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  • 特許-回転可能な顎部を有するペンチ型工具 図1
  • 特許-回転可能な顎部を有するペンチ型工具 図2
  • 特許-回転可能な顎部を有するペンチ型工具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】回転可能な顎部を有するペンチ型工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 7/12 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
B25B7/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022569592
(86)(22)【出願日】2021-05-23
(86)【国際出願番号】 IL2021050595
(87)【国際公開番号】W WO2021245646
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】275022
(32)【優先日】2020-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522445158
【氏名又は名称】ナムダー シェイ
【氏名又は名称原語表記】NAMDAR, Shay
【住所又は居所原語表記】36 OREN St., OR YEHUDA 6041158 (IL)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナムダー シェイ
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0262973(US,A1)
【文献】特開2019-126221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な顎部を備えるペンチ型工具であって、前記工具は、
a)捻るためにユーザの手によって把持される後端と、前端に配された円形の駆動プレートとを各々が有する2つのハンドルを備え、
b)前記駆動プレートは、円形の中心孔と、1つの中心から外れた円形孔とを有し、
c)円形の複数の被駆動プレートに堅く取り付けられた2つの顎部を備え、
d)複数の前記被駆動プレートは、前記駆動プレートの間に隣り合わせに配置され、各被駆動プレートは、円形の中心孔と、等しいサイズの円形孔の環状セットとを有し、前記環状セットの各円形孔の半径は、前記駆動プレートの前記中心から外れた円形孔のサイズと等しく、前記被駆動プレートの前記中心孔と、前記環状セットの円形孔との間の距離は、前記駆動プレートの前記中心孔から前記駆動プレートの前記中心から外れた円形孔までの距離と等しく、
e)前記駆動プレートおよび前記被駆動プレートの円形の前記中心孔を通して挿入される旋回軸を備え、
f)各ハンドルに配置されるレバーに取り付けられ、前記駆動プレートの前記中心から外れた円形孔を通して前記被駆動プレートの前記環状セットの円形孔の1つに挿入できるピンであって、前記ピンの長さが1つの駆動プレートの厚みと1つの被駆動プレートの厚みとの和に等しいピンを備える、
回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項2】
前記被駆動プレートに取り付けられた前記顎部を切削に使用できる、請求項1に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項3】
前記被駆動プレートに取り付けられた前記顎部をワイヤ被覆剥きに使用できる、請求項1に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項4】
前記被駆動プレートに取り付けられた前記顎部を把持に使用できる、請求項1に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項5】
前記顎部は、連結機構によって前記被駆動プレートに取り付けることができる、請求項1に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項6】
回転可能な顎部を備えるペンチ型工具であって、前記工具は、
a)捻るためにユーザの手によって把持される後端と、前端に配された円形の駆動プレートと、を各々が有する2つのハンドルを備え、
b)前記駆動プレートは、中心孔と、外周に配された複数のスロットと、を有し、
c)円形の複数の被駆動プレートに堅く取り付けられた2つの顎部を備え、
d)複数の前記被駆動プレートは、前記駆動プレートの間に隣り合わせで配置され、前記駆動プレートのスロットに整合するスロットを外周に有し、
e)前記駆動プレートおよび前記被駆動プレートの前記中心孔を通して挿入される旋回軸を備え、
f)各ハンドルに配置されるレバーに取り付けられるピンであって、一対の駆動プレートおよび被駆動プレートの前記スロットに挿入できるピンを備える、
回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項7】
前記被駆動プレートに取り付けられた前記顎部を切削に使用できる、請求項6に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項8】
前記被駆動プレートに取り付けられた前記顎部をワイヤ被覆剥きに使用できる、請求項6に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項9】
前記被駆動プレートに取り付けられた前記顎部を把持に使用できる、請求項6に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。
【請求項10】
前記顎部は、連結機構によって前記被駆動プレートに取り付けることができる、請求項6に記載の回転可能な顎部を有するペンチ型工具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、手持ち工具の分野に関し、より具体的には、工具ハンドルに対して回転させることができる顎部を旋回リム上に有する手持ち工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ペンチ型工具は、典型的には、2つの顎部に恒久的に取り付けられた2つのハンドルを備える。様々な型の顎部をハンドルに恒久的に取り付けて、ペンチ、ワイヤーカッター、ワイヤ被覆剥き、板金切断装置などを提供することができる。
【0003】
一方が他方の反対側に取り付けられた2対の顎部を有するペンチ型工具がある。顎部の各対は、ハンドルを180度回転させることにより、使用位置または非使用位置に置くことができる。このような工具は、米国特許第6,223,374号に記載されている。
【0004】
顎部の中心線は、ハンドルの中心線と位置合わせされる。しかしながら、従来のペンチ型工具では操作対象物にアクセスすることが困難な状況が多くある。このような場合、ハンドルに対して顎部が回転された工具を使用すると、操作対象物に良好にアクセスできる。
【0005】
K. A Petersonによる米国特許第7,451,673号「インデックス可能なペンチ型工具」は、そのような工具を記載している。この特許に記載の工具において、顎部は、工具ハンドルに対し複数の角度位置に位置決めできる。しかしながら、そのような工具柔軟性を得るために用いられる機構は高価である。
【0006】
M. C. Yuによる米国特許第6,976,412号「回転可能な駆動ヘッドが装備された工具」は、手工具の顎部をハンドルに対して複数の角度位置に配置することを可能にする、別の機構について記載している。この機構では、角度位置の数が制限される。
【0007】
操作が簡単で回転可能な手工具が希求されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、工具をその用途に最もよく適合させるために、顎部とハンドルとの間の角度を容易に変更できる、回転可能な顎部を備えたペンチ型工具を開示する。
【0009】
本発明の主な目的は、回転盤駆動ヘッドが装備された工具を提供することである。また、取り付けられる顎部の交換により種々の作業に使用できるこのような回転可能な工具を提供することも、本発明の目的である。
【0010】
工具は、一端に配される円形の駆動プレートとユーザの把持領域とを有する2つのハンドルで構成される。顎部は、ハンドルの他端に配される円形プレートの間に配置される円形プレートに取り付けられる。すべての円形プレートは、中心に孔を有しており、これを通して旋回軸が挿入される。顎部の円形プレートは、レバーによって挿入されるピンにより、ハンドルの円形プレートに連結される。顎部に取り付けられた円形プレートは、複数の孔の環状のセットを有し、ハンドルの円形プレートは、孔を1つだけ有している。したがって、顎部は、異なる角度で工具のハンドルに連結できる。
【0011】
前述の、並びに追加の、本発明の目的、特徴および利点は、添付の図面と共に進められる以下の詳細な説明から、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態の斜視図である。
【0013】
図2図2は、本発明の一実施形態の分解図である。
【0014】
図3図3は、他の実施形態の機構の詳細の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつより十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定して解釈されるべきではない。提示物は、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるものである。
【0016】
以下の説明において、同一の数符号は類似の要素を指す。実施形態、幾何学的構成、言及された材料および/または図に示される、または本説明に記載される寸法は、例示のみを目的として与えられる実施形態である。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の斜視図を提示している。回転可能な顎部を備えたペンチ型工具10は、2つのハンドル20a,20bを備えており、各々が、捻るためにユーザの手によって把持される後端と、それぞれの前端に配される駆動プレート22a,22bと、を有している。2つの顎部30a,30bが、それぞれ被駆動プレート32a,32bに堅く取り付けられている。駆動プレート22a,22bの貫通孔および被駆動プレート32a,32bの貫通孔(図1には図示せず)には、旋回軸として機能する連結要素40が挿入される。
【0018】
また、図1には、駆動プレート22aを被駆動プレート32aに取り付けるピンを挿入可能にする1つのレバー50aが示されている。同様のレバー50bが、駆動プレート22bおよび被駆動プレート32bについて存在している。
【0019】
本発明の一実施形態の分解図が、図2に提示されている。ここでは、顎部の回転機構の詳細な記載を見ることができる。回転自在な顎部を有するこのペンチ型工具10は、2つのハンドル20a,20bを備えており、各々が、捻るためにユーザの手によって把持される後端と、それぞれの前端にある駆動プレート22a,22bと、を有している。2つの顎部30a,30bがあり、それぞれ被駆動プレート32a,32bに堅く取り付けられている。
【0020】
被駆動プレート32a,32bは円形に成形され、複数の孔34a,34bの環状セットを有している。これらの孔は、それぞれハンドル駆動プレート22a,22bに穿孔された孔54a,54bに対向される。また、被駆動プレート22a,22bの中心には孔があり、これを通して旋回軸として機能する連結ピン40が挿入される。ピン52aは、ハンドルの駆動プレート22aの孔54aに挿入され、被駆動プレート32aの孔34aの1つに入る。同様に、ピン52bは、ハンドル駆動プレート22bの孔54bに挿入され、被駆動プレート32bの孔34bの1つに入る。これにより、ハンドル20aの後端を下方、矢印60aの方向に移動させると、顎部30aが上方、ベクトル62aが指す方向に移動する。同様に、ハンドル20bの後端を上方、矢印60bの方向に移動させると、顎部30bが下方、ベクトル62bが指す方向に移動する。
【0021】
レバー50a,50bが解除されると、ピン52a,52bが被駆動プレート32a,32bの孔から出る。この状態で、顎部および被駆動プレートを所望の角度に回転させることができ、レバー50a,50bが作動して、すなわちピン52a,52bが被駆動プレートの孔に入る。
【0022】
顎部は、カッターブレード、ストリッパーブレード、はさみ顎部など、任意の形状を有し得ることに留意されたい。別の実施形態では、顎部が取り外し可能な機構を有する被駆動プレートに取り付けられてもよく、或いは、被駆動プレートと共に1つのユニットとして製造することもできる。
【0023】
図3には、被駆動プレート機構の別の実装が提示されている。この場合、図2の34a,34bのような卓状の孔を有する代わりに、被駆動プレートの外周にスロット42aがある(図3)。この場合、駆動プレートの外周にもスロットがある。この実装では、解除レバーが、駆動プレートの平面に垂直な1つのハンドルに取り付けられている。この場合、円形ピン52a,52bは、係合すると駆動プレートおよび被駆動プレートの外周のスロットに挿入される長方形のバーに、置き換えられる。
【0024】
上で説明したことは、開示された技術革新の可能な実施形態のほんの数例にすぎない。当業者であれば、多くのさらなる組み合わせおよび変更が可能であることを認識可能であろう。したがって、この技術革新は、本発明の精神および範囲内に入るすべてのそのような変更、修正、および変形例を包含することを意図するものである。


【要約】
本発明は、顎部とハンドルとの角度を容易に変更して用途に工具を最適に適合させることができる、回転可能な顎部を有するペンチ型工具を開示する。この工具は、一端にある円形の駆動プレートとユーザの把持領域とを有する2つのハンドルを備える。顎部は、ハンドルの円形プレートの間に配置される円形プレートに取り付けられている。すべての円形プレートは、旋回軸が挿入される孔を中心に有している。顎部の円形プレートは、レバーによって挿入されたピンにより、ハンドルの円形プレートに連結されている。顎部に取り付けられた円形プレートは、複数の孔の環状セットを有し、ハンドルの円形プレートは、孔を1つだけ有している。したがって、顎部を工具のハンドルに対して異なる角度で連結できる。
図1
図2
図3