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  • 特許-車体処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】車体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
B60S3/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019092326
(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公開番号】P2020185917
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 治幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄基
(72)【発明者】
【氏名】丸田 和将
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126221(JP,A)
【文献】特開2007-161117(JP,A)
【文献】特開2018-202944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の車長方向に前記車体とは相対移動可能なフレームと、
前記フレームに設けられ、前記車体に向かって送風するよう前記車体の車高方向に延びるスリット状の第1開口を有する第1送風ノズルと、
前記フレームの前記第1開口よりも上方に設けられ、一端および他端を有する筒状の第2送風ノズルと、を備え、
前記第2送風ノズルの前記他端は、前記第1開口がスリット状に延びる延長上に配置され、
前記第2送風ノズルの前記一端は、第2開口として、前記第1送風ノズルからの送風よりも先行して前記第2送風ノズルが前記車体に送風するように指向していることを特徴とする車体処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の車体処理装置において、
前記第2開口は、前記車体の車高方向に対して斜め下に指向していることを特徴とする車体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車体処理装置において、
前記フレームに設けられ、前記第1および第2送風ノズルとは前記車体の車長方向に離して配置される複数の散布ノズルを更に備え、
前記複数の散布ノズルを用いて前記車体に洗浄液を散布することを特徴とする車体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2008-162520号公報)には、車体に付着した水滴を送風により吹き飛ばして車体の乾燥を図るために、送風口(開口)がスリット状や円状の送風ノズルを備える洗車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-162520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スリット状開口の送風ノズルを用いる場合、ノズルと車体とがある程度離れてしまうと送風の勢いが弱まり、乾燥力が低下してしまうおそれがある。また、円状開口の送風ノズルを用いる場合、より広範囲に送風するにあたり、ノズルを車体の車高方向に揺動させることが考えられる。
【0005】
本発明の一目的は、車体乾燥にあたり好適に送風することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段として、車体処理装置は、車体の車長方向に前記車体とは相対移動可能なフレームと、前記フレームに設けられ、前記車体の車高方向に延びるスリット状の第1開口を有する第1送風ノズルと、前記フレームに設けられ、前記車体の車高方向において前記第1開口よりも上方に配置されるスポット状の第2開口を有する第2送風ノズルと、を備え、前記第1および第2送風ノズルを用いて前記車体に送風することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段によれば、車体乾燥にあたり好適に送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車体処理装置の正面図である。
図2図1に示す車体処理装置の側面図である。
図3図1に示す車体処理装置の一部の背面図である。
図4図1に示す車体処理装置の一部の側面図である。
図5図1に示す車体処理装置の一動作の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る車体処理装置として洗車装置に適用した場合について、図面を参照して説明する。図1および図2はそれぞれ洗車装置10の正面図および側面図である。図3および図4はそれぞれ洗車装置10の一部である送風ユニット50の背面図および側面図である。図5は洗車装置10の一動作(乾燥工程)の説明図である。図2、5では洗車装置10の洗車対象である車体100(貨物自動車)も示している。また、図中では、xyz座標空間に洗車装置10を配置したものとし、x方向が洗車装置10の処理対象である車体100の車長方向(第1水平方向)、y方向が車体100の車幅方向(第2水平方向)、z方向が車体100の車高方向(鉛直方向)に対応しているものとする。
【0010】
洗車装置10は、車体100の車長方向xに車体100とは相対移動可能なフレーム12を備えている。本実施形態では、停止した車体100に対してフレーム12が車長方向xに沿って移動することによって、車体100とフレーム12とが相対移動するものとし、フレーム12の正面側(図2中、右側)へ移動することを前進、背面側(図2中、左側)へ移動することを後進として説明する。
【0011】
フレーム12は、門型フレーム12Aと、柱型フレーム12Bとを備えている。門型フレーム12Aは、車体100を跨ぐように、車高方向zに起立する一対の脚部(柱部)と、一対の脚部の上部に架かる梁部とから構成されている(図1図5参照)。また、柱型フレーム12Bは、門型フレーム12Aの脚部にならって背面側に設けられ、車高方向zに延在している(図2図5参照)。
【0012】
また、洗車装置10は、レール14と、駆動輪16と、従動輪18と、走行モータ20とを備えている。レール14は、地面G上に車幅方向yに対をなし、車長方向xに延在して設けられている。駆動輪16および従動輪18は、門型フレーム12Aの一対の脚部下端のそれぞれに設けられており、レール14上を走行する。走行モータ20は、駆動輪16を回転駆動するように正逆転可能であり、一つの脚部のそれぞれに設けられている。フレーム12は、走行モータ20の駆動により、車長方向xを往復動する。レール14の一端がフレーム12の正面側にあり、レール14の他端がフレーム12の背面側にあるので、フレーム12は、レール14の一端と他端との間で、一端側に向かって前進したり、後端側に向かって後進したりする(往復動する)ことができる。
【0013】
また、洗車装置10は、走行前端ドッグ22と、走行後端ドッグ24と、走行限界スイッチ26とを備えている。走行前端ドッグ22および走行後端ドッグ24は、それぞれレール14の前端および後端に設けられている。走行限界スイッチ26は、門型フレーム12Aの脚部下端に設けられている。走行限界スイッチ26は、フレーム12の前進において走行前端ドッグ22に接触することで前進の限界位置を検出し、フレーム12の後進において走行後端ドッグ24に接触することで後進の限界位置を検出する。これにより、フレーム12がレール14の両端部を越えて走行することを防止することができる。
【0014】
また、洗車装置10は、電装ボックス28、30と、操作パネル32とを備えている。電装ボックス28は門型フレーム12Aの正面左側の脚部に設けられ、電装ボックス30は門型フレーム12Aの正面右側の脚部に設けられている。操作パネル32は、電装ボックス30の前面に設けられ、洗車受付などユーザによって操作される。
【0015】
また、洗車装置10は、光電センサ34を備えている。光電センサ34は、対をなす発光部34Aおよび受光部34Bを備えている。発光部34Aおよび受光部34Bは、対向する電装ボックス28、30の対向面(内面)のそれぞれに設けられている。光電センサ34は、車高方向yにおいて受光部34Bを発光部34Aよりも高く配置することで水平方向に対して傾斜した光軸Lを形成し(図1参照)、この傾斜光軸Lの透光/遮光によって車体100の有無を検出する。これにより、例えば貨物自動車のような車体100のキャビンが地面Gから高く、キャビン下の水平方向の光軸では透光となる場合であっても、傾斜光軸Lでは遮光となり車体100を検出することができる。
【0016】
また、洗車装置10は、トップブラシ36と、サイドブラシ38とを備えている。トップブラシ36は、門型フレーム12Aの一対の脚部のそれぞれに備えた昇降レール(不図示)間に沿って昇降し、主に車体100の上面をブラッシングする。また、サイドブラシ38、38は、門型フレーム12Aの梁部内にその長さ方向(車幅方向y)に備えた走行レール(不図示)に沿って開閉し、主に車体100の前後面および側面をブラッシングする。なお、トップブラシ36、サイドブラシ38、38と車体100との接触度合いは、それぞれを回転駆動するブラシモータ(図示せず)の電流値により監視している。
【0017】
また、洗車装置10は、散布ユニット40、42を備えている。散布ユニット40、42は、アーチ状のパイプから構成され、門型フレーム12Aの一方の脚部、梁部および他方の脚部にかけて設けられている。散布ユニット40のパイプはトップブラシ36の前方に配置され、散布ユニット42のパイプはトップブラシ36とサイドブラシ38との間に配置される。散布ユニット40は、パイプに所定間隔で配置された複数の散布ノズル44を備え、これらから車体100に水などの液体を散布することができる。また、散布ユニット42は、パイプに所定間隔で配置された複数の散布ノズル46を備え、これらから車体100にワックスなどの液体を散布することができる。
【0018】
また、洗車装置10は、送風ユニット50を備えている。送風ユニット50は、柱型フレーム12Bに設けられた送風ノズル52、54を備えている。送風ユニット50は、送風ノズル52、54を用いて車体100に送風することができる。送風ノズル52、54からは高圧空気が送られるので、車体100に付着している水滴を吹き飛ばして車体100を乾燥することができる。なお、送風ユニット50は、柱型フレーム12Bを備え、門型フレーム12Aの脚部に取り付け可能な構成である。
【0019】
柱型フレーム12Bが門型フレーム12Aの脚部背面(後部面)に設けられ、その柱型フレーム12Bに送風ノズル52、54が設けられている。このため、送風ユニット50は門型フレーム12Aの脚部背面に設けられているといえる。また、送風ユニット50は門型フレーム12Aの一対の脚部のそれぞれに設けられ、互いの送風ノズル52、54が対向して配置されている。より具体的には、一対の柱型フレーム12Bの内面に設けられたそれぞれの送風ノズル52の開口52Aおよび送風ノズル54の開口54Aが、対向して配置されている。一方の柱型フレーム12Bに車高方向zに並んで2基の送風ノズル54と、他方の柱型フレーム12Bに車高方向zに並んで2基の送風ノズル54との計4基の送風ノズル54が設けられている。送風ユニット50によれば、フレーム12を移動させた際に、車体100の両側面に送風することができ、効率よく乾燥することができる。
【0020】
送風ノズル52(第1送風ノズル)は、車体100の車高方向zに延びるスリット状の開口52Aを有している(送風ノズル52をスリットノズル52ともいう)。具体的に送風ノズル52は、車高方向zに延びる三角柱状であり、その断面視(水平面視)三角形の一隅部が開口することで、車高方向zに延びるスリット状の開口52Aを有している。スリット状の開口52Aからの送風(図5中に下限の送風方向52Lと上限の送風方向52Hを示す)によれば、その開口52Aの車高方向zの長さ範囲に伴って、車体100の車高方向zの広範囲を乾燥することができる。
【0021】
送風ノズル54(第2送風ノズル)は、車体100の車高方向zにおいて開口52Aよりも上方に配置されるスポット状の開口54Aを有している(送風ノズル54をスポットノズル54ともいう)。具体的に送風ノズル54は、筒状であり、その端部の開口として、スポット状の開口54Aを有している。この送風ノズル54は、車高方向zに2基並んでブロワボックス55に設けられ、それぞれの開口54Aの指向方向が平行している。なお、車体100に対する風圧は、車体100との距離が同じであれば、送風ノズル52より送風ノズル54の方が高い。
【0022】
ここで、開口54Aのスポット状とは、開口52Aのスリット状に対しての形状である。スポットノズル54によれば、長距離まで送風(図5中に送風方向52Bを示す)させることができ、コアンダ効果を作用させて車体100を効率よく乾燥することができる。本実施形態では、スポット状として真円状の場合を示すが、楕円状や多角形状の近似した円状であってもよい。また、スポット状として、短辺/長辺=0.2以上の長方形で囲まれる範囲の開口形状でもコアンダ効果を得ることができる。
【0023】
図5に示すように、車体100の下部より上部(ルーフ部)の幅が狭くなるので、車体100の下部より上部の方が送風ユニット50からの距離が長くなる。仮にスポットノズル54の代わりにスリットノズル52を延ばして配置する場合、車体100の上部にはそのスリットノズル52からの風が車体100の上部に届きにくくなり、効率よく乾燥させることができない。他方、仮にスリットノズル52の代わりにスポットノズル54を配置する場合、車体100の上部から下部まで送風するにあたって、スポットノズル54を車高方向zに揺動させたり、より多くのスポットノズル54を車高方向zに配置したりする必要がある。
【0024】
そこで、本実施形態では、スリットノズル52とスポットノズル54とを組み合わせることで、車体100との距離が短いスリットノズル52からの送風によって車体100の側面の大部分を乾燥しつつ、車体100との距離が長いスポットノズル54からの送風によって車体100の上面および側面上部を乾燥させることができる。このように、スリットノズル52とスポットノズル54とを組み合わせることで、効率よく広範囲を乾燥することができる。
【0025】
また、送風ノズル54のスポット状の開口54Aは、車体100の車高方向zに対して斜め下に指向している。具体的には、図4に示すように、車高方向zにおいて開口54A側の一端が他端よりも下側となるように(図4中では寸法z1を示す)、筒状のスポットノズル54がブロワボックス55に取り付けられている。これにより、開口54Aが車高方向zに対して斜め下に指向している。
【0026】
このスポットノズル54からの送風(図5には送風方向54Bを示す)により、車体100の上面や側面上部を乾燥させることができる。また、スポットノズル54からの送風は、車体100に当たって側面上部から側面下部に向かうため、車体100に付着している水滴も下方に押しやられる。そして押しやられた水滴は、スポットノズル54よりも下方に配置されているスリットノズル52からの送風により吹き飛ばされる。このように、スポット状の開口54Aを斜め下に指向させることで、車体100を効率よく乾燥することができる。また、スポットノズル54が車高方向xの上方でされ、その開口54Aが斜め下に指向しているので、車高によらず車体100の上面や側面上部を乾燥することができる。
【0027】
また、送風ノズル54のスポット状の開口54Aは、スリットノズル52からの送風よりも先行してスポットノズル54が車体100に送風するように指向している。後述するが、洗車の際にはフレーム12が前進(図4中、右方向に移動)し、乾燥の際にはフレーム12が後進(図4中、左方向に移動)するので、スポット状の開口54Aはフレーム12の後方側に指向している。具体的には、車長方向xにおいて開口54A側の一端が他端よりも左側(後進側)となるように(図4中では寸法x1を示す)、筒状のスポットノズル54がブロワボックス54に取り付けられている。また、スポットノズル54の他端が、スリットノズル52の開口52Aが延びる車高方向z上に位置している。これにより、スリットノズル52よりも先行してスポットノズル54から送風するように、開口54Aが指向している。
【0028】
スポットノズル54からの送風により押しやられた水滴は、次にフレーム12の後進に伴って移動してきたスリットノズル42からの送風によって吹き飛ばされる。このように、スリットノズル52からの送風よりも先行してスポットノズル54から車体100に送風するようにスポット状の開口54Aを指向させることで、車体100を効率よく乾燥することができる。
【0029】
また、これら送風ノズル52、54は、図2に示すように、洗浄に用いる散布ノズル44、46とは車体100の車長方向xに離して配置されている。これにより、洗浄の際に飛び散った洗浄液が送風ノズル52、54に付着するのを防止することができる。
【0030】
また、洗浄装置10は、フレーム12の柱型フレーム12Bに設けられ、送風ノズル52と送風ノズル54とにそれぞれ独立してダクトホース60、60を介して接続されるブロワ56、58を備えている。これにより、送風ノズル52、54のそれぞれで送風するタイミングを調整したり、風量を調整したりすることができ、車体100を効率よく乾燥することができる。また、ブロワ56は、車体100の車高方向zにおいて送風ノズル52よりも下方に配置されている。また、ブロワ58は、車体100の車高方向zにおいて送風ノズル54よりも上方に配置されている。これにより、送風ノズル52とブロワ56との接続距離および送風ノズル54とブロワ58との接続距離(ダクトホース60の長さ)を短くすることができ、柱型フレーム12B内で送風ノズル52、54およびブロワ56、58をコンパクトに収納できる。
【0031】
このような洗車装置10を用いた車体100の処理方法について概略して説明する。この処理方法は、待機工程と、洗浄工程と、乾燥工程とを含み、この順で工程が行われる。待機工程では、処理対象である車体100が入車されるのを待機する。次いで、洗浄工程では、車体100の前面側から後面側に向かうようにフレーム12を移動(前進)させ、散布ノズル44、46から水などの洗浄液を車体100に散布しながら、トップブラシ36およびサイドブラシ38によって車体100をブラッシング洗浄する。次いで、乾燥工程では、車体100の後面側から前面側に向かうようにフレーム12を移動(後進)させ、スリットノズル52およびスポットノズル54から車体100に送風しながら、車体100を乾燥する。本実施形態では、車幅方向zに送風ノズル52、54が並んで配置されているので、車体乾燥にあたり好適に送風することができる。
【0032】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0033】
前記実施形態では、車体処理装置として、トラック(貨物自動車)を洗浄、乾燥する大型洗浄装置に適用した場合について説明した。これに限らず、車体処理装置として、トラック、バスなどの大型自動車よりも小さい普通自動車の車体を洗浄、乾燥する洗浄装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 洗車装置(車体処理装置)
12 フレーム
52、54 送風ノズル
52A、54A 開口
図1
図2
図3
図4
図5