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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】両極RFカフを有する吸引器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230417BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M27/00
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018202610
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2019080923
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】15/797,091
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェットミア・パルシ
(72)【発明者】
【氏名】イツハク・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・エフ・サラザール
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0278854(US,A1)
【文献】特開2004-261581(JP,A)
【文献】特開2016-195852(JP,A)
【文献】米国特許第05454809(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された細長い本体と、
(b)前記細長い本体の外部の周りに周方向に間隔をおいて配置された複数の矩形の電極であって、組織を封止するために第1の両極RFエネルギーを前記組織に送達するように構成された矩形の電極と、
(c)前記細長い本体の外部の周りに長手方向に間隔をおいて配置された複数のリング形状の電極であって、前記組織を封止するために第2の両極RFエネルギーを前記組織に送達するように構成されたリング形状の電極と、を含む外科用器具。
【請求項2】
前記細長い本体は剛性である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記細長い本体は、内腔を画定するシャフトを含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記シャフトは直線部と屈曲部とを含む、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記外科用器具は更にグリップ部を含み、前記シャフトは前記グリップ部から遠位に延びる、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記外科用器具の近位端部が吸引源と動作可能に連結されるように構成され、前記外科用器具は、前記吸引源によって提供される吸引によって前記内腔を通して流体を近位側に引き込むように動作可能である、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記外科用器具は、吸引によって前記外科用器具の遠位端部を通して近位側に流体を引き込み、同時に、前記組織を封止するために前記矩形の電極及び前記リング形状の電極を介して両極RFエネルギーを前記組織に送達するように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記矩形の電極及び前記リング形状の電極前記細長い本体の遠位端部に配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記矩形の電極は周方向に交互に極性を替えて配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記リング形状の電極は長手方向に交互に極性を替えて配置されている、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記矩形の電極は、第1の極性を有する第1の組の矩形の電極と第2の極性を有する第2の組の矩形の電極とを含み、前記第1の組の矩形の電極は前記第2の組の矩形の電極から電気的に分離されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記リング形状の電極は、前記第1の極性を有する第1の組のリング形状の電極と前記第2の極性を有する第2の組のリング形状の電極とを含み、前記第1の組のリング形状の電極は前記第2の組のリング形状の電極から電気的に分離されている、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記第1の組の矩形の電極は第1の電気リードと電気的に結合され、前記第2の組の矩形の電極は第2の電気リードと電気的に結合され、前記第1及び第2の電気リードは電源と電気的に結合するように構成されている、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記矩形の電極及び前記リング形状の電極は、前記細長い本体を包囲するカフによって提供されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記カフは前記細長い本体の遠位端部に配置されている、請求項14に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記矩形の電極は少なくとも4つの電極を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項17】
外科用システムであって、
(a)請求項1に記載の外科用器具であって、内腔を含む外科用器具と、
(b)前記外科用器具に動作可能に結合された吸引源であって、前記内腔を通して近位側に流体を引き込むために前記外科用器具に吸引を適用するように動作可能な吸引源と、
(c)前記外科用器具に動作可能に結合された電源であって、前記組織を封止するために両極RFエネルギーによって前記矩形の電極及び前記リング形状の電極に通電するように動作可能な電源と、を含む外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電気外科用器具は組織を封止するために電気エネルギーを利用し、両極又は単極動作用に構成可能な遠位に設けられたエンドエフェクタを一般に含む。両極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及びリターン電極によって組織を通して与えられる。単極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及び患者の身体上に別個に位置するリターン電極(例えば、接地パッド)によって組織を通して与えられる。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成する場合があり、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用な場合がある。いくつかの電気外科用装置のエンドエフェクタはまた、組織を横切するために組織及び電極に対して可動である切断部材を含んでいてもよい。
【0002】
電気外科用デバイスによって印加される電気エネルギーを、器具と結合する発電機によって器具へと伝達することができる。電気エネルギーは無線周波数(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。無線周波数エネルギーは一般的に、略300キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲である。使用中、電気外科用デバイスは組織を通して低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これによってイオン撹拌又は摩擦、実際には抵抗加熱が生じ、その結果、組織の温度が増加する。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が形成されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高度な正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形しながら、同時に血管を封止するために有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成され、かつ熱に接触した際に収縮する結合組織に対して特に良好に作用する。
【0003】
RF電気外科用デバイスの一例は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)によるENSEAL(登録商標)Tissue Sealing Deviceである。電気外科用デバイス及び関連する概念の更なる実施例が、以下の文献に開示されている。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年12月31日付与の「Electrosurgical Systems and Techniques for Sealing Tissue」と題された米国特許第6,500,176号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年9月26日付与の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,112,201号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年10月24日付与の「Electrosurgical Working End for Controlled Energy Delivery」と題された米国特許第7,125,409号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月30日付与の「Electrosurgical Probe and Method of Use」と題された米国特許第7,169,146号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月6日付与の「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」と題された米国特許第7,186,253号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月13日付与の「Electrosurgical Instrument」と題された米国特許第7,189,233号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年5月22日付与の「Surgical Sealing Surfaces and Methods of Use」と題された米国特許第7,220,951号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月18日付与の「Polymer Compositions Exhibiting a PTC Property and Methods of Fabrication」と題された米国特許第7,309,849号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月25日付与の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,311,709号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月8日付与の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,354,440号;その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年6月3日付与の「Electrosurgical Instrument」という名称の米国特許第7,381,209号。
【0004】
電気外科用デバイス及び関連する概念の追加の例が、以下の文献に開示されている。米国特許第8,939,974号、発明の名称「Surgical Instrument Comprising First and Second Drive Systems Actuatable by a Common Trigger Mechanism」(2015年1月27日付与)。この文献の開示は参照により本明細書に組み込まれている;その開示が、本明細書に参照により組み込まれる、2015年10月20日付与の「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」という名称の米国特許第9,161,803号;米国特許出願公開第2012/0078243号、発明の名称「Control Features for Articulating Surgical Device」(2012年3月29日公開)。この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている;米国特許第9,402,682号、発明の名称「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」(2016年8月2日に付与)。この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている;その開示が、本明細書に参照により組み込まれる、2015年7月28日付与の「Surgical Instrument with Multi-Phase Trigger Bias」という名称の米国特許第9,089,327号;米国特許第9,545,253号、発明の名称「Surgical Instrument with Contained Dual Helix Actuator Assembly」(2017年1月17日付与)、この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている;及び米国特許第9,572,622号、発明の名称「Bipolar Electrosurgical Features for Targeted Hemostasis」(2017年2月21日に付与)。この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている。
【0005】
種々の外科用器具が作製及び使用されているが、本発明者(ら)に先だって本明細書において説明されるような発明を作製又は使用した者はいないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に組み込まれると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【0007】
図1】その遠位端部にRF電極が配置された例示的な外科用器具の斜視図であり、概略的に吸引源及び電源が示されている図である。
図2図1の外科用器具の部分側面断面図であり、器具の内腔を通る流体の流れを示す図である。
図3図1の外科用器具の遠位端部の拡大斜視図である。
図4A】副鼻腔の構造を示している、患者頭部の一部の左矢状断面図である。
図4B図4Aの患者頭部の左矢状断面図の拡大図であり、篩骨胞の壁に形成された開口を介して図1の外科用器具の遠位端部が挿入されていることを示す図である。
【0008】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明には、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる、かつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0010】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、遠位端部を有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近く配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の遠位端部により近く配置され、外科医からより離れた要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないと理解されよう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0011】
本明細書で使用されている任意の数値や範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその所望の目的に沿って機能することを可能とするような好適な寸法の許容誤差を示すものである。
【0012】
I.例示的な外科用器具システム
図1は、手術部位において組織を封止するための吸引及び両極RFエネルギーを提供するように構成された外科用器具(12)を含む、例示的な外科用器具システム(10)を示す。概略的に示されるように、外科用システム(10)は更に、吸引導管(16)を介して外科用器具(12)と流体的に結合された吸引源(14)と、ワイヤ(20)を介して外科用器具(12)と電気的に結合された発電機(18)とを含む。吸引源(14)は、当該技術分野で公知の構成部品の中で真空ポンプ及び流体リザーバを含んでいてもよく、流体(例えば、粘液、血液等)及び/又は破片(例えば、組織、骨片等)を、外科用器具(12)を介して手術部位から近位側に引き込むのに十分な吸引をもたらすように構成されている。発電機(18)は、手術部位の組織を封止するために両極RFエネルギーによって外科用器具(12)のRF電極を作動させるように構成されている。これについては以下でより詳細に説明する。
【0013】
A.RFカフを有する例示的な外科用器具
図1、2に示すように、本例の外科用器具(12)は、カニューレシャフト(22)の形態の細長い本体と、カニューレシャフト(22)の近位端部に、カニューレシャフト(22)がグリップ部(24)から遠位に延びるように配置されたグリップ部(24)とを含む。カニューレシャフト(22)は、開口した遠位端部(26)と、グリップ部(24)の直ぐ遠位側に形成された屈曲領域(28)とを有する。屈曲領域(28)は、グリップ部(24)を把持した操作者による患者への遠位端部(26)の挿入を促すように選択された屈曲角を規定する。提供し得る様々な好適な屈曲角が本明細書の教示を鑑みることで当業者には明らかとなろう。本例の場合、カニューレシャフト(22)は剛性構造によって形成されていて、カニューレシャフト(22)が屈曲領域(28)の屈曲角度を維持し、カニューレシャフト(22)を患者に挿入する間に曲がらない。あくまで例にすぎないが、カニューレシャフト(22)は、ステンレス鋼(例えば、ステンレス製ハイポチューブなど)及び/又は他の任意の好適な剛性材料で形成してもよい。
【0014】
図2に最良に示すように、カニューレシャフト(22)は、開口した遠位端部(26)から近位側に延在し、グリップ部(24)の中空内部(32)に開口する内腔(30)を含む。内腔(30)をいずれかの好適な径で形成してもよい。あくまで例にすぎないが、内腔(30)は、直径2.44mm程度に形成してもよい。また、カニューレシャフト(22)及び内腔(30)を、いずれかの好適な形状(円形又は非円形状など)の横断面プロファイルで形成してもよい。楕円形プロファイルのような非円形プロファイルによって、経鼻通路のような解剖学的通路内に追加的なクリアランスを許容して、カニューレシャフト(22)と並んで通路内に他の器具を位置決めしてもよいことが理解されよう。
【0015】
本例の外科用器具(12)のグリップ部(24)は、例えば、2本以上の指(親指と指など)の間に操作者によって把持されるように構成された略矩形状のタブ状本体を有する。カニューレシャフト(22)は、グリップ部(24)の遠位端部から遠位に延在し、吸引導管ポート(34)が、グリップ部(24)の近位端に結合されている。吸引導管ポート(34)は、吸引導管(90)と結合することによって、吸引源(14)を外科用器具(12)と流体的に連結するように構成されている。本例の場合、ポート(34)は、吸引導管(16)(エラストマーであってもよい)との安全な嵌合を容易にする返しとげ付き構成を有している。様々な他のタイプのポート構成を他の例で採用してよいことを理解されたい。図2に示すように、カニューレ内腔(30)、グリップ部の内部(32)、吸引導管ポート(34)、及び吸引導管(16)が互いに流体連通していて、協働して、遮られていない流体流路を、カニューレシャフト(22)の開口した遠位端部(26)から吸引導管(16)及び最終的に吸引源(14)までもたらしている。
【0016】
図2に最良に示すように、グリップ部(24)のタブ状本体は、操作者の第1の指(親指等)によって係合されるように構成された上面(36)と、操作者の第2の指(指等)によって係合されるように構成された対向する下面(38)とを含む。横方向通気開口部(40)が上面(36)に形成され、通気開口部(40)が外科用器具システム(10)の流体流路と流体連通するように、グリップ部(24)の中空内部(32)に開口している。
【0017】
使用中に、操作者は、周囲環境に露出する通気開口部(40)の量を調整することによって、カニューレシャフト(22)の開口した遠位端部(26)に適用される吸引量を選択的に変えてもよい。例えば、操作者は、開口した遠位端部(26)に適用される吸引量を、親指又は指によって通気開口部(40)を更に又は全てを閉じることによって増加させてもよい。逆に、操作者は、開口した遠位端部(26)に適用される吸引量を、通気開口部(40)から親指又は指を部分的に取り去ることによって、吸引源(14)が通気開口部(40)を介して周囲環境から空気を引き込むようにして、減少させてもよい。通気開口部(40)を、通気開口部(40)から親指又は指を完全に取り去ることによって通気開口部(40)が周囲環境に完全に露出し、開口した遠位端部(26)における吸引がゼロまで下がるように構成してもよい。本例では、通気開口部(40)は涙滴形で形成されているが、他の例では通気開口部(40)を種々の他の適切な形状で形成してもよい。あくまで例にすぎないが、涙滴形状(又は他の何らかの細長い形状)は、通気開口部(40)上の操作者の親指(又は他の指)の長手方向の位置に基づいて、操作者がカニューレシャフト(22)の開口した遠位端部(26)における吸引量を選択的に変えられるようにし得る。
【0018】
グリップ部(24)の上下面(36、38)を、操作者によるグリップ部(24)の把持を容易にするように構成してもよい。詳細には、本例では、上面(36)が凹状の外形を提供しているのに対して下面(38)は一連の隆起部を提供している。あくまで例にすぎないが、操作者は、上面(36)に親指を載せ、下面(38)に同じ手の人差し指の側面を置くことにより、グリップ部(24)を把持してもよい。グリップ部(24)の長方形の形状によって、操作者にグリップ部(24)の実質的なしっかりとした握りがもたらされてもよい一方で、表面(36、38)の構成によって、操作者の把持が更に確実になってもよい。外科用器具(12)及びその把持及び吸引特徴を更に、2017年5月31日出願の「Navigable Suction Instrument With Coaxial Annular Sensor」と題される米国特許出願第62/512,830号の1つ以上の教示に従って構成してもよい。なおこの文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0019】
図1、3に示すように、外科用器具(12)は、開口した遠位端部(26)でカニューレシャフト(22)を包囲するRFカフ(50)を更に含む。本例の場合、カフ(50)は、円筒状の本体(52)と、本体(52)の周りに周方向に配置されたRF電極のアレイとを含み、RF電極のアレイは、カフ(50)が接触した組織に両極RFエネルギーを送達するように構成されている。特に、カフ(50)は、第1の複数の正極(54)と第2の複数の負極(56)とが周方向に交互に配置されていて、各正極(54)が少なくとも1つの負極(56)に隣接して周方向に位置するようになっている。本例の場合、カフ本体(52)と電極(54、56)とは、カニューレシャフト(22)の全周の周囲に延びている。他の例では、電極(54、56)及び/又はカフ本体(52)は、カニューレシャフト(22)の周囲に部分的にのみ延在していてもよい。加えて、本例のカフ(50)は、図示では、少なくとも4つの電極(54,56)を各円周象限に有していて、カフ(50)が全周の周りに少なくとも16の電極(54、56)を含むようになっている。当然のことながら、他の例では、カフ(50)は、いずれかの好適な数量の電極(54、56)(例えば、16を上回る電極又は16を下回る電極)含んでいてもよい。例えば、カフ(50)は少なくとも1つの正極(54)と少なくとも1つの負極(56)とを含んでいてもよい。
【0020】
RFカフ(50)の正極(54)は負極(56)から電気的に分離されていて、いずれか1つの正極(54)といずれか1つの負極(56)との間の電気的結合が生じるのは、正極(54)と負極(56)とが同じ導電媒質(例えば組織)と同時に電気的に結合したときだけである。これについては以下で説明する。本例では、正極(54)はカフ(50)の第1の環状導電部材(58)に電気的に結合され、負極(56)はカフ(50)の第2の環状導電部材(60)に電気的に結合されている。環状導電部材(58、60)は、カフ本体(52)の近位端に配置され、互いに電気的に分離されている。第1の環状導電部材(58)は第1の電気リード(62)に電気的に結合され、第2の環状導電部材(60)は第2の電気リード(64)に電気的に結合されている。
【0021】
本例の場合、電気リード(62、64)がカニューレシャフト(22)の外部に配置され、電極(54、56)を発電機(18)と電気的に結合するワイヤ(20)内に収容されている。いくつかのバージョンにおいて、電気リード(62、64)は、例えば、カニューレ内腔(30)内に配置されてカニューレ内腔(30)を介して近位側に延在してもよいし、又はカニューレシャフト(22)の側壁内に組み込んでもよい。このような構成において、外科用器具(12)は、例えば、電気コネクタ(図示しない)が器具(12)の近位部上(例えば、グリップ部(24)上又はその付近)に配置されていてもよい。このような電気コネクタは、例えば、ワイヤ(20)と同様に、外部ケーブル又はワイヤを介して外科用器具(12)を発電機(18)と電気的に結合するように機能してもよい。他の例では、発電機(18)を、外科用器具(12)の本体内に収容される電池(図示しない)の形態にして、外部ワイヤ又は電気コネクタが必要ないようにしてもよい。発電機(18)を構成してもよい他の好適な方法、及び発電機(18)を電極(54、56)と結合してもよい別の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。また当然のことながら、スイッチ(例えば、グリップ部(24)上のボタン、フットスイッチ、発電機(18)上のボタン)を設けて、操作者が必要に応じて電極(54、56)を選択的に起動及び停止できるようにしてもよい。
【0022】
本例の電極(54、56)は、カフ本体(52)及びカニューレ遠位端部(26)の周りに延在する単一のリング内に配置された細長い矩形の部材の形態で示している。他の例では、電極(54、56)に様々な他の好適な形状を与えてもよく、様々な他の好適な構成で配置してもよい。例えば、図示しないが、カフ(50)は、複数のリングの電極(54、56)を含むことができる。各リングは、周方向に交互に配置された正及び負極(54、56)を有している。代替的に又は付加的に、カフ(50)は、1つ以上の正極(54)の1つ以上のリングと、1つ以上の負極(56)の1つ以上の隣接するリングとを含んでいて、各リングは単一の極性を有し、異なるリングは互いに長手方向に間隔をあけているようにしてもよい。このような構成では、電極の極性は、周方向ではなく又は周方向に加えて軸方向に交互に変わるであろう。
【0023】
図3に示すように、本例のカフ(50)は、電極(54、56)の遠位端部がカニューレ遠位端部(26)まで完全に延びるように、カニューレシャフト(22)の遠位端部(26)に配置されている。別の例では、カフ(50)は、カニューレ遠位端部(26)から近位側に離間していてもよい。また、カニューレシャフト(22)の長さに沿って1つ以上のカフ(50)を設けてもよい。いくつかの例において、カフ(50)をカニューレシャフト(22)から選択的に取り外し可能にしてもよい。別の例では、カフ(50)をカニューレシャフト(22)に永久的に取り付けてもよい。更なる例において、カフ(50)をカニューレシャフト(22)の構造内に組み込んで、電極(54)がカニューレシャフト(22)の外面と概ね面一となるようにしてもよい。例えば、カフ本体(52)を省略してもよく、電極(54、56)及び導電部材(58、60)がカニューレシャフト(22)自身によって設けられてもよい。
【0024】
RFカフ(50)を本明細書では吸引器具(12)の構成部品として記載しているが、当然のことながらRFカフ(50)を様々な他の外科用器具内に組み込んでもよい。例えば、またあくまで例にすぎないが、円筒状の本体(52)を伴うか又は伴わないRFカフ(50)を、カテーテル、拡張カテーテル、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、及び任意の他の適切な外科用器具であってカフ(50)の電極(54、56)の周方向配列が適用され得る細長い本体を有するものの上に設けてもよい。したがって、本明細書で示す教示は吸引器具及び操作自体に限定されない。本明細書の教示を適用してもよい他の好適な器具及び手順は当業者には明らかであろう。あくまで例にすぎないが、このような器具及び手順として、以下の文献に記載されるものを挙げてもよい。米国特許出願公開第2017/0273747号、発明の名称「Apparatus and Method for Treatment of Ethmoid Sinus」(2017年9月28日に公開)、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている;米国特許出願公開第2017/0119414号、発明の名称「Fluid Communication Features for Eustachian Tube Dilation Instrument」(2017年5月4日に公開)、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている;米国特許出願公開第2017/0056632号、発明の名称「Dilation Catheter with Expandable Stop Element」(2017年3月2日に公開)、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている;米国特許第9,155,492号、発明の名称「Sinus Illumination Lightwire Device」(2015年10月13日に付与)、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている;米国特許出願公開第2011/0004057号、発明の名称「Systems and Methods for Transnasal Dilation of Passageways in the Ear,Nose or Throat」(2011年1月6日に公開)、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0025】
B.外科用器具システムを使用する例示的な方法
図4A及び4Bに、流体の吸引及び組織の封止を伴う外科処置を実施するために、上述の外科用器具システム(10)を使用する例示的な方法を示す。図4Aは、蝶形骨洞(SS)と、篩骨洞(ES)と、前頭洞(FS)と、中鼻甲介水平基板(MThBL)と、中鼻甲介垂直基板(MTvBL)と、鉤状突起(UP)と、鼻腔側壁(LNW)とを含む、患者頭部の一部の左矢状断面図を示す。篩骨洞(ES)は、前篩骨洞(AES)部及び後篩骨洞(PES)部に分類され得る一連の洞部を含む。篩骨胞(EB)は、最大の篩骨洞(ES)部であり、通常は他の篩骨洞(ES)の部分の下部及び前部にある。篩骨胞(EB)の後壁及び中鼻甲介垂直基板(MTvBL)は共に、胞後隙(RBS)を画定する。患者の間での解剖学的変異は、この胞後隙(RBS)がある個体には存在するか又は存在しない場合があるなどであると理解されたい。
【0026】
篩骨洞(ES)は、篩骨洞(ES)部及び鼻腔へ、又はそれらの部分から流体連通をもたらす口(図示せず)を含む。例えば、口は、前篩骨洞(AES)内の部分、後篩骨洞(PES)内の部分、及び篩骨胞(EB)に流体経路をもたらし得る。場合によっては、篩骨洞(ES)の胞上部は、篩骨胞(EB)内に流出させる。一部の胞上部は、胞後隙(RBS)内に直接流出させる場合がある。篩骨胞(EB)自体が、1つ以上の口を介する鼻腔との流体連通をもたらし、篩骨胞(EB)が、他の篩骨洞(ES)部(篩骨胞(EB)内に流出させる)と鼻腔との間の流体連通路をもたらすようにできる。例えば、篩骨胞(EB)は、胞後隙(RBS)において口を通る流体連通をもたらし得る。口によって提供される流体連通路は、空気及び液体(例えば、薬物)の流入を可能にでき、一方粘液の排出も可能にする。場合によっては、口を閉塞するようにしてよく、粘膜肥厚により機能的に閉鎖するようにしてよく、ないしは別の方法で十分な流体連通をもたらさなくてよい。加えて又は代替的に、胞後隙(RBS)の構成は、篩骨胞(EB)の口を通る流れを妨害する場合がある。
【0027】
篩骨洞(ES)の解剖学的形状によって、篩骨洞(ES)内の流体連通を改善するための、拡張カテーテルを用いる篩骨洞(ES)の口での拡張手順の実施が非現実的になる場合がある。これによって、一部の操作者を、創傷清拭用器具などの器具を用いて篩骨洞(ES)の部分(例えば、組織及び骨)を除去することを含む侵襲的処置である、篩骨洞手術の実施に至らせる場合がある。この種の処置は、多少粗野で洗練されておらず、除去しない場合は患者の利益になり得る粘膜を、かなりの量除去する結果となり得る。篩骨洞手術は、不注意な視神経の損傷、眼窩筋の損傷、嗅球の損傷、その他の解剖学的構造の損傷、更には脳脊髄液の漏出のリスクも有し得る。篩骨洞手術が成功したとしても、患者は、経過後のデブリドマンのために何回か戻る必要があり得る。したがって、篩骨洞手術などの処置に頼らずに、篩骨洞(ES)内から鼻腔までの流体連通の改善することが望ましい場合がある。場合によっては、これには、外科用器具を用いて1つ以上の篩骨洞(ES)細胞に開口部を形成することを含めてもよい。
【0028】
図4A及び4Bに示す本例では、篩骨胞(EB)の前壁に開口部(70)を形成して、篩骨胞(EB)の排出を容易にしている。開口(70)を、何らかの好適な外科用器具及びプロセスを用いて形成してもよい。例えば、以下の文献に開示される種類の器具及びプロセスである。米国特許出願公開第2017/0273747号(参照により上述において組み込まれている)。開口部(70)が形成されると、周囲の組織が篩骨胞(EB)と篩骨洞(ES)の隣接部分とに出血する場合がある。これは望ましくない場合がある。以下に説明するように、外科用器具(12)を用いて、篩骨胞(EB)からの流体を排出してもよく、また開口部(70)を包囲する組織を同時に封止して更なる出血を緩和してもよい。
【0029】
図4Bに示すように、外科用器具(12)のカニューレシャフト(22)の遠位端部(26)が患者の鼻腔に挿入され、篩骨胞(EB)の壁に形成された開口部(70)を通っている。一旦、図4Bに示すように好適に位置決めしたら、操作者は、器具(12)のグリップ部(24)の通気開口部(40)を少なくとも部分的に閉じて、開口した遠位端部(26)において吸引を起動してもよく、その結果、流体が篩骨胞(EB)から引き出される。同時に、又はこの吸引ステップの前若しくは後に、操作者は器具(12)を起動して、両極RFエネルギーをRFカフ(50)に送出してもよい。具体的には、外科用器具(12)を操作者が操作して、出血組織が少なくとも1つの正極(54)と少なくとも1つの負極(56)とに同時に接触して位置するようにして、発電機(18)からカフ(50)に送出されたRFエネルギーが組織を通り、その結果、組織が封止されるようにしてもよい。操作者は必要に応じてカニューレシャフト(22)を回転及び/又は軸方向に繰り返し移動させて、カフ(50)の作動された電極(54、56)が開口部(70)の全周と接触してこれを密封するようにしてもよい。
【0030】
外科用器具システム(10)は、図4A及び4Bでは篩骨洞手順に関連して実施するように示しているが、当然のことながら、外科用器具システム(10)は、患者身体の鼻通路及び/又は他の部分を治療するために種々の他の手順で用いてもよい。なお上記のように、当然のことながら、RFカフ(50)を、本明細書に記載したタイプの吸引器具以外の様々なタイプの細長い外科用器具上に設けてもよい。
【0031】
II.代表的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権をも意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、その他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられている。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれかの理由により追加されたものとしても、仮定されるべきではない。
【実施例
【0032】
(実施例1)
外科用器具であって、(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された細長い本体と、(b)細長い本体の外部の周りに周方向に間隔をおいて配置された複数の電極であって、組織を封止するために両極RFエネルギーを組織に送達するように構成された電極と、を含む外科用器具。
【0033】
(実施例2)
細長い本体は剛性である実施例1に記載の外科用器具。
【0034】
(実施例3)
細長い本体は、内腔を画定するシャフトを含む先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0035】
(実施例4)
シャフトは直線部と屈曲部とを含む実施例3に記載の外科用器具。
【0036】
(実施例5)
外科用器具は更にグリップ部を含み、シャフトはグリップ部から遠位に延びる実施例3~4のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0037】
(実施例6)
外科用器具の近位端部が吸引源と動作可能に連結されるように構成され、外科用器具は、吸引源によって提供される吸引によって内腔を通して流体を近位側に引き込むように動作可能である実施例3~5のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0038】
(実施例7)
外科用器具は、吸引によって外科用器具の遠位端部を通して近位側に流体を引き込み、同時に、組織を封止するために電極を介して両極RFエネルギーを組織に送達するように動作可能である先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0039】
(実施例8)
電極は細長い本体の遠位端部に配置されている先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0040】
(実施例9)
電極は周方向に交互に極性を替えて配置されている先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0041】
(実施例10)
電極は、第1の極性を有する第1の組の電極と第2の極性を有する第2の組の電極とを含み、第1の組の電極は第2の組の電極から電気的に分離されている先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0042】
(実施例11)
第1の組の電極は第1の電気リードと電気的に結合され、第2の組の電極は第2の電気リードと電気的に結合され、第1及び第2の電気リードは電源と電気的に結合するように構成されている実施例10のいずれかに記載の外科用器具。
【0043】
(実施例12)
電極は、細長い本体を包囲するカフによって提供される先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0044】
(実施例13)
カフは細長い本体の遠位端部に配置されている実施例12に記載の外科用器具。
【0045】
(実施例14)
複数の電極は少なくとも4つの電極を含む先行する実施例のいずれかに記載の外科用器具。
【0046】
(実施例15)
外科用システムであって、(a)請求項1に記載の外科用器具であって、内腔を含む外科用器具と、(b)外科用器具に動作可能に結合された吸引源であって、内腔を通して近位側に流体を引き込むために外科用器具に吸引を適用するように動作可能な吸引源と、(c)外科用器具に動作可能に結合された電源であって、組織を封止するために両極RFエネルギーによって電極に通電するように動作可能な電源と、を含む外科用システム。
【0047】
(実施例16)
外科用器具であって、(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された細長い本体と、(b)細長い本体の遠位端部に配置された第1及び第2の電極であって、組織を封止するために両極RFエネルギーを組織に送達するように構成された第1及び第2の電極と、を含む外科用器具。
【0048】
(実施例17)
細長い本体は、内腔及び開口した遠位端部を有するシャフトを含み、第1及び第2の電極は、開口した遠位端部の周りに周方向に間隔をおいて配置されている実施例16に記載の外科用器具。
【0049】
(実施例18)
外科用器具は、吸引により内腔を通して流体を近位側に引き込むように動作可能である実施例17に記載の外科用器具。
【0050】
(実施例19)
外科用器具であって、
(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された剛性シャフトであって、剛性シャフトは開口した遠位端部及び内腔を有し、外科用器具は、開口した遠位端部及び内腔を通して吸引により近位側に流体を引き込むように動作可能である、剛性シャフトと、
(b)剛性シャフトの外部に設けられた少なくとも1つの電極であって、組織を封止するためにRFエネルギーを組織に送達するように構成された少なくとも1つの電極と、を含む外科用器具。
【0051】
(実施例20)
少なくとも1つの電極は複数の電極を含み、電極は、組織を封止するために組織に両極RFエネルギーを送達するように構成されている実施例19に記載の外科用器具。
【0052】
III.その他
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0053】
本明細書に参考として組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。そのようなものであるから、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0054】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計されることができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。一方又はその両方の場合において、種々の変形形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてよい。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部分の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立て工程の、任意の組み合わせを含んでよい。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、かつ、装置の任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換に際して、装置の特定の変形例を、再調整用の施設において、又は手術の直前に使用者により再組み立てして、その後の使用に供することができる。装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立てのための種々の技術を利用することができることを、当業者は理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0055】
実施例のみの目的で、本明細書に記載される変形形態は、手術の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖及び密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてよい。放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管してよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0056】
以上、本発明の種々の実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された細長い本体と、
(b)前記細長い本体の外部の周りに周方向に間隔をおいて配置された複数の電極であって、組織を封止するために両極RFエネルギーを前記組織に送達するように構成された電極と、を含む外科用器具。
(2) 前記細長い本体は剛性である、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記細長い本体は、内腔を画定するシャフトを含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記シャフトは直線部と屈曲部とを含む、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記外科用器具は更にグリップ部を含み、前記シャフトは前記グリップ部から遠位に延びる、実施態様3に記載の外科用器具。
【0058】
(6) 前記外科用器具の近位端部が吸引源と動作可能に連結されるように構成され、前記外科用器具は、前記吸引源によって提供される吸引によって前記内腔を通して流体を近位側に引き込むように動作可能である、実施態様3に記載の外科用器具。
(7) 前記外科用器具は、吸引によって前記外科用器具の遠位端部を通して近位側に流体を引き込み、同時に、組織を封止するために前記電極を介して両極RFエネルギーを前記組織に送達するように動作可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記電極は前記細長い本体の遠位端部に配置されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 前記電極は周方向に交互に極性を替えて配置されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(10) 前記電極は、第1の極性を有する第1の組の電極と第2の極性を有する第2の組の電極とを含み、前記第1の組の前記電極は前記第2の組の前記電極から電気的に分離されている、実施態様1に記載の外科用器具。
【0059】
(11) 前記第1の組の電極は第1の電気リードと電気的に結合され、前記第2の組の電極は第2の電気リードと電気的に結合され、前記第1及び第2の電気リードは電源と電気的に結合するように構成されている、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記電極は、前記細長い本体を包囲するカフによって提供されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(13) 前記カフは前記細長い本体の遠位端部に配置されている、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記複数の電極は少なくとも4つの電極を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(15) 外科用システムであって、
(a)実施態様1に記載の外科用器具であって、内腔を含む外科用器具と、
(b)前記外科用器具に動作可能に結合された吸引源であって、前記内腔を通して近位側に流体を引き込むために前記外科用器具に吸引を適用するように動作可能な吸引源と、
(c)前記外科用器具に動作可能に結合された電源であって、組織を封止するために両極RFエネルギーによって前記電極に通電するように動作可能な電源と、を含む外科用システム。
【0060】
(16) 外科用器具であって、
(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された細長い本体と、
(b)前記細長い本体の遠位端部に配置された第1及び第2の電極であって、組織を封止するために両極RFエネルギーを前記組織に送達するように構成された第1及び第2の電極と、を含む外科用器具。
(17) 前記細長い本体は、内腔及び開口した遠位端部を有するシャフトを含み、前記第1及び第2の電極は、前記開口した遠位端部の周りに周方向に間隔をおいて配置されている、実施態様16に記載の外科用器具。
(18) 前記外科用器具は、吸引により前記内腔を通して流体を近位側に引き込むように動作可能である、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) 外科用器具であって、
(a)患者の鼻腔に挿入されるように構成された剛性シャフトであって、前記剛性シャフトは開口した遠位端部及び内腔を有し、前記外科用器具は、前記開口した遠位端部及び前記内腔を通して吸引により近位側に流体を引き込むように動作可能である、剛性シャフトと、
(b)前記剛性シャフトの外部に設けられた少なくとも1つの電極であって、組織を封止するためにRFエネルギーを前記組織に送達するように構成された少なくとも1つの電極と、を含む外科用器具。
(20) 前記少なくとも1つの電極は複数の電極を含み、前記電極は、組織を封止するために前記組織に両極RFエネルギーを送達するように構成されている、実施態様19に記載の外科用器具。
図1
図2
図3
図4A
図4B