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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/10 20060101AFI20230417BHJP
   A45D 20/12 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A45D20/10 104
A45D20/12 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019138163
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021019828
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 大介
(72)【発明者】
【氏名】下田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小柳 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健志
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/224639(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00-20/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライヤ本体部と、
前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、
前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、
前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備え
前記距離センサはユーザの頭髪との距離を測定可能である、ことを特徴とするヘアドライヤ。
【請求項2】
ドライヤ本体部と、
前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、
前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、
前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備え
前記制御部は、空気の吹出し温度を制御可能であって、
前記ノズル部の装着有と判定した場合、前記ノズル部の装着無と判定した場合よりも吹出し温度を低くし、
空気の吹出し温度が互いに異なる複数の動作モードでの動作が可能であって、
前記制御部は、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記吹出し温度がヘアドライヤの耐熱温度以下の前記動作モードにて動作させ、
前記ドライヤ本体部は、前記動作モードとして距離対応モードを選択可能であり、
前記制御部は、前記ノズル部の装着無と判定し、かつ前記距離対応モードが選択された場合に、前記距離センサの測定距離が短いほど前記吹出し温度が低くなる動作モードにて動作するように前記ドライヤ本体部を制御する一方、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記距離対応モードによる動作を不可とすることを特徴とするヘアドライヤ。
【請求項3】
ドライヤ本体部と、
前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、
前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、
前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備え
前記距離センサは、発光部、および前記発光部からの出射光の前記対象物からの反射光を受光する受光部を有し、
前記ノズル部は、前記出射光を反射する、前記対象物としての反射部を有していることを特徴とするヘアドライヤ。
【請求項4】
前記制御部は、空気の吹出し温度を制御可能であって、
前記ノズル部の装着有と判定した場合、前記ノズル部の装着無と判定した場合よりも吹出し温度を低くすることを特徴とする請求項1または3に記載のヘアドライヤ。
【請求項5】
空気の吹出し温度が互いに異なる複数の動作モードでの動作が可能であって、
前記制御部は、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記吹出し温度がヘアドライヤの耐熱温度以下の前記動作モードにて動作させることを特徴とする請求項に記載のヘアドライヤ。
【請求項6】
空気の吹出し温度が互いに異なる複数の動作モードでの動作が可能であって、
前記制御部は、所定の動作モードで動作中に、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記吹出し温度をヘアドライヤの耐熱温度以下の温度とすることを特徴とする請求項4に記載のヘアドライヤ。
【請求項7】
前記ドライヤ本体部は、前記動作モードとして距離対応モードを選択可能であり、
前記制御部は、前記ノズル部の装着無と判定し、かつ前記距離対応モードが選択された場合に、前記距離センサの測定距離が短いほど前記吹出し温度が低くなる動作モードにて動作するように前記ドライヤ本体部を制御する一方、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記距離対応モードによる動作を不可とすることを特徴とする請求項に記載のヘアドライヤ。
【請求項8】
前記測定距離は、最も短い第1距離範囲、最も長い第3距離範囲、前記第1距離範囲と前記第3距離範囲との間の第2距離範囲の区分を少なくとも有し、
前記制御部は、前記測定距離が前記第1距離範囲である場合に前記ノズル部の装着有と判定し、この場合の前記動作モードが、前記ノズル部の装着無の場合における、前記測定距離が前記第2距離範囲である場合の前記動作モードと同じ動作モードとなるように、前記ドライヤ本体部を制御することを特徴とする請求項2または7に記載のヘアドライヤ。
【請求項9】
前記制御部は、前記動作モードとして前記距離対応モード以外の動作モードが選択された場合に、前記距離センサを間欠的に動作するように制御することを特徴とする請求項2、7、8のいずれか1項に記載のヘアドライヤ。
【請求項10】
前記距離センサは、発光部、および前記発光部からの出射光の前記対象物からの反射光を受光する受光部を有し、
前記ノズル部は、前記出射光を反射する、前記対象物としての反射部を有していることを特徴とする請求項1またはに記載のヘアドライヤ。
【請求項11】
前記ドライヤ本体部は、前記動作モードとしてノズル保護モードを選択可能であり、
前記制御部は、前記ノズル保護モードが選択された場合に、前記吹出し温度が前記ノズル部の耐熱温度以下となるように前記ドライヤ本体部を制御する請求項2、5からのいずれか1項に記載のヘアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライヤアタッチメントを有するヘアドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、温風を吹き出して頭髪を乾かすヘアドライヤがある。ヘアドライヤでは、吹出風の特性・パラメーターを変更するための付属品として、多種多様なノズルが存在する。例えば、風の方向を変えるノズルや風を弱めるノズル、吹出口の断面積を絞り込む集風器としてのノズル、あるいはマッサージ機能(かっさ)アタッチメントとしてのノズルなどが存在する。ノズルは、特許文献1に開示されているように、通常、吹出口に対して着脱可能となっている。
【0003】
ヘアドライヤは、ノズルを取り付けた場合にノズルを取り付けていない場合と同じ制御を行うと、吹出し温度が高温の場合に対応して高い耐熱性が要求され、ノズルの材質に制約が生じる。また、ノズルの材質だけでなく、閉塞状況になるのでヘアドライヤ本体側も温度上昇により高い耐熱部材、耐熱部品が必要になる。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の構成では、ノズルの取り付け部分に、回路を切り替えるマイクロスイッチを設けている。これにより、ノズルを取り付けると、マイクロスイッチがオンとなって回路が切り替わり、ノズルを取り付けない場合よりもヘアドライヤの出力が低下し、吹出し温度の上昇を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-243049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ノズルの装着の有無に応じて動作する機械的なマイクロスイッチを含み、ノズルの有無を検出する検出回路、およびノズルの有無によってヘアドライヤの出力を切り替える制御回路が必要である。このため、必要な回路数が多くなってコストアップを招来するとともに、機械的な部品を使用していることにより信頼性が低下し易いという問題点を有している。
【0007】
本発明の一態様は、上記を鑑みてなされたヘアドライヤ実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るヘアドライヤは、ドライヤ本体部と、前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備え、前記距離センサはユーザの頭髪との距離を測定可能である
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るヘアドライヤは、ドライヤ本体部と、前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備え、前記制御部は、空気の吹出し温度を制御可能であって、前記ノズル部の装着有と判定した場合、前記ノズル部の装着無と判定した場合よりも吹出し温度を低くし、空気の吹出し温度が互いに異なる複数の動作モードでの動作が可能であって、前記制御部は、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記吹出し温度がヘアドライヤの耐熱温度以下の前記動作モードにて動作させ、前記ドライヤ本体部は、前記動作モードとして距離対応モードを選択可能であり、前記制御部は、前記ノズル部の装着無と判定し、かつ前記距離対応モードが選択された場合に、前記距離センサの測定距離が短いほど前記吹出し温度が低くなる動作モードにて動作するように前記ドライヤ本体部を制御する一方、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記距離対応モードによる動作を不可とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るヘアドライヤは、ドライヤ本体部と、前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備え、前記距離センサは、発光部、および前記発光部からの出射光の前記対象物からの反射光を受光する受光部を有し、前記ノズル部は、前記出射光を反射する、前記対象物としての反射部を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ノズルの有無を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のヘアドライヤを示す斜視図である。
図2図1に示したノズルを取り外した状態のヘアドライヤを示す斜視図である。
図3図1に示したノズルおよびその付近の縦断面図である。
図4図1に示したヘアドライヤの制御システムの構成を示すブロック図である。
図5図1に示したヘアドライヤの動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態のヘアドライヤが備える距離センサの測定距離についての第1距離範囲、第2距離範囲および第3距離範囲の関係を示す説明図である。
図7】本発明の他の実施形態のヘアドライヤの動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の変形例のヘアドライヤが備えるノズル部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態のヘアドライヤ1を示す斜視図である。図2は、図1に示したノズル部12を取り外した状態のヘアドライヤを示す斜視図である。図3は、図1に示したノズル部12およびその付近の縦断面図である。なお、図1から図3および後述の図8では、ヘアドライヤ1(2~4)の前後上下左右の方向を矢印にて示している。
【0012】
図1に示すように、ヘアドライヤ1は、ドライヤ本体部11とドライヤアタッチメントであるノズル部12とを備えている。図1および図2に示すように、ノズル部12は、ドライヤ本体部11に対して着脱可能である。
【0013】
(ドライヤ本体部11)
ドライヤ本体部11は、図2に示すように、上部に略円柱形状のドライヤ動作部21を有し、下部にドライヤ動作部21から下方へ延設されたグリップ部22を有する。ドライヤ動作部21は、後端部に吸気口23を有し、前端部に本体部吹出口24を有している。
【0014】
吸気口23と本体部吹出口24との間において、ドライヤ動作部21の内部が風路となっている。風路には、送風機41、ヒータ42およびイオン発生ユニット43等が設けられている(図4参照)。
【0015】
ドライヤ動作部21は、前端部に前側パネル25を有する。前側パネル25は、後方へ湾曲した板形状であり、複数のLEDを搭載し、表示部を構成する。前側パネル25の左右の外周部は、円弧状の切欠き部となっており、この切欠き部により本体部吹出口24が形成されている。
【0016】
前側パネル25の中心部には、距離センサ26が設けられている。本実施形態において、距離センサ26は、TOF(Time Of Flight)方式のものであり、半導体レーザからなる発光部および受光部を有する。ただし、距離センサ26は、TOF方式に限定されず、その他の方式のものであってもよい。距離センサ26は、距離センサ26が設けられている位置からの距離センサ26の前方に存在する対象物(人体や部材)までの距離を測定する。
【0017】
グリップ部22は、上部に操作部27が設けられ、下端部からは電源コード28が引き出されている。
【0018】
操作部27は、ユーザがヘアドライヤ1を動作させる際に操作する。本実施形態では、操作部27は、ON/OFFボタン27A、1ショット冷風ボタン27B、モード変更ボタン27Cおよび風量変更ボタン27Dの4つのボタンを有する。
【0019】
ON/OFFボタン27Aは、例えばスライド式のボタンであり、ヘアドライヤ1の動作をオン/オフするボタンである。ON/OFFボタン27Aがオンにされると、送風機41が運転を開始し、ヒータ42をオンにするモードではヒータ42がオンとなり、イオン発生ユニット43をオンにするモードではイオン発生ユニット43がオンとなり、距離センサ26もオンとなる。ON/OFFボタン27AがOFFされると、送風機41が運転を停止し、ヒータ42をオンにしているモードではヒータ42がオフとなり、イオン発生ユニット43をオンにするモードではイオン発生ユニット43がオフとなり、距離センサ26もオフとなる。
【0020】
1ショット冷風ボタン27Bは、例えばオルタネイト動作するプッシュ式のボタンである。1ショット冷風ボタン27Bが1度押されると、ヒータ42がオフとなり、吹き出される風は常温の風となる。1ショット冷風ボタン27Bが再度押されると、ヒータ42が再びオンとなり、元の温度の風を吹き出す。あるいは、1ショット冷風ボタン27Bは、1ショット冷風ボタン27Bを押している間だけヒータ42がオフとなるように、モーメンタリ動作するプッシュ式のボタンであってもよい。
【0021】
モード変更ボタン27Cは、例えばプッシュ式ボタンであり、ヘアドライヤ1の動作モードを切り替えるボタンである。本実施形態においては、モード変更ボタン27Cを押す毎に、高温モード→高温低温交互モード→低温モードというように、ローテーション式に動作モードを変更することができる。これら動作モードは通常モードである。高温モードは、高温の風を吹き出す動作モードである。高温低温交互モードは、高温の風を吹き出す高温モードと低温の風を吹き出す低温モードとが所定時間毎に自動的に切り替わる動作モードである。低温モードは、低温の風を吹き出す動作モードである。
【0022】
風量変更ボタン27Dは、例えばプッシュ式のボタンである。風量変更ボタン27Dは、モード変更ボタン27Cと同様に、押す毎に、風量1→風量2→風量3…→風量1というように、ローテーション式に風量を切り替えるボタンである。
【0023】
図1に示すように、ドライヤ動作部21の前端部における前側パネル25の前方側には、ノズル部12が着脱可能に取り付けられる。
【0024】
(ノズル部12)
図1に示すように、ノズル部12は、後部にノズルベース29を有し、ノズルベース29に対して回動可能な集風部材30を前部に有する。集風部材30はその前部にノズル吹出口31を有する。ノズル部12は、本体部吹出口24から吹き出される風を絞り込む。
【0025】
図3に示すように、ノズル部12は、内部に反射壁32を有している。反射壁32は、ノズル部12がドライヤ本体部11に装着された状態において距離センサ26と対向する位置に存在し、距離センサ26から出射されたレーザ光を反射する。
【0026】
なお、反射壁32は、本来、本体部吹出口24から吹き出される風をノズル吹出口31に向かうように誘導する誘導壁である。本実施形態ではこの誘導壁を反射壁32として利用しており、便宜上、誘導壁を反射壁32と表現している。
【0027】
(ヘアドライヤ1の制御システム)
図4は、ヘアドライヤ1の制御システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、ヘアドライヤ1は、例えばマイクロコンピュータからなる制御部51を備えている。制御部51には、距離センサ26、操作部27、送風機41、ヒータ42、イオン発生ユニット43および記憶部52が接続されている。
【0028】
制御部51は、操作部27に対するユーザの入力操作および距離センサ26が測定する距離に応じて、送風機41、ヒータ42およびイオン発生ユニット43等の動作を制御する。
【0029】
具体的には、ドライヤ本体部11にノズル部12が装着されている場合、距離センサ26の前方に反射壁32が存在することになり、距離センサ26が測定する距離は第1距離範囲(数十mmの範囲)となる。したがって、制御部51は、距離センサ26が検出した距離が第1距離範囲であれば、ドライヤ本体部11にノズル部12が装着されていると判定する。この場合、制御部51は、動作モードが低温モードとなるように、すなわちヘアドライヤ1が吹き出す風の温度(ドライヤ本体部11の吹出し温度)が低温となるように、ヒータ42を制御する。この場合の吹出し温度は、ノズル部12の耐熱性に影響しない温度である。なお、制御部51は、距離センサ26の測定距離が第1距離範囲である場合、動作モードを低温モードとすることに代えて、1ショット冷風ボタン27Bが操作された場合と同様、冷風が吹き出されるようにしてもよい。なお、以下ではこのように冷風を吹き出すモードを冷風モードと称する。
【0030】
記憶部52は、制御部51がヘアドライヤ1の各部を制御する際に使用する制御プログラムおよび各種情報を記憶している。送風機41は、回転することにより、吸気口23から空気を吸い込み、その空気を本体部吹出口24から吹き出す。制御部51は、操作部27の風量設定に応じて、送風機41の回転を制御する。ヒータ42は、吸気口23から吸い込まれて風路を流れる空気を加熱する。制御部51は、ヒータ42の発熱量を制御する。イオン発生ユニット43は、イオンを発生させるユニットであり、風路を流れる空気に発生したイオンを供給する。制御部51は、イオン発生ユニット43の動作を制御する。
【0031】
(ヘアドライヤ1の動作)
図5は、へアドライヤ1の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、ヘアドライヤ1の電源がオンにされると(S11)、制御部51は、ノズル部12が装着されているかどうか、すなわち距離センサ26が測定する距離が第1距離範囲かどうかを判定する(S12)。
【0032】
制御部51は、S12での判定結果がYESの場合、動作モードが低温モードでなければ(S13)、動作モードを低温モードに変更し(S14)、低温モードでの動作を行うようにヒータ42を制御する。また、制御部51は、S13において動作モードが低温モードであれば、動作モードを変更することなく、S15の動作に進む。
【0033】
一方、制御部51は、S12の判定の結果がNOの場合、現在の動作モードを維持し(S16)、S15の動作に進む。
【0034】
その後、制御部51は、電源がオフにされると(S15)、動作を終了する。一方、電源がオンを維持される場合には、S12の動作に戻る。
【0035】
(ヘアドライヤ1の利点)
ヘアドライヤ1では、ドライヤ本体部11に対するノズル部12の装着の有無に応じた距離センサ26による距離の測定結果の違いにより、ドライヤ本体部11に対してのノズル部12の装着の有無を判定している。これにより、ノズルの有無を検出することができる。また、ヘアドライヤ1では、ドライヤ本体部11に対するノズル部12の装着の有無を検出するためのマイクロスイッチ等の機械的な部品や検出回路が不要となり、回路数を少なくしてコストアップを抑制し、かつ信頼性を向上することができる。
【0036】
なお、上記の実施形態では、制御部51は、距離センサ26の測定距離が第1距離範囲である場合(ドライヤ本体部11に対するノズル部12の装着有と判定した場合)に、動作モードを吹出し温度が低い温度となる既存の動作モードに切り替えるように、ドライヤ本体部11を制御している。しかしながら、制御部51による制御は、このような動作モードの切り替えに限定されない。すなわち、制御部51は、ノズル部12の装着有と判定した場合に、ヘアドライヤ1の温度がヘアドライヤ1すなわちヘアドライヤ1の構成各部分やノズル部12の耐熱温度の上限以下となるように、ヒータ42への投入電力を制御するようにしてもよい。この場合の投入電力については、例えば予め設定されたテーブルが保持するようにしてもよい。
【0037】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0038】
(ヘアドライヤ2の構成)
本実施形態のヘアドライヤ2(図1,2,4参照)は、動作モードとして高温モード、高温低温交互モードおよび低温モードに加えて、距離対応モードを選択可能となっている。この場合、ヘアドライヤ2では、モード変更ボタン27Cを押す毎に、例えば、高温モード→距離対応モード→高温低温交互モード→低温モードというように、動作モードが切り替わる。
【0039】
距離対応モードは、ノズル部12がドライヤ本体部11に装着されていない場合に、距離センサ26の測定距離に応じた動作モードにて動作するモードである。したがって、距離対応モードは、ノズル部12がドライヤ本体部11に装着されている場合には選択不可(無効)である。この場合、モード変更ボタン27Cを押す毎に、動作モードは、高温モード→高温低温交互モード→低温モードの順序で切り替わり、距離対応モードはスキップされる。なお、ヘアドライヤ2は、ノズル部12がドライヤ本体部11に装着されている場合においても、距離対応モードを選択可能な構成としてもよい。この場合、制御部51は、距離センサ26の検出した距離に基づいて、自動的に温風温度を切り替えるようにすればよい。このようにすれば、ノズル部12が装着されている場合に、ノズル部12が装着されていない場合に比して自動的に温風温度が下げられる。
【0040】
(距離対応モード)
図6は、距離センサ26の測定距離についての第1距離範囲、第2距離範囲および第3距離範囲の関係を示す説明図である。距離対応モードでは、距離センサ26の測定距離に応じて、例えば高温モードと低温モードとが切り替わる。
【0041】
具体的には、制御部51は、距離センサ26の測定距離(距離センサ26と例えばユーザの頭髪との距離)が第2距離範囲である場合、動作モードが低温モードとなるようにヒータ42を制御する。第2距離範囲は、相対的にユーザに近い距離範囲であり、ヘアドライヤ1が高温モードあるいは高温低温交互モードにて動作した場合、ユーザが風を熱いと感じる距離範囲である。なお、第2距離範囲は、第1距離範囲よりも距離センサ26からの距離が長い距離範囲である。また、制御部51は、距離センサ26の測定距離が第2距離範囲である場合、距離センサ26の測定距離が第1距離範囲である場合と同様、動作モードを低温モードとすることに代えて、冷風モードとしてもよい。
【0042】
また、制御部51は、距離センサ26の測定距離が第3距離範囲である場合、動作モードが高温モードとなるようにヒータ42を制御する。第3距離範囲は、第2距離範囲よりも長く、ユーザから遠い距離範囲である。
【0043】
(ヘアドライヤ1の動作)
図7は、ヘアドライヤ2の動作を示すフローチャートである。図7におけるS11~S16までの動作は、図5の動作と同様であるので説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、制御部51が、ヘアドライヤ2の電源がオンにされ(S11)、ノズル部12が装着されていないと判定した場合(S12)、動作モードが距離対応モードかどうかを判定する(S21)。
【0045】
制御部51は、S21での判定結果がYESの場合、距離センサ26の測定距離が第2距離範囲であるかどうかを判定し(S22)、この判定結果がYESの場合、動作モードを低温モードに設定し(S23)、S15の動作へ進む。一方、制御部51は、S22での判定結果がNOの場合、動作モードを高温モードに設定し、S15の動作へ進む。
【0046】
また、制御部51は、S21での判定結果がNOの場合、S16の動作へ進む。
【0047】
(ヘアドライヤ2の利点)
ヘアドライヤ2では、ドライヤ本体部11にノズル部12が装着されていな場合には、距離対応モードの設定が可能であり、この場合には、距離センサ26の測定距離、すなわちドライヤ本体部11と人の例えば頭髪との距離に応じて、動作モードが自動的に切り替えられる。すなわち、ドライヤ本体部11と人との距離が近い場合(第2距離範囲の場合)には、人が熱いと感じることがないように、動作モードが低温モードとなり、ドライヤ本体部11と人との距離が遠い場合(第3距離範囲の場合)には、動作モードが高温モードとなる。これにより、ヘアドライヤ2は、使用状態の快適性および利便性を向上することができる。
【0048】
また、ヘアドライヤ2では、距離対応モードにおいてドライヤ本体部11と人との距離が近い場合(第2距離範囲の場合)、およびドライヤ本体部11にノズル部12が装着されている場合は、共通の動作モード(低温モード)としている。これにより、制御部51の制御を簡素化することができる。ヘアドライヤ2の他の利点は、ヘアドライヤ1と同様である。
【0049】
なお、距離センサ26は、常時オンとして頻繁に使用するとセンサ寿命への影響が懸念される。そこで、制御部51は、上記距離対応モード以外の動作モードが選択されている場合には、距離センサ26が所定の時間間隔毎に動作するように、すなわち間欠的に動作する制御してもよい。
【0050】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
本実施形態のヘアドライヤ3(図1,2,4参照)は、ノズル保護モードを選択可能である。ヘアドライヤ3の制御部51は、モード変更ボタン27Cによってノズル保護モードが選択された場合、吹出し温度がノズル部12の耐熱温度以上となる動作モード(高温モードおよび高温低温交互モード)による動作を行わない構成となっている。すなわち、ノズル保護モードが選択された場合、ヘアドライヤ3は、吹出し温度がノズル部61の耐熱温度以下の温度となる動作モードにて動作する。これにより、ノズル部61を使用した状態にて、動作モードがノズル部61の耐熱温度を超える高温の熱風を吹き出す動作モードへ自動的に切り替えられ、ノズル部61がダメージを受ける事態を防止することができる。
【0052】
〔変形例〕
本発明の変形例について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図8は、本発明の変形例のヘアドライヤ4(図1,2,4参照)が備えるノズル部61の縦断面図である。ヘアドライヤ4は、前述のノズル部12に代えてノズル部61を備えている。ノズル部61は、ノズル部12が有していた反射壁32を有しておらず、ドライヤ本体部11にノズル部61が装着されている場合であっても、距離センサ26のレーザ光はノズル部61のノズル吹出口31から外部へ出射し、物体にて反射されるとノズル吹出口31を経て距離センサ26へ戻ってくる。
【0054】
したがって、ヘアドライヤ4では、ドライヤ本体部11に対するノズル部61の装着の有無に関わらず、距離センサ26を使用するノズル保護モードを選択可能である。ただし、ヘアドライヤ4の制御部51は、モード変更ボタン27Cによってノズル保護モードが選択された場合、吹出し温度がノズル部61の耐熱温度以上の温度となる動作モード(高温モードおよび高温低温交互モード)に切り替えないようにしている。すなわち、ノズル保護モードが選択された場合、ヘアドライヤ4は、吹出し温度がノズル部61の耐熱温度以下の温度となる動作モードにて動作する。これにより、ノズル部61を使用した状態にて、吹出し温度がノズル部61の耐熱温度を超えない温度となる動作モードへ自動的に切り替えられ、ノズル部61がダメージを受ける事態を防止することができる。
【0055】
なお、ヘアドライヤ4には、動作モードとして、高温モードと低温モードとの間に、吹出し温度が低温モードの温度よりも高く、かつノズル部61の耐熱温度以下となる中温モードを追加してもよい。この場合、制御部51は、ノズル保護モードが設定されると、距離センサ26の測定距離が第2距離範囲であれば、動作モードを中温モードとし、距離センサ26の測定距離が第3距離範囲であれば、動作モードを低温モードとする制御を行うようにしてもよい。
【0056】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るヘアドライヤは、ドライヤ本体部と、前記ドライヤ本体部の前部に着脱可能に取り付けられるノズル部と、前記ドライヤ本体部に設けられ、前記ドライヤ本体部の前方の対象物との距離を測定する距離センサと、前記距離センサの測定距離から、前記ドライヤ本体部に対する前記ノズル部の装着の有無を判定する制御部と、を備えている。
【0057】
本発明の態様2に係るヘアドライヤは、上記態様1において、前記制御部は、空気の吹出し温度を制御可能であって、前記ノズル部の装着有と判定した場合、前記ノズル部の装着無と判定した場合よりも吹出し温度を低くする構成としてもよい。
【0058】
本発明の態様3に係るヘアドライヤは、上記態様2において、空気の吹出し温度が互いに異なる複数の動作モードでの動作が可能であって、前記制御部は、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記吹出し温度がヘアドライヤの耐熱温度以下の前記動作モードにて動作させる構成としてもよい。
【0059】
本発明の態様4に係るヘアドライヤは、上記態様2において、空気の吹出し温度が互いに異なる複数の動作モードでの動作が可能であって、前記制御部は、所定の動作モードで動作中に、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記吹出し温度をヘアドライヤの耐熱温度以下の温度とする構成としてもよい。
【0060】
本発明の態様5に係るヘアドライヤは、上記態様3において、前記ドライヤ本体部は、前記動作モードとして距離対応モードを選択可能であり、前記制御部は、前記ノズル部の装着無と判定し、かつ前記距離対応モードが選択された場合に、前記距離センサの測定距離が短いほど前記吹出し温度が低くなる動作モードにて動作するように前記ドライヤ本体部を制御する一方、前記ノズル部の装着有と判定した場合に、前記距離対応モードによる動作を不可とする構成としてもよい。
【0061】
本発明の態様6に係るヘアドライヤは、上記態様5において、前記測定距離は、最も短い第1距離範囲、最も長い第3距離範囲、前記第1距離範囲と前記第3距離範囲との間の第2距離範囲の区分を少なくとも有し、前記制御部は、前記測定距離が前記第1距離範囲である場合に前記ノズル部の装着有と判定し、この場合の前記動作モードが、前記ノズル部の装着無の場合における、前記測定距離が前記第2距離範囲である場合の前記動作モードと同じ動作モードとなるように、前記ドライヤ本体部を制御する構成としてもよい。
【0062】
本発明の態様7に係るヘアドライヤは、上記態様5または6において、前記制御部は、前記動作モードとして前記距離対応モード以外の動作モードが選択された場合に、前記距離センサを間欠的に動作するように制御する構成としてもよい。
【0063】
本発明の態様8に係るヘアドライヤは、上記態様1から7のいずれか1態様において、前記距離センサは、発光部、および前記発光部からの出射光の前記対象物からの反射光を受光する受光部を有し、前記ノズル部は、前記出射光を反射する、前記対象物としての反射部を有している構成としてもよい。
【0064】
本発明の態様9に係るヘアドライヤは、上記態様3から7のいずれか1態様において、前記ドライヤ本体部は、前記動作モードとしてノズル保護モードを選択可能であり、前記制御部は、前記ノズル保護モードが選択された場合に、前記吹出し温度が前記ノズル部の耐熱温度以下となるように前記ドライヤ本体部を制御する構成としてもよい。
【0065】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1~4 ヘアドライヤ
11 ドライヤ本体部
12,61 ノズル部
21 ドライヤ動作部
22 グリップ部
23 吸気口
24 本体部吹出口
25 前側パネル
26 距離センサ
27 操作部
29 ノズルベース
30 集風部材
31 ノズル吹出口
32 反射壁(反射部)
41 送風機
42 ヒータ
51 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8