(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】アスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
E01C19/10 A
(21)【出願番号】P 2019164854
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 敏文
(72)【発明者】
【氏名】安田 良二
(72)【発明者】
【氏名】西畑 彰展
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-227598(JP,A)
【文献】特開2017-223021(JP,A)
【文献】特開平03-197704(JP,A)
【文献】特開昭49-039926(JP,A)
【文献】実開昭55-063717(JP,U)
【文献】特開2008-214879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0284770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両にて運搬可能なサイズで略直方体形状の新材計量ユニット、新材貯蔵下部ユニット、新材貯蔵上部ユニット、振動篩ユニットを順次積み上げて成る新材タワーと、該新材タワーの近傍に廃材を加熱する廃材ドライヤと、該廃材ドライヤにて加熱再生した再生材を貯蔵する再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを備え、計量した再生材を新材に混入してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、前記再生材貯蔵ビンと再生材計量槽は再生材計量ユニット、再生材貯蔵下部ユニット、再生材貯蔵中間ユニット、再生材貯蔵上部ユニットに分割形成して再生材タワーとし、前記新材タワーと再生材タワーの少なくとも同じ階層のユニットの高さサイズを略同一に形成すると共に、ミキサを搭載したミキサ架台上に前記新材タワーと再生材タワーの各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造としたことを特徴とするアスファルトプラント。
【請求項2】
前記ミキサ架台に搭載するミキサを平面視でミキサ架台の略中央位置に配置し、前記ミキサの直上に新材計量槽と再生材計量槽とを並べて配置したことを特徴とする請求項1記載のアスファルトプラント。
【請求項3】
前記再生材タワーの側部に再生材タワーと略同じ高さの高架台を並設し、該高架台の上部に前記廃材ドライヤを搭載すると共に、該廃材ドライヤ直下のスペースに新材を加熱する新材ドライヤを前記廃材ドライヤと略直交方向に配置したことを特徴とする請求項1または2記載のアスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトプラントは、新規骨材(以下「新材」という)を加熱する新材ドライヤと、該新材ドライヤにて加熱した新材を篩い分け・貯蔵・計量・混合機能を有する各装置を階層状に積み上げて成る新材タワーを備えている。この新材タワーは、ミキサを搭載したミキサ架台上に、運搬可能なサイズで略直方体形状とした機枠内に前記機能を組み込んだ新材計量ユニット、新材貯蔵下部ユニット、新材貯蔵上部ユニット及び振動篩ユニットを順次積み上げる構成とし、短期間にて組み立てられるようにしている。
【0003】
また、近年、アスファルト混合物製造工場では、道路工事等によって掘り起こされたアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)の再利用を図っており、新材タワーの近傍には、廃材を加熱する廃材ドライヤと、該廃材ドライヤにて加熱再生した再生材を貯蔵する再生材貯蔵ビン、再生材計量槽及び前記新材タワーのミキサに再生材を供給する再生材供給手段を設置しており、また廃材の置き場等を備えるなど工場敷地内に多くの設備を追加設置している。このため、運搬車両の動線や周辺環境等に配慮しながら新材タワーを核として前記設備等をレイアウトすることとなる。
【0004】
なお、アスファルト混合物製造工場は、需要の多い都市部近郊や高速道路製造用などのアスファルト混合物の年間出荷量が10万トン以上にもなる比較的規模の大きい工場が存在する一方、都市部から離間した地方などでは年間出荷量が5万トン以下の中小規模の工場が設置されることが多く、工場敷地面積、敷地形状及び周辺状況等などもさまざまであるものの、アスファルトプラントの設置に際しては、省スペース、レイアウトの融通性、短い工事期間、周辺環境への配慮、美観なども共通の大きな要望事項となっている。
【0005】
そこで、本出願人が先に出願した実開平6-63606号公報(特許文献1)では、従来、廃材ドライヤにて加熱した再生材を地上に別置きした再生材貯蔵ビンに搬送して一旦貯蔵し、該再生材貯蔵ビンから新材タワーのミキサに搬送して供給していたのを改良し、高架台上に廃材ドライヤと再生材一時貯蔵用の再生材貯蔵ビンを搭載し、該再生材貯蔵ビンより払い出す再生材を新材タワーのミキサに直接搬送するようにしている。これによって、従来別置きしていた再生材貯蔵ビンを不要として省スペース化を図ると共に、更に高架台をアスファルト混合物の運搬車両が進入する進入通路を跨がせて配置することで一層の省スペース化が図れるアスファルトプラントを提案している。
【0006】
また、特開2015-227598号公報(特許文献2)では、従来新材タワー側に配置していたミキサを再生材タワー側に接近させて配置すると共に、該ミキサの直上に再生材計量槽を、該再生材計量槽の直上に再生材貯蔵ビンをそれぞれ配置し、該再生材貯蔵ビンから払い出される再生材が直下の再生材計量槽を介してミキサまで自重落下にて投入される構成としている。これによって、再生材をミキサへと搬送する搬送装置が不要となることで付着防止用の重油の噴霧が不要となり、油煙や臭気の発生、並びに搬送装置周辺の汚損も防止可能とし、周辺環境にも配慮したアスファルトプラントを提案している。
【0007】
また、特開2017-198041号公報(特許文献3)では、新材タワーを再生材タワーの高架台に組み込み、従来二つ併設していた高架台を一つに集約化すると共に、高架台下位の四隅の架台脚柱の間隔を少なくとも運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅に構成して運搬車両の進入路の選択肢を増やしている。これによって、省スペース化を図ると共に、工場敷地面積や敷地形状及び周辺状況等を考慮しながら運搬車の動線が好適となるように新材タワーを組み込んだ再生材タワーを振り回して好適に配置可能とし、省スペースとレイアウトの融通性に配慮したアスファルトプラントを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平6-63606号公報
【文献】特開2015-227598号公報
【文献】特開2017-198041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3のアスファルトプラントでは、新材タワーを再生材タワーの高架台に組み込み、従来二つ併設していた高架台を一つに集約化することに伴って構造がやや複雑化しており、新材タワーのユニット化も難しく、組み立て工事期間が長くなる問題点もある。アスファルトプラントの設置時に要望されることは、省スペース、レイアウトの融通性、短い工事期間、周辺環境への配慮、美観などであるから更なる改良が望まれる。
【0010】
本発明は上記の点に鑑み、プラント設置時の省スペースや工事期間の短縮が図れて融通性のあるアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントでは、車両にて運搬可能なサイズで略直方体形状の新材計量ユニット、新材貯蔵下部ユニット、新材貯蔵上部ユニット、振動篩ユニットを順次積み上げて成る新材タワーと、該新材タワーの近傍に廃材を加熱する廃材ドライヤと、該廃材ドライヤにて加熱再生した再生材を貯蔵する再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを備え、計量した再生材を新材に混入してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、前記再生材貯蔵ビンと再生材計量槽は再生材計量ユニット、再生材貯蔵下部ユニット、再生材貯蔵中間ユニット、再生材貯蔵上部ユニットに分割形成して再生材タワーとし、前記新材タワーと再生材タワーの少なくとも同じ階層のユニットの高さサイズを略同一に形成すると共に、ミキサを搭載したミキサ架台上に前記新材タワーと再生材タワーの各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造としたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る請求項2記載のアスファルトプラントでは、前記ミキサ架台に搭載するミキサを平面視でミキサ架台の略中央位置に配置し、前記ミキサの直上に新材計量槽と再生材計量槽とを並べて配置したことを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る請求項3記載のアスファルトプラントでは、前記再生材タワーの側部に再生材タワーと略同じ高さの高架台を並設し、該高架台の上部に前記廃材ドライヤを搭載すると共に、該廃材ドライヤ直下のスペースに新材を加熱する新材ドライヤを前記廃材ドライヤと略直交方向に配置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、再生材貯蔵ビンと再生材計量槽を再生材計量ユニット、再生材貯蔵下部ユニット、再生材貯蔵中間ユニット、再生材貯蔵上部ユニットに分割形成して再生材タワーとし、新材タワーと再生材タワーの少なくとも同じ階層のユニットの高さサイズを略同一に形成すると共に、ミキサ架台上に前記新材タワーと再生材タワーの各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造としたので、新材タワーと再生材タワーとを密着させた状態で一体に組み上げられてプラント設置時の省スペース化を図れると共に、前記各タワーの何れもユニット構造とすることで効率よく組み上げられて工事期間の短縮も期待できる。
【0015】
また、本発明に係る請求項2記載のアスファルトプラントによれば、前記ミキサ架台に搭載するミキサを平面視でミキサ架台の略中央位置に配置し、前記ミキサの直上に新材計量槽と再生材計量槽とを並べて配置したので、アスファルト混合物の運搬車両の進入通路をミキサ架台下位の前後或いは左右方向の何れにも選択でき、運搬車両の動線が好適となるようにプラントをレイアウトすることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る請求項3記載のアスファルトプラントによれば、前記再生材タワーの側部に再生材タワーと略同じ高さの高架台を並設し、該高架台の上部に前記廃材ドライヤを搭載すると共に、該廃材ドライヤ直下のスペースに新材を加熱する新材ドライヤを前記廃材ドライヤと略直交方向に配置したので、廃材ドライヤ直下のデッドスペースを有効に生かして新材ドライヤを配置でき、プラントの一層の省スペース化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るアスファルトプラントの一実施例を示す概略正面図である。
【
図5】新材タワーと再生材タワーの各ユニットを分離した状態を示す参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るアスファルトプラントにあっては、トレーラー等の車両にて公道を運搬可能な長さ、幅、高さサイズで、かつそのまま積み上げが可能な略直方体形状の機枠内に新材計量槽を内装した新材計量ユニット、新材貯蔵ビン下部のシュート部や排出ゲート等を内装した新材貯蔵下部ユニット、新材貯蔵ビン上部を内装した新材貯蔵上部ユニット、振動篩を内装した振動篩ユニットを順次積み上げて成る新材タワーを備える。
【0019】
また、前記新材タワーの近傍に廃材を加熱再生する廃材ドライヤと、該廃材ドライヤにて加熱再生した再生材を貯蔵する再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを備える。このうち、前記再生材貯蔵ビンと再生材計量槽は再生材計量ユニット、再生材貯蔵下部ユニット、再生材貯蔵中間ユニット、再生材貯蔵上部ユニットに分割形成して再生材タワーとする。
【0020】
また、前記新材タワーと再生材タワーの少なくとも同じ階層のユニットの高さサイズを略同一に形成すると共に、ミキサを搭載したミキサ架台上に前記新材タワーと再生材タワーの各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造とする。
【0021】
これにより、新材タワーと再生材タワーとを隙間なく密着させた状態で一体的に組み上げられ、プラント設置時の省スペース化を図れると共に、連結した新材タワーと再生材タワーとに亘って各階層のフロアがフラットとなり、作業員等が各タワー間を簡単に行き来できて使い勝手の良いものとなる上、プラントの一体感も増して美観の向上も期待できる。
【0022】
また、好ましくは、前記ミキサ架台下位の四隅に架台脚柱を備え、各架台脚柱の間隔を少なくともアスファルト混合物の運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅に構成すると共に、前記ミキサ架台に搭載するミキサを、前記運搬車両の進入通路が前後及び左右方向の何れであっても荷受けが可能なように平面視でミキサ架台の略中央位置に配置し、前記ミキサの直上に前記新材タワーの新材計量槽と、前記再生材タワーの再生材計量槽とを並べて配置するとよい。これにより、アスファルト混合物の運搬車両の進入通路の選択肢を増やせ、運搬車両の動線が好適なものとなるようにプラントをレイアウトすることが可能となる。
【0023】
更に、好ましくは、前記再生材タワーの側部に再生材タワーと略同じ高さの高架台を並設し、該高架台の上部に前記廃材ドライヤを搭載し、該廃材ドライヤ下流側の材料排出口を前記再生材タワーの再生材貯蔵ビンの上部投入口へ臨ませるように配置すると共に、前記廃材ドライヤ直下の地上スペースに新材を加熱する新材ドライヤを前記廃材ドライヤと略直交方向に配置するとよい。これにより、廃材ドライヤ直下のデッドスペースを有効に生かして新材ドライヤを配置でき、プラントの一層のコンパクト化及び省スペース化が期待できるものとなる。なお、前記新材ドライヤの上位に更にバグフィルタを設置することもでき、その場合にはより一層の省スペース化が可能となる。
【0024】
そして、プラント設置時には、前記新材タワーと再生材タワーを構成する各ユニットを予めプラント製造工場にて製造しておく。このとき、前記各ユニットはトレーラー等の車両にて運搬可能なサイズに設計しているため、そのままユニット単位で設置現場まで運び込める。次いで、設置現場に設けたアスファルト混合物の運搬車両の進入通路を跨がせてミキサ架台を設置した後、該ミキサ架台上に、工場から運び込んだ新材タワーと再生材タワーの各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造に組み上げる。
【0025】
このように、前記新材タワーと再生材タワーは、何れも車両にて運搬可能なサイズのユニットを、ミキサ架台上にそれぞれの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造に形成するため、新材タワーと再生材タワーとをコンパクトに組み上げられてプラントの省スペース化を図れると共に、前記各タワーの何れもユニット構造とすることで効率よく組み上げられて工期短縮も期待できる。また、ユニット単位で設置現場まで運び込めることにより、誤送・欠品等の不具合の発生も軽減することが期待できる。
【0026】
また、例えば、高速道路等の製造に使用する場合には、道路の延伸に伴ってプラントを移設する際、ユニット単位で解体後、次の設置現場までそのまま運び込み、前記同様に組み上げて構築することができ、比較的短期間にてかつ容易に再構築することができて好適である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0028】
図中の1は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、アスファルト混合物の運搬車両Tの進入通路を跨がせてミキサ架台2を設置し、該ミキサ架台2上部の略方形平板状のベース部3にはミキサ4と、後述する複数のユニットから構成される新材タワー5と、再生材タワー6とを並設している。
【0029】
前記新材タワー5は、トレーラー等の車両にて公道を運搬可能な長さ、幅、高さサイズで、かつそのまま積み上げが可能な略直方体形状の機枠7a~7d内に新材計量槽8を内装した新材計量ユニット9、新材貯蔵ビン10を形成する新材貯蔵ビン下部10aを内装した新材貯蔵下部ユニット11、新材貯蔵ビン上部10bを内装した新材貯蔵上部ユニット12、振動篩13を内装した振動篩ユニット14を上方へ順次積み上げて四階層から成るタワー状に形成している。
【0030】
一方、前記再生材タワー6は、前記同様に、トレーラー等の車両にて運搬可能なサイズで、かつ積み上げが可能な略直方体形状の機枠15a~15d内に再生材計量槽16を内装した再生材計量ユニット17、再生材貯蔵ビン18を形成する再生材貯蔵ビン下部18aを内装した再生材貯蔵下部ユニット19、再生材貯蔵ビン中間部18bを内装した再生材貯蔵中間ユニット20、再生材貯蔵ビン上部18cを内装した再生材貯蔵上部ユニット21を上方へ順次積み上げて、前記新材タワー5と同様に四階層から成るタワー状に形成している。
【0031】
上記のように、前記新材貯蔵ビン10(10a、10b)及び再生材貯蔵ビン18(18a、18b、18c)は、複数層に分割形成してそれぞれ別々のユニットに内装しており、各分割カ所にはフランジ部を備え、該フランジ部にパッキン等を具備し、各ユニット連結時には隙間なく密着して漏れ等のない構成としている。
【0032】
また、前記新材タワー5と再生材タワー6の少なくとも同じ階層のユニットの高さサイズを略同一に形成していると共に、前記ミキサ架台2上部のベース部3上に前記新材タワー5と再生材タワー6の各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結し、本実施例では平面視で略正方形状となるように一体構造としている。
【0033】
これにより、前記新材タワー5と再生材タワー6とを隙間なく一体に組み上げられ、プラント設置時の省スペース化を図れると共に、連結した新材タワー5と再生材タワー6とに亘って各階層のフロアがフラットとなり、メンテナンス等において使い勝手の良いものとなる。また、機枠の一部共通化も図れ、設計や製造が容易となってコストダウンも期待できるものとなる。
【0034】
前記ミキサ架台2下位の四隅には架台支持用の架台脚柱22を具備し、各架台脚柱22の間隔を少なくともアスファルト混合物の運搬車両Tが前後及び左右方向から進入可能な幅に構成していると共に、前記ミキサ架台2上部のベース部3上に搭載するミキサ4を、前記運搬車両Tの進入通路が前後或いは左右方向の何れであっても好適に荷受けが可能なように、平面視でミキサ架台2上部のベース部3の略中央位置に配置し、前記ミキサ4の直上に前記新材計量ユニット9に内装する新材計量槽8と前記再生材計量ユニット17に内装する再生材計量槽16とを並べて配置している。
【0035】
これにより、
図4に示すように、前記ミキサ架台2下位への運搬車両Tの進入通路を前後或いは左右方向の何れにも選択可能とし、例えば、運搬車両Tの動線を確保しにくい工場敷地の隅部などへもプラントを比較的簡単に配置でき、プラントのレイアウトの自由度、融通性等を高めている。
【0036】
また、前記再生材タワー6の側部に再生材タワー6と略同じ高さの高架台23を並設している。該高架台23は、前記再生材タワー6の頂部より略水平方向に延設したベース板体24a、該ベース板体24aの遊端部を地上面より支持する脚柱25とから成り、前記ベース板体24aの下位には隙間空間が形成される構造としている。
【0037】
前記高架台23の側部には垂直搬送装置26を備え、該垂直搬送装置26から供給される廃材を加熱再生する廃材ドライヤ27を前記高架台23のベース板体24a上に搭載している。前記廃材ドライヤ27の下流端部の材料排出口は前記再生材貯蔵ビン18の上部投入口へ臨ませ、前記廃材ドライヤ27から排出される再生材を前記再生材貯蔵ビン18内に自重落下にて直接投入可能に配置している。前記廃材ドライヤ27と再生材貯蔵ビン18との連結部には、図に示すように、前記連結部を覆うように略円筒形状の煙道28を具備し、該煙道28上部と後述するバグフィルタとを別途配管する煙道(図示せず)で連結している。
【0038】
なお、本実施例では、前記ベース板体24aと同様に、新材タワー5の頂部からも略水平方向にベース板体24bを延設しており、該ベース板体24b上に前記廃材ドライヤ27のバーナへ燃焼用空気を供給する送風機(図示せず)等を設置可能としていると共に、後述する下位に配置されるバグフィルタや新材ドライヤ等へ雨滴がかかるのを軽減し、保温性を高めて結露の抑制が期待できるものとなっている。
【0039】
また、前記高架台23のベース板体24aに搭載した前記廃材ドライヤ27直下の地上側スペースには、新材を加熱する新材ドライヤ29を前記廃材ドライヤ27と略直交方向に配置している。なお、前記廃材ドライヤ27と新材ドライヤ29の方向とは、ドライヤ長手方向(材料流下方向)を基準とする。また、前記新材ドライヤ29にて加熱した新材を前記新材タワー5上層部の振動篩ユニット14内の振動篩13へ供給する垂直搬送装置30を設置している。また、前記新材ドライヤ29上位(新材ドライヤ29とベース板体24a、24bとの隙間)のスペースには架台31を介して集塵機であるバグフィルタ32を設置し、前記新材ドライヤ29と煙道33にて連結している。
【0040】
これにより、前記廃材ドライヤ27直下のデッドスペースを有効に生かして新材ドライヤ29やバグフィルタ32を配置でき、プラントの一層のコンパクト化及び省スペース化が期待できるものとなっている。
【0041】
また、本実施例では、前記新材タワー5に搭載する振動篩13の長手方向(材料流下方向)と略平行でかつその材料投入口側に高架台23を設置し、該高架台23上に前記廃材ドライヤ27を(振動篩13の長手方向と略平行に)配置したので、
図2及び
図4に示すように、前記廃材ドライヤ27の直下は運搬車両Tの進入通路から外れ、前記新材ドライヤ29を廃材ドライヤ27直下に配置することで、省スペース化を図れながらも運搬車両Tの進入通路を塞ぐこともなくてより好適なものとなる。
【0042】
なお、前記高架台23の設置位置は必ずしも上記位置に限定されるものではなく、例えば、従来の特許文献1の装置と同様に、運搬車両Tの進入通路の一つを跨がせるように、前記振動篩13の長手方向と略直交方向に設置し、該高架台23上に前記廃材ドライヤ27を配置することもできる。
【0043】
そして、上記構成のアスファルトプラント1を設置するときには、前記新材タワー5を構成する新材計量ユニット9、新材貯蔵下部ユニット11、新材貯蔵上部ユニット12、振動篩ユニット14と、前記再生材タワー6を構成する再生材計量ユニット17、再生材貯蔵下部ユニット19、再生材貯蔵中間ユニット20、再生材貯蔵上部ユニット21とを予めプラント製造工場にて製造しておく。このとき、前記各ユニットはトレーラー等の車両にて運搬可能なサイズで、かつクレーン等にてそのまま積み上げが可能な略直方体形状に設計・製造しておく。
【0044】
次いで、設置現場に設けたアスファルト混合物の運搬車両Tの進入通路を跨がせてミキサ架台2を設置した後、該ミキサ架台2上に、プラント製造工場から運び込んだ新材タワー5と再生材タワー6の前記各ユニットの長辺部同士を対向させて配置連結して一体構造に組み上げる。
【0045】
次いで、前記再生材タワー6の側部に高架台23を並設し、該高架台23上に廃材ドライヤ27を搭載する一方、該廃材ドライヤ27の直下の地上スペースに新材ドライヤ29、バグフィルタ32を配置する。そして、廃材供給用の垂直搬送装置26、新材供給用の垂直搬送装置30等を設置してプラントの設置を完了する。
【0046】
このように、上記アスファルトプラント1によれば、新材タワー4と再生材タワー5とをコンパクトに組み上げられてプラントの省スペース化を図れると共に、前記各タワーを何れもユニット構造とすることで効率よく組み上げられて工期短縮も期待できるものとなる。なお、本出願人が先に出願した特許文献1のアスファルトプラントと比較すると、プラントの設置面積を約7割程度に抑えられて省スペース化を図ることができたと共に、工事期間も約7割程度に短縮することができた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、新材に再生材を混入したアスファルト混合物を製造可能なアスファルトプラントにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…アスファルトプラント 2…ミキサ架台
4…ミキサ 5…新材タワー
6…再生材タワー 8…新材計量槽
9…新材計量ユニット 10…新材貯蔵ビン
11…新材貯蔵下部ユニット 12…新材貯蔵上部ユニット
13…振動篩 14…振動篩ユニット
16…再生材計量槽 17…再生材計量ユニット
18…再生材貯蔵ビン 19…再生材貯蔵下部ユニット
20…再生材貯蔵中間ユニット 21…再生材貯蔵上部ユニット
22…架台脚柱(ミキサ架台) 23…高架台
26、30…垂直搬送装置 27…廃材ドライヤ
29…新材ドライヤ 32…バグフィルタ