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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】細胞培養器
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230417BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20230417BHJP
   C12M 1/08 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M3/00 B
C12M1/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018196287
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020061979
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】518369752
【氏名又は名称】ルン-クァン リュ
【氏名又は名称原語表記】Lun-Kuang Liu
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ルン-クァン リュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン-チン チェン
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-174828(JP,A)
【文献】特表2013-523086(JP,A)
【文献】特開2010-252753(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106566772(CN,A)
【文献】台湾特許公告第201713765(TW,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
Google/Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体、第1の箱蓋、第2の箱蓋及び電気制御ユニットを備えた細胞培養器であって、
前記箱本体は、内部空間と、前記内部空間上に位置して気密状態にある冷蔵室及び培養室と、を有し、前記冷蔵室には、培養液が収容され、前記培養室内には、少なくとも1つの培養袋が配設され、
前記第1の箱蓋は、前記培養室上を気密に覆い、
前記第2の箱蓋は、前記冷蔵室上を気密に覆い、
前記電気制御ユニットは、マイクロプロセッサと、電源モジュールと、前記マイクロプロセッサと前記電源モジュールとの間に接続されたADコンバータモジュールと、前記培養室の温度を制御する加熱モジュールと、前記冷蔵室に冷熱源を供給する冷却モジュールと、蠕動ポンプモジュールと、流量検出モジュールと、前記培養室へ二酸化炭素を供給する二酸化炭素検出モジュールと、前記第1の箱蓋表面から露出された設定表示モジュールと、を有し、前記蠕動ポンプモジュールは、1つ以上の搬送管により前記培養液と前記培養袋との間に無菌接続され、前記流量検出モジュールは、前記搬送管に直列接続され、前記電源モジュールにより給電し、前記設定表示モジュールを介して細胞培養の条件を予め設定し、前記マイクロプロセッサにより演算制御され、前記流量検出モジュールにより流体流量を検出し、前記蠕動ポンプモジュールは、前記培養液を前記培養袋中に吸引し、前記流量検出モジュールは、前記マイクロプロセッサに接続されるとともに、流量計及び赤外線受信器を有し、前記流量計は、前記蠕動ポンプモジュールに接続された入口端と、前記培養袋に接続された出口端と、ファンと、を有し、前記赤外線受信器は、前記ファンに対向するように設けられた発射部及び受信部を有することを特徴とする細胞培養器。
【請求項2】
前記箱本体は、前記冷蔵室及び前記培養室の一側に位置する蠕動ポンプモジュールチャンバーを有し、
前記蠕動ポンプモジュールは、前記蠕動ポンプモジュールチャンバー内に配設され、
前記第2の箱蓋は、前記冷蔵室及び前記蠕動ポンプモジュールチャンバー上を同時に覆い、
前記冷蔵室及び前記蠕動ポンプモジュールチャンバーの頂部周縁には、シールがそれぞれ設けられ、前記第2の箱蓋が前記冷蔵室及び前記蠕動ポンプモジュールチャンバーを覆うと、各前記シールが密着されて気密状態となることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項3】
前記箱本体は、第1の貫通孔及び第2の貫通孔を有し、
前記第1の貫通孔は、前記冷蔵室と前記蠕動ポンプモジュールチャンバーとに連通し、
前記第2の貫通孔は、前記蠕動ポンプモジュールチャンバーと前記培養室とに連通し、
前記冷蔵室から外方へ延びた前記搬送管が前記第1の貫通孔に挿通され、前記蠕動ポンプモジュールと連結して前記第2の貫通孔に挿通され、前記培養室内に接続されることを特徴とする請求項2に記載の細胞培養器。
【請求項4】
複数の防護スリーブをさらに備え、
前記防護スリーブは、各前記搬送管の外側にそれぞれ嵌設されるとともに、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔にそれぞれ固定され、各前記搬送管の前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔の一部を介し、前記防護スリーブが前記箱本体の各前記貫通孔に挿通され、
各前記防護スリーブはシリコーン材料からなることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養器。
【請求項5】
前記培養室内には、前記培養袋が設けられる中空状のプラットフォームと、前記プラットフォームの下方に位置する水トレイと、が配設されることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項6】
前記培養室と前記第1の箱蓋との間には、前記培養室上に気密状態に設けられた透明ガラスが配設され、
前記培養室の頂部周縁にはシールが設けられ、前記透明ガラスにより前記培養室を覆うと、前記シールが密着されて気密状態となることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項7】
前記第1の箱蓋は、複数の枢着部材を介して前記箱本体に枢着され、
前記透明ガラスは、前記枢着部材を介して前記箱本体に単独で枢着され、前記透明ガラス、前記第1の箱蓋はそれぞれ単独で引き起こし得ることを特徴とする請求項6に記載の細胞培養器。
【請求項8】
前記冷却モジュールは、前記箱本体の外側壁上に配設されるとともに、少なくとも1つの冷却チップと、前記冷蔵室に対応した少なくとも1つのチルブロックと、少なくとも1組の放熱片と、を有し、前記冷却モジュールは、前記チルブロックを介して前記冷却チップの冷熱源を冷蔵室へ伝えることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項9】
前記加熱モジュールは、前記電源モジュールから電力が供給され、前記培養室の外壁面上に間隔をあけて取り付けられるとともに、複数の抵抗式加熱片と、各前記加熱片上に貼設された複数の銅片と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項10】
前記二酸化炭素検出モジュールは、前記箱本体の外壁面上に設けられた吸気弁及び排気弁と、前記培養室の壁面に形成された第1の通気孔及び第2の通気孔と、前記培養室内に配設された二酸化炭素検出器及びブロー機構と、を含み、
前記吸気弁は、管路を介して前記第1の通気孔と接続され、外部から二酸化炭素を導入し、
前記排気弁は、管路を介して前記第2の通気孔と接続されて圧力を解放し、
前記ブロー機構は、前記培養室の内部空気を循環させ、
前記二酸化炭素検出器は、前記マイクロプロセッサと電気的に接続され、前記培養室内の二酸化炭素濃度を検出することを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項11】
前記マイクロプロセッサと電気的に接続された温度検出モジュールをさらに備え、
前記温度検出モジュールは、複数のセンサーを含み、
各前記センサーは、前記培養室の中央及び外側に配設され、前記培養室の室内外の温度を感知することを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項12】
複数の枢着部材と、第1の箱蓋、第2の箱蓋及び箱本体に取付けられた複数のロックセットと、をさらに備え、
前記第1の箱蓋及び前記第2の箱蓋は、各前記枢着部材を介して前記箱本体に可動可能に枢着され、
前記第1の箱蓋及び前記第2の箱蓋が閉じた状態で、各前記ロックセットにより前記第1の箱蓋及び前記第2の箱蓋が固定位置にロックされることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【請求項13】
前記冷蔵室と、前記蠕動ポンプモジュールチャンバーと、前記培養室との間の内部空間内に充填される断熱材料をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の細胞培養器。
【請求項14】
前記冷蔵室の外側壁上に貼設される真空断熱板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で使い易い細胞培養器に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジーの発展に伴い、自己細胞の培養は近年、非常に注目されている。培養細胞を無菌化するために、一般には無菌細胞培養チャンバで行うが、細胞培養の環境に対する要求は非常に厳しく、何れか1つの条件が規格を満たさない場合、培養効果が大幅に下がり、培養が失敗する虞があった。
【0003】
大型の細胞培養室の装置は優良であり高価なため、一地区に設置される無菌細胞培養室は多くなく、一般に地域病院、生化学検査機関又は大型の検査機関にしかこのような設備はなかった。そのため、細胞培養を行う必要がある場合、わざわざ大きな病院まで足を運ばなければならず、不便である上、予め予約する必要もあったため、日数が多くかかって手間がかかり、非常に不便であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、外観全体が小型で軽量なため移動し易く、組み立てて無菌の閉止環境が得られ、その後、低規格の環境に移動させ、自動定時定量の自動培養細胞を実現することができ、大きな無菌室及び手作業も必要無いため、高価な工場施設及び設備コストも必要無く、手作業で培養して汚染が生じるリスクを減らし、利便性が高い細胞培養器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、箱本体、第1の箱蓋、第2の箱蓋及び電気制御ユニットを備えた細胞培養器であって、前記箱本体は、内部空間と、前記内部空間上に位置して気密状態にある冷蔵室及び培養室と、を有し、前記冷蔵室には、培養液が収容され、前記培養室内には、少なくとも1つの培養袋が配設され、前記第1の箱蓋は、前記培養室上を気密に覆い、前記第2の箱蓋は、前記冷蔵室上を気密に覆い、前記電気制御ユニットは、マイクロプロセッサと、電源モジュールと、前記マイクロプロセッサと前記電源モジュールとの間に接続されたADコンバータモジュールと、前記培養室の温度を制御する加熱モジュールと、前記冷蔵室に冷熱源を供給する冷却モジュールと、蠕動ポンプモジュールと、流量検出モジュールと、前記培養室へ二酸化炭素を供給する二酸化炭素検出モジュールと、前記第1の箱蓋表面から露出された設定表示モジュールと、を有し、前記蠕動ポンプモジュールは、1つ以上の搬送管により前記培養液と前記培養袋との間に無菌接続され、前記流量検出モジュールは、前記搬送管に直列接続され、前記電源モジュールにより給電し、前記設定表示モジュールを介して細胞培養の条件を予め設定し、前記マイクロプロセッサにより演算制御され、前記流量検出モジュールにより流体流量を検出し、前記蠕動ポンプモジュールは、前記培養液を前記培養袋中に吸引することを特徴とする細胞培養器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る細胞培養器を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る細胞培養器の別の角度からの斜視図である。
図3図3は、冷蔵室、蠕動ポンプモジュールチャンバー、培養室の間に断熱材が充填された細胞培養器を示す上面図である。
図4図4は、細胞培養器を示す断面図である。
図5図5は、細胞培養器を示す別の断面図である。
図6図6は、培養室及び二酸化炭素検出モジュールを示す斜視図である。
図7図7は、細胞培養器を示す底面図である。
図8図8は、電気制御ユニットの回路ブロック図である。
図9図9は、流量計及び赤外線受信器を示す分解斜視図である。
図10図10は、流量検出モジュールを第2の貫通孔に設置した状態を示す組立断面図である。
図11図11は、培養液容器と細胞培養容器とが無菌接続された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0008】
図11を参照する。図11に示すように、本発明の一実施形態に係る細胞培養器は、培養液容器100及び培養袋110を利用し、予め無菌操作台上で搬送管120を介して嵌着させ、無菌濾過リング130の補助により無菌閉システムを完成させる。以上の操作により、本発明は、冷蔵・保温の液体を一体化した小型移動式の閉システムへ送り、細胞培養の成功率を大幅に高めることができる。培養液容器100内には、培養液140が充填される。
【0009】
図1を参照する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る細胞培養器は、少なくとも箱本体10、第1の箱蓋20、第2の箱蓋30及び電気制御ユニット40から構成されてなる。
【0010】
図4及び図5を参照する。図4及び図5に示すように、本実施形態の箱本体10は、内部空間11と、内部空間11上に位置する冷蔵室12と、気密状態にある培養室13と、を有する。冷蔵室12には、培養液容器100が収容される。培養室13内には、少なくとも1つの培養袋110が配設される。
【0011】
第1の箱蓋20は、培養室13上を気密に覆う。第2の箱蓋30は、冷蔵室12上を気密に覆う。
【0012】
図5図8を参照する。図5図8に示すように、電気制御ユニット40は、マイクロプロセッサ41と、電源モジュール42と、マイクロプロセッサ41と電源モジュール42との間に接続されたADコンバータモジュール43と、培養室13の温度を制御する加熱モジュール44と、冷蔵室12に冷熱源を供給する冷却モジュール45と、ステッピングモータ461を有する蠕動ポンプモジュール46と、培養室13へ二酸化炭素を供給する二酸化炭素検出モジュール47と、流量検出モジュール48と、第1の箱蓋20表面から露出された設定表示モジュール480と、を有する。マイクロプロセッサ41、電源モジュール42及びADコンバータモジュール43は、箱本体10の内部空間11に設置される。蠕動ポンプモジュール46は、複数の搬送管120により培養液容器100と培養袋110との間に無菌接続される。流量検出モジュール48は、搬送管120上に直列接続され、電源モジュール42により給電し、設定表示モジュール480を介して細胞培養条件が予め設定され、マイクロプロセッサ41により演算制御され、流量検出モジュール48により流体流量を検出し、蠕動ポンプモジュール46は、ステッピングモータ461により培養液140を培養袋110中に吸引する。
【0013】
図5に示すように、冷却モジュール45は、箱本体10の外側壁上に設置されるとともに、2つの冷却チップ451と、冷蔵室12に対応した2つのチルブロック452と、2組の放熱片453と、を有する。冷却モジュール45は、チルブロック452を介して冷却チップ451の冷熱源を冷蔵室12へ伝え、マイクロプロセッサ41により制御し、冷蔵室12の温度を4~6℃に維持することが好ましい。
【0014】
箱本体10は、冷蔵室12及び培養室13の一側に位置する蠕動ポンプモジュールチャンバー14を有する。蠕動ポンプモジュール46は、蠕動ポンプモジュールチャンバー14内に配設される。第2の箱蓋30は、冷蔵室12及び蠕動ポンプモジュールチャンバー14上を同時に覆う。冷蔵室12及び蠕動ポンプモジュールチャンバー14の頂部周縁には、シール15,16がそれぞれ設けられ、第2の箱蓋30が冷蔵室12及び蠕動ポンプモジュールチャンバー14を覆うと、各シール15,16が密着されて気密状態となる。図4に示すように、培養室13と第1の箱蓋20との間には透明ガラス70が設けられる。培養室13の頂部周縁にはシール17が設けられ、透明ガラス70が培養室13を覆うと、シール17が密着されて気密状態となり、細胞を都合よく培養することができる。
【0015】
図3を参照する。図3に示すように、細胞培養器は、断熱材料80をさらに含んでもよい。断熱材料80は、冷蔵室12と、蠕動ポンプモジュールチャンバー14と、培養室13との間の内部空間19内に充填される。断熱材料80はポリエチレン(PE)であり、前述した3つの槽室の断熱作用として用いる。また、冷蔵室12と培養室13との間には、1層の真空断熱板90を増設させてもよい。真空断熱板90は、冷蔵室12の外側壁上に貼設される。真空断熱板(Vacuum Insulation Panel)90は、真空保護表層内に充填する心材であり、真空排気後にヒートシールを行って板材に成形する。それは空気の対流伝熱を効果的に防ぐことができるため、冷蔵室12の低温が培養室13の熱温度に影響を与えることを防ぐ。
【0016】
図1及び図4を参照する。図1及び図4に示すように、細胞培養器は、複数の枢着部材50,51と、箱蓋20,30及び箱本体10に取付けられた複数のロックセット60と、をさらに備える。第1の箱蓋20及び第2の箱蓋30は、各枢着部材50を介して箱本体10に可動可能に枢着され、第1の箱蓋20及び第2の箱蓋30により箱体の開閉を行う。透明ガラス70は、枢着部材51を介して箱本体10に単独で枢着され、透明ガラス70、第1の箱蓋20は、それぞれ単独で引き起こし得る。箱蓋20,30が閉じた状態で、各ロックセット60により箱蓋20,30が固定位置にロックされる。
【0017】
図2を参照する。図2に示すように、箱本体10は、第1の貫通孔101、第2の貫通孔102及び複数の防護スリーブ103を有する。第1の貫通孔101は、冷蔵室12と蠕動ポンプモジュールチャンバー14とに連通する。第2の貫通孔102は、蠕動ポンプモジュールチャンバー14と培養室13とに連通し、冷蔵室12から外方へ延びた搬送管120が第1の貫通孔101に挿通され、蠕動ポンプモジュール46と連結して第2の貫通孔102に挿通され、培養室13内に接続される。
【0018】
細胞を培養する前に、予め培養液容器100、培養袋110、防護スリーブ103及び搬送管120を無菌環境下で無菌組立を行ってから、培養液容器100を冷蔵室12に設置して温度を4~6℃に維持して保冷を行い、搬送管120と蠕動ポンプモジュール46とを結合し、蠕動ポンプモジュールチャンバー14に収容し、培養袋110を培養室13に設置し、各防護スリーブ103を貫通孔101,102上にそれぞれ固定し、貫通孔101,102に挿通された各搬送管120の一部を、防護スリーブ103により箱本体10の各貫通孔に挿通させる。本実施形態において、各防護スリーブ103は、シリコーン材料からなることが好ましく、それは搬送管120に密着され、管路を固定して異なる槽室を隔離する作用を有し、温度とガスとが干渉することを防ぐ。最終的に、第1の箱蓋20及び第2の箱蓋30は、冷蔵室12、蠕動ポンプモジュールチャンバー14及び培養室13をそれぞれ気密に覆うとともに、設定表示モジュール480をタッチして細胞を培養する時間、ポンプの搬送量、温度、湿度などを設定し、後続の細胞培養作業を行うことができる。
【0019】
図2及び図4を参照する。図2及び図4に示すように、培養室13内には、培養袋110を配設する中空状のプラットフォーム131と、プラットフォーム131の下方に位置する水トレイ132と、が設けられる。プラットフォーム131は、中空状に設置されるが、その目的は水トレイ132と連通させるためである。細胞を培養する過程で、水トレイ132内には、無菌水溶液が収容され、培養室13を一定の飽和湿度に制御する。
【0020】
図4及び図6を参照する。図4及び図6に示すように、二酸化炭素検出モジュール47は、箱本体10の外壁面上に設けられた吸気弁471及び排気弁472と、培養室13の壁面に形成された第1の通気孔473及び第2の通気孔474と、培養室13内に配設された二酸化炭素検出器475及びブロー機構476と、を含む。吸気弁471は、一方の管路477を介して第1の通気孔473と接続され、外部から二酸化炭素を導入する。排気弁472は、他方の管路477を介して第2の通気孔474と接続されて圧力を解放する。ブロー機構476は、培養室13の内部空気を循環させる。二酸化炭素検出器475は、マイクロプロセッサ41と電気的に接続され、培養室13内の二酸化炭素濃度を検出し、二酸化炭素濃度を所定パーセントに制御する。本実施形態のブロー機構476は、ファン又はブロアである。
【0021】
加熱モジュール44は、電源モジュール42から電力が供給され、培養室13の外壁面上に間隔をあけて取り付けられるとともに、複数の加熱片441と、各加熱片441上に貼設された複数の銅片442と、から構成される。
【0022】
図8図10を参照する。図8図10に示すように、流量検出モジュール48は、マイクロプロセッサ41に接続されるとともに、流量計481及び赤外線受信器482を含む。流量計481は、透明ケース483と、蠕動ポンプモジュール46に接続された入口端484と、培養液140に接続された出口端485と、透明ケース483の中央部に設けられたファン486と、を有する。赤外線受信器482は、ファン486に対向するように設けられた発射部487及び受信部488を有する。流量計481が第2の貫通孔102中に設置され、赤外線受信器482が第2の貫通孔102の底部に嵌入されると、発射部487及び受信部488が流量計481のファン486に対向し、ファン486が旋回したときにファン486により反射された光線が受信部488に達し、ファン486の回転数を得て、ファン486の隣り合う羽根4861の間隔が一致するため、2つの羽根4861間の空間4862により、収容可能な液体容量(cc)を算出することができる。搬送管120により培養液を搬送する際、赤外線受信器482は、流量計481の透明窓を介してファン486の回転数を検出し、各羽根4861間の空間4862の液体容量と、ファン486の回転数とを得てから、マイクロプロセッサ41へ情報を返送して演算し、培養袋110へ搬送する培養液140の供給量を得て、搬送流量を正確に制御することができる。また、培養液140の搬送量は、設定表示モジュール480の表示パネルによりいつでも知ることができる。
【0023】
電気制御ユニット40は、マイクロプロセッサ41と電気的に接続された温度検出モジュール49を含む。温度検出モジュール49は、複数のセンサー491を含む。各センサー491は、培養室13の中央及び外側に設置され、培養室13の室内外の温度を感知するために用いる。本実施形態は、各センサー491により培養室13の室内外の温度を感知し、培養室13が所定の温度となるまで制御し、もし温度が所望の温度に達成しない場合、マイクロプロセッサ41により自動制御し、加熱モジュール44をオンして加熱し、細胞培養に必要な環境温度を維持する。
【0024】
図2及び図8を参照する。図2及び図8に示すように、細胞培養器で細胞培養を行う際、電気制御ユニット40により制御を行い、電源モジュール42により必要な電力を供給し、設定表示モジュール480により所望の数値を設定し、細胞培養作業に進むと、マイクロプロセッサ41により演算処理し、二酸化炭素検出モジュール47が供給する二酸化炭素の弁により吸引・排出を行い、培養室13内の二酸化炭素濃度を所定パーセンテージに制御し、加熱モジュール44により加熱し、培養室13内の温度を所定温度に制御し、冷却モジュール45により冷熱源を供給し、冷蔵室12の温度を所定の冷蔵温度に維持し、温度検出モジュール49により感知し、一旦温度が外界の影響を受けて変化すると、マイクロプロセッサ41が随時、調整・修正を行い、培養の環境及び条件を確保することができ、培養液140の一部を補充し、マイクロプロセッサ41から信号が出力され、ADコンバータモジュール43により信号を変換し、ステッピングモータ461の回転数を変化させて搬送管120の管径と組み合わせ、蠕動方式で培養袋110へ培養液140を定量送り込み、設定時間に達すると、バッチ計量の培養作業が完了する。
【0025】
図1に示すように、箱本体10は、複数のハンドル18をさらに含んでもよい。各ハンドル18は、携行したり運搬したりするのを容易にし、箱蓋を容易に引き上げることができるように、箱本体10の両側と、第1の箱蓋20及び第2の箱蓋30とにそれぞれ取り付けられる。
【0026】
上述したことから分かるように、本発明の細胞培養器は、外観全体が小型で軽量なため携行し易く、色々な場所へ運搬して細胞培養作業を行うことが容易であり、大型の細胞培養室を必ずしも使用しなくともよいため、交通が不便であったり予め予約しなければならなかったりするなどの面倒な手間もない。また、細胞培養の循環の組立が完了すると、無菌の閉止環境が得られ、その後、低規格の環境に移動させて自動定時定量の自動培養細胞が実現でき、無菌室及び手作業が必要無い上、高価な工場施設及び設備コストも必要無く、手作業で培養して汚染が生じるリスクを減らし、利便性が高い。
【0027】
上述したことから分かるように、本発明の細胞培養器は、以下(1)~(6)の長所を有する。
(1)設定表示モジュール480が第1の箱蓋20の表面に設置されているため、操作する際、液晶表示装置(LCD)で直接、所望の設定値に設定するだけで容易に使用することができる。
(2)第1の箱蓋20及び透明ガラス70を箱本体10に独立して枢着させ、第1の箱蓋20を直接引き起こし、透明ガラス70を介して培養室13内を見ると、培養状況を観察することができる上、透明ガラス70をシール17に押付けて培養室13の気密性が維持されるため、培養環境をさらに安定させることができる。
(3)抵抗式の加熱片441により加熱し、マイクロプロセッサ41を介して各センサー491を組み合わせて感知制御するため、培養室13の温度を正確に制御し、所定温度に維持することができる上、温度が高すぎて制御が困難である問題点があった。
(4)ステッピングモータ461により蠕動式で培養液140を供給し、供給量を正確にすることができる。
(5)搬送管120を冷蔵室12から蠕動ポンプモジュールチャンバー14に挿通させ、蠕動ポンプモジュールチャンバー14から培養室13に挿通させると、シリコーン材料からなる防護スリーブ103により覆われるため、各槽室が異なる温度が干渉することを防ぎ、空気を隔離する機能を有する。
(6)流量検出モジュール48を介して蠕動ポンプモジュール46から培養液140中央の搬送管120上に直列接続し、培養液の送出量を制御し、各羽根4861の間の空間4862の液体容量及びファン486の回転数により、培養液140が培養袋110へ搬送される量を正確に得て、流量を正確に制御する。
【符号の説明】
【0028】
10 箱本体
11 内部空間
12 冷蔵室
13 培養室
14 蠕動ポンプモジュールチャンバー
15 シール
16 シール
17 シール
18 ハンドル
19 内部空間
20 第1の箱蓋
30 第2の箱蓋
40 電気制御ユニット
41 マイクロプロセッサ
42 電源モジュール
43 ADコンバータモジュール
44 加熱モジュール
45 冷却モジュール
46 蠕動ポンプモジュール
47 二酸化炭素検出モジュール
48 流量検出モジュール
49 温度検出モジュール
50 枢着部材
51 枢着部材
60 ロックセット
70 透明ガラス
80 断熱材料
90 真空断熱板
100 培養液容器
101 第1の貫通孔
102 第2の貫通孔
103 防護スリーブ
110 培養袋
120 搬送管
130 無菌濾過リング
131 プラットフォーム
132 水トレイ
140 培養液
441 加熱片
442 銅片
451 冷却チップ
452 チルブロック
453 放熱片
461 ステッピングモータ
471 吸気弁
472 排気弁
473 第1の通気孔
474 第2の通気孔
475 二酸化炭素検出器
476 ブロー機構
477 管路
480 設定表示モジュール
481 流量計
482 赤外線受信器
483 透明ケース
484 入口端
485 出口端
486 ファン
487 発射部
488 受信部
491 センサー
4861 羽根
4862 空間
図1
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