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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】磁気治療器
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/08 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A61N2/08 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019086277
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020179060
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000112299
【氏名又は名称】ピップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-002377(JP,A)
【文献】米国特許第05558556(US,A)
【文献】実開平4-131614(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/00-2/12
A41F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材に着脱可能に取り付けられて使用される磁気治療器であって、
前記磁気治療器が、
磁石と、
前記磁石を収容する磁石収容部と、
前記磁石収容部に開閉可能に取り付けられる一対の可動片と
を備え、
前記一対の可動片は、閉じた状態で、前記磁石収容部との間で前記長尺部材を挟持し、開いた状態で、前記磁石収容部との間での前記長尺部材の挟持を解除するように構成され、
前記一対の可動片は、前記一対の可動片の弾性復元力により、開いた状態から閉じた状態に移行するように構成され、
前記一対の可動片は、閉じた状態で、それぞれの少なくとも一部が互いに重なり合うように配置され
前記磁石収容部が、
前記長尺部材の幅方向における前記長尺部材の略中心に前記磁石が位置するように前記磁気治療器が前記長尺部材に取り付けられたときに、前記長尺部材に面するように位置し、前記長尺部材に沿って延びる基部と、
前記基部の延びる方向に対して垂直な方向である前記基部の幅方向の一方側および他方側に前記基部からそれぞれ拡張する一方側拡張部および他方側拡張部と
を備え、
前記一方側拡張部および前記他方側拡張部は、前記基部の幅方向における前記一方側拡張部の端部間の長さのうちの最大長さが、前記基部の幅方向における前記他方側拡張部の端部間の長さのうちの最大長さよりも大きくなるように、前記基部の幅方向で前記基部を中心に互いに非対称に設けられる、
磁気治療器。
【請求項2】
前記一対の可動片は、前記一対の可動片が閉じた状態で前記一対の可動片のそれぞれが互いに重なり合う部分と前記磁石収容部との間で前記長尺部材が挟持されるように配置される、
請求項1記載の磁気治療器。
【請求項3】
前記一対の可動片が閉じた状態で前記一対の可動片のそれぞれが互いに重なり合う部分の幅が、前記長尺部材の幅と略同一か、または前記長尺部材の幅よりも大きい、
請求項1または2記載の磁気治療器。
【請求項4】
前記一対の可動片が、可塑剤が添加されたポリ塩化ビニルにより形成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の血行を良くし、肩こりや腰痛の症状を緩和するために、磁石を備えた磁気治療器が用いられている。磁気治療器としては、たとえば特許文献1に開示されているように、女性用のブラジャーの肩紐などに取り付けられて使用されるタイプの磁気治療器がある。このタイプの磁気治療器は、人体の皮膚に直接貼り付けられて使用されるタイプの磁気治療器とは違って、皮膚に直接貼り付けられないので、皮膚にかゆみやかぶれが生じる可能性が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-235998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の磁気治療器は、磁石が取り付けられ、折り曲げ可能なシート状本体を備えている。この磁気治療器は、シート状本体が折り曲げられて肩紐を挟み込むことで、肩紐に取り付けられる。シート状本体には、複数の凸部が設けられており、シート状本体が肩紐を挟み込んだ際に凸部が肩紐に食い込むことにより、シート状本体の肩紐に対する位置ずれが防止される。ところが、この磁気治療器では、凸部が肩紐に食い込むことで、肩紐を傷つけてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、女性用のブラジャーの肩紐などの長尺部材を傷つけることが抑制されるように長尺部材に取り付けることが可能な磁気治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の磁気治療器は、長尺部材に着脱可能に取り付けられて使用される磁気治療器であって、前記磁気治療器が、磁石と、前記磁石を収容する磁石収容部と、前記磁石収容部に開閉可能に取り付けられる一対の可動片とを備え、前記一対の可動片は、閉じた状態で、前記磁石収容部との間で前記長尺部材を挟持し、開いた状態で、前記磁石収容部との間での前記長尺部材の挟持を解除するように構成され、前記一対の可動片は、前記一対の可動片の弾性復元力により、開いた状態から閉じた状態に移行するように構成され、前記一対の可動片は、閉じた状態で、それぞれの少なくとも一部が互いに重なり合うように配置されることを特徴とする。
【0007】
また、前記一対の可動片は、前記一対の可動片が閉じた状態で前記一対の可動片のそれぞれが互いに重なり合う部分と前記磁石収容部との間で前記長尺部材が挟持されるように配置されることが好ましい。
【0008】
また、前記一対の可動片が閉じた状態で前記一対の可動片のそれぞれが互いに重なり合う部分の幅が、前記長尺部材の幅と略同一か、または前記長尺部材の幅よりも大きいことが好ましい。
【0009】
また、前記一対の可動片が、可塑剤が添加されたポリ塩化ビニルにより形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記磁石収容部が、前記磁気治療器が前記長尺部材に取り付けられたときに、前記長尺部材に面するように位置し、前記長尺部材に沿って延びる基部と、前記基部の延びる方向に対して垂直な方向の一方側および他方側に前記基部からそれぞれ拡張する一方側拡張部および他方側拡張部とを備え、前記一方側拡張部および前記他方側拡張部は、前記一方側拡張部が前記他方側拡張部よりも前記基部からの長さが大きくなるように、前記基部を中心に互いに非対称に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、女性用のブラジャーの肩紐などの長尺部材を傷つけることが抑制されるように長尺部材に取り付けることが可能な磁気治療器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る磁気治療器の正面図である。
図2図1の磁気治療器の裏面図である。
図3図2のA-A線端面図である。
図4図1の磁気治療器の一対の可動片が開いた状態の斜視図である。
図5図1の磁気治療器がブラジャーの肩紐に取り付けられて使用されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る磁気治療器を説明する。ただし、以下の実施形態は一例にすぎず、本発明の磁気治療器は、以下の実施形態に限定されることはない。
【0014】
本実施形態の磁気治療器1は、図5に示されるように、女性用のブラジャーの肩紐Sなどの長尺部材に着脱可能に取り付けられて使用される。以下では、磁気治療器1を、ブラジャーの肩紐Sに取り付けられて使用される例を挙げて説明する。ただし、磁気治療器1は、取り付けられることで人体に磁気治療効果を及ぼすように人体の皮膚に近接して配置することが可能であれば、取り付けられる対象は特に限定されることはなく、たとえばスリップの肩紐など、他の長尺部材に取り付けて使用することができる。
【0015】
磁気治療器1は、本実施形態では、図5に示されるように、ブラジャーの肩紐Sに取り付けられることで、人体の肩や背中の皮膚に近接して配置される。磁気治療器1は、人体の肩や背中の皮膚に近接して配置されることで、人体の体内に磁場を印加し、配置される部位およびその周辺の血行を促進したり、代謝を向上したりするなどの磁気治療効果をもたらす。
【0016】
磁気治療器1は、図1図4に示されるように、磁石2と、磁石2を収容する磁石収容部3と、磁石収容部3に開閉可能に取り付けられる一対の可動片4とを備える。磁気治療器1は、以下で詳しく述べるように、磁石収容部3と一対の可動片4との間に肩紐Sが挟持されることで肩紐Sに取り付けられる。磁気治療器1は、たとえば、図5に示されるように、磁石収容部3が人体の皮膚と肩紐Sとの間に配置されるように、肩紐Sに取り付けることができる。ただし、磁気治療器1は、一対の可動片4が人体の皮膚と肩紐Sとの間に配置されるように、肩紐Sに取り付けることもできる。
【0017】
磁石2は、2つの磁極(N極、S極)を有し、人体に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させる。磁石2は、本実施形態では、磁石収容部3の表面(後述する第1シート状部材31または第2シート状部材32)に対して略垂直方向に延びる磁極方向を有している。磁石2は、磁石収容部3の表面に対して略垂直方向に延びる磁極方向を有することで、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられて使用される際に、人体の皮膚表面に対して略垂直方向に磁極方向が向くように配置される。このように磁石2の磁極方向が人体の皮膚表面に対して略垂直方向に延びることで、皮膚表面に対して磁極方向が平行に延びる場合と比べて、皮膚表面に対して略垂直な方向の磁界強度が大きくなり、皮膚表面からより深い体内まで磁気を作用させることができる。ただし、磁石2は、人体に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させることができればよく、その磁極方向は特に限定されることはない。
【0018】
磁石2は、本実施形態では、図1図4に示されるように、複数(図示された例では3つ)の磁石を含んでいる。複数の磁石2はそれぞれ、後述する磁石収容部3の基部3aの延びる方向に沿って互いに間隔をあけて一列に並んで配置される。複数の磁石2はそれぞれ、基部3aの延びる方向に沿って配置されることで、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられて使用される際に、肩紐Sの延びる方向に沿って互いに間隔をあけて並んで配置される。複数の磁石2は、肩紐Sに沿って配置されることで、肩紐Sの張力によって皮膚側に押圧されるので、皮膚表面のより近傍に磁石が配置されて、人体に対して大きな磁気治療効果を及ぼすことができる。ただし、磁石2は、磁石収容部3に収容されていればよく、その配置は特に限定されることはなく、またその数も特に限定されることはない。
【0019】
磁石2は、本実施形態では、図1図4に示されるように、略円板状に形成されている。磁石2は、略円板状の互いに対向する板表面にN極およびS極が配置され、2つの板表面間を結ぶ方向に磁極方向が延びている。磁石2は、略円板状の板表面が磁石収容部3の表面と略平行になるように配置される。ただし、磁石2は、人体に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させることができればよく、その形状は特に限定されることはない。
【0020】
磁石2は、本実施形態では、図1図4に示されるように、肩紐Sの幅W1よりも小さい幅(図示された例では直径)を有する大きさに形成されている。磁石2は、肩紐Sの幅W1よりも小さく形成されることで、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられたときに、肩紐Sの幅W1の範囲内に配置することができるので、肩紐Sの張力によってその位置が安定する。ただし、磁石2は、人体に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させることができればよく、その大きさは特に限定されることはない。
【0021】
磁石2は、特に限定されることはなく、たとえばネオジウム、フェライト、サマリウムコバルトなどの永久磁石を採用することができる。ただし、その出力レベルは、皮膚表面上において、厚生労働省の認証基準である200mT以下であることが好ましい。
【0022】
磁石収容部3は、磁石2を収容する部位である。磁石収容部3は、磁石2を収容することができればよく、その構造は特に限定されることはない。本実施形態では、磁石収容部3は、図1図4に示されるように、一対の可動片4が取り付けられる側の第1シート状部材31と、一対の可動片4が取り付けられる側とは反対側の第2シート状部材32と、第1シート状部材31と第2シート状部材32との間に配置され、磁石2が取り付けられる第3シート状部材33とを備えている。第1シート状部材31、第2シート状部材32および3シート状部材33は、互いに略同一の形状および大きさに形成されている。磁石収容部3は、第1シート状部材31、第2シート状部材32および第3シート状部材33の周縁が互いに貼り付けられることで、全体としてシート状に形成されている。第1シート状部材31、第2シート状部材32および第3シート状部材33の互いに対する貼り付けは、特に限定されることはなく、熱溶着や接着剤による接着など、公知の貼り付け方法により行なうことができる。
【0023】
第1シート状部材31および第2シート状部材32は、それぞれシート状に形成されて、互いに周縁が貼り合わされることで磁石2を収容する空間を形成する。第1シート状部材31は、図3に示されるように、一対の可動片4が取り付けられ、一対の可動片4との間に肩紐Sが挟持される。第1シート状部材31は、特に限定されることはないが、肩紐Sを傷つけることを抑制する軟質材料により形成されることが好ましく、たとえばポリエステル繊維をスムース編みした生地などにより形成することができる。第2シート状部材32は、特に限定されることはないが、人体の皮膚に接触され得るので、たとえば通気性に優れ、肌触りの優れた材料により形成されることが好ましく、たとえばポリエステル繊維をスムース編みした生地などにより形成することができる。
【0024】
第3シート状部材33は、磁石2を支持する部材である。第3シート状部材33は、シート状に形成され、第1シート状部材31と第2シート状部材32との間に配置される。第3シート状部材33は、磁石2を支持する強度を有するように形成されていればよく、その構造や構成材料は特に限定されることはない。本実施形態では、第3シート状部材33は、図3に示されるように、磁石2が固定される凹部33aが設けられ、凹部33aの周囲に設けられた周壁33bにより磁石2を保護している。第3シート状部材33は、特に限定されることはないが、磁石2を支持する適度な剛性を有するとともに、磁石収容部3に弾性復元力を付与する適度な可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂材料により形成することができる。
【0025】
磁石収容部3はさらに、肩紐Sに取り付けられて使用される際に、肩紐Sの捩れ(回転)を抑制するように構成されていてもよい。磁石収容部3は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、肩紐Sの幅W1よりも大きい幅で形成され、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられたときに、肩紐Sの幅方向の両側に拡張する部分が互いに非対称になるように形成されている。より具体的には、磁石収容部3は、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられたときに、肩紐Sに面するように位置し、肩紐Sの延びる方向に沿って延びる基部3aと、基部3aの延びる方向に対して垂直な方向(基部3aの幅方向)の一方側および他方側に基部3aからそれぞれ拡張する一方側拡張部3bおよび他方側拡張部3cとを備えている。そして、一方側拡張部3bおよび他方側拡張部3cは、一方側拡張部3bが他方側拡張部3cよりも基部3aからの長さが大きくなるように、基部3aを中心に互いに非対称に設けられている。
【0026】
磁石収容部3は、基部3aの幅方向に基部3aから拡張する一方側拡張部3bおよび他方側拡張部3cを備えることにより、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられて使用される際に、肩紐Sが延びる軸を中心に肩紐Sが捩れる(回転する)方向に肩紐Sが力を受けたとしても、捩れようとする方向の一方側拡張部3bおよび他方側拡張部3cのいずれかが皮膚に当接することで肩紐Sの捩れ(回転)を抑制する。さらに、一方側拡張部3bおよび他方側拡張部3cが非対称に形成されて、肩紐Sが捩れる傾向の強い側に、基部3aからの長さが大きい一方側拡張部3bが配置されることで、肩紐Sの捩れる傾向の強い側の捩れの抑制を強化することができる。本実施形態では、図5に示されるように、磁気治療器1は、一方側拡張部3bが人体の中心よりも外側に位置するように配置されている。一般的に、肩は前側へ動かされることが多く、後ろ側に動かされることは少ない。図5に示される例において、肩が前側に動かされることが多いと、肩紐Sは、肩紐Sの延びる軸を中心に反時計方向に捩れようとする傾向が強くなる。このような場合において、磁石収容部3は、一方側拡張部3bが人体の中心よりも外側に配置されることで、肩紐Sが反時計方向に捩れようとしたときに一方側拡張部3bが皮膚に当接するので、肩紐Sの捩れをより確実に抑制することができる。これにより、肩紐Sが捩れる傾向の強い側の捩れの抑制を強化することができる。
【0027】
一方側拡張部3bおよび他方側拡張部3cのそれぞれは、いずれか一方が他方と比べて、基部3aからの長さが大きくなるように形成されていれば、その形状は特に限定されることはない。本実施形態では、一方側拡張部3bは、図1および図2でよく見られるように、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられたときに肩紐Sの斜め上方に向かって複数(図示された例では3つ)の突起が延びるように形成されている。それに対して、他方側拡張部3cは、磁気治療器1が肩紐Sに取り付けられたときに肩紐Sの側方に向かって略半円状に拡張するように形成されている。これにより、磁石収容部3は、全体的に鳥の羽を模したような形状を呈する。2つの磁気治療器1がそれぞれ、一方側拡張部3bが背中の中心よりも外側に向くように両側の肩紐Sのそれぞれに取り付けられると、2つの磁気治療器1がセットで天使の羽のように見えるので、外観が優れたものとなる。
【0028】
一対の可動片4は、磁石収容部3との間で肩紐Sを挟持することで、磁気治療器1を肩紐Sに取り付ける。一対の可動片4は、図2図4に示されるように、磁石収容部3に開閉可能に取り付けられる。一対の可動片4は、閉じた状態(図2の状態)で、磁石収容部3との間で肩紐Sを挟持し、開いた状態(図4の状態)で、磁石収容部3との間での肩紐Sの挟持を解除するように構成される。これにより、磁気治療器1は、一対の可動片4の開閉により肩紐Sに着脱できるので、簡単に肩紐Sに着脱することができる。
【0029】
一対の可動片4はさらに、一対の可動片4の弾性復元力により、開いた状態(図4の状態)から閉じた状態(図2の状態)に移行するように構成されている。一対の可動片4は、自身の弾性復元力により開いた状態から閉じた状態に移行するので、外力を加える必要がなく、肩紐Sを簡単に挟持することができる。また、一対の可動片4は、自身の弾性復元力により開いた状態から閉じた状態に付勢されるので、肩紐Sを安定して挟持することができる。一対の可動片4の弾性復元力によって肩紐Sを挟持することにより磁気治療器1を肩紐Sに取り付けることができるので、肩紐Sに大きな力を加えることなく、肩紐Sを傷つけることが抑制されるように磁気治療器1を肩紐Sに取り付けることができる。
【0030】
一対の可動片4は、図2に示されるように、閉じた状態で、それぞれの少なくとも一部が互いに重なり合うように配置される。一対の可動片4のそれぞれの少なくとも一部が互いに重なり合うことで、磁気治療器1および肩紐Sに互いから外れるような力が加わったとしても、肩紐Sは一対の可動片4の両方の可動片の弾性復元力に打ち勝たなければ磁気治療器1から外れないので、一対の可動片4のそれぞれが互いに重なり合わない場合と比べて、より外れにくくなる。
【0031】
本実施形態では、一対の可動片4は、図2に示されるように、一対の可動片4が閉じた状態で一対の可動片4のそれぞれが互いに重なり合う部分4aと磁石収容部3との間で肩紐Sが挟持されるように配置される。一対の可動片4は、それぞれの可動片が互いに重なり合う部分4aと磁石収容部3との間で肩紐Sを挟持することで、肩紐Sをより強固に挟持することができる。それによって、磁気治療器1は、肩紐Sから、より外れにくくなる。特に、本実施形態では、一対の可動片4が閉じた状態で一対の可動片4のそれぞれが互いに重なり合う部分4aの幅W2が、肩紐Sの幅W1と略同一か、または肩紐Sの幅W1よりも大きい。これにより、一対の可動片4は、肩紐Sをより強固に挟持することができ、それによって、磁気治療器1は、肩紐Sから、より外れにくくなる。
【0032】
一対の可動片4は、本実施形態では、図2図4に示されるように、第1可動片41および第2可動片42を備え、磁石収容部3の第1シート状部材31に開閉可能に取り付けられる。第1可動片41は、基部3aの延びる方向に平行な軸を中心に回転可能なように、磁石収容部3の一方側拡張部3bに取り付けられる。また、第2可動片42は、基部3aの延びる方向に平行な軸を中心に回転可能なように、磁石収容部3の他方側拡張部3cに取り付けられる。第1可動片41の回転軸と第2可動片42の回転軸との間に基部3aが位置付けられており、第1可動片41および第2可動片42は、基部3aを開放するように基部3aの幅方向の両側に開かれ、基部3a上で互いに重なり合うように閉じられる。
【0033】
第1可動片41および第2可動片42はそれぞれ、図2および図4に示されるように、略半円のシート状に形成されている。第1可動片41および第2可動片42はそれぞれ、外力が加えられることで、略半円の直線部分が回転軸となるように回転するとともに、基部3aの幅方向の外側に向かって湾曲して開かれる(図4の状態)。また、開いた状態の第1可動片41および第2可動片42はそれぞれ、開いた状態とするための外力が取り除かれると、それぞれの弾性復元力により、略半円の直線部分が回転軸となるように回転するとともに、湾曲部分が平坦に復元して閉じられる(図2の状態)。なお、第1可動片41および第2可動片42はそれぞれ、弾性復元力ではなく外力によって、開いた状態から閉じた状態に移行されてもよい。
【0034】
一対の可動片4は、可撓性を有し、開いた状態から閉じた状態に復元する弾性復元力を有していれば、構成材料は特に限定されることはない。たとえば、一対の可動片4は、肩紐Sを傷つけるのを抑制することが可能な軟質材料により形成することができる。磁気治療器1は、一対の可動片4が軟質材料で形成されることで、肩紐Sを傷つけるのをさらに抑制しながら、肩紐Sに取り付けることができる。また、一対の可動片4は、たとえば粘着性を有する材料により形成することができる。一対の可動片4は、粘着性を有することにより、互いに重なり合って閉じられたときに、それぞれの可動片が互いに粘着するので、肩紐Sをより強固に挟持することができる。一対の可動片4は、たとえば可塑剤が添加されたポリ塩化ビニルにより形成することができる。一対の可動片4は、可塑剤がブリードするのを利用して、表面に粘着性が付与される。添加される可塑剤としては、エポキシ化大豆油液体が例示される。
【符号の説明】
【0035】
1 磁気治療器
2 磁石
3 磁石収容部
31 第1シート状部材
32 第2シート状部材
33 第3シート状部材
33a 凹部
33b 周壁
3a 基部
3b 一方側拡張部
3c 他方側拡張部
4 一対の可動片
41 第1可動片
42 第2可動片
4a 一対の可動片が互いに重なり合う部分
S 長尺部材(ブラジャーの肩紐)
W1 長尺部材(ブラジャーの肩紐)の幅
W2 一対の可動片が互いに重なり合う部分の幅
図1
図2
図3
図4
図5