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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】充電システム及び充電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230417BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20230417BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20230417BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 Y
H02J7/00 301B
H02H7/18
H04M1/00 U
H04M11/00 301
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019166936
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021045001
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】長野 靖彦
【審査官】麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-240953(JP,A)
【文献】特開2017-038437(JP,A)
【文献】特開2013-088951(JP,A)
【文献】特開2012-244792(JP,A)
【文献】特開2006-345670(JP,A)
【文献】特開2018-182915(JP,A)
【文献】特開2010-026606(JP,A)
【文献】特開2004-064186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
H04M 1/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の充電器を含み、前記充電器により携帯端末装置の充電を行う充電システムであって、
前記携帯端末装置の第1接続端子と前記充電器の第2接続端子とが接続された場合に、前記携帯端末装置を充電する充電処理部と、
前記第2接続端子の異常を検出する検出処理部と、
前記検出処理部により前記第2接続端子の異常が検出された場合に、前記携帯端末装置の電力モードを低消費電力モードに切り替える切替処理部と、
前記検出処理部により前記第2接続端子の異常が検出された場合に、異常情報を報知する報知処理部と、
を備え
前記報知処理部は、前記検出処理部により1台の前記充電器の前記第2接続端子の異常が検出された場合に、異常が検出された前記充電器の識別情報と異常が検出されていない前記充電器の識別情報とを前記携帯端末装置に報知する、充電システム。
【請求項2】
前記検出処理部は、前記第1接続端子及び前記第2接続端子の接続回数が所定回数に達した場合に、前記第2接続端子の異常を検出する、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記検出処理部は、前記第1接続端子及び前記第2接続端子における、充電しているときの抵抗値と充電していないときの抵抗値との抵抗差が所定値に達した場合に、前記第2接続端子の異常を検出する、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項4】
前記充電システムは複数台の前記携帯端末装置を含み、
前記切替処理部は、前記検出処理部により前記第2接続端子の異常が検出された場合に、全ての前記携帯端末装置の電力モードを低消費電力モードに切り替える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電システムは複数台の前記携帯端末装置を含み、
前記切替処理部は、前記検出処理部により前記第2接続端子の異常が検出された場合に、前記複数台の前記携帯端末装置のうち現在の充電残量が所定量未満の前記携帯端末装置の電力モードを低消費電力モードに切り替える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電システムは複数台の前記携帯端末装置を含み、
前記報知処理部は、前記検出処理部により前記第2接続端子の異常が検出された場合に、全ての前記携帯端末装置に前記異常情報を報知する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記報知処理部は、さらに、異常が検出されていない前記充電器のうち最も異常が生じ難い前記充電器を使用するように促す情報を前記携帯端末装置に報知する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項8】
複数台の充電器により携帯端末装置の充電を行う充電制御方法であって、
前記携帯端末装置の第1接続端子と前記充電器の第2接続端子とが接続された場合に、前記携帯端末装置を充電する充電ステップと、
前記第2接続端子の異常を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記第2接続端子の異常が検出された場合に、前記携帯端末装置の電力モードを低消費電力モードに切り替える切替ステップと、
前記検出ステップにより前記第2接続端子の異常が検出された場合に、異常情報を報知する報知ステップと、
を一又は複数のプロセッサ実行する充電制御方法において
前記報知ステップでは、前記検出ステップにより1台の前記充電器の前記第2接続端子の異常が検出された場合に、異常が検出された前記充電器の識別情報と異常が検出されていない前記充電器の識別情報とを前記携帯端末装置に報知する、充電制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器により携帯端末装置の充電を行う充電システム及び充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンディターミナル、スマートフォン等の携帯端末装置が備えるバッテリー(充電池)を充電する際に、携帯端末装置を保持する充電クレードル(以下、充電器という。)が用いられる。携帯端末装置及び充電器には、それぞれ電源用の端子が設けられている。例えば充電器の端子は、ACアダプタを介して商用電源等の外部電源に接続されている。充電器に携帯端末装置が装着されると、携帯端末装置及び充電器の双方に設けられた端子が互いに接触し、外部電源によって携帯端末装置のバッテリーが充電される。また、携帯端末装置及び充電器には、それぞれ各種情報を通信するための通信用の端子も設けられている。携帯端末装置及び充電器において適切に充電及び通信を行うためには、それぞれに設けられる端子が良好に電気的に接続される必要がある。
【0003】
従来、前記充電器において、充電回数が所定回数に達した場合にユーザに通知することにより、前記充電器の故障を未然に防ぐことを可能にする技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-38437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の技術は、前記充電器の修理、交換作業が行われるまでの間に携帯端末装置の充電が必要になった場合には、ユーザは前記充電器を使用して充電を行わなければならない。このため、前記充電器の修理、交換作業が早期に行われない場合、充電が繰り返されて前記充電器が故障するおそれがある。また、前記充電器が故障しないように、ユーザは前記充電器の修理、交換作業が行われるまで携帯端末装置の使用を控えなければならなくなる。
【0006】
本発明の目的は、充電器の修理、交換作業が行われるまでの間もユーザが携帯端末装置を使用することを可能にする充電システム及び充電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る充電システムは、充電器により携帯端末装置の充電を行う充電システムであって、前記携帯端末装置の第1接続端子と前記充電器の第2接続端子とが接続された場合に、前記携帯端末装置を充電する充電処理部と、前記第2接続端子の異常を検出する検出処理部と、前記検出処理部により前記第2接続端子の異常が検出された場合に、前記携帯端末装置の電力モードを低消費電力モードに切り替える切替処理部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様に係る充電制御方法は、充電器により携帯端末装置の充電を行う充電制御方法であって、前記携帯端末装置の第1接続端子と前記充電器の第2接続端子とが接続された場合に、前記携帯端末装置を充電する充電ステップと、前記第2接続端子の異常を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより前記第2接続端子の異常が検出された場合に、前記携帯端末装置の電力モードを低消費電力モードに切り替える切替ステップと、を一又は複数のプロセッサによって実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電器の修理、交換作業が行われるまでの間もユーザが携帯端末装置を使用することを可能にする充電システム及び充電制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の各実施形態に係る充電システムの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の各実施形態に係る携帯端末装置を充電器に装着した状態を示す側面図である。
図3図3は、本発明の各実施形態に係る充電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、本発明の各実施形態に係る充電システムで実行される充電制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態2に係る充電システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の各実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
本発明に係る充電器は、例えば、ハンディターミナル、スマートフォン等の携帯端末装置が備えるバッテリー(充電池)を充電する機能を備えるクレードルである。本発明に係る充電システムは、前記携帯端末装置と前記充電器とを含んで構成される。
【0013】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る充電システム1の外観を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態1に係る携帯端末装置10を充電器20に装着した状態を示す側面図である。充電システム1は、携帯端末装置10と充電器20とで構成され、充電器20により携帯端末装置10の充電を行う。
【0014】
携帯端末装置10は、例えば、商品管理等に使用されるハンディターミナルである。携帯端末装置10は、上部の前面に液晶ディスプレイなどで構成される表示部12が設けられ、下部の前面にテンキー及びカーソルキーなどで構成される操作部15が設けられている。携帯端末装置10は傾斜部を境にして下部の幅が上部の幅より細くなっており、ユーザは、主に下部を把持して携帯端末装置10を使用する。ユーザは、携帯端末装置10を充電する場合には、携帯端末装置10を充電器20に装着する。携帯端末装置10の底部には、バッテリー17を充電するための第1接続端子18が設けられている。第1接続端子18は、複数の接点部(不図示)を備えている。第1接続端子18は、本発明の第1接続端子の一例である。
【0015】
充電器20は、例えば、ハンディターミナル(携帯端末装置10)を充電するクレードルである。充電器20の筐体は、概略的には、後部210及び前部220で構成されている。後部210には、上方に立ち上がる左側壁231及び右側壁232と、左側壁231及び右側壁232の間に形成される受容部240とが設けられ、前部220には、上方に立ち上がる左前壁271及び右前壁272と、左前壁271及び右前壁272の間に形成される載置部250とが設けられている。左側壁231及び右側壁232それぞれの内面にはD2方向に突出する固定部261(凸部)が設けられている。載置部250には、複数の接点部(端子ピン)(不図示)を備える第2接続端子27と、第2接続端子27の近傍に配置される突出部252とが設けられている。突出部252は、例えば、第2接続端子27の左右に2個設けられている。第2接続端子27は、本発明の第2接続端子の一例である。
【0016】
第2接続端子27の接点部(端子ピン)は、D1方向に付勢力F1が付与された状態で充電器20の筐体(載置部250)から進退可能に突出するように設けられている。突出部252は、D1方向に付勢力F2が付与された状態で充電器20の筐体(載置部250)から進退可能に突出するように設けられている。付勢力F2は付勢力F1より大きくなっている。D1方向は、D2方向とは異なる方向であり、例えば、図1に示す充電器20を側面から見て、D1方向及びD2方向は互いに直交する。
【0017】
携帯端末装置10は、充電される際に充電器20の上方からD3方向に押し込まれて、充電器20に装着される。携帯端末装置10の底部は、充電器20の載置部250に支持され、携帯端末装置10のバッテリー17は充電器20の受容部240に受容される。左側壁231及び右側壁232のそれぞれは、互いに下方内側に向かって傾斜した形状となっており、携帯端末装置10が充電器20の上方からD3方向に差し込まれた場合に、携帯端末装置10の傾斜部が、左側壁231及び右側壁232の内側の傾斜面に沿って下方に誘導され、左側壁231及び右側壁232に当接して支持される。充電器20の固定部261は、それぞれ携帯端末装置10の受容部に受容される。
【0018】
携帯端末装置10が充電器20に装着されると(図2参照)、充電器20の第2接続端子27の複数の接点部(端子ピン)がそれぞれ携帯端末装置10の第1接続端子18の複数の接点部に接触し、充電器20と携帯端末装置10とが電気的に接続される。
【0019】
充電器20は、例えば、ACアダプタ(図3参照)を含む電源コードを介して外部電源に接続されている。充電器20は、携帯端末装置10が充電器20に装着されたことを検出すると、携帯端末装置10のバッテリー17を外部電源によって充電する。携帯端末装置10は、充電されたバッテリー17から供給される電源によって動作する。
【0020】
充電器20の第2接続端子27の複数の接点部には、GND用端子、電源用端子(VDD端子)、通信用端子などが含まれる。携帯端末装置10を充電器20に装着すると、GND用端子、電源用端子(VDD端子)、及び通信用端子が順に携帯端末装置10の第1接続端子18の接点部に接触する。第2接続端子27の全ての接点部が第1接続端子18の接点部に接触すると携帯端末装置10及び充電器20がそれぞれ相手側を検出(認証)して充電が開始される。ユーザは、例えば携帯端末装置10のバッテリー17の充電残量が少なくなると充電を行う。
【0021】
上記充電が繰り返されると、特に第2接続端子27の接点部に摩耗、変形、破損などの不具合(故障)が生じる。第2接続端子27が故障すると、充電が適切に行われずユーザは携帯端末装置10を使用できなくなる問題が生じる。そこで、実施形態1に係る充電システム1は、第2接続端子27が故障する前に第2接続端子27の異常を検出し、異常が検出された場合に携帯端末装置10の電力モードを低消費電力モードに切り替える処理を行う。これにより、充電器20の修理、交換作業が行われるまでの間もユーザは携帯端末装置10を使用することが可能となる。また、充電頻度を少なくすることができるため、第2接続端子27が故障に至ることを防ぐことができる。
【0022】
以下、携帯端末装置10及び充電器20の具体的な構成について説明する。図3は、携帯端末装置10及び充電器20の構成を示すブロック図である。
【0023】
[携帯端末装置10]
携帯端末装置10は、制御部11、表示部12、通信部13、記憶部14、操作部15、検出回路16、バッテリー17、第1接続端子18、電源回路19を備える。
【0024】
通信部13は、携帯端末装置10を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介してサービスセンターなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0025】
表示部12は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。操作部15は、テンキー、カーソルキー、タッチパネルなどのユーザーインターフェースである。表示部12及び操作部15は、一体に形成されたタッチパネルであってもよい。
【0026】
記憶部14は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部14には、携帯端末装置10に関する各種情報(機器情報など)、携帯端末装置10の操作履歴などのデータが記憶される。
【0027】
電源回路19は、充電器20から供給される電源をバッテリー17に充電する。また電源回路19は、バッテリー17に充電された電源を携帯端末装置10の各部に供給する。
【0028】
検出回路16は、携帯端末装置10が充電器20に装着(載置)された場合に、充電器20を検出(認識)する。例えば、検出回路16は、第2接続端子27の全ての接点部が第1接続端子18の接点部に電気的に接続された場合に充電器20を検出する。なお、検出回路16は、第2接続端子27の通信用端子が第1接続端子18の接点部に電気的に接続された時点で充電器20を検出してもよい。検出回路16は、検出結果を制御部11に出力する。
【0029】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部14に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより携帯端末装置10を制御する。
【0030】
具体的に、制御部11は、携帯端末装置10の第1接続端子18と充電器20の第2接続端子27とが接続された場合に、携帯端末装置10を充電する充電処理を実行する。すなわち、制御部11は、本発明の充電処理部として機能する。具体的には、制御部11は、電源回路19を制御して、充電器20から供給される電源をバッテリー17に充電する。
【0031】
また制御部11は、第2接続端子27の異常を検出する。すなわち、制御部11は、本発明の検出処理部として機能する。具体的には、制御部11は、第1接続端子18及び第2接続端子27の接続回数が所定回数を超える場合に、第2接続端子27の異常を検出する。前記接続回数は、1台の充電器20に対して携帯端末装置10が接続された回数である。前記接続回数は、例えば充電器20の記憶部22に記憶されており、制御部11は、検出回路16が充電器20を検出する度に、記憶部22から前記接続回数を取得して(読み出して)、前記接続回数に「+1」を加算して更新(上書き)する。制御部11は、更新した前記接続回数を記憶部22に記憶する。
【0032】
前記所定回数は、第2接続端子27の耐用期間、耐用接続回数(耐用使用回数)などに基づいて予め設定される。例えば、前記所定回数は、第2接続端子27の耐用接続回数より一定割合に相当する回数だけ少ない値に設定される。なお、前記所定回数は、携帯端末装置10の使用頻度、使用環境、ユーザ属性などの情報も考慮して設定されてもよい。また、前記所定回数は、充電器20ごとに個別に設定されてもよい。これにより、充電器20が故障する前の段階で第2接続端子27の異常を検出することができる。
【0033】
前記所定回数は、例えば充電器20の記憶部22に記憶されており、制御部11は、記憶部22から前記所定回数の情報を取得して、前記接続回数及び前記所定回数を比較する。
【0034】
制御部11は、第1接続端子18及び第2接続端子27が接続される度、すなわち検出回路16が充電器20を検出する度に、記憶部22から前記接続回数及び前記所定回数の情報を取得し、取得した前記接続回数に「+1」を加算した現在の前記接続回数が、前記所定回数を超えるか否かを判定する。そして、制御部11は、前記接続回数が前記所定回数を超える場合に、第2接続端子27の異常を検出(判定)する。
【0035】
制御部11が第2接続端子27の異常を検出する方法は、上記の方法に限定されない。例えば、制御部11は、第1接続端子18及び第2接続端子27における、充電しているときの抵抗値と充電していないときの抵抗値との抵抗差が所定値を超える場合に、第2接続端子27の異常を検出してもよい。前記所定値は、前記所定回数と同様に、第2接続端子27の耐用期間、耐用接続回数(耐用使用回数)などに基づいて予め設定される。また、前記所定値は、充電器20ごとに個別に設定されてもよい。前記所定値は、充電器20の記憶部22に記憶される。例えば、検出回路16は、第1接続端子18及び第2接続端子27間の電圧及び電流を監視して抵抗値を算出する。ここで、第2接続端子27に異常が生じると、充電中の電圧が降下して抵抗値が上昇して前記抵抗差が大きくなる。
【0036】
制御部11は、第1接続端子18及び第2接続端子27が接続される度、すなわち検出回路16が充電器20を検出する度に、記憶部22から前記所定値の情報を取得し、検出された抵抗値が前記所定値を超えるか否かを判定する。そして、制御部11は、前記抵抗値が前記所定値を超える場合に、第2接続端子27の異常を検出(判定)する。
【0037】
また制御部11は、第2接続端子27の異常を検出した場合に、携帯端末装置10の電力モードを低消費電力モード(省電力モード)に切り替える切替処理を実行する。すなわち、制御部11は、本発明の切替処理部として機能する。前記低消費電力モードでは、制御部11は、携帯端末装置10の機能のうち所定の機能(例えば表示画面の輝度調整機能)の動作を制限したり、バックライト輝度を下げたり、制御部11の動作クロックを制限したり、スリープモードを有効にしたりすることによりバッテリー17の消費を抑える。
【0038】
また、制御部11は、第2接続端子27の異常を検出した場合に異常情報を報知する。すなわち、制御部11は、本発明の報知処理部として機能する。例えば、制御部11は、異常を示すメッセージを表示部12に表示させる。これにより、ユーザは前記異常を把握して、サービスセンターに充電器20の修理、交換作業を依頼する。また例えば、制御部11は、異常情報をサービスセンターに送信する。前記サービスセンターは、前記異常情報を受信した場合、例えば充電器20の修理、交換作業の手配を行う。
【0039】
[充電器20]
充電器20は、制御部21、記憶部22、通信部23、スイッチ回路24、検出回路25、電源回路26、第2接続端子27を備える。
【0040】
通信部23は、充電器20を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介してサービスセンターなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0041】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部22には、充電器20に関する各種情報(機器情報など)、携帯端末装置10において第2接続端子27の異常を検出する検出処理(判定処理)に用いる前記接続回数、前記所定回数、前記所定値などのデータが記憶される。なお、前記接続回数は、携帯端末装置10及び充電器20が接続される度に更新される。
【0042】
電源回路26は、ACアダプタを介して外部電源から供給される電源を充電器20の各部に供給する。また電源回路26は、充電器20に装着された携帯端末装置10が検出回路25により検出されてスイッチ回路24により第2接続端子27と電源回路26とが電気的に接続された場合に、前記外部電源から供給される電源を第2接続端子27に供給する。携帯端末装置10が充電器20から取り外されると、スイッチ回路24は、第2接続端子27と電源回路26とを電気的に遮断する。
【0043】
検出回路25は、携帯端末装置10が充電器20に装着された場合に、携帯端末装置10を検出(認識)する。例えば、検出回路25は、第2接続端子27の全ての接点部が第1接続端子18の接点部に電気的に接続された場合に携帯端末装置10を検出する。なお、検出回路25は、第2接続端子27の通信用端子が第1接続端子18の接点部に電気的に接続された場合に携帯端末装置10を検出してもよい。検出回路25は、検出結果を制御部21に出力する。
【0044】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより充電器20を制御する。なお、充電器20は、上記構成に限定されず、前記制御プログラムを記憶しない構成であってもよいし、前記制御プログラムを実行しない構成であってもよい。
【0045】
具体的に、制御部21は、携帯端末装置10の第1接続端子18と充電器20の第2接続端子27とが接続された場合に、携帯端末装置10を充電する充電処理を実行する。すなわち、制御部21は、本発明の充電処理部として機能する。例えば、制御部21は、第1接続端子18及び第2接続端子27が接続された場合に、電源回路26を制御して、前記外部電源から供給される電源を第2接続端子27に供給する。携帯端末装置10の制御部11は、電源回路19を制御して、第2接続端子27及び第1接続端子18を介して供給される電源をバッテリー17に充電させる。すなわち、電源回路19は、制御部11の指示に基づいて、充電器20から供給される電源をバッテリー17に充電する。
【0046】
また、制御部21は、スイッチ回路24を制御して、電源回路26及び第2接続端子27の接続を切り替える。具体的には、制御部21は、検出回路25により携帯端末装置10が検出された場合に、スイッチ回路24を切り替えて電源回路26及び第2接続端子27を電気的に接続させる。一方、制御部21は、検出回路25により携帯端末装置10が検出されない場合に、スイッチ回路24を切り替えて電源回路26及び第2接続端子27を電気的に遮断させる。
【0047】
制御部21は、携帯端末装置10の制御部11の機能、例えば充電器20の第2接続端子27の異常を検出する機能、携帯端末装置10の電力モードを切り替える機能、異常を外部に報知する機能の少なくともいずれかを備えてもよい。
【0048】
上述した充電システム1の構成によれば、充電器20の修理、交換作業が行われるまでの間、携帯端末装置10は低消費電力モードで駆動するため、充電器20における充電頻度が抑えられる。このため、充電器20が故障に至ることなく、ユーザは携帯端末装置10の使用を継続することができる。
【0049】
[充電制御処理]
以下、図4を参照しつつ、充電システム1において実行される充電制御処理について説明する。例えば、前記充電制御処理は、充電システム1を構成する携帯端末装置10及び充電器20のそれぞれの制御部11、21によって実行される。
【0050】
なお、本発明は、前記充電制御処理に含まれる一又は複数のステップを実行する充電制御方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記充電制御処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記充電制御処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11、21によって前記充電制御処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサによって当該充電制御処理における各ステップが分散して実行される充電制御方法も他の実施形態として考えられる。
【0051】
ステップS11において、ユーザにより携帯端末装置10が充電器20に接続されると、ステップS12において、携帯端末装置10の制御部11は、充電器20を検出(認識)し、充電器20の制御部21は、携帯端末装置10を検出(認識)する。ステップS12は、本発明の検出ステップの一例である。
【0052】
ステップS13において、制御部21は、第2接続端子27に電源を供給する。具体的には、制御部21は、検出回路25により携帯端末装置10が検出された場合に、スイッチ回路24を切り替えて電源回路26及び第2接続端子27を電気的に接続させて、電源回路26に、前記外部電源から供給される電源を第2接続端子27に供給させる。これにより、携帯端末装置10の第1接続端子18を介してバッテリー17に電源が供給され充電処理が実行される。ステップS13は、本発明の充電ステップの一例である。
【0053】
ステップS14において、携帯端末装置10の制御部11は、充電器20の記憶部22から、予め設定された前記所定回数(ここでは所定回数をAとする。)と、現時点の前記接続回数(ここでは接続回数をBとする。)とを取得する。
【0054】
ステップS15において、携帯端末装置10の制御部11は、取得した前記接続回数Bに「+1」を加算して、前記接続回数Bを「B+1」に更新する。制御部11は、記憶部22の前記接続回数Bを「B+1」に上書きする。
【0055】
ステップS16において、携帯端末装置10の制御部11は、更新された前記接続回数Bが前記所定回数Aを超えるか否かを判定する。すなわち、ステップS16において、制御部11は、充電器20の第2接続端子27の異常を検出する。更新された前記接続回数Bが前記所定回数Aを超えない場合(S16:No)、処理はステップS17に移行する。一方、更新された前記接続回数Bが前記所定回数Aを超える場合(S16:Yes)、処理はステップS18に移行する。
【0056】
ステップS17において、携帯端末装置10の制御部11は、前記電力モードを通常電力モードに切り替える。これにより、携帯端末装置10は通常電力モードで駆動する。
【0057】
一方、更新された前記接続回数Bが前記所定回数Aを超える場合(S16:Yes)、携帯端末装置10の制御部11は、充電器20に異常が生じたと判定し、異常情報を報知し(S18)、さらに前記電力モードを低消費電力モードに切り替える(S19)。これにより、携帯端末装置10は、一定の処理が制限されて駆動する。なお、前記ステップS18は省略されてもよい。ステップS19は、本発明の切替ステップの一例である。
【0058】
上述の各処理は、携帯端末装置10が充電器20に接続されるごとに実行される。このため、例えば、前記接続回数Bが前記所定回数Aに達した後に、通常電力モードで駆動する携帯端末装置10が充電器20に接続された場合には、前記接続回数Bが前記所定回数Aを超えるため、当該携帯端末装置10の電力モードが低消費電力モードに切り替えられる。
【0059】
ここで、充電器20の制御部21は、充電器20又は第2接続端子27が修理、交換等された場合には、記憶部22に記憶された前記接続回数を「0」にリセットする。そして、携帯端末装置10の制御部11は、前記接続回数がリセットされたことを検出すると、電力モードを低消費電力モードから通常電力モードに切り替える。
【0060】
本発明に係る充電システムは上述の構成に限定されない。以下、本発明に係る充電システムの他の実施形態について説明する。以下に示す各実施形態において、上述の実施形態1と共通する構成については説明を省略する。例えば、図4に示す前記充電制御処理は、以下の各実施形態に係る充電システム1に適用することができる。
【0061】
[実施形態2]
実施形態2に係る充電システム1は、図5に示すように、1台の充電器20と、複数台の携帯端末装置10と、管理サーバ30とを備える。充電器20、各携帯端末装置10、及び管理サーバ30はネットワークN1を介してデータ通信可能に接続される。管理サーバ30は、各携帯端末装置10の情報(機器情報、使用状況、充電履歴など)を管理する。
【0062】
1台の充電器20は、複数台の携帯端末装置10のそれぞれに対して充電処理を実行することが可能である。このため、前記接続回数は、1台の充電器20を利用する全ての携帯端末装置10における充電回数(接続回数)の合計値となる。各携帯端末装置10は、充電を行う度に、充電器20から前記接続回数を取得して「+1」を加算して更新する。これにより、充電器20は常に最新の前記接続回数(合計値)を保持する。
【0063】
携帯端末装置10の制御部11は、第2接続端子27の異常を検出した場合に、異常情報を管理サーバ30に通知する。なお、管理サーバ30が、第2接続端子27の異常を検出する処理を実行してもよい。
【0064】
管理サーバ30は、前記異常情報を取得すると、各携帯端末装置10に電力モードを低消費電力モードに切り替える切替指示(切替信号)を送信する。各携帯端末装置10の制御部11は、前記切替指示を受信すると、電力モードを低消費電力モードに切り替える。これにより、充電器20の修理、交換作業が行われるまでの間、全ての携帯端末装置10が低消費電力モードで駆動するため、充電器20における充電頻度が抑えられる。このため、充電器20が故障に至ることなく、各ユーザは各携帯端末装置10の使用を継続することができる。
【0065】
また、管理サーバ30は、前記異常情報を取得した場合に、複数台の携帯端末装置10のうち所定の携帯端末装置10の電力モードを低消費電力モードに切り替えてもよい。例えば、管理サーバ30は、前記使用状況から各携帯端末装置10の現在の充電残量を取得し、当該充電残量が所定量(例えば30%)未満の携帯端末装置10を特定する。そして、管理サーバ30は、特定した携帯端末装置10の電力モードを低消費電力モードに切り替える。具体的には、例えば携帯端末装置10Aの充電残量が20%、携帯端末装置10Bの充電残量が60%、携帯端末装置10Cの充電残量が25%である場合において、管理サーバ30は、前記異常情報を取得した場合に、携帯端末装置10A、10Cに電力モードを低消費電力モードに切り替える前記切替指示を送信し、携帯端末装置10Bには前記切替指示を受信しない。前記切替指示を受信した携帯端末装置10A、10Cの制御部11は、自身の電力モードを低消費電力モードに切り替える。これにより、携帯端末装置10A、10Cは低消費電力モードで駆動し、携帯端末装置10Bは通常電力モードで駆動する。なお、その後に携帯端末装置10Bが充電器20に接続された場合には、携帯端末装置10Bは低消費電力モードに切り替えられる。管理サーバ30は、本発明の切替処理部の一例である。
【0066】
また、管理サーバ30は、前記異常情報を取得した場合に、各携帯端末装置10に異常情報を報知する。例えば、管理サーバ30は、各携帯端末装置10に、表示部12に異常を示すメッセージを表示させる表示指示(表示データ)を送信する。前記表示指示を受信した各携帯端末装置10の制御部11は、自身の表示部12に前記メッセージを表示させる。これにより、各ユーザは前記異常を把握して、自身が使用する携帯端末装置10の充電を控えたり、サービスセンターに充電器20の修理、交換作業を依頼したりする。なお、管理サーバ30は、前記異常情報を取得した場合に、さらに異常情報をサービスセンターに送信してもよい。管理サーバ30は、本発明の報知処理部の一例である。
【0067】
[実施形態3]
実施形態3に係る充電システム1は、上述の実施形態2(図5参照)において、さらに複数台の充電器20を備える。この場合、各充電器20は、1又は複数台の携帯端末装置10のそれぞれに対して充電処理を実行する。このため、各充電器20は、自身で行われた充電の回数を前記接続回数(合計値)として保持する。
【0068】
携帯端末装置10の制御部11は、1台の充電器20の第2接続端子27の異常が検出された場合に、異常情報を管理サーバ30に通知する。前記異常情報には、異常が検出された充電器20の識別情報が含まれる。なお、管理サーバ30が、各充電器20の第2接続端子27の異常を検出する処理を実行してもよい。
【0069】
管理サーバ30は、前記異常情報を取得すると、異常が検出された充電器20の識別情報と異常が検出されていない充電器20の識別情報とを各携帯端末装置10に報知する。各携帯端末装置10の制御部11は、異常が検出された充電器20の識別情報と異常が検出されていない(正常な)充電器20の識別情報とを表示部12に表示させる。なお、各携帯端末装置10の制御部11は、正常な充電器20を利用して充電するように促すメッセージを表示部12に表示させてもよい。これにより、ユーザは、異常が検出された充電器20による充電を控え、正常な充電器20で充電することができる。
【0070】
また、管理サーバ30は、さらに、異常が検出されていない充電器20のうち最も異常が生じ難い充電器20、例えば使用頻度又は前記接続回数が最も少ない充電器20を使用するように促す情報(メッセージ)を各携帯端末装置10に報知してもよい。
【0071】
ここで、電力モードが低消費電力モードに切り替えられた携帯端末装置10が、正常な充電器20に接続された場合には、電力モードが通常電力モードに切り替えられる(図4のS16:Yes)。
【0072】
なお、実施形態3の充電システム1では、携帯端末装置10が1台であってもよい。
【0073】
本発明の充電システムは、携帯端末装置10及び充電器20により実現されてもよいし、携帯端末装置10又は充電器20で実現されてもよい。また、本発明の充電システムは、管理サーバ30で実現されてもよいし、携帯端末装置10、充電器20及び管理サーバ30の少なくとも何れか一つにより実現されてもよい。例えば、管理サーバ30が、本発明の充電処理部、検出処理部、切替処理部、及び報知処理部を備えることにより本発明の充電システムを構成してもよい。
【0074】
尚、本発明に係る充電システムは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態を自由に組み合わせること、或いは各実施形態を適宜、変形又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 :充電システム
10 :携帯端末装置
11 :制御部
12 :表示部
13 :通信部
14 :記憶部
15 :操作部
16 :検出回路
17 :バッテリー
18 :第1接続端子
19 :電源回路
20 :充電器
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :スイッチ回路
25 :検出回路
26 :電源回路
27 :第2接続端子
30 :管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5