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  • 特許-吐水制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】吐水制御装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230417BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20230417BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230417BHJP
【FI】
E03C1/05
G06T7/20 300A
G06T7/00 660Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019103512
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020197057
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝 宣広
(72)【発明者】
【氏名】白井 雄喜
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148107(JP,A)
【文献】特開2012-117256(JP,A)
【文献】特開2013-26830(JP,A)
【文献】特開2012-107427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
G06T 1/00
G06T 7/20
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
前記吐水部の吐水、止水を切り替える吐水切替部と、
前記吐水部のまわりの水回り空間の画像を撮像する撮像部と、
前記画像に用品が写っている場合に、前記画像から前記用品の情報を検知する用品検知部と、
前記画像に人の手が写っている場合に、前記画像から前記人の手の情報を検知する人の手検知部と、
前記用品の情報及び前記人の手の情報に基づいて、前記人の手が前記用品を把持している把持状態か、前記人の手が前記用品を把持していない非把持状態かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、前記把持状態では吐水し、前記非把持状態では止水するように前記吐水切替部を制御する制御部と、
を備えている吐水制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記用品の情報及び前記人の手の情報に基づいて、前記人の手と前記用品とが所定の位置関係を保って前記吐水部の吐水領域の外側から前記吐水部の吐水領域の内側に入ってきたときには前記把持状態であると判定し、そうでないときには前記非把持状態であると判定する請求項1に記載の吐水制御装置。
【請求項3】
前記用品検知部は、前記画像から前記用品の輪郭を抽出して前記用品の情報を検知する請求項1又は請求項2に記載の吐水制御装置。
【請求項4】
前記人の手検知部は、前記画像から前記人の手の輪郭を抽出して前記人の手の情報を検知する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吐水制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記把持状態において前記人の手が洗剤を使っている洗剤使用状態か、前記洗剤を使っていない洗剤不使用状態かを判定し、
前記制御部は、前記洗剤使用状態では止水し、前記洗剤不使用状態では吐水するように前記吐水切替部を制御する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の吐水制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の手や物品をセンシングし、センシングにより検出された人の手や物品の位置情報などから、物品の持ち方を推定し、物品の持ち方からその物品を推定するプログラムが知られている。例えば下記特許文献1に記載されたプログラムは、家庭またはオフィスなどの生活空間にある日用品やオフィス用品などの物品の持ち方からその物品を推定するものである。このプログラムは、物品の持ち方と、物品と人の手との位置関係とが、予めデータベースに登録されている。
【0003】
ところで、キッチンや洗面化粧台等の水栓ユニットにおいて、人の手が皿などの用品を把持していることを条件として自動吐水するようにしたいという要望がある。このような要望に対し、上記のようなプログラムを用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2010/004719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなプログラムにより、人の手が皿などの用品を把持していることを条件として適切に自動吐水することは容易ではない。なぜなら、人の手が皿などの用品を把持していることを条件として自動吐水するためには、例えば皿が置かれただけの場合には吐水しないなど、吐水、止水のタイミングを適切に制御する必要があるからである。上記のようなプログラムでは、そのような制御を行うために必要な用品及び人の手の状態を十分に把握することが困難であった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、人の手が皿などの用品を把持していることを条件として適切に自動吐水できる吐水制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吐水制御装置は、吐水部と、前記吐水部の吐水、止水を切り替える吐水切替部と、前記吐水部のまわりの水回り空間の画像を撮像する撮像部と、前記画像に用品が写っている場合に、前記画像から前記用品の情報を検知する用品検知部と、前記画像に人の手が写っている場合に、前記画像から前記人の手の情報を検知する人の手検知部と、前記用品の情報及び前記人の手の情報に基づいて、前記人の手が前記用品を把持している把持状態か、前記人の手が前記用品を把持していない非把持状態かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、前記把持状態では吐水し、前記非把持状態では止水するように前記吐水切替部を制御する制御部と、を備えているものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例における吐水制御装置の構成例を示すブロック図
図2】人の手が洗剤を使っている洗剤使用状態を例示する図
図3】吐水制御装置の動作例を示すフローチャート
図4】判定部の動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図4を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例における吐水制御装置Sは、例えばキッチン等の水が使用される場所に設けられる。吐水制御装置Sは、図1に示すように、吐水部10と、吐水切替部12と、撮像部13と、吐水切替部12を制御する切り替え制御部Cと、を備えている。切り替え制御部Cは、用品検知部14と、人の手検知部15と、吐水口検知部16と、判定部17と、制御部18と、を備えている。
【0010】
吐水切替部12は、吐水部10の吐水、止水を切り替える電磁弁である。撮像部13は、吐水部10の周囲の水回り空間の画像を撮像する一つのカメラである。用品検知部14は、画像に用品19が写っている場合に、画像から用品19の情報を検知する。人の手検知部15は、画像に人の手21が写っている場合に、画像から人の手21の情報を検知する。吐水口検知部16は、吐水部10の位置に基づいて吐水領域Tを設定する。判定部17は、用品19の情報及び人の手21の情報に基づいて、人の手21が用品19を把持している把持状態か、人の手21が用品19を把持していない非把持状態かを判定する。制御部18は、判定部17の判定結果に基づき、把持状態では吐水し、非把持状態では止水するように吐水切替部12を制御する。
【0011】
吐水部10は、吐水口を有する吐水管11を有する。吐水管11は、例えばキッチンのシンク周辺のカウンタに設置される。
撮像部13は、キッチンの上方(例えばキッチンの天井や、キャビネットの下面など)に配置されている。撮像部13は、下方の空間を撮像するように設置される。撮像部13は、吐水部10が設置された水回り空間の画像を取得する。水回り空間は、吐水部10を含む空間であり、シンク等の水回りの設備が設けられた空間である。撮像部13は、例えばシンクよりも広い領域(シンクとコンロとを含む領域など)を撮像する。撮像部13は、例えば無線通信回線を介して、撮像した画像の画像情報を用品検知部14、人の手検知部15及び吐水口検知部16に送信する。撮像部13は、動画像を撮像してもよいし、静止画像を撮像してもよい。また、撮像部13は、カラー画像を撮像しても良いし、白黒画像を撮像してもよい。
【0012】
用品検知部14は、画像に用品19が写っている場合に、画像から用品19の輪郭19Aを抽出する輪郭抽出部14Aを有している。用品19の輪郭19Aは、図1に示すように、用品19の外縁に沿って形成される輪郭線である。用品19の輪郭19Aは、例えば画像における輝度の差分に基づいてエッジ検出を行うなど、画像から輪郭を抽出する公知の手法によって抽出する。輪郭抽出部14Aは、用品19の輪郭19Aのうち人の手21によって隠れた部分は、図1に示すように、連続するように結んで用品19の輪郭19Aを抽出する。
【0013】
用品検知部14は、画像から抽出された用品19の輪郭19Aから、用品19の大きさや用品19の位置を検出する。すなわち用品19の情報は、用品19の輪郭19Aから得られる用品の形状、大きさ又は位置などである。用品検知部14は、用品19の位置として例えば用品19の位置座標を算出する。用品19の位置座標は、用品19の輪郭19Aの中心付近の位置を示す座標であってもよいし、用品19の輪郭19Aを示す座標群であってもよい。用品検知部14は、用品19の情報を判定部17に出力する。
【0014】
人の手検知部15は、画像に人の手21が写っている場合に、画像に写っている物体から人の手と推測される物体を検出する。それは例えば、予め図示しない記憶部に記憶された手の画像と、撮像部13により撮像された物体の画像とを比較して行う。記憶部には、予め手を様々な撮影条件(撮像角度や照明等)により撮像した画像を記憶させておく。記憶部に記憶された手の画像と、撮像された物体の画像とが、所定の類似条件を充足する場合に、その物体を人の手21として検出する。
【0015】
人の手検知部15は、画像から人の手21の枠21Aを抽出する枠抽出部15Aを有している。枠抽出部15Aは、画像から検出した人の手21に矩形の枠(セル)をあてはめて抽出する。人の手21の枠21Aは、例えば人の手21から手首までを含む長方形状の枠などであってよい。
【0016】
人の手検知部15は、画像から抽出された人の手21の枠21Aから、手の大きさや手の位置を検知する。すなわち人の手21の情報は、人の手21の枠21Aから得られる手の形状(手を握っている、開いている、手の指が曲がっている、延びているなど)、大きさ又は位置などである。人の手検知部15は、人の手21の位置として例えば人の手21の位置座標を算出する。人の手21の位置座標は、人の手21の枠21Aのうち人の指が配されると推測される先端部近傍を示す座標であってもよいし、人の手21の枠21Aの全体を示す座標群であってもよい。人の手検知部15は、人の手21の情報を判定部17に出力する。
【0017】
吐水口検知部16は、吐水部10の位置から吐水領域Tを設定する。吐水領域Tとは、吐水部10を含む領域であって、吐水部10の近傍に広がる領域であり、例えば吐水部10から吐水される(水が落ちる)領域よりもわずかに大きい領域である。吐水口検知部16は、撮像部13が撮像した画像から吐水部10の吐水口の位置を検知し、吐水口を含む領域を吐水領域Tとして設定する。吐水口検知部16は、吐水領域Tの設定結果を判定部17に出力する。
【0018】
判定部17は、用品19の情報、人の手21の情報及び吐水領域Tの設定結果に基づいて、人の手21が用品19を把持している把持状態か、人の手21が用品19を把持していない非把持状態かを判定する。
【0019】
判定部17は、人の手21と用品19とが所定の位置関係を保って吐水領域Tの外側から吐水領域Tの内側に入ってきたときに把持状態であると判定し、そうでないときに非把持状態であると判定する。人の手21と用品19とが所定の位置関係にあるときとは、人の手21が用品19を把持していると推測される位置関係にあるときである。それは例えば、人の手21が用品19の外縁部に接しているときであり、画像の用品19の輪郭19Aに人の手21の枠21Aの先端部が重なっているときである。
【0020】
用品19の輪郭19Aや人の手21の枠21Aの抽出精度を考慮して、人の手21が用品19を把持していると推測される位置関係を設定してもよい。それは例えば、用品19の輪郭19Aや人の手21の枠21Aが実際の用品の輪郭や人の手の輪郭より一回り小さく抽出されるような場合を想定し、用品19の輪郭19Aと人の手21の枠21Aとがわずかに離れていても、用品19の輪郭19Aと人の手21の枠21Aとの距離が所定の距離内であるとき、あるいは用品19の位置座標と人の手21の位置座標との距離が所定の距離(人の手21が用品19を把持していると推測される距離)であるときを、人の手21が用品19を把持していると推測される位置関係と設定してもよい。
【0021】
人の手21と用品19とが吐水領域Tの内側に入ってきたとき、とは、使用者が、用品19に吐水しようとして、用品19を把持して吐水領域Tに持ってきたと推測される程度に、人の手21または用品19が吐水領域T内に位置するとき、である。それは例えば鉛直方向の上側から見て、所定の位置関係にある人の手21または用品19の少なくとも一部が吐水領域Tと重なる場合を含む。すなわち、人の手21と用品19とが吐水領域Tの内側に入る、とは、必ずしも所定の位置関係にある人の手21または用品19の全体が吐水領域T内に位置しなくてもよい。この場合、人の手21と用品19とが吐水領域Tの内側に入っている、というときの人の手21または用品19の一部と吐水領域Tとが重なる程度は適宜設定できる。人の手21と用品19とが吐水領域Tの外側に位置するとき、とは、人の手21及び用品19が、吐水領域Tの内側に入っている、という状態に当てはまらないときである。
【0022】
判定部17は、吐水領域Tの外側では人の手21と用品19とが所定の位置関係になく、吐水領域Tの内側で人の手21と用品19とが所定の位置関係になった場合は、非把持状態であると判定する。これにより、例えば吐水領域Tの内側に用品19が置かれた状態で、吐水領域Tの外側から吐水領域Tの内側に人の手21が入り、用品19と人の手21との位置関係が所定の位置関係になった場合は、判定部17は非把持状態であると判定する。
【0023】
判定部17は、把持状態において人の手21が洗剤を使っている洗剤使用状態か、洗剤を使っていない洗剤不使用状態かを判定する。この判定は、用品19の情報及び人の手21の情報に基づいてなされる。洗剤を使っている人の手21は、図2に示すように、用品19を把持している方の手21が用品19の外縁部に接し、スポンジ等を把持している方の手21が用品19の中央部に接すると推測される。よって、判定部17は、一方の人の手21と用品19とが把持状態と想定される位置関係にあり、他方の人の手21の枠21Aの先端部が用品19の輪郭19Aに囲まれた領域の中央付近に重なっているときや、他方の人の手21の先端部の位置座標が用品19の中心の位置座標に近い位置にあるときなどに洗剤使用状態であると判定し、そうでないときに洗剤不使用状態であると判定する。
【0024】
制御部18は、判定部17の判定結果に基づいて、把持状態における洗剤不使用状態では、吐水部10が吐水するように吐水切替部12を制御(電磁弁を開弁)し、把持状態における洗剤使用状態、及び非把持状態では吐水部10が吐水しないように吐水切替部12を制御(電磁弁を閉弁状態に維持)する。
【0025】
次に、本実施例における吐水制御装置Sの動作を図3を参照して説明する。
まず、撮像部13が、水回り空間の画像を撮像する(ステップS100)。
次に、用品検知部14が、画像から用品19の輪郭19Aを抽出して用品19の情報を検知する(ステップS101)。また、人の手検知部15が、画像から人の手21の枠21Aを抽出して人の手21の情報を検知する(ステップS102)。吐水口検知部16は、画像から吐水口を抽出して吐水領域Tを設定する(ステップS103)。なお、ステップS101、S102、及びステップS103を行う順序は変更してもよい。
【0026】
判定部17は、用品検知部14により検知された用品19の情報、人の手検知部15により検知された人の手21の情報、及び吐水口検知部16により設定された吐水領域Tに基づいて、人の手21が用品19を把持している把持状態か、人の手21が用品19を把持していない非把持状態かを判定する(ステップS104)。判定部17の動作は後ほど説明する。
【0027】
判定部17の判定結果が、非把持状態である場合、制御部18は吐水部10の止水を維持するように吐水切替部12を制御する(ステップS105)。
判定部17の判定結果が、把持状態である場合、制御部18は吐水切替部12を制御して吐水部10を吐水する(ステップS106)。
【0028】
次に、本実施例における判定部17の動作の一例を図4を参照して説明する。
まず、判定部17は、用品19と人の手21とが所定の位置関係にあるか否かを判定する(ステップS200)。判定部17が、用品19と人の手21とは所定の位置関係にないと判定した場合、非把持状態であると判定する(ステップS201)。
【0029】
判定部17が、用品19と人の手21とが所定の位置関係にあると判定した場合、用品19と人の手21とが吐水領域T内に位置するか否かを判定する(ステップS202)。判定部17は、用品19と人の手21とが吐水領域T内に位置しないと判定した場合、非把持状態であると判定する(ステップS201)。判定部17が、用品19と人の手21とが吐水領域T内に位置すると判定した場合、人の手21と用品19とが所定の位置関係を保って吐水領域Tの外から吐水領域T内に入ってきたか否かを判定する(ステップS203)。判定部17は、人の手21と用品19とが所定の位置関係を保って吐水領域Tの外から吐水領域T内に入っていないと判定した場合、非把持状態であると判定する(ステップS201)。
【0030】
判定部17は、人の手21と用品19とが所定の位置関係を保って吐水領域Tの外から吐水領域T内に入ってきたと判定した場合、把持状態であると判定する(ステップS204)。
【0031】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例の吐水制御装置Sは、吐水部10と、吐水切替部12と、撮像部13と、用品検知部14と、人の手検知部15と、判定部17と、制御部18と、を備えている。吐水切替部12は、吐水部10の吐水、止水を切り替える。撮像部13は、吐水部10のまわりの水回り空間の画像を撮像する。用品検知部14は、画像に用品19が写っている場合に、画像から用品19の情報を検知する。人の手検知部15は、画像に人の手21が写っている場合に、画像から人の手21の情報を検知する。判定部17は、用品19の情報及び人の手21の情報に基づいて、人の手21が用品19を把持している把持状態か、人の手21が用品19を把持していない非把持状態かを判定する。制御部18は、判定部17の判定結果に基づき、把持状態では吐水し、非把持状態では止水するように吐水切替部12を制御する。この構成によれば、人の手21が用品19を把持しているときには自動的に吐水し、人の手21が用品19を把持していないときには自動的に止水される。すなわち、シンク等に置いた皿などの用品19への誤吐水を防止でき、人の手21が用品19を把持していることを条件として適切に自動吐水できる。
【0032】
また、判定部17は、用品19の情報及び人の手21の情報に基づいて、人の手21と用品19とが所定の位置関係を保って吐水領域Tの外側から吐水領域Tの内側に入ってきたときには把持状態であると判定し、そうでないときには非把持状態であると判定する。この構成によれば、例えば水回り空間に用品19が置かれている状態で、水回り空間に入ってきた人の手21が用品19に接近しても、それを把持状態と判定しないから、把持状態と非把持状態とを正確に判定できる。
【0033】
また、用品検知部14は、画像から用品19の輪郭19Aを抽出して用品19の情報を検知する。この構成によれば、例えば用品19を大まかなフレーム等によって画像から抽出するよりも実態に近い情報を得ることができるから、把持状態と非把持状態とをより正確に判定できる。
【0034】
また、判定部17は、把持状態において人の手21が洗剤を使っている洗剤使用状態か、洗剤を使っていない洗剤不使用状態かを判定する。制御部18は、洗剤使用状態では止水し、洗剤不使用状態では吐水するように吐水切替部12を制御する。この構成によれば、洗剤使用状態では自動吐水されないから、洗剤が自動吐水で流れてしまうことを防ぐことができる。
【0035】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、吐水口検知部16が吐水部10の位置から吐水領域Tを設定するが、これに限らず、例えば吐水部が移動せず、吐水口の位置が固定されている場合などには、吐水部の位置及び所定領域は予め記憶(登録)しておいてもよい。
(2)上記実施例では、吐水口検知部16が画像から吐水部10の位置を抽出するが、これに限らず、吐水口検知部は、例えば吐水管が長尺方向の一端側を中心に回転するものである場合には、吐水管の回転角度に基づいて吐水口の位置を検出してもよい。
(3)上記実施例では、人の手検知部15が画像から人の手21の枠21Aを抽出して人の手21の情報を検知するが、これに限らず、人の手検知部は人の手の輪郭(枠よりも人の手の外郭に細かく正確に沿う線)を抽出して人の手の情報を検知してもよい。これにより、人の手の情報を大まかな枠で抽出するよりも実態に近い情報を得ることができるから、把持状態と非把持状態とをより正確に判定できる。
(4)上記実施例では、用品検知部14が画像から用品19の輪郭19Aを抽出して用品19の情報を検知するが、これに限らず、用品検知部は画像から用品の大まかな枠を抽出して用品の情報を検知してもよい。
(5)上記実施例では、判定部17が、人の手21と用品19とが所定の位置関係を保って吐水領域Tの外側から吐水領域Tの内側に入ってきたときに把持状態であると判定し、そうでないときに非把持状態であると判定するが、これに限らず、判定部は、人の手と用品とが吐水領域の外側から所定の位置関係を保っていたか否かにかかわらず、人の手と用品とが所定の位置関係を保っている場合は常に把持状態と判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
S…吐水制御装置
T…吐水領域
10…吐水部
12…吐水切替部
13…撮像部
14…用品検知部
15…人の手検知部
17…判定部
18…制御部
19…用品
19A…用品の輪郭
21…人の手
図1
図2
図3
図4