(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】シラン混合物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
C07F7/18 Q
C07F7/18 W
(21)【出願番号】P 2018221414
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】10 2017 221 259.4
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カーレン レーベン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ モーザー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ケプファー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー マイアー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ハッセ
(72)【発明者】
【氏名】フランク フォアスター
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-508406(JP,A)
【文献】国際公開第2017/036268(WO,A1)
【文献】特開2014-189598(JP,A)
【文献】特開2012-057107(JP,A)
【文献】米国特許第05726312(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
(R
1)
y(R
2)
3-ySi-R
3-(S-R
4)
n-S-R
5 (I)
のシランと、式II
(R
1)
y(R
2)
3-ySi-R
3-(S-R
4)
z-S-R
3-Si(R
1)
y(R
2)
3-y (II)
[式中、
R
1は、同一であるかまたは異なり、C
1~C
10アルコキシ基、フェノキシ基、C
4~C
10シクロアルコキシ基またはアルキルポリエーテル基-O-(R
6-O)
r-R
7であり、ここで、R
6は、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族混合型の2価のC
1~C
30炭化水素基であり、rは、1~30の整数であり、R
7は、非置換のまたは置換された、分岐状または非分岐状の1価のアルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキル基であり、
R
2は、同一であるかまたは異なり、C
6~C
20アリール基、C
1~C
10アルキル基、C
2~C
20アルケニル基、C
7~C
20アラルキル基またはハロゲンであり、
R
3は、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族混合型の2価のC
1~C
30炭化水素基であり、
R
4は、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族混合型の2価のC
1~C
30炭化水素基であり、
R
5は
、-C(=O)-R
8基であり、ここで、R
8は、水素、C
1~C
20アルキル基、C
6~C
20アリール基、C
2~C
20アルケニル基、C
7~C
20アラルキル基であり、かつ
nは、1、2または3であり、
yは、同一であるかまたは異なり、1、2または3であり、
zは、1、2または3である]のシランとを含有するシラン混合物において、前記式Iのシランと前記式IIのシランとのモル比は、20:80~90:10である、シラン混合物。
【請求項2】
nは1であり、かつzは1であることを特徴とする、請求項1記載のシラン混合物。
【請求項3】
前記式Iのシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-(S-(CH
2)
6)
n-S-C(=O)-R
8
であり、かつ前記式IIのシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OEt)
3であり、ここで、nは1であることを特徴とする、請求項1記載のシラン混合物。
【請求項4】
前記式Iのシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-C(=O)-CH
3、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-C(=O)-C
7H
15または(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-C(=O)-C
17H
35であり、かつ前記式IIのシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OEt)
3であることを特徴とする、請求項1記載のシラン混合物。
【請求項5】
前記式Iのシランと前記式IIのシランとのモル比は、30:70~75:25であることを特徴とする、請求項1記載のシラン混合物。
【請求項6】
請求項1記載のシラン混合物の製造方法において、前記式I
(R
1)
y(R
2)
3-ySi-R
3-(S-R
4)
n-S-R
5 (I)
のシランと、前記式II
(R
1)
y(R
2)
3-ySi-R
3-(S-R
4)
z-S-R
3-Si(R
1)
y(R
2)
3-y (II)
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、n、yおよびzは、上記の定義を有する]
のシランとを、20:80~90:10のモル比で混合することを特徴とする方法。
【請求項7】
nは1であり、かつzは1であることを特徴とする、請求項6記載のシラン混合物の製造方法。
【請求項8】
前記式Iのシランと前記式IIのシランとのモル比は、30:70~75:25であることを特徴とする、請求項6記載のシラン混合物の製造方法。
【請求項9】
前記式Iのシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-C(=O)-CH
3、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-C(=O)-C
7H
15または(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-C(=O)-C
17H
35であり、かつ前記式IIのシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OEt)
3であることを特徴とする、請求項7記載のシラン混合物の製造方法。
【請求項10】
第1のステップにおいて、式III
(R
1)
y(R
2)
3-ySi-R
3-SH (III)
のメルカプトシランと、式IV
Hal-R
4-Hal (IV)
[式中、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、上記の定義を有し、かつ
Halは、F、Cl、BrまたはIである]
のハロゲン化合物とを、式(III):式(IV)=34:66~76:24のモル比で反応させ、
第2のステップにおいて、前記第1の方法ステップで得られた生成物を、式(V)
NaS-C(=O)-R
8
(V)
[式中、
R
8
は、上記の定義を有する]のチオカルボン酸の塩と反応させるか、または、
第2のステップにおいて、前記第1の方法ステップで得られた生成物をNaSHと反応させ、次いで式(VI)
Cl-C(=O)-R
8
(VI)
[式中、
R
8
は、上記の定義を有する]の酸塩化物と反応させることを特徴とする、請求項2記載のシラン混合物の製造方法。
【請求項11】
前記式IIIのメルカプトシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-SHであり、前記式IVのハロゲン化合物は、Cl-(CH
2)
6-Clであり、かつ前記式Vのチオカルボン酸の塩は、NaS-C(=O)-CH
3、NaS-C(=O)-C
7H
15またはNaS-C(=O)-C
17H
35であることを特徴とする、請求項10記載のシラン混合物の製造方法。
【請求項12】
前記式IIIのメルカプトシランは、(EtO)
3Si-(CH
2)
3-SHであり、前記式IVのハロゲン化合物は、Cl-(CH
2)
6-Clであり、かつ前記式VIの酸塩化物は、Cl-C(=O)-CH
3、Cl-C(=O)-C
7H
15またはCl-C(=O)-C
17H
35であることを特徴とする、請求項10記載のシラン混合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン混合物およびその製造方法に関する。
【0002】
欧州特許出願公開第0670347号明細書(EP 0670347)および欧州特許出願公開第0753549号明細書(EP 0753549)には、少なくとも1種の架橋剤と、充填剤と、任意にさらなるゴム助剤と、式
R1R2R3Si-X1-(-Sx-Y-)m-(-Sx-X2-SiR1R2R3)n
の少なくとも1種の補強添加剤とを含有するゴム混合物が開示されている。
【0003】
特開2012-149189(JP 2012149189)には、式(R1O)lR2
(3-l)Si-R3-(SmR4)n-S-R5[式中、R5は、-C(=O)-R6であり、R6は、C1~C20である]のシランが開示されている。
【0004】
さらに、欧州特許出願公開第1375504号明細書(EP 1375504)には、式
(R1O)(3-P)(R2)PSi-R3-Sm-R4-(Sn-R4)q-Sm-R3-Si(R2)P(OR1)(3-P)
のシランが開示されている。
【0005】
国際公開第2005/059022号(WO 2005/059022)には、式
[R2R3R4Si-R5-S-R6-R7-]R1
のシランを含有するゴム混合物が開示されている。
【0006】
さらに、二官能性シランと式(Y)G(Z)のさらなるシランとを含有するゴム混合物(国際公開第2012/092062号(WO 2012/092062))や、ビストリエトキシシリルプロピルポリスルフィドとビストリエトキシシリルプロピルモノスルフィドとを含有するゴム混合物(欧州特許出願公開第1085045号明細書(EP 1085045))が知られている。
【0007】
欧州特許出願公開第1928949号明細書(EP 1928949)には、シラン(H5C2O)3Si-(CH2)3-X-(CH2)6-S2-(CH2)6-X-(CH2)3-Si(OC2H5)3および/または(H5C2O)3Si-(CH2)3-X-(CH2)10-S2-(CH2)6-X-(CH2)10-Si(OC2H5)3および(H5C2O)3Si-(CH2)3-Sm-(CH2)3-Si(OC2H5)3を含有するゴム混合物が開示されている。
【0008】
本発明の目的は、従来技術から知られているシランに対して転がり抵抗が改善されたゴム混合物をもたらすシラン混合物を提供することである。さらに、本発明によるシラン混合物によって、転がり抵抗とウェットグリップとの両立が困難であるという課題に対する有利な解決策が得られる。
【0009】
本発明は、式I
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)n-S-R5 (I)
のシランと、式II
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)z-S-R3-Si(R1)y(R2)3-y (II)
[式中、
R1は、同一であるかまたは異なり、C1~C10アルコキシ基、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基、フェノキシ基、C4~C10シクロアルコキシ基またはアルキルポリエーテル基-O-(R6-O)r-R7であり、ここで、R6は、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族混合型の2価のC1~C30炭化水素基であり、好ましくは-CH2-CH2-であり、rは、1~30の整数であり、好ましくは3~10の整数であり、R7は、非置換のまたは置換された、分岐状または非分岐状の1価のアルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキル基であり、好ましくはC13H27アルキル基であり、
R2は、同一であるかまたは異なり、C6~C20アリール基、好ましくはフェニル、C1~C10アルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基、C2~C20アルケニル基、C7~C20アラルキル基またはハロゲンであり、好ましくはClであり、
R3は、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族混合型の2価のC1~C30炭化水素基であり、好ましくはC1~C20、より好ましくはC1~C10、さらにより好ましくはC2~C7、特に好ましくはCH2CH2およびCH2CH2CH2であり、
R4は、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族混合型の2価のC1~C30炭化水素基であり、好ましくはC1~C20、より好ましくはC1~C10、さらにより好ましくはC2~C7、特に好ましくは(CH2)6であり、
R5は、水素または-C(=O)-R8基であり、ここで、R8は、水素、C1~C20アルキル基、好ましくはC1~C17、C6~C20アリール基、好ましくはフェニル、C2~C20アルケニル基、C7~C20アラルキル基であり、かつ
nは、1、2または3であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1であり、
yは、同一であるかまたは異なり、1、2または3であり、
zは、1、2または3であり、好ましくは1である]のシランとを含有するシラン混合物において、式Iのシランと式IIのシランとのモル比は、20:80~90:10であり、好ましくは25:75~85:15であり、より好ましくは25:75~80:20であり、最も好ましくは30:70~75:25であるシラン混合物を提供する。
【0010】
好ましくは、シラン混合物は、式I
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)n-S-R5 (I)
のシランと、式II
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)z-S-R3-Si(R1)y(R2)3-y (II)
[式中、
nは、1であり、
zは、1であり、かつ
R1、R2、R3、R4、R5およびyは、上記と同一の定義を有する]のシランとを含有することができる。
【0011】
本発明によるシラン混合物は、さらなる添加剤を含有してもよいし、式Iのシランおよび式IIのシランのみからなることもできる。
【0012】
本発明によるシラン混合物は、式Iのシランおよび/または式IIのシランの加水分解および縮合により形成されるオリゴマーを含有することができる。
【0013】
本発明によるシラン混合物は、すでに支持体、例えばワックス、ポリマーまたはカーボンブラックに施与されたものであってもよい。本発明によるシラン混合物は、すでにシリカに施与されたものであってもよく、その場合、結合は、物理的であっても化学的であってもよい。
【0014】
R
3およびR
4は、独立して、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2CH(CH
3)-、-CH(CH
3)CH
2-、-C(CH
3)
2-、-CH(C
2H
5)-、-CH
2CH
2CH(CH
3)-、-CH(CH
3)CH
2CH
2-、-CH
2CH(CH
3)CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、または
【化1】
であってよい。
【0015】
R1は、好ましくは、メトキシまたはエトキシであってよい。
【0016】
R5は、好ましくは、-C(=O)-CH3、-C(=O)-C2H5、-C(=O)-C3H7、-C(=O)-C4H9、-C(=O)-C5H11、-C(=O)-C6H13、-C(=O)-C7H15、-C(=O)-C8H17、-C(=O)-C9H19、-C(=O)-C10H21、-C(=O)-C11H23、-C(=O)-C12H25、-C(=O)-C13H27、-C(=O)-C14H29、-C(=O)-C15H31、-C(=O)-C16H33または-C(=O)-C17H35であってよい。
【0017】
式Iのシランは、好ましくは、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-CH3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C2H5、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C3H7、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C4H9、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C5H11、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C6H13、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C7H15、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C9H19、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C11H23、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C13H27、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C15H31、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)-S-C(=O)-C17H35、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-CH3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C2H5、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C3H7、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C4H9、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C5H11、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C6H13、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C7H15、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C9H19、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C11H23、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C13H27、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C15H31、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-C(=O)-C17H35、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-CH3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C2H5、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C3H7、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C4H9、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C5H11、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C6H13、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C7H15、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C9H19、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C11H23、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C13H27、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C15H31、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-C(=O)-C17H35、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-CH3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C2H5、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C3H7、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C4H9、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C5H11、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C6H13、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C7H15、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C9H19、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C11H23、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C13H27、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C15H31、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C17H35であってよい。
【0018】
特に好ましいシランは、式Iのシラン
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-CH3、(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C7H15および(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C17H35である。
【0019】
式IIのシランは、好ましくは、
(EtO)3Si-CH2-S-CH2-S-CH2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)2-S-CH2-S-(CH2)2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-CH2-S-(CH2)3-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-CH2-S-(CH2)2-S-CH2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)2-S-(CH2)2-S-(CH2)2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)2-S-(CH2)3-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-CH2-S-(CH2)3-S-CH2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)2-S-(CH2)3-S-(CH2)2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)3-S-(CH2)3-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-CH2-S-(CH2)4-S-CH2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)2-S-(CH2)4-S-(CH2)2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)4-S-(CH2)3-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-CH2-S-(CH2)5-S-CH2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)2-S-(CH2)5-S-(CH2)2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)5-S-(CH2)3-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-CH2-S-(CH2)6-S-CH2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)2-S-(CH2)6-S-(CH2)2-Si(OEt)3、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OEt)3であってよい。
【0020】
特に好ましいシランは、式IIのシラン
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OEt)3である。
【0021】
極めて特に好ましいのは、(EtO)3Si-(CH2)3-(S-(CH2)6)n-S-C(=O)-R5および(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OEt)3のシラン混合物であり、ここで、nは、1である。
【0022】
殊に好ましいシラン混合物は、
(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-CH3、(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C7H15または(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-C(=O)-C17H35および(EtO)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OEt)3のシラン混合物である。
【0023】
本発明はさらに、本発明によるシラン混合物の第1の製造方法において、式I
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)n-S-R5 (I)
のシランと、式II
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)z-S-R3-Si(R1)y(R2)3-y (II)
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、n、yおよびzは、上記の定義を有する]
のシランとを、20:80~90:10、好ましくは25:75~85:15、より好ましくは25:75~80:20、最も好ましくは30:70~75:25のモル比で混合することを特徴とする方法を提供する。
【0024】
好ましくは、式I
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)n-S-R5 (I)
のシランと、式II
(R1)y(R2)3-ySi-R3-(S-R4)z-S-R3-Si(R1)y(R2)3-y (II)
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびyは、上記の定義を有し、
nは、1であり、かつ
zは、1である]
のシランとを混合することができる。
【0025】
本発明による方法は、空気を排除して行うことができる。本発明による方法は、保護ガス雰囲気下で行うことができ、例えばアルゴンまたは窒素下で行うことができ、好ましくは窒素下で行うことができる。
【0026】
本発明による方法は、標準圧力下で行うことも、高圧下で行うことも、減圧下で行うこともできる。好ましくは、本発明による方法は、標準圧力下で行うことができる。
【0027】
高圧とは、1.1バール~100バール、好ましくは1.1バール~50バール、より好ましくは1.1バール~10バール、極めて好ましくは1.1バール~5バールの圧力であってよい。
【0028】
減圧とは、1ミリバール~1000ミリバール、好ましくは250ミリバール~1000ミリバール、より好ましくは500ミリバール~1000ミリバールの圧力であってよい。
【0029】
本発明による方法は、20℃~100℃、好ましくは20℃~50℃、より好ましくは20℃~30℃で行うことができる。
【0030】
本発明による方法は、溶媒中で行うことができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジンもしくは酢酸メチルまたは上記溶媒の混合物中で行うことができる。本発明による方法は、好ましくは無溶媒で行うことができる。
【0031】
本発明はさらに、n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法において、
第1のステップにおいて、式III
(R1)y(R2)3-ySi-R3-SH (III)
のメルカプトシランと、式IV
Hal-R4-Hal (IV)
[式中、
R1、R2、R3およびR4は、上記の定義を有し、かつ
Halは、F、Cl、BrまたはIであり、好ましくはClである]
のハロゲン化合物とを、式(III):式(IV)=34:66~76:24のモル比で反応させ、
第2のステップにおいて、前記第1の方法ステップで得られた生成物を、式(V)
NaS-C(=O)-R5 (V)
[式中、
R5は、上記の定義を有する]のチオカルボン酸の塩と反応させるか、または、
第2のステップにおいて、前記第1の方法ステップで得られた生成物をNaSHと反応させ、次いで式(VI)
Cl-C(=O)-R5 (VI)
[式中、
R5は、上記の定義を有する]の酸塩化物と反応させることを特徴とする方法を提供する。
【0032】
式IIIのメルカプトシランは、好ましくは、(C2H5O)3Si-CH2-SH、(C2H5O)3Si-CH2CH2-SH、(C2H5O)3Si-CH2CH2CH2-SHであってよい。
【0033】
式IVのハロゲン化合物は、好ましくは、Cl-CH2-Cl、Cl-CH2CH2-Cl、Cl-CH2CH2CH2-Cl、Cl-CH2CH2CH2CH2-Cl、Cl-CH2CH2CH2CH2CH2-Cl、Cl-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-Cl、Cl-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-ClまたはCl-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-Clであってよい。
【0034】
式(V)のチオカルボン酸の塩は、好ましくは、NaS-C(=O)-CH3、NaS-C(=O)-C7H15またはNaS-C(=O)-C17H35であってよい。
【0035】
式(VI)の酸塩化物は、好ましくは、Cl-C(=O)-CH3、Cl-C(=O)-C7H15またはCl-C(=O)-C17H35であってよい。
【0036】
特に好ましくは、式IIIのメルカプトシランは、(EtO)3Si-(CH2)3-SHであってよく、式IVのハロゲン化合物は、Cl-(CH2)6-Clであってよく、かつ式Vのチオカルボン酸の塩は、NaS-C(=O)-CH3、NaS-C(=O)-C7H15またはNaS-C(=O)-C17H35であってよく、また式IIIのメルカプトシランは、(EtO)3Si-(CH2)3-SHであってよく、式IVのハロゲン化合物は、Cl-(CH2)6-Clであってよく、かつ式VIの酸塩化物は、Cl-C(=O)-CH3、Cl-C(=O)-C7H15またはCl-C(=O)-C17H35であってよい。
【0037】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法では、すべての反応物を添加することによって、第1の方法ステップと第2の方法ステップとを1つの反応容器内で行うことができる。
【0038】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおいて、式IVのハロゲン化合物を式IIIのメルカプトシランに計量供給することができる。
【0039】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおいて、式IIIのメルカプトシランを、好ましくは、式IVのハロゲン化合物に計量添加することができる。
【0040】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおける反応は、空気を排除して行うことができる。n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおける反応は、保護ガス雰囲気下で行うことができ、例えばアルゴンまたは窒素下で行うことができ、好ましくは窒素下で行うことができる。
【0041】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップは、標準圧力下で行うことも、高圧下で行うことも、減圧下で行うこともできる。好ましくは、本発明による方法は、標準圧力下で行うことができる。高圧とは、1.1バール~100バール、好ましくは1.1バール~50バール、より好ましくは1.1バール~10バール、極めて好ましくは1.1バール~5バールの圧力であってよい。減圧とは、1ミリバール~1000ミリバール、好ましくは250ミリバール~1000ミリバール、より好ましくは500ミリバール~1000ミリバールの圧力であってよい。
【0042】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップは、0℃~150℃、好ましくは30℃~100℃、より好ましくは60℃~80℃で行うことができる。
【0043】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおける反応は、無溶媒で行うことも溶媒中で行うこともでき、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジンもしくは酢酸エチルまたは上記溶媒の混合物中で行うことができる。溶媒は、好ましくは、ジクロロメタン、エタノール、メチル-t-ブチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサンまたは上記溶媒の混合物であってよい。
【0044】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおける反応は、有機溶媒を用いずに行うことができる。溶媒は、水であってよい。
【0045】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップで得られる反応生成物から、次いで、ろ過によって固形状の副生成物を除去することができる。
【0046】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第1のステップにおける溶媒を、次いで除去することができ、好ましくは留去することができる。
【0047】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける反応は、空気を排除して行うことができる。
【0048】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける反応は、保護ガス雰囲気下で行うことができ、例えばアルゴンまたは窒素下で行うことができ、好ましくは窒素下で行うことができる。
【0049】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップは、標準圧力下で行うことも、高圧下で行うことも、減圧下で行うこともできる。好ましくは、本発明による方法は、標準圧力下で行うことができる。高圧とは、1.1バール~100バール、好ましくは1.1バール~50バール、より好ましくは1.1バール~10バール、極めて好ましくは1.1バール~5バールの圧力であってよい。減圧とは、1ミリバール~1000ミリバール、好ましくは250ミリバール~1000ミリバール、より好ましくは500ミリバール~1000ミリバールの圧力であってよい。
【0050】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップは、20℃~150℃、好ましくは40℃~100℃、より好ましくは60℃~90℃で行うことができる。
【0051】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける反応は、無溶媒で行うことも溶媒中で行うこともでき、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジンまたは酢酸エチル中で行うことができる。溶媒は、好ましくは、エタノールであってよい。
【0052】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける反応は、有機溶媒を用いずに行うことができる。溶媒は、水であってよい。
【0053】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける反応は、水中で、相間移動触媒の存在下で、適宜、塩および/または緩衝剤を添加して行うことができる。
【0054】
n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける溶媒を、次いで除去することができ、好ましくは留去することができる。n=1でかつz=1である本発明によるシラン混合物の製造方法の第2のステップにおける反応生成物をろ過して溶媒を除去した後に、乾燥させることができる。乾燥は、20℃~100℃、好ましくは25℃~50℃の温度で行うことができる。乾燥を、1~500ミリバールの減圧下で行うことができる。
【0055】
本発明によるシラン混合物を、例えばガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス表面、ガラス繊維または酸化物充填剤、好ましくはシリカ、例えば沈降シリカおよびヒュームドシリカといった無機材料と、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはエラストマーといった有機ポリマーとの間の接着促進剤として使用することも、酸化物表面のための架橋剤および表面改質剤として使用することもできる。
【0056】
本発明によるシラン混合物は、充填剤配合ゴム混合物におけるカップリング剤として使用することができ、ここで、充填剤配合ゴム混合物としては、例えばタイヤトレッド、工業用ゴム製品または履物底が挙げられる。
【0057】
本発明によるシラン混合物の利点は、転がり抵抗が低減されるとともに、ゴム混合物において転がり抵抗とウェットグリップとの両立が困難であるという課題に対する解決策が改善される点にある。
【0058】
例
NMR法:各例において分析結果として報告するモル比および重量比は、以下のパラメータを用いた13C NMR測定により得られたものである:100.6MHz、スキャン1000回、溶媒:CDCl3、校正用の内部標準物質:テトラメチルシラン、緩和補助剤:Cr(acac)3;生成物における重量比を求めるために、規定量のジメチルスルホンを内部標準物質として加え、生成物のモル比を用いて重量比を算出した。
【0059】
比較例1:3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、NXT Silane(Momentive Performance Materials製)。
【0060】
比較例2:ビストリエトキシシリルオクタン(ABCR GmbH製)。
【0061】
比較例3:比較例1 6.84重量部と比較例2 1.65重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、(EtO)3Si(CH2)3SCO(CH2)6CH3 83%:(EtO)3Si(CH2)8Si(OEt)3 17%のモル比に相当する。
【0062】
比較例4:
比較例1 6.84重量部と比較例2 2.47重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、(EtO)3Si(CH2)3SCO(CH2)6CH3 77%:(EtO)3Si(CH2)8Si(OEt)3 23%のモル比に相当する。
【0063】
比較例5:
比較例1 6.84重量部と比較例2 3.29重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、(EtO)3Si(CH2)3SCO(CH2)6CH3 71%:(EtO)3Si(CH2)8Si(OEt)3 29%のモル比に相当する。
【0064】
比較例6:
比較例1 6.30重量部と比較例2 2.53重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、(EtO)3Si(CH2)3SCO(CH2)6CH3 75%:(EtO)3Si(CH2)8Si(OEt)3 25%のモル比に相当する。
【0065】
比較例7:
比較例1 4.20重量部と比較例2 3.79重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、(EtO)3Si(CH2)3SCO(CH2)6CH3 57%:(EtO)3Si(CH2)8Si(OEt)3 43%のモル比に相当する。
【0066】
比較例8:
比較例1 2.10重量部と比較例2 5.06重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、(EtO)3Si(CH2)3SCO(CH2)6CH3 33%:(EtO)3Si(CH2)8Si(OEt)3 67%のモル比に相当する。
【0067】
比較例9:1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン
室温で撹拌しながら、1時間かけてNaOEt(EtOH中21%;1562g;4.820モル)をメルカプトプロピルトリエトキシシラン(1233g;5.170モル)に計量供給した。添加が完了した後、この反応混合物を還流下で2時間加熱し、その後、室温まで放冷した。生成された中間体を、1,6-ジクロロヘキサン(4828g;31.14モル)に計量供給した。この1,6-ジクロロヘキサンは、30分間かけて80℃に加熱しておいたものである。添加が完了した後、この反応混合物を還流下で3時間加熱し、その後、室温まで放冷した。この反応混合物をろ過し、フィルターケーキをEtOHですすいだ。揮発性成分を減圧下で除去したところ、1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン中間体(収率:89%、モル比:1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン97%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン3%;重量%:1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン95重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン5重量%)が、無色ないし褐色の液体として得られた。
【0068】
比較例10:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート
Na2CO3(59.78g;0.564モル)およびNaSH水溶液(水中40%;79.04g;0.564モル)を、水(97.52g)と共に最初に装入した。次いで、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPB)(水中50%;3.190g;0.005モル)を添加し、塩化アセチル(40.58g、0.517モル)を1時間かけて滴加し、その間に反応温度を25~32℃に保持した。塩化アセチルの添加が完了したら、この混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、TBPB(水中50%;3.190g;0.005モル)および1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン(比較例9で得られたもの;167.8g;0.470モル)を加え、この混合物を還流下で3~5時間加熱した。反応の進行を、ガスクロマトグラフィーでモニタリングした。1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサンが96%超の程度まで反応したら、すべての塩が溶解するまで水を加え、相を分離させた。有機相の揮発性成分を減圧下で除去したところ、S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート(収率:90%、モル比:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート97%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン3%;重量%:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート96重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン4重量%)が、黄色ないし褐色の液体として得られた。
【0069】
比較例11:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート
Na2CO3(220.2g;2.077モル)およびNaSH水溶液(水中40%;291.2g;2.077モル)を、水(339.2g)と共に最初に装入した。次いで、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(水中50%;10.96g;0.017モル)を添加し、塩化オクタノイル(307.2g;1.889モル)を2.5時間かけて滴加し、その間に反応温度を24~28℃に保持した。塩化オクタノイルの添加が完了したら、この混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、TBAB(水中50%;32.88g;0.051モル)および1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン(比較例9で得られたもの、606.9g;1.700モル)を加え、この混合物を還流下で10時間加熱した。次いで、すべての塩が溶解するまで水を加え、相を分離させた。有機相の揮発性成分を減圧下で除去し、S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート(収率:95%、モル比:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート97%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン3%;重量%:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート96重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン4重量%)が、黄色ないし褐色の液体として得られた。
【0070】
比較例12:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート
特開2012-149189(JP 2012149189)の合成例1および3に従い、1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン(比較例9で得られたもの)からS-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエートを製造した。
【0071】
S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート(収率:89%、モル比:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート97%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン3%;重量%:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート97重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン3重量%)が、黄色ないし褐色の液体として得られた。
【0072】
比較例13:1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン
反応温度が35℃を超えないように、ナトリウムエトキシド(EtOH中21%;82.3g;0.254モル;2.05当量)をメルカプトプロピルトリエトキシシラン(62.0g;0.260モル;2.10当量)に計量供給した。添加が完了したら、この混合物を還流下で2時間加熱した。次いで、この反応混合物を1,6-ジクロロヘキサン(19.2g;0.124モル;1.00当量)に80℃で1.5時間かけて添加した。添加が完了したら、この混合物を還流下で3時間加熱し、次いで室温まで放冷した。沈殿した塩をろ別し、生成物から溶媒を減圧下で除去した。生成物(13C NMRにて、収率:88%、純度:99%超)が、澄明な液体として得られた。
【0073】
実施例1:比較例11 6.84重量部と比較例13 1.59重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 80%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 20%のモル比に相当する。
【0074】
実施例2:比較例11 6.84重量部と比較例13 2.39重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 74%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 26%のモル比に相当する。
【0075】
実施例3:比較例11 6.84重量部と比較例13 3.18重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 69%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 31%のモル比に相当する。
【0076】
実施例4:比較例11 8.31重量部と比較例13 3.22重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 72%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 28%のモル比に相当する。
【0077】
実施例5:比較例11 5.54重量部と比較例13 4.83重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 55%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 45%のモル比に相当する。
【0078】
実施例6:比較例11 2.77重量部と比較例13 6.44重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 32%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 68%のモル比に相当する。
【0079】
実施例7:比較例10 6.86重量部と比較例13 3.22重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCOCH3 73%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 27%のモル比に相当する。
【0080】
実施例8:比較例10 4.57重量部と比較例13 4.83重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCOCH3 55%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 45%のモル比に相当する。
【0081】
実施例9:比較例10 2.29重量部と比較例13 6.44重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCOCH3 32%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 68%のモル比に相当する。
【0082】
実施例10:比較例10 9.14重量部と比較例13 1.61重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCOCH3 86%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 14%のモル比に相当する。
【0083】
実施例11:比較例10 11.08重量部と比較例13 1.61重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)6CH3 89%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 11%のモル比に相当する。
【0084】
実施例12:比較例10 14.32重量部と比較例13 1.61重量部とを、平坦なPE袋に量り入れて混合した。この混合物は、式Iのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6SCO(CH2)16CH3 89%:式IIのシラン(EtO)3Si(CH2)3S(CH2)6S(CH2)3Si(OEt)3 11%のモル比に相当する。
【0085】
実施例13:1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサンおよび1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン
室温で撹拌しながら、1時間かけてNaOEt(EtOH中21%;1562g;4.820モル)をメルカプトプロピルトリエトキシシラン(1233g;5.170モル)に計量供給した。添加が完了した後、この反応混合物を還流下で2時間加熱し、その後、室温まで放冷した。生成された中間体を、1,6-ジクロロヘキサン(801.7g;5.170モル)に計量供給した。この1,6-ジクロロヘキサンは、30分間かけて80℃に加熱しておいたものである。添加が完了した後、この反応混合物を還流下で3時間加熱し、その後、室温まで放冷した。この反応混合物をろ過し、フィルターケーキをEtOHですすいだ。揮発性成分を減圧下で除去したところ、1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン中間体(収率:88%、モル比:1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン66%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン34%;重量%:1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサン56重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン44重量%)が得られた。
【0086】
実施例14:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテートおよび1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン
合成を比較例2と同様に行った。ただし、比較例9で得られた1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサンではなく、実施例13で得られた材料を等モル量使用した。
【0087】
S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート(収率:98%、モル比:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート69%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン31%;重量%:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオアセテート61重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン39重量%)が、黄色ないし褐色の液体として得られた。
【0088】
実施例15:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエートおよび1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン
合成を比較例3と同様に行った。ただし、比較例9で得られた1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサンではなく、実施例13で得られた材料を等モル量使用した。
【0089】
S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート(収率:99%、モル比:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート68%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン32%;重量%:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタノエート65重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン35重量%)が、黄色ないし褐色の液体として得られた。
【0090】
実施例16:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエートおよび1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン
合成を比較例4と同様に行った。ただし、比較例9で得られた1-クロロ-6-チオプロピルトリエトキシシリルヘキサンではなく、実施例13で得られた材料を等モル量使用した。
【0091】
S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート(収率:87%、モル比:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート67%、ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン33%;重量%:S-(6-((3-(トリエトキシシリル)プロピル)チオ)ヘキシル)チオオクタデカノエート69重量%、1,6-ビス(チオプロピルトリエトキシシリル)ヘキサン31重量%)が、黄色ないし褐色の液体として得られた。
【0092】
実施例17:ゴム試験
ゴム混合物に使用した配合を、以下の表1に示す。単位phrは、使用した生ゴム100部を基準とした重量部を意味する。
【0093】
【0094】
【0095】
使用した物質:
a) NR TSR:天然ゴム(TSR=technically specified rubber、技術的格付けゴム)。
【0096】
b) Europrene Neocis BR 40(Polimeri製)。
【0097】
c) S-SBR:Sprintan(登録商標)SLR-4601(Trinseo製)。
【0098】
d) シリカ:ULTRASIL(登録商標)VN 3 GR(Evonik Industries AG製)(沈降シリカ、BET表面積=175m2/g)。
【0099】
e) TDAE油:TDAE=treated distillate aromatic extract、処理留出物芳香族系抽出物。
【0100】
f) 6PPD:N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)。
【0101】
g) DPG:N,N’-ジフェニルグアニジン(DPG)。
【0102】
h) CBS:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド。
【0103】
i) 硫黄:粉砕硫黄。
【0104】
この混合物は、容量300ミリリットル~3リットルの実験室用ミキサー内で3段階でゴム工業における慣用のプロセスで製造したものであり、このプロセスを、まず、第1の混合段階(ベース混合段階)で、145~165℃、目標温度152~157℃で200~600秒間かけて加硫系(硫黄および加硫に影響を与える物質)以外の全成分を混合することにより行った。第2段階で、第1段階で得られた混合物をもう一度徹底的に混合して、リミルと呼ばれる処理を行った。第3段階(レディミックス段階)での加硫系の添加によって最終混合物を生成し、これを、90~120℃で180~300秒間混合することによって行った。すべての混合物を使用し、(ASTM D 5289-12/ISO 6502に準拠して可動型ダイレオメータにて測定した)t95の後に160℃で加圧下で加硫することにより試験体を製造した。
【0105】
ゴム混合物およびその加硫物の一般的な製造方法は、”Rubber Technology Handbook”, W.Hofmann, Hanser Verlag, 1994に記載されている。
【0106】
表2に規定した試験方法に従ってゴム試験を実施した。このゴム試験の結果を、表3に報告する。
【0107】
【0108】
【0109】
比較混合物と比較して、本発明による混合物は、転がり抵抗(70℃で測定した反発弾性)の改善を特徴とする。さらに、本発明によるシラン混合物によって、転がり抵抗とウェットグリップ(70℃で測定した反発弾性と23℃で測定した反発弾性との差)との両立が困難であるという課題に対する有利な解決策が得られる。
【0110】
実施例18:ゴム試験
ゴム混合物に使用した配合を、以下の表4に示す。単位phrは、使用した生ゴム100部を基準とした重量部を意味する。
【0111】
【0112】
使用した物質:
a) NR TSR:天然ゴム(TSR=technically specified rubber、技術的格付けゴム)。
【0113】
b) Europrene Neocis BR 40(Polimeri製)。
【0114】
c) S-SBR:Sprintan(登録商標)SLR-4601(Trinseo製)。
【0115】
d) シリカ:ULTRASIL(登録商標)VN 3 GR(Evonik Industries AG製)(沈降シリカ、BET表面積=175m2/g)。
【0116】
e) TDAE油:TDAE=treated distillate aromatic extract、処理留出物芳香族系抽出物。
【0117】
f) 6PPD:N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)。
【0118】
g) DPG:N,N’-ジフェニルグアニジン(DPG)。
【0119】
h) CBS:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド。
【0120】
i) 硫黄:粉砕硫黄。
【0121】
この混合物は、容量300ミリリットル~3リットルの実験室用ミキサー内で3段階でゴム工業における慣用のプロセスで製造したものであり、このプロセスを、まず、第1の混合段階(ベース混合段階)で、145~165℃、目標温度152~157℃で200~600秒間かけて加硫系(硫黄および加硫に影響を与える物質)以外の全成分を混合することにより行った。第2段階で、第1段階で得られた混合物をもう一度徹底的に混合して、リミルと呼ばれる処理を行った。第3段階(レディミックス段階)での加硫系の添加によって最終混合物を生成し、これを、90~120℃で180~300秒間混合することによって行った。すべての混合物を使用し、(ASTM D 5289-12/ISO 6502に準拠して可動型ダイレオメータにて測定した)t95の後に160℃で加圧下で加硫することにより試験体を製造した。
【0122】
ゴム混合物およびその加硫物の一般的な製造方法は、”Rubber Technology Handbook”, W.Hofmann, Hanser Verlag, 1994に記載されている。
【0123】
表2に規定した試験方法に従ってゴム試験を実施した。このゴム試験の結果を、表5に報告する。
【0124】
【0125】
実施例13と同様に、比較混合物と比較して、本発明による混合物は、転がり抵抗(70℃で測定した反発弾性)の改善を特徴とする。またも、本発明によるシラン混合物によって、転がり抵抗とウェットグリップ(70℃で測定した反発弾性と23℃で測定した反発弾性との差)との両立が困難であるという課題に対する有利な解決策が得られる。本発明によるシラン混合物を等モル使用したところ、こうした利点が、式Iのシランのアルキル基のCH2単位の数とは無関係であることが実証された。