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  • 特許-リコーダーの運指表示物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】リコーダーの運指表示物
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20230417BHJP
   G10D 7/03 20200101ALI20230417BHJP
【FI】
G10G1/00
G10D7/03
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019022528
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2020129095
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】713006034
【氏名又は名称】高嶋 道夫
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 道夫
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-83796(JP,U)
【文献】特開2005-196090(JP,A)
【文献】実開平3-129977(JP,U)
【文献】ヤマハ|[ヴィバノーヴァTM/YVS-100]運指を教えてください,ヤマハ株式会社,2017年08月,[検索日:令和4年9月30日],インターネット,<URL:https://faq.yahama.com/jp/s/article/j0009587>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00
G10D 7/00-7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコーダーの全体図であるリコーダー図と、少なくともリコーダーのうち音孔が配置された縦方向区間が図示されるとともに、五線譜の音符に対応する音孔の塞ぎ部が図示された運指図とからなる運指表示物において、
前記リコーダー図及び前記運指図のリコーダーは、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から見た状態で描かれていることを特徴とするリコーダーの運指表示物。
【請求項2】
前記リコーダー図及び前記運指図のリコーダーは、管体の前面に配置された音孔が、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から透視したように、点線で描かれている請求項1記載のリコーダーの運指表示物。
【請求項3】
リコーダーの全体図であるリコーダー図と、五線譜の音符に対応する音孔の塞ぎ部が図示された運指図とからなる運指表示物において、
前記リコーダー図は、管体の前面に配置された音孔の縦方向区間内において、管体の後面に配置された音孔部分を残して、前記管体の後面部分が縦に裁断されることにより、管体の前面に配置された音孔が、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から見えるように描かれていることを特徴とするリコーダーの運指表示物。
【請求項4】
記リコーダーが立体的に描かれている請求項1乃至3いずれかに記載のリコーダーの運指表示物。
【請求項5】
前記リコーダーの運指表示物がディスプレイに表示されている請求項1乃至4いずれかに記載のリコーダーの運指表示物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リコーダーの運指を直感的に把握することができるリコーダーの運指表示物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリコーダーの運指表は、図5に示すように,リコーダーの全体図であるリコーダー図と、五線譜の音符に対応する音孔の塞ぎ部が図示された運指図とから構成されている。前記リコーダー図は、下記特許文献1及び非特許文献1などに示されるように、リコーダーと正対した図が示されている。すなわち、リコーダーを正面から見た図が示されている。
【0003】
また最近では、図5(下記非特許文献2)に示すように、正面から見たリコーダーが上下逆に提示されていることが多い。これは、リコーダーを口にくわえたまま水平より上に持ち上げたとき、演奏者自身から見える状態を示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平03-129977
【非特許文献】
【0005】
【文献】ヤマハ株式会社 リコーダー運指表
【文献】教育芸術社 小学生の音楽3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記リコーダー図がリコーダーと正対している図(図5)においては、見る側(リコーダーの演奏者)としては、リコーダーを正面から見た図で運指を把握し、それを頭の中で後ろから見た運指に変換して音孔を塞ぐ動作が必要になる。当然右手と左手が逆となる。
また上下逆の図(図6)においては、リコーダーを口にくわえたまま水平より上に持ち上げ、目視確認を必要とする。これは小学生にとっては運指を把握しやすいとは思われるが、リコーダー演奏に相応しくない不自然な姿勢を強要されることになってしまう。
また両者とも目視による運指の確認を重視しているが、本来は指の腹で音孔の位置や輪郭を感知しながら演奏すべきものなのでふさわしくない図である。
そこで本発明の主たる課題は、リコーダーの運指を直感的に把握することができる運指表示物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリコーダーの運指表示物は、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から見た状態で描かれたリコーダー図を備えている。管体の後面に配置された音孔(左手親指で押さえる音孔)以外は管体の前面にあるので、リコーダーの後ろ側からは見ることができない位置にあるが、この見えない音孔を透視する形で表記するか、管体後面の音孔を残して管体前面にある音孔があたかも管内部から見えるように管体後面部分を裁断して表記することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るリコーダーの運指表示物は、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から見た状態で描かれたリコーダー図を提示するため、リコーダー図に図示されたリコーダーと、演奏姿勢における演奏者自身のリコーダーとが一致しているため、頭の中で前後左右を変換する必要がなくリコーダーの運指を直感的に把握することができるようになる。またリコーダーを水平にして目視で運指を確認する必要もなく、音孔の輪郭を指腹で知覚し塞ぐという本来の演奏に集中できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】は、リコーダーの管体を後面から透視して前面の音孔を円(点線)で描いた運指表示物10を示す図。
図2】は、リコーダーの管体後面の音孔(左手親指)の下から管体後部半分を裁断し、管体前面の音孔を内側から円で描いた運指表示物10を示す図。
図3】は、音孔を塞ぐ手指のイラスト等を描き加えて表示した運指表示物10を示す図。
図4】は、コンピュータ等のディスプレイ13に表示した運指表示物を示す図。
図5】は、従来の運指表に提示された正対した図。(ヤマハリコーダー附属運指表の一部)
図6】は、従来の運指表に提示された上下逆の図。(ヤマハリコーダー附属運指表の一部)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るリコーダーの運指表示物10は、図1に示されるように、リコーダーの全体図であるリコーダー図11と、五線譜の音符に対応する音孔の塞ぎ部が図示された運指図12とから構成されている。前記運指図12には、リコーダーの全体図が示されることもあるが、リコーダーのうち音孔が配置された縦方向区間を抜き出して図示されることの方が多い。このとき、演奏者は、前記リコーダー図11によってリコーダーの全体を把握しつつ、運指図12で音孔の塞ぎ部を把握している。
本発明に係るリコーダーの運指表示物10は、前記リコーダー図11を、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から見た状態で描くことにより、五線譜等によって指定された高さの音を出すために塞ぐ音孔を直感的に認識しやすくしたものである。
前記リコーダー図11がリコーダーの後ろ側から見た図であることは、頭部管の吹口が後ろ向きであること、頭部管のエッジ部分が描かれていないこと、足管部に配置される音孔(右手小指で押さえる音孔)がリコーダーの縦方向中心線より右寄りに描かれていることなどから容易に判別できる。また、リコーダー図11がリコーダーの後ろ側から見た図であることを表記してもよい。
以下、前記リコーダー図11の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例1では、図1に示されるように、前記リコーダー図11において、管体1の前面に配置された音孔3、4が、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から透視したように、点線で描かれている。この点線は、一般の製図で使用される対象物の見えない部分の形状を表すのに用いられるかくれ線である。一方、管体1の後面のリコーダーの後ろ側から見える位置に配置された音孔2(左手親指で押さえる音孔)は、実線で描かれている。
また、前記リコーダー図11と同様に、運指図12においても、管体1の前面に配置された音孔3、4が点線で描かれ、所定の音符に対応する音孔の塞ぎ部が図示されている。音孔の塞ぎ部は、指で押さえない音孔と異なる形態で図示されていれば足り、図1に示される例では音孔の塞ぎ部が黒く塗り潰されているが、他の色で塗り潰したり、ハッチングやクロスハッチングを施したりしてもよい。このように黒く塗り潰されるなどによって図示された塞ぎ部においては、この黒塗り部分の外縁に近接する外周部、又は黒塗り部分の外縁から若干の間隔をあけた外周部に、音孔3、4の外形線が点線で描かれているのが好ましい。これにより、運指図12を見ただけでも、リコーダーの後ろ側から見た図であることが容易に認識できるようになる。
前記音孔2、3、4は、図示例では円で記載されているが、楕円、または管体の厚みを考慮した厚みのある立体的な孔の形状に表記してもよい。
【実施例2】
【0012】
本実施例2では、図2に示されるように、管体1の前面に配置された音孔3、4の縦方向区間内において、管体1の後面に配置された音孔2部分を残して、前記管体1の後面部分が縦に裁断されることにより、管体1の前面に配置された音孔3、4が、演奏姿勢におけるリコーダーを持つ本人の側であるリコーダーの後ろ側から見えるように描かれている。すなわち、リコーダーの管体1の後面の音孔2の部分を残して、前面にある音孔3、4があたかも管体内部から見えるように管体1の後部半分を裁断した形で、前面の音孔3、4を円で表記したものである。管体1の切り口(切断面)にはハッチングなどを施すことにより、切断した状態であることが容易に認識できるようにするのが好ましい。管体1の前面に配置された音孔3、4は、 実線で描かれている。
前記音孔2、3、4は、図示例では円で記載されているが、楕円、または管体の厚みを考慮した厚みのある立体的な孔の形状に表記してもよい。
【実施例3】
【0013】
本実施例3では、図3に示されるように、実施例1又は2の図に、音孔を塞ぐ手指のイラスト等を描き加えて表示し、より分かりやすくしたものである。塞ぎ部の図示は、音孔自体に付してもよいし、手指のイラストに付してもよい。
【実施例4】
【0014】
本実施例4では、前記リコーダー図11のリコーダーが立体的に描かれている。これにより、リコーダー図11におけるリコーダーが後ろ側から見た状態であることがより明確に認識できるとともに、本運指表示物10を見た感覚と、演奏姿勢における演奏者自身の感覚とがほぼ一致して、リコーダーの運指がより一層直感的に把握できるようになる。このような効果がより確実に発揮できるように、リコーダーを後ろ側の斜め上方から見た状態で立体的に描くのが好ましい。
【実施例5】
【0015】
本実施例5では、図4に示されるように、リコーダーの運指表示物10を、コンピュータ等のディスプレイ13に表示している。本発明に係るリコーダーの運指表示物10は、紙等に印刷された印刷物の他、図4に示されるように、ディスプレイ13に表示された画像であってもよい。このときのリコーダー図としては、上記実施例1乃至4のいずれかを用いることができる。
また、前記リコーダー図11及び運指図12に示されたリコーダーを、コンピュータ等のディスプレイ13に三次元化して立体的に表示するとともに、表示角度を任意に変えることができ演奏者個々に対応が可能であるようにしてもよい。リコーダーの表示角度を任意に変えられるようにすることによって、演奏者自身がより直感的に把握しやすい角度でリコーダーを表示することができるようになる。
さらに、ディスプレイ13に表示することにより、運指を静止画だけではなく動画(速度調整可)でも分かりやすく表示することが可能となる。すなわち、運指図12に示された塞ぎ部の位置が時間の経過とともに変化するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 管体
2 後部音孔(左手親指用)
3 前部音孔(左手用)
4 前部音孔(右手用)
10 リコーダーの運指表示物
11 リコーダー図
12 運指図
13 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6