(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】配線構造体、半導体装置、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20230417BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20230417BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230417BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230417BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20230417BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H01L21/90 B
H01L29/78 612C
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G02F1/1368
G02F1/1343
(21)【出願番号】P 2019002537
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽平
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-199272(JP,A)
【文献】国際公開第2012/017584(WO,A1)
【文献】特開2016-006855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 29/786
G09F 9/30
G02F 1/1368
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンを有する構造物と、
前記構造物の上方において、前記構造物のパターンの縁を横切るように設けられた、前記構造物のパターンの縁の段差を反映した形状を有する第1導電層と、
前記第1導電層の上方に設けられ、平面視において前記構造物のパターンの縁と重な
り、前記段差を反映した前記第1導電層を露出する第1開口を備えた第1絶縁層と、
前記第1開口の内部に設けられ、前記第1導電層に接続された第2導電層と、
を有
し、
前記構造物が設けられた領域における前記第1絶縁層の上面は、前記構造物が設けられていない領域における前記第1絶縁層の上面よりも上方に位置し、
前記第1導電層は、第1膜と、前記第1膜の下方の第2膜と、前記第2膜の下方の第3膜とを含み、
前記第1膜の前記第2膜側の面の一部は前記第2膜から露出され、
前記第2導電層は、前記第3膜に接している、配線構造体。
【請求項2】
前記構造物は酸化物半導体である、請求項1に記載の配線構造体。
【請求項3】
前記第1導電層は、
ソース電極又はドレイン電極である、請求項2に記載の配線構造体。
【請求項4】
前記第2膜と前記第2導電層との間に間隙が設けられている、請求項2又は3に記載の配線構造体。
【請求項5】
前記構造物の下方に設けられた第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の下方に設けられ、平面視において前記第1開口と重ならない領域に設けられた半導体層と、
をさらに有し、
前記構造物は、前記第1導電層に接続された第1酸化物半導体層を含み、
前記第1絶縁層は、平面視において前記半導体層と重なる領域に第2開口を備え、
前記第2絶縁層は、平面視において前記第2開口と重なる領域に第3開口を備える、請求項1乃至4のいずれか一に記載の配線構造体。
【請求項6】
請求項
1に記載の配線構造体と、
前記第1導電層に接続された第1酸化物半導体層と、
前記第1酸化物半導体層に対向するゲート電極と、
前記第1酸化物半導体層と前記ゲート電極との間のゲート絶縁層と、
前記第1酸化物半導体層に接続された第3導電層と、
を有し、
前記第1酸化物半導体層は、前記第1導電層と前記第3導電層との間に設けられている半導体装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の上に設けられ、第4開口を備えた第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の上及び前記第4開口に設けられ、前記第3導電層に接続された画素電極と、
を有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、配線構造体、当該配線構造体を用いた半導体装置、及び当該半導体装置を用いた表示装置に関する。特に、本発明の実施形態の一つは、異なる層に設けられた導電層を接続するコンタクト構造を備えた配線構造体、半導体装置、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の画素回路や駆動回路として用いられる、トランジスタなどの半導体装置では、複数の導電層及び複数の絶縁層が積層された構造の配線が採用されている。複数の導電層の各々がパターニングされ、互いに接続されることで、当該配線が形成される。この配線によって複数の半導体装置が接続されることで、上記の画素回路や駆動回路が構成される。
【0003】
上記のような配線を形成する配線構造体において、異なる導電層間の導通を確保するためのコンタクト構造は非常に重要である。このようなコンタクト構造として、例えば特許文献1~3に示すようなコンタクト構造が提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-233627号公報
【文献】特開平10-335581号公報
【文献】特開平7-142493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、異なる導電層間の導通を確保するためのコンタクト構造は、安定した動作及び高い信頼性を有する半導体装置を実現するために非常に重要である。しかしながら、特許文献1~3に示すようなコンタクト構造において、下層の導電層の一部を露出するように絶縁層に開口を形成した後に、洗浄処理や薬液処理をおこなうと、絶縁層から露出された導電層がエッチングされて、下層の導電層と上層の導電層との間の導通不良が発生する場合がある。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、積層された異なる導電層間の導通を確保するためのコンタクト構造を備えた配線構造体、当該配線構造体を用いた半導体装置、及び当該半導体装置を用いた表示装置を実現することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る配線構造体は、パターンを有する構造物と、前記構造物の上方において、前記構造物のパターンの縁を横切るように設けられた、前記構造物のパターンの縁の段差を反映した形状を有する第1導電層と、前記第1導電層の上方に設けられ、平面視において前記構造物のパターンの縁と重なる第1開口を備えた第1絶縁層と、前記第1開口の内部に設けられ、前記第1導電層に接続された第2導電層と、を有する。
【0008】
本発明の一実施形態に係る配線構造体は、第1導電層と、前記第1導電層の上方に設けられた第2酸化物半導体層と、前記第2酸化物半導体層の上方に設けられ、平面視において前記第1導電層と重なる第1開口を備えた第1絶縁層と、前記第1開口の内部に設けられ、前記第1導電層に接続された第2導電層と、を有し、前記第1導電層と前記第1絶縁層との間には、前記第2酸化物半導体層によって囲まれた間隙が設けられており、平面視において、前記第1導電層と前記第2導電層とが接する領域は、前記間隙によって囲まれている。
【0009】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、上記の配線構造体と、前記第1導電層に接続された第1酸化物半導体層と、前記第1酸化物半導体層に対向するゲート電極と、前記第1酸化物半導体層と前記ゲート電極との間のゲート絶縁層と、前記第1酸化物半導体層に接続された第3導電層と、を有し、前記第1酸化物半導体層は、前記第1導電層と前記第3導電層との間に設けられている。
【0010】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、上記の半導体装置と、前記半導体装置の上に設けられ、第4開口を備えた第3絶縁層と、前記第3絶縁層の上及び前記第4開口に設けられ、前記第3導電層に接続された画素電極と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す平面図である。
【
図10】従来の配線構造体における問題点を説明する断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る配線構造体による効果を説明する断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を示す平面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す回路図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素電極及び共通電極の平面図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す回路図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号の後にアルファベットを付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
本発明の各実施の形態において、下地層から配線構造体に向かう方向、又はトランジスタから画素電極に向かう方向を上又は上方という。逆に、配線構造体から下地層に向かう方向、又は画素電極からトランジスタに向かう方向を下又は下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、下地層と配線構造体との上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で、例えば下地層上の配線構造体という表現は、上記のように下地層と配線構造体との上下関係を説明しているに過ぎず、下地層と配線構造体の間に他の部材が配置されていてもよい。また、上方又は下方は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、トランジスタの上方の画素電極と表現する場合、平面視においてトランジスタと画素電極とが重ならない位置関係であってもよい。一方、トランジスタの鉛直上方の画素電極と表現する場合は、平面視においてトランジスタと画素電極とが重なる位置関係を意味する。
【0014】
「配線構造体」とは、導電層がパターニングされた、回路を構成する配線の一部である。例えば、配線構造体は、絶縁層によって離隔された異なる層に設けられた異なる層に設けられた導電層が、当該絶縁層に設けられた開口を介して互いに接続された構造体を指す。本実施形態では、配線構造体に含まれる導電層が2層である構造を例示するが、導電層は3層以上であってもよい。
【0015】
「表示装置」とは、電気光学層を用いて映像を表示する構造体を指す。例えば、表示装置という用語は、電気光学層を含む表示パネルを指す場合もあり、又は表示セルに対して他の光学部材(例えば、偏光部材、バックライト、タッチパネル等)を装着した構造体を指す場合もある。ここで、「電気光学層」には、技術的な矛盾が生じない限り、液晶層、エレクトロルミネセンス(EL)層、エレクトロクロミック(EC)層、電気泳動層が含まれ得る。したがって、後述する実施形態について、表示装置として、液晶層を含む液晶表示装置、及び有機EL層を含む有機EL表示装置を例示して説明するが、本実施形態における構造は、上述した他の電気光学層を含む表示装置へ適用することができる。
【0016】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0017】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0018】
〈第1実施形態〉
図1~
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る配線構造体及び配線構造体の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態の配線構造体は、表示装置に用いられるトランジスタなどの半導体装置の他に、例えば、マイクロプロセッサ(Micro-Processing Unit:MPU)などの集積回路(Integrated Circuit:IC)、又はメモリ回路に用いられてもよい。
【0019】
[配線構造体10の構成]
図1及び
図2を用いて、本発明の一実施形態に係る配線構造体10の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す平面図である。
【0020】
図1に示すように、配線構造体10は下地層90の上方に設けられている。配線構造体10は、パターンを有する構造物200、第1導電層100、第1絶縁層120、及び第2導電層130を有する。構造物200は下地層90の上方に設けられている。第1導電層100は、構造物200の上方において、構造物200のパターン縁部201を横切るように設けられている。第1導電層100は、構造物200によって構成された、構造物200のパターン縁部201の段差を反映した形状を有する。換言すると、第1導電層100は、構造物200の上面、構造物200が設けられていない下地層90の上面、及び構造物200のパターン縁部201(つまり、構造物200の側面)に設けられており、これらの面に沿って連続した形状を有している。その結果、構造物200が設けられた領域(つまり、構造物200の鉛直上方)における第1導電層100の上面101-1は、構造物200が設けられていない領域における第1導電層100の上面101-2よりも上方(下地層90から遠い位置)に存在する。
【0021】
第1絶縁層120は下地層90、構造物200、及び第1導電層100の上方に設けられている。第1絶縁層120は、第1導電層100と同様に、構造物200によって構成された、構造物200のパターン縁部201の段差を反映した形状を有する。つまり、構造物200が設けられた領域における第1絶縁層120の上面120-1は、構造物200が設けられていない領域における第1絶縁層120の上面120-2よりも上方(下地層90から遠い位置)に存在する。
【0022】
第1絶縁層120には第1開口121が設けられている。
図2に示すように、平面視において第1開口121は構造物200のパターン縁部201と重なる。換言すると、パターン縁部201は第1開口121を横切っている。
【0023】
第1導電層100は、第1膜101、第2膜103、及び第3膜105を有する。第2膜103は第1膜101の下方に設けられている。第3膜105は第2膜103の下方に設けられている。
図1の例では、第2膜103が第1膜101の端部よりも水平方向にサイドエッチングされており、第1膜101、第2膜103、第3膜105、及び第2導電層130によって囲まれた間隙150が形成されている。換言すると、第1膜101の第2膜103側の面の一部は、第2膜103から露出されている。第2導電層130は第3膜105に接している。また、第2導電層130も、第1導電層100と同様に、第1膜131、第2膜133、及び第3膜135を有する。第1膜101、第3膜105、第1膜131、及び第3膜135の膜厚は10nm以上100nm以下である。第2膜103及び第2膜133の膜厚は50nm以上500nm以下である。
【0024】
第1膜101及び第3膜105として、第2膜103よりも耐薬品性が高く、酸化しにくい材料が用いられる。同様に、第1膜131及び第3膜135として、第2膜133よりも耐薬品性が高く、酸化しにくい材料が用いられる。例えば、第1膜101、第3膜105、第1膜131、及び第3膜135として、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、及びこれらの合金又は化合物が用いられる。第2膜103として、第1膜101及び第3膜105よりも低抵抗の材料が用いられる。同様に、第2膜133として、第1膜131及び第3膜135よりも低抵抗の材料が用いられる。第2膜103及び第2膜133として、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金が用いられる。
【0025】
本実施形態では、第1導電層100及び第2導電層130として、3つの膜が積層された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1導電層100及び第2導電層130の各々が、4つ以上の膜が積層された積層構造、2つ膜が積層された積層構造、又は1つの膜で構成された単層構造であってもよい。
【0026】
図1に示すように、第2導電層130は、第1絶縁層120の上方及び第1開口121の内部に設けられ、第1開口121の底部又はその下方において、上記のように第1導電層100に接続されている。なお、
図1では、第2導電層130は、構造物200が設けられた領域における第1開口121の側壁121-1から第3膜105まで連続している。一方で、構造物200が設けられていない領域における第1開口121の側壁121-2では、第2導電層130は第1膜101とだけ接しており、それより下は断線している。ただし、詳細は後述するが、側壁121-2に設けられた第2導電層130が第3膜105まで連続していてもよい。
【0027】
なお、
図1では、第2導電層130に含まれる第1膜131、第2膜133、及び第3膜135の全ての膜が側壁121-1から第3膜105まで連続した構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第2導電層130の含まれる複数の膜のうち、いずれか一つの膜が側壁121-1から第3膜105まで連続していればよく、複数の膜の全てが連続している必要はない。
【0028】
本実施形態では、仮に第2膜103が第1膜101の端部よりも水平方向にサイドエッチングされた場合であっても、第2導電層130と第1開口121で露出された第1導電層100と接触を確保することができる構成を説明しているに過ぎない。つまり、第2膜103が第1膜101の端部よりも水平方向にサイドエッチングされていなくてもよく、間隙150が設けられていなくてもよい。
【0029】
なお、詳細は後述するが、チャネルとして酸化物半導体層が用いられたトランジスタのソース電極及びドレイン電極に対して配線構造体10を適用する場合、チャネルとして用いられる酸化物半導体層の一部によって構造物200が構成されてもよい。この場合、チャネル及び構造物200として用いられる酸化物半導体層を「第1酸化物半導体層」という場合がある。
【0030】
[配線構造体10の製造方法]
図3~
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る配線構造体10の製造方法について説明する。
図3~
図5は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【0031】
図3に示すように、下地層90の上方に構造物200、第1導電層100、及び第1絶縁層120が形成された状態で、第1開口121に対応する領域が開口されたフォトレジスト300を用いて、第1絶縁層120をエッチングする。エッチングの条件として、第1導電層100(特に第1膜101)のエッチングレートに対して第1絶縁層120のエッチングレートが高い条件が用いられる。
図3の状態は、第1絶縁層120のエッチングが第1膜101でストップした状態である。つまり、第1膜101は第1絶縁層120のエッチングにおいて、エッチングストッパの機能を有している。
【0032】
ここで、第1絶縁層120だけをエッチングする場合は、第1絶縁層120のエッチングレート及び膜厚に基づいてエッチング時間が決定されるため、第1膜101が消失する前に第1絶縁層120のエッチングを止めることができる。しかし、第1絶縁層120の膜厚の面内ばらつきが大きい場合、又は第1絶縁層120のエッチング工程において第1絶縁層120よりも下層に設けられた他の絶縁層をエッチングする場合、
図4に示すように、第1膜101がエッチングされ、第2膜103が露出する場合がある。
【0033】
図4のように第1開口121において第2膜103が露出した状態で工程が進んだ場合、表面に露出した第2膜103が、例えばフッ酸(HF)等の薬液を用いた洗浄工程や薬液処理工程に晒される。その結果、
図5に示すように、第2膜103がエッチングされてしまう場合がある。洗浄工程や薬液処理工程で第2膜103がエッチングされる場合、第2膜103は等方的にエッチングされる。したがって、第2膜103は、第1膜101の端部よりも水平方向にサイドエッチングされる。その結果、第1膜101の第2膜103側の面の一部が露出され、
図1の間隙150に相当する空間が形成される。
【0034】
第1開口121の下方に、かつ、平面視において第1開口121と重なる領域に構造物200のパターン縁部201が存在しない場合、第2膜103が第1膜101の端部よりも水平方向にサイドエッチングされた状態で第2導電層130を形成すると、第2導電層130が断線してしまい、第2導電層130と第1導電層100との間の安定した接続が確保できない場合がある。
【0035】
しかし、
図5に示す構造の場合、構造物200が設けられていない領域における第1絶縁層120の上面120-2が構造物200が設けられた領域における第1絶縁層120の上面120-1よりも下地層90に近い。そのため、上面120-2側から飛来した(つまり、D1の方向に飛んできた)第2導電層130の材料は、上面120-1側の側壁121-1及び側壁121-1の下方の領域に成膜されやすい。その結果、
図1に示すように、第2導電層130を側壁121-1から第3膜105まで連続して形成することができる。
【0036】
[第1実施形態の変形例]
図6を用いて、第1実施形態の変形例に係る配線構造体10について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す断面図である。
【0037】
図6に示す配線構造体10は、
図1に示す配線構造体10と比較して、構造物200のパターン縁部201が、側壁121-1よりも側壁121-2に近い側に位置している。そして、
図1とは異なり、第2導電層130は側壁121-2から第3膜105まで連続している。
図6に示す配線構造体10は、
図7に示す状態の構造体に第2導電層130を形成することで得られる。
図7に示す構造の場合、構造物200のパターン縁部201の付近において構造物200の上面に設けられた第3膜105が、側壁121-2付近に位置している。そのため、上方から飛来した(つまり、D2の方向に飛んできた)第2導電層130の材料は、側壁121-2上及びパターン縁部201付近の第3膜105上に成膜される。ここで、側壁121-2とパターン縁部201との距離が近いため、
図6のように第2導電層130は側壁121-2から第3膜105まで連続するように形成される。
【0038】
なお、
図6では、第2導電層130に含まれる第1膜131、第2膜133、及び第3膜135の全ての膜が側壁121-2から第3膜105まで連続した構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第2導電層130の含まれる複数の膜のうち、いずれか一つの膜が側壁121-2から第3膜105まで連続していればよく、複数の膜の全てが連続している必要はない。
【0039】
上記のように、構造物200のパターン縁部201が側壁121-2よりも側壁121-1に近い側に位置している場合は、
図1に示すような形状になり、パターン縁部201が側壁121-1よりも側壁121-2に近い側に位置している場合は、
図6のような形状になる。したがって、構造物200のパターンと第1開口121とのアライメントズレが起きた場合であっても、第1導電層100と第2導電層130との間の安定した導通を確保することができる。
【0040】
なお、構造物200のパターン縁部201の底部203及び上部205は、ともに平面視において第1開口121と重なる位置に存在していることが好ましい。ここで、パターン縁部201の上部205を、パターン縁部201の側壁と構造物200の上面との間の、最も曲率半径が小さい位置と定義することができる。構造物200のパターン縁部201における側壁の傾斜角の最大値は30°以上、又は60°以上であることが好ましい。構造物200の厚さは10nm以上、又は50nm以上であることが好ましい。
【0041】
また、第1開口121の「開口径:開口深さ」を示す比は2:1以上50:1以下であることが好ましい。ここで、第1開口121のアスペクト比は、例えば、平面視における第1開口121の開口径、及び上面120-1から鉛直下方の第1導電層100までの第1絶縁層の厚さに基づいて算出することができる。ここで、第1開口121の開口径は、第1開口121の平面視における形状が円形である場合は、その円の直径と定義することができ、第1開口121の平面視における形状が円形以外の形状の場合は、その形状において最も距離が長い位置の長さと定義することができる。
【0042】
〈第2実施形態〉
図8~
図13を用いて、本発明の一実施形態に係る配線構造体及び配線構造体の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態の配線構造体は、表示装置に用いられるトランジスタなどの半導体装置の他に、例えば、マイクロプロセッサ(Micro-Processing Unit:MPU)などの集積回路(Integrated Circuit:IC)、又はメモリ回路に用いられてもよい。
【0043】
[配線構造体10の構成]
図8及び
図9を用いて、本発明の一実施形態に係る配線構造体10Aの構成について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す断面図である。
図9は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の概要を示す平面図である。
【0044】
図8に示すように、配線構造体10Aは下地層90Aの上方に設けられている。配線構造体10Aは、第1導電層100A、第2酸化物半導体層110A、第1絶縁層120A、及び第2導電層130Aを有する。第1導電層100Aは下地層90Aの上方に設けられている。第2酸化物半導体層110Aは第1導電層100Aの上方に設けられている。第1絶縁層120Aは下地層90A、第1導電層100A、及び第2酸化物半導体層110Aの上方に設けられている。第1絶縁層120Aには第1開口121Aが設けられている。第1開口121Aは平面視において第1導電層100Aと重なる。第2導電層130Aは、第1絶縁層120Aの上方、及び第1開口121Aの内部に設けられ、第1開口121Aの底部又はその下方において、第1導電層100Aに接している。
【0045】
第1導電層100Aと第1絶縁層120Aとの間には、第2酸化物半導体層110Aによって囲まれた間隙140Aが設けられている。つまり、間隙140Aが設けられた領域において、第1導電層100Aは第1絶縁層120Aから離隔されている。間隙140Aは、第1導電層100A、第2酸化物半導体層110A、第1絶縁層120A、及び第2導電層130Aによって囲まれている。換言すると、第1導電層100Aに対向する、第1絶縁層120Aの第1導電層100A側の第1面123Aの一部は、第2導電層130Aから第2酸化物半導体層110Aまで間隙140Aにおいて露出されている。第1面123Aに対向する第1導電層100Aの第2面107Aの一部は、第2導電層130Aから第2酸化物半導体層110Aまで間隙140Aにおいて露出されている。詳細は後述するが、間隙140Aが設けられた領域は、製造工程の途中まで第2酸化物半導体層110Aが設けられていた領域であり、ある工程で第2酸化物半導体層110Aが除去された領域に相当する。
【0046】
図9に示すように、平面視において間隙140Aは第1開口121Aの周囲に設けられている。
図8に示した断面構造と併せると、第1開口121Aの底部において第1導電層100Aと第2導電層130Aとが接する領域は、間隙140Aによって連続的に囲まれている、ということができる。さらに換言すると、間隙140Aは環状(リング状又は閉ループ状)である。間隙140Aは、第2酸化物半導体層110Aによって連続的に囲まれている。換言すると、第2酸化物半導体層110Aは環状である。
【0047】
間隙140Aの幅W1(
図9参照)は、間隙140Aの高さH1(
図8参照)よりも大きい。なお、幅W1は、第1開口121Aの底部における第2導電層130Aから間隙140Aを囲む第2酸化物半導体層110Aまでの距離である。高さH1は、第1面123Aから第2面107Aまでの距離である。幅W1に対する高さH1の比率(つまり、H1/W1)は0.0025以上、又は0.3以上であることが好ましい。
【0048】
第2酸化物半導体層110Aの酸素の組成比は、第2酸化物半導体層110Aと同様の組成の酸化物半導体に対する化学量論比における酸素の組成比より小さい。つまり、第2酸化物半導体層110Aとして、酸素が欠乏した状態の酸化物半導体が用いられる。換言すると、第2酸化物半導体層110Aの酸素の組成比は、第1酸化物半導体層(トランジスタのチャネルとして用いられる酸化物半導体層)の酸素の組成比よりも小さい。ただし、第2酸化物半導体層110Aの酸素の組成比は、第2酸化物半導体層110Aと同様の組成の酸化物半導体に対する化学量論比における酸素の組成比と同じであってもよく、大きくてもよい。また、第2酸化物半導体層110Aの酸素の組成比は、第1酸化物半導体層の酸素の組成比と同じであってもよく、大きくてもよい。
【0049】
第1絶縁層120Aが酸化絶縁層である場合、第1絶縁層120Aの酸素の組成比は、第1絶縁層120Aと同様の組成の酸化物に対する化学量論比における酸素の組成比より大きい。つまり、第1絶縁層120Aとして、酸素を過剰に含んだ酸化物が用いられる。換言すると、第1絶縁層120Aの酸素の組成比は、他の層で用いられた同様の組成の酸化物の酸素の組成比よりも大きい。ただし、第1絶縁層120Aの酸素の組成比は、第1絶縁層120Aと同様の組成の酸化物に対する化学量論比における酸素の組成比と同じであってもよく、小さくてもよい。また、第1絶縁層120Aの酸素の組成比は、他の層で用いられた同様の組成の酸化物の酸素の組成比と同じであってもよく、小さくてもよい。
【0050】
第1導電層100Aは、第1膜101A、第2膜103A、及び第3膜105Aを有する。第1膜101Aは、第2酸化物半導体層110Aの鉛直下方において第2酸化物半導体層110Aに接している。第1膜101Aは、後述する第2導電層130Aの第3膜135Aに接している。第2膜103Aは第1膜101Aの下方に設けられている。第3膜105Aは第2膜103Aの下方に設けられている。
【0051】
本実施形態では、第1導電層100A及び第2導電層130Aとして、3つの膜が積層された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1導電層100A及び第2導電層130Aの各々が、4つ以上の膜が積層された積層構造、2つ膜が積層された積層構造、又は1つの膜で構成された単層構造であってもよい。
【0052】
[第2実施形態に係る構成による効果]
ここで、
図10を用いて、本発明に至る過程において、発明者によって新たに見出された課題について説明する。また、
図11を用いて、本発明の第2実施形態に係る構成による効果について説明する。
図10は、従来の配線構造体における問題点を説明する断面図である。
図11は、本発明の一実施形態に係る配線構造体による効果を説明する断面図である。
図10に示す配線構造体10Z及び
図11に示す配線構造体10Aでは、第1絶縁層120Z、120Aとして酸化絶縁層が用いられた構成を例示している。第1導電層100Z及び第2導電層130Zの構成は、
図8に示す第1導電層100A及び第2導電層130Aの構成と同じである。
【0053】
第1絶縁層120Z、120Aとして酸化絶縁層が用いられる場合、配線構造体10Z、10Aが適用されるデバイスの構造によって、酸化絶縁層の物性が異なる。例えば、配線構造体10Z、10Aが適用されるデバイスがトランジスタであり、トランジスタのチャネルとして酸化物半導体層が用いられ、酸化絶縁層が当該酸化物半導体層を覆う構造の場合、この酸化絶縁層として、当該酸化絶縁層の材料に対する化学量論比における酸素の割合よりも酸素の割合が高い酸化絶縁層が用いられる場合がある。この酸素の割合が高い酸化絶縁層は、熱処理によって、当該酸化絶縁層の外部に酸素を放出する。つまり、熱処理によって、当該酸化絶縁層に含まれる酸素は、当該酸化絶縁層に隣接する他の層に拡散する。
【0054】
図10の(A)に示す配線構造体10Zは、
図8に示す配線構造体10Aと類似しているが、第1導電層100Zの上方に酸化物半導体層及び間隙が設けられていない点において、配線構造体10Aとは相違する。
図10の(A)の状態で熱処理を行うと、第1導電層100Zと第2導電層130Zとの間のコンタクト抵抗が上昇する場合がある。その原因として以下の現象が起きていることが推測される。
【0055】
図10の(B)は、熱処理を行っている状態における第1絶縁層120Z中の酸素の挙動、及び当該酸素による第1膜101Zの上面の変化を示す。
図10の(A)の状態で熱処理を行うと、第1絶縁層120Z中の酸素が第1導電層100Zに拡散し、第1導電層100Zの一部を酸化する。
図10の(B)では、第1導電層100Zに含まれる第1膜101Zが酸化し、第1膜101Zの上面に酸化金属層109Zが形成された構成を例示した。酸化金属層109Zは、第1絶縁層120Zが接触する第1膜101Zの上面だけでなく、
図10の(A)において第2導電層130Zの第3膜135Zが接触していた第1膜101Zの上面にも形成される。これは、第1絶縁層120Zから拡散した酸素が第1膜101Zと第3膜135Zとの界面を拡散し、第3膜135Zが接触する第1膜101Zの上面にも酸化金属層109Zが形成されるため、と考えられる。
【0056】
上記のように、第1導電層100Zと第2導電層130Zとの間に酸化金属層109Zが形成されると、両者間のコンタクト抵抗が上昇してしまう。
【0057】
なお、
図10の(B)では、第1膜101Zの上面だけに酸化金属層109Zが形成された構成を例示したが、第3膜135Zの下面に酸化金属層109Zが形成される可能性もある。また、
図10の(B)では、
図10の(A)で第1膜101Zと第3膜135Zとが接触していた領域の全体に酸化金属層109Zが形成された例を示したが、酸化金属層109Zが形成される領域は、両者が接触する領域の一部である可能性もある。
【0058】
図11に示すように、配線構造体10Aでは、第1膜101Aと第3膜135Aとの接触領域の付近に間隙140Aが設けられているため、第1絶縁層120Aは上記の接触領域の付近の第1膜101A及び第3膜135Aとは接触していない。そのため、第1絶縁層120Aから拡散した酸素が、上記の接触領域の付近の第1膜101A及び第3膜135Aに到達することができない。その結果、
図10の(B)のように、第1導電層100Zと第2導電層130Zとの間に酸化金属層109Zが形成されることを抑制することができる。
【0059】
[配線構造体10Aの製造方法]
図12及び
図13を用いて、本発明の一実施形態に係る配線構造体10Aの製造方法について説明する。
図12及び
図13は、本発明の一実施形態に係る配線構造体の製造方法を示す断面図である。
【0060】
図12に示すように、下地層90Aの上方に第1導電層100A、第2酸化物半導体層110A、及び第1絶縁層120Aが形成された状態で、第1開口121Aに対応する領域が開口されたフォトレジスト300Aを用いて、第1絶縁層120Aをエッチングする。エッチングの条件として、第2酸化物半導体層110Aのエッチングレートに対して第1絶縁層120Aのエッチングレートが高い条件が用いられる。
図12の状態は、第1絶縁層120Aのエッチングが第2酸化物半導体層110Aでストップした状態である。つまり、第2酸化物半導体層110Aは第1絶縁層120Aのエッチングにおいて、エッチングストッパの機能を有している。
【0061】
ここで、第1絶縁層120Aをドライエッチングでエッチングする場合、一般的に絶縁層をエッチングするドライエッチング条件では酸化物半導体層はほとんどエッチングされない。特に、第1絶縁層120Aとして酸化シリコン及び窒化シリコンが用いられ、第2酸化物半導体層110AとしてIn、Ga、Zn、及びOを含む酸化物半導体(以下、IGZOという)が用いられた構成の場合、酸化シリコンをエッチングするドライエッチング条件ではIGZOはほとんどエッチングされない。したがって、第1絶縁層120Aの膜厚の面内ばらつきが大きい場合、又は第1絶縁層120Aのエッチング工程において第1絶縁層120Aよりも下層に設けられた他の絶縁層をエッチングする場合であっても、第1開口121Aが形成された領域におけるドライエッチングは第2酸化物半導体層110Aでストップする。
【0062】
図12に示すように、第2酸化物半導体層110Aが表面に露出した状態で、例えばフッ酸(HF)等のように、第1絶縁層120Aのエッチングレートに比べて第2酸化物半導体層110Aのエッチングレートが高い条件でウェットエッチングする。このウェットエッチングによって第2酸化物半導体層110Aは、第1開口121Aの底部における第1絶縁層120Aの端部よりも水平方向にサイドエッチングされる。その結果、
図13に示すように、第1絶縁層120Aの第1導電層100Aに対向する第1面123Aの一部が露出され、
図8の間隙140に相当する空間が形成される。
図13に示す構造体に対して第2導電層130Aを成膜することで、
図8に示す配線構造体10Aを形成することができる。
【0063】
〈第3実施形態〉
図14~
図21を用いて、本発明の一実施形態に係る半導体装置(トランジスタ)、当該半導体装置を用いた表示装置、及び表示装置の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態では、上記の第1実施形態及び第2実施形態で説明した配線構造体を液晶表示装置の回路を構成するトランジスタに適用した構成ついて説明する。
【0064】
[表示装置20Bの概要]
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を示す平面図である。
図14に示すように、表示装置20Bは、アレイ基板300B、シール部400B、対向基板500B、フレキシブルプリント回路基板600B(FPC600B)、およびICチップ700Bを有する。アレイ基板300Bおよび対向基板500Bはシール部400Bによって貼り合わせられている。シール部400Bに囲まれた液晶領域22Bには、複数の画素回路310Bがマトリクス状に配置されている。液晶領域22Bは、後述する液晶素子410Bと平面視において重なる領域である。
【0065】
シール部400Bと平面視において重なるシール領域24Bは、液晶領域22Bの周囲の領域である。FPC600Bは端子領域26Bに設けられている。端子領域26Bはアレイ基板300Bが対向基板500Bから露出された領域であり、シール領域24Bの外側に設けられている。なお、シール領域24Bの外側とは、シール部400Bによって囲まれた領域の外側を意味する。ICチップ700BはFPC600B上に設けられている。ICチップ700Bは各画素回路310Bを駆動させるための信号を供給する。
【0066】
[表示装置20Bの回路構成]
図15は、本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
図15に示すように、画素回路310Bが配置された液晶領域22BのD1方向(列方向)に隣接する位置にはソースドライバ回路320Bが設けられており、D2方向(行方向)に隣接する位置にはゲートドライバ回路330Bが設けられている。ソースドライバ回路320B及びゲートドライバ回路330Bは、上記のシール領域24Bに設けられている。
【0067】
ソースドライバ回路320Bからソース配線321BがD1方向に延びており、D1方向に配列された複数の画素回路310Bに接続されている。ゲートドライバ回路330Bからゲート配線331BがD2方向に延びており、D2方向に配列された複数の画素回路310Bに接続されている。
【0068】
端子領域26Bには端子部333Bが設けられている。端子部333Bとソースドライバ回路320Bとは接続配線341Bで接続されている。同様に、端子部333Bとゲートドライバ回路330Bとは接続配線341Bで接続されている。FPC600Bが端子部333Bに接続されることで、FPC600Bが接続された外部機器と表示装置20Bとが接続され、外部機器からの信号が表示装置20Bに設けられた各画素回路310Bを駆動する。
【0069】
第1実施形態及び第2実施形態に示す配線構造体は、上記のソース配線321B、ゲート配線331B、及び接続配線341Bに適用される。また、第1実施形態及び第2実施形態に示す配線構造体は、画素回路310B、ソースドライバ回路320B、及びゲートドライバ回路330Bに含まれる配線及びトランジスタに適用される。
【0070】
[表示装置20Bの画素回路310B]
図16は、本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す回路図である。
図16に示すように、画素回路310Bはトランジスタ800B、保持容量890B、及び液晶素子410Bなどの素子を含む。トランジスタ800Bはゲート電極810B、ソース電極830B、及びドレイン電極840Bを有する。ゲート電極810Bはゲート配線331Bに接続されている。ソース電極830Bはソース配線321Bに接続されている。ドレイン電極840Bは保持容量890B及び液晶素子410Bに接続されている。第1実施形態及び第2実施形態に示す配線構造体は、
図16に示す各配線及びトランジスタに適用される。なお、本実施形態では、説明の便宜上、830Bをソース電極といい、840Bをドレイン電極というが、それぞれの電極のソースとしての機能とドレインとしての機能とが入れ替わってもよい。
【0071】
[表示装置20Bの断面構造]
図17は、本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
図17に示すように、表示装置20Bは、同一基板上に構造が異なるトランジスタ800B、900Bが設けられた表示装置である。トランジスタ800Bの構造はトランジスタ900Bの構造とは異なる。具体的には、トランジスタ800Bは、チャネルとして第1酸化物半導体層820Bが用いられたボトムゲート型トランジスタである。トランジスタ900Bは、チャネルとして半導体層920Bが用いられたトップゲート型トランジスタである。例えば、トランジスタ800Bは画素回路310Bに用いられ、トランジスタ900Bはソースドライバ回路320B及びゲートドライバ回路330Bに用いられる。なお、トランジスタ900Bが画素回路310Bに用いられてもよい。
【0072】
トランジスタ800Bは、基板301Bに形成されたトランジスタであり、絶縁層340B、342B、344B、346Bを下地層とするトランジスタである。絶縁層346Bの上にゲート電極810Bが設けられている。ゲート電極810Bの上方に第1酸化物半導体層820Bが設けられている。ゲート電極810Bは第1酸化物半導体層820Bに対向している。ゲート電極810Bと第1酸化物半導体層820Bとの間に、ゲート絶縁層として機能する絶縁層348Bが設けられている。第1酸化物半導体層820Bのパターンの一方の端部にはソース電極830Bが設けられており、他方の端部にはドレイン電極840Bが設けられている。ソース電極830B及びドレイン電極840Bは、それぞれ第1酸化物半導体層820Bの上面及び側面において、第1酸化物半導体層820Bに接続されている。
【0073】
第1酸化物半導体層820B、ソース電極830B、及びドレイン電極840Bの上に絶縁層350B、352Bが設けられている。絶縁層350B、352Bには、開口851B、861Bが設けられている。絶縁層352Bの上及び開口851Bの内部にソース配線850Bが設けられている。絶縁層352Bの上及び開口861Bの内部にドレイン配線860Bが設けられている。
【0074】
ソース配線850B及びドレイン配線860Bの上に絶縁層354Bが設けられている。絶縁層354Bの上に、複数の画素に共通して設けられる共通電極880Bが設けられている。共通電極880Bの上に絶縁層356Bが設けられている。絶縁層354B、356Bには開口871Bが設けられている。絶縁層356Bの上及び開口871Bの内部に画素電極870Bが設けられている。
【0075】
図18は、本発明の一実施形態に係る表示装置の画素電極及び共通電極の平面図である。
図18に示すように、共通電極880Bは、平面視において画素電極870Bと重なる重畳領域と、画素電極870Bと重ならない非重畳領域とを有する。画素電極870Bと共通電極880Bとの間に電圧を供給すると、画素電極870Bから非重畳領域の共通電極880Bに向かって横電界が形成される。この横電界によって液晶素子410Bに含まれる液晶分子が動作することで、画素の階調が決定される。
【0076】
上記の構造において、ソース電極830Bとソース配線850Bとの間のコンタクト構造、及びドレイン電極840Bとドレイン配線860Bとの間のコンタクト構造として、
図1又は
図6の配線構造体10を適用することができる。この場合、構造物200は第1酸化物半導体層820Bに対応する。第1導電層100はソース電極830B又はドレイン電極840Bに対応する。第1絶縁層120は絶縁層350B、352Bに対応する。第1開口121は開口851B又は開口861Bに対応する。第2導電層130はソース配線850B又はドレイン配線860Bに対応する。
【0077】
なお、第1導電層100がソース電極830Bに対応する場合、ドレイン電極840Bを「第3導電層」という場合がある。この場合、第1酸化物半導体層820Bは、第1導電層(ソース電極830B)と第3導電層(ドレイン電極840B)との間の設けられている、ということができる。ソース配線850B及びドレイン配線860Bより上方の絶縁層354B、356Bを「第3絶縁層」という場合がある。開口871Bを「第4開口」という場合がある。
【0078】
トランジスタ900Bは、基板301Bに形成されたトランジスタであり、絶縁層340Bを下地層とするトランジスタである。絶縁層340Bの上に遮光層910Bが設けられている。遮光層910Bの上に絶縁層342Bが設けられている。絶縁層342Bの上に半導体層920Bが設けられている。半導体層920Bの上方にゲート電極930Bが設けられている。半導体層920Bとゲート電極930Bとの間に、ゲート絶縁層として機能する絶縁層344Bが設けられている。ゲート電極930Bの上に絶縁層346B、348B、350B、352Bが設けられている。これらの絶縁層には、開口941B、951Bが設けられている。絶縁層352Bの上及び開口941Bの内部にソース配線940Bが設けられている。絶縁層352Bの上及び開口951Bの内部にドレイン配線950Bが設けられている。ソース配線940B及びドレイン配線950Bの上に絶縁層354Bが設けられている。
【0079】
ここで、第1酸化物半導体層820Bよりも下方に設けられた絶縁層であって、半導体層920Bよりも上方に設けられた絶縁層である絶縁層344B、346B、348Bのうち少なくともいずれか一つの絶縁層を「第2絶縁層」という場合がある。この場合、当該第2絶縁層は、
図1の構造物200に対応する第1酸化物半導体層820Bの下方に設けられている、ということができる。半導体層920Bは、当該第2絶縁層の下方に設けられ、平面視において、
図1の第1開口121に対応する開口851B、861Bと重ならない領域に設けられている、ということができる。また、開口941B、951Bのうち、
図1の第1絶縁層120に対応する絶縁層350B、352Bの領域に設けられた開口を「第2開口」という場合がある。開口941B、951Bのうち、上記の第2絶縁層の領域に設けられた開口を「第3開口」という場合がある。この場合、当該第2開口及び第3開口は、それぞれ平面視において半導体層920Bと重なる領域に設けられている、ということができる。
【0080】
絶縁層350Bとして、酸化絶縁層を用いることができる。当該酸化絶縁層の酸素の組成比は、当該酸化絶縁層と同様の組成の酸化物に対する化学量論比における酸素の組成比より大きくてもよい。換言すると、絶縁層350Bの酸素の組成比は、
図17に示す他の絶縁層として用いられた酸化絶縁層の酸素の組成比よりも大きくてもよい。例えば、絶縁層350Bの酸素の組成比は、ゲート絶縁層として機能する絶縁層348Bが酸化物を含む場合の、当該酸化物の酸素の組成比よりも大きくてもよい。
【0081】
[表示装置20Bの製造方法]
図19及び
図20を用いて、表示装置20Bの製造方法について説明する。トランジスタ800B、900Bの製造方法は一般的なボトムゲート型トランジスタ及びトップゲート型トランジスタの製造方法を用いるため、ここでは説明を省略する。
図19及び
図20では、絶縁層に開口を形成する方法について説明する。
【0082】
図19は、絶縁層350B、352Bに開口851B、861B、941B、951Bを形成する直前の状態を示す図である。
図19に示す状態で、絶縁層352Bの上に、開口851B、861B、941B、951Bに対応する領域が開口されたレジストマスクを形成する。そして、ソース電極830B、ドレイン電極840B、又は半導体層920Bに達する開口851B、861B、941B、951Bを形成する。これらの開口の形成はドライエッチングによって行われる。
【0083】
図19及び
図20に示すように、半導体層920Bの上方に設けられた絶縁層の積層数は、ソース電極830B及びドレイン電極840Bの上方に設けられた絶縁層の積層数より多い。したがって、同一の工程で開口851B、861B、941B、951Bを開口しようとすると、開口851B、861Bが先にソース電極830B及びドレイン電極840Bに達し、その状態で開口941B、951Bの開口形成が継続される。その結果、開口941B、951Bが半導体層920Bに達するまでの間、ソース電極830B及びドレイン電極840Bはエッチングされ続ける。
図20に示す状態におけるソース電極830B及びドレイン電極840Bの形状は
図4に示す形状である。
【0084】
図20に示すように、開口941B、951Bによって露出された半導体層920Bの表面に形成された酸化膜を除去するために、例えばHFを用いた薬液処理が行われる。この薬液処理によって、ソース電極830B及びドレイン電極840Bの形状は
図5に示す形状になる。
図20に示す絶縁層352Bの上及び開口851B、861B、941B、951Bの内部に導電層を成膜し、パターニングすることによって、ソース配線850B、940B及びドレイン配線860B、950Bを形成する。上記の製造方法によってトランジスタ800B、900Bが形成される。
【0085】
[第3実施形態の変形例]
図21を用いて、第3実施形態の変形例に係る表示装置20Cについて説明する。
図21は、本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を示す断面図である。
図21に示す表示装置20Cは
図17に示す表示装置20Bと類似しているが、表示装置20Cに含まれるトランジスタ800Cの構成が表示装置20Bに含まれるトランジスタ800Bの構成と相違する。以下、
図21に示す表示装置20Cの構成のうち、
図17に示す表示装置20Bと同様の構成については説明を省略し、表示装置20Bとの相違点について説明する。
【0086】
図21に示すように、ソース電極830Cとソース配線850Cとのコンタクト構造、及びドレイン電極840Cとドレイン配線860Cとのコンタクト構造として、
図8に示す配線構造体10Aが用いられている。また、ソース電極830C及びドレイン電極840Cの各々の上に第2酸化物半導体層833C、843Cが設けられている。
【0087】
図8と
図21とを対比すると、第1導電層100Aはソース電極830C又はドレイン電極840Cに対応し、第2酸化物半導体層110Aは第2酸化物半導体層833C又は843Cに対応し、第1絶縁層120Aは絶縁層350C、352Cに対応し、第1開口121Aは開口851C又は開口861Cに対応し、第2導電層130Aはソース配線850C又はドレイン配線860Cに対応する。
【0088】
ここで、第1酸化物半導体層820Cよりも下方に設けられた絶縁層であって、半導体層920Cよりも上方に設けられた絶縁層である絶縁層344C、346C、348Cのうち少なくともいずれか一つの絶縁層を「第2絶縁層」という場合がある。この場合、当該第2絶縁層は、
図8の第1導電層100Aに対応するソース電極830C及びドレイン電極840Cの下方に設けられている、ということができる。半導体層920Cは、当該第2絶縁層の下方に設けられ、平面視において、
図8の第1開口121Aに対応する開口851C、861Cと重ならない領域に設けられている、ということができる。また、開口941C、951Cのうち、
図8の第1絶縁層120Aに対応する絶縁層350C、352Cの領域に設けられた開口を「第2開口」という場合がある。開口941C、951Cのうち、上記の第2絶縁層の領域に設けられた開口を「第3開口」という場合がある。この場合、当該第2開口及び第3開口は、それぞれ平面視において半導体層920Cと重なる領域に設けられている、ということができる。
【0089】
第2酸化物半導体層833C、843Cの酸素の組成比は、これらの酸化物半導体層と同様の組成の酸化物半導体に対する化学量論比における酸素の組成比より小さい。換言すると、第2酸化物半導体層833A、843Cの酸素の組成比は、第1酸化物半導体層820Cの酸素の組成比よりも小さい。
【0090】
絶縁層350Cとして、酸化絶縁層を用いることができる。当該酸化絶縁層の酸素の組成比は、当該酸化絶縁層と同様の組成の酸化物に対する化学量論比における酸素の組成比より大きくてもよい。換言すると、絶縁層350Cの酸素の組成比は、
図21に示す他の絶縁層として用いられた酸化絶縁層の酸素の組成比よりも大きくてもよい。例えば、絶縁層350Cの酸素の組成比は、ゲート絶縁層として機能する絶縁層348Cが酸化物を含む場合の、当該酸化物の酸素の組成比よりも大きくてもよい。
【0091】
図21に示す表示装置20Cの製造方法において、開口851C、861C、941C、951Cを形成する工程は、
図19及び
図20と同様の製造方法を用いて行われる。このとき、
図12に示すように、第2酸化物半導体層833C、843Cが開口851C、861Cのエッチングストッパとして機能する。また、
図13に示すような第2酸化物半導体層833C、843Cのサイドエッチングは、開口941C、951Cによって露出された半導体層920Cの表面に形成された酸化膜を除去する薬液処理によって行われる。
【0092】
〈第4実施形態〉
図22~
図24を用いて、本発明の一実施形態に係る半導体装置(トランジスタ)、当該半導体装置を用いた表示装置、及び表示装置の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態では、上記の第1実施形態及び第2実施形態で説明した配線構造体を有機EL表示装置の回路を構成する半導体装置に適用した構成ついて説明する。なお、表示装置20Dの概要及び回路構成は
図14及び
図15に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0093】
[表示装置20Dの画素回路310D]
図22は、本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す回路図である。
図22に示すように、画素回路310Dは駆動トランジスタ960D、選択トランジスタ970D、保持容量980D、及び発光素子DOなどの素子を含む。選択トランジスタ970Dのソース電極は信号線971Dに接続され、選択トランジスタ970Dのゲート電極はゲート線973Dに接続されている。駆動トランジスタ960Dのソース電極はアノード電源線961Dに接続され、駆動トランジスタ960Dのドレイン電極は発光素子DOの一端に接続されている。発光素子DOの他端はカソード電極963Dに接続されている。駆動トランジスタ960Dのゲート電極は選択トランジスタ970Dのドレイン電極に接続されている。保持容量980Dは駆動トランジスタ960Dのゲート電極及びドレイン電極に接続されている。信号線971Dには、発光素子DOの発光強度を決める階調信号が供給される。ゲート線973Dには、上記の階調信号を書き込む画素行を選択する信号が供給される。
【0094】
[表示装置20Dの断面構造]
図23は、本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
図23に示す表示装置20Dの構成は、
図17に示す表示装置20Bと類似しているが、表示装置20Dの絶縁層354Dよりも上方の構造が表示装置20Bの絶縁層354Bよりも上方の構造と相違する。以下、
図23に示す表示装置20Dの構成のうち、
図17に示す表示装置20Bと同様の構成については説明を省略し、表示装置20Bとの相違点について説明する。
【0095】
図23に示すように、表示装置20Dは、絶縁層354Dの上方に画素電極981D、発光層983D、及び共通電極985Dを有する。画素電極981Dは絶縁層354Dの上及び開口871Dの内部に設けられている。画素電極981Dの上に絶縁層358Dが設けられている。絶縁層358Dには開口359Dが設けられている。開口359Dは発光領域に対応する。つまり、絶縁層358Dは画素を画定する。開口359Dによって露出した画素電極981Dの上に発光層983D及び共通電極985Dが設けられている。画素電極981D及び発光層983Dは、各画素に対して個別に設けられている。一方、共通電極985Dは、複数の画素に共通して設けられている。発光層983Dは、画素の表示色に応じて異なる材料が用いられる。
【0096】
[第4実施形態の変形例]
図24を用いて、第4実施形態の変形例に係る表示装置20Eについて説明する。
図24は、本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を示す断面図である。
図24に示す表示装置20Eは
図21に示す表示装置20Cと類似しているが、表示装置20Eの絶縁層354Eよりも上方の構造が表示装置20Cの絶縁層354Cよりも上方の構造と相違する。表示装置20Eの絶縁層354Eよりも上方の構造は、上記の表示装置20Dの構造と同様の構造なので、説明を省略する。
【0097】
第3実施形態及び4実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態で説明した配線構造体を液晶表示装置及び有機EL表示装置に適用した構成について例示したが、これらの表示装置以外の表示装置(例えば、有機EL表示装置以外の自発光型表示装置又は電子ペーパ型表示装置)に当該配線構造体を適用してもよい。また、中小型の表示装置から大型の表示装置まで、特に限定することなく上記配線構造体の適用が可能である。
【0098】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0099】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0100】
10:配線構造体、 20B:表示装置、 22B:液晶領域、 24B:シール領域、 26B:端子領域、 90:下地層、 100:第1導電層、 101、131:第1膜、 101-1、101-2、120-1、120-2:上面、 103、133:第2膜、 105、135:第3膜、 107A:第2面、 109Z:酸化金属層、 110A:第2酸化物半導体層、 120:第1絶縁層、 121:第1開口、 121-1、121-2:側壁、 121A:第1開口、 123A:第1面、 130:第2導電層、 140、150:間隙、 200:構造物、 201:パターン縁部、 203:底部、 205:上部、 300:フォトレジスト、 300B:アレイ基板、 301B:基板、 310B:画素回路、 320B:ソースドライバ回路、 321B:ソース配線、 330B:ゲートドライバ回路、 331B:ゲート配線、 333B:端子部、 340B、342B、344B、344C、346B、346C、348B、350B、352B、354B、354D、356B、358D:絶縁層、 341B:接続配線、 359D:開口、 400B:シール部、 410B:液晶素子、 500B:対向基板、 600BFPC600B:フレキシブルプリント回路基板、 700B:チップ、 800B:トランジスタ、 810B:ゲート電極、 820B:第1酸化物半導体層、 830B:ソース電極、 833A、843C:第2酸化物半導体層、 840B:ドレイン電極、 850B:ソース配線、 851B、861B、871B:開口、 860B:ドレイン配線、 870B:画素電極、 880B、985D:共通電極、 890B:保持容量、 900B:トランジスタ、 910B:遮光層、 920B:半導体層、 930B:ゲート電極、 940B:ソース配線、 941B:開口、 950B:ドレイン配線、 951B:開口、 960D:駆動トランジスタ、 961D:アノード電源線、 963D:カソード電極、 970D:選択トランジスタ、 971D:信号線、 973D:ゲート線、 980D:保持容量、 981D:画素電極、 983D:発光層