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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】電磁波の到来方向の決定
(51)【国際特許分類】
   G01S 3/14 20060101AFI20230417BHJP
   G01S 3/04 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
G01S3/14
G01S3/04 C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018206221
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2019105625
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】15/802,026
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒラー, ネイサン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ロヘート, クルト
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-007641(JP,A)
【文献】特表2010-534327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0289873(US,A1)
【文献】米国特許第06198450(US,B1)
【文献】米国特許第05166693(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107123862(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00- 3/74
G01S 7/00- 7/42
G01S13/00-13/95
H01Q 3/00- 3/46
H01Q21/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
到来方向決定のためのシステム(100)であって、前記システムは、
誘電体構造体の第1のペア(108)と、誘電体構造体の第2のペア(110)とを備える波形検出器(102)、及び、
前記波形検出器に入射する電磁波(104)の到来方向を決定するように構成された処理回路(152)、
を備え、
前記到来方向は、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第1のペアの相対出力レベルに基づいて、また、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第2のペアの相対出力レベルに基づいて決定され
前記波形検出器は更に誘電体基板(106)を備え、誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアは、前記誘電体基板内に少なくとも部分的に埋め込まれる、システム(100)。
【請求項2】
前記処理回路に結合された検出回路(120)を更に備え、前記検出回路は、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第1のペアの前記相対出力レベルを示す一又は複数の第1の信号(142、144)を生成するように、また、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第2のペアの前記相対出力レベルを示す一又は複数の第2の信号(146、148)を生成するように構成されており、前記処理回路は前記一又は複数の第1の信号及び前記一又は複数の第2の信号に基づいて、前記電磁波の前記到来方向を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出回路は、
前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第1のペアの第1の誘電体構造体における第1の出力レベルを示す第1の信号(142)を、生成するように構成された第1のセンサ(132)と、
前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第1のペアの第2の誘電体構造体における第2の出力レベルを示す第2の信号(144)を、生成するように構成された第2のセンサ(134)と、
前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第2のペアの第3の誘電体構造体における第3の出力レベルを示す第3の信号(146)を、生成するように構成された第3のセンサ(136)と、
前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第2のペアの第4の誘電体構造体における第4の出力レベルを示す第4の信号(148)を、生成するように構成された第4のセンサ(138)とを含み、
誘電体構造体の前記第1のペアの前記相対出力レベルは、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づく比率に対応し、
誘電体構造体の前記第2のペアの前記相対出力レベルは、前記第3の信号及び前記第4の信号に基づく比率に対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路にアクセス可能なメモリ(154)を更に備え、前記メモリは、第1の到来角に前記一又は複数の第1の信号の値をマッピングする第1のマッピングデータ(156)を保存し、第2の到来角に前記一又は複数の第2の信号の値をマッピングする第2のマッピングデータを保存し、前記処理回路は前記第1のマッピングデータ及び前記第2のマッピングデータに基づいて前記到来方向(158)を決定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアの各誘電体構造体は、
前記誘電体基板の相対誘電率よりも大きな相対誘電率を有する、
前記誘電体基板の屈折率よりも大きな屈折率を有する
記誘電体基板の外部において延在する部分を含む、
のうちの少なくとも一つである、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
誘電体構造体の前記第1のペア又は誘電体構造体の前記第2のペアのうちの少なくとも1つの誘電体構造体は、ストロンチウムチタニウム(SrTiO)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
誘電体構造体の前記第1のペアは、
第1の誘電体構造体(112)と、
前記第1の誘電体構造体と位相が実質的に一致する第2の誘電体構造体(114)と、
を含み、
誘電体構造体の前記第2のペアは、
第3の誘電体構造体(116)と、
前記第3の誘電体構造体と位相が実質的に一致する第4の誘電体構造体(118)と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
誘電体構造体の前記第1のペアは、
第1のサイズと第1の形状を有する第1の誘電体構造体(112)と、
第2のサイズと第2の形状を有する第2の誘電体構造体(114)と、
を含み、前記第1のサイズは前記第2のサイズと実質的に等しく、前記第1の形状は前記第2の形状と幾何学的に相似で、
誘電体構造体の前記第2のペアは、
第3のサイズと第3の形状を有する第3の誘電体構造体(116)と、
第4のサイズと第4の形状を有する第4の誘電体構造体(118)と、
を含み、前記第3のサイズは前記第4のサイズと実質的に等しく、前記第3の形状は前記第4の形状と幾何学的に相似である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
誘電体構造体の前記第1のペアは、
第1の誘電体構造体(112)と、
前記第1の誘電体構造体から閾値距離の範囲内に配置された第2の誘電体構造体(114)と、
を含み、前記閾値距離は前記電磁波に対する結合距離に対応し、
誘電体構造体の前記第2のペアは、
第3の誘電体構造体(116)と、
前記第3の誘電体構造体から前記閾値距離の範囲内に配置された第4の誘電体構造体(118)と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
誘電体構造体の前記第1のペアは、第1の誘電体構造体(112)及び第2の誘電体構造体(114)を含み、前記第1の誘電体構造体は第1の軸(210)に沿って前記第2の誘電体構造体に揃えられ、誘電体構造体の前記第2のペアは第3の誘電体構造体及び第4の誘電体構造体を含み、前記第3の誘電体構造体は、前記第1の軸と非平行な第2の軸(212)に沿って前記第4の誘電体構造体に揃えられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
誘電体構造体の第3のペア(422、426)と、誘電体構造体の第4のペア(424、428)とを備える第2の波形検出器を更に備え、
前記処理回路は、前記第2の波形検出器(162)に入射する第2の電磁波(164)の第2の到来方向を決定するように構成され、前記電磁波の前記到来方向は第1の極範囲内及び第1の方位角範囲(170)内にあり、前記第2の電磁波の前記第2の到来方向は第2の極範囲内及び第2の方位角範囲(172)内にあり、前記第1の極範囲は前記第2の極範囲とは異なり、前記第1の方位角範囲は前記第2の方位角範囲とは異なり、
誘電体構造体の前記第1のペアは、第1の主軸を有する第1の誘電体構造体(412)及び第2の主軸を有する第2の誘電体構造体(414)を含み、
誘電体構造体の前記第2のペアは、第3の主軸を有する第3の誘電体構造体(416)及び第4の主軸を有する第4の誘電体構造体(418)を含み、
前記第1の主軸は、前記第2の主軸、前記第3の主軸及び前記第4の主軸と実質的に平行で、
誘電体構造体の前記第3のペアは、第5の主軸を有する第5の誘電体構造体(532)及び第6の主軸を有する第6の誘電体構造体(534)を含み、
誘電体構造体の前記第4のペアは、第7の主軸を有する第7の誘電体構造体(536)及び第8の主軸を有する第8の誘電体構造体(538)を含み、
前記第5の主軸は前記第6の主軸、前記第7の主軸、及び前記第8の主軸と実質的に平行で、前記第5の主軸は前記第1の主軸と非平行である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
到来方向決定の方法(800)であって、前記方法は、
電磁波(104)に応答する、波形検出器(102)の誘電体構造体の第1のペア(108)における相対出力レベルを示す一又は複数の第1の信号(142、144)を、センサシステムのプロセッサ(150)で受信すること(802)と、
前記電磁波に応答する、前記波形検出器の誘電体構造体の第2のペア(110)における相対出力レベルを示す一又は複数の第2の信号(146、148)を、前記センサシステムのプロセッサ(150)で受信すること(804)と、
誘電体構造体の前記第1のペアにおける前記相対出力レベル及び誘電体構造体の前記第2のペアにおける前記相対出力レベルに基づいて、前記プロセッサによって、前記電磁波の到来方向を決定すること(806)とを含み、
前記波形検出器は更に誘電体基板(106)を備え、誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアは、前記誘電体基板内に少なくとも部分的に埋め込まれる、方法(800)。
【請求項13】
前記電磁波の前記到来方向を決定することは、
誘電体構造体の前記第1のペアにおける前記相対出力レベルに基づいて、予測される到来方向の第1の組を決定すること(808)と、
誘電体構造体の前記第2のペアにおける前記相対出力レベルに基づいて、予測される到来方向の第2の組を決定すること(812)と、
予測される到来方向の前記第1の組と予測される到来方向の前記第2の組との交差に基づいて、前記到来方向を選択すること(816)とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
予測される到来方向の前記第1の組を決定することは、第1のマッピングデータから、予測される到来方向の前記第1の組を取り出すこと(810)を含み、前記第1のマッピングデータは、誘電体構造体の前記第1のペアの前記相対出力レベルの値を、予測される到来方向の前記第1の組にマッピングし、予測される到来方向の前記第2の組を決定することは、第2のマッピングデータから、予測される到来方向の前記第2の組を取り出すこと(814)を含み、前記第2のマッピングデータは、誘電体構造体の前記第2のペアの前記相対出力レベルの値を、予測される到来方向の前記第2の組にマッピングする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は概して、電磁波の到来方向を決定するための装置、システム及び方法に関する。多くの技術が、通信、検出、測距、攻撃又は防御の目的などで電磁波を利用している。このような技術の中には、電磁波の到来方向の決定に依存するものもあれば、電磁波の到来方向の決定によって改良されるものもある。例えば、一部の通信システムは、送信される電磁波の方向制御をもたらすため、或いは、特定の方向からの電磁波を選択的に受信するため、パラボラディッシュなどの指向性アンテナを使用する。このようなアンテナは、アンテナの指し示す(例えば、到来方向の狭い範囲に対応する)方向に沿って、電磁波を集めるように構成されるため、「指向性がある(directional)」と言われる。一部の指向性アンテナは、指向性アンテナの指し示す方向を変更できるように再配置可能である。このような再配置可能な指向性アンテナは、電磁波を受信したとき、電磁波の到来方向が再配置可能な指向性アンテナの指し示す方向に対応するため、電磁波の到来方向の推定に使用することができる。一例として、パラボラディッシュを使用する指向性アンテナに関しては、パラボラディッシュだけで、ターゲット電磁波の4分の1波長からターゲット電磁波の1波長の半径を有するように、一般的にサイズ指定される。更に、受信器又は送信器は、信号を送受信するため、パラボラディッシュの焦点に配置される。更に、指向性アンテナが再配置可能な場合には、アクチュエータ、ジンバル、又は他のポインティング支援機器がパラボラディッシュに結合されうる。したがって、再配置可能な指向性アンテナシステムは比較的大きく、重く、高価になりうる。
【0002】
物理的に再配置可能な指向性アンテナではなく、一部のシステムは固定された又は移動可能な放射素子のアレイを使用し、アレイの指示方向を電子的に制御するため、ビーム形成技術を使用する。このようなシステムでは、各放射素子は小さなアンテナ(例えば、導体)で、そのため、各放射素子は電磁波から受け取るエネルギーの一部を再放射する。アレイの放射素子からの再放射は、アレイの検出限界もしくは信号対ノイズ比(SNR)を制限しうるノイズ源、又は非線形信号歪みとなる。更に、このようなアレイは、隣接する放射素子間の間隔がターゲット電磁波の波長の4分の1よりも大きくなるようにサイズ決定されうる。したがって、多くの放射素子を有するアレイは、比較的大きく重くなりうる。また、このようなアレイを電子的に指向するために使用されるビーム形成技術は、計算が複雑になり、各放射素子が、方向を制御するため、位相調整器及び/又は増幅器などのサポートハードウェアを有することが必要となる。
【0003】
したがって、電磁波の到来方向の決定は多くの技術にとって重要であるが、到来方向の決定に利用できるシステムは大型で、重く、複雑及び/又は高価になる傾向がある。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施例では、到来方向検出システムは、波形検出器及び処理回路を含む。波形検出器は、誘電体構造体の第1のペア及び誘電体構造体の第2のペアを含む。処理回路は、波形検出器に入射する電磁波の到来方向を決定するように構成されている。到来方向は、電磁波に応答する誘電体構造体の第1のペアの相対出力レベルに基づいて、また、電磁波に応答する誘電体構造体の第2のペアの相対出力レベルに基づいて決定される。
【0005】
別の特定の実施例では、波形検出器は、第2の誘電体構造体の閾値距離内に配置された第1の誘電体構造体を含む、誘電体構造体の第1のペアを含む。波形検出器はまた、第4の誘電体構造体の閾値距離内に配置された第3の誘電体構造体を含む、誘電体構造体の第2のペアも含む。閾値距離は、電磁波に応答する誘電体構造体の第1のペアにおける相対出力レベルが電磁波の到来方向に関係し、また、電磁波に応答する誘電体構造体の第2のペアにおける相対出力レベルが、電磁波の前記到来方向に関係するようになっている。
【0006】
別の特定の実施例では、到来方向決定の方法は、電磁波に応答する波形検出器の誘電体構造体の第1のペアにおける相対出力レベルを示す一又は複数の第1の信号を、センサシステムのプロセッサで受信することを含む。方法はまた、電磁波に応答する波形検出器の誘電体構造体の第2のペアにおける相対出力レベルを示す一又は複数の第2の信号を、センサシステムのプロセッサで受信することも含む。方法はまた、誘電体構造体の第1のペアの相対出力レベル、及び誘電体構造体の第2のペアの相対出力レベルに基づいて、電磁波の到来方向をプロセッサによって決定することも含む。
【0007】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施例で個別に実現されうるか、又は、以下の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解可能な、更に別の実施例において組み合わされうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電磁波の到来方向を決定するためのシステムの具体例を示すブロック図である。
図2A図1のシステムの波形検出器の特定の実装を示す様々な図の1つである。
図2B図1のシステムの波形検出器の特定の実装を示す様々な図の1つである。
図2C図1のシステムの波形検出器の特定の実装を示す様々な図の1つである。
図3図1のシステムの波形検出器の特定の実装の上面図を示す。
図4A】特定の実装による波形検出器装置を示す様々な図の1つである。
図4B】特定の実装による波形検出器装置を示す様々な図の1つである。
図5A】特定の実装による波形検出器装置を示す様々な図の1つである。
図5B】特定の実装による波形検出器装置を示す様々な図の1つである。
図6A】第1の電磁波に応答する図1のシステムの波形検出器の出力レベルを示す図である。
図6B】第1の電磁波に応答する図1のシステムの波形検出器の出力レベルを示す図である。
図6C図6A及び図6Bの出力レベルを、第1の電磁波の到来方向にマッピングするマッピングデータを示す。
図7A】第2の電磁波に応答する図1のシステムの波形検出器の出力レベルを示す図である。
図7B】第2の電磁波に応答する図1のシステムの波形検出器の出力レベルを示す図である。
図7C図7A及び図7Bの出力レベルを、第2の電磁波の到来方向にマッピングするマッピングデータを示す。
図8図1のシステムの操作方法の特定の実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本書で使用される様々な専門用語は、特定の実装の説明のためのものにすぎず、実装を限定することは意図されていない。例えば、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限りは、複数形も含むことが意図されている。更に、「備える(comprise、comprises、comprising)」は、「含む(include、includes、including)」と交換可能に使用されうる。加えて、「その場合(wherein)」という用語は、「そこで(where)」と交換可能に使用されうる。本書で使用されるように、「例示的な」は実施例、実装、及び/又は態様を示し、選択又は好ましい実装を限定する又は実装するものとして解釈されるべきではない。本書で使用されているように、構造体、構成要素、操作などの要素を修飾する序数用語(例えば、「第1の」、「第2の」、「第3の」など)は、これ自体がある要素の別の要素に対する優先度又は順序を示すものではなく、(序数用語としての使用を別にして)同じ名前を有する別の要素と区別しているにすぎない。本書で使用されているように、「組(set)」という用語は、一又は複数の特定の要素を表し、「複数(plurality)」という用語は特定の要素が複数個(例えば、2つ以上)あることを表す。
【0010】
本書に開示の特定の実施例は、結合された誘電体構造体の複数のペアを含む波形検出器を含む。この文脈では、「結合(coupling)」とは直接接触なしにエネルギーを伝達することを意味する。この意味での結合は「電磁的結合」と称されることもあり、このような専門用語によって、物理的な意味での「結合」(例えば、直接的又は間接的な物理的接触)との混乱を回避しうる。波形検出器の誘電体構造体のペアは、当該ペアの第1の誘電体構造体が、電磁波に応答して、第1の誘電体構造体から第2の誘電体構造体へエネルギーを伝えるため、当該ペアの第2の誘電体構造体と相互作用する場を生成する場合には、「結合されている」(例えば、電磁的に結合されている)と称される。2つの誘電体構造体が結合されているかどうかは、誘電体構造体の相対位置、幾何形状、及び材料特性に依存する。結合された誘電体構造体のペアの相対出力レベルは、エネルギーが生成される電磁波の到来方向を含む多くの要因に依存する。
【0011】
電磁波の到来方向は、結合されたペアの各誘電体構造体の相対出力レベルに影響する一方で、結合された誘電体構造体の1つのペアの相対出力レベルは、電磁波が単位球面の第1の孤又は大円に沿っているため、電磁波の到来方向を決定するのに十分な情報のみを提供する。誘電体構造体の第2の結合されたペアは、単位球面の第2の孤又は大円に沿った到来方向を決定できるように、波形検出器に追加されうる。第1の孤又は大円と第2の孤又は大円との交差は、電磁波の到来方向に対応する。したがって、誘電体構造体の2つのペアを使用することによって、(3次元直交座標系の単位ベクトルに変換可能な)2つの球面次元で、到来方向の決定が可能になる。したがって、特定の実装では、波形検出器は誘電体構造体の2つのペアを含む。このような実装では、誘電体構造体の第1のペアは、第1の誘電体構造体の結合距離内に配置された第1の誘電体構造体及び第2の誘電体構造体を含む。誘電体構造体の第2のペアは、第3の誘電体構造体の結合距離内に配置された第3の誘電体構造体及び第4の誘電体構造体を含む。このような実装では、誘電体構造体の第1のペアの相対出力レベルは、予測される到来方向の第1の組(例えば、方位角の組及び極角の組)を示し、誘電体構造体の第2のペアの相対出力レベルは、予測される到来方向の第2の組(例えば、方位角の組及び極角の組)を示す。予測される到来方向の第1の組が、予想される到来方向の第2の組に交差する特定の方位角と極角は、電磁波の到来方向に対応する。
【0012】
幾つかの実装では、波形検出器は、誘電体構造体のペアが誘電体基板に埋め込まれた「全誘電体波形検出器」である。このような実装では、全誘電体波形検出器は導電体要素を含まないため、電磁波の再放射が起こらない。電磁波の再放射は、ノイズ、非線形信号歪み、又は干渉の重大な原因になりうる。誘電体構造体を使用することにより、波形検出器は従来のアンテナと比較して、信号対ノイズ特性が改善されている。また、波形検出器は、ターゲット電磁波形の波長よりも大幅に小さくなりうる。例えば、約1メートルの波長を有する電磁波を検出する大きさにされた波形検出器は、ストロンチウムチタニウム(SrTiO)結晶ロッドを含む円筒形の誘電体構造体のペアを使用することができ、各ロッドは約1.00インチ(0.0254メートル)の直径と約4.00インチ(0.102メートル)の長さを有する。この実施例では、結合されたロッドのペアは、互いに約4.00インチ(0.102メートル)未満だけ離して、例えば、中心から中心まで約3.5インチ(0.089メートル)離して配置されうる。
【0013】
図1は、電磁波の到来方向を決定するためのシステム100の特定の実施例を示すブロック図である。システム100は、波形検出器102及び波形検出器102に関連する検出回路120を含む。図1に示した特定の実装では、システム100はまた、検出回路120と通信可能に結合されたコンピューティング装置150を含む。この実装では、コンピューティング装置150は、処理回路152(例えば、プロセッサ)及びメモリ154を含む。他の実装では、処理回路152は、特別な目的の回路、例えば、特定用途向け集積回路又はフィールドプログラマブルゲートアレイなどを含むか、これらに相当する。処理回路152は、以下で更に説明されるように、波形検出器102に入射する電磁波104の到来方向を決定するように構成されている。
【0014】
波形検出器102は、誘電体基板106に少なくとも部分的に埋め込まれた、誘電体構造体の第1のペア108及び誘電体構造体の第2のペア110を含む。図1では、誘電体構造体の第1のペア108は、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114を含む。以下でより詳細に説明するように、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114は、波形(例えば、電磁波104)に由来するエネルギーを、電磁結合によって互いに交換するように構成されている。例えば、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114は、互いに閾値距離の範囲内に配置され、閾値距離は電磁波104に対する結合距離に対応する。第2の誘電体構造体114はまた、第1の誘電体構造体112と位相が実質的に一致しうる。このような状況で、電磁波がそれぞれ同じ速度で移動する場合には、或いは、一方の誘電体構造体の実効屈折率が他方の誘電体構造体の実効屈折率に等しい場合には、2つの誘電体構造体は「位相が一致」している。
【0015】
誘電体構造体の第2のペア110は、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118を含む。第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118は、電磁波104に由来するエネルギーを、電磁結合によって互いに交換するように構成されている。例えば、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118は、互いに閾値距離(例えば、電磁波104に対する結合距離)の範囲内に配置される。第4の誘電体構造体118はまた、第3の誘電体構造体116と位相が実質的に一致しうる。
【0016】
誘電体構造体の第1のペア108及び誘電体構造体の第2のペア110は、ペア108とペア110との間の電磁結合を制限する又はなくすように構成されている。特定の実装では、ペア108とペア110との間の電磁結合は、ペア108とペア110との間の距離に基づいて制限される。このような実装では、誘電体構造体の第1のペア108は、誘電体構造体の第2のペア110から十分に離れており、誘電体構造体の2つのペア108と110との間で、電磁結合によって交換されるエネルギーはほとんどないか、検出可能なエネルギーはゼロである。例えば、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114はそれぞれ、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118の各々から閾値距離よりも遠くに配置される。したがって、誘電体構造体の第1のペア108は、誘電体構造体の第2のペア110と電磁的に結合されることはない。他の実装では、ペア108とペア110との間の電磁結合は、図3を参照して更に説明されるように、誘電体構造体の結合特性に基づいて制限される。
【0017】
第1の誘電体構造体112は第1の軸に沿って第2の誘電体構造体114に揃えられ、第3の誘電体構造体116は、第1の軸と非平行な第2の軸に沿って第4の誘電体構造体118に揃えられる。誘電体構造体112~118の各々は、誘電体構造体のペア間で発生する電磁結合に沿った方向に延在する主軸を有する。説明のため、幾つかの実装では、各誘電体構造体112~118は、円筒(又は、ロッド)形状を有し、その主軸は円筒形状の一方の円形面の中心から、円筒形状の他方の円形面の中心まで延在する。このような実装では、第1の誘電体構造体112の主軸は、第2の誘電体構造体114の主軸と実質的に(例えば、製造許容誤差の範囲内で)平行で、第3の誘電体構造体116の主軸は、第4の誘電体構造体118の主軸と実質的に(例えば、製造許容誤差の範囲内で)平行である。第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114が揃えられる第1の軸は、第1の誘電体構造体112の主軸及び第2の誘電体構造体114の主軸を通って引かれたラインに対応する。同様に、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118が揃えられる第2の軸は、第3の誘電体構造体116の主軸及び第4の誘電体構造体118の主軸を通って引かれたラインに対応する。図6及び図7を参照して更に説明されるように、第1の軸を第2の軸に対して非平行に配置することによって、球面座標系の2次元で、電磁波104の到来方向を決定することができる。
【0018】
電磁結合を強化するため、第1の誘電体構造体112は、サイズ、形状、及び材料特性の点において、第2の誘電体構造体114と実質的に(例えば、製造許容誤差範囲内で)同一である。説明のため、第1の誘電体構造体112は第1のサイズと第1の形状を有し、第2の誘電体構造体114は第2のサイズと第2の形状を有し、第1のサイズは第2のサイズと実質的に等しく、第1の形状は第2の形状と幾何学的に相似である。同様に、電磁結合を強化するため、第3の誘電体構造体116は、サイズ、形状、及び材料特性の点において、第4の誘電体構造体118と実質的に(例えば、製造許容誤差範囲内で)同一である。説明のため、第3の誘電体構造体116は第3のサイズと第3の形状を有し、第4の誘電体構造体118は第4のサイズと第4の形状を有し、第3のサイズは第4のサイズと実質的に等しく、第3の形状は第4の形状と幾何学的に相似である。製造を容易にするため、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114は、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118と実質的に同一であるが、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114は、電磁結合によって、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118とエネルギーを交換しないため、波形検出器102が正確かつ効率的に機能するために、このような類似性は必要としない。
【0019】
電磁的な捕捉、誘導、及び結合は、誘電体基板106及び誘電体構造体112~118の特性の差によって影響される。電磁結合を強化するため、誘電体構造体112~118の各々は、誘電体基板106の相対誘電率よりも大きな相対誘電率を有する。更に、電磁結合を強化するため、誘電体構造体112~118の各々は、誘電体基板106の屈折率よりも大きな屈折率を有する。例えば、特定の実装では、誘電体構造体112~118は、ストロンチウムチタニウム(SrTiO)結晶など、高い相対誘電率と高い屈折率を有する材料を含み、誘電体基板106は、ポリマー、ガラス、又はシリコンなど、低い相対誘電率と低い屈折率を有する材料を含む。
【0020】
第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114の配置と特性により、電磁波104が誘電体構造体の第1のペア108と相互作用するとき、電磁波104のエネルギーは第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114によって集められ、第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114との間に結合される。同様に、電磁波104が誘電体構造体の第2のペア110と相互作用するとき、電磁波104のエネルギーは第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118によって集められ、第3の誘電体構造体116と第4の誘電体構造体118との間に結合される。誘電体構造体のペア108とペア110との間の電磁結合は、電磁波104の到来方向の関数となる(例えば、依存する)。例えば、電磁波104が平面波で、電磁波104の到来方向が、誘電体構造体の第1のペア108の直上である場合には、電磁波104は第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114の両方に同時に(かつ、同じ位相で)当たり、電磁結合は平衡状態にある。しかしながら、電磁波104が平面波で、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114のうちの一方に、他方の誘電体構造体よりも先に(かつ、異なる位相で)電磁波104が当たるように、電磁波104の到来方向に角度がついている場合には、誘電体構造体の第1のペア108内の電磁結合は、第1の誘電体構造体112又は第2の誘電体構造体114のいずれかが有利になるように非平衡状態になる。誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベル(例えば、出力レベル比率)は、誘電体構造体の第1のペア108内の電磁結合がどの程度非平衡になっているかを示す。したがって、誘電体構造体の第1のペア108の各誘電体構造体112、114内での出力レベルは、電磁波104の予想される到来方向を決定するため、(直接的に又は間接的に)測定可能である。
【0021】
誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルに基づいて決定された予想される到来方向はそれぞれ、特定の2次元(2D)平面内の到来方向に対応する。誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベル(例えば、出力レベル比率)は、第2の2D平面内での電磁波104の予測される到来方向を決定するように測定可能である。到来方向を2つの非平行2D平面内で測定することによって、3次元(3D)到来方向は、2つの2D到来方向が一致する交差点に基づいて決定可能である。
【0022】
図1に示された実装では、検出回路120はセンサシステム130を含む。他の実装では、例えば、図4A及び図4Bに示された実装では、センサシステム130のセンサは波形検出器102の一部で、誘電体構造体112~118に直接物理的に接触するか、電気的に接触する。センサシステム130は、電磁波104に応答する誘電体構造体112~118の出力レベル122~128を測定又は推定するように構成された、複数のセンサ132~138を含む。図1では、センサシステム130は、第1のセンサ132、第2のセンサ134、第3のセンサ136、及び第4のセンサ138を含む。第1のセンサ132は、電磁波104に応答して、第1の誘電体構造体112における第1の出力レベル122を示す第1の信号142を生成するように構成されている。第2のセンサ134は、電磁波104に応答して、誘電体構造体の第1のペア108の第2の誘電体構造体114における第2の出力レベル124を示す第2の信号144を生成するように構成されている。第3のセンサ136は、電磁波104に応答して、誘電体構造体の第2のペア110の第3の誘電体構造体116における第3の出力レベル126を示す第3の信号146を生成するように構成されている。第4のセンサ138は、電磁波104に応答して、誘電体構造体の第2のペア110の第4の誘電体構造体118における第4の出力レベル128を示す第4の信号148を生成するように構成されている。
【0023】
図1は、誘電体構造体1つに対して1つのセンサを示しているが、幾つかの実装では、誘電体構造体の1つのペアに対して1つのセンサが使用されうる。到来方向の決定は、誘電体構造体の第1のペア108及び誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルに基づいているため、誘電体構造体の各ペアの1つのセンサは、各誘電体構造体の各出力レベルを別々に検知するのではなく、相対出力レベルをペアで検知することができる。したがって、誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルは(例えば、第1の信号142と第2の信号144の比率として)算出可能であるか、誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルは測定可能である。
【0024】
センサ132~138は、接触式センサ又は非接触式センサを含みうる。接触式センサは、対応する誘電体構造体に接続されている(例えば、直接物理的に接続されるか、導電性部材を介して電気的に接続される)。例えば、導電性部材は、誘電体構造体の出力を電気信号に変換することができ、この電気信号は、誘電体構造体の出力レベルを決定するため、センサによって測定される。非接触式センサは、対応する誘電体構造体での変化を測定するため、非接触測定技術を使用する。この変化は誘電体構造体の出力レベルを示すか、その出力レベルに相関している。出力レベルを示すために検出可能な変化の例には、温度変化、寸法の変化(例えば、長さの変化)、振動、又は光学特性(例えば、屈折率、色など)が含まれる。更に別の実施例では、誘電体構造体の出力レベルは、別の構成要素(例えば、誘電体構造体に結合されたインジケータ)の変化を引き起こしうる。この実施例では、センサは他の構成要素の変化を測定することが可能で、その変化は誘電体楮体の出力レベルを示すか、その出力レベルに相関している。
【0025】
図1に示した実装では、センサ132~138は、出力レベル122~128を示す信号142~148をコンピューティング装置150に提供する。この実装では、コンピューティング装置150の処理回路152は、信号142~148に基づいて、電磁波104の到来方向を決定する。例えば、処理回路152は、第1の信号142及び第2の信号144に基づいて、誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルを決定する。処理回路152はまた、第3の信号146及び第4の信号148に基づいて、誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルを決定する。代替的に、センサシステム130は、処理回路152に対して、ペア108の1つの信号とペア110の1つの信号を提供することができ、誘電体構造体の特定のペアの信号は、特定のペアの相対出力レベルを示す。説明のため、センサシステム130は、(例えば、第1の信号142と第2の信号144を提供するのではなく)誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルを示す1つの信号を提供してよく、また、(例えば、第3の信号146と第4の信号148を提供するのではなく)誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルを示す別の信号を提供してもよい。
【0026】
幾つかの実装では、処理回路152は、経験的に導かれた公式を使用して、相対出力レベルに基づいて到来方向を計算する。例えば、図2Aを参照して説明される寸法を有する特定の波形検出器102に関して、到来方向は以下の方程式を用いて計算することができる。
ここで、P2n-1/P2nは結合された誘電体構造体のペアの出力比率で、誘電体構造体の第1の結合されたペアに対してn=1で、誘電体構造体の第2の結合されたペアに対してn=2で、φは方位角で、θは極角である。
【0027】
経験的に導かれた公式は、既知の到来方向からの複数の電磁波を用いて、システム100を較正することによって決定されうる。代替的に、図1に示した実施例では、処理回路152はマッピングデータ156を記憶するメモリ154に結合されうる。この実施例では、マッピングデータ156は、誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルの値(又は、誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルに相関する、或いは相対出力レベルを示す測定値)を第1の到来角にマッピングする第1のマッピングデータを含む。マッピングデータ156はまた、誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルの値(例えば、誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルに相関する、或いは相対出力レベルを示す測定値)を、第2の到来角にマッピングする第2のマッピングデータを含む。この実施例では、処理回路152は、図6及び図7を参照して説明されるように、第1のマッピングデータ及び第2のマッピングデータに基づいて到来方向データ158を決定する。
【0028】
電磁波104の到来方向を決定したのち、処理回路152又はコンピューティング装置150は、到来方向を示す到来方向(DOA)データ158を生成し、そのDOAデータ158を応答システム160に送信する。応答システム160は、電磁波104の到来方向に基づいて応答動作を開始するように構成されている。応答動作の例には、限定するものではないが、通知を発すること(例えば、電磁波104の到来方向を示すアイコンを表示すること)、又は装置(例えば、アンテナ又は兵器システム)を到来方向に向けるように操縦命令を発することが含まれる。幾つかの実装では、DOAデータ158に基づいて発せられた操縦命令によって、波形検出器102は再配置されうる。例えば、波形検出器102は、電磁波104が異なる角度で波形検出器に当たるように枢動可能で、測定値の第2の組を取得して到来方向を確認することができる。
【0029】
波形検出器102は、方位角の範囲及び極角の範囲から電磁波の到来方向を測定するように使用可能で、これらの範囲は波形検出器102の受容円錐(acceptance cone)170を定義する。受容円錐170は限られているため、システム100は、一又は複数の追加の波形検出器、例えば、第2の波形検出器162、及び一又は複数の波形検出器を支援する検出回路166を含みうる。図1に示した実施例では、第2の波形検出器162は、波形検出器102とは異なる受容円錐172を有する。したがって、波形検出器102は、(例えば、受容円錐170に対応する)第1の極範囲及び第1の方位角範囲内の電磁波の到来方向の決定に使用可能で、第2の波形検出器162は、(例えば、受容円錐172に対応する)第2の極範囲及び第2の方位角範囲内の電磁波(例えば、電磁波164)の到来方向の決定に使用可能である。この実施例では、第1の極範囲は第2の極範囲とは異なり、第1の方位角範囲は第2の方位角範囲とは異なる。図1は2つの波形検出器102、162、を示しているが、他の実装では、例えば、図4A図4B図5A、及び図5Bに示した実装では、システム100は2つ以上の波形検出器を含む。このような実装では、2つ以上の隣り合う波形検出器の受容円錐は、特定の角範囲(例えば、180度、360度、又はその他のターゲット角範囲)で、連続した視野(例えば、一体化された受容円錐)を提供するため、部分的に重なり合うことができる。
【0030】
図2A図2B及び図2Cは、図1のシステムの波形検出器102の特定の実装を示す図である。図2Aは、電磁波104の波形検出器102の特定の実装の斜視図である。図2Bは、図2Aの波形検出器102の特定の実装の上面図を示す。図2Cは、図2Aの波形検出器102の特定の実装の断面図を示し、断面は図2Aに示したライン210に沿っている。
【0031】
図2Aでは、電磁波104は、ベクトル202で示される到来方向を有する平面波として描かれている。ベクトル202は、方位角方向(φ、ファイ)206の構成要素と極方向(θ、シータ)204の構成要素を有する球面座標で表現されうる。
【0032】
図2A図2B、及び図2Cでは、波形検出器102は、誘電体構造体の結合されたペア(例えば、第1のペア108)として配置された第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114を含む。波形検出器102はまた、誘電体構造体の結合されたペア(例えば、第2のペア110)として配置された第3の誘電体構造体116と第4の誘電体構造体118を含む。誘電体構造体112~118の各々は、各誘電体構造体112~118の一部が誘電体基板106の外部において延在するように、誘電体基板106内に埋め込まれる。
【0033】
図2A図2B、及び図2Cに示した実装では、波形検出器102はまた、エネルギー吸収層250を含む。エネルギー吸収層250は、ターゲット波長内の電磁放射を吸収するように構成されている。この実装では、電磁波104と誘電体構造体112~118との相互作用は、ある程度の回折を起こすことがあり、電磁波104の到来方向の決定時に干渉を引き起こしうる。エネルギー吸収層250は、回折干渉を低減するため、電磁波104の回折部分を吸収する。この実装では、各誘電体構造体112~118は、エネルギー吸収層250の開口部を通って延在する。開口部は、波形検出器102を形成するために使用される特定の材料に基づいて、また、回折を制限するため、電磁波104のターゲット波長に基づいて、経験則的に(例えば、試験又はシミュレーションに基づいて)サイズ決定されうる。
【0034】
波形検出器102の幾つかの寸法(D1~D7)を図2A及び図2Bに示した。寸法D1、D2及びD3は、波形検出器102の長さ(D1)、幅(D2)、及び厚み(D3)に対応する。寸法D1、D2及びD3の各々は、電磁波104の波長よりも小さい。説明のため、ターゲット電磁波の波長が約1.0メートルの特定の実装では、寸法D1は約0.41メートル以下になり、寸法D2は約0.23メートル以下になり、また、寸法D3は約0.10メートル以下になる。
【0035】
第3の誘電体構造体116と第4の誘電体構造体118との間の距離は、寸法D4として表示され、第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114は寸法D5として表示される。寸法D4及びD5は同じであってもよく、或いは異なっていてもよい。例えば、誘電体構造体112~118の各々が、他の誘電体構造体112~118と実質的に同一の場合には、寸法D4と寸法D5は同じになりうる。代替的な実施例として、第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114が、第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118と実質的に同一でない場合には、寸法D4は寸法D5と異なることがありうる。寸法D4は、第3の誘電体構造体116と第4の誘電体構造体118との間の電磁結合を検出可能にしうるほど、十分に小さく、また、寸法D5は、第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114との間の電磁結合(図2Cの領域230によって示されるように)を検出可能にしうるほど、十分に小さい。
【0036】
図2Bに示したように、寸法D6は、ペアになっていない2つの誘電体構造体(例えば、この実装では、第2の誘電体構造体114と第3の誘電体構造体116)の間の最も短い距離に対応する。寸法D6は、誘電体構造体の第2のペア114と第3の誘電体構造体116との間で、検出可能な電磁結合はほとんど、或いは全く起こらないほど、十分に大きい(例えば、結合距離よりも大きい)。2つの誘電体構造体の間でどれだけの電磁結合が起こるかは、誘電体構造体間の距離、誘電体構造体の材料特性、誘電体構造体の幾何形状、及びその他の要因に依存する。したがって、誘電体構造体の間隔(寸法D4、D5、及びD6に対応する)及び誘電体構造体の長さ(寸法D7+図2Cに示した寸法D3に対応する)は、材料、サイズの制約、及びターゲット電磁波の長さの特定の組み合わせに対して、経験則的に(例えば、試験又はシミュレーションによって)決定されうる。
【0037】
図2A及び図2Bでは、第1のライン210は、第1の誘電体構造体112の中心を通って、また、第2の誘電体構造体114の中心を通って延在するように示されている。第1のライン210は、第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114が、第1のライン210に対応する第1の軸に沿って揃っていることを示している。加えて、第2のライン212は、第3の誘電体構造体116の中心を通って、また、第4の誘電体構造体118の中心を通って延在する。第2のライン212は、第3の誘電体構造体116と第4の誘電体構造体118が、第2のライン212に対応する第2の軸に沿って揃っていることを示している。図2A及び図2Bに示したように、第1のライン210は第2のライン212に平行ではない。幾つかの実装では、第1のライン210は、第2のライン212と直角に交差する。図6A図6C及び図7A図7Cを参照して更に説明されているように、誘電体構造体のペアを平行でない軸に沿って揃えることは、2つの球面次元での電磁波104の到来方向の検出を促進する。
【0038】
図3は、図1のシステムの波形検出器102のもう1つの特定の実装の上面図を示す。図3に示された実装は、誘電体構造体112~118が異なるように配置されている点を除けば、図2A図2B、及び図2Cに示した実装と同じである。例えば、図2A図2B、及び図2Cでは、誘電体構造体112~118は、ライン210とライン212の交点が誘電体構造体112~118から離れるように、ほぼL字形に配置されている。これとは対照的に、図3では、誘電体構造体112~118は、ライン210とライン212の交点が誘電体構造体112~118の間になるように、ほぼX字形に配置されている。図3に示した配置は、図2A図2B及び図2Cに示した波形検出器102の実装と比較して、波形検出器102のサイズを小さくするように使用可能である。例えば、図3では、寸法D1及びD2は、図2Aの寸法D1及びD2よりも小さくなりうる。
【0039】
図3に示したようにX字形に誘電体構造体112~118を配置した結果、ペアになっていない2つの誘電体構造体(例えば、第1の誘電体構造体112と第4の誘電体構造体118)間の距離に対応する寸法D6は寸法D4又は寸法D5よりも小さくなる。したがって、ペアになっていない誘電体構造体は、両者の間の電磁結合を制限するように形成される。例えば、第1の誘電体構造体112と第4の誘電体構造体118との間で、検出可能な電磁結合はほとんど、或いは全く起こらないように、第1の誘電体構造体112の材料、材料特性、及び/又は幾何形状は、第4の誘電体構造体118の材料、材料特性、及び/又は幾何形状とは十分に異なりうる。これとは反対に、第1の誘電体構造体112と第2の誘電体構造体114との間に検出可能な電磁結合が起こるように、第1の誘電体構造体112の材料、材料特性、及び/又は幾何形状は、第2の誘電体構造体114の材料、材料特性、及び/又は幾何形状と実質的に同一になりうる。同様に、第3の誘電体構造体116と第4の誘電体構造体118との間に検出可能な電磁結合が起こるように、第3の誘電体構造体116の材料、材料特性、及び/又は幾何形状は、第4の誘電体構造体118の材料、材料特性、及び/又は幾何形状と実質的に同一になりうる。
【0040】
図4A図4B図5A、及び図5Bは、図1のシステム100の波形検出器のマルチアングル実装の様々な図を示している。図4A図4B図5A、及び図5Bの各々では、波形検出器102を他の波形検出器とつないで、又は組み合わせて、1つの波形検出器で検出しうるよりも広い範囲の到来方向で電磁波を検出することができる検出器装置が形成される。
【0041】
図4Aは、検出器装置400の斜視図を示し、図4Bは検出器装置400の側面図を示す。図4A及び図4Bでは、複数の波形検出器102、402、404は、3次元(3D)オブジェクトの外面(又は凸面)に配置される。図4A及び図4Bに示した実装では、3Dオブジェクトは立方体であるが、他の実装では、波形検出器102、402、404は、4面体、ピラミッド形、8面体、12面体、20面体、球形、円筒形などの他の3Dオブジェクトの面又は表面に配置されうる。
【0042】
図4A及び図4Bの波形検出器102、402、404は、少なくとも2つの誘電体構造体ペアを含む。例えば、波形検出器402は、結合されたペアとして配置された誘電体構造体412及び414、並びに別の結合されたペアとして配置された誘電体構造体416及び418を含む。加えて、波形検出器404は、結合されたペアとして配置された誘電体構造体422及び424、並びに別の結合されたペアとして配置された誘電体構造体426及び428を含む。特定の実装では、波形検出器402及び波形検出器404はそれぞれ、波形検出器102の(例えば、追加の例の)複製である。したがって、波形検出器402、404は、波形検出器102と同じ特性と構造を有するが、3Dオブジェクトの異なる面上に配置される結果として、波形検出器102とは異なる受容円錐(及び、互いに異なる受容円錐)を有する。
【0043】
図4A及び図4Bは、3Dオブジェクトの面上に配置された3つの波形検出器102、402、404を示しているが、検出器装置400は、4つ以上の波形検出器又は2つ以下の波形検出器を含む。例えば、検出器装置400は、3Dオブジェクトの反対側の面又は隣接する面に2つの波形検出器を含む。別の実施例では、検出器装置400は、3Dオブジェクトの各面に波形検出器を含みうる。3Dオブジェクトが面を含まない場合には(例えば、3Dオブジェクトが球形の場合には)、3Dオブジェクト上の異なる法線方向を有する部分に2つ以上の波形検出器が配置される。更に、幾つかの実装では、1つの面又は表面上に、2つ以上の波形検出器が配置されうる。例えば、1つの面又は表面は、第1の波長範囲内の電磁波を検出するように構成された第1の波形検出器、及び、第2の波長範囲内の電磁波を検出するように構成された第2の波形検出器を含んでよく、第1の波長範囲は第2の波長範囲とは異なる(例えば、部分的にだけ重なるか、重ならない)。
【0044】
図4Bに示した実装では、センサ432は、検出器装置400の本体内の誘電体構造体412~418に結合されており、センサ430は、検出器装置400の本体内の誘電体構造体422~428に結合されている。更に、図4Bには示していないが、センサ132~138は、検出器装置400の本体内の誘電体構造体112~118に結合されている。例えば、検出器装置400の本体は、図1の誘電体基板106を含むか、図1の誘電体基板106から形成されうる。この実施例では、センサ132~138、430、及び432は、誘電体基板内に埋め込まれ、各誘電体構造体に接触している。
【0045】
図5A及び図5Bでは、複数の波形検出器102、502、504、506が、3次元(3D)オブジェクトの内面(又は凹面)に配置され、検出器装置500を形成する。図5A及び図5Bに示した実装では、3Dオブジェクトは4つの面を含むが、他の実装では、3Dオブジェクトは5つ以上又は3つ以下の面を含む。更に、図5A及び図5Bでは3Dオブジェクトの面は実質的に平面として示されているが、3Dオブジェクトは(平面の代わりに、或いは平面に加えて)曲面を含み、波形検出器102、502、504、506のうちの2つ以上は曲面の上に配置されている。
【0046】
図5A及び図5Bの各波形検出器102、502、504、506は、少なくとも2つの誘電体構造体ペアを含む。例えば、波形検出器502は、結合されたペアとして配置された誘電体構造体512及び514、並びに別の結合されたペアとして配置された誘電体構造体516及び518を含む。加えて、波形検出器504は、結合されたペアとして配置された誘電体構造体522及び524、並びに別の結合されたペアとして配置された誘電体構造体526及び528を含む。更に、波形検出器506は、結合されたペアとして配置された誘電体構造体532及び534、並びに別の結合されたペアとして配置された誘電体構造体536及び538を含む。特定の実装では、波形検出器502、504、506はそれぞれ、波形検出器102の(例えば、追加の例の)複製である。したがって、波形検出器502、504、506は、波形検出器102として同じ特性と構造を有し、3Dオブジェクトの異なる面上に配置される結果として、波形検出器102とは異なる受容円錐(また、互いに異なる受容円錐)を有する。
【0047】
図5A及び図5Bに示されている特定の実装では、波形検出器102と波形検出器502の異なる配向は図5Bに示されている。図5Bの各誘電体構造体114~118、512~516は、ライン540~542で示されているように、(誘電体基板106の第1サイドの)第1の面から(誘電体基板106の第2サイドの)第2の面まで延在する主軸を有する。例えば、ライン540は第2の誘電体構造体114の主軸を通るラインに対応し、ライン542は第3の誘電体構造体116の主軸を通るラインに対応し、ライン546は第4の誘電体構造体118の主軸を通るラインに対応する。図5Bには示していないが、第1の誘電体構造体112の主軸を通って延在するラインは、(例えば、図5Bに示した)ライン540に揃うことになる。更に、ライン548は誘電体構造体512の主軸を通るラインに対応し、ライン550は誘電体構造体514の主軸を通るラインに対応し、ライン552は誘電体構造体516の主軸を通るラインに対応する。図5Bには示していないが、誘電体構造体518の主軸を通って延在するラインは、(例えば、図5Bに示した)ライン552に揃うことになる。ライン540~546は互いに平行である。更に、ライン548~552は互いに平行である。しかしながら、ライン540~546はライン548~552とは平行でない。
【0048】
図6A~6C及び図7A~7Cは、波形検出器102に入射する電磁波の2つの例と、波形検出器102の誘電体構造体ペアでの出力レベルに基づいて、各電磁波の到来方向を決定することを示している。図6Aは、誘電体構造体の第1のペア108を形成するように配置された第1の誘電体構造体112及び第2の誘電体構造体114を示し、また、誘電体構造体の第2のペア110を形成するように配置された第3の誘電体構造体116及び第4の誘電体構造体118を示す。誘電体構造体のペア108、110の互いの配置に関する詳細は、図6Aでは省略されている。したがって、図6Aの波形検出器102は、図2A及び図2Bに示したL字形に従って配置され、別のパターンでは、図3に示したX字形に従って配置されうる。図7Aは、図6Aに示した波形検出器と同じ波形検出器102を示している。
【0049】
図6A及び図7Aのどちらにおいても、各誘電体構造体112~118の出力レベルは、各誘電体構造体112~118内の垂直線によって示されており、線の数が多いほど出力が高いことを示す。例えば、図6Aでは、誘電体構造体112~118の出力レベルは等しく、各誘電体構造体112~118は同じ数の垂直線を有する。しかしながら、図7Aでは、誘電体構造体112~118の出力レベルは同じではなく、第3の誘電体構造体116は、他の誘電体構造体112、114、118よりも少ない数の垂直線を有し、第1の誘電体構造体112、第2の誘電体構造体114は、第4の誘電体構造体118よりも少ない数の垂直線を有する。
【0050】
図6A図6B図7A、及び図7Bは、誘電体構造体の各ペア108、110の相対出力レベルを表す補助として、各誘電体構造体112~118の中心線を示している。ライン602は第1の誘電体構造体112の中心線で、ライン604は第2の誘電体構造体114の中心線で、ライン606は第3の誘電体構造体116の中心線で、ライン608は第4の誘電体構造体118の中心線である。
【0051】
図6A及び図6Bは、第1の電磁波に応答する図1のシステム100の波形検出器102の出力レベルを表す図である。図6Cは、図6A及び図6Bの出力レベルを示す情報を、第1の電磁波の到来方向にマッピングするマッピングデータを示す図である。図6A及び図6Bでは、第1の電磁波の到来方向は、波形検出器102の表面の法線に対して平行である(例えば、第1の電磁波の到来方向は、φ=0°及びθ=0°である)。別の言い方をするならば、第1の電磁波は波形検出器102の直上から来ている。
【0052】
図7A及び図7Bは、第2の電磁波に応答する図1のシステム100の波形検出器102の出力レベルを表す図である。図7Cは、図7A及び図7Bの出力レベルを示す情報を、第2の電磁波の到来方向にマッピングするマッピングデータを示す図である。図7A及び図7Bでは、第2の電磁波の到来方向は、波形検出器の表面の法線に対して非平行である。図7A~7Cに示した具体例では、以下で更に説明するように、第2の電磁波の到来方向は、φ=20°及びθ=20°である。
【0053】
図6B及び図7Bは、誘電体構造体の各ペア108、110に対する出力レベル(例えば、出力レベル比率)を示すグラフを含む。例えば、図6Bでは、第1のグラフ610は、第1の電磁波に応答して、第1の誘電体構造体112の第1の出力レベルを示すライン614、並びに、第1の電磁波に応答して、第2の誘電体構造体114の第2の出力レベルを示すライン616を含む。ライン614の曲線下方の領域及びライン616の曲線下方の領域はほぼ等しく、第1の誘電体構造体112の第1の出力レベルが第2の誘電体構造体114の第2の出力レベルにほぼ等しいことを示している。比率で表すと、第1の電磁波に応答する誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルは、およそ1.0である。
【0054】
加えて、図6Bでは、第2のグラフ620は、第1の電磁波に応答して、第3の誘電体構造体116の第3の出力レベルを示すライン624、並びに、第1の電磁波に応答して、第4の誘電体構造体118の第4の出力レベルを示すライン624を含む。ライン624の曲線下方の領域及びライン626の曲線下方の領域はほぼ等しく、第3の誘電体構造体116の第3の出力レベルが第4の誘電体構造体118の第4の出力レベルにほぼ等しいことを示している。比率で表すと、第1の電磁波に応答する誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルは、およそ1.0である。
【0055】
図6Cのマッピングデータ156は、第1のマッピングデータ630及び第2のマッピングデータ640を含む。マッピングデータ156は、誘電体構造体108、110の相対出力レベルを示すデータを、到来方向に対応する角度の組(例えば、φ、θ)にマッピングする。電磁波の到来方向は、第1のマッピングデータ630と第2のマッピングデータ640が交差する角度の組によって示される。例えば、図6Cでは、第1のマッピングデータ630は、誘電体構造体の第1のペア108に対する出力レベル比率1.0が角度のペア(0、0)、(10、10)、(20、20)、(30、30)、又は(40、40)に対応することを示し、第2のマッピングデータ640は、誘電体構造体の第2のペア110に対する出力レベル比率1.0が角度のペア(20、-20)、(10、-10)、(0、0)、(-10、10)、及び(-20、20)に対応することを示している。したがって、第1のマッピングデータ630と第2のマッピングデータ640は角度のペア(0、0)で交差(又は、一致)し、第1の電磁波の到来方向が、φ=0°及びθ=0°に対応する方向であることを示している。
【0056】
別の実施例として、図7Bでは、第1のグラフ710は、第2の電磁波に応答して、第1の誘電体構造体112の第1の出力レベルを示すライン714、並びに、第2の電磁波に応答して、第2の誘電体構造体114の第2の出力レベルを示すライン716を含む。ライン714の曲線下方の領域及びライン716の曲線下方の領域はほぼ等しく、第1の誘電体構造体112の第1の出力レベルが第2の誘電体構造体114の第2の出力レベルにほぼ等しいことを示している。比率で表すと、第2の電磁波に応答する誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルは、およそ1.0である。
【0057】
加えて、図7Bでは、第2のグラフ720は、第2の電磁波に応答して、第3の誘電体構造体116の第3の出力レベルを示すライン724、並びに、第2の電磁波に応答して、第4の誘電体構造体118の第4の出力レベルを示すライン726を含む。ライン724の曲線下方の領域はライン726の曲線下方の領域よりも小さく、第3の誘電体構造体116の第3の出力レベルが第4の誘電体構造体118の第4の出力レベルよりも低いことを示している。比率で表すと、第2の電磁波に応答する誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルは、およそ0.6である。
【0058】
図7Cでは、第1のマッピングデータ630は、誘電体構造体の第1のペア108に対する出力レベル比率1.0が角度のペア(0、0)、(10、10)、(20、20)、(30、30)、又は(40、40)に対応することを示し、第2のマッピングデータ640は、誘電体構造体の第2のペア110に対する出力レベル比率0.6が角度のペア(30、0)、(30、10)、(20、20)、(10、30)、又は(0、40)に対応することを示している。したがって、第1のマッピングデータ630と第2のマッピングデータ640は角度のペア(20、20)で交差(又は、一致)し、第2の電磁波の到来方向が、φ=20°及びθ=20°に対応する方向であることを示している。
【0059】
誘電体構造体のペア108、110の出力レベルを示すデータは、直接的に又は間接的に測定された出力レベルを含みうること、或いは、光学特性の変化(例えば、屈折率の変化)、寸法の変化(例えば、伸長)など、出力レベルに相関する測定値を含みうることに留意すべきである。
【0060】
図8は、図1のシステム100の動作方法800の特定の実施例を示すフロー図である。例えば、方法800は図1の処理回路152によって実行されうる。方法800は802で、電磁波に応答して、波形検出器の誘電体構造体の第1のペアにおける相対出力レベルを示す一又は複数の第1の信号を(例えば、センサシステムのプロセッサで)受信することを含む。例えば、一又は複数の第1の信号は第1の信号142及び第2の信号144に対応し、2つの信号は共に誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルを示す。代替的に、幾つかの実装では、検出回路120は、誘電体構造体の第1のペア108の相対出力レベルを示す1つの信号を、コンピューティング装置150に送信しうる。
【0061】
方法800はまた804で、電磁波に応答して、波形検出器の誘電体構造体の第2のペアにおける相対出力レベルを示す一又は複数の第2の信号を(例えば、センサシステムのプロセッサで)受信することを含む。例えば、一又は複数の第2信号は第3の信号146及び第4の信号148に対応し、2つの信号は共に誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルを示す。代替的に、幾つかの実装では、検出回路120は、誘電体構造体の第2のペア110の相対出力レベルを示す1つの信号を、コンピューティング装置150に送信しうる。
【0062】
方法800はまた806で、誘電体構造体の第1のペアの相対出力レベル及び誘電体構造体の第2のペアの相対出力レベルに基づいて、電磁波の到来方向を決定することを含む。特定の実装では、電磁波の到来方向を決定することは、808で、誘電体構造体の第1のペアの相対出力レベルに基づいて、予測される到来方向の第1の組を決定することを含む。例えば、図6C及び図7Cを参照して説明されているように、予測される到来方向の第1の組は、810で、予測される到来方向の第1の組を第1のマッピングデータから取り出すことによって決定され、第1のマッピングデータは、誘電体構造体の第1のペアの相対出力レベルの値を、予測される到来方向の第1の組にマッピングする。
【0063】
この実装では、電磁波の到来方向の決定はまた812で、誘電体構造体の第2のペアの相対出力レベルに基づいて、予測される到来方向の第2の組を決定することを含む。例えば、図6C及び図7Cを参照して説明されているように、予測される到来方向の第2の組は、814で、予測される到来方向の第2の組を第2のマッピングデータから取り出すことによって決定され、第2のマッピングデータは、誘電体構造体の第2のペアの相対出力レベルの値を、予測される到来方向の第2の組にマッピングする。この実装では、方法800は更に816で、予測される到来方向の第1の組と予測される到来方向の第2の組との交差に基づいて到来方向を選択することを含む。
【0064】
更に、本開示は以下の条項による実施例を含む。
【0065】
条項1. 到来方向決定のためのシステムであって、前記システムは、誘電体構造体の第1のペア、誘電体構造体の第2のペアを備える波形検出器と、前記波形検出器に入射する電磁波の到来方向を決定するように構成された処理回路とを備え、前記到来方向は、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第1のペアの相対出力レベルに基づいて、また、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第2のペアの相対出力レベルに基づいて決定される、システム。
【0066】
条項2. 前記処理回路に結合された検出回路を更に備え、前記検出回路は、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第1のペアの前記相対出力レベルを示す一又は複数の第1の信号を生成するように、また、前記電磁波に応答する誘電体構造体の前記第2のペアの前記相対出力レベルを示す一又は複数の第2の信号を生成するように構成されており、前記処理回路は前記一又は複数の第1の信号及び前記一又は複数の第2の信号に基づいて、前記電磁波の前記到来方向を決定する、条項1に記載のシステム。
【0067】
条項3. 前記検出回路は、前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第1のペアの第1の誘電体構造体における第1の出力レベルを示す第1の信号を、生成するように構成された第1のセンサと、前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第1のペアの第2の誘電体構造体における第2の出力レベルを示す第2の信号を、生成するように構成された第2のセンサと、前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第2のペアの第3の誘電体構造体における第3の出力レベルを示す第3の信号を、生成するように構成された第3のセンサと、前記電磁波に応答して、誘電体構造体の前記第2のペアの第4の誘電体構造体における第4の出力レベルを示す第4の信号を、生成するように構成された第4のセンサとを含み、誘電体構造体の前記第1のペアの前記相対出力レベルは、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づく比率に対応し、誘電体構造体の前記第2のペアの前記相対出力レベルは、前記第3の信号及び前記第4の信号に基づく比率に対応する、条項2に記載のシステム。
【0068】
条項4. 前記処理回路にアクセス可能なメモリを更に備え、前記メモリは、第1の到来角に前記一又は複数の第1の信号の値をマッピングする第1のマッピングデータを保存し、第2の到来角に前記一又は複数の第2の信号の値をマッピングする第2のマッピングデータを保存し、前記処理回路は前記第1のマッピングデータ及び前記第2のマッピングデータに基づいて前記到来方向を決定する、条項2に記載のシステム。
【0069】
条項5. 前記波形検出器は更に誘電体基板を備え、誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアは、前記誘電体基板内に少なくとも部分的に埋め込まれる、条項1に記載のシステム。
【0070】
条項6. 誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアの各誘電体構造体は、前記誘電体基板の相対誘電率よりも大きい相対誘電率を有する、条項5に記載のシステム。
【0071】
条項7. 誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアの各誘電体構造体は、前記誘電体基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する、条項5に記載のシステム。
【0072】
条項8. 誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアの各誘電体構造体は、前記誘電体基板の外部において延在する部分を含む、条項5に記載のシステム。
【0073】
条項9. 誘電体構造体の前記第1のペア又は誘電体構造体の前記第2のペアのうちの少なくとも1つの誘電体構造体は、ストロンチウムチタニウム(SrTiO)を含む、条項1に記載のシステム。
【0074】
条項10. 誘電体構造体の前記第1のペアは、第1の誘電体構造体、及び、前記第1の誘電体構造体と位相が実質的に一致する第2の誘電体構造体を含む、条項1に記載のシステム。
【0075】
条項11. 誘電体構造体の前記第2のペアは、第3の誘電体構造体、及び、前記第3の誘電体構造体と位相が実質的に一致する第4の誘電体構造体を含む、条項10に記載のシステム。
【0076】
条項12. 誘電体構造体の前記第1のペアは、第1のサイズと第1の形状を有する第1の誘電体構造体、及び、第2のサイズと第2の形状を有する第2の誘電体構造体を含み、前記第1のサイズは前記第2のサイズと実質的に等しく、前記第1の形状は前記第2の形状と幾何学的に相似である、条項1に記載のシステム。
【0077】
条項13. 誘電体構造体の前記第2のペアは、第3のサイズと第3の形状を有する第3の誘電体構造体、及び、第4のサイズと第4の形状を有する第4の誘電体構造体を含み、前記第3のサイズは前記第4のサイズと実質的に等しく、前記第3の形状は前記第4の形状と幾何学的に相似である、条項12に記載のシステム。
【0078】
条項14. 誘電体構造体の前記第1のペアは、第1の誘電体構造体、及び、前記第1の誘電体構造体から閾値距離の範囲内に配置された第2の誘電体構造体を含み、前記閾値距離は前記電磁波に対する結合距離に対応する、条項1に記載のシステム。
【0079】
条項15. 誘電体構造体の前記第2のペアは、第3の誘電体構造体、及び、前記第3の誘電体構造体から閾値距離の範囲内に配置された第4の誘電体構造体を含む、条項14に記載のシステム。
【0080】
条項16. 誘電体構造体の前記第1のペアは、第1の誘電体構造体及び第2の誘電体構造体を含み、前記第1の誘電体構造体は第1の軸に沿って前記第2の誘電体構造体に揃えられ、誘電体構造体の前記第2のペアは第3の誘電体構造体及び第4の誘電体構造体を含み、前記第3の誘電体構造体は、前記第1の軸と非平行な第2の軸に沿って前記第4の誘電体構造体に揃えられる、条項1に記載のシステム。
【0081】
条項17. 誘電体構造体の第3のペアと誘電体構造体の第4のペアを備える第2の波形検出器を更に備え、前記処理回路は、前記第2の波形検出器に入射する第2の電磁波の第2の到来方向を決定するように構成され、前記電磁波の前記到来方向は第1の極範囲内及び第1の方位角範囲内にあり、前記第2の電磁波の前記第2の到来方向は第2の極範囲内及び第2の方位角範囲内にあり、前記第1の極範囲は前記第2の極範囲とは異なり、前記第1の方位角範囲は前記第2の方位角範囲とは異なる、条項1に記載のシステム。
【0082】
条項18. 誘電体構造体の前記第1のペアは、第1の主軸を有する第1の誘電体構造体及び第2の主軸を有する第2の誘電体構造体を含み、誘電体構造体の第2のペアは、第3の主軸を有する第3の誘電体構造体及び第4の主軸を有する第4の誘電体構造体を含み、前記第1の主軸は、前記第2の主軸、前記第3の主軸及び前記第4の主軸と実質的に平行で、誘電体構造体の前記第3のペアは、第5の主軸を有する第5の誘電体構造体及び第6の主軸を有する第6の誘電体構造体を含み、誘電体構造体の前記第4のペアは、第7の主軸を有する第7の誘電体構造体及び第8の主軸を有する第8の誘電体構造体を含み、前記第5の主軸は、前記第6の主軸、前記第7の主軸及び前記第8の主軸と実質的に平行で、前記第5の主軸は前記第1の主軸と非平行である、条項17に記載のシステム。
【0083】
条項19. 第2の誘電体構造体から閾値距離の範囲内に配置された第1の誘電体構造体を備える誘電体構造体の第1のペアと、第4の誘電体構造体から閾値距離の範囲内に配置された第3の誘電体構造体を備える誘電体構造体の第2のペアとを備える波形検出器であって、前記閾値距離は、電磁波に応答した、前記電磁波に応答する誘電体構造体の第1のペアにおける相対出力レベルが、前記電磁波の到来方向に関係し、また、前記電磁波に応答した誘電体構造体の前記第2のペアにおける相対出力レベルが、前記電磁波の前記到来方向に関係するようになっている、波形検出器。
【0084】
条項20. 誘電体基板を更に備え、誘電体構造体の前記第1のペア及び誘電体構造体の前記第2のペアは、前記誘電体基板内に少なくとも部分的に埋め込まれる、条項19に記載の波形検出器。
【0085】
条項21. 前記第1の誘電体構造体、前記第2の誘電体構造体、前記第3の誘電体構造体、及び前記第4の誘電体構造体の各々は、前記誘電体基板の相対誘電率よりも大きな相対誘電率を有する、条項20に記載の波形検出器。
【0086】
条項22. 前記第1の誘電体構造体、前記第2の誘電体構造体、前記第3の誘電体構造体、及び前記第4の誘電体構造体の各々は、前記誘電体基板の屈折率よりも大きな屈折率を有する、条項20に記載の波形検出器。
【0087】
条項23. 前記第1の誘電体構造体、前記第2の誘電体構造体、前記第3の誘電体構造体、及び前記第4の誘電体構造体の各々は、前記誘電体基板の外部において延在する部分を含む、条項20に記載の波形検出器。
【0088】
条項24. 前記第1の誘電体構造体、前記第2の誘電体構造体、前記第3の誘電体構造体、及び前記第4の誘電体構造体の各々は、ストロンチウムチタニウム(SrTiO)を含む、条項19に記載の波形検出器。
【0089】
条項25. 前記第1の誘電体構造体は前記第2の誘電体構造体と位相が実質的に一致し、前記第3の誘電体構造体は前記第4の誘電体構造体と位相が実質的に一致する、条項19に記載の波形検出器。
【0090】
条項26. 前記閾値距離は前記電磁波に対する結合距離に対応する、条項19に記載の波形検出器。
【0091】
条項27. 前記第1の誘電体構造体は第1の軸に沿って第2の誘電体構造体に揃えられ、前記第3の誘電体構造体は、前記第1の軸と非平行な第2の軸に沿って前記第4の誘電体構造体に揃えられる、条項19に記載の波形検出器。
【0092】
条項28. 前記第1の誘電体構造体、前記第2の誘電体構造体、前記第3の誘電体構造体、及び前記第4の誘電体構造体の主軸は実質的に平行である、条項19に記載の波形検出器。
【0093】
条項29. 第5の誘電体構造体と第6の誘電体構造体を備える誘電体構造体の第3のペア、及び、第7の誘電体構造体と第8の誘電体構造体を備える誘電体構造体の第4のペアを更に備え、前記第5の誘電体構造体、前記第6の誘電体構造体、前記第7の誘電体構造体、及び前記第8の誘電体構造体の主軸は実質的に平行で、前記第1の誘電体構造体、前記第2の誘電体構造体、前記第3の誘電体構造体、及び前記第4の誘電体構造体の主軸とは非平行である、条項28に記載の波形検出器。
【0094】
条項30. 到来方向決定の方法であって、前記方法は、電磁波に応答する、波形検出器の誘電体構造体の第1のペアにおける相対出力レベルを示す一又は複数の第1の信号を、センサシステムのプロセッサで受信することと、電磁波に応答する、波形検出器の誘電体構造体の第2のペアにおける相対出力レベルを示す一又は複数の第2の信号を、センサシステムのプロセッサで受信することと、誘電体構造体の前記第1のペアにおける前記相対出力レベル及び誘電体構造体の前記第2のペアにおける前記相対出力レベルに基づいて、前記プロセッサによって、前記電磁波の到来方向を決定することとを含む、方法。
【0095】
条項31. 前記電磁波の前記到来方向を決定することは、誘電体構造体の前記第1のペアにおける前記相対出力レベルに基づいて、予測される到来方向の第1の組を決定することと、誘電体構造体の前記第2のペアにおける前記相対出力レベルに基づいて、予測される到来方向の第2の組を決定することと、予測される到来方向の第1の組と予測される到来方向の第2の組との交差に基づいて、前記到来方向を選択することとを含む、条項30に記載の方法。
【0096】
条項32. 予測される到来方向の前記第1の組を決定することは、第1のマッピングデータから、予測される到来方向の前記第1の組を取り出すことを含み、前記第1のマッピングデータは、誘電体構造体の前記第1のペアの前記相対出力レベルの値を、予測される到来方向の前記第1の組にマッピングし、予測される到来方向の前記第2の組を決定することは、第2のマッピングデータから、予測される到来方向の前記第2の組を取り出すことを含み、前記第2のマッピングデータは、誘電体構造体の前記第2のペアの前記相対出力レベルの値を、予測される到来方向の前記第2の組にマッピングする、条項31に記載の方法。
【0097】
上述の実施形態は例示的なものであり、本開示を限定するものではない。本開示の原則により、多数の修正例及び変形例が可能になることを理解されたい。
【0098】
本書に記載の実施例の図は、様々な実装の構造の概略的な理解をもたらすことを意図している。これらの例示は、本書に記載の構造又は方法を利用する装置及びシステムの、要素及び特徴の全ての網羅的な説明としての役割を果たすことを意図するものではない。本開示を精査することで、当業者には、他の多くの実施例が自明となりうる。本開示の範囲を逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更がなされうるように、他の実施形態が利用され、本開示から導かれうる。例えば、方法ステップが図に示されているものとは異なる順序で実行されうるか、又は、一又は複数の方法ステップが省略されうる。したがって、本開示及び図は、限定的というよりは、むしろ例示的なものと見なされるべきである。
【0099】
更に、本書では特定の実施例を例示し、説明してきたが、同一又は類似の結果を実現するよう設計された任意の後続の構成を、図示の特定の実施例と置き換えてよいことを理解されたい。この開示は、様々な実施例の、あらゆる後続の適応例又は変形例を対象とすることを意図している。本明細書を精査することで、上記の実施例の組み合わせ、及び、本書では具体的に説明していないその他の実施例が、当業者には自明となろう。
【0100】
本開示の「要約書」は、それが、特許請求の範囲又は意味を解釈する又は限定するために使用されるわけではないとの理解のもとに、提出されるものである。加えて、上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡潔にする目的で、様々な特徴がひとまとめにグループ化されているか、又は、単一の実施例において説明されていることがある。この開示は、特許請求される実施例が各請求項に明示的に記載されているもの以外の特徴を要するという意図を反映していると、解釈すべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映しているように、特許請求される主題は、開示されている実施例のいずれについても、その全ての特徴よりも狭義に向けられうる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8