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  • 特許-マッフル式連続熱処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】マッフル式連続熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/56 20060101AFI20230417BHJP
   F27B 9/28 20060101ALI20230417BHJP
   F27B 9/04 20060101ALI20230417BHJP
   F27B 9/40 20060101ALI20230417BHJP
   F27B 9/36 20060101ALI20230417BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20230417BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
C21D9/56 101B
F27B9/28
F27B9/04
F27B9/40
F27B9/36
F27D19/00 Z
F27D9/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021176318
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 信幸
(72)【発明者】
【氏名】赤阪 素史
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-020928(JP,A)
【文献】中国実用新案第201678710(CN,U)
【文献】特開平05-331558(JP,A)
【文献】特公昭58-038492(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00-1/84
C21D 9/52-9/66
F27B 5/00-5/18
F27B 9/00-9/40
F27D 7/00-7/06
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップを処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を搬送させて熱処理するにあたり、前記のマッフルの外側に、金属ストリップの移動方向上流側における金属ストリップを加熱する加熱帯と、前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に加熱された前記の金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に徐冷された前記の金属ストリップを冷却させる冷却帯とを設けたマッフル式連続熱処理装置において、前記の徐冷帯に切換用加熱装置を設け、前記の切換用加熱装置を制御装置により制御し、前記の切換用加熱装置を作動させずに、前記の徐冷帯をそのまま徐冷帯として使用する一方、前記の切換用加熱装置を作動させて、前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用するにあたり、前記の徐冷帯に徐冷用気体を案内する徐冷気体案内管に徐冷気体制御弁を設けると共に、前記の加熱帯内における加熱された気体を前記の徐冷帯内に案内する加熱気体案内管に加熱気体制御弁を設け、前記の徐冷気体制御弁と加熱気体制御弁とを前記の制御装置により制御し、前記の切換用加熱装置を作動させて前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用する場合には、前記の制御装置により前記の加熱気体制御弁を開けて、加熱帯内における加熱された気体を前記の徐冷帯内に案内することを特徴とするマッフル式連続熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップを処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を搬送させて連続熱処理するにあたり、前記のマッフルの外側に、金属ストリップの移動方向上流側における金属ストリップを加熱する加熱帯と、前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯とを設けたマッフル式連続熱処理装置に関するものである。特に、金属ストリップをマッフルの内部を搬送させて連続熱処理するにあたり、金属ストリップを加熱帯において加熱させ、加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷させ、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させる操作と、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、速やかに冷却帯において冷却させる操作とを簡単に切り換えることができて、各種の金属ストリップの熱処理が効率よく行え、生産効率を大きく向上できると共に、各熱処理のために複数の設備を設ける必要がなく、設備コストも著しく低減できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼帯などの金属ストリップを熱処理するにあたり、従来からマッフル式連続熱処理装置が使用されている。
【0003】
そして、このようなマッフル式連続熱処理装置としては、特許文献1に示されるように、上下方向に配置されて内部に処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部において、金属ストリップを下から上に搬送させて熱処理するにあたり、金属ストリップの移動方向上流側にマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱する加熱帯を設け、このように加熱帯において加熱された金属ストリップを、金属ストリップの移動方向下流側に設けた冷却帯において冷却させるようにしたものが使用されている。
【0004】
しかし、このように加熱帯において加熱された金属ストリップをすぐに冷却帯に導いて冷却させると、金属ストリップの温度が急激に低下して、金属ストリップが硬化したり、変形したりするという問題があった。
【0005】
このため、特許文献2、3に示されるように、前記の加熱帯と冷却帯との間に徐冷帯を設け、加熱帯において加熱された金属ストリップを冷却帯に導く前に、この徐冷帯において徐冷させるようにしたものが広く使用されている。
【0006】
一方、近年においては、銅やステンレス鋼等からなる金属ストリップを熱処理するにあたって、徐冷した時に不要な組織が析出するのを防止するため、加熱帯において加熱された銅やステンレス鋼等からなる金属ストリップを徐冷させずに、冷却帯において急激に冷却させて溶体化処理する需要が多くなっている。
【0007】
しかし、金属ストリップを熱処理するにあたり、前記の特許文献2、3に示されるように、前記の加熱帯と冷却帯との間に徐冷帯を設け、加熱帯において加熱された金属ストリップを冷却帯に導く前に、この徐冷帯において徐冷させるようにしたマッフル式連続熱処理装置の他に、前記のように金属ストリップを溶体化処理するために、前記の特許文献1に示されるように、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷させずに、冷却帯において急激に冷却させてようにしたマッフル式連続熱処理装置を別に設けるようにした場合、設備コストが非常に高くつくと共に、接地場所の確保等が必要になり、無駄が多くなって生産効率が非常に悪くなるという問題があった。
【0008】
また、近年においては、特許文献4に示されるように、溶融めっきルート用炉殻と冷延ルート用炉殻とを併設した炉殻ユニットを水平方向に移動可能に設け、焼鈍炉から搬出される鋼板を溶融めっき槽に導入して溶融めっき鋼板を製造する溶融めっきルートと、焼鈍炉から搬出される鋼板を溶融めっき槽に導入しないでバイパスして冷延鋼板を製造する冷延ルートとを切り替えて、金属ストリップを走行させるルートを変更できるようにしたものも示されている。
【0009】
しかし、金属ストリップを走行させるルートを変更できるように、熱処理装置の一部を切り替え可能な構造する場合には、設備コストなどが非常に高くつくと共に、作業効率が非常に悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実公平3-32517号公報
【文献】特許第6779587号公報
【文献】特開平5-295449号公報
【文献】特許第4878500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、金属ストリップを処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を搬送させて連続熱処理するマッフル式連続熱処理装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
そして、本発明においては、マッフルにおける金属ストリップの移動方向上流側から下流側に向かって順番に、マッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱する加熱帯と、加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯とを設けたマッフル式連続熱処理装置において、金属ストリップを加熱帯において加熱させ、加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷させ、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させる操作と、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、速やかに冷却帯において冷却させる操作とを簡単に切り換えることができて、各種の金属ストリップの熱処理が効率よく行え、生産効率を大きく向上できると共に、各熱処理のために複数の設備を設ける必要がなく、設備コストも著しく低減できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明におけるマッフル式連続熱処理装置においては、前記のような課題を解決するため、金属ストリップを処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を搬送させて熱処理するにあたり、前記のマッフルの外側に、金属ストリップの移動方向上流側における金属ストリップを加熱する加熱帯と、前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に加熱された前記の金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に徐冷された前記の金属ストリップを冷却させる冷却帯とを設けたマッフル式連続熱処理装置において、前記の徐冷帯に切換用加熱装置を設け、前記の切換用加熱装置を制御装置により制御し、前記の切換用加熱装置を作動させずに、前記の徐冷帯をそのまま徐冷帯として使用する一方、前記の切換用加熱装置を作動させて、前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用するにあたり、前記の徐冷帯に徐冷用気体を案内する徐冷気体案内管に徐冷気体制御弁を設けると共に、前記の加熱帯内における加熱された気体を前記の徐冷帯内に案内する加熱気体案内管に加熱気体制御弁を設け、前記の徐冷気体制御弁と加熱気体制御弁とを前記の制御装置により制御し、前記の切換用加熱装置を作動させて前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用する場合には、前記の制御装置により前記の加熱気体制御弁を開けて、加熱帯内における加熱された気体を前記の徐冷帯内に案内するようにした。
【0014】
そして、本発明におけるマッフル式連続熱処理装置のように、徐冷帯に切換用加熱装置を設け、前記の切換用加熱装置を制御装置によって制御させるようにすると、前記の制御装置によって切換用加熱装置を作動させずに、前記の徐冷帯をそのまま徐冷帯として使用することにより、金属ストリップを加熱帯において加熱させ、加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷させ、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させることができる一方、前記の切換用加熱装置を作動させて、前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用する場合には、金属ストリップを前記の加熱帯と第2加熱帯とにおいて加熱させ、このように加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、速やかに冷却帯において冷却させることができる。
【0015】
また、本発明におけるマッフル式連続熱処理装置においては、前記のように徐冷帯に徐冷用気体を案内する徐冷気体案内管に徐冷気体制御弁を設けると共に、前記の加熱帯内における加熱された気体を前記の徐冷帯内に案内する加熱気体案内管に加熱気体制御弁を設け、前記の徐冷気体制御弁と加熱気体制御弁とを前記の制御装置により制御し、前記の切換用加熱装置を作動させて前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用する場合には、前記の制御装置により前記の加熱気体制御弁を開けて、加熱帯内における加熱された気体を前記の徐冷帯内に案内させるようにしている。このようにすると、前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用する場合に、加熱帯内における加熱された気体が、加熱気体案内管を通して徐冷帯に導かれて、徐冷帯内が加熱された気体によって加熱されるようになり、前記の切換用加熱装置によって徐冷帯内を加熱する場合におけるランニングコストを低減できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマッフル式連続熱処理装置においては、マッフルの外側に、マッフルの内部を移動する金属ストリップの移動方向上流側から下流側に向かい、金属ストリップを加熱する加熱帯と、加熱帯により加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、徐冷帯において徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯とを設けたマッフル式連続熱処理装置において、前記の徐冷帯に切換用加熱装置を設け、前記の切換用加熱装置を制御装置により制御するようにしたため、前記の制御装置により切換用加熱装置を作動させずに、徐冷帯をそのまま徐冷帯として使用することによって、金属ストリップを加熱帯において加熱させ、加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷させ、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させることができる一方、前記の制御装置により切換用加熱装置を作動させて、前記の徐冷帯を第2加熱帯として使用することによって、金属ストリップを前記の加熱帯と第2加熱帯とにおいて加熱させ、このように加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、速やかに冷却帯において冷却させることができる。
【0017】
この結果、本発明のマッフル式連続熱処理装置においては、金属ストリップを加熱帯において加熱させ、加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷させ、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させる操作と、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、速やかに冷却帯において冷却させる操作とを簡単に切り換えることができて、各種の金属ストリップの熱処理が効率よく行えて、生産効率か大きく向上されると共に、各熱処理のために複数の設備を設ける必要がなく、設備コストも著しく低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るマッフル式連続熱処理装置において、徐冷帯に切換用加熱装置を設け、制御装置により切換用加熱装置を作動させずに、徐冷帯をそのまま徐冷帯として使用し、金属ストリップを加熱帯において加熱させ、加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷させ、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させる状態を示した部分概略断面説明図である。
図2】前記の実施形態に係るマッフル式連続熱処理装置において、制御装置により切換用加熱装置を作動させて、徐冷帯を第2加熱帯として使用し、金属ストリップを加熱帯と前記の第2加熱帯とにおいて加熱させ、このように加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、冷却帯において冷却させる状態を示した部分概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るマッフル式連続熱処理装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るマッフル式連続熱処理装置は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0020】
この実施形態に係るマッフル式連続熱処理装置においては、図1及び図2に示すように、上下方向に配置されて内部に水素ガス等の還元性ガスや窒素ガス等の処理用雰囲気ガスが収容されたマッフル10の内部を通して、金属ストリップSを下から上に搬送させるようにしている。
【0021】
そして、この実施形態に係るマッフル式連続熱処理装置においては、前記のマッフル10における金属ストリップSの移動方向上流側における下の位置に、マッフル10の外側からマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを加熱させる加熱帯20を、前記の加熱帯20よりも金属ストリップSの移動方向下流側における上の位置に、マッフル10の内部を移動する前記の加熱された金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30を、前記の徐冷帯30よりも金属ストリップSの移動方向下流側における上の位置に、徐冷された金属ストリップSを冷却させる冷却帯40を設けている。
【0022】
ここで、この実施形態において、前記の加熱帯20においては、マッフル10の外周側に所要間隔を介するようにして加熱帯断熱体21を設け、マッフル10の内部を移動する金属ストリップSを加熱させる加熱装置22として、前記の加熱帯断熱体21に複数の加熱バーナー22を設けている。
【0023】
そして、前記の各加熱バーナー22において燃焼を行い、前記の加熱帯断熱体21とマッフル10との間における加熱用空間部23内を加熱させて、加熱帯20におけるマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを間接加熱させるようにしている。なお、加熱帯20に設ける加熱装置22は前記の加熱バーナー22に限定されず、加熱帯断熱体21とマッフル10との間における加熱用空間部23内に電熱ヒーター等を設けるようにすることもできる。
【0024】
また、前記のように加熱帯20において加熱されてマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30においては、マッフル10の外周側に所要間隔を介するようにして徐冷帯断熱体31を設け、この徐冷帯断熱体31とマッフル10との間における徐冷用空間部32内に、徐冷用気体を送風機33から徐冷気体案内管34を通して案内させるようにすると共に、この徐冷気体案内管34に徐冷気体制御弁34aを設け、この徐冷気体制御弁34aを制御装置50によって制御するようにしている。
【0025】
また、この実施形態におけるマッフル式連続熱処理装置においては、前記の徐冷帯30を第2加熱帯30Aとして使用するため、前記の徐冷帯30におけるマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを加熱させる切換用加熱装置36として、徐冷帯30における前記の徐冷帯断熱体31に切換用バーナー36を設け、この切換用バーナー36において燃焼を行い、前記の徐冷帯断熱体31とマッフル10との間における徐冷用空間部32内を加熱させて、徐冷帯30におけるマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを間接加熱させるようにすると共に、前記の加熱バーナー22により加熱用空間部23内において加熱された気体を、前記の徐冷帯30における徐冷用空間部32内に案内する加熱気体案内管37を設け、この加熱気体案内管37に加熱気体制御弁37aを設けるようにし、この加熱気体制御弁37aを前記の制御装置50によって制御するようにしている。
【0026】
ここで、この実施形態におけるマッフル式連続熱処理装置において、加熱帯20において加熱されてマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを、徐冷帯30におけるマッフル10の内部において徐冷させる場合には、図1に示すように、前記の制御装置50により、前記の切換用バーナー36による燃焼を行わないようにすると共に、前記の加熱気体制御弁37aを閉じて、加熱用空間部23内における加熱された気体が前記の加熱気体案内管37を通して徐冷帯30における徐冷用空間部32内に案内されないようにする。なお、この場合には、加熱用空間部23内における加熱された気体は、排ガス管(図示せず)を通して排気させるようにする。
【0027】
そして、前記の状態で、前記の制御装置50により、徐冷気体案内管34に設けた徐冷気体制御弁34aを開けて、徐冷用気体を送風機33から徐冷気体案内管34を通して前記の徐冷用空間部32内に案内し、この徐冷用気体を前記の徐冷用空間部32内で循環させて、徐冷帯30におけるマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを徐冷させると共に、このように徐冷用空間部32内で循環されて温度が上昇した徐冷用気体を排気管35から排気させるようにする。ここで、前記の徐冷気体制御弁34a及び加熱気体制御弁37aについては、開いた状態を白抜きで、閉じた状態を黒塗りで図示した。
【0028】
また、この実施形態におけるマッフル式連続熱処理装置において、前記の徐冷帯30を第2加熱帯30Aとして使用する場合には、図2に示すように、前記の制御装置50により、前記の徐冷気体案内管34に設けた徐冷気体制御弁34aを閉じて、徐冷用気体を徐冷用空間部32内に供給させないようにする。
【0029】
そして、前記の状態で、前記の加熱気体案内管37における加熱気体制御弁37aを開けて、加熱用空間部23内における加熱された気体を、前記の加熱気体案内管37を通して第2加熱帯30A(徐冷帯30)における徐冷用空間部32内に案内すると共に、前記の切換用バーナー36において燃焼を行い、前記の徐冷用空間部32内を加熱させて、第2加熱帯30A(徐冷帯30)におけるマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを間接加熱にすると共に、金属ストリップSを間接加熱させた後の徐冷用空間部32内における気体を、排気管35から排気させるようにする。
【0030】
このように、この実施形態におけるマッフル式連続熱処理装置においては、金属ストリップSを処理用雰囲気ガスが収容されたマッフル10の内部を通して搬送させて熱処理するにあたり、図1に示すようにして、金属ストリップSを移動方向上流側における加熱帯20において加熱させた後、加熱帯20において加熱された金属ストリップSを徐冷帯30において徐冷させ、徐冷帯において徐冷された金属ストリップSを冷却帯40において冷却させる操作と、図2に示すようにして、前記の徐冷帯30を第2加熱帯30Aとして使用し、金属ストリップSを移動方向上流側における加熱帯20において加熱させた後、加熱帯20において加熱された金属ストリップSを前記の第2加熱帯30A(徐冷帯30)において続けて加熱させ、このように加熱帯20と第2加熱帯30A(徐冷帯30)とにおいて加熱された金属ストリップSを冷却帯40において急冷させる操作とを行うことができるようになる。
【0031】
この結果、この実施形態におけるマッフル式連続熱処理装置においては、金属ストリップSを処理用雰囲気ガスが収容されたマッフル10の内部を通して搬送させて熱処理するにあたり、前記の図1及び図2に示すようにして、加熱された金属ストリップSを徐冷させた後、徐冷された金属ストリップSを冷却させる操作と、加熱された金属ストリップSを徐冷させることなく、速やかに冷却させる操作とを簡単に切り換えることができ、各種の金属ストリップSを熱処理して生産する場合における生産効率が著しく向上すると共に、複数の設備を設ける必要もなく、設備コスト等も著しく低減させることができるようになる。
【符号の説明】
【0032】
10 :マッフル
20 :加熱帯
21 :加熱帯断熱体
22 :加熱バーナー(加熱装置)
23 :加熱用空間部
30 :徐冷帯
30A :第2加熱帯
31 :徐冷帯断熱体
32 :徐冷用空間部
33 :送風機
34 :徐冷気体案内管
34a :徐冷気体制御弁
35 :排気管
36 :切換用バーナー(切換用加熱装置)
37 :加熱気体案内管
37a :加熱気体制御弁
40 :冷却帯
50 :制御装置
S :金属ストリップ
【要約】
【課題】 加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷帯において徐冷し、徐冷された金属ストリップを冷却帯において冷却させる操作と、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷させることなく、速やかに冷却帯において冷却させる操作とを簡単に切り換えできるようにする。
【解決手段】 マッフル10の内部を搬送される金属ストリップSを加熱する加熱帯20と、加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯30と、徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯40とを有するマッフル式連続熱処理装置において、徐冷帯に切換用加熱装置36を設け、この切換用加熱装置を制御装置50により制御して、切換用加熱装置を作動させずに、徐冷帯をそのまま徐冷帯として使用する一方、切換用加熱装置を作動させて、徐冷帯を第2加熱帯として使用するようにした。
【選択図】 図2
図1
図2