(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】うどん用穀粉組成物、うどん、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20230417BHJP
【FI】
A23L7/109 C
(21)【出願番号】P 2018156091
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000227489
【氏名又は名称】日東富士製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】市野 広
(72)【発明者】
【氏名】羽立 只勝
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 祐介
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-149759(JP,A)
【文献】特開平06-121649(JP,A)
【文献】特開2011-109963(JP,A)
【文献】日本食品科学工学会誌,2000年,47(1),pp.17-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580 (JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(D)の全てを満たす小麦粉からなる穀粉原料を含有し、当該小麦粉以外の小麦粉を含有しないことを特徴とするうどん用穀粉組成物。
(A)原料小麦:オーストラリア・スタンダード・ホワイト
(B)マルトース価:200~250mg/10g
(C)平均粒径:55~64μm
(D)粒径10μm以下の粒子:7~10質量%
【請求項2】
さらに、前記小麦粉は下記(E)を満たす小麦粉である、請求項1に記載のうどん用穀粉組成物。
(E)粗蛋白質含量:8.5~9.5質量%
【請求項3】
前記うどんは、うどんすき、鍋焼きうどん、又は煮込みうどん用のうどんである、請求項1又は2に記載のうどん用穀粉組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のうどん用穀粉組成物を含有し、茹でられた状態で冷蔵又は冷凍されてい
て、穀粉原料として前記(A)~(D)の全てを満たす小麦粉以外の小麦粉を含有しないことを特徴とするうどん。
【請求項5】
水分含量が60~71質量%である、請求項4に記載のうどん。
【請求項6】
うどんの製造方法であって、
請求項1~3のいずれか1項に記載のうどん用穀粉組成物を用いて製麺する工程と、麺を熱湯で茹でる工程と、茹った麺を冷蔵又は冷凍する工程とを含
み、
当該うどんは、穀粉原料として前記(A)~(D)の全てを満たす小麦粉以外の小麦粉を含有しないことを特徴とするうどんの製造方法。
【請求項7】
麺を熱湯で茹でた後の麺の水分含量が60~71質量%になるように調整する、請求項6に記載のうどんの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどん、及びその製造方法、うどん用穀粉組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
うどんの食感は、適度な硬さ、いわゆる「こし」が強いものが好ましいとされている。
【0003】
このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1には、軟質小麦を原料とし、平均粒径35μm以下且つ損傷澱粉量5質量%以下である麺類用小麦粉が開示されている。
【0004】
一方で、うどんは、長時間茹で過ぎると、「こし」の強さが低下し、いわゆる伸びた状態となってしまうので、煮込みうどんやうどんすきといった、汁中で長時間加熱するようなうどんでは、歯応えや粘弾性が失われてしまったり、さらにうどんが汁中に溶け出して汁が濁ったりしてしまうという問題点があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、特許文献2には、有機酸脂肪酸エステル、イオン性高分子多糖類、カルシウム塩を含有することを特徴とする煮崩れの少ない小麦粉加工品が開示されている。また、特許文献3には湿熱処理澱粉を含有させたことを特徴とする麺類が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-159759号公報
【文献】特開2004-97181号公報
【文献】特開平10-262584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1~3の発明においても、上記課題について十分に解決されているとは言えなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどん、及びその製造方法、うどん用穀粉組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、特定の小麦粉原料を一定量以上穀粉原料として用いることで、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどんを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記(A)~(D)の全てを満たす小麦粉からなる穀粉原料を含有し、当該小麦粉以外の小麦粉を含有しないことを特徴とするうどん用穀粉組成物を提供するものである。
(A)原料小麦:オーストラリア・スタンダード・ホワイト
(B)マルトース価:200~250mg/10g
(C)平均粒径:55~64μm
(D)粒径10μm以下の粒子:7~10質量%
【0011】
本発明のうどん用殻粉組成物によれば、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどんを提供することができる。
【0013】
本発明のうどん用穀粉組成物においては、さらに、前記小麦粉は下記(E)を満たす小麦粉であることが好ましい。
(E)粗蛋白質含量:8.5~9.5質量%
【0014】
本発明のうどん用穀粉組成物においては、前記うどんは、うどんすき、鍋焼きうどん、又は煮込みうどん用のうどんであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、上記に記載のうどん用穀粉組成物を含有し、茹でられた状態で冷蔵又は冷凍されていることを特徴とするうどんを提供するものである。
【0016】
本発明のうどんによれば、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどんを提供することができる。
【0017】
本発明のうどんにおいては、水分含量が60~71質量%であることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明は、上記に記載のうどん用穀粉組成物を用いて製麺する工程と、麺を熱湯で茹でる工程と、茹った麺を冷蔵又は冷凍する工程とを含むことを特徴とするうどんの製造方法を提供するものである。
【0019】
本発明のうどんの製造方法によれば、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどんを製造することができる。
【0020】
本発明のうどんの製造方法においては、麺を熱湯で茹でた後の麺の水分含量が60~71質量%になるように調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面にはりがあり適度な硬さを保っているうどんを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のうどん用穀粉組成物には、(A)原料小麦がオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)である小麦粉を用いる。オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)を用いることで、所望の粒径及びマルトース価を有する小麦粉を得る事が出来る。一般にうどん用として使用される小麦粉としては、例えば、きたほなみ、あやひかり、さとのそら等の国産の原料が知られている。しかしながら、これら国産の原料小麦は胚乳部の物理的性質が粉状質であり、製粉工程の中で粒度が細かくなりやすく、その粒子を構成する澱粉が損傷を受けにくいので、マルトース価も高くなり難く、200mg/10g未満となり、本発明の効果を奏することができない。これに対して、ASWは、胚乳部が適度に硝子質であるために、製粉工程の中で上記国産の原料小麦ほどは細かくなり難く、澱粉質が損傷を受けやすくなり、所望のマルトース価のものが得られる。
【0023】
また、本発明のうどん用穀粉組成物には、(B)マルトース価が200~250mg/10gであり、好ましくは215~235mg/10gである小麦粉を用いる。マルトース価が上記範囲にある小麦粉を用いることで、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りがあり適度な硬さを保ち、弾力のあるうどんを得ることができる。さらに、長時間加熱しても食感の変化が少ないうどんを得ることができる。一方、マルトース価が200mg/10g未満であると、長時間加熱により、表面が茹で溶けしてしまうので、麺角が丸みを帯び表面が荒れてしまい、全体的に柔らかくなる傾向にある。また、マルトース価が250mg/10gを超えると、長時間加熱により、表面が茹で溶けしてしまうので、麺角が丸みを帯び表面が荒れてしまい柔らかくなる一方で、中心部は硬くなる傾向にある。
【0024】
ここでマルトース価とは、小麦粉中のアミラーゼによって、小麦粉の澱粉がどれだけ分解されるかを表す指標であり、マルトース価が高いと小麦粉中の損傷澱粉の割合が高く、マルトース価が低いと損傷澱粉の割合が低い。本発明においてマルトース価は、AACC(American Association of Cereal Chemists )の公定法(22-15)により測定した。
【0025】
さらに、本発明のうどん用穀粉組成物には、(C)平均粒径が55~64μmであり、好ましくは58~62μmである小麦粉を用いる。平均粒径が上記範囲にある小麦粉を用いることで、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りがあり適度な硬さを保ち、弾力のあるうどんを得ることができる。一方、平均粒径が55μm未満であると、長時間加熱により、表面が茹で溶けしてしまうので、麺角が丸みを帯び表面が荒れてしまい、全体的に柔らかくなる傾向にある。また、平均粒径が64μmを超えると、長時間加熱により、表面が茹で溶けしてしまうので、麺角が丸みを帯び表面が荒れてしまい柔らかくなる一方で、中心は硬い状態が保たれ、芯が残る傾向にある。
【0026】
本発明における小麦粉の平均粒径(体積平均粒径)は、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置などを用いて乾式で測定されたMean V(体積平均値)として求めることができる。レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置としては、例えばマイクロトラック粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社)等を用いることができる。
【0027】
本発明のうどん用穀粉用組成物は、上記(A)~(C)を満たす小麦粉を40質量%以上100質量%以下含有し、好ましくは70質量%以上含有する。上記(A)~(C)を満たす小麦粉の含量が上記範囲内であることで、長時間加熱しても食感の変化が少なく、適度な硬さを保ち、弾力のあるうどんを得ることができる。一方、含有量が40質量%未満であると、長時間加熱した場合に、弾力の経時変化が大きくなる傾向にある。
【0028】
さらに、本発明のうどん用穀粉組成物には、(D)粒径10μm以下の粒子が好ましくは7~10質量%であり、より好ましくは8~9質量%である小麦粉を用いる。粒径が上記範囲にある小麦粉を用いることで、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りがあり適度な硬さを保ち、弾力のあるうどんを得ることができる。一方、粒径10μm以下の粒子が7質量%未満であると、長時間加熱により、表面が茹で溶けしてしまうので、麺角が丸みを帯び表面が荒れて、全体的に柔らかくなってしまい、さらに粘性が弱くなる傾向にある。また、粒径10μm以下の粒子が10質量%を超えると、長時間加熱により、表面が茹で溶けしてしまうので、麺角が丸みを帯び表面が荒れてしまい柔らかくなる一方で、中心は硬い状態が保たれ、芯が残る傾向にある。
【0029】
さらに、本発明のうどん用穀粉組成物には、(E)粗蛋白質含量が好ましくは8.5~9.5質量%であり、より好ましくは8.7~9.3質量%である小麦粉を用いる。蛋白含量が上記範囲にある小麦粉を用いることで、加熱し始めから適度な硬さであり、長時間、例えば20分以上加熱したとしても、硬さに大きな変化が無く煮崩れの少ないうどんを得ることができる。
【0030】
本発明のうどん用穀粉組成物には、上記(A)~(C)、(A)~(C)に加え(D)及び/又は(E)のいずれも満たさない小麦粉を、40質量%を超えない量で、好ましくは0質量%以上20質量%以下の量で添加することができる。このような小麦粉としては、通常うどん用に用いられている小麦粉を用いることができ、例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉を単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、本発明のうどん用穀粉用組成物には、上記小麦粉の他に副原料として、うどん用に通常用いられているものを添加することができ、例えば、食塩;そば粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉、とうもろこし粉等の小麦粉以外の穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシースターチ、小麦澱粉、及びそれらの加工澱粉(アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉)等の澱粉;小麦蛋白質、大豆蛋白質、乳蛋白質、乾燥卵黄、乾燥卵白、乾燥全卵、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、増粘剤、膨張剤、乳化剤、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン等が挙げられる。
【0032】
上記副原料として、本発明のうどん用穀粉組成物には、乾燥卵白を好ましくは0.1~1.0質量%、より好ましくは0.2~0.5質量%添加することができる。上記範囲にある乾燥卵白を添加することで、麺どうしの付着が少なく(ほぐれが良い)、適度な硬さをより安定的に維持しながら長時間加熱する事が出来るうどんを得ることができる。
【0033】
本発明のうどんは、上記に記載のうどん用穀粉組成物を用いて製麺する工程と、麺を熱湯で茹でる工程と、茹った麺を冷蔵又は冷凍する工程とを含むうどんの製造方法により得ることができる。
【0034】
製麺する工程では、公知のうどんの製麺方法を採用することがでる。例えば、うどん用穀粉組成物、水、食塩等の副原料を混合した後、これらの混合物を混練して生地を形成し、この生地を圧延して所定の厚さの麺帯とし、これを麺線に切り出すことによって製麺することができる。
【0035】
麺を熱湯で茹でる工程と、茹った麺を冷蔵又は冷凍する工程も、公知のうどんに用いられる方法を採用することがでる。
【0036】
これらの工程においては、麺を熱湯で茹でた後の麺の水分含量、茹でられた状態で冷蔵又は冷凍されているうどんの水分含量が、好ましくは60~71質量%、より好ましくは65~67質量%になるように調整する。この調整は、生地に混合させる水の配合量を変えたり、茹で時間を変えたりすることでなすことができる。水分含量が上記範囲にあることで、長時間加熱しても食感の変化が少なく、適度な硬さを保ち、弾力のあるうどんを得ることができる。一方、水分含量が60質量%未満であると、長時間加熱しても中心部が生の状態で粉っぽさがあり、全体的に硬いうどんとなる傾向にある。また、水分含量が71質量%を超えると、長時間の加熱により食感が柔らかくなってしまい、コシのないうどんとなる傾向になる。
【0037】
このように冷蔵又冷凍されたうどんは、そのままの状態で、又は包装体に包装され商品とすることができる。
【0038】
市販されている通常の冷蔵又は冷凍うどんは、喫食時に包装体から取り出し、熱湯で1~2分等の短時間、温めなおすこと等で喫食可能となる。本発明のうどんも、熱湯で茹でる工程を経ていることから、このような短時間の温めなおしで喫食可能であるが、長時間の加熱でも食感の変化や茹で溶けが少ないことから、長時間加熱するようなうどんに好適である。このようなうどんとしては、煮込んだり、火にかけながら喫食するようなうどん、例えば、うどんすき鍋焼きうどん、煮込みうどん等が挙げられる。なお、うどんすきとは、通常の鍋料理のように野菜や肉・魚等の具材を出し汁に加えながら、出し汁に旨味が出たところでうどんを入れて、火にかけながら喫食するうどんの1種である。
【実施例】
【0039】
<試験例1>
マルトース価が異なる小麦粉を用いて製造したうどんを用いて、比較評価を行った。
【0040】
1.うどんの製造
表1に示す小麦粉(オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)、中力粉)に乾燥卵白0.2質量部を混合し、うどん用穀粉組成物を調製した。なお、いずれの小麦粉も、灰分は0.4質量%、粗蛋白は9.0質量%であった。
【0041】
【0042】
食塩4.3質量部を水39質量部に溶かして得られた水溶液を、上記の各うどん用穀粉組成物と共に横型一軸ミキサーに入れて脱気(-0.08mPa)しながら、15分間混練して生地を形成した。
【0043】
上記生地を、製麺ロールを用いて複合し、及び圧延して、厚さ3.2mmの麺帯にした後、5番(麺線幅:約6.0mm)の角の切刃を用いて麺線に切り出して生うどんを製造した。
【0044】
この生うどんを、水分含量が67%になるように16分間程度熱湯で茹でて、冷水に1分間晒し水切り後、得られたうどんをトレーに取り-40℃にて急速凍結して個包装し、冷凍うどんを製造した。この冷凍うどんは-18℃冷凍庫にて保管した。
【0045】
2.評価方法
上記得られた各冷凍うどん150gを熱湯で1分間茹でて、冷水に晒して水を良く切った後、火にかけた鍋の中で沸騰するめんつゆの中に、鍋の具材と一緒に入れて煮込んだ。30分煮込んだ後の、うどんの外観と食感について下記の評価基準で、パネラー10人により官能評価を行なった。
【0046】
(外観の評価基準)
5点:麺角が立ち、表面の荒れが無く、極めて良好。
4点:麺角が立ち、表面の荒れが少なく、良好。
3点:麺角が若干丸みを帯び、表面の荒れが若干認められる。
2点:麺角が丸く、表面の荒れが目立つ。
1点:全体に煮崩れがひどい。
【0047】
(食感の評価基準)
5点:表面に張りが有り、適度な硬さが有り、弾力感があり、極めて良い。
4点:表面にやや張りが有り、そこそこの硬さが有り、弾力感もあり、良い。
3点:表面から中心にかけて軟らかいが、弾力感は残っている。
2点:表面がぬるみ、軟らかい、弾力感は僅かに残っている。
1点:表面が溶けて崩れ、弱く、箸で持つと切れ易い。
【0048】
3.結果
その結果(パネラー10名の平均点)を表2に示す。表2に示すように、マルトース価が200~250mg/10gである小麦粉を用いた実施例1~3のうどんでは、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りや硬さがあり、弾力感もよいものであった。
【0049】
【0050】
<試験例2>
平均粒径が異なる小麦粉(ASW、中力粉)を用いて製造したうどんを用いて、比較評価を行った。
【0051】
1.うどんの製造
表3に示す小麦粉を用いて、試験例1と同様に冷凍うどんを製造した。なお、いずれの小麦粉も、灰分は0.4質量%、粗蛋白は9.0質量%であった。また、いずれの冷凍うどんも、水分含量は67質量%になるように調整した。
【0052】
【0053】
2.評価方法
試験例1と同様に、30分煮込んだ後の、うどんの外観と食感について官能評価を行なった。
【0054】
3.結果
その結果(パネラー10名の平均点)を表4に示す。表4に示すように、平均粒径が55~64μmである小麦粉を用いた実施例4~6のうどんでは、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りや硬さがあり、弾力感もよいものであった。
【0055】
【0056】
<試験例3>
粒径10μm以下の粒子の含量が異なる小麦粉を用いて製造したうどんを用いて、比較評価を行った。
【0057】
1.うどんの製造
試験例1で用いた中力粉Bを空気分級により、粒径10μm以下の粒子の含量が表5に示す含量になるように調製した小麦粉を用いて、試験例1と同様に冷凍うどんを製造した。なお、いずれの冷凍うどんも、水分含量は67質量%になるように調整した。
【0058】
【0059】
2.評価方法
試験例1と同様に、30分煮込んだ後の、うどんの外観と食感について官能評価を行なった。
【0060】
3.結果
その結果(パネラー10名の平均点)を表6に示す。表6に示すように、粒径10μm以下の粒子が5.5~11質量%である小麦粉を用いた実施例7~11のうどんでは、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りや硬さがあり、弾力感もよいものであった。粒径10μm以下の粒子が7.0~10質量%である小麦粉を用いた実施例7~9のうどんでは、さらに、外観や食感の評価が高いものであった。
【0061】
【0062】
<試験例4>
乾燥卵白の添加量が異なるうどん用穀粉組成物を用いて製造したうどんを用いて、比較評価を行った。
【0063】
1.うどんの製造
試験例1で用いた中力粉Bに、表7に示す量の乾燥卵白を添加し、うどん用穀粉組成物を調製した。各うどん用穀粉組成物を用いて、試験例1と同様に冷凍うどんを製造した。なお、いずれの冷凍うどんも、水分含量は67質量%に調整した。
【0064】
【0065】
2.評価方法
試験例1と同様に、30分煮込んだ後の、うどんの外観と食感について官能評価を行なった。
【0066】
3.結果
その結果(パネラー10名の平均点)を表8に示す。表8に示すように、乾燥卵白の含量が0.1~1.0質量%である実施例12~14のうどんでは、長時間加熱しても、麺の角が立っていて表面の荒れが少なく、また、表面に張りや硬さがあり、弾力感もよいものであった。また、長時間加熱しても、麺どうしの付着が少なく(ほぐれが良い)、適度な硬さをより安定的に維持することができた。
【0067】