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特許7262874非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法
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  • 特許-非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法 図1
  • 特許-非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/04 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
E02D17/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023020343
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】202210808094.X
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520448452
【氏名又は名称】浙大城市学院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】范 暁真
(72)【発明者】
【氏名】徐 長節
(72)【発明者】
【氏名】丁 智
(72)【発明者】
【氏名】梁 禄鉅
(72)【発明者】
【氏名】胡 成宝
(72)【発明者】
【氏名】魏 綱
(72)【発明者】
【氏名】蒋 昊宇
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3353273(JP,B2)
【文献】特許第5187325(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00-17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法であって、
S1、偏圧ピットの断面パラメータ及び土体パラメータを決定することと、
S2、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードと偏圧ピット囲い保護構造モデル全体の受力分析図を決定することであって、前記両側囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護構造と荷重が小さい側の囲い保護構造とを含み、前記両側囲い保護構造の間が多段のインナーサポートを介して接続されることと、
S3、両側の偏圧の荷重値及びピットの許容変位制御値により予備設計時のインナーサポートの変位値を決定することと、
S4、S3で決定されたサポート箇所の変位値に基づいて、応力歪み関係により各段のインナーサポートの軸力を計算することと、
S5、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードに基づいて、ピット底部以下のある深さX以上が極限土圧分布であり、この深さ以下が非極限土圧分布であり、且つピット底部箇所まで直線的に減衰して静止土圧となるように両側囲い保護構造における土圧の分布モードを仮定することと、
S6、S5で提案された分布モードに基づいて、前記荷重が大きい側の囲い保護構造と前記荷重が小さい側の囲い保護構造の土圧をそれぞれ計算し、両側囲い保護構造における土圧が極限状態から非極限状態に変わる求めるべき深さX及び両側囲い保護構造の埋め込み固定深さDを決定することと、
S7、両側囲い保護構造の曲げモーメントとせん断力分布をそれぞれ計算し、且つ最大曲げモーメントと最大せん断力に基づいて、両側囲い保護構造の材料及び配筋をそれぞれ決定することと、
S8、全体安定性の験算、耐転覆性の験算、耐隆起安定性の験算を行うこととを含み、
S2では、前記偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードは、荷重が大きい側の囲い保護構造の底部変位がゼロに近く、底部以上の部分がピット内への変位を呈し、最大変位がピット許容変位値により決定され、荷重が小さい側の囲い保護構造の底部変位がゼロに近く、底部以上の部分がピット内への変位を呈するとともに、荷重が大きい側の押し戻し変位の影響を受け、変位が荷重が大きい側よりも小さくあり、
S6では、水平力バランス方程式とモーメントバランス方程式は、
ことを特徴とする非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法。
【請求項2】
前記荷重が大きい側の囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護杭又は荷重が大きい側の囲い保護壁であり、前記荷重が小さい側の囲い保護構造は、荷重が小さい側の囲い保護杭又は荷重が小さい側の囲い保護壁である、ことを特徴とする請求項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法。
【請求項3】
非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計装置であって、請求項1~のいずれか1項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を実行するために用いられ、
偏圧ピットの断面パラメータ及び土体パラメータを決定するための第一の決定モジュールと、
偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードと偏圧ピット囲い保護構造モデル全体の受力分析図を決定するための第二の決定モジュールであって、前記両側囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護構造と荷重が小さい側の囲い保護構造とを含み、前記両側囲い保護構造の間が多段のインナーサポートを介して接続される第二の決定モジュールと、
両側の偏圧の荷重値及びピットの許容変位制御値により予備設計時のインナーサポートの変位値を決定するための第三の決定モジュールと、
第三の決定モジュールにより決定されたサポート箇所の変位値に基づいて、応力歪み関係により各段のインナーサポートの軸力を計算するための第一の計算モジュールと、
偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードに基づいて、ピット底部以下のある深さX以上が極限土圧分布であり、この深さ以下が非極限土圧分布であり、且つピット底部箇所まで直線的に減衰して静止土圧となるように両側囲い保護構造における土圧の分布モードを仮定するための仮定モジュールと、
仮定モジュールにより提案された分布モードに基づいて、前記荷重が大きい側の囲い保護構造と前記荷重が小さい側の囲い保護構造の土圧をそれぞれ計算し、両側囲い保護構造における土圧が極限状態から非極限状態に変わる求めるべき深さX及び両側囲い保護構造の埋め込み固定深さDを決定するための第二の計算モジュールと、
両側囲い保護構造の曲げモーメントとせん断力分布をそれぞれ計算し、且つ最大曲げモーメントと最大せん断力に基づいて、両側囲い保護構造の材料及び配筋をそれぞれ決定するための第三の計算モジュールと、
全体安定性の験算、耐転覆性の験算、耐隆起安定性の験算を行うための験算モジュールとを含む、
ことを特徴とする非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計装置。
【請求項4】
コンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータ記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で運行される時、コンピュータに請求項1~のいずれか1項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を実行させる、ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【請求項5】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で運行される時、コンピュータに請求項1~のいずれか1項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を実行させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下工事の分野に関し、より正確には、非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の都市の土地資源がますます緊張しており、地下空間建設が急速に発展しているため、ピットが偏圧荷重を受ける状況は、ますますよく見られる。ピットの一方側に堤防が存在すること、ピットの両側の負荷が異なること、ピットの両側の建築物が異なることなどを含むが、一般的な計算方法は、ピットの両側のピット縁荷重が対称的である状況での囲い保護構造の設計にしか応用できない。
【0003】
現在、偏圧ピットに対して、現在の『建築ピット支持保護の技術規程』に、効果が最も悪い一方側に従って設計計算を行うことが規定されており、この処理方法は、投資と施工量の増加をもたらしてしまう。ピットの偏圧受荷重により、ピットの両側囲い保護構造の変位が異なり、さらに両側囲い保護構造の受けた土圧分布が異なり、内力分布が非対称であり、両側囲い保護構造に必要な埋め込み固定深さも異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来の技術における不足を克服し、非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を提供し、この非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法は、
S1、偏圧ピットの断面パラメータ及び土体パラメータを決定することと、
S2、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードと偏圧ピット囲い保護構造モデル全体の受力分析図を決定することであって、前記両側囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護構造と荷重が小さい側の囲い保護構造とを含み、前記両側囲い保護構造の間が多段のインナーサポートを介して接続されることと、
S3、両側の偏圧の荷重値及びピットの許容変位制御値により予備設計時のインナーサポートの変位値を決定することと、
S4、S3で決定されたサポート箇所の変位値に基づいて、応力歪み関係により各段のインナーサポートの軸力を計算することと、
S5、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードに基づいて、ピット底部以下のある深さX以上が極限土圧分布であり、この深さ以下が非極限土圧分布であり、且つピット底部箇所まで直線的に減衰して静止土圧となるように両側囲い保護構造における土圧の分布モードを仮定することと、
S6、S5で提案された分布モードに基づいて、前記荷重が大きい側の囲い保護構造と前記荷重が小さい側の囲い保護構造の土圧をそれぞれ計算し、両側囲い保護構造における土圧が極限状態から非極限状態に変わる求めるべき深さX及び両側囲い保護構造の埋め込み固定深さDを決定することと、
S7、両側囲い保護構造の曲げモーメントとせん断力分布をそれぞれ計算し、且つ最大曲げモーメントと最大せん断力に基づいて、両側囲い保護構造の材料及び配筋をそれぞれ決定することと、
S8、全体安定性の験算、耐転覆性の験算、耐隆起安定性の験算を行うこととを含む。
【0006】
好ましくは、S1では、前記偏圧ピットは、一方側のピット縁荷重が大きく、他方側のピット縁荷重が小さいピットであり、前記偏圧ピットの断面パラメータは、ピットの掘削深さH、各段のインナーサポートの配置深さh、計算された長さB、受圧剛性EA、水平ピッチS、荷重が大きい側のピット縁荷重値qと荷重が小さい側のピット縁荷重値qを含み、前記土体パラメータは、三倍の掘削深さ範囲内の土層の土層厚さd、単位重量γ、壁と土体との間の摩擦角δ、内部摩擦角φ及び粘着力cを含む。
【0007】
好ましくは、S3では、インナーサポートの、荷重が大きい側の囲い保護構造に近い端の変位大きさΔsdmとしてピット囲い保護構造の許容変位値[Δ]maxを取り、インナーサポートの、荷重が小さい側の囲い保護構造に近い端の変位大きさΔsxmを各段のインナーサポートの両側偏圧の比値に基づいて計算し、計算式は、
ここで、mは、m段目のインナーサポートを表し、Kは、能動土圧係数を表し、γは、土層の等価単位重量であり、複数層の土層に対して分層総和法で求めて得られる。
【0008】
好ましくは、S4では、各段のインナーサポートの軸力の計算式は、
好ましくは、S5では、前記偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードは、荷重が大きい側の囲い保護構造の底部変位がゼロに近く、底部以上の部分がピット内への変位を呈し、最大変位がピット許容変位値により決定され、荷重が小さい側の囲い保護構造の底部変位がゼロに近く、底部以上の部分がピット内への変位を呈するとともに、荷重が大きい側の押し戻し変位の影響を受け、変位が荷重が大きい側よりも小さい。
【0009】
好ましくは、S6では、水平力バランス方程式とモーメントバランス方程式は、
【0010】
好ましくは、前記荷重が大きい側の囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護杭又は荷重が大きい側の囲い保護壁であり、前記荷重が小さい側の囲い保護構造は、荷重が小さい側の囲い保護杭又は荷重が小さい側の囲い保護壁である。
【0011】
第二の態様によれば、第一の態様のいずれか1項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を実行するための非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計装置を提供し、この非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計装置は、
偏圧ピットの断面パラメータ及び土体パラメータを決定するための第一の決定モジュールと、
偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードと偏圧ピット囲い保護構造モデル全体の受力分析図を決定するための第二の決定モジュールであって、前記両側囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護構造と荷重が小さい側の囲い保護構造とを含み、前記両側囲い保護構造の間が多段のインナーサポートを介して接続される第二の決定モジュールと、
両側の偏圧の荷重値及びピットの許容変位制御値により予備設計時のインナーサポートの変位値を決定するための第三の決定モジュールと、
第三の決定モジュールにより決定されたサポート箇所の変位値に基づいて、応力歪み関係により各段のインナーサポートの軸力を計算するための第一の計算モジュールと、
偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードに基づいて、ピット底部以下のある深さX以上が極限土圧分布であり、この深さ以下が非極限土圧分布であり、且つピット底部箇所まで直線的に減衰して静止土圧となるように両側囲い保護構造における土圧の分布モードを仮定するための仮定モジュールと、
仮定モジュールにより提案された分布モードに基づいて、前記荷重が大きい側の囲い保護構造と前記荷重が小さい側の囲い保護構造の土圧をそれぞれ計算し、両側囲い保護構造における土圧が極限状態から非極限状態に変わる求めるべき深さX及び両側囲い保護構造の埋め込み固定深さDを決定するための第二の計算モジュールと、
両側囲い保護構造の曲げモーメントとせん断力分布をそれぞれ計算し、且つ最大曲げモーメントと最大せん断力に基づいて、両側囲い保護構造の材料及び配筋をそれぞれ決定するための第三の計算モジュールと、
全体安定性の験算、耐転覆性の験算、耐隆起安定性の験算を行うための験算モジュールとを含む。
【0012】
第三の態様によれば、コンピュータ記憶媒体を提供し、前記コンピュータ記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で運行される時、コンピュータに第一の態様のいずれか1項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を実行させる。
【0013】
第四の態様によれば、コンピュータプログラム製品を提供し、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で運行される時、コンピュータに第一の態様のいずれか1項に記載の非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明は、従来のピット設計方法で考慮していないピットが偏圧荷重を受ける状況を克服し、且つ偏圧ピット囲い保護構造に対して、変形制御に基づく設計を行うことができ、計算式が簡単且つ実行可能であり、安全性、安定性、及びピット変形の制御要求を確保する前提で、工事コストを効果的に節約し、施工量を減少させることができ、非常に良好な普及応用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】偏圧ピット囲い保護構造の変位モードを含む偏圧ピット断面のモデル図である。
図2】非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット全体の受力分析概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例を併せて本発明についてさらに記述する。下記実施例の説明は、本発明の理解を支援するためのものに過ぎない。指摘すべきものとして、当業者にとって、本発明の原理を逸脱することなく、本発明にいくつかの修飾を加えることもでき、これらの改良と修飾も本発明の特許請求の保護範囲に属する。
【0017】
実施例1:
非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法は、以下のことを含む。
【0018】
S1では、偏圧ピットの断面パラメータ及び土体パラメータを決定する。
【0019】
S1では、偏圧ピットは、一方側のピット縁荷重が大きく、他方側のピット縁荷重が小さいピットであり、偏圧ピットの断面パラメータは、ピットの掘削深さH、各段のインナーサポートの配置深さh、計算された長さB、受圧剛性EA、水平ピッチS、荷重が大きい側のピット縁荷重値qと荷重が小さい側のピット縁荷重値qを含み、土体パラメータは、三倍の掘削深さ範囲内の土層の土層厚さd、単位重量γ、壁と土体との間の摩擦角δ、内部摩擦角φ及び粘着力cを含む。
【0020】
例示的に、ある偏圧ピットの断面パラメータは、以下のとおりである。
【0021】
図1を参照すると、ピットの地面標高は、0であり、掘削領域のピット底部の標高は、-10.0mであり、即ち掘削深さH=10.0mである。標高-1mに一段のインナーサポートを設け、即ちh=1mで、サポートの長さB=30mで、サポートの剛性EAは、1.854×10kNで、サポートの水平ピッチS=15mで、偏圧ピットの荷重が大きい側のピット縁荷重値qは、=50kNmで、荷重が小さい側のピット縁荷重値qは、=10kNmである。
【0022】
三倍の掘削深さ範囲内の土体パラメータは、表1に示す。
【0023】
【0024】
【0025】
クーロン土圧理論により計算して、能動土圧係数、受動土圧係数K=0.44、K=2.59をそれぞれ得ることができ、Jaky静止土圧係数式により、計算してK=0.65を得ることができる。
【0026】
S2では、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードと偏圧ピット囲い保護構造モデル全体の受力分析図を決定し、両側囲い保護構造は、荷重が大きい側の囲い保護構造と荷重が小さい側の囲い保護構造とを含み、両側囲い保護構造の間が多段のインナーサポートを介して接続される。
【0027】
S2では、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードは、荷重が大きい側の囲い保護構造の底部変位がゼロに近く、底部以上の部分がピット内への変位を呈し、最大変位がピット許容変位値により決定され、荷重が小さい側の囲い保護構造の底部変位がゼロに近く、底部以上の部分がピット内への変位を呈するとともに、荷重が大きい側の押し戻し変位の影響を受け、変位が荷重が大きい側よりも小さい。変位モードの概略図は、図1を参照すればよい。
【0028】
S3を参照すると、両側の偏圧の荷重値及びピットの許容変位制御値により予備設計時のインナーサポートの変位値を決定する。
【0029】
S3では、インナーサポートの、荷重が大きい側の囲い保護構造に近い端の変位大きさΔsdmとしてピット囲い保護構造の許容変位値[Δ]maxを取り、インナーサポートの、荷重が小さい側の囲い保護構造に近い端の変位大きさΔsxmを各段のインナーサポートの両側偏圧の比値に基づいて計算し、計算式は、
ここで、mは、m段目のインナーサポートを表し、Kは、能動土圧係数を表し、γは、土層の等価単位重量であり、複数層の土層に対して分層総和法で求めて得られる。
【0030】
例示的に、許容変位値[Δ]max=5.0cmとすると、Δsdm=[Δ]max=5.0cmを得ることができ、荷重が小さい側のサポートの変位大きさΔsxmを以上の式に基づいて計算して、Δsx1=2.1cmを得ることができる。
【0031】
S4では、S3で決定されたサポート箇所の変位値に基づいて、応力歪み関係により各段のインナーサポートの軸力を計算する。
【0032】
S4では、各段のインナーサポートの軸力の計算式は、
【0033】
【0034】
S5では、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードに基づいて、ピット底部以下のある深さX以上が極限土圧分布であり、この深さ以下が非極限土圧分布であり、且つピット底部箇所まで直線的に減衰して静止土圧となるように両側囲い保護構造における土圧の分布モードを仮定する。
【0035】
S6では、図2に示すように、S5で提案された分布モードに基づいて、荷重が大きい側の囲い保護構造と荷重が小さい側の囲い保護構造の土圧をそれぞれ計算し、両側囲い保護構造における土圧が極限状態から非極限状態に変わる求めるべき深さX及び両側囲い保護構造の埋め込み固定深さDを決定する。
【0036】
S6では、水平力バランス方程式とモーメントバランス方程式は、
【0037】
【0038】
S7では、両側囲い保護構造の曲げモーメントとせん断力分布をそれぞれ計算し、且つ最大曲げモーメントと最大せん断力に基づいて、両側囲い保護構造の材料及び配筋をそれぞれ決定する。
【0039】
S8では、全体安定性の験算、耐転覆性の験算、耐隆起安定性の験算を行う。
【0040】
以上をまとめると、本発明による偏圧ピット囲い保護構造の設計方法は、従来の技術で効果が最も悪い一方側に従って直接に片側設計を行う方法に比べて、従来のピット設計方法で考慮していないピットが偏圧荷重を受ける状況を克服するとともに、支持保護構造の変位を考慮することができ、変形角度から設計を制御し、従来の計算方法を大幅に改良する。提供された実施例では、リニアメーターあたりに支持保護構造の長さを約5.9m節約し、大量の工事コストを節約する。
【符号の説明】
【0041】
1 荷重が大きい側の地表、2 荷重が大きい側の囲い保護構造、3 荷重が大きい側の囲い保護構造の変位モード、4 荷重が小さい側の地表、5 荷重が小さい側の囲い保護構造、6 荷重が小さい側の囲い保護構造の変位モード、7 インナーサポート、8 ピット底部。
【要約】
本発明は、非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法に関し、この非極限土圧分布モードを考慮した偏圧ピット囲い保護構造の設計方法は、偏圧ピットの断面パラメータ及び土体パラメータを決定することと、偏圧ピットの両側囲い保護構造の変位モードと偏圧ピット囲い保護構造モデル全体の受力分析図を決定することと、予備設計時のインナーサポートの変位値を決定することと、各段のインナーサポートの軸力を計算することと、両側囲い保護構造における土圧が極限状態から非極限状態に変わる求めるべき深さ及び両側囲い保護構造の埋め込み固定深さを決定することと、両側囲い保護構造の材料及び配筋を決定することとを含む。本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明は、偏圧ピット囲い保護構造に対して変形制御に基づく設計を行うことができ、計算式が簡便で実行可能であり、安全性、安定さ、及びピット変形の制御要求を確保する前提で工事コスト効果的に節約し、施工量を減少させることができ、非常に良好な普及応用価値を有する。
【選択図】図1
図1
図2