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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/46 20060101AFI20230417BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A01F12/46
A01F12/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019133925
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021016343
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】李 昇圭
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌章
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110800(JP,A)
【文献】特開2018-183099(JP,A)
【文献】特開2017-60443(JP,A)
【文献】特開2015-37388(JP,A)
【文献】特開2014-8014(JP,A)
【文献】特開2004-275040(JP,A)
【文献】実開昭55-29143(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0042177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/46
A01F 12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取られた穀幹を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置にて脱穀された穀粒を貯留する貯留部と、前記脱穀装置にて脱穀された穀粒を前記貯留部の上方開口部へ向かって横方向から投入するバケットとが設けられ、前記バケットから前記貯留部へ投入される穀粒量を求めるためのセンサが前記貯留部の上方に設けられたコンバインにおいて、
前記センサとして、前記バケットの投入動作位置から遠い場所の第1穀粒量センサと、前記バケットの投入動作位置から近い場所の第2穀粒量センサとが設けられたことを特徴とする、コンバイン。
【請求項2】
穀粒を案内するガイドが前記投入動作位置の上方から前記貯留部の上方にかけて設けられ、前記ガイドの穀粒投入方向側に前記第1穀粒量センサが設けられた、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記第2穀粒量センサが、前記投入動作位置と前記貯留部との間の境界壁に設けられた、請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第2穀粒量センサの検出面が水平方向に対して傾斜し、前記貯留部側で低くなっている、請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
複数の前記バケットがチェーンに並べて連結されるとともに、前記チェーンの一部に、前記バケットの存在しないバケット無し区間が形成され、
前記チェーンが周回して、脱穀された穀粒をすくい取る受け部と前記投入動作位置との間を複数の前記バケットが周回することにより、
前記バケットからの穀粒の投入がある時間帯と、前記バケットからの穀粒の投入が無い時間帯とが形成され、
前記バケットからの穀粒の投入がある時間帯の前記センサの測定値から、前記バケットからの穀粒の投入が無い時間帯の前記センサの測定値が減算され、その減算結果が穀粒量に換算される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した穀粒の量を求めることができるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
大豆やトウモロコシ等の穀粒の収穫には、穀幹を元部から刈取り、穀粒の回収までを行うコンバインが使用されることが多い。このようなコンバインの内部には、刈取られた穀幹を脱穀する脱穀装置、脱穀された穀粒を貯留するための貯留部、脱穀装置により脱穀された穀粒を所定位置まで運搬して貯留部へ投入するバケット等が設けられている。
【0003】
このようなコンバインにおいて、バケットから投げ出された穀粒を貯留部へ案内する案内面を設け、その案内面にセンサを設け、そのセンサに穀粒が衝突したことによる衝撃値に基づき、貯留部へ投入される穀粒量を求めることが知られている(例えば特許文献1参照)。このようなセンサは、穀粒がバケットから遠くへ向かって勢いよく投げ出されることを想定し、バケットから比較的遠い場所に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5947126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バケットは底の深い凹型形状で内部に多くの穀粒が収容されているため、バケットが投入動作を開始してもすぐには穀粒がバケットから出終わらず、投入動作の開始から時間が経過してバケットが反転したような姿勢になったときに最後の穀粒が投げ出される。そして、バケットが投入動作を開始した初期の頃には穀粒が遠くへ投げ出されてセンサにまで到達するが、最後までバケット内に残っていた穀粒は下方に向けて投げ出されて、センサに衝突することなく貯留部に入ってしまう。そのようにセンサに衝突しない穀粒の存在が穀粒量の測定精度に影響していた。
【0006】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、貯留部に投入される穀粒量をより高精度で求めることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンバインは、刈取られた穀幹を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置にて脱穀された穀粒を貯留する貯留部と、前記脱穀装置にて脱穀された穀粒を前記貯留部の上方開口部へ向かって横方向から投入するバケットとが設けられ、前記バケットから前記貯留部へ投入される穀粒量を求めるためのセンサが前記貯留部の上方に設けられたコンバインにおいて、前記センサとして、前記バケットの投入動作位置から遠い場所の第1穀粒量センサと、前記バケットの投入動作位置から近い場所の第2穀粒量センサとが設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、バケットから遠くへ投げ出された穀粒について第1穀粒量センサが測定するだけでなく、バケットから下方に投げ出された穀粒について第2穀粒量センサが測定するので、貯留部に投入される穀粒量を高精度で求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コンバインの略示側面図。
図2】コンバインの略示背面図。図1の右側から見た図。
図3】コンバインの部分略示側面図。図1の反対側から見た図。
図4】揚穀コンベア及び穀粒タンクの上部の縦断面図。
図5】揚穀コンベア及び穀粒タンクを上から見た略示平面図。なおガイドは図示省略されている。
図6】穀粒タンクの投入口近傍の略示斜視図。
図7】揚穀コンベアの上部及び穀粒タンクの上部の背面図。すなわち図4の上部を図4の反対側から見た図。
図8】上段に第1穀粒量センサから出力された信号、下段にピックアップセンサから出力された信号を示す図。穀粒が第1穀粒量センサに連続して衝突しているときの図。
図9】上段に第1穀粒量センサから出力された信号、下段にピックアップセンサから出力された信号を示す図。穀粒が第1穀粒量センサに衝突していないときを含む時間帯の図。
図10】上段は第1穀粒量センサ及び第2穀粒量センサから出力された信号を重ねて示す図。中段は第1穀粒量センサから出力された信号を示す図。下段は第2穀粒量センサから出力された信号を示す図。
図11】制御部を中心とするブロック図。
図12】制御部による穀粒量計算処理のフローチャート。
図13】制御部による補正値計算処理のフローチャート。
図14】変更例のセンサの配置を示す図。揚穀コンベア及び穀粒タンクの上部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態のコンバインについて図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。
【0011】
まずコンバインの全体構造について図1図3に基づき説明する。
【0012】
図1図3に示すコンバインでは、穀幹を刈取る刈取部10が進行方向前方に配置され、刈取部10の後方に、穀幹を後方へ送るフィーダ11が配置されている。フィーダ11の後方には、フィーダ11から送られてきた穀幹を脱穀する脱穀装置12が配置されている。
【0013】
脱穀装置12の下には、脱穀で得られた穀粒や藁屑の中から穀粒を選別し抽出する選別機13が配置されている。また、図2に示すように、選別機13の下には、選別機13で選別された穀粒を横方向へ移動させるスクリュー式の移送コンベア14が配置されている。なお、刈取部10、フィーダ11、脱穀装置12、選別機13及び移送コンベア14は、コンバインのエンジン(不図示)からの動力によって駆動される。エンジンの出力軸近傍には、エンジンの回転数を測定するエンジン回転数センサ63(図11参照)が設けられている。
【0014】
また、図2に示すように、移送コンベア14の終端部から上方へ向かって揚穀コンベア20が延長されている。さらに、揚穀コンベア20と隣接して、穀粒を貯留する貯留部としての穀粒タンク30が配置されている。揚穀コンベア20には上下に移動するバケット25(図4参照)が設けられており、そのバケット25が、移送コンベア14の終端部に到達した穀粒を上方へ運搬し、穀粒タンク30へ投入する。
【0015】
図3に示すように、穀粒タンク30の下には穀粒を横方向へ移動させるスクリュー式の搬出コンベア15が配置されている。搬出コンベア15の終端部には受継ぎケース19が設けられており、受継ぎケース19から上方へ向かって穀粒排出装置16が延長されている。穀粒排出装置16は、チェーンで連結された複数のバケットが、搬出コンベア15の終端部へ到達した穀粒を上方へ運搬する構造のものである。
【0016】
穀粒排出装置16の上端部には、中継ぎ搬送装置17を介して、細長い筒状のコンベア式搬送装置18が連結されている。穀粒タンク30に貯留されていた穀粒は、搬出コンベア15、穀粒排出装置16及び中継ぎ搬送装置17によって運搬されて、コンベア式搬送装置18からコンバインの外部のタンク等に排出される。
【0017】
図1に示すように、刈取部10の後方には、運転者が乗る運転室60が設けられている。運転室60内には不図示のダッシュボードパネルが設けられている。そのダッシュボードパネルに、刈取り及び脱穀を開始したり終了したりするための刈取スイッチ61(図11参照)や、運転者に向けて情報を表示する表示部62(図11参照)等が配置されている。表示部62は収穫作物の選択等を行う操作パネルを兼ねている。
【0018】
次に、揚穀コンベア20から穀粒タンク30にかけての構造について図4図6に基づき説明する。
【0019】
図4に示すように、揚穀コンベア20は、上下に長い揚穀筒21と、揚穀筒21内の下端部近傍及び上端部近傍に配置されたスプロケット22、23とを有している。揚穀筒21の上端部は開口しており、その開口部43より上の場所に上側のスプロケット23が配置されている。さらに、揚穀コンベア20の一部として、上下のスプロケット22、23には、無端状のチェーン24が巻き掛けられている。
【0020】
下側のスプロケット22の回転軸は、スクリュー式の移送コンベア14の回転軸に連結されている。そのため、下側のスプロケット22が移送コンベア14の回転と同期して回転する。下側のスプロケット22の回転に伴い、上側のスプロケット23が従動するとともに、チェーン24が上下のスプロケット22、23の間で周回する。
【0021】
チェーン24には複数(例えば40個)のバケット25が等間隔でほぼ隙間なく設けられている。ただし、チェーン24の1周中の1箇所において、2個のバケット25が連続して取り外されている。それにより、チェーン24の1周のうちの1箇所に、バケット25の存在しないバケット無し区間29が形成されている。バケット無し区間29の距離(図4にLで示す距離)はバケット25の2個分の距離である。バケット25は開口部32を有する底の深い凹型のものであり、内側に穀粒を収容することができる。
【0022】
チェーン24に連結されているバケット25は、チェーン24の回転に従って周回する。バケット25の開口部32はチェーン24の周回方向を向いている。上記のように、エンジンからの動力によって移送コンベア14が駆動され、移送コンベア14の回転と同期して下側のスプロケット22が回転するので、チェーン24及びバケット25の周回の速さはエンジンの回転数の影響を受けることとなる。
【0023】
下側のスプロケット22より下側には、移送コンベア14が運搬してきた穀粒が到達する受け部26が設けられている。この受け部26は、穀粒をバケット25がすくい取る場所でもある。一方、上側のスプロケット23の上側の場所は、上昇してきたバケット25が下降のために折り返す場所である。
【0024】
このような構造の揚穀コンベア20では、バケット25が受け部26において穀粒をすくい取り、上昇しながら穀粒を運搬する。そして、バケット25は、上側のスプロケット23の上において上昇方向から下降方向へ折り返すときに、穀粒タンク30へ向かって穀粒を投げ出す。この、バケット25が穀粒を投げ出す位置を、投入動作位置27とする。投入動作位置27の範囲は、バケット25が穀粒を投げ始める位置(例えば、バケット25がスプロケット23の最上部に来たときの位置)から、バケット25が穀粒を投げ終わる位置(例えば、バケット25の移動の速度ベクトルの方向が、揚穀コンベア20と穀粒タンク30とを分ける境界壁45の最上部の方向を向く位置)までである。穀粒を投げ出して空になったバケット25は下降し、受け部26において再び穀粒をすくい取る。バケット25はこの動作を繰り返し行う。
【0025】
なお、バケット25の存在しないバケット無し区間29が投入動作位置27を通過するときは、当然ながら、穀粒タンク30への穀粒の投入は行われない。バケット無し区間29が設けられているのは、チェーン24の周回中にもかかわらずバケット25による穀粒の投入が行われない時間をあえて作り出し、それによって後述するゼロ点補正値を計算するためである。
【0026】
上側のスプロケット23の回転軸であるシャフト70は、図5に示すように側壁42の外側にまで延長されている。その延長先に第1プーリ71が設けられ、さらにシャフト70の端部に検出用スプロケット73が設けられている。上側のスプロケット23が回転すると、第1プーリ71及び検出用スプロケット73もシャフト70を回転軸として回転する。
【0027】
図7に示すように、検出用スプロケット73の外周部には複数の山74及び複数の谷が形成されている。また、検出用スプロケット73の外周部に近接してピックアップセンサ28が設けられている。この構成により、スプロケット23が回転すると検出用スプロケット73も回転し、検出用スプロケット73の山74がピックアップセンサ28の前を通過することとなる。
【0028】
ピックアップセンサ28は、検出用スプロケット73の山74が前を通過するとその山74を検出する。そして、ピックアップセンサ28は、山74を検出する毎にパルス信号を出力する。山74は、1つのバケット25が投入動作位置27を通過していくときのスプロケット23の回転角度に対して、3つの割合で設けられている。すなわち、バケット25が穀粒の投げ出しを1回行う間に、ピックアップセンサ28からパルス信号が3回出力されるように、山74が設けられている。
【0029】
なお図7に示す検出用スプロケット73は9つの山74を有している。この場合、検出用スプロケット73が1周する間に3つのバケット25が投入動作位置27を通過していくことになる。
【0030】
図4に示すように揚穀コンベア20と隣接して穀粒タンク30が設けられている。揚穀コンベア20の揚穀筒21の穀粒タンク30側の側壁と、穀粒タンク30の揚穀コンベア20側との側壁とが一体化し、揚穀コンベア20と穀粒タンク30とを分ける壁部である境界壁45を形成している。
【0031】
穀粒タンク30の天井には上方に開口する開口部が形成されている。この開口部は穀粒タンク30への穀粒の入り口である。以下、この開口部を「投入口35」とする。投入口35はバケット25の投入動作位置27から見て斜め下にある。穀粒タンク30の投入口35のすぐ下にはレベリングディスク31が設けられている。レベリングディスク31は、上下方向を回転軸方向とする複数の羽根33と、羽根33を回転させるための駆動ケース34とを有している。
【0032】
駆動ケース34内には互いに噛み合った2つのベベルギア(不図示)が収納されている。そして、一方のベベルギアの回転軸が羽根33の回転軸75に連結されている。また、他方のベベルギアの回転軸76は、図5に示すように側壁42の外側にまで延長されている。そして、回転軸76の延長先に第2プーリ77が設けられている。
【0033】
図7に示すように側壁42の外側にはさらに第3プーリ78が設けられている。第1プーリ71、第2プーリ77及び第3プーリ78の回転軸は平行になっている。そして、これらのプーリ71、77、78に1つのベルト72が巻き掛けられている。
【0034】
このような構成のため、上側のスプロケット23及び第1プーリ71が回転すると、ベルト72が周回し、第2プーリ77及び第3プーリ78も回転する。第2プーリ77及びその回転軸76が回転すると、駆動ケース34内のベベルギアを介して回転軸75及び羽根33が回転することとなる。
【0035】
穀粒タンク30に投入された穀粒は、このようにして回転しているレベリングディスク31の羽根33によって横方向(例えば図4の紙面に垂直な方向)に拡散され、穀粒タンク30内に均一に分散される。
【0036】
穀粒タンク30の内側の、満杯の高さより若干下の位置には、押圧式スイッチ40(図11参照)が設けられている。穀粒タンク30内が穀粒で満杯に近くなると、穀粒が押圧式スイッチ40を押すこととなる。
【0037】
揚穀コンベア20の揚穀筒21の開口部43の上方から穀粒タンク30の投入口35の上方にかけての空間が、天井部材36によって覆われている。天井部材36は、上部の水平な天面部41と、四方の垂直な側壁42とからなる、内側に空間を有し下方に開口した部材である。天井部材36の内側空間内に揚穀コンベア20の上側のスプロケット23が配置されている。そして投入動作位置27も天井部材36の内側空間内に存在している。
【0038】
この天井部材36の内側の空間内において、投入動作位置27の上方から穀粒タンク30の投入口35の上方にかけて、1枚の湾曲した板状のガイド37が設けられている。このガイド37の下面は、投入動作位置27で投げ出された穀粒を穀粒タンク30の投入口35まで案内する案内面38であり、1つの曲面となっている。ガイド37の案内面38は、投入動作位置27の上方において最も高くなっており、投入動作位置27よりも穀粒の投入方向前方(図4の右方向)に向かうにつれ徐々に低くなっている。
【0039】
図4図6に示すように、穀粒タンク30の投入口35の上方には、バケット25から穀粒タンク30へ投入される穀粒の量を求めるための第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54が設けられている。第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54は板状のセンサであり、その片面に平面状の検出面を有している。
【0040】
第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54は、それらの検出面に穀粒が衝突したときの衝撃の大きさ(以下「衝撃値」)を測定するセンサである。第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54としては、検出面に穀粒が衝突したときの衝撃値を測定できる様々なものが使用でき、例えば衝撃値を電圧値として測定できる歪みゲージ又は圧電素子が使用される。測定された衝撃値は、検出面に衝突した穀粒の量(例えば重さ)に換算できる。
【0041】
第1穀粒量センサ50は投入動作位置27から遠い場所に設けられている。具体的には、第1穀粒量センサ50は、ガイド37の案内面38の、穀粒の投入方向前方の端部の場所に設けられている。そのために、第1穀粒量センサ50は、天井部材36の側壁42に取付具51を介して固定されている。第1穀粒量センサ50の下方には穀粒タンク30の投入口35が存在している。
【0042】
第1穀粒量センサ50の検出面は投入動作位置27の方を向いている。詳細には、第1穀粒量センサ50の検出面は、上下方向に平行で(つまり縦になっており)、かつ平面視で(つまり上から見て)穀粒の投入方向に対して直交している。それにより、投入動作位置27から投げ出された穀粒が、第1穀粒量センサ50の検出面に対して垂直に近い方向から衝突し、その後下方の穀粒タンク30へ向かって落下する。
【0043】
また、第2穀粒量センサ54は、第1穀粒量センサ50よりも、投入動作位置27に近い場所に設けられている。具体的には、揚穀コンベア20側(投入動作位置27側)と穀粒タンク30側とを分ける境界壁45の最上部から、穀粒タンク30側に向かって、斜め下方に延びる傾斜部46が形成されている。そして、その傾斜部46の上に取付具55を介して第2穀粒量センサ54が固定されている。これにより、第2穀粒量センサ54が、境界壁45の最上部から穀粒タンク30側に突出した形になっている。
【0044】
第2穀粒量センサ54の検出面は上を向いているが、水平方向に対しては傾斜している。詳細には、第2穀粒量センサ54の検出面は、穀粒タンク30側への突出側で低くなっている。その傾斜角度は、水平に対して例えば20°以上30°以下である。
【0045】
チェーン24が周回すると、投入動作位置27に到達したバケット25が、穀粒タンク30の投入口35の方向である横方向へ穀粒を投げ出す。なお、「横方向」には、斜め上方向や斜め下方向も含まれるものとする。バケット25から投げ出された穀粒の多くは、遠心力に従って遠くへ飛ぼうとし、ガイド37の案内面38に沿って案内され、ガイド37の端部にある第1穀粒量センサ50に衝突する(図4図6の矢印A参照)。第1穀粒量センサ50に衝突した穀粒は穀粒タンク30内へ落下する。第1穀粒量センサ50は、ガイド37の延長上にありこのように穀粒を穀粒タンク30内へ案内する役割を担っているため、ガイドの一部を兼ねていると言うこともできる。
【0046】
ただし、バケット25が投入動作を開始してもすぐにはバケット25内が空にならず、バケット25が投入動作位置27においてスプロケット23の周りを周回する間、バケット25から穀粒が出続ける。最後までバケット25内に残っていた穀粒は、バケット25が投入動作位置27の終端部近傍に到達し上下反転したような姿勢になったときに、下方へ投げ出される(図4及び図6の矢印B参照)。下方へ投げ出された穀粒は、境界壁45から穀粒タンク30側に突出した第2穀粒量センサ54に衝突する。第2穀粒量センサ54に衝突した穀粒は、傾斜している第2穀粒量センサ54の上を滑るか、第2穀粒量センサ54の上で跳ね、穀粒タンク30内へ落下する。
【0047】
なお、バケット25から下方に投げ出された穀粒の一部は、第2穀粒量センサ54よりも投入動作位置27側に落下することもあり得る。そのような穀粒は、揚穀コンベア20の揚穀筒21内に落下し、再びバケット25によりすくい取られる。
【0048】
またコンバインには制御部64が設けられている。図8図10には制御部64に入力される信号の波形が示されている。図8及び図9において、第1穀粒量センサ50から出力され制御部64に入力される信号の波形が上段に、ピックアップセンサ28から出力され制御部64へ入力されるパルス信号の波形が下段に示されている。上段の波形と下段の波形とは時間的に対応している。図示されているように第1穀粒量センサ50からの信号の波形は、パルス信号3つに対して1つの山を有する。
【0049】
図8には、第1穀粒量センサ50に穀粒が繰り返し衝突したときに第1穀粒量センサ50から出力され制御部64に入力される信号の波形が示されている。この波形における5つの山型の部分が、第1穀粒量センサ50に穀粒が衝突したときの波形である。
【0050】
図8を見ると、第1穀粒量センサ50に穀粒がほとんど衝突していないはずの瞬間も含めて、常に、第1穀粒量センサ50から所定の数値が出力されていることがわかる。この所定の数値は、第1穀粒量センサ50の温度、コンバインの振動、コンバインの傾き等(以上をまとめて「外乱」とする)に起因して第1穀粒量センサ50から出力される数値である。この所定の数値は、第1穀粒量センサ50に衝突した穀粒量と関係が無いので、第1穀粒量センサ50の測定値に基づき穀粒量を求める際に除去する必要のある数値である。そこで、後述する穀粒量の計算においては、この所定の数値が第1穀粒量センサ50の「ゼロ点補正値」として扱われる。
【0051】
また図10において、上段に第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54から出力された信号が重ねて示され、中段に第1穀粒量センサ50から出力された信号が示され、下段に第2穀粒量センサ54から出力された信号が示されている。上段から下段までの波形は時間的に対応している。図10の上段及び下段に示すように、第2穀粒量センサ54も、第1穀粒量センサ50と同様に、第2穀粒量センサ54に穀粒がほとんど衝突していないはずの瞬間も含めて常に所定の数値を出力していることがわかる。後述する穀粒量の計算においては、この所定の数値が第2穀粒量センサ54の「ゼロ点補正値」として扱われる。
【0052】
ところで、図8の波形は第1穀粒量センサ50に穀粒が繰り返し衝突しているときの波形のため、山型の波形が連続している。そのため、穀粒が第1穀粒量センサ50に衝突していないときの波形(すなわち外乱のみに起因する波形)が認識しにくい。
【0053】
これに対し、図9には、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過したときの、第1穀粒量センサ50から出力され制御部64に入力される信号の波形が示されている。この波形において、最初の山型の波形の後の比較的平坦になっている部分が、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過したときの波形で、穀粒が第1穀粒量センサ50に衝突していないときの波形である。この、穀粒が第1穀粒量センサ50に衝突していないときの波形が、外乱に起因する波形である。後述するように、第1穀粒量センサ50のゼロ点補正値はこの比較的平坦な波形の部分を利用して求められる。
【0054】
図10に示すように、第2穀粒量センサ54から出力された信号の波形にも、第1穀粒量センサ50から出力された信号の波形と同じ時間帯に、比較的平坦な波形の部分が現れる。第2穀粒量センサ54のゼロ点補正値もこのような比較的平坦な波形の部分を利用して求められる。
【0055】
なお、上記のように、図8及び図9にはピックアップセンサ28から出力され制御部64へ入力されるパルス信号の波形も示されている。チェーン24が周回するとき、上側のスプロケット23も回転する。スプロケット23が回転すると、スプロケット23と一体となって回転する検出用スプロケット73の山74をピックアップセンサ28が検出して、図8及び図9に示されている周期性のあるパルス信号を出力する。このパルス信号は、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54から出力された信号と同期して、コンバインに設けられている制御部64に取得される。
【0056】
制御部64は、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54による測定値に基づき穀粒タンク30へ投入された穀粒量を計算する。制御部64は、内部バスにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を有している。CPUは、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、そのプログラムに従って穀粒量を計算する。
【0057】
EEPROMには、穀粒タンク30へ投入された穀粒量の計算に必要なデータが記憶されている。例えば、上記のようにエンジン回転数はバケット25の周回の速さと対応するため、エンジン回転数がバケット25から投げ出された穀粒の飛び方に影響し、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54への衝突の仕方等に影響し、ひいては第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54の測定値に影響する。そこで、後述する穀粒量の計算にエンジン回転数の影響を含めるための、エンジン回転数と係数αとの関係を示すテーブルがEEPROMに記憶されている。
【0058】
また、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54による測定値と、実際に穀粒タンク30へ投入される穀粒量との関係性には、収穫する作物の種類等が影響する。そこで、作物毎に、穀粒量の計算に使用する変数βが定められており、その変数βがEEPROMに記憶されている。変数βは、複数種の作物につき、個々に定められている。
【0059】
また、制御部64は、入力インターフェース及び出力インターフェースを有している。図11に示すように、制御部64には、第1穀粒量センサ50、第2穀粒量センサ54、エンジン回転数センサ63、刈取スイッチ61、ピックアップセンサ28、押圧式スイッチ40及び表示部62が接続されている。第1穀粒量センサ50、第2穀粒量センサ54、エンジン回転数センサ63、刈取スイッチ61、ピックアップセンサ28及び押圧式スイッチ40の各出力信号は、入力インターフェースを介して制御部64に入力される。また、制御部64は、出力インターフェースを介して、表示部62等への出力信号を出力する。
【0060】
次に、穀粒タンク30に投入された穀粒量の制御部64による計算の一例について図12に基づき説明する。なお図12に示されている計算の順序は、支障が生じない範囲で適宜入れ替えることができる。
【0061】
まず、制御部64は、刈取スイッチ61がオンかオフかを確認し(S1)、オンの場合(S1のYes)は、第1穀粒量センサ50、第2穀粒量センサ54、エンジン回転数センサ63及びピックアップセンサ28からの信号の取り込みを開始する(S2)。
【0062】
ここで、制御部64は、第1穀粒量センサ50からの信号をピックアップセンサ28からのパルス信号と対応付け、1つのパルス信号からその次のパルス信号までを1周期とし、第1穀粒量センサ50からの信号の1周期分のデータを1セットにして記憶する。同様に、制御部64は、第2穀粒量センサ54からの信号をピックアップセンサ28からのパルス信号と対応付け、第2穀粒量センサ54からの信号の1周期分のデータを1セットにして記憶する。参考のため図8及び図9に1周期の範囲を示す。以後、制御部64は、信号の取り込みと記憶を継続して行いながら、穀粒量の計算を行う。以下では、第1穀粒量センサ50からの信号のデータを「第1衝撃値データ」、第2穀粒量センサ54からの信号のデータを「第2衝撃値データ」とする。
【0063】
次に、制御部64は、3周期分の第1衝撃値データと、それと同じ3周期分の第2衝撃値データとを読み出し(S3)、その3周期分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データがバケット25による穀粒の投げ出し(「投てき」とも言う)があったときのデータかどうかを判断する(S4)。
【0064】
判断方法の具体例としては、制御部64は、第1衝撃値データと、後述する方法で求まるゼロ点補正値とを比較し、3周期分の第1衝撃値データの中に含まれるゼロ点補正値以上のデータ値の数を数える。同様に、制御部64は、第2衝撃値データと、後述する方法で求まるゼロ点補正値とを比較し、3周期分の第2衝撃値データの中に含まれるゼロ点補正値以上のデータ値の数を数える。そして、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの中に含まれるゼロ点補正値以上のデータ値の合計数が所定数以上の場合は、その3周期分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データが、穀粒の投げ出しがあったときのデータであると判断する(S4のYes)。
【0065】
一方、その3周期分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの中に含まれるゼロ点補正値以上のデータ値の合計数が、所定数未満の場合、制御部64は、その3周期分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データについて、穀粒の投げ出しが行われていなかったときのデータであると判断する(S4のNo)。この場合、制御部64は、その3周期に穀粒タンク30に投入された穀粒量を0とみなす。以上が前記判断方法の具体例だが、制御部64は他の方法で判断しても良い。
【0066】
次に、制御部64は、穀粒の投げ出しがあったときの3周期分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの値をそれぞれ積分する(S5)。すなわち、制御部64は、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データのそれぞれについて、図8に示されているような波形の中の1つの山型の波形の面積を求める。この積分値には、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの中の、外乱に起因する数値の積算値が含まれている。
【0067】
そこで次に、制御部64は、S5で求めた積分値から、外乱に起因する数値の積算値をそれぞれ除去する計算を行う。ここで制御部64は、外乱に起因する数値として、後述する方法で求まるゼロ点補正値を使用する。具体的には、制御部64は次の計算を行い、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データのそれぞれから「1投てき当たりの衝突値」を計算する(S6)。
(1投てき当たりの衝突値(第1衝撃値データから求まる値))
=(第1衝撃値データの3周期分の積分値)
-(第1穀粒量センサのゼロ点補正値)×(3周期の長さ)
(1投てき当たりの衝突値(第2衝撃値データから求まる値))
=(第2衝撃値データの3周期分の積分値)
-(第2穀粒量センサのゼロ点補正値)×(3周期の長さ)
すなわち、図8の1つ目の山型の波形(最初の3周期の波形)を例に取ると、その山型の波形の面積から斜線で示されている部分の面積を引く。
【0068】
次に、制御部64は、「1投てき当たりの衝突値(第1衝撃値データから求まる値)」を第1穀粒量センサ50に衝突した穀粒の量に換算するとともに、「1投てき当たりの衝突値(第2衝撃値データから求まる値)」を第2穀粒量センサ54に衝突した穀粒の量に換算する(S7)。
【0069】
具体的には、制御部64は、所定の計算式に「1投てき当たりの衝突値(第1衝撃値データから求まる値)」、係数α及び変数βを入れ、「1投てき当たりの衝突量(第1衝撃値データから求まる量)」を計算する。ここでの計算式として、実験的に又は理論的に導かれた計算式が使用される。また、計算に使用される係数αは、エンジン回転数センサ63で測定されたエンジン回転数及びEEPROMに記憶されている前記テーブルに基づき決定される。この計算により、3周期の間に(換言すればバケット25による1回の投入により)第1穀粒量センサ50に衝突した穀粒量が求まる。
【0070】
同様の方法で、制御部64は、所定の計算式に「1投てき当たりの衝突値(第2衝撃値データから求まる値)」、係数α及び変数βを入れ、「1投てき当たりの衝突量(第2衝撃値データから求まる量)」を求める。これにより、3周期の間に(換言すればバケット25による1回の投入により)第2穀粒量センサ54に衝突した穀粒量が求まる。
【0071】
次に、制御部64は、「1投てき当たりの衝突量(第1衝撃値データから求まる量)」と「1投てき当たりの衝突量(第2衝撃値データから求まる量)」を加算し、「1投てき当たりの投入量」を求める(S8)。これにより、3周期の間に(換言すればバケット25による1回の投入により)第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54に衝突し穀粒タンク30に投入された穀粒量が求まる。
【0072】
制御部64は、このようにして求まった「1投てき当たりの投入量」を、それまでの「1投てき当たりの投入量」の積算値に加算する(S9)。
【0073】
制御部64は、刈取スイッチ61がオフになるまで(S10のNo)S3~S8の計算を繰り返し行い、求まった「1投てき当たりの投入量」を次々と積算していく(S9)。制御部64はその積算値を表示部62に随時表示しても良い。
【0074】
制御部64は、刈取スイッチ61がオフとなったら(S10のYes)、第1穀粒量センサ50、第2穀粒量センサ54、エンジン回転数センサ63及びピックアップセンサ28からの信号の取り込みを終了する(S11)。
【0075】
なお、刈取り及び脱穀の途中で穀粒タンク30内の押圧式スイッチ40が押された場合は、制御部64はその旨を表示部62に表示したり、ブザーやランプで警告を発したりする。また、制御部64は、以上の計算で求まる積算値が所定値以上となったときに、その旨を表示部62に表示したり、ブザーやランプで警告を発したりしても良い。
【0076】
次に、制御部64によるゼロ点補正値の計算方法について説明する。
【0077】
制御部64は、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過して穀粒タンク30への穀粒の投入が行われなかったときの第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54の測定値の平均値を、それぞれのゼロ点補正値とする。そのために、制御部64は、チェーン24の1.5周分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの中から、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過して穀粒の投入が行われなかったときのデータを見つけ出す。そのようなデータを見つけ出すために、制御部64は、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データにおける統計的ばらつきが閾値以下である時間帯が、穀粒タンク30への穀粒の投入が行われなかった時間帯に対応していると判断する。
【0078】
そのようなゼロ点補正値の計算方法の具体例について図13に基づき説明する。
【0079】
まず、制御部64は、チェーン24の1.5周分のうちの最初の1周期の第1衝撃値データから、最大値及び最小値を取り出し、統計的ばらつきの一種である最大値と最小値との差を計算する(S1)。同様に、制御部64は、最初の1周期の第2衝撃値データから、最大値及び最小値を取り出し、最大値と最小値との差を計算する(S1)。そして、求まった2つの「最大値と最小値との差」が共に所定の閾値以下の場合(S2のYes)は、制御部64は、その1周期の第1衝撃値データの平均値と、同じ1周期の第2衝撃値データの平均値とを計算する(S3)。
【0080】
前記の2つの「最大値と最小値との差」が共に所定の閾値以下であるということは、その周期では第1衝撃値データにも第2衝撃値データにも山型の波形がないということを意味し、その周期では第1穀粒量センサ50にも第2穀粒量センサ54にも穀粒が衝突しなかったということを意味する。
【0081】
一方、求まった2つの「最大値と最小値との差」のいずれか一方でも所定の閾値を超えた場合(S2のNo)は、次の1周期のデータの最大値と最小値との差を計算する(S1)。
【0082】
制御部64は以上の計算を3周期分以上繰り返す。そして、3周期連続で、第1衝撃値データの「最大値と最小値との差」が閾値以下かつ第2衝撃値データの「最大値と最小値との差」が閾値以下となった場合(S4のYes)、制御部64は、その3周期のうち1周期目と2周期目の第1衝撃値データのそれぞれの平均値を、第1穀粒量センサ50のゼロ点補正値の候補値として記憶しておく(S5)。それと同時に、制御部64は、同じ3周期のうち1周期目と2周期目の第2衝撃値データのそれぞれの平均値を、第2穀粒量センサ54のゼロ点補正値の候補値として記憶しておく(S5)。
【0083】
一方、第1衝撃値データの「最大値と最小値との差」が閾値以下かつ第2衝撃値データの「最大値と最小値との差」が閾値以下となったのが1周期だけ又は連続する2周期だけだった場合(S4のNo)は、次の周期の最大値と最小値との差を計算する(S1)。
【0084】
そして、制御部64は、チェーン24の1.5周分のデータについて計算し終わるまで、以上の計算を繰り返す(S6)。
【0085】
ちなみに、チェーン24の1周分の長さがバケット25の40個分の長さの場合、チェーン24の1.5周分の長さはバケット25の60個分の長さであり、180周期分の長さである。
【0086】
なお、3周期連続で、第1衝撃値データの「最大値と最小値との差」が閾値以下かつ第2衝撃値データの「最大値と最小値との差」が閾値以下となるということは、その3周期が、バケット無し区間29における1つのバケット25に相当する部分が投入動作位置27を通過したときの3周期であることを意味する。
【0087】
制御部64は、チェーン24の1.5周分のデータについて計算し終わると(S6のYes)、その1.5周分のデータについて計算して記憶しておいたゼロ点補正値の候補値の中から、最小値を選択する(S7)。そして、制御部64は、その最小値を新しいゼロ点補正値とし、それまでのゼロ点補正値と入れ替える(S8)。
【0088】
このようにして更新されたゼロ点補正値は、チェーン24の次の1.5周分の穀粒量の計算に使用される。つまり、制御部64は、チェーン24が1.5周するとほぼ同時にゼロ点補正値を更新し、その更新されたゼロ点補正値を使用して、その次の1.5周の間に穀粒タンク30に投入される穀粒量を計算する。
【0089】
なお、チェーン24の回転開始直後の所定時間の間は、ゼロ点補正値として、適宜設定された値が使用される。
【0090】
次に本実施形態の効果について説明する。
【0091】
本実施形態では、バケット25が穀粒タンク30の投入口35へ向かって横方向(斜め上方向も真横方向も横方向に含まれるものとする)から穀粒を投入する。その穀粒が衝突するセンサとして、バケット25の投入動作位置27から遠い場所の第1穀粒量センサ50と、バケット25の投入動作位置27から近い場所の第2穀粒量センサ54とが設けられている。そのため、バケット25から遠くへ投げ出された穀粒が第1穀粒量センサ50に衝突し、バケット25から下方に投げ出された穀粒が第2穀粒量センサ54に衝突することとなる。
【0092】
このようにして、バケット25から遠くへ投げ出された穀粒の量だけでなく、バケット25から下方に投げ出された穀粒の量も測定することができるので、穀粒タンク30に投入される穀粒量を高精度で求めることができる。
【0093】
また、バケット25の投入動作位置27の上方から穀粒タンク30の上方にかけて、案内面38を有するガイド37が設けられているため、バケット25から投げ出された穀粒の多くが案内面38に沿って飛び穀粒タンク30へ確実に案内される。そして、その案内面38の端部に第1穀粒量センサ50が設けられているため、穀粒の多くが確実に第1穀粒量センサ50に衝突する。そのため、バケット25から遠くへ投げ出された穀粒の量を高精度で求めることができる。
【0094】
ここで、板状の第1穀粒量センサ50が縦になっているため、第1穀粒量センサ50に衝突した穀粒が下方の穀粒タンク30へ向かって落下することとなり、確実に穀粒タンク30に投入される。
【0095】
また、第2穀粒量センサ54が、投入動作位置27と穀粒タンク30との間の境界壁45に設けられているため、バケット25から下方に投げ出された穀粒の量をほとんどもれなく測定することができる。また、境界壁45という従来からコンバインに存在する壁部を有効活用することができるうえ、境界壁45により第2穀粒量センサ54を強固に支持することができる。第2穀粒量センサ54が強固に支持されるので、第2穀粒量センサ54による測定精度が安定する。
【0096】
また、第2穀粒量センサ54の検出面が水平方向に対して傾斜しているため、第2穀粒量センサ54の上に穀粒が溜まりにくい。さらに、第2穀粒量センサ54の検出面が穀粒タンク30側で低くなっているため、第2穀粒量センサ54の検出面に衝突した穀粒が穀粒タンク30に落下しやすい。ここで、第2穀粒量センサ54の検出面の傾斜角度が水平に対して20°以上30°以下であれば、第2穀粒量センサ54の上に穀粒が溜まりにくいだけでなく、検出面に対して垂直に近い方向から穀粒が衝突することとなって大きな衝撃値が得られるため、第2穀粒量センサ54による測定精度が高くなる。
【0097】
また、本実施形態では、バケット25の存在しないバケット無し区間29がチェーン24に設けられている。そのため、バケット25から穀粒が投入されず、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54に穀粒が衝突せず、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54のそれぞれから外乱による値だけが出力され制御部64に入力される時間帯を作り出すことができる。
【0098】
そして、制御部64が、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54から入力されるそれぞれの外乱による値からゼロ点補正値を求め、バケット25が投入動作位置27を通過して穀粒が投げ出された時間帯の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データから、それぞれゼロ点補正値を減算する。それによって、制御部64は、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54のそれぞれに穀粒が衝突したことによる測定値(すなわち、上記の「1投てき当たりの衝突値(第1衝撃値データから求まる値)」及び「1投てき当たりの衝突値(第2衝撃値データから求まる値)」)だけを抽出することができる。
【0099】
そして、制御部64は、これらの「1投てき当たりの衝突値」をそれぞれ穀粒量に換算することによって、穀粒タンク30に投入された穀粒量を高精度で求めることができる。
【0100】
また、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54の温度や、コンバインの振動等の外乱は常に変化しているため、第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54から制御部64へ入力される値における外乱の影響も常に変化している。しかし本実施形態では、制御部64は、チェーン24が1.5周する毎にゼロ点補正値を計算して更新しており、常に新しいゼロ点補正値を使用して穀粒量を計算している。そのため、制御部64は、外乱の変化に追従した新しいゼロ点補正値を常に使用して穀粒量を計算することができ、穀粒タンク30に投入される穀粒量を高精度で求めることができる。
【0101】
また、チェーン24からバケット25が1つだけ取り外されてバケット無し区間29が形成されている場合は、バケット無し区間29の両側のバケット25から多くの穀粒が投げ出されて第1衝撃値データ及び第2衝撃値データにおける山型の波形が大きくなったときに、2つの山型の波形の間に、外乱の影響のみからなる平坦な波形が形成されないおそれがある。
【0102】
しかし本実施形態では、チェーン24からバケット25が2個取り外されてバケット無し区間29が形成されている。そのため、バケット無し区間29の両側のバケット25から多くの穀粒が投げ出されて第1衝撃値データ及び第2衝撃値データにおける山型の波形が大きくなったとしても、2つの山型の波形の間に、外乱の影響のみからなる平坦な波形が確実に形成される。そのため制御部64がゼロ点補正値を計算することができる。
【0103】
また、制御部64は、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの各周期における統計的ばらつき(最大値と最小値との差)を計算する。そして、制御部64は、統計的ばらつきの小さい周期を、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過したことにより第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54に穀粒が衝突しなかったときの周期だと判断する。そのため、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過したことをセンサ等を使用して検出する必要がない。
【0104】
次に変更例について説明する。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0105】
(変更例1)
第1穀粒量センサ50が設けられる場所は、穀粒タンク30の上方で、第2穀粒量センサ54より投入動作位置27から遠い場所であれば良く、上記実施形態のようなガイド37の案内面38の投入方向前方(図4の右方向)の端部に限定されない。
【0106】
なお、図4においてガイド37とされている部材が、第1穀粒量センサ50よりも投入方向前方(図4の右方向)にまで延びていることもあり得る。その場合は、第1穀粒量センサ50の位置までがガイド37であり、第1穀粒量センサ50がガイド37の投入方向前方の端部の場所に設けられていると考えるものとする。
【0107】
(変更例2)
第2穀粒量センサ54が設けられる場所は、穀粒タンク30の上方で、第1穀粒量センサ50より投入動作位置27に近い場所であれば良い。上記実施形態では、境界壁45の最上部に、傾斜部46及び取付具55を介して第2穀粒量センサ54が設けられていたが、このような形態に限定されない。例えば、境界壁45の最上部に直接、第2穀粒量センサ54が固定されていても良い。また、境界壁45の最上部より下方の場所に第2穀粒量センサ54が設けられても良い。
【0108】
(変更例3)
チェーン24においてバケット25の存在しないバケット無し区間29の距離は、バケット25の2個分の距離に限定されない。例えば、バケット無し区間29の距離は、バケット25の3個分以上の距離であっても良い。ただし、バケット無し区間29が長いほど、穀粒タンク30への穀粒の回収効率が悪くなる。
【0109】
(変更例4)
バケット25による穀粒の投げ出しと関連付けてパルス信号を出力する方法は、上記実施形態の方法に限定されない。パルス信号を出力する方法は以下で例示列挙するように複数ある。
【0110】
例えば、上側のスプロケット23と一体となって回転移動する被検出片をピックアップセンサ28が検出してパルス信号を出力しても良い。より具体的には、複数の被検出片が、スプロケット23自体の外周部近傍に、周方向に等間隔で固定されている。又は、スプロケット23と一体となって回転する円盤状のプレートがスプロケット23と隣接して設けられ、そのプレートの外周部に複数の被検出片が周方向に等間隔で固定されていても良い。いずれの場合も、被検出片の通過経路の近傍にピックアップセンサ28が固定されている。この構成により、スプロケット23の回転中に被検出片がピックアップセンサ28の前を通過することとなる。ピックアップセンサ28は、被検出片が前を通過する毎にその被検出片を検出してパルス信号を出力する。
【0111】
別の方法として、まず、バケット25が連結されているチェーン24に、複数の被検出片(不図示)が、チェーン24の延長方向に等間隔で固定されている。また、上側のスプロケット23の外周部近傍は、スプロケット23から離れてピックアップセンサ28が固定されている。そのため、チェーン24が周回してスプロケット23の外周部を周るときに、被検出片がピックアップセンサ28の前を通過することとなる。ピックアップセンサ28は、その前を通過する被検出片を検出するとパルス信号を出力する。被検出片は1つのバケット25に対して3つ設けられている。そのため、バケット25が穀粒の投げ出しを1回行う間に、ピックアップセンサ28からパルス信号が3回出力される。
【0112】
さらに別の方法として、上側のスプロケット23の回転軸にロータリエンコーダが接続され、スプロケット23が所定角度回転する毎にロータリエンコーダがパルス信号を出力しても良い。
【0113】
(変更例5)
制御部64がゼロ点補正値を計算する際に使用する統計的ばらつきは、最大値と最小値との差に限定されない。使用される統計的ばらつきは標準偏差や分散等でも良い。
【0114】
(変更例6)
バケット25が穀粒の投げ出しを1回行う間に発せられるパルス信号の数は3回に限定されない。
【0115】
バケット25が穀粒の投げ出しを1回行う間に発せられるパルス信号の数がn回の場合、制御部64は、図12のS3のステップにおいてn周期分のデータを読み出してそれ以後のステップを進めれば良い。また、制御部64は、図13のS4のステップにおいて統計的ばらつきがn周期連続で閾値以下かどうかを判定し、それ以後のステップを進めれば良い。
【0116】
(変更例7)
ゼロ点補正値の求め方は上記実施形態の求め方に限定されない。バケット無し区間29が投入動作位置27を通過して穀粒タンク30への穀粒の投入が行われなかった時間帯の第1穀粒量センサ50及び第2穀粒量センサ54の測定値が、それぞれのセンサのゼロ点補正値として求められれば良く、その具体的な求め方は様々である。
【0117】
上記実施形態とは別の方法として、次のような方法がある。この方法では、上記実施形態と同様に、制御部64が、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データにおける統計的ばらつきの小さい周期を、穀粒タンク30への穀粒の投入が行われなかったときの周期だと判断する。
【0118】
具体的には、まず、制御部64は、チェーン24の1.5周分の中の各周期内における、第1衝撃値データの平均値及び統計的ばらつきを計算する。次に、制御部64は、次の3つの条件を満たす周期を選択する。
条件1:その周期内の値の統計的ばらつきが小さい。
条件2:その周期及びその前後の周期からなる3周期のそれぞれにおいて、平均値が小さい。
条件3:条件2の3つの平均値(3周期それぞれの平均値)の統計的ばらつきが小さい。
【0119】
なお、条件1~3のそれぞれにおける小ささの程度については、適宜設定される。例えば、条件1~3のそれぞれについて、小さいと言えるかどうかの基準となる閾値があらかじめ設定されている。そして、統計的ばらつきや平均値が閾値以下の場合に、その条件が満たされたと制御部64が判断する。
【0120】
これらの条件1~3を満たす周期は、平坦な波形が並ぶ3周期のうちの2周期目であり、バケット25による穀粒の投入が行われない時間帯の周期である。
【0121】
そして、制御部64は、この方法で選択した周期における平均値を、第1穀粒量センサ50のゼロ点補正値とする。制御部64は、この方法により複数の周期を選択できた場合は、それらの周期におけるそれぞれの平均値のうち最小のものを、第1穀粒量センサ50ゼロ点補正値とする。
【0122】
制御部64は第2穀粒量センサ54のゼロ点補正値もこれと同じ方法で求める。
【0123】
(変更例8)
上記実施形態では、制御部64が、チェーン24の1.5周分の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの中から、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過していたときのデータを見つけ出し、そのときの第1衝撃値データ及び第2衝撃値データに基づきゼロ点補正値を求めた。しかし、「1.5周分」というのはあくまで一例である。制御部64は、バケット無し区間29のデータが確実に含まれるような長さ(具体的には、チェーン24の1周分を超える長さ)の第1衝撃値データ及び第2衝撃値データの中から、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過していたときのデータを見つけ出せば良い。
【0124】
(変更例9)
ゼロ点補正値のさらに別の求め方について説明する。
【0125】
本変更例では、揚穀コンベア20の内部に、バケット無し区間29を検出するためのセンサが設けられている。制御部64は、このセンサから出力された信号を、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データと紐付けることにより、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過して穀粒の投入が行われなかったときのデータを抽出する。そして制御部64はそのようにして抽出したデータから上記実施形態のようにゼロ点補正値を求める。
【0126】
前記センサとして、近接センサ(例えば誘導型や静電容量型のもの)や光センサ等の非接触センサ101が使用可能である。図14に示すように、このような非接触センサ101は、非接触センサ101の前を通過するバケット25を検出できるように、バケット25の通過経路に近接して設けられる。
【0127】
非接触センサ101が物体の有無を検出するセンサの場合、非接触センサ101は、その前をバケット25が通過しているときはバケット25を検出できるが、その前をバケット無し区間29が通過しているときはバケット25を検出できなくなる。また、非接触センサ101が物体までの距離を測定するセンサの場合、非接触センサ101の前をバケット25が通過しているときは測定距離が短いが、非接触センサ101の前をバケット無し区間29が通過しているときは測定距離が長くなる。制御部64は、このような検出の有無や測定距離の変化を、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データのそれぞれと紐付け、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過して穀粒の投入が行われなかったときのデータを抽出する。
【0128】
また、前記センサとして接触センサ102も使用可能である。例えば図14に示す接触センサ102は、回転軸103を中心に変位可能な検出片を有している。検出片はバケット25に向かって延びており、接触センサ102の前をバケット25が通過すると、検出片がバケット25に押されて回転軸103を中心に図中の矢印Cの方向に変位する。接触センサ102は、バケット25に押されていないときの検出片の基準位置c1に対する、バケット25に押されているときの検出片の位置c2の角度を測定し、制御部64へ出力する。
【0129】
そして制御部64は、バケット25に押されていないときの検出片の基準位置c1に対する、バケット25に押されているときの検出片の位置c2の角度に基づき、接触センサ102の前をバケット25が通過しているときと、接触センサ102の前をバケット無し区間29が通過しているときとを判別する。制御部64は、その判別結果を、第1衝撃値データ及び第2衝撃値データのそれぞれと紐付け、バケット無し区間29が投入動作位置27を通過して穀粒の投入が行われなかったときのデータを抽出する。
【0130】
なおここで説明したのは接触センサや非接触センサの利用方法の例に過ぎない。
【0131】
また図14には非接触センサ101と接触センサ102との両方が示されているが、実際にはいずれか一方のセンサがあれば十分である。また非接触センサ101や接触センサ102が設けられる場所は図示されている場所に限定されない。
【符号の説明】
【0132】
10…刈取部、11…フィーダ、12…脱穀装置、13…選別機、14…移送コンベア、15…搬出コンベア、16…穀粒排出装置、17…中継ぎ搬送装置、18…コンベア式搬送装置、19…受継ぎケース、20…揚穀コンベア、21…揚穀筒、22…スプロケット、23…スプロケット、24…チェーン、25…バケット、26…受け部、27…投入動作位置、28…ピックアップセンサ、29…バケット無し区間、30…穀粒タンク、31…レベリングディスク、32…開口部、33…羽根、34…駆動ケース、35…投入口、36…天井部材、37…ガイド、38…案内面、40…押圧式スイッチ、41…天面部、42…側壁、43…開口部、45…境界壁、46…傾斜部、50…第1穀粒量センサ、51…取付具、54…第2穀粒量センサ、55…取付具、60…運転室、61…刈取スイッチ、62…表示部、63…エンジン回転数センサ、64…制御部、70…シャフト、71…第1プーリ、72…ベルト、73…検出用スプロケット、74…山、75…回転軸、76…回転軸、77…第2プーリ、78…第3プーリ、101…非接触センサ、102…接触センサ、103…回転軸
図1
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