(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ブーム装置
(51)【国際特許分類】
B05B 17/00 20060101AFI20230417BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B05B17/00 101
A01M7/00 J
(21)【出願番号】P 2019079936
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 堅二
(72)【発明者】
【氏名】栗原 翔太
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-289783(JP,A)
【文献】実開昭59-010871(JP,U)
【文献】特開2018-174740(JP,A)
【文献】特開2004-223454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B17/00-17/08
A01M1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレーム(11)と、
前記支持フレーム(11)に揺動可能に支持され、閉じ位置と開き位置との間で開閉動作するブーム(20,30)と、
先端部(22a)が前記ブーム(20,30)に連結され、伸縮することによって前記ブーム(20,30)を開閉動作させる伸縮機構(22,32)と、
前記支持フレーム(11)に揺動可能に連結され、前記伸縮機構(22,32)の基端部(22b)を支持するアーム(23,33)と、
前記アーム(23,33)に対して緩衝力を作用させることによって、前記伸縮機構(22,32)を介して前記アーム(23,33)に加わるアーム揺動力を緩衝する緩衝部(12,24,34)と、
を備え、
前記アーム揺動力は、
前記伸縮機構(22,32)によって押圧されることによって前記アーム(23,33)に加わる押圧側アーム揺動力(A)と、
前記伸縮機構(22,32)によって引っ張られることによって前記アーム(23,33)に加わる引張側アーム揺動力(B)と、
を含み、
前記緩衝部(12,24,34)は、
前記押圧側アーム揺動力(A)を緩衝する第1緩衝部(24,34)と、
前記引張側アーム揺動力(B)を緩衝する第2緩衝部(12)と、
を備え、
前記アーム(23,33)の揺動の軸(P2)方向に沿って見たときに、前記第1緩衝部(24,34)は、前記第2緩衝部(12)と前記支持フレーム(11)との間に位置している、ブーム装置(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、農薬等の薬液を散布する散布作業車のブーム装置が知られている。ブーム装置は、支持フレームに対して揺動可能に支持された長尺のブームを備えている。ブーム装置は、車体から側方にブームが突き出された開き位置と、車体の前後方向に沿ってブームが延在する閉じ位置との間でブームを開閉動作させる。ブーム装置は、開き位置にブームを位置させた状態で、ブームに設けられた散布ノズルから薬液を散布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、散布作業車が悪路を走行している場合にブームが揺れる等、ブームに衝撃が加わることがある。この衝撃によってブーム装置の各部に負荷が加わり、ブームの開閉機構部分等に不具合が生じることが考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、ブームに加わる衝撃を緩衝可能なブーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブーム装置(3)は、支持フレーム(11)と、支持フレーム(11)に揺動可能に支持され、閉じ位置と開き位置との間で開閉動作するブーム(20,30)と、先端部(22a)がブーム(20,30)に連結され、伸縮することによってブーム(20,30)を開閉動作させる伸縮機構(22,32)と、支持フレーム(11)に揺動可能に連結され、伸縮機構(22,32)の基端部(22b)を支持するアーム(23,33)と、アーム(23,33)に対して緩衝力を作用させることによって、伸縮機構(22,32)を介してアーム(23,33)に加わるアーム揺動力を緩衝する緩衝部(12,24,34)と、を備える。
【0007】
このブーム装置(3)において、ブーム(20,30)に加わった衝撃は、伸縮機構(22,32)を介してアーム揺動力としてアーム(23,33)に伝達される。ブーム装置(3)は、アーム揺動力を緩衝する緩衝部(12,24,34)を備えている。すなわち、ブーム(20,30)に加わった衝撃は、伸縮機構(22,32)及びアーム(23,33)を介して緩衝部(12,24,34)によって緩衝される。このように、ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)に加わる衝撃を、緩衝部(12,24,34)を用いて緩衝できる。
【0008】
ブーム装置(3)において、アーム揺動力は、伸縮機構(22,32)によって押圧されることによってアーム(23,33)に加わる押圧側アーム揺動力(A)と、伸縮機構(22,32)によって引っ張られることによってアーム(23,33)に加わる引張側アーム揺動力(B)と、を含み、緩衝部(12,24,34)は、押圧側アーム揺動力(A)を緩衝する第1緩衝部(24,34)と、引張側アーム揺動力(B)を緩衝する第2緩衝部(12)と、を備えていてもよい。この場合、ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)に対してブーム揺動方向のいずれの方向の衝撃が加わったとしても、これらの衝撃を第1緩衝部(24,34)及び第2緩衝部(12)のそれぞれによって緩衝できる。
【0009】
ブーム装置(3)において、第1緩衝部(24,34)は、弾性を有する緩衝構造体(106)を含み、緩衝構造体(106)は、当該緩衝構造体(106)の弾性力によって押圧側アーム揺動力(A)を緩衝してもよい。この場合、ブーム装置(3)は、アーム(23,33)に加わる押圧側アーム揺動力(A)を第1緩衝部(24,34)における弾性力によって緩衝できる。すなわち、ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)に加わる衝撃を第1緩衝部(24,34)における弾性力によって緩衝できる。
【0010】
ブーム装置(3)において、緩衝構造体(106)は、皿ばね、圧縮コイルばね、及び油圧ダンパーの少なくともいずれかを含んでいてもよい。この場合、ブーム装置(3)は、皿ばね、圧縮コイルばね、及び油圧ダンパーの少なくともいずれかを用いて、ブーム(20,30)に加わる衝撃を緩衝できる。
【0011】
ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)の揺動を閉じ位置で停止させる閉ストッパー(25,35)を更に備え、伸縮機構(22,32)は、延伸することによってブーム(20,30)を開き位置から閉じ位置へ揺動させ、アーム(23,33)は、ブーム(20,30)が閉じ位置に位置している状態で、第1緩衝部(24,34)に当接し、第1緩衝部(24,34)は、閉ストッパー(25,35)によってブーム(20,30)の揺動が閉じ位置で停止されている状態から更に延伸した伸縮機構(22,32)の延伸量を、当該第1緩衝部(24,34)が弾性変形することによってアーム(23,33)を介して吸収してもよい。この場合、ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)を閉じ位置まで揺動させた後に更に伸縮機構(22,32)が延伸しても(延伸量が残っていても)、この伸縮機構(22,32)の延伸量を第1緩衝部(24,34)によって吸収できる。すなわち、ブーム装置(3)は、伸縮機構(22,32)の更なる延伸を第1緩衝部(24,34)によって逃がすことができる。これにより、ブーム装置(3)は、伸縮機構(22,32)の更なる延伸によって各部に不具合が生じることを抑制できる。
【0012】
ブーム装置(3)において、第2緩衝部(12)は、アーム(23,33)に対して引張力を付与する引張構造体(12)を含み、引張構造体(12)は、引張力によって引張側アーム揺動力(B)を緩衝してもよい。この場合、ブーム装置(3)は、アーム(23,33)に加わる引張側アーム揺動力(B)を第2緩衝部(12)における引張力によって緩衝できる。すなわち、ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)に加わる衝撃を第2緩衝部(12)における引張力によって緩衝できる。
【0013】
ブーム装置(3)において、引張構造体(12)は、引張コイルばねを含んでいてもよい。この場合、ブーム装置(3)は、引張コイルばねを用いて、ブーム(20,30)に加わる衝撃を緩衝できる。
【0014】
ブーム装置(3)において、アーム(23,33)は、第2緩衝部(12)によって引張力が付与されている状態で、第1緩衝部(24,34)に当接していてもよい。この場合、ブーム装置(3)は、ブーム(20,30)に加わる衝撃を、衝撃の方向に応じて第1緩衝部(24,34)又は第2緩衝部(12)によって即座に緩衝できる。
【0015】
ブーム装置(3)において、アーム(23,33)の揺動の軸(P2)方向に沿って見たときに、第1緩衝部(24,34)は、第2緩衝部(12)と支持フレーム(11)との間に位置していてもよい。この場合、ブーム装置(3)は、このように配置された第1緩衝部(24,34)及び第2緩衝部(12)によって、ブーム(20,30)に加わる衝撃を緩衝できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ブームに加わる衝撃を緩衝できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係るブームスプレーヤを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、右ブームが閉じ位置に位置している状態における右ブームの揺動部周りを拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、右ブームが開き位置に位置している状態における右ブームの揺動部周りを拡大して示す平面図である。
【
図5】
図5(a)は、右側緩衝部の構成を示す断面図である。
図5(b)は、右側緩衝部が押圧されて皿ばねが圧縮された状態を示す右側緩衝部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
まず、
図1及び
図2を参照して、実施形態に係るブームスプレーヤ1の基本構成について説明する。ブームスプレーヤ1は、車両2と、薬液を散布するブーム装置3とを備えた自走式の乗用管理機(散布作業車)である。ブームスプレーヤ1は、圃場において車両2を走行させながら、薬液タンク6に貯留された薬液(薬剤)を散布する。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、特に断らない限り、ブームスプレーヤ1を基準とする。
【0020】
車両2の前部には、作業者が着座する空間を形成するキャビン4が設けられている。車両2の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム5が設けられている。キャビン4とエンジンルーム5との間には、ブーム装置3から散布される薬液を収容する薬液タンク6が設けられている。車両2は、一対の前輪W1と、一対の後輪W2とを備えている。
【0021】
ブーム装置3は、センターブーム10、右ブーム(ブーム)20、及び左ブーム(ブーム)30を備えている。薬液散布を行う場合、右ブーム20及び左ブーム30は、車両2から右方向及び左方向にそれぞれ突き出された状態となるように広げられる。センターブーム10、右ブーム20、及び左ブーム30のそれぞれには、各ブームに沿って送液管が設けられている。送液管には、複数の薬液ノズルN(
図2参照)が設けられている。ブーム装置3は、薬液タンク6から薬液を吸引し送液管に圧送して、送液管に設けられた複数の薬液ノズルNから薬液を噴射させる。
【0022】
右ブーム20及び左ブーム30は、薬液散布を行わないときには畳まれ、
図1に示されるように車両2の側方位置において斜め後ろ上りの状態で格納されている。右ブーム20は、格納された状態では、車両2の後部から上方に立設されたブーム受け7(
図2参照)によって支持されている。左ブーム30は、格納された状態では、車両2の後部から上方に立設されたブーム受け8(
図1及び
図2参照)によって支持されている。
【0023】
以下、ブーム装置3の詳細について説明する。ブーム装置3は、車両2の前部に設けられたブーム支持装置9によって支持されている。ブーム装置3は、センターブーム10、センターフレーム(支持フレーム)11、右ブーム20、及び左ブーム30を備えている。センターフレーム11は、左右方向に延在する略柱状の部材であり、ブーム支持装置9によって支持されている。センターフレーム11は、左右方向に沿って延在するようにセンターフレーム11の前側の位置でセンターブーム10を支持する。
【0024】
右ブーム20は、センターフレーム11の右側の端部において揺動可能に支持されている。これにより、右ブーム20は、車両2の右側の側方位置において格納された状態である閉じ位置と、右側方に突き出された開き位置との間で、センターフレーム11との連結部を軸として開閉動作することができる。以下、右ブーム20とセンターフレーム11との連結部の軸を軸P1(
図3参照)とする。軸P1は、略上下方向に沿って延在している。
【0025】
左ブーム30は、センターフレーム11の左側の端部において揺動可能に支持されている。これにより、左ブーム30は、車両2の左側の側方位置において格納された状態である閉じ位置と、左側方に突き出された開き位置との間で、センターフレーム11との連結部を軸として開閉動作することができる。
【0026】
また、
図3に示されるように、ブーム装置3は、右ブーム20を揺動等させるための構成として、右側ブームアーム21、右側油圧シリンダ(伸縮機構)22、右側支持アーム(アーム)23、右側緩衝部(緩衝部、第1緩衝部)24、及び右側閉ストッパ(閉ストッパ)25を更に備えている。
【0027】
右側ブームアーム21は、右ブーム20におけるセンターフレーム11に連結される側の端部に固定されている。より詳細には、右側ブームアーム21の基端部21bが、右ブーム20の端部に固定されている。右側ブームアーム21の先端部21aは、
図3に示されるように右ブーム20が閉じ位置に位置している状態で、センターフレーム11から前側に向けて突出している。右側ブームアーム21は、右ブーム20が軸P1周りに揺動したときに、右ブーム20の揺動に伴って軸P1周りに揺動する。
【0028】
右側油圧シリンダ22は、油圧によって伸縮する。右側油圧シリンダ22の先端部22aは、右側ブームアーム21の先端部21aに揺動可能に連結されている。すなわち、右側油圧シリンダ22の先端部22aは、右側ブームアーム21を介して右ブーム20に連結されている。右側油圧シリンダ22が伸縮することにより、右側ブームアーム21が軸P1周りに揺動し、右側ブームアーム21の揺動に伴って右ブーム20が軸P1周りに揺動する。
【0029】
このように、右側油圧シリンダ22は、伸縮することによって、
図3に示される閉じ位置と
図4に示される開き位置との間で右ブーム20を揺動させることができる。具体的には、右側油圧シリンダ22は、長さが短くなることによって(短縮される)ことによって、閉じ位置から開き位置に右ブーム20を揺動させる。また、右側油圧シリンダ22は、延伸することによって、開き位置から閉じ位置に右ブーム20を揺動させる。
【0030】
右側支持アーム23の基端部23bは、センターフレーム11の中央部とセンターフレーム11の右側端部との間の位置において、センターフレーム11に揺動可能に連結されている。以下、右側支持アーム23の基端部23bとセンターフレーム11との連結部の軸を軸P2とする。軸P2は、略上下方向に沿って延在している。右側支持アーム23は、軸P2周りに揺動する。右側支持アーム23は、センターフレーム11から前側に向って突出している。また、右側支持アーム23は、先端部23aと基端部23bとの間の位置において、右側油圧シリンダ22の基端部22bを揺動可能に支持している。
【0031】
右側緩衝部24は、右側支持アーム23よりもセンターフレーム11の中央側の位置において、センターフレーム11に取り付けられている。右側緩衝部24の右側の端部は、右側支持アーム23に当接している。右側緩衝部24は、右側支持アーム23に対して緩衝力を作用させることによって、右側油圧シリンダ22を介して右側支持アーム23に加わるアーム揺動力を緩衝する。このアーム揺動力とは、右側支持アーム23を軸P2周りに揺動させる力である。
【0032】
ここで、アーム揺動力は、右側油圧シリンダ22によって押圧されることによって右側支持アーム23に加わる押圧側アーム揺動力Aと、右側油圧シリンダ22により引っ張られることによって右側支持アーム23に加わる引張側アーム揺動力Bと、を含む。押圧側アーム揺動力A及び引張側アーム揺動力Bは、右側油圧シリンダ22の伸縮によって右側支持アーム23に加わることがある。また、押圧側アーム揺動力A及び引張側アーム揺動力Bは、右ブーム20に衝撃が加わり右ブーム20が軸P1周りに揺動することによって、右側ブームアーム21及び右側油圧シリンダ22を介して右側支持アーム23に加わることがある。
【0033】
本実施形態における右側緩衝部24は、押圧側アーム揺動力A及び引張側アーム揺動力Bのうちの押圧側アーム揺動力Aを緩衝する。また、右側緩衝部24は、右側支持アーム23に当接し、右側緩衝部24の弾性力によって押圧側アーム揺動力Aを緩衝する。
【0034】
具体的には、右側緩衝部24は、
図5(a)に示されるように、シャフト100、ボルト101、ナット102、平座金103、ナット104、保持ブラケット105、及び複数の皿ばね(緩衝構造体)106を備えている。
【0035】
シャフト100は、左右方向に沿って延在するように配置される。シャフト100において右側支持アーム23に対向する側の端部(以下「受側端部100a」と称する)には、左右方向に沿って延在するボルト孔100cが設けられている。ボルト101の先端部101bは、シャフト100のボルト孔100cに差し込まれている。ボルト101のボルト頭101aは、右側支持アーム23に当接する。ナット102は、ボルト101に取り付けられている。ボルト101は、シャフト100の受側端部100aからの突出量が調整された状態で、ナット102によってシャフト100に固定される。このボルト101の突出量を調整することにより、右ブーム20を開き位置に位置させる場合における右ブーム20の前後方向の揺動位置(閉じ位置からの開き度合い)を調整することができる。例えば、ボルト101の突出量は、右ブーム20が開かれたときに、右ブーム20がセンターフレーム11と略同一直線上に位置するように調整される。このように、ボルト101は、右ブーム20を開き位置に位置させるときの開ストッパとして機能する。
【0036】
保持ブラケット105は、センターフレーム11の上面に固定される。保持ブラケット105には、左右方向に沿って貫通するシャフト孔105aが設けられている。シャフト孔105aには、シャフト100における受側端部100aとは反対側の端部(以下「保持側端部100b」と称する)がスライド可能に通されている。平座金103は、保持ブラケット105のシャフト孔105aの直径よりも大きな外形を有する。シャフト100の保持側端部100bには、ナット104によって平座金103が取り付けられている。平座金103は、シャフト100が左方向にスライドすることによってシャフト孔105aからシャフト100が脱落することを防止する。
【0037】
シャフト100における受側端部100a側には、大径部100dが設けられている。複数の皿ばね106は、大径部100dと保持ブラケット105との間の位置において、シャフト100の本体部100eにスライド可能に通されている。なお、皿ばね106の孔の直径は、大径部100dの直径よりも小さい。大径部100dは、本体部100eから皿ばね106が抜け出ることを防止する。シャフト100の本体部100eに通されることにより、皿ばね106は、左右方向に弾性を有する向きに配置された状態となる。
【0038】
図4及び
図5(a)に示されるように、右側支持アーム23に右側油圧シリンダ22から押圧側アーム揺動力Aが加わった場合、ボルト101のボルト頭101aが右側支持アーム23によって付勢される。これにより、
図5(b)に示されるように、シャフト100は、皿ばね106を押し縮めながら右側にスライドする。すなわち、右側緩衝部24は、皿ばね106の弾性力によって、右側支持アーム23に加わる押圧側アーム揺動力Aを緩衝することができる。
【0039】
例えば、
図4に示されるように、右ブーム20が開き位置に位置している状態で、右ブーム20の先端部が前方向に揺れる(揺動する)ことがある。この場合、右ブーム20の揺動力は、右側ブームアーム21及び右側油圧シリンダ22を介して、押圧側アーム揺動力Aとして右側支持アーム23に入力される。そして、押圧側アーム揺動力Aによって右側支持アーム23が揺動する際に、右側緩衝部24の皿ばね106が押し縮められることによって、押圧側アーム揺動力Aが緩衝される。このように、右側緩衝部24は、右ブーム20が開き位置に位置している状態で、右ブーム20の先端部が前側に向けて揺動するような衝撃を右ブーム20が受けた場合、この衝撃を皿ばね106によって緩衝できる。
【0040】
右側閉ストッパ25は、
図3及び
図4に示されるように、センターフレーム11における右側の端部近傍に取り付けられている。右側閉ストッパ25は、車両2側に向けて右ブーム20が揺動させられたときの揺動範囲を規制する。右側閉ストッパ25は、
図4に示されるように、位置決めボルト25a、及びブラケット25bを備えている。ブラケット25bは、センターフレーム11の右側端部近傍における後ろ側の面に取り付けられている。位置決めボルト25aは、ボルト頭が右側を向くようにブラケット25bに取り付けられている。位置決めボルト25aのボルト頭は、右ブーム20に当接する。ブラケット25bからの位置決めボルト25aの突出量を調整することにより、閉じ位置における右ブーム20の位置を調整できる。例えば、位置決めボルト25aの突出量は、右ブーム20がブーム受け7の中央に収まるように調整される。このように、右側閉ストッパ25は、右ブーム20が開き位置から畳まれるときに、右ブーム20の揺動を閉じ位置で停止させる。
【0041】
ここで、例えば、
図3に示されるように、右側油圧シリンダ22を延伸させて右ブーム20を閉じ位置に位置させた後において、右側油圧シリンダ22に延伸量(右ブーム20を付勢する力)が残っていることがある。この場合、右側閉ストッパ25によって右ブーム20の揺動が規制されているため、右側油圧シリンダ22が延伸することによって右側支持アーム23に押圧側アーム揺動力Aが加わり、右側支持アーム23が揺動する。右側支持アーム23が揺動する際に、右側緩衝部24の皿ばね106が押し縮められることによって、右側支持アーム23の揺動量が吸収される。すなわち、右側緩衝部24は、右側閉ストッパ25によって右ブーム20の揺動が閉じ位置で停止されている状態から更に延伸した右側油圧シリンダ22の延伸量を、皿ばね106を弾性変形させることによって右側支持アーム23を介して吸収できる。
【0042】
また、
図4に示されるように、ブーム装置3は、引張コイルばね(緩衝部、第2緩衝部、引張構造体)12を備えている。引張コイルばね12の一方の端部は、右側支持アーム23の先端部23aに連結されている。引張コイルばね12は、右側支持アーム23に対して引張力を付与する。具体的には、引張コイルばね12は、右側支持アーム23の先端部23aが右側緩衝部24側へ向けて揺動するように、右側支持アーム23を引っ張る。右側支持アーム23は、引張コイルばね12によって引張力が付与されている状態で、右側緩衝部24(ボルト101)に当接している。なお、
図3及び
図4に示されるように、右ブーム20が閉じ位置及び開き位置に位置している状態において、右側支持アーム23は、右側緩衝部24に当接している。
【0043】
例えば、
図4に示されるように、右ブーム20が開き位置に位置している状態で、右ブーム20の先端部が後ろ方向に揺れる(揺動する)ことがある。この場合、右ブーム20の揺動力は、右側ブームアーム21及び右側油圧シリンダ22を介して、引張側アーム揺動力Bとして右側支持アーム23に入力される。そして、引張側アーム揺動力Bによって右側支持アーム23が揺動する際に、引張コイルばね12の引張力によって、引張側アーム揺動力Bが緩衝される。このように、引張コイルばね12は、右ブーム20が開き位置に位置している状態で、右ブーム20の先端部が後ろ側に向けて揺動するような衝撃を右ブーム20が受けた場合、この衝撃を引張力によって緩衝できる。
【0044】
図4に示されるように、右側緩衝部24は、右側支持アーム23の揺動の軸P2方向に沿って見たときに、引張コイルばね12とセンターフレーム11との間に位置している。すなわち、右側緩衝部24は、右側支持アーム23における先端部23aと基端部23bとの間の部位に当接している。
【0045】
また、
図2に示されるように、ブーム装置3は、左ブーム30を揺動等させるための構成として、左側ブームアーム31、左側油圧シリンダ(伸縮機構)32、左側支持アーム(アーム)33、左側緩衝部(緩衝部、第1緩衝部)34、及び左側閉ストッパ(閉ストッパ)35を更に備えている。
【0046】
左ブーム30を揺動等させるための左側ブームアーム31~左側閉ストッパ35の構成は、右ブーム20を揺動等させるための右側ブームアーム21~右側閉ストッパ25の構成と左右が反転しているだけで同様である。このため、左ブーム30を揺動等させるための左側ブームアーム31~左側閉ストッパ35の構成の説明については省略する。
【0047】
なお、引張コイルばね12の一方の端部は、右側支持アーム23の先端部23aに連結されている。引張コイルばね12の他方の端部は、左側支持アーム33の先端部に連結されている。このように、引張コイルばね12は、右側支持アーム23に対して引張力を作用させる機能と、左側支持アーム33に対して引張力を作用させる機能とを兼ねている。
【0048】
以上のように、ブーム装置3において、右ブーム20に加わった衝撃は、右側油圧シリンダ22を介してアーム揺動力として右側支持アーム23に伝達される。ブーム装置3は、アーム揺動力を緩衝する右側緩衝部24及び引張コイルばね12を備えている。すなわち、右ブーム20に加わった衝撃は、右側油圧シリンダ22及び右側支持アーム23を介して右側緩衝部24及び引張コイルばね12によって緩衝される。左ブーム30側においても同様に、左ブーム30に加わった衝撃は、左側油圧シリンダ32及び左側支持アーム33を介して左側緩衝部34及び引張コイルばね12によって緩衝される。このように、ブーム装置3は、右ブーム20に加わる衝撃を右側緩衝部24及び引張コイルばね12を用いて緩衝できる。同様に、ブーム装置3は、左ブーム30に加わる衝撃を左側緩衝部34及び引張コイルばね12を用いて緩衝できる。
【0049】
ブーム装置3は、右側支持アーム23に加わる押圧側アーム揺動力Aを緩衝する右側緩衝部24と、右側支持アーム23に加わる引張側アーム揺動力Bを緩衝する引張コイルばね12とを備えている。これにより、ブーム装置3は、開き位置に位置する右ブーム20に対して右ブーム20の揺動方向のいずれの方向の衝撃が加わったとしても、これらの衝撃を右側緩衝部24及び引張コイルばね12のぞれぞれによって緩衝できる。左ブーム30側についても同様に、ブーム装置3は、開き位置に位置する左ブーム30に対して左ブーム30の揺動方向のいずれの方向の衝撃が加わったとしても、これらの衝撃を左側緩衝部34及び引張コイルばね12のぞれぞれによって緩衝できる。
【0050】
右側緩衝部24は、弾性を有する複数の皿ばね106を備えている。これにより、右側緩衝部24は、右側支持アーム23に加わる押圧側アーム揺動力Aを皿ばね106における弾性力によって緩衝できる。すなわち、ブーム装置3は、右ブーム20に加わる衝撃を右側緩衝部24における弾性力によって緩衝できる。左ブーム30側も同様に、ブーム装置3は、左ブーム30に加わる衝撃を左側緩衝部34における弾性力によって緩衝できる。
【0051】
右側緩衝部24は、右側閉ストッパ25によって右ブーム20の揺動が閉じ位置で停止されている状態から更に延伸した右側油圧シリンダ22の延伸量を、当該右側緩衝部24の皿ばね106を弾性変形させることによって吸収する。この場合、ブーム装置3は、右ブーム20を閉じ位置まで揺動させた後に更に右側油圧シリンダ22が延伸しても(延伸量が残っていても)、この右側油圧シリンダ22の延伸量を右側緩衝部24によって吸収できる。すなわち、ブーム装置3は、右側油圧シリンダ22の更なる延伸を右側緩衝部24によって逃がすことができる。これにより、ブーム装置3は、右側油圧シリンダ22の更なる延伸によって各部に不具合が生じることを抑制できる。左ブーム30側も同様に、ブーム装置3は、左側油圧シリンダ32の更なる延伸によって各部に不具合が生じることを抑制できる。
【0052】
ブーム装置3は、引張コイルばね12の引張力によって、右側支持アーム23に加わる引張側アーム揺動力Bを緩衝する。すなわち、ブーム装置3は、右ブーム20に加わる衝撃を引張コイルばね12における引張力によって緩衝できる。左ブーム30側も同様に、ブーム装置3は、左ブーム30に加わる衝撃を引張コイルばね12における引張力によって緩衝できる。
【0053】
右側支持アーム23は、引張コイルばね12によって引張力が付与されている状態で、右側緩衝部24に当接している。この場合、ブーム装置3は、右ブーム20に加わる衝撃を、衝撃の方向に応じて右側緩衝部24又は引張コイルばね12によって即座に緩衝できる。左ブーム30側も同様に、ブーム装置3は、左ブーム30に加わる衝撃を、衝撃の方向に応じて左側緩衝部34又は引張コイルばね12によって即座に緩衝できる。
【0054】
右側緩衝部24は、右側支持アーム23の揺動の軸P2方向に沿って見たときに、引張コイルばね12とセンターフレーム11との間に位置している。左側緩衝部34も同様に、引張コイルばね12とセンターフレーム11との間に位置している。この場合、ブーム装置3は、このように配置された右側緩衝部24及び引張コイルばね12によって右ブーム20に加わる衝撃を緩衝し、左側緩衝部34及び引張コイルばね12によって左ブーム30に加わる衝撃を緩衝できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、右側緩衝部24は、弾性を有する緩衝構造体として皿ばね106を備えることに限定されない。例えば、右側緩衝部24は、皿ばね106に代えて、圧縮コイルばね、油圧ダンパー等の弾性を有する種々の緩衝構造体を備えていてもよい。左側緩衝部34も同様に、皿ばね以外の緩衝構造体を備えていてもよい。
【0056】
また、ブーム装置3は、右側支持アーム23及び左側支持アーム33に引張力を付与する引張構造体として引張コイルばね12を備えていたが、引張コイルばね12以外の引張構造体を備えていてもよい。例えば、ブーム装置3は、引張コイルばね12を2つ備え、右側支持アーム23及び左側支持アーム33のそれぞれに対して個別に引張力を付与してもよい。
【0057】
ブーム装置3は、右ブーム20を揺動させる機構として右側油圧シリンダ22を備えているが、伸縮可能な機構であれば右側油圧シリンダ22以外の機構を備えていてもよい。左ブーム30側も同様に、ブーム装置3は、伸縮可能な機構であれば左側油圧シリンダ32以外の機構を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
3…ブーム装置、11…センターフレーム(支持フレーム)、12…引張コイルばね(緩衝部、第2緩衝部、引張構造体)、20…右ブーム(ブーム)、22…右側油圧シリンダ(伸縮機構)、22a…先端部、22b…基端部、23…右側支持アーム(アーム)、24…右側緩衝部(緩衝部、第1緩衝部)、25…右側閉ストッパ(閉ストッパ)、30…左ブーム(ブーム)、32…左側油圧シリンダ(伸縮機構)、33…左側支持アーム(アーム)、34…左側緩衝部(緩衝部、第1緩衝部)、35…左側閉ストッパ(閉ストッパ)、106…皿ばね(緩衝構造体)。