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特許7262887車両の熱管理システム及びその制御方法、車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】車両の熱管理システム及びその制御方法、車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20230417BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20230417BHJP
   B60H 1/03 20060101ALI20230417BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230417BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230417BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20230417BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230417BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230417BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20230417BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20230417BHJP
【FI】
B60K11/02
B60H1/22 671
B60H1/03 Z ZHV
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/6569
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/663
H01M10/615
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021531025
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2019121339
(87)【国際公開番号】W WO2020108542
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】201811447896.2
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】廉玉波
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】王▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡▲樹▼周
(72)【発明者】
【氏名】宋淦
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204870439(CN,U)
【文献】特開2011-255879(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105356003(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107444103(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108749513(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0229282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/02
B60H 1/22
B60H 1/03
B60K 1/04
H01M 10/613
H01M 10/6569
H01M 10/6556
H01M 10/625
H01M 10/663
H01M 10/615
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の冷却液流路、第2の冷却液流路四方弁、第1のガス抜き・液体補充装置、第2のガス抜き・液体補充装置、第1の三方管及び第2の三方管を含む電池・電気駆動システムの熱管理システムを含み、
前記第1の冷却液流路に熱交換器、動力電池及び第1のポンプが設置され、前記第1の冷却液流路の一端が前記四方弁の第1のポートに接続され、他端が前記四方弁の第2のポートに接続され、
前記第2の冷却液流路にモータ、ラジエーター及び第2のポンプが設置され、前記第2の冷却液流路の一端が前記四方弁の第3のポートに接続され、他端が前記四方弁の第4のポートに接続され、
前記第1のガス抜き・液体補充装置は、前記第1の三方管の第3のポートにより前記第1の冷却液流路に接続され、
前記第2のガス抜き・液体補充装置は、前記第2の三方管の第2のポートにより前記第2の冷却液流路に接続される、ことを特徴とする車両の熱管理システム。
【請求項2】
前記第2の冷却液流路に電気制御システムがさらに設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両の熱管理システム。
【請求項3】
前記第2の冷却液流路は、冷却液主流路、第1の冷却液分岐路及び第2の冷却液分岐路を含み、前記第2のポンプ、前記電気制御システム及び前記モータが前記冷却液主流路に設置され、前記ラジエーターが前記第1の冷却液分岐路に設置され、前記第2の冷却液分岐路が直結分岐路であり、前記冷却液主流路の一端が前記四方弁の第3のポートに接続され、他端が選択的に前記第1の冷却液分岐路又は前記第2の冷却液分岐路を介して前記四方弁の第4のポートに接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の車両の熱管理システム。
【請求項4】
前記第2の冷却液流路に三方弁がさらに設置され、前記三方弁の第1のポートが前記冷却液主流路に接続され、前記三方弁の第2のポートが前記第1の冷却液分岐路に接続され、前記三方弁の第3のポートが前記第2の冷却液分岐路に接続される、ことを特徴とする請求項3に記載の車両の熱管理システム。
【請求項5】
前記熱交換器の冷却液入口が前記四方弁の第1のポートに接続され、前記熱変換器の冷却液出口が前記動力電池の冷却液入口に接続され、前記動力電池の冷却液出口が前記第1のポンプの冷却液入口に接続され、前記第1のポンプの冷却液出口が前記四方弁の第2のポートに接続される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車両の熱管理システム。
【請求項6】
前記四方弁の第3のポートが前記第2のポンプの冷却液入口に接続され、前記第2のポンプの冷却液出口が前記電気制御システムの冷却液入口に接続され、前記電気制御システムの冷却液出口が前記モータの冷却液入口に接続され、前記モータの冷却液出口が前記三方弁の第1のポートに接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の車両の熱管理システム。
【請求項7】
前記第1の冷却液流路に電池ヒーターがさらに設置される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両の熱管理システム。
【請求項8】
エアコンシステムをさらに含み、前記熱交換器が前記エアコンシステムと前記電池・電気駆動システムの熱管理システムの両方に設置される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の車両の熱管理システム。
【請求項9】
前記エアコンシステムは冷媒主流路、第1の冷媒分岐路及び第2の冷媒分岐路を含み、
前記第1の冷媒分岐路が前記第2の冷媒分岐路と並列接続され、前記冷媒主流路にコンプレッサーと凝縮器が設置され、前記第1の冷媒分岐路に第1の膨張弁とエバポレーターが設置され、前記第2の冷媒分岐路に第2の膨張弁と前記熱交換器が設置される、ことを特徴とする請求項8に記載の車両の熱管理システム。
【請求項10】
前記エアコンシステムは、送風機及び第1のPTCヒーターをさらに含み、前記送風機は前記エバポレーターに送風し、前記第1のPTCヒーターは前記送風機から吹き出された風を加熱する、ことを特徴とする請求項9に記載の車両の熱管理システム。
【請求項11】
前記エアコンシステムは、送風機、第3のポンプ、第2のPTCヒーター及びヒーターコアをさらに含み、前記第3のポンプ、前記第2のPTCヒーター及び前記ヒーターコアは直列接続されて回路が形成され、前記送風機は前記エバポレーターと前記ヒーターコアに送風する、ことを特徴とする請求項9に記載の車両の熱管理システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の車両の熱管理システムを含む、ことを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の車両の熱管理システムに用いられる車両の熱管理システムの制御方法であって、
前記動力電池の温度を検出することと、
前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出することと、
前記動力電池の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きい場合、前記四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、前記四方弁の第2のポートが第3のポートと連通するように制御することとを含む、ことを特徴とする車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項14】
請求項4に記載の車両の熱管理システムに用いられる車両の熱管理システムの制御方法であって、
前記動力電池の温度が前記第1の電池温度閾値より小さく、かつ前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度が前記第1の冷却液温度閾値より大きい場合、前記四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、前記四方弁の第2のポートが第3のポートと連通するように制御すると共に、前記三方弁の第1のポートが第3のポートと連通するように制御することを含む、ことを特徴とする請求項13に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項15】
前記動力電池の温度が前記第1の電池温度閾値より小さく、かつ前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度が前記第1の冷却液温度閾値以下である場合、前記四方弁の第3のポートが第4のポートと連通し、前記三方弁の第1のポートが第3のポートと連通するように制御することをさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項16】
室外環境温度を検出することと、
前記動力電池の温度が第2の電池温度閾値より大きく、かつ前記室外環境温度が室外環境温度閾値より小さい場合、前記四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、前記四方弁の第2のポートが第3のポートと連通し、前記三方弁の第1のポートが第2のポートと連通するように制御することとを含み、
前記第2の電池温度閾値が前記第1の電池温度閾値より大きい、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項17】
室外環境温度を検出することと、
前記動力電池の温度が第2の電池温度閾値より大きく、かつ前記室外環境温度が前記室外環境温度閾値以上である場合、前記四方弁の第1のポートが第2のポートと連通するように制御すると共に、前記エアコンシステムを運転し、かつ前記エアコンシステムにおける冷媒が熱交換器を流れるように制御することとをさらに含む、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項18】
請求項9に記載の車両の熱管理システムに用いられる車両の熱管理システムの制御方法であって、
ユーザによって設定された室内環境目標温度を受信することと、
室内環境温度を検出することと、
前記動力電池の温度が第2の電池温度閾値より大きく、室外環境温度が室外環境温度閾値以上であり、かつ室内環境温度が室内環境目標温度より大きい場合、前記エアコンシステムを運転し、かつ前記エアコンシステムにおける冷媒がエバポレーターと前記熱交換器を流れるように制御することと、
前記エアコンシステムを所定の時間運転した後、前記室内環境温度が依然として前記室内環境目標温度より大きければ、前記熱交換器を流れる冷媒の流量を減少させ、前記エバポレーターを流れる冷媒の流量を増加させることと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項19】
前記モータの温度を検出することと、
前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度が前記第1の冷却液温度閾値より大きく、第2の冷却液温度閾値より小さく、かつ前記モータの温度がモータ温度閾値より小さい場合、前記四方弁の第3のポートが第4のポートと連通し、前記三方弁の第1のポートが第2のポートと連通するように制御することとをさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【請求項20】
前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度が前記第2の冷却液温度閾値以上であるか、又は前記モータの温度が前記モータ温度閾値以上である場合、前記四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、前記四方弁の第2のポートが第3のポートと連通し、前記三方弁の第1のポートが第2のポートと連通するように制御すると共に、前記エアコンシステムを運転し、かつ前記エアコンシステムにおける冷媒が前記熱交換器を流れるように制御することをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の車両の熱管理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2018年11月29日に提出された中国特許出願第201811447896.2号に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両の熱管理の技術分野に関し、特に車両の熱管理システム、該車両の熱管理システムを備えた車両及び車両の熱管理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
完成車の熱管理システムは、エアコンシステム、電池熱管理システム及び電気駆動システムの熱管理システムの3つのシステムを含む。従来の電気駆動システムの熱管理システムは、エアコンシステムと電池熱管理システムとは別個であり、電池の加熱は主に電池ヒーターによって行われ、モータで発生した熱は電気駆動システムの熱管理システムにおけるラジエーターによって放熱され、熱の浪費を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、関連技術における技術的問題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
このため、本開示の第1の目的は、モータで発生した熱を利用して電池を加熱でき、モータで発生した熱の浪費を回避し、熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減し、そして、モータで発生した熱を利用して電池を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、部品を簡素化し、コストを低減する車両の熱管理システムを提供することである。
【0006】
本開示の第2の目的は、車両を提供することである。
【0007】
本開示の第3の目的は、車両の熱管理システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る実施例は、第1の冷却液流路、第2の冷却液流路、四方弁、第1のガス抜き・液体補充装置、第2のガス抜き・液体補充装置、第1の三方管及び第2の三方管を含む電池・電気駆動システムの熱管理システムを含み、前記第1の冷却液流路に熱交換器、動力電池及び第1のポンプが設置され、前記第1の冷却液流路の一端が前記四方弁の第1のポートに接続され、他端が前記四方弁の第2のポートに接続され、前記第2の冷却液流路にモータ、ラジエーター及び第2のポンプが設置され、前記第2の冷却液流路の一端が前記四方弁の第3のポートに接続され、他端が前記四方弁の第4のポートに接続され、前記第1のガス抜き・液体補充装置は、前記第1の三方管の第3のポートにより前記第1の冷却液流路に接続され、前記第2のガス抜き・液体補充装置は、前記第2の三方管の第2のポートにより前記第2の冷却液流路に接続される車両の熱管理システムを提供する。
【0009】
本開示の実施例の車両の熱管理システムは、第1の冷却液流路、第2の冷却液流路、四方弁、第1のガス抜き・液体補充装置、第2のガス抜き・液体補充装置、第1の三方管及び第2の三方管を含む電池・電気駆動システムの熱管理システムを含み、第1の冷却液流路に熱交換器、動力電池及び第1のポンプが設置され、第1の冷却液流路の一端が四方弁の第1のポートに接続され、他端が四方弁の第2のポートに接続され、第2の冷却液流路にモータ、ラジエーター及び第2のポンプが設置され、第2の冷却液流路の一端が四方弁の第3のポートに接続され、他端が四方弁の第4のポートに接続され、前記第1のガス抜き・液体補充装置は、前記第1の三方管の第3のポートにより前記第1の冷却液流路に接続され、前記第2のガス抜き・液体補充装置は、前記第2の三方管の第2のポートにより前記第2の冷却液流路に接続される。これにより、該システムは、モータで発生した熱を利用して電池を加熱でき、モータで発生した熱の浪費を回避し、熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減し、そして、モータで発生した熱を利用して電池を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、部品を簡素化し、コストを低減する。また、システムが動作する前に、まず、冷却液の補充とガス抜きを完了し、冷却液中の空気を全部排出することができ、システムの圧力が要求を満たさない場合、該ガス抜き・液体補充装置は動作中の漏れ及び蒸発による油液損失を補充することができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の第2の態様に係る実施例は、上記実施例の車両の熱管理システムを含む車両を提供する。
【0011】
本開示の実施例の車両は、上記車両の熱管理システムにより、モータで発生した熱の浪費を回避し、車両の熱管理システムの熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減し、そして、モータで発生した熱を利用して電池を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、車両の熱管理システムの部品を簡素化し、車両の熱管理システムのコストを低減する。
【0012】
上記目的を達成するために、本開示の第3の態様に係る実施例は、前記動力電池の温度を検出するステップと、前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出するステップと、前記動力電池の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ前記第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きい場合、前記四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、前記四方弁の第2のポートが第3のポートと連通するように制御するステップとを含む、上記車両の熱管理システムに適用される車両の熱管理システムの制御方法を提供する。
【0013】
本開示の実施例の車両の熱管理システムの制御方法によれば、動力電池の温度、第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出し、動力電池の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きい場合、四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、四方弁の第2のポートが第3のポートと連通するように制御する。これにより、該方法は、モータで発生した熱を利用して電池を加熱でき、モータで発生した熱の浪費を回避し、車両の熱管理システムの熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減し、そして、モータで発生した熱を利用して電池を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、車両の熱管理システムの部品を簡素化し、車両の熱管理システムのコストを低減する。
【0014】
本開示の付加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか、又は、本開示の実践により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本開示の上記及び/又は追加の様態及び利点は、図面を参照して実施形態を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0016】
図1】本開示の実施例1に係る車両の熱管理システムの構造概略図である。
図2】本開示の実施例2に係る車両の熱管理システムの構造概略図である。
図3】本開示の実施例3に係る車両の熱管理システムの構造概略図である。
図4】本開示の実施例4に係る車両の熱管理システムの構造概略図である。
図5】本開示の実施例5に係る車両の熱管理システムの構造概略図である。
図6】本開示の実施例に係る車両のブロック図である。
図7】本開示の実施例に係る車両の熱管理システムの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、実施例の例を図面に示すが、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは、同一又は類似の機能を有する部品を表す。以下、図面を参照しながら説明した実施例は、例示的なものに過ぎず、本開示を解釈するためのものであり、本開示を限定するものであると理解すべきではない。逆に、本開示の実施例は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる全ての変更、修正及び均等物を含む。
【0018】
本開示において、逆に説明しない場合、使用される「冷媒入口、冷却液入口、冷媒出口及び冷却液出口」のような方位詞は、一般的には、冷媒又は冷却液等の流体の流れ方向に対するものであり、具体的には、流体が凝縮器、電池、エバポレーター等の車両の熱管理システムにおける部品に流入するポートを「冷媒入口と冷却液入口」とし、流体が凝縮器、電池、エバポレーター等の車両の熱管理システムにおける部品から流出するポートを「冷媒出口と冷却液出口」とする。
【0019】
図1に示すように、本開示の実施例1に係る車両の熱管理システムは、エアコンシステム、電池・電気駆動システムの熱管理システムを含んでよい。また、該車両の熱管理システムは、熱交換器5をさらに含んでよく、熱交換器5がエアコンシステムと電池・電気駆動システムの熱管理システムの両方に設置されることにより、エアコンシステムと電池・電気駆動システムの熱管理システムは、熱変換を行って、エアコンシステムによる電池・電気駆動システムの熱管理システムの冷却を実現する。電池・電気駆動システムの熱管理システムは、第1の冷却液流路、第2の冷却液流路及び四方弁4を含み、第1の冷却液流路に上記熱交換器5、動力電池6及び第1のポンプ7が設置され、第1の冷却液流路の一端が四方弁4の第1のポート41に接続され、他端が四方弁4の第2のポート42に接続され、第2の冷却液流路にモータ1、ラジエーター2及び第2のポンプ8が設置され、第2の冷却液流路の一端が四方弁4の第3のポート43に接続され、他端が四方弁4の第4のポート44に接続される。
【0020】
本開示の実施例では、四方弁4により、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路の連通と遮断を実現することができる。
【0021】
具体的には、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路を連通させてモータ1で発生した熱を利用して動力電池6を加熱する必要がある場合、四方弁4の第1のポート41が第4のポート44と連通し、第2のポート42が第3のポート43と連通するように制御して、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路を直列接続して回路を形成することにより、冷却液が第1の冷却液流路と第2の冷却液流路を循環して流れることができる。このときに、モータ1で発生した熱を第2の冷却液流路内の冷却液により第1の冷却液流路に伝達して、動力電池6を加熱することができ、モータ1で発生した熱の浪費を回避し、車両の熱管理システムの熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減する。そして、モータ1で発生した熱を利用して動力電池6を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、車両の熱管理システムの部品を簡素化し、車両の熱管理システムのコストを低減する。
【0022】
また、第1の冷却液流路が第2の冷却液流路と連通する場合、第2の冷却液流路のラジエーター2により動力電池6及びモータ1を冷却することもできる。このように、動力電池6の冷却要求が低い場合、エアコンシステムにより動力電池6を冷却する必要がなく、エネルギー消費を削減する。
【0023】
また、具体的には、動力電池6又はモータ1に単独で熱管理を行う必要がある場合、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路を遮断することができ、具体的には、四方弁4の第1のポート41が第2のポート42と連通し、第3のポート43が第4のポート44と連通するように制御することにより、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路はそれぞれ互いに独立した2つの回路を形成する。このように、実際の必要に応じて、動力電池6とモータ1の加熱又は冷却管理を個別に行うことができ、車両の熱管理システムの動作モード選択の多様性を高める。上記複数種の動作モードの実現は、複雑な複数の配管を設置する必要がなく、四方弁の切り替えを制御すればよく、制御しやすいと共に、コストを低減することができる。
【0024】
本開示の好ましい配置方式として、図1に示すように、第1の冷却液流路において、四方弁4の第1のポート41が熱交換器5の冷却液入口に接続され、熱交換器5の冷却液出口が動力電池6の冷却液入口に接続され、動力電池6の冷却液出口が第1のポンプ7の冷却液入口に接続され、第1のポンプ7の冷却液出口が四方弁4の第2のポート42に接続される。このように、熱交換器5を動力電池6の上流に設置することにより、エアコンシステムにより動力電池6を冷却する場合、熱交換器5の冷却液出口から流出する冷却液が即座に動力電池6を冷却し、動力電池6への冷却効果の向上に有利である。
【0025】
さらに、図1に示すように、第2の冷却液流路において、四方弁4の第3のポート43が第2のポンプ8の冷却液入口に接続され、第2のポンプ8の冷却液出口がモータ1の冷却液入口に接続され、モータ1の冷却液出口がラジエーター2の冷却液入口に接続され、ラジエーター2の冷却液出口が四方弁4の第4のポート44に接続される。同様に、ラジエーター2をモータ1の下流に設置することにより、モータ1の冷却液出口から流出する冷却液がラジエーター2によって冷却され、放熱した冷却液が第1の冷却液流路に流入して動力電池6を冷却するときに、動力電池6への冷却効果を向上させることができる。
【0026】
好ましくは、電池・電気駆動システムの熱管理システムには、第1のガス抜き・液体補充装置23と第2のガス抜き・液体補充装置25がさらに設置されてよく、該第1のガス抜き・液体補充装置23は第1の三方管24の第3のポートcにより第1の冷却液流路にバイパス接続され、第2のガス抜き・液体補充装置25は第2の三方管26の第2のポートbにより第2の冷却液流路にバイパス接続される。なお、ガス抜き・液体補充装置と三方管の間に接続された油流出管には、パイロットチェック弁と圧力計が直列に取り付けられてよく、システムが動作する前に、まず、冷却液の補充とガス抜きを完了し、冷却液中の空気を全部排出することを保証し、同時に圧力計には、システムの圧力が表示され、圧力が要求を満たさない場合、該ガス抜き・液体補充装置は動作中の漏れ及び蒸発による油液損失を補充することができる。
【0027】
本開示の実施例1に係るエアコンシステムは、冷媒主流路、第1の冷媒分岐路及び第2の冷媒分岐路を含み、第1の冷媒分岐路が第2の冷媒分岐路と並列接続され、冷媒主流路にコンプレッサー11と凝縮器12が設置され、第1の冷媒分岐路に第1の膨張弁15とエバポレーター16が設置され、第2の冷媒分岐路に第2の膨張弁13と熱交換器5が設置され、そして、エバポレーター16の近傍には、エバポレーター16に送風し、かつエバポレーター16で発生した冷熱を乗員室に吹き込んで、乗員室を冷房するように送風機17がさらに配置される。なお、エバポレーター16は熱交換器の1種であり、主に冷媒がその内部で熱を吸収して蒸発するように機能するため、エバポレーター16は、冷熱を発生するか又は冷熱を出力する。ここで、冷熱は、単位時間又は一定の時間に冷媒を介してエバポレーター19によって奪われた乗員室の熱の総エネルギー値を指す。
【0028】
第1の膨張弁15は温度式膨張弁であってよく、該温度式膨張弁が第1の冷媒分岐路の流量を調節する。第1の膨張弁15が温度式膨張弁である場合、第1の冷媒分岐路の開閉を制御できるようにするために、さらに、第1の冷媒分岐路に遮断用電磁弁14を設置することにより、第1の膨張弁15と組み合わせて使用する必要がある。第2の膨張弁13は電子膨張弁であってよく、該電子膨張弁が遮断し流量を調節することにより、第2の冷媒分岐路の開閉又は流量を制御しやすい。他の実施形態では、第1の膨張弁15は電子膨張弁であってもよい。
【0029】
本開示の好ましい配置方式として、図1に示すように、エアコンシステムにおいて、コンプレッサー11の冷媒出口が凝縮器12の冷媒入口と連通し、凝縮器12の冷媒出口が電磁弁14の冷媒入口と第2の膨張弁13の冷媒入口とそれぞれ連通し、電磁弁14の冷媒出口が第1の膨張弁15の冷媒入口と連通し、第1の膨張弁15の冷媒出口がエバポレーター16の冷媒入口と連通し、第2の膨張弁13の冷媒出口が熱交換器5の冷媒入口と連通し、エバポレーター16の冷媒出口と熱交換器5の冷媒出口がいずれもコンプレッサー11の冷媒入口と連通する。このように、エアコンシステムにより動力電池6及び/又はモータ1を冷却する必要がある場合、熱交換器5によりエアコンシステム中の冷熱を電池・電気駆動システムの熱管理システムに伝達することができる。
【0030】
具体的には、乗員室を冷房する必要がある場合、電磁弁14及び第1の膨張弁15をオンにし、冷媒が第1の冷媒分岐路を流れ、かつエバポレーター16により乗員室を冷房する。エアコンシステムにより動力電池6を冷却する場合、第2の膨張弁13をオンにし、冷媒が第2の冷媒分岐路を流れ、かつ熱交換器5により熱変換を行って、第1の冷却液流路内の冷却液を冷却することにより、動力電池6の冷却を実現する。乗員室を冷房すると共に動力電池6を冷却する必要がある場合、第2の膨張弁13の開度を調節して第1の冷媒分岐路と第2の冷媒分岐路の冷媒の流量をそれぞれ調節することにより、エアコンシステムの冷熱分配を行うことができる。例えば、乗員室の冷房要求を満たすことを優先する必要がある場合、第2の膨張弁13の開度を小さくすることにより、より多くの冷熱を乗員室に分配することができる。
【0031】
別の実施形態として、図2に示すように、本開示の実施例2は、実施例1を基に以下の内容を追加する。第2の冷却液流路に電気制御システム及び三方弁3がさらに設置され、電気制御システムはモータコントローラ9とDC-DC(Direct current-Direct current converter、直流-直流)コンバータ10を含む。
【0032】
具体的には、第2の冷却液流路は、冷却液主流路、第1の冷却液分岐路及び第2の冷却液分岐路を含み、第2のポンプ8、モータコントローラ9、DC-DCコンバータ10及びモータ1が冷却液主流路に設置され、ラジエーター2が第1の冷却液分岐路に設置され、第2の冷却液分岐路が直結分岐路であり、冷却液主流路の一端が四方弁4の第3のポート43に接続され、他端が選択的に第1の冷却液分岐路又は前記第2の冷却液分岐路を介して四方弁4の第4のポート44に接続される。車両がハイパワー充電モードにある場合、電気制御システムは動作するときに多くの熱を発生し、電気制御システムを冷却液主流路に設置すると、電気制御システムで発生した熱を利用して動力電池6を加熱することができ、そして、電気制御システムとモータ1を冷却液主流路に直列接続し、モータ1を冷却する場合、電気制御システムの冷却を同時に実現することができ、電気制御システムに対してラジエーターを追加して設置する必要がなく、コストを低減する。
【0033】
モータ1の熱を利用して動力電池6を加熱する場合、冷却液主流路は第2の冷却液分岐路により四方弁4の第4のポート44と接続され、このときに、冷却液がラジエーター2を流れず、モータ1で発生した熱は第2の冷却液分岐路により第1の冷却液流路に直接伝達され、伝達中にラジエーター2を流れないため、冷却液がラジエーター2を流れて追加の熱損失を引き起こすことを回避し、モータ1による動力電池6への加熱効率を向上させることができ、ラジエーター2によりモータ1及び動力電池6を冷却する場合、冷却液主流路は第1の冷却液分岐路により四方弁4の第4のポート44と接続され、このときに、ラジエーター2によりモータ1と動力電池6を冷却することができる。
【0034】
車両の熱管理システムの部品を簡素化するために、図2に示すように、第2の冷却液流路に三方弁3がさらに設置され、該三方弁3の第1のポート31が冷却液主流路に接続され、三方弁3の第2のポート32が第1の冷却液分岐路に接続され、三方弁3の第3のポート33が第2の冷却液分岐路に接続される。他の実施形態では、冷却液主流路は、三方管により第1の冷却液分岐路と第2の冷却液分岐路とそれぞれ接続され、かつ第1の冷却液分岐路と第2の冷却液分岐路にそれぞれ電磁弁が設置されてよい。
【0035】
具体的には、本開示の好ましい配置方式として、図2に示すように、第2の冷却液流路において、四方弁4の第3のポート43が第2のポンプ8の冷却液入口に接続され、第2のポンプ8の冷却液出口がモータコントローラ9の冷却液入口に接続され、モータコントローラ9の冷却液出口がDC-DCコンバータ10の冷却液入口に接続され、DC-DCコンバータ10の冷却液出口がモータ1の冷却液入口に接続され、モータ1の冷却液出口が三方弁3の第1のポート31に接続され、三方弁3の第2のポート32がラジエーター2の冷却液入口に接続され、三方弁3の第3のポート33とラジエーター2の冷却液出口がいずれも四方弁4の第4のポート44に接続される。ラジエーター2が第1の冷却液分岐路に直列接続されるため、三方弁3の第1のポート31と第3のポート33のみを連通させて、冷却液主流路が第2の冷却液分岐路により四方弁4と直接接続されるようにして、冷却液がラジエーター2を流れないことにより、ラジエーター2がモータ1と電気制御システムで発生した熱を利用することを回避する。
【0036】
なお、実施例2では、第2のガス抜き・液体補充装置25は四方菅により第2の冷却液流路にバイパス接続される。
【0037】
別の実施形態として、図3に示すように、本開示の実施例3は、実施例2を基に以下の内容を追加する。第1の冷却液流路に電池ヒーター18がさらに設置され、好ましくは、電池ヒーター18は動力電池6と熱交換器5の間に直列接続されてよい。モータ1で発生した熱が動力電池6の加熱要求を満たすことができない場合、四方弁4の第1のポート41と第2のポート42を連通させ、第3のポート43と第4のポート44を連通させて、第1の冷却液流路が独立した回路を形成し、電池ヒーター18を起動して動力電池6を加熱することができる。
【0038】
また、本開示の実施例3では、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路は1つのガス抜き・液体補充装置を共用することができる。
【0039】
別の実施形態として、図4に示すように、本開示の実施例4は、実施例2を基に以下の内容を追加する。エアコンシステムは、第1のPTC(Positive Temperature Coefficient、正温度係数)ヒーター19をさらに含む。第1のPTCヒーター19はエバポレーター16に平行に配置され、かつエバポレーター16と送風機17を共用してよく、第1のPTCヒーター19は送風機17から吹き出された風を加熱し、送風機17は加熱後の温風を乗員室に吹き込んで、乗員室を暖房する。
【0040】
また、本開示の実施例4では、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路は1つのガス抜き・液体補充装置を共用することができる。
【0041】
別の実施形態として、図5に示すように、本開示の実施例5は、実施例2を基に以下の内容を追加する。エアコンシステムは第3のポンプ20、第2のPTCヒーター21、ヒーターコア22をさらに含んでよく、ヒーターコア22がラジエーターに類似する装置であってよく、主に車両の内部を暖房する。本願の実施例では、第3のポンプ20、第2のPTCヒーター21、ヒーターコア22は直列接続されて回路が形成される。好ましい配置方式として、図5に示すように、第3のポンプ20の冷却液出口が第2のPTCヒーター21の冷却液入口に接続され、第2のPTCヒーター21の冷却液出口がヒーターコア22の冷却液入口に接続され、ヒーターコア22の冷却液出口が第3のポンプ20の冷却液入口に接続される。
【0042】
上記回路はエアコンシステムに配置され、ヒーターコア22はエアコンシステムにおけるエバポレーター16に平行に配置され、かつエバポレーター16と送風機17を共用し、送風機17はエバポレーター16とヒーターコア22に送風する。第2のPTCヒーター21がヒーターコア22を加熱した後、送風機17はヒーターコア22の熱を乗員室に吹き込んで、乗員室を暖房する。
【0043】
また、本開示の実施例5では、第1の冷却液流路、第2の冷却液流路及びヒーターコア22が所在する回路は、1つのガス抜き・液体補充装置を共用することができる。
【0044】
図6は、本開示の実施例に係る車両のブロック図である。本開示の実施例では、該車両は、純電気自動車であってもよく、ハイブリッド車であってもよく、本開示はこれを限定しない。
【0045】
図6に示すように、本開示の実施例の車両1000は、上記実施例の車両の熱管理システム100を含む。
【0046】
本開示の実施例の車両は、上記車両の熱管理システムにより、モータで発生した熱の浪費を回避し、車両の熱管理システムの熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減し、そして、モータで発生した熱を利用して電池を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、車両の熱管理システムの部品を簡素化し、車両の熱管理システムのコストを低減する。
【0047】
本開示の実施例1~実施例5に係る車両の熱管理システムを説明する。動力電池6を加熱する要求がある場合、モータ1で動力電池6を加熱することができ、即ち、第1の冷却液流路と第2の冷却液流路を連通させることにより、第2の冷却液流路内の冷却液が第1の冷却液流路に流入し、モータ1で発生した熱を利用して動力電池6を加熱する。
【0048】
例えば、車両が電気駆動の初期動作状態にあるときに、動力電池6の温度が低く、動力電池6を加熱する必要がある場合、図7に示すように、その制御方法は以下のS1~S3のとおりである。
【0049】
S1では、動力電池の温度を検出する。
【0050】
S2では、第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出する。
【0051】
S3では、動力電池の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きい場合、四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、四方弁の第2のポートが第3のポートと連通するように制御する。
【0052】
具体的には、まず、動力電池6と第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出し、動力電池6の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きく、つまり、第2の冷却液流路内の冷却液の温度が動力電池6を加熱する温度に達する場合、実施例2に係る車両の熱管理システムを参照し、図2に示すように、四方弁4の第1のポート41が第4のポート44と連通し、四方弁4第2のポート42が第3のポート43と連通するように制御し、このときに、冷却液の流れ経路は、第1のポンプ7→四方弁4の第2のポート42及び第3のポート43→第2のポンプ8→モータコントローラ9→DC-DCコンバータ10→モータ1→三方弁3の第1のポート31及び第3のポート33→四方弁4の第4のポート44及び第1のポート41→熱交換器5→動力電池6→第1のポンプ7である。このように、第2の冷却液流路内の冷却液は四方弁4により第1の冷却液流路に流入して、動力電池6の加熱を実現する。
【0053】
モータ1で発生した熱を利用して動力電池6を加熱するときに、第2の冷却液流路での熱損失を減少させるために、モータ1で発生した熱をできるだけ動力電池6の加熱に用いる。図2に示す実施例2では、動力電池6の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きい場合、四方弁4の第1のポート41が第4のポート44と連通し、四方弁4の第2のポート42が第3のポート43と連通するように制御することに加え、三方弁3の第1のポート31が第3のポート33と連通するように制御してもよい。このように、モータ1で発生した熱は第2の冷却液分岐路により第1の冷却液流路に直接伝達され、伝達中にラジエーター2を流れないため、冷却液がラジエーター2を流れて追加の熱損失を引き起こすことを回避し、モータ1による動力電池6への加熱効率を向上させる。
【0054】
なお、モータ1で発生した熱を利用して動力電池6を加熱するときに、動力電池6の温度が第1の電池温度閾値より小さいが、第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値以下であり、つまり、動力電池6を加熱する必要があるが、第2の冷却液流路内の冷却液の温度が動力電池6を加熱する要求を満たさない場合、一時的に第2の冷却液流路内の冷却液を第1の冷却液流路に導入せず、第2の冷却液流路内の冷却液を予熱することができる。具体的には、実施例2に係る車両の熱管理システムを参照し、図2に示すように、四方弁4の第3のポート43が第4のポート44と連通するように制御して、第2の冷却液流路が独立した回路を形成して、第1の冷却液流路と連通しないようにすると共に、三方弁3の第1のポート31と第3のポート33を連通させることにより、冷却液がラジエーター2を流れず、このときに、冷却液の流れ経路は、第2のポンプ8→モータコントローラ9→DC-DCコンバータ10→モータ1→三方弁3の第1のポート31及び第3のポート33→四方弁4の第4のポート44及び第3のポート43→第2のポンプ8である。このように、第2の冷却液流路内の冷却液は冷却液主流路と第2冷却液分岐路を循環し、モータ1で発生した熱により第2の冷却液流路内の冷却液の温度が徐々に上がり、冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きくなると、四方弁4のポートを切り替え、即ち、四方弁4の第1のポート41が第4のポート44と連通し、四方弁4の第2のポート42が第3のポート43と連通するように制御することにより、第2の冷却液流路内の冷却液が第1の冷却液流路に流入して、モータ1による動力電池6の加熱を実現する。
【0055】
また、上記車両が電気駆動の動作状態にあるときに、動力電池6の温度が低く、動力電池6を加熱する必要がある場合、モータ1で発生した熱を利用して動力電池6を加熱することに加えて、図3に示す実施例3では、第1の冷却液流路に位置する電池ヒーター18により動力電池6を加熱してよい。このときに、四方弁4の第1のポート41が第2のポート42と連通するように制御してよく、このときに、冷却液の流れ経路は、第1のポンプ7→四方弁4の第2のポート42及び第1のポート41→熱交換器5→電池ヒーター18→動力電池6→第1のポンプ7であり、第1の冷却液流路が独立した回路を形成し、電池ヒーター18により第1の冷却液流路内の冷却液を加熱して、電池ヒーター18による動力電池6の加熱を実現する。
【0056】
なお、上記第1の電池温度閾値と第1の冷却液温度閾値を実際の必要に応じて設定してよく、本開示はこれを限定しない。
【0057】
本開示において、例えば、車両が電気駆動の動作状態にあるときに、動力電池6の温度が高く、動力電池6を冷却する必要がある場合、第2の冷却液流路内のラジエーター2により動力電池6を冷却してもよく、エアコンシステムにより動力電池6を冷却してもよい。その冷却プロセスは以下のとおりである。
【0058】
まず、室外環境温度と動力電池6の温度を検出し、動力電池6の温度が第2の電池温度閾値より大きく、かつ室外環境温度が室外環境温度閾値より小さく、つまり、動力電池6を冷却する必要があり、かつ車両の外部環境温度が低い場合、このときに、四方弁4の第1のポート41が第4のポート44と連通し、四方弁4の第2のポート42が第3のポート43と連通し、三方弁3の第1のポート31が第2のポート32と連通するように制御することにより、第1の冷却液流路が第2の冷却液流路と連通することができる。このように、冷却液は、順に第1のポンプ7→四方弁4の第2のポート42及び第3のポート43→第2のポンプ8→モータコントローラ9→DC-DCコンバータ10→モータ1→三方弁3の第1のポート31及び第2のポート32→ラジエーター2→四方弁4の第4のポート44及び第1のポート41→熱交換器5→動力電池6→第1のポンプ7を流れる。このときに、外部環境温度が低いため、ラジエーター2により外部環境と熱変換を行われば、動力電池6の冷却要求を満たすことができる。
【0059】
上記ラジエーター2による動力電池6の冷却の制御方法は、環境温度が低い場合に適用され、上記環境温度が低い場合、ラジエーター2により動力電池6を冷却するが、動力電池6の温度が依然として要求を満たさない場合、熱交換器5を介してエアコンシステムにより動力電池6を補助冷却し、即ち、エアコンシステムとラジエーター2の協働により、動力電池6の冷却を実現することができる。
【0060】
なお、第2の電池温度閾値が第1の電池温度閾値より大きい。第2の電池温度閾値と室外環境温度閾値を具体的な状況に応じて設定してもよく、任意の適切な値を取ってもよく、本開示はこれを限定しない。
【0061】
検出された室外環境温度と動力電池6の温度は、動力電池6の温度が第2の電池温度閾値より大きく、かつ室外環境温度が室外環境温度閾値以上であることを満たす場合、四方弁4の第1のポート41が第2のポート42と連通するように制御し、このときに、冷却液の流れ経路は、第1のポンプ7→四方弁4の第2のポート42及び第1のポート41→熱交換器5→動力電池6→第1のポンプ7であり、そして、エアコンシステムを運転し、かつエアコンシステムにおける冷媒が熱交換器5を流れるように制御し、このときに、冷媒の流れ経路は、コンプレッサー11→凝縮器12→第2の膨張弁13→熱交換器5→コンプレッサー11であり、熱交換器5により第1の冷却液流路内の冷却液を冷却することにより、動力電池6を冷却する。このときに、四方弁4の第1のポート41が第2のポート42と連通するように制御することにより、第1の冷却液流路が独立した回路を形成する。このように、エアコンシステムがモータ1を冷却せずに動力電池6のみを冷却することにより、モータ1によるエアコンシステムの冷熱の利用を回避することができる。
【0062】
本開示において、モータ1の熱管理制御方法は、モータ1の冷却の制御方法を含む。モータ1を冷却する必要がある場合、ラジエーター2によりモータ1を冷却してもよく、エアコンシステムによりモータ1を冷却してもよい。
【0063】
ラジエーター2によりモータ1を冷却する場合、その具体的なプロセスは以下のとおりである:まず、モータ1の温度と第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出し、第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きく、第2の冷却液温度閾値より小さく、かつモータ1の温度がモータ温度閾値より小さく、つまり、第2の冷却液流路内の冷却液を冷却する必要があるが、モータ1の冷却要求が低い場合、このときに、四方弁4の第3のポート43が第4のポート44と連通し、三方弁3の第1のポート31が第2のポート32と連通するように制御し、このときに、冷却液の流れ経路は、第2のポンプ8→モータコントローラ9→DC-DCコンバータ10→モータ1→三方弁3の第1のポート31及び第2のポート32→ラジエーター2→四方弁4の第4のポート44及び第3のポート43→第2のポンプ8である。このように、第2の冷却液流路内の冷却液は冷却液主流路と第1の冷却液分岐路を循環し、ラジエーター2により第2の冷却液流路内の冷却液及びモータ1を冷却する。
【0064】
第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第2の冷却液温度閾値以上であるか、又はモータ1の温度がモータ温度閾値以上であり、つまり、モータ1の冷却要求が高く、ラジエーター2のみによりモータ1の冷却要求を満たさない場合、このときに、エアコンシステムとラジエーター2の協働によりモータ1を冷却することができ、具体的には、四方弁4の第1のポート41が第4のポート44と連通し、四方弁4の第2のポート42が第3のポート43と連通し、三方弁3の第1のポート31が第2のポート32と連通するように制御し、このときに、冷却液の流れ経路は、第1のポンプ7→四方弁4の第2のポート42及び第3のポート43→第2のポンプ8→モータコントローラ9→DC-DCコンバータ10→モータ1→三方弁3の第1のポート31及び第2のポート32→ラジエーター2→四方弁4の第4のポート44及び第1のポート41→熱交換器5→動力電池6→第1のポンプ7であり、そして、エアコンシステムを運転し、かつエアコンシステムにおける冷媒が熱交換器5を流れるように制御し、このときに、冷媒の流れ経路は、コンプレッサー11→凝縮器12→第2の膨張弁13→熱交換器5→コンプレッサー11である。このように、エアコンシステムとラジエーター2の協働によりモータ1の冷却要求を満たす。
【0065】
また、本開示の実施例に係る車両の熱管理システムは、動力電池6とモータ1に熱管理を行うことに加えて、乗員室を冷房・暖房し、運転者に快適な運転環境を提供することもできる。具体的には、乗員室を冷房する必要がある場合、電磁弁14及び第1の膨張弁15をオンにし、冷媒が第1の冷媒分岐路を流れ、かつエバポレーター16により乗員室を冷房し、このときに、冷媒の流れ経路は、コンプレッサー11→凝縮器12→電磁弁14→第1の膨張弁15→熱交換器5→コンプレッサー11である。
【0066】
なお、乗員室を冷房すると共に動力電池6を冷却する必要がある場合、第2の膨張弁13の開度を調節して第1の冷媒分岐路と第2の冷媒分岐路の冷媒の流量をそれぞれ調節することにより、エアコンシステムの冷熱分配を行うことができる。その具体的な制御方法は、以下のとおりである。まず、ユーザによって設定された室内環境目標温度を受信すると共に、室内環境温度を検出し、動力電池6の温度が第2の電池温度閾値より大きく、室外環境温度が室外環境温度閾値以上であり、かつ室内環境温度が室内環境目標温度より大きい場合、エアコンシステムを運転し、かつエアコンシステムにおける冷媒がエバポレーター16と熱交換器5を流れるように制御する。エアコンシステムを所定の時間運転した後、室内環境温度が依然として室内環境目標温度より大きければ、乗員室の冷房要求を満たすことを優先するために、第2の膨張弁13の開度を調節して、熱交換器5を流れる冷媒の流量を減少させ、エバポレーター16を流れる冷媒の流量を増加させる。
【0067】
乗員室を暖房する必要がある場合、図4に示す実施例4に係る車両の熱管理システムを参照し、第1のPTCヒーター19を起動して、送風機17から吹き出された風を加熱し、送風機17により加熱後の温風を乗員室に吹き込んで、乗員室を暖房する。
【0068】
或いは、乗員室を暖房する必要がある場合、図5に示す実施例5に係る車両の熱管理システムを参照し、送風機17、第3のポンプ20、第2のPTCヒーター21を起動して、第3のポンプ20、第2のPTCヒーター21及びヒーターコア22を直列接続して形成された回路内の冷却液が循環して流れるようにし、冷却液の流れ経路は、第3のポンプ20→第2のPTCヒーター21→ヒーターコア22であり、冷却液が第2のPTCヒーター21によって加熱された後にヒーターコア22に流入し、送風機17はヒーターコア22で発生した熱風を乗員室に吹き込んで、乗員室を暖房することができる。
【0069】
本開示の実施例の車両の熱管理システムの制御方法によれば、動力電池の温度、第2の冷却液流路内の冷却液の温度を検出し、動力電池の温度が第1の電池温度閾値より小さく、かつ第2の冷却液流路内の冷却液の温度が第1の冷却液温度閾値より大きい場合、四方弁の第1のポートが第4のポートと連通し、四方弁の第2のポートが第3のポートと連通するように制御する。これにより、該方法は、モータで発生した熱を利用して電池を加熱でき、モータで発生した熱の浪費を回避し、車両の熱管理システムの熱循環方式を最適化し、エネルギー消費を削減し、そして、モータで発生した熱を利用して電池を加熱すれば、電池ヒーターを追加して設置する必要がなく、車両の熱管理システムの部品を簡素化し、車両の熱管理システムのコストを低減する。
【0070】
以上、図面を参照しながら本開示の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0071】
また、説明すべきところとして、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意適切な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0072】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の思想から逸脱しない限り、同様に本開示に開示されている内容と見なすべきである。なお、本開示の説明において、用語「第1の」、「第2の」等は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示するか又は暗示するものとして理解すべきではない。また、本開示の説明において、別に説明しない限り、「複数」とは、2つ又は2つ以上を意味する。
【0073】
本明細書の説明において、用語の「1つの実施例」、「幾つかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「幾つかの例」等を参照した説明は、該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0074】
以上、本開示の実施例を示して説明したが、上記実施例は例示的なものであり、本開示を限定するものであると理解すべきではなく、当業者であれば、本開示の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【0075】
モータ(1)、ラジエーター(2)、三方弁(3)、三方弁の第1のポート(31)、三方弁の第2のポート(32)、三方弁の第3のポート(33)、四方弁(4)、四方弁の第1のポート(41)、四方弁の第2のポート(42)、四方弁の第3のポート(43)、四方弁の第4のポート(44)、熱交換器(5)、動力電池(6)、第1のポンプ(7)、第2のポンプ(8)、モータコントローラ(9)、DC-DCコンバータ(10)、コンプレッサー(11)、凝縮器(12)、第2の膨張弁(13)、電磁弁(14)、第1の膨張弁(15)、エバポレーター(16)、送風機(17)、電池ヒーター(18)、第1のPTCヒーター(19)、第3のポンプ(20)、第2のPTCヒーター(21)、ヒーターコア(22)、第1のガス抜き・液体補充装置(23)、第1の三方管(24)、第2のガス抜き・液体補充装置(25)、第2の三方管(26)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7