することができ、作業効率が各段に向上する。
【0030】
図9は、本発明の第二実施形態に係る、下地材の構成の一例を説明する図である。
【0031】
図9に示すように、本実施形態における下地材ユニット14は、金属製フレーム12と、断熱性を有する発泡スチロール等発泡素材からなる軽量素材13A、13Bで構成される。また、軽量素材13A、13Bの周辺部を保護するように、金属製フレームが設けられる。金属製のフレーム12は、ステンレスやアルミ等の金属を溶接加工等により接合することで形成される。金属製フレーム12に、軽量素材13A、13Bを各々嵌め合わせることで、発泡素材を含む下地材1を運搬する際に、軽量素材の保護が補強され、損傷や摩耗を防止することができる。発泡素材2の上面に対し、補強部材3を備えることで、発泡素材2を補強することができる。
【0032】
図10は、本発明の第一実施形態に係る、室内に設置された下地材の他の一例を説明する図である。
【0033】
図10に示すように、下地材ユニット14A、14Bは、各々金属製フレームにより角部を保護された、断熱性を有する発泡スチロール等発泡部材からなる軽量素材13A、13B、13Cとで構成される、下地材ユニット14Aと14Bとを組み合わせることで、キッチンカウンターとして、各々左官材等で表面処理を施された状態で、キッチンを取り囲むように設置される。ここで、金属製フレームとして、下地材の角部に、コーナー役物15A乃至15H、及び、下地材の角部以外の箇所に出隅役物または平役物を備えることによって構成することができる。下地材ユニット14A及び14Bは、上面から見て、L字型を形成するように、相互に接続するように設置される。このように、直方体の下地材を複数組み合わせることで、上面から見てL字型、コの字型等の所望の形状とすることができ、下地材セットとして形成することができる。
【0034】
なお、本実施形態においても、第一実施形態同様に、発泡部材13A、13Bの上面または側面に接する、ベニア板等の補強部材をさらに備えることができ、また、下地材ユニットを床等に固定するに際して、磁性材料で構成される固定部を、下地材(軽量素材13A、13B)の、床に面する底部に備え、床に固定された磁性材料で構成される固定部に対し着脱可能に固定することができる。
【0035】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行って実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行ったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 下地材 2 発泡部材 3 補強部材 5 固定部 6 固定部材 7 固定部材 8 固定部材 9 固定部材 10 固定部 11 固定部材 12 金属フレーム 13 発泡部材 14下地材ユニット
【要約】 (修正有)
【課題】作業時間の短縮を実現可能な、室内用の、特に、キッチンカウンター用の下地材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様における、所定の形状を有する発泡素材で構成される、室内用の下地材ユニットであって、前記発泡素材の周辺部に金属製フレームを備える。
【選択図】
図10