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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】油圧回路装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/033 20060101AFI20230417BHJP
   F15B 11/04 20060101ALI20230417BHJP
   F01D 17/10 20060101ALI20230417BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20230417BHJP
   F15B 3/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
F15B1/033
F15B11/04 J
F01D17/10 E
F01D17/10 F
F15B11/02 V
F15B3/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019214191
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085460
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】大藤 朋男
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-065805(JP,A)
【文献】米国特許第04955195(US,A)
【文献】実開平02-129468(JP,U)
【文献】特表2004-534925(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109185240(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/00-7/10
F01D 1/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気弁を駆動するための駆動装置を動作させる油圧回路装置であって、
作動油を吐出するポンプと、
作動油を内部に貯蔵するアキュムレータと、
一次側ポートに作動油に供給されることによって、前記一次側ポートに供給された作動油および前記ポンプが吐出する作動油よりも圧力が高い作動油を二次側ポートから送り出すように構成されているブースターと、
前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態と、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態との間を切り替え可能に構成されている切替弁と、
前記ポンプから吐出された作動油を前記駆動装置に供給するサーボ弁と、
前記ポンプと前記サーボ弁との間に介在しており、前記ポンプの側から前記サーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている第1の逆止弁と、
前記アキュムレータと前記二次側ポートとの間に介在しており、前記アキュムレータの側から前記二次側ポートの側へ作動油が流れるように構成されている第2の逆止弁と、
前記二次側ポートと前記サーボ弁との間に介在しており、前記二次側ポートの側から前記サーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている第3の逆止弁と
を有し、
前記蒸気弁について通常の開動作を実行する場合よりも急速に前記蒸気弁を閉じる急開動作を実行する際には、前記切替弁は、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態から、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態に切り替えることによって、前記アキュムレータから前記一次側ポートに作動油を供給し、前記二次側ポートから作動油を前記駆動装置に供給するように構成されていると共に、
前記開動作を実行する際には、前記ポンプから吐出された作動油がサーボ弁を経由して前記駆動装置に供給されると共に、前記ポンプと前記アキュムレータとの間が前記切替弁を介して連通した状態になり、前記ポンプから前記切替弁を経由した作動油、および、前記アキュムレータから流出した作動油が、前記第2の逆止弁を経由して前記二次側ポートに供給され、
前記急開動作を実行する際には、前記二次側ポートから吐出した作動油が、前記第1の逆止弁および前記第2の逆止弁によって前記ポンプおよび前記アキュムレータに流入せずに、前記第3の逆止弁および前記サーボ弁を経由して前記駆動装置に供給されるように構成されている
油圧回路装置。
【請求項2】
蒸気弁を駆動するための駆動装置を動作させる油圧回路装置であって、
作動油を吐出するポンプと、
作動油を内部に貯蔵するアキュムレータと、
一次側ポートに作動油に供給されることによって、前記一次側ポートに供給された作動油および前記ポンプが吐出する作動油よりも圧力が高い作動油を二次側ポートから送り出すように構成されているブースターと、
前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態と、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態との間を切り替え可能に構成されている切替弁と、
前記ポンプから吐出された作動油を前記駆動装置に供給するサーボ弁と、
前記ポンプと前記サーボ弁との間に介在しており、前記ポンプの側から前記サーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている第1の逆止弁と、
前記二次側ポートと前記サーボ弁との間に介在しており、前記二次側ポートの側から前記サーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている第2の逆止弁と
前記二次側ポートと前記サーボ弁との間に介在しており、前記第2の逆止弁を迂回するように設けられているオリフィスと
を有し、
前記蒸気弁について通常の開動作を実行する場合よりも急速に前記蒸気弁を閉じる急開動作を実行する際には、前記切替弁は、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態から、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態に切り替えることによって、前記アキュムレータから前記一次側ポートに作動油を供給し、前記二次側ポートから作動油を前記駆動装置に供給するように構成されていると共に、
前記開動作を実行する際には、前記ポンプから吐出された作動油がサーボ弁を経由して前記駆動装置に供給されると共に、前記ポンプと前記アキュムレータとの間が前記切替弁を介して連通した状態になり、前記ポンプから吐出された作動油が前記切替弁を経由せずに、前記第1の逆止弁と前記オリフィスとを順次経由して前記二次側ポートに供給され、
前記急開動作を実行する際には、前記二次側ポートから吐出した作動油が、前記第1の逆止弁によって前記ポンプに流入せずに、前記第2の逆止弁を経由して前記駆動装置に供給されるように構成されている、
油圧回路装置。
【請求項3】
蒸気弁を駆動するための駆動装置を動作させる油圧回路装置であって、
作動油を吐出するポンプと、
作動油を内部に貯蔵するアキュムレータと、
一次側ポートに作動油に供給されることによって、前記一次側ポートに供給された作動油および前記ポンプが吐出する作動油よりも圧力が高い作動油を二次側ポートから送り出すように構成されているブースターと、
前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態と、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態との間を切り替え可能に構成されている切替弁と、
前記ポンプから吐出された作動油を前記駆動装置に供給するサーボ弁と、
前記ポンプと前記サーボ弁との間に介在しており、前記ポンプの側から前記サーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている第1の逆止弁と、
前記二次側ポートと前記サーボ弁との間に介在しており、前記二次側ポートの側から前記サーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている第2の逆止弁と、
前記二次側ポートと前記サーボ弁との間に介在しており、前記第2の逆止弁を迂回するように設けられているオリフィスと
を有し、
前記蒸気弁について通常の開動作を実行する場合よりも急速に前記蒸気弁を閉じる急開動作を実行する際には、前記切替弁は、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態から、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態に切り替えることによって、前記アキュムレータから前記一次側ポートに作動油を供給し、前記二次側ポートから作動油を前記駆動装置に供給するように構成されていると共に、
前記開動作を実行する際には、前記ポンプから吐出された作動油がサーボ弁を経由して前記駆動装置に供給されると共に、前記ポンプから吐出された作動油および前記アキュムレータから流出した作動油が、前記切替弁を経由せずに、前記オリフィスを経由して、前記二次側ポートに供給され、
前記急開動作を実行する際には、前記二次側ポートから吐出した作動油が、前記第1の逆止弁によって前記ポンプおよび前記アキュムレータに流入せずに、前記第2の逆止弁を経由して前記駆動装置に供給されるように構成されている、
油圧回路装置。
【請求項4】
蒸気弁を駆動するための駆動装置を動作させる油圧回路装置であって、
作動油を吐出するポンプと、
作動油を内部に貯蔵するアキュムレータと、
一次側ポートに作動油に供給されることによって、前記一次側ポートに供給された作動油および前記ポンプが吐出する作動油よりも圧力が高い作動油を二次側ポートから送り出すように構成されているブースターと、
前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態と、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態との間を切り替え可能に構成されている第1切替弁と、
前記アキュムレータと前記二次側ポートとの間を連通させた状態、および、前記駆動装置と前記二次側ポートとの間を連通させた状態を切り替える第2切替弁と、
前記ポンプから吐出された作動油を前記駆動装置に供給するサーボ弁と
を有し、
前記蒸気弁について通常の開動作を実行する場合よりも急速に前記蒸気弁を閉じる急開動作を実行する際には、前記第1切替弁は、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が遮断された状態から、前記アキュムレータと前記一次側ポートとの間が連通した状態に切り替えることによって、前記アキュムレータから前記一次側ポートに作動油を供給し、前記二次側ポートから作動油を前記駆動装置に供給するように構成されていると共に、
前記開動作を実行する際には、前記ポンプから吐出された作動油がサーボ弁を経由して前記駆動装置に供給されると共に、前記第2切替弁が、前記アキュムレータと前記二次側ポートとの間を連通させた状態することによって、前記ポンプから前記第1切替弁を経由した作動油、および、前記アキュムレータから流出した作動油を、前記二次側ポートに供給し、
前記急開動作を実行する際には、前記第2切替弁が、前記駆動装置と前記二次側ポートとの間を連通させた状態にすることによって、前記二次側ポートから吐出した作動油を、前記サーボ弁を経由せずに前記駆動装置に直接的に供給するように構成されている、
油圧回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、油圧回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所、原子力発電所などの発電所において、蒸気タービンシステムは、蒸気タービンの入口に流入する蒸気の流量を調節するために、蒸気弁が設置されている。
【0003】
[A]蒸気タービンシステムの全体について
図5は、関連技術に係る蒸気タービンシステムを模式的に示す図である。
【0004】
図5に示すように、蒸気タービンシステムは、高圧タービン20、再熱器30、中圧タービン40、低圧タービン50、復水器60、および、発電機70を有する。
【0005】
蒸気タービンシステムにおいて、ボイラ(図示省略)と高圧タービン20との間には、主蒸気管L10が設けられており、主蒸気管L10には、主蒸気弁V10が設置されている。高圧タービン20と再熱器30との間には、低温再熱蒸気管L20が設けられている。
【0006】
再熱器30と中圧タービン40との間には、高温再熱蒸気管L30が設けられており、高温再熱蒸気管L30には、中間蒸気止め弁V30aとインターセプト弁V30bとが再熱器30側から中圧タービン40側へ順次設置されている。中圧タービン40と低圧タービン50との間には、クロスオーバー管L40が設けられている。
【0007】
蒸気タービンシステムでは、作動媒体として、蒸気が、主蒸気管L10を流れ、主蒸気弁V10を介して、高圧タービン20に流入する。そして、高圧タービン20から排出された蒸気が、低温再熱蒸気管L20を流れ、再熱器30に流入する。そして、再熱器30で再熱された蒸気が、高温再熱蒸気管L30を流れ、中間蒸気止め弁V30aとインターセプト弁V30bとを順次介して、中圧タービン40に流入する。そして、中圧タービン40から排出された蒸気が、クロスオーバー管L40を流れて、低圧タービン50に流入する。その後、低圧タービン50から排出された蒸気は、復水器60で凝縮(復水)される。
【0008】
上記の蒸気タービンシステムでは、高圧タービン20と中圧タービン40と低圧タービン50とにおいてタービンロータが連結されており、各部に作動流体として流入した蒸気が膨張し仕事を行うことによって、タービンロータが回転する。そして、そのタービンロータの回転によって、発電機70が駆動し、発電が行われる。
【0009】
図5に示すように、蒸気タービンシステムは、上記の他に、発電した電力を送電する送電系統における事故の発生を検知したときに、発電出力を高速に制御するために、制御装置100(タービン高速バルブ制御装置)を有する。
【0010】
ここでは、制御装置100は、発電機70の電圧値または電流値を検出する検出器71が出力する検出信号S71と、送電系統の事故を検出する検出器72が出力する検出信号S72とが入力される。これと共に、制御装置100は、高温再熱蒸気管L30においてインターセプト弁V30bよりも中圧タービン40側に設置された圧力検出器31から出力された検出信号S31が入力される。
【0011】
制御装置100は、開度指令信号S100を出力することによって、たとえば、インターセプト弁V30bの動作を制御するように構成されている。ここでは、制御装置100は、送電系統において事故が発生していると判断したときには、高速バルブ制御を行うための開度指令信号S100を出力し、インターセプト弁V30bに関して高速バルブ制御を実行する。
【0012】
[B]中間蒸気止め弁V30a,インターセプト弁V30b
図6は、関連技術に係る蒸気タービンシステムにおいて、中間蒸気止め弁V30aおよびインターセプト弁V30bを模式的に示す図である。
【0013】
図6に示すように、中間蒸気止め弁V30aおよびインターセプト弁V30bは、バタフライ弁であって、ディスク状の弁体301a,301bが弁棒302a,302bに設置されている。中間蒸気止め弁V30aおよびインターセプト弁V30bは、駆動装置80a,80bが操作ロッド81a,81bを操作することによって、弁棒302a,302bと共に弁体301a,301bが回転することで、開動作および閉動作を行うように構成されている。
【0014】
[C]駆動装置80b,油圧回路装置90J
図7は、関連技術に係る蒸気タービンシステムにおいて、作動油を用いて駆動装置80bを作動させる油圧回路装置90Jを模式的に示す図である。ここでは、インターセプト弁V30bの駆動装置80b(図6参照)を作動させる油圧回路装置90Jについて説明する。
【0015】
[C-1]駆動装置80b
駆動装置80bは、図7に示すように、操作ロッド81bにピストン82bが設けられており、ピストン82bがシリンダ83bの内部空間C831に収容されている。シリンダ83bの内部空間C831は、ピストン82bによって、第1油室C831aと第2油室C831bとに区画されている。駆動装置80bは、シリンダ83bの内部空間C831においてピストン82bが作動油の作用によって作動することで、操作ロッド81bがインターセプト弁V30bの開閉動作を行うように構成されている。
【0016】
具体的には、開動作を行う場合には、第1油室C831aに作動油が供給されることによって、ピストン82bが第1油室C831a側から第2油室C831b側へ移動する。これに対して、閉動作を行う場合には、第1油室C831aから作動油が排出されることによって、ピストン82bが第2油室C831b側から第1油室C831a側へ移動する。そして、開度を保持させる場合には、内部空間C831においてピストン82bが停止した状態になるように、第1油室C831aの圧力と第2油室C831bの圧力とが調整される。
【0017】
[C-2]油圧回路装置90J
油圧回路装置90Jは、図7に示すように、ポンプ91とアキュムレータ92とサーボ弁93と、油タンク96とを含む油圧回路が構成されている。ここでは、油圧回路装置90Jは、制御装置100から高速バルブ制御を行うための開度指令信号S100が入力されたときには、各部の動作を制御して駆動装置80bを駆動させることによって、インターセプト弁V30bの動作を制御する。
【0018】
[C-2-1]ポンプ91
油圧回路装置90Jにおいて、ポンプ91は、油路L91を介して、サーボ弁93に接続されており、昇圧した作動油が吐出ポートから油路L91を経由してサーボ弁93へ供給されるように構成されている。ここでは、油路L91には、接続部J91が設けられている。
【0019】
[C-2-2]アキュムレータ92
アキュムレータ92は、油圧回路の脈動を防止すると共に、ポンプ91から駆動装置80bへ供給する作動油の不足分を補填するために設けられている。アキュムレータ92は、内部に作動油を貯蔵しており、その貯蔵した作動油が、油路L92を介して、油路L91に流れるように構成されている。ここでは、油路L92は、アキュムレータ92の底部に設けられている給排油ポートに一端が接続され、他端が油路L91の接続部J91に接続されている。
【0020】
[C-2-3]サーボ弁93
サーボ弁93は、ポンプ91およびアキュムレータ92から駆動装置80bへ供給される作動油の供給量を制御するために設けられている。ここでは、サーボ弁93は、油路L93aを介して、駆動装置80bの第1油室C831aに接続されている。この他に、サーボ弁93には、作動油がドレン油として油タンク96へ流れる油路L93bが接続されている。インターセプト弁V30bを開動作させる場合には、ポンプ91およびアキュムレータ92からの作動油が、サーボ弁93、油路L93aを順次経て、第1油室C831aへ供給される。インターセプト弁V30bを閉動作させる場合には、第1油室C831aからの作動油が、サーボ弁93、油路L93bを順次経て油タンク96へ排出される。インターセプト弁V30bを閉動作させる場合、第1油室C831aから排出された作動油は、ドレン油としてサーボ弁93から油路L93bを経て油タンク96へ流れる。サーボ弁93を再び開動作させる場合には、上述した油タンク96からの作動油が、油路L93bからサーボ弁93を経由し、油路L93aを介して第1油室C831aへ供給される。
【0021】
[D]動作
[D-1]起動時
蒸気タービンシステムにおいて起動運転を行う際には、予め定めた時間に全閉状態から全開状態になるように、油圧回路装置90Jが作動油を駆動装置80bに供給する。ここでは、油圧回路装置90Jは、ポンプ91およびアキュムレータ92から作動油を駆動装置80bに供給することによって、インターセプト弁V30bを全開状態にする。
【0022】
[D-2]通常時
蒸気タービンシステムにおいて通常運転を行う際には、要求された発電出力に応じた開度になるように、油圧回路装置90Jが作動油を駆動装置80bに供給する。ここでは、油圧回路装置90Jは、ポンプ91によって昇圧された作動油を駆動装置80bに供給することによって、インターセプト弁V30bの開度を調整する。
【0023】
[D-3]送電系統の事故発生時
送電系統の事故発生時に高速バルブ制御を行う際には、インターセプト弁V30bを全開状態から急速に閉じた(急閉動作をさせた)後に、急速に開く(急開動作をさせる)。インターセプト弁V30bにこの急開動作をさせる場合には、起動運転と同様に、油圧回路装置90Jにおいてポンプ91およびアキュムレータ92から作動油を駆動装置80bに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】特開平6-88504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
上記したように、送電系統の事故が発生した時に高速バルブ制御を実行する際には、インターセプト弁V30bなどの蒸気弁が急速に全閉状態から全開状態になるように急開動作が実行される。このとき、ポンプ91およびアキュムレータ92から作動油が駆動装置80bに供給される。この場合、ポンプ91およびアキュムレータ92から駆動装置80bに多くの作動油を供給する必要があるので、ポンプ91およびアキュムレータ92を大容量化する必要がある。
【0026】
しかしながら、上記のような高速バルブ制御の実行が必要な機会は少なく、通常運転では、機器の大容量化は、消費電力を含めたプラント効率の低下を引き起こす場合がある。
【0027】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、機器の大容量化を行わずに、高速バルブ制御の実行が可能であって、プラント効率の低下を抑制することができる油圧回路装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
実施形態の油圧回路装置は、ポンプとアキュムレータとブースターと切替弁とサーボ弁と第1の逆止弁と第2の逆止弁と第3の逆止弁とを有し、蒸気弁を駆動するための駆動装置を動作させる。ポンプは、作動油を吐出する。アキュムレータは、作動油を内部に貯蔵する。ブースターは、一次側ポートに作動油に供給されることによって、一次側ポートに供給された作動油およびポンプが吐出する作動油よりも圧力が高い作動油を二次側ポートから送り出すように構成されている。切替弁は、アキュムレータと一次側ポートとの間が遮断された状態と、アキュムレータと一次側ポートとの間が連通した状態との間を切り替え可能に構成されている。サーボ弁は、ポンプから吐出された作動油を駆動装置に供給する。第1の逆止弁は、ポンプとサーボ弁との間に介在しており、ポンプの側からサーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている。第2の逆止弁は、アキュムレータと二次側ポートとの間に介在しており、アキュムレータの側から二次側ポートの側へ作動油が流れるように構成されている。第3の逆止弁は、二次側ポートとサーボ弁との間に介在しており、二次側ポートの側からサーボ弁の側へ作動油が流れるように構成されている。
蒸気弁について通常の開動作を実行する場合よりも急速に蒸気弁を閉じる急開動作を実行する際には、切替弁は、アキュムレータと一次側ポートとの間が遮断された状態から、アキュムレータと一次側ポートとの間が連通した状態に切り替えることによって、アキュムレータから一次側ポートに作動油を供給し、二次側ポートから作動油を駆動装置に供給する。開動作を実行する際には、ポンプから吐出された作動油がサーボ弁を経由して駆動装置に供給されると共に、ポンプとアキュムレータとの間が切替弁を介して連通した状態になり、ポンプから切替弁を経由した作動油、および、アキュムレータから流出した作動油が、第2の逆止弁を経由して二次側ポートに供給され、急開動作を実行する際には、二次側ポートから吐出した作動油が、第1の逆止弁および第2の逆止弁によってポンプおよびアキュムレータに流入せずに、第3の逆止弁およびサーボ弁を経由して駆動装置に供給されるように構成されている。

【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A図1Aは、第1実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(通常の開動作および通常の閉動作)。
図1B図1Bは、第1実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(急開動作)。
図2A図2Aは、第2実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(通常の開動作および通常の閉動作)。
図2B図2Bは、第2実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である。に示す図である(急開動作)。
図3A図3Aは、第3実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(通常の開動作および通常の閉動作)。
図3B図3Bは、第3実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(急開動作)。
図4A図4Aは、第4実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(通常の開動作および通常の閉動作)。
図4B図4Bは、第4実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である(急開動作)。
図5図5は、関連技術に係る蒸気タービンシステムを模式的に示す図である。
図6図6は、関連技術に係る蒸気タービンシステムにおいて、中間蒸気止め弁V30aおよびインターセプト弁V30bを模式的に示す図である。
図7図7は、関連技術に係る蒸気タービンシステムにおいて、作動油を用いて駆動装置80bを作動させる油圧回路装置90Jを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
<第1実施形態>
[A]油圧回路装置90
図1Aおよび図1Bは、第1実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である。図1Aおよび図1Bでは、たとえば、蒸気弁であるインターセプト弁V30bを駆動するための駆動装置80b(図6参照)を作動させる油圧回路装置90について図示している。
【0032】
図1Aは、インターセプト弁V30bに通常の開動作および通常の閉動作をさせるときの様子を示している。図1Bは、送電系統の事故発生時に、インターセプト弁V30bを通常の開動作よりも急速に開く(急開動作をさせる)ときの様子を示している。
【0033】
図1Aおよび図1Bに示すように、本実施形態の油圧回路装置90は、ポンプ91と、アキュムレータ92と、サーボ弁93と、ブースター94と、切替弁V95と、逆止弁V11(第1の逆止弁)と、逆止弁V12(第2の逆止弁)と、逆止弁V13(第3の逆止弁)とを含む。すなわち、本実施形態の油圧回路装置90は、関連技術の場合(図7参照)に加えて、ブースター94と、切替弁V95と、逆止弁V11(第1の逆止弁)と、逆止弁V12(第2の逆止弁)と、逆止弁V13(第3の逆止弁)とを更に含み、かつこれらで構成される油圧回路の配置関係が関連技術の場合と異なる。この点、および、関連する点を除き、本実施形態は、上記した関連技術と同様である。このため、関連技術と重複する事項に関しては、適宜説明を省略する。
【0034】
[A-1]ポンプ91
本実施形態の油圧回路装置90において、ポンプ91は、作動油を吐出する装置であって、関連技術の場合と同様に、油路L91を介して、サーボ弁93に接続されている。ここでは、油路L91には、関連技術の場合と異なり、接続部J91aと接続部J91bとが、ポンプ91の側からサーボ弁93の側に順次設けられている。そして、接続部J91aと接続部J91bとの両者の間には、油路L911が設けられている。油路L911には、接続部J911aと接続部J911bとが、接続部J91aの側から接続部J91bの側に順次設けられている。油路L911の接続部J911bには、油路L942の一端が接続されている。
【0035】
[A-2]アキュムレータ92
アキュムレータ92は、作動油を内部に貯蔵する装置であって、底部に設けられている給排油ポートに油路L92の一端が接続されている。そして、油路L92の他端が油路L911の接続部J911aに接続されている。
【0036】
[A-3]ブースター94
ブースター94は、増圧機であって、一次側ポートP941に作動油に供給されることによって、一次側ポートP941に供給された作動油よりも圧力が高い作動油を二次側ポートP942から送り出すように構成されている。ここでは、ブースター94が吐出する作動油の圧力が、ポンプ91が吐出する作動油の圧力よりも高くなるように、ブースター94が構成されている。
【0037】
具体的には、ブースター94は、一次側シリンダ941と二次側シリンダ942とを有する。一次側シリンダ941は、内部に駆動室C941を有し、駆動室C941には、一次側ピストン943が収容されている。駆動室C941は、一次側ピストン943によって第1駆動室部C941aと第2駆動室部C941bとに区画されている。二次側シリンダ942は、内部に増圧室C942を有し、増圧室C942には、二次側ピストン944が収容されている。増圧室C942は、二次側ピストン944によって第1増圧室部C942aと第2増圧室部C942bとに区画されている。
【0038】
一次側シリンダ941と二次側シリンダ942とは、互いに連結されており、一次側ピストン943と二次側ピストン944とは、連結ロッド945を介して連結されている。ここでは、一次側ピストン943の断面積よりも二次側ピストン944の断面積が小さくなるように構成されている。
【0039】
ブースター94において、一次側ポートP941は、第1駆動室部C941aに連通するように設けられている。一次側ポートP941には、油路L941の一端が接続されている。二次側ポートP942は、第2増圧室部C942bに連通するように設けられている。二次側ポートP942には、油路L942の他端が接続されている。
【0040】
[A-4]切替弁V95
切替弁V95は、本実施形態では4方電磁弁であって、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954とを含む。
【0041】
図1Aに示すように、インターセプト弁V30bについて通常の開動作および通常の閉動作を行うときには、切替弁V95は、無励磁状態であって、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間が連通する共に、第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間が連通するように構成されている。
【0042】
これに対して、図1Bに示すように、インターセプト弁V30bについて急開動作を行うときには、切替弁V95は、励磁状態に変わり、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間、および、第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間が連通せずに遮断され、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間を介して連通するように構成されている。つまり、切替弁V95は、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が遮断された状態と、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が連通した状態との間を切り替え可能に構成されている。なお、切替弁ポートP954は、油タンク96に連通されている。
【0043】
[A-5]逆止弁V11
逆止弁V11は、油路L91において接続部J91aと接続部J91bとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V11は、ポンプ91とサーボ弁93との間に介在しており、ポンプ91の側からサーボ弁93の側へ作動油が流れるように構成されている。
【0044】
[A-6]逆止弁V12
逆止弁V12は、油路L911において接続部J911aと接続部J911bとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V12は、アキュムレータ92と二次側ポートP942との間に介在しており、アキュムレータ92の側から二次側ポートP942の側へ作動油が流れるように構成されている。
【0045】
[A-7]逆止弁V13
逆止弁V13は、油路L911において接続部J911bと接続部J91bとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V13は、二次側ポートP942とサーボ弁93との間に介在しており、二次側ポートP942の側からサーボ弁93の側へ作動油が流れるように構成されている。また、逆止弁V13は、クラッキング圧が逆止弁V11よりも高くなるように構成されている。
【0046】
[B]動作
[B-1]通常の開動作
インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合に関して、図1Aを用いて説明する。
【0047】
インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合には、図1Aに示すように、切替弁V95は、ポンプ91の吐出口とアキュムレータ92の給排油ポートとを連通させる。これにより、ポンプ91によって昇圧された作動油が、切替弁V95を経由して、アキュムレータ92へ供給される。これと共に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、切替弁V95を経由して、ブースター94の二次側ポートP942に流入する。
【0048】
具体的には、切替弁V95は、無励磁状態を保持する。切替弁V95が無励磁状態である場合には、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間が連通している。このため、油路L911において接続部J911aと接続部J911bとの間が連通した状態になるので、ポンプ91の吐出口とアキュムレータ92の給排油ポートとが切替弁V95を介して連通した状態になる。
【0049】
これと共に、切替弁V95が無励磁状態である場合には、第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間が連通している。このため、油路L941が切替弁V95を介して連通した状態になる。
【0050】
インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合には、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91において逆止弁V11を介してサーボ弁93に供給される。
【0051】
この他に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91の接続部J91aから油路L911へ流入する。油路L911へ流入した作動油は、無励磁状態である切替弁V95において第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間を通過した後に、接続部J911aから油路L92へ流入し、アキュムレータ92の給排油ポートへ供給される。これにより、アキュムレータ92においては、作動油が充填される。
【0052】
アキュムレータ92において作動油が充填された場合には、油路L911において接続部J911aを通過した作動油は、逆止弁V11を介して、接続部J911bから油路L942へ流入する。油路L942へ流入した作動油は、ブースター94の二次側ポートP942に流入する。つまり、ポンプ91から切替弁V95を経由した作動油、および、アキュムレータ92から流出した作動油が、逆止弁V12を経由して二次側ポートP942に供給される。これにより、ブースター94においては、一次側ポートP941に充填されていた作動油が油路L941へ流入し、無励磁状態である切替弁V95において第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間を通過した後に、油タンク96へ排出される。
【0053】
上述したように、逆止弁V13は、クラッキング圧が逆止弁V11よりも高い。このため、チャタリングが発生することなく、逆止弁V13は、閉状態になっている。
【0054】
なお、インターセプト弁V30bについて閉動作を実行する際には、関連技術の場合と同様に、サーボ弁93を介して、駆動装置80bの第1油室C831aから作動油がドレン油として排出される。
【0055】
[B-2]高速バルブ制御(急開動作)
つぎに、送電系統の事故発生時によりインターセプト弁V30bが全閉状態になった後、バルブ制御を復旧させるため、インターセプト弁V30bを全閉状態から急速に全開状態にさせる(急開動作をさせる)場合に関して、図1Bを用いて説明する。つまり、制御装置100を介して高速バルブ制御を行うための開度指令信号S100を油圧回路装置90が受信したときの動作に関して説明する。
【0056】
インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、切替弁V95は、図1Bに示すように、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941との間が遮断された状態から、連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92から流出した作動油が、切替弁V95を介して、ブースター94の一次側ポートP941に流入する。その結果、ブースター94においては、一次側ポートP941に供給された作動油よりも圧力が高い作動油が二次側ポートP942から吐出される。ブースター94から吐出された作動油は、サーボ弁93を経由して、駆動装置80bに供給される。
【0057】
具体的には、切替弁V95が無励磁状態から励磁状態に変更される。切替弁V95が励磁状態になると、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間が連通する。これに伴い、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間、および、第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間が遮断される。このため、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941とが切替弁V95を介して連通する。
【0058】
これにより、アキュムレータ92から油路L92に流出した作動油が、油路L91の接続部J911aを通過した後に、切替弁V95を介して、ブースター94の一次側ポートP941に流入する。その結果、ブースター94においては、一次側ポートP941に供給された作動油よりも圧力が高い作動油が二次側ポートP942から油路L942に吐出される。
【0059】
ブースター94から油路L942に吐出された作動油は、接続部J911bから油路L911に流入し、油路L911においてブースター94の吐出圧に応じて開状態になった逆止弁V13を通過する。逆止弁V13を流れた作動油は、接続部J91bから油路L91に流入した後に、サーボ弁93を経由して、駆動装置80bに供給される。
【0060】
サーボ弁93は、高速バルブ制御を行うためにインターセプト弁V30bについて全閉状態から全開状態にする際には、インターセプト弁V30bを全開状態にする開度指令信号S100を制御装置100(図5参照)から受けている状態である。このため、サーボ弁93は、内部のスプール(図示省略)が最大限移動した状態であるので、駆動装置80bへ作動油を供給する供給量は多くなる。これにより、ブースター94から吐出された作動油は、ポンプ91から吐出された作動油に対して圧力が均衡するまで、インターセプト弁V30bの急開動作に使用され、急開動作の初期において急開動作を助成する。その結果、インターセプト弁V30bが全閉状態から急速に全開状態になる。
【0061】
なお、アキュムレータ92から吐出された作動油の圧力よりも、ブースター94から吐出された作動油の圧力の方が高い。このため、逆止弁V12が閉状態になるので、アキュムレータ92から吐出された作動油は、ブースター94を介在せずに、サーボ弁93へ直接的には供給されない。
【0062】
また、ポンプ91から吐出された作動油の圧力よりも、ブースター94から吐出された作動油の圧力の方が高い。このため、逆止弁V11が閉状態になるので、ポンプ91から吐出される作動油は、サーボ弁93へ供給されない。
【0063】
このように、本実施形態では、インターセプト弁V30bを急開動作させる場合に、二次側ポートP942から吐出した作動油が、逆止弁V11および逆止弁V12によってポンプ91およびアキュムレータ92に流入せずに、逆止弁V13およびサーボ弁93を経由して駆動装置80bに供給される。
【0064】
高速バルブ制御が完了した後には、通常の開動作および通常の閉動作の場合と同様に、図1Aに示したように、切替弁V95が無励磁状態に戻る。その結果、ポンプ91によって昇圧された作動油は、切替弁V95を経由して、アキュムレータ92へ供給される。これと共に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、切替弁V95と逆止弁V11とを順次経由して、ブースター94の二次側ポートP942に流入し、ブースター94の一次側ポートP941から作動油が排出される。
【0065】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態において、インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、切替弁V95は、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92からブースター94の一次側ポートP941に作動油が供給される。その結果、一次側ポートP941に供給された作動油およびポンプ91が吐出する作動油よりも圧力が高い作動油が、ブースター94の二次側ポートP942から駆動装置80bに供給される。
【0066】
したがって、本実施形態においては、ポンプ91およびアキュムレータ92など機器に関して大容量化を行わなくても、高速バルブ制御の実行が可能であって、プラント効率を向上可能である。
【0067】
<第2実施形態>
[A]油圧回路装置90
図2Aおよび図2Bは、第2実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である。図2Aおよび図2Bでは、インターセプト弁V30bの駆動装置80b(図6参照)を作動させる油圧回路装置90について図示している。
【0068】
図2Aは、図1Aと同様に、インターセプト弁V30bについて通常の開動作および通常の閉動作を行うときの様子を示している。図2Bは、図1Bと同様に、送電系統の事故発生時に、インターセプト弁V30bについて急開動作を行うときの様子を示している。
【0069】
図2Aおよび図2Bに示すように、本実施形態の油圧回路装置90は、第1実施形態の場合(図1A図1B参照)と同様に、ポンプ91とアキュムレータ92とサーボ弁93とブースター94と切替弁V95とを含む。また、本実施形態の油圧回路装置90は、逆止弁V21(第1の逆止弁)と逆止弁V23(第2の逆止弁)とオリフィスR23とを有する。本実施形態の油圧回路装置90は、各部の配置が第1実施形態の場合に対して異なった部分を含む。この点、および、関連する点を除き、本実施形態は、上記した第1実施形態と同様である。このため、重複する事項に関しては、適宜、説明を省略する。
【0070】
[A-1]ポンプ91
本実施形態の油圧回路装置90において、ポンプ91は、油路L91を介して、サーボ弁93に接続されている。ここでは、油路L91には、接続部J91aと接続部J91bとが、ポンプ91の側からサーボ弁93の側に順次設けられている。接続部J91aには、油路L911の一端が接続されている。そして、接続部J91bには、油路L942の一端が接続されている。
【0071】
[A-2]アキュムレータ92
アキュムレータ92は、底部に設けられている給排油ポートに油路L911の他端が接続されている。
【0072】
[A-3]ブースター94
ブースター94は、一次側ポートP941が油路L941の一端が接続されている。そして、ブースター94は、二次側ポートP942が油路L942の他端が接続されている。
【0073】
[A-4]切替弁V95
切替弁V95は、第1実施形態の場合と同様に、4方電磁弁であって、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954とを含む。
【0074】
図2Aに示すように、切替弁V95が無励磁状態であるときには、第1実施形態の場合と同様に、ポンプ91の吐出口とアキュムレータ92の給排油ポートとが第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間を介して連通するように、切替弁V95が構成されている。
【0075】
図2Bに示すように、切替弁V95が励磁状態であるときには、第1実施形態の場合と同様に、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941との間が、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間を介して連通するように、切替弁V95が構成されている。
【0076】
[A-5]逆止弁V21
逆止弁V21は、油路L91において接続部J91aと接続部J91bとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V21は、ポンプ91とサーボ弁93との間に介在しており、ポンプ91の側からサーボ弁93の側へ作動油が流れるように構成されている。
【0077】
[A-6]逆止弁V23
逆止弁V23は、油路L942に設置されている。油路L942においては、接続部J942aと接続部J942bとが接続部J91bの側からブースター94の側へ向かって順次設けられており、逆止弁V23は、接続部J942aと接続部J942bとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V23は、二次側ポートP942とサーボ弁93との間に介在しており、二次側ポートP942の側からサーボ弁93の側へ作動油が流れるように構成されている。
【0078】
[A-9]オリフィスR23
オリフィスR23は、逆止弁V23を迂回するように接続部J942aと接続部J942bとの間に設けられた油路L942bに、設置されている。ここでは、オリフィスR23は、二次側ポートP942とサーボ弁93との間に介在しており、第2の逆止弁V23を迂回するように設けられている。
【0079】
[B]動作
[B-1]通常の開動作
インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合に関して、図2Aを用いて説明する。
【0080】
本実施形態において、インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合には、図2Aに示すように、ポンプ91とアキュムレータ92との間が切替弁V95を介して連通した状態になる。これと共に、ポンプ91から吐出された作動油が切替弁V95を経由せずに、第1の逆止弁V21とオリフィスR23とを順次経由して二次側ポートP942に供給される。
【0081】
具体的には、切替弁V95は、無励磁状態を保持する。切替弁V95が無励磁状態である場合には、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間が連通している。このため、ポンプ91の吐出口とアキュムレータ92の給排油ポートとが切替弁V95を介して連通する。
【0082】
これと共に、切替弁V95が無励磁状態である場合には、第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間が連通している。このため、油路L941が切替弁V95を介して連通した状態になる。
【0083】
ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91において逆止弁V21を介してサーボ弁93に供給される。
【0084】
このとき、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91の接続部J91aから油路L911へ流入する。油路L911へ流入した作動油は、無励磁状態である切替弁V95において第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間を通過する。その後、作動油は、アキュムレータ92の給排油ポートへ供給される。これにより、アキュムレータ92においては、作動油が充填される。
【0085】
この他に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91の接続部J91bから油路L942へ流入する。油路L942へ流入した作動油は、油路L942bに設置されているオリフィスR23を通過した後に、ブースター94の二次側ポートP942に流入する。これにより、ブースター94においては、一次側ポートP941から作動油が油路L941へ流入し、無励磁状態である切替弁V95において第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間を通過した後に、ドレン油として排出される。
【0086】
[B-2]高速バルブ制御(急開動作)
つぎに、送電系統の事故発生時によりインターセプト弁V30bが全閉状態になった後、バルブ制御を復旧させるため、インターセプト弁V30bを全閉状態から急速に全開状態にさせる(急開動作をさせる)場合に関して、図2Bを用いて説明する。
【0087】
インターセプト弁V30bに急開動作をさせる際には、切替弁V95は、第1実施形態の場合と同様に、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92から一次側ポートP941に作動油が供給され、二次側ポートP942から作動油が駆動装置80bに供給される。
【0088】
具体的には、切替弁V95は、無励磁状態から励磁状態に変更される。切替弁V95が励磁状態である場合には、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間が連通する。このため、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941とが切替弁V95を介して連通する。
【0089】
これにより、アキュムレータ92から流出した作動油は、切替弁V95を介して、ブースター94の一次側ポートP941に流入する。その結果、ブースター94においては、一次側ポートP941に供給された作動油よりも圧力が高い作動油が二次側ポートP942から吐出される。
【0090】
ブースター94の二次側ポートP942から吐出された作動油は、油路L942においてブースター94の吐出圧に応じて開状態になった逆止弁V23を通過する。逆止弁V23を流れた作動油は、サーボ弁93を経由して、駆動装置80bに供給される。ここでは、二次側ポートP942から吐出した作動油は、逆止弁V21によってポンプ91に流入せずに、逆止弁V23を経由して駆動装置80bに供給される。これにより、インターセプト弁V30bが全閉状態から急速に全開状態になる。
【0091】
なお、高速バルブ制御が完了した後には、通常の開動作および通常の閉動作の場合と同様に、図2Aに示したように、切替弁V95が無励磁状態に戻る。その結果、ポンプ91によって昇圧された作動油は、切替弁V95を経由して、アキュムレータ92へ供給される。これと共に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、ブースター94の二次側ポートP942に流入し、ブースター94の一次側ポートP941から作動油が排出される。
【0092】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態において、インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、第1実施形態の場合と同様に、切替弁V95は、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92からブースター94の一次側ポートP941に作動油が供給される。その結果、一次側ポートP941に供給された作動油およびポンプ91が吐出する作動油よりも圧力が高い作動油が、ブースター94の二次側ポートP942から駆動装置80bに供給される。
【0093】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、ポンプ91およびアキュムレータ92など機器に関して大容量化を行わなくても、高速バルブ制御の実行が可能であって、プラント効率を向上可能である。
【0094】
なお、第1実施形態においてインターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、ブースター94の吐出圧が上昇して逆止弁V12が全閉状態になるまでの間、アキュムレータ92からサーボ弁93へ作動油の一部が流出する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、急開動作を行う際、アキュムレータ92とサーボ弁93との間は、切替弁V95によって遮断されている。したがって、本実施形態では、アキュムレータ92からサーボ弁93への作動油の流出をより防ぐことが可能である。
【0095】
<第3実施形態>
[A]油圧回路装置90
図3Aおよび図3Bは、第3実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である。図3Aおよび図3Bでは、インターセプト弁V30bの駆動装置80b(図6参照)を作動させる油圧回路装置90について図示している。
【0096】
図3Aは、図1Aと同様に、インターセプト弁V30bについて通常の開動作および通常の閉動作を行うときの様子を示している。図3Bは、図1Bと同様に、送電系統の事故発生時に、インターセプト弁V30bに急開動作をさせるときの様子を示している。
【0097】
図3Aおよび図3Bに示すように、本実施形態の油圧回路装置90は、第1実施形態の場合(図1A図1B参照)と同様に、ポンプ91とアキュムレータ92とサーボ弁93とブースター94と切替弁V95とを含む。また、本実施形態の油圧回路装置90は、逆止弁V31(第1の逆止弁)と逆止弁V32(第2の逆止弁)とオリフィスR32とを有する。本実施形態の油圧回路装置90は、各部の配置が第1実施形態の場合に対して異なった部分を含む。また、切替弁V95の構成が第1実施形態の場合と異なる。この点、および、関連する点を除き、本実施形態は、上記した第一実施形態と同様である。このため、重複する事項に関しては、適宜、説明を省略する。
【0098】
[A-1]ポンプ91
本実施形態の油圧回路装置90において、ポンプ91は、油路L91を介して、サーボ弁93に接続されている。ここでは、油路L91には、接続部J91aと接続部J91bと接続部J91cとが、ポンプ91の側からサーボ弁93の側に順次設けられている。接続部J91aには、油路L911の一端が接続されている。接続部J91bには、油路L92の一端が接続されている。そして、接続部J91cには、油路L942の一端が接続されている。
【0099】
[A-2]アキュムレータ92
アキュムレータ92は、底部に設けられている給排油ポートに油路L92の他端が接続されている。
【0100】
[A-3]ブースター94
ブースター94は、一次側ポートP941が油路L941の一端が接続されている。そして、ブースター94は、二次側ポートP942が油路L942の他端が接続されている。
【0101】
[A-4]切替弁V95
切替弁V95は、第1実施形態の場合と異なり、2方電磁弁であって、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953とを含む。
【0102】
図3Aに示すように、切替弁V95が無励磁状態であるときには、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間が連通せずに遮断された状態であって、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間が連通した状態になるように、切替弁V95が構成されている。
【0103】
これに対して、図3Bに示すように、切替弁V95が励磁状態であるときには、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間が連通せずに遮断され、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間が連通した状態になるように、切替弁V95が構成されている。
【0104】
[A-5]逆止弁V31
逆止弁V31は、油路L91において接続部J91bと接続部J91cとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V31は、ポンプ91とサーボ弁93との間に介在しており、ポンプ91の側からサーボ弁93の側へ作動油が流れるように構成されている。
【0105】
[A-6]逆止弁V32
逆止弁V32は、油路L942に設置されている。油路L942においては、接続部J942aと接続部J942bとが接続部J91bの側からブースター94の側へ向かって順次設けられており、逆止弁V32は、接続部J942aと接続部J942bとの間に設置されている。ここでは、逆止弁V32は、二次側ポートP942とサーボ弁93との間に介在しており、二次側ポートP942の側からサーボ弁93の側へ作動油が流れるように構成されている。
【0106】
[A-7]オリフィスR32
オリフィスR32は、逆止弁V32を迂回するように接続部J942aと接続部J942bとの間に設けられた油路L942bに、設置されている。ここでは、オリフィスR32は、二次側ポートP942とサーボ弁93との間に介在しており、第2の逆止弁V32を迂回するように設けられている。
【0107】
[B]動作
[B-1]通常の開動作
インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合に関して、図3Aを用いて説明する。
【0108】
本実施形態において、インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合には、ポンプ91から吐出された作動油およびアキュムレータ92から流出した作動油が、切替弁V95を経由せずに、オリフィスR32を経由して、二次側ポートP942に供給される。
【0109】
具体的には、切替弁V95は、無励磁状態を保持する。切替弁V95が無励磁状態である場合には、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間が連通している。このため、油路L941が切替弁V95を介して連通した状態になる。
【0110】
ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L911において逆止弁V31を介してサーボ弁93に供給される。
【0111】
このとき、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91の接続部J91bから油路L92へ流入する。油路L92へ流入した作動油は、アキュムレータ92の給排油ポートへ供給される。これにより、アキュムレータ92においては、作動油が充填される。
【0112】
この他に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91の接続部J91cから油路L942へ流入する。油路L942へ流入した作動油は、油路L942bに設置されているオリフィスR23を通過した後に、ブースター94の二次側ポートP942に流入する。これにより、ブースター94においては、一次側ポートP941から作動油が油路L941へ流入し、無励磁状態である切替弁V95において第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間を通過した後に、ドレン油として排出される。
【0113】
なお、逆止弁V32は、ブースター94の吐出側の圧力がサーボ弁93の側の圧力よりも低いので、閉状態になる。
【0114】
[B-2]高速バルブ制御(急開動作)
つぎに、送電系統の事故発生時によりインターセプト弁V30bが全閉状態になった後、バルブ制御を復旧させるため、インターセプト弁V30bを全閉状態から急速に全開状態にさせる(急開動作をさせる)場合に関して、図3Bを用いて説明する。
【0115】
インターセプト弁V30bを急開動作させる場合には、切替弁V95は、第1実施形態の場合と同様に、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92から一次側ポートP941に作動油が供給され、二次側ポートP942から作動油が駆動装置80bに供給される。
【0116】
具体的には、切替弁V95が無励磁状態から励磁状態に変更される。切替弁V95が励磁状態である場合には、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間が連通する。このため、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941とが切替弁V95を介して連通する。
【0117】
これにより、アキュムレータ92から流出した作動油は、切替弁V95を介して、ブースター94の一次側ポートP941に流入する。その結果、ブースター94においては、一次側ポートP941に供給された作動油よりも圧力が高い作動油が二次側ポートP942から吐出される。
【0118】
ブースター94から吐出された作動油は、油路L942においてブースター94の吐出圧に応じて開状態になった逆止弁V32を通過する。逆止弁V32を流れた作動油は、サーボ弁93を経由して、駆動装置80bに供給される。これにより、インターセプト弁V30bが全閉状態から急速に全開状態になる。
【0119】
なお、ポンプ91から吐出される作動油の圧力、および、アキュムレータ92から流出する作動油の圧力は、ブースター94から吐出された作動油の圧力よりも低い。このため、逆止弁V31は、閉状態になり、逆止弁V32は、開状態になる。その結果、本実施形態では、二次側ポートP942から吐出した作動油は、逆止弁V31によってポンプ91およびアキュムレータ92に流入せずに、逆止弁V32を経由して駆動装置80bに供給される。
【0120】
また、高速バルブ制御が完了した後には、通常の開動作および通常の閉動作の場合と同様に、図3Aに示したように、切替弁V95が無励磁状態に戻る。その結果、ポンプ91によって昇圧された作動油は、アキュムレータ92へ供給されると共に、ブースター94の二次側ポートP942に流入し、ブースター94の一次側ポートP941から作動油が排出される。
【0121】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態において、インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、第1実施形態の場合と同様に、切替弁V95は、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92からブースター94の一次側ポートP941に作動油が供給される。その結果、一次側ポートP941に供給された作動油およびポンプ91が吐出する作動油よりも圧力が高い作動油が、ブースター94の二次側ポートP942から駆動装置80bに供給される。
【0122】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、ポンプ91およびアキュムレータ92など機器に関して大容量化を行わなくても、高速バルブ制御の実行が可能であって、プラント効率を向上可能である。
【0123】
本実施形態の油圧回路装置90は、上記した他の実施形態よりも単純な構成である。このため、本実施形態においては、油圧回路装置90の信頼性を向上可能である。
【0124】
<第4実施形態>
[A]油圧回路装置90
図4Aおよび図4Bは、第4実施形態に係る油圧回路装置90を模式的に示す図である。図4Aおよび図4Bでは、インターセプト弁V30bの駆動装置80b(図6参照)を作動させる油圧回路装置90について図示している。
【0125】
図4Aは、図1Aと同様に、インターセプト弁V30bに通常の開動作および通常の閉動作をさせる場合の様子を示している。図4Bは、図1Bと同様に、送電系統の事故発生時に、インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合の様子を示している。
【0126】
図4Aおよび図4Bに示すように、本実施形態の油圧回路装置90は、第1実施形態の場合(図1A図1B参照)と同様に、ポンプ91とアキュムレータ92とサーボ弁93とブースター94と切替弁V95(第1切替弁)とを含む。また、本実施形態の油圧回路装置90は、切替弁V95(第1切替弁)以外に、他の切替弁V42(第2切替弁)を有すると共に、オリフィスR42を有する。本実施形態の油圧回路装置90は、各部の配置が第1実施形態の場合に対して異なった部分を含む。この点、および、関連する点を除き、本実施形態は、上記した第1実施形態と同様である。このため、重複する事項に関しては、適宜、説明を省略する。
【0127】
[A-1]ポンプ91
本実施形態の油圧回路装置90において、ポンプ91は、油路L91を介して、サーボ弁93に接続されている。ここでは、油路L91には、接続部J91aが設けられている。接続部J91aには、油路L911の一端が接続されている。そして、油路L911には、接続部J911aが設けられている。
【0128】
[A-2]アキュムレータ92
アキュムレータ92は、底部に設けられている給排油ポートに油路L92の一端が接続されている。そして、油路L92の他端が油路L911の接続部J911aに接続されている。
【0129】
[A-3]ブースター94
ブースター94は、一次側ポートP941が油路L941の一端が接続されている。そして、ブースター94は、二次側ポートP942が油路L942の他端が接続されている。
【0130】
[A-4]切替弁V95
切替弁V95は、第1実施形態の場合と同様に、4方電磁弁であって、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954とを含む。
【0131】
図4Aに示すように、インターセプト弁V30bに通常の開動作および通常の閉動作をさせる場合には、切替弁V95は、無励磁状態であり、第1実施形態の場合と同様に、ポンプ91の吐出口とアキュムレータ92の給排油ポートとが第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間を介して連通するように構成されている。
【0132】
そして、図4Bに示すように、インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、切替弁V95は、無励磁状態から励磁状態に変わり、第1実施形態の場合と同様に、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941との間が、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間を介して連通するように構成されている。
【0133】
[A-5]切替弁V42
切替弁V42は、3方電磁弁であって、第1の弁ポートP421と第2の弁ポートP422と第3の弁ポートP423とを含む。切替弁V42において、第1の弁ポートP421は、油路L911の一端に接続されている。第2の弁ポートP422は、油路L942の一端に接続されている。第3の弁ポートP423は、油路L42に一端が接続されている。油路L42の他端は、油路L93aに設けられた接続部J93aに接続されている。
【0134】
図4Aに示すように、切替弁V42は、インターセプト弁V30bに通常の開動作および通常の閉動作をさせる場合には、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の二次側ポートP942との間が、第1の弁ポートP421と第2の弁ポートP422との間を介して連通するように構成されている。
【0135】
図4Bに示すように、切替弁V42は、インターセプト弁V30bに急開動作をさせる場合には、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の二次側ポートP942との間が遮断され、ブースター94の二次側ポートP942と駆動装置80bの第1油室C831aとの間が、第2の弁ポートP422と第3の弁ポートP423との間を介して連通するように構成されている。
【0136】
[A-6]オリフィスR42
オリフィスR42は、油路L911のうち接続部J911aよりも切替弁V42の側に位置する部分に設置されている。
【0137】
[B]動作
[B-1]通常の開動作
インターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合に関して、図4Aを用いて説明する。
【0138】
本実施形態においてインターセプト弁V30bに通常の開動作をさせる場合には、切替弁V42は、アキュムレータ92と二次側ポートP942との間を連通させた状態することによって、ポンプ91から切替弁V95を経由した作動油、および、アキュムレータ92から流出した作動油を、二次側ポートP942に供給する。
【0139】
また、切替弁V95は、無励磁状態を保持し、第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間を連通させる。このため、ポンプ91の吐出口とアキュムレータ92の給排油ポートとが切替弁V95を介して連通する。
【0140】
これと共に、切替弁V95が無励磁状態である場合には、第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間が連通している。このため、油路L941が切替弁V95を介して連通した状態になる。
【0141】
ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91を介してサーボ弁93に供給される。
【0142】
このとき、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L91の接続部J91aから油路L911へ流入する。油路L911へ流入した作動油は、無励磁状態である切替弁V95において第1の切替弁ポートP951と第2の切替弁ポートP952との間を通過する。その後、作動油は、アキュムレータ92の給排油ポートへ供給される。これにより、アキュムレータ92においては、作動油が充填される。
【0143】
この他に、ポンプ91によって昇圧された作動油は、油路L911においてオリフィスR42を介して切替弁V42へ流れる。切替弁V42は、通常の開動作を行うときには、第1の弁ポートP421と第2の弁ポートP422との間が連通している。このため、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の二次側ポートP942との間が切替弁V42を介して連通した状態になる。これにより、作動油は、油路L942を介して、ブースター94の二次側ポートP942に流入する。
【0144】
その結果、ブースター94においては、一次側ポートP941から作動油が油路L941へ流入し、無励磁状態である切替弁V95において第3の切替弁ポートP953と第4の切替弁ポートP954との間を通過した後に、ドレン油として排出される。
【0145】
[B-2]高速バルブ制御(急開動作)
つぎに、送電系統の事故発生時に高速バルブ制御の実行を行うために、インターセプト弁V30bについて全閉状態から急速に全開状態になるように急開動作を行う場合に関して、図4Bを用いて説明する。
【0146】
急開動作を実行する際には、切替弁V95は、第1実施形態の場合と同様に、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92と一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92から一次側ポートP941に作動油が供給され、二次側ポートP942から作動油が駆動装置80bに供給される。
【0147】
具体的には、急開動作を行うときには、切替弁V95が無励磁状態から励磁状態に変更される。切替弁V95が励磁状態である場合には、第2の切替弁ポートP952と第3の切替弁ポートP953との間が連通する。このため、アキュムレータ92の給排油ポートとブースター94の一次側ポートP941とが切替弁V95を介して連通する。
【0148】
これにより、アキュムレータ92から流出した作動油は、切替弁V95を介して、ブースター94の一次側ポートP941に流入する。その結果、ブースター94においては、一次側ポートP941に供給された作動油よりも圧力が高い作動油が二次側ポートP942から吐出される。
【0149】
ブースター94から吐出された作動油は、油路L942を流れた後に、切替弁V42へ流れる。切替弁V42は、急開動作を行うときには、第2の弁ポートP422と第3の弁ポートP423との間が連通している。このため、ブースター94の二次側ポートP942と駆動装置80bの第1油室C831aとの間が、切替弁V42を介して連通した状態になる。これにより、ブースター94の二次側ポートP942から吐出された作動油は、サーボ弁93を経由せずに、駆動装置80bの第1油室C831aに直接的に流入する。その結果、インターセプト弁V30bが全閉状態から急速に全開状態になる。
【0150】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態においてインターセプト弁V30bに急開動作をさせる際には、第1実施形態の場合と同様に、切替弁V95は、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が遮断された状態から、アキュムレータ92とブースター94の一次側ポートP941との間が連通した状態に切り替える。これにより、アキュムレータ92からブースター94の一次側ポートP941に作動油が供給される。その結果、一次側ポートP941に供給された作動油およびポンプ91が吐出する作動油よりも圧力が高い作動油が、ブースター94の二次側ポートP942から駆動装置80bに供給される。
【0151】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、ポンプ91およびアキュムレータ92など機器に関して大容量化を行わなくても、高速バルブ制御の実行が可能であって、プラント効率を向上可能である。
【0152】
なお、本実施形態においてインターセプト弁V30bに急開動作を行う場合には、上記したように、ブースター94から吐出された作動油は、サーボ弁93を経由せずに、駆動装置80bに直接的に供給される。このため、本実施形態では、サーボ弁93における圧力損失等の影響がないため、より高い信頼性で急開動作を実行することができる。
【0153】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
20:高圧タービン、30:再熱器、31:圧力検出器、40:中圧タービン、50:低圧タービン、60:復水器、70:発電機、71:検出器、72:検出器、80a:駆動装置、80b:駆動装置、81a:操作ロッド、81b:操作ロッド、82b:ピストン、83b:シリンダ、90:油圧回路装置、91:ポンプ、92:アキュムレータ、93:サーボ弁、94:ブースター、100:制御装置、301a:弁体、301b:弁体、302a:弁棒、302b:弁棒、941:一次側シリンダ、942:二次側シリンダ、943:一次側ピストン、944:二次側ピストン、945:連結ロッド、C831:内部空間、C831a:第1油室、C831b:第2油室、C941:駆動室、C941a:第1駆動室部、C941b:第2駆動室部、C942:増圧室、C942a:第1増圧室部、C942b:第2増圧室部、J91:接続部、J911a:接続部、J911b:接続部、J91a:接続部、J91b:接続部、J91c:接続部、J93a:接続部、J942a:接続部、J942b:接続部、L10:主蒸気管、L20:低温再熱蒸気管、L30:高温再熱蒸気管、L40:クロスオーバー管、L42:油路、L91:油路、L911:油路、L92:油路、L93a:油路、L93b:油路、L941:油路、L942:油路、L942b:油路、P421:第1の弁ポート、P422:第2の弁ポート、P423:第3の弁ポート、P941:一次側ポート、P942:二次側ポート、P951:第1の切替弁ポート、P952:第2の切替弁ポート、P953:第3の切替弁ポート、P954:第4の切替弁ポート、R23:オリフィス、R32:オリフィス、R42:オリフィス、S100:開度指令信号、S31:検出信号、S71:検出信号、S72:検出信号、V10:主蒸気弁、V11:逆止弁(第1の逆止弁)、V12:逆止弁(第2の逆止弁)、V13:逆止弁(第3の逆止弁)、V21:逆止弁(第1の逆止弁)、V23:逆止弁(第2の逆止弁)、V30a:中間蒸気止め弁、V30b:インターセプト弁、V31:逆止弁(第1の逆止弁)、V32:逆止弁(第2の逆止弁)、V42:切替弁(第2切替弁)、V95:切替弁(第1切替弁)
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7