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  • 特許-反り腰防止用アンダーウェア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】反り腰防止用アンダーウェア
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20230417BHJP
   A41B 9/02 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61F5/02 K
A41B9/02 Q
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022098495
(22)【出願日】2022-06-18
【審査請求日】2022-11-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519103735
【氏名又は名称】株式会社ホスピタリティホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100216286
【弁理士】
【氏名又は名称】篠崎 史典
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕司
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038194(JP,A)
【文献】特開2008-297664(JP,A)
【文献】特開2019-081974(JP,A)
【文献】特開2018-201686(JP,A)
【文献】特開2020-174742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/02
A41B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者のウェスト部から大腿部を覆った状態で使用する反り腰防止用アンダーウェアであって、
伸縮弾性生地からなり、使用者のウェスト部から左右大腿部を覆うための本体部(A)と、
本体部(A)において、使用者の左大殿筋下部に当接する位置に設けられた左側大殿筋支持帯(B1)と低伸縮性右大殿筋下部に当接する位置に設けられた右側大殿筋支持帯(B2)と、
正中線近傍の左大殿筋支持帯(B1)から左大腿外側まで当接する位置に設けられた左側大腿帯体(C1)と、正中線近傍の低伸縮性帯体(B2)から右大腿外側まで当接する位置に設けられた右側大腿帯体(C2)と、から構成され、
大殿筋支持帯(B1,B2)および大腿帯体(C1,C2)は、本体部(A)を構成する伸縮弾性生地よりも伸縮性が小さい低伸縮性生地より構成されており、かつ本体部(A)に縫製されていることを特徴とする反り腰防止用アンダーウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反り腰防止用アンダーウェアに関し、より具体的には、いわゆる「反り腰」を有効に防止することで、姿勢の正常化、可動域範囲の拡大、筋力の持続・向上およびスポーツ中のフォームの正常化・その維持を発揮できる反り腰防止用アンダーウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
図2(A)に示されるように、人は、骨格上、番F1に示すように骨盤が前傾し、付体の後ろに重心がかかっている状態にある。そのため、腰が前に反っている状態、より具体的には、背骨のS字カーブのうち、腰椎の反りが強くなっており、腰の筋肉が過剰に緊張した状態(「反り腰」)となっていることが多い。
【0003】
また、反り腰は、骨盤周りの筋肉によって改善されるものの、一般的に、男性よりも、筋力が弱い女性のほうが、反り腰が悪化する傾向にある。
【0004】
反り腰は、単に、腰痛の原因となるばかりではなく、腰部脊柱管狭窄症や坐骨神経痛を引き起こすこともある。また、図2(A)に示されるように、相対的に下半身(骨盤)が後方に位置し、上半身が前のめりのような状態になるため、臀部が出っ張る状態(いわゆる「出っ尻」)や、太腿の前方部分の柔軟性が低下するなど、様々な問題が生じる。
【0005】
また、「反り腰」は、たとえば、ゴルフなどのスポーツ中においても発生する。図2(C)に示されるように、ゴルフのプレー中、「反り腰」の状態となっているため、腰や首などに痛みを生じやすい。
【0006】
「反り腰」を防止るため或いは改善するために、様々な方法が考案されている。一般的には、腰を丸めるストレッチや骨盤周りの筋肉をほぐすマッサージなどが挙げられる。これらは、緊張した筋肉および悪化した血行を改善して、柔軟性を向上させる。
【0007】
また、図2(B)に示されるような、いわゆるコルセットベルト(骨盤ベルト)を使用する方法も提案されている。
【0008】
たとえば、特許文献1では、骨盤矯正ベルトに関する発明が開示されている。この骨盤矯正ベルトは、「骨盤押圧部は4本の伸縮性を有する素材からなるベルトで形成されており、その4本のベルトのうち、左上部ベルトは右上部、左下部ベルトより押圧力が強く、右下部ベルトは左上部ベルトよりも押圧力が強いベルトを具備したことを特徴とする」(特許請求の範囲)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-158993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の骨盤ベルトなどと反り腰への改善効果について検討したところ、骨盤ベルトは、むしろ、反り腰を促進させてしまう場合もあり、骨盤のアライメントの悪化へと至ることもある。
【0011】
そのため、従来の骨盤ベルトとは異なる観点で、反り腰を防止・緩和するような方法を鋭意検討したところ、従来の伸縮性のアンダーウェア(下半身用下着)に、特定の伸縮性を有する帯体(臀部下部を支持する2本の帯体と臀部下部の正中線近傍から外側へ延設された帯体)を設けることで、骨盤を起こし(重心を後方(背面方向)へ移動させ)、たとえば、反り腰の状態が多いスポーツ(例:ゴルフ)のプレイ中であっても正しい骨盤のアライメント・正しいフォームを有効に維持できることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、様々な体調不良・運動機能低下の原因となる「反り腰」を有効に防止することで、姿勢の正常化、可動域範囲の拡大、筋力の持続・向上およびスポーツ中のフォームの正常化・その維持を発揮できる反り腰防止用アンダーウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る反り腰防止用アンダーウェアは、使用者のウェスト部から大腿部を覆った状態で使用する反り腰防止用アンダーウェアであって、伸縮弾性生地からなり、使用者のウェスト部から左右大腿部を覆うための本体部(A)と、本体部(A)において、使用者の左大殿筋下部に当接する位置に設けられた左側大殿筋支持帯(B1)と低伸縮性右大殿筋下部に当接する位置に設けられた右側大殿筋支持帯(B2)と、正中線近傍の左大殿筋支持帯(B1)から左大腿外側まで当接する位置に設けられた左側大腿帯体(C1)と、正中線近傍の低伸縮性帯体(B2)から右大腿外側まで当接する位置に設けられた右側大腿帯体(C2)と、から構成され、大殿筋支持帯(B1,B2)および大腿帯体(C1,C2)は、本体部(A)を構成する伸縮弾性生地よりも伸縮性が小さい低伸縮性生地より構成されており、かつ本体部(A)に縫製されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る反り腰防止用アンダーウェアによれば、いわゆる「反り腰」を有効に防止することで、姿勢の正常化、可動域範囲の拡大、筋力の持続・向上およびスポーツ中のフォームの正常化・その維持、さらには反り腰により生じる諸症状(腰痛など)の防止などの効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)~(D)は、本発明に係る反り腰防止用アンダーウェアの一態様を示すための図である。
図2図2(A)は、「反り腰」状態を説明するための図であり、図2(B)は、従来の骨盤ベルト(コルセットベルト)を説明するための図である。また、図2(C)は、ゴルフプレー時における「反り腰」状態を説明するための図である。
図3図3(A)は、本発明に係る反り腰防止用アンダーウェア背面部における張力の方向を示すための図である。また、図3(B)は、反り腰防止用アンダーウェアを着用した際の姿勢および骨格の状態を示すための図である。
図4図4(A)および(B)は、それぞれ、「反り腰」状態下における骨格の状態および正常状態下における骨格の状態を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る低反り腰防止用アンダーウェアについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、「前」および「後」は、それぞれ着用者(使用者)から見た場合の前方側(腹側)および後方側(背側)を言う。また、「右」および「左」についても、それぞれ着用者(使用者)から見た場合の右側および左側を言う。
【0017】
本発明に係る反り腰防止用アンダーウェアは、使用者(着用者)のウェスト部から大腿部を覆った状態で使用する。図1(A)および(B)の付番10は、それぞれ、反り腰防止用アンダーウェアの背面および前面を示す図である。これらの図に示されるように、本体部Aと大殿筋支持帯B1、B2および大腿帯体C1、C2を基本的な構成要件としており、さらには、必要に応じてその他の部材を有していてもよい。なお、図1(C)および(D)は、本発明に係る反り腰防止用アンダーウェアの試作品である。
【0018】
図1(A)~(D)に示されるように、本体部は、使用者のウェスト部から左右大腿部を覆うものである。すなわち、通常のハーフレギンスのような形状を有しており、具体的には、図1(B)に示されるように、腰収容口A1と2つの脚挿入口A2,A3とを備え、通常は、使用者(着用者)毎に、腹部、腰部、臀部および大腿部上部(太腿の付け根)すべてを被覆するように設計されている。
【0019】
また、本体部は、伸縮弾性生地から構成されている。ここで、伸縮弾性生地としては、綿混などの天然繊維の他に、ゴム、ポリエステルやナイロン、ポリウレタンなどの合成繊維から構成された生地であることが一般的であり、着用時に、着用者の腹部、腰部、臀部および大腿部上部(太腿の付け根)にフィットする素材(生地)から構成されている。
【0020】
また、図1(A)の付番B1およびB2に示されるように、本体部Aには、2つの大殿筋支持帯が設けられている。当該大殿筋支持帯B1、B2は、着用者の臀部(具体的には大殿筋の下部分)に当接する位置(すなわち、大殿筋の下部分に、本体部を介して接触し、かつ大殿筋を当該大殿筋の下部分から上方向に支持する位置)に設けられている。
【0021】
ここで、大殿筋支持帯は、左大殿筋下部に当接する位置に設けられた左側大殿筋支持帯B1と右大殿筋下部に当接する位置に設けられた右側大殿筋支持帯B2とからなる。
【0022】
また、図1(A)の付番C1およびC2に示されるように、本体部Aにおいて、2つの大腿帯体が設けられている。ここで、大腿帯体C1,C2は、左側大腿帯体C1と右側大腿帯体C2とからなる。
左側大腿帯体C1は、左大殿筋支持帯(B1)の正中線近傍部分(すなわち、左大殿筋支持帯(B1)のうち、臀裂付近に位置する部分)から本体部Aの左大腿の外側に当接する位置にかけて設けられた帯状体の部材である。一方で、右側大腿帯体C2は、右大殿筋支持帯(B2)の正中線近傍部分(すなわち、右大殿筋支持帯(B2)のうち、臀裂付近に位置する部分)から本体部Aの右大腿の外側に当接する位置にかけて設けられた帯状体の部材である。
【0023】
図1(A)に示されるように、通常、左大殿筋支持帯(B1)と左大殿筋支持帯(B1)とは、「く」の字形状を形成する一方、右大殿筋支持帯(B2)と右大殿筋支持帯(B2)とは、逆「く」の字形状を形成する。
【0024】
また、大殿筋支持帯B1,B2および大腿帯体C1,C2は、本体部Aを構成する伸縮弾性生地よりも伸縮性が小さい低伸縮性生地より構成されている。たとえば、本体部Aが、ポリウレタンなどの伸縮性繊維とナイロンなどの繊維との混紡からなる伸縮性生地から構成されている場合、大殿筋支持帯および大腿帯体は、当該伸縮性生地よりも伸縮性が小さい生地(たとえば、ナイロンなどの低伸縮性繊維のみからなる生地、又は、ポリウレタンなどの伸縮性繊維の構成比率が小さい生地)が使用される。
【0025】
また、大殿筋支持帯B1,B2および大腿帯体C1,C2は、本体部Aに縫製されている(縫い合わされて密着している)。
【0026】
上述したように、大殿筋支持帯B1,B2および大腿帯体C1,C2が、本体部Aの特定の位置に縫製されて設けられるとともに、低伸縮性生地により構成されている。このような構成により、図3(A)の付番F2およびF3に示されるような張力が発生して、図4(A)のように骨盤が前傾となる姿勢(すなわち「反り腰」の状態)から、骨盤の前傾を矯正し、図4(B)および図3(B)に示されるように正常な状態(骨盤が前傾となっていない状態)へと改善することができる。
【符号の説明】
【0027】
10:本発明に係る反り腰防止用アンダーウェア
A:本体部
A1:腰収容口
A2、A3:脚挿入口
B1:左側大殿筋支持帯
B2:右側大殿筋支持帯
C1:左側大腿帯体
C2:右側大腿帯体
F1~F4:力又は重心の方向
【要約】      (修正有)
【課題】様々な体調不良・運動機能低下の原因となる反り腰(腰が前方に反っている状態)を有効に防止することができる反り腰防止用パンツを提供する。
【解決手段】反り腰防止用パンツは、所定の本体部Aと、当該本体部において、使用者の大殿筋下部に当接する位置に設けられた低伸縮性大殿筋支持帯B1、B2と、正中線近傍の大殿筋支持帯から大腿外側まで当接する位置に設けられた低伸縮性帯体C1、C2と、から構成されることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4