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特許7263233車両衝突を検出するための方法、システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】車両衝突を検出するための方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20230417BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20230417BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B60W30/09
B60R21/00 340
G08G1/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019516481
(86)(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017055568
(87)【国際公開番号】W WO2018067951
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2019-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】15/288,463
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】フェアフィールド,ナサニエル
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】河端 賢
【審判官】山本 信平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128630(JP,A)
【文献】特開2006-341843(JP,A)
【文献】特開2003-196769(JP,A)
【文献】国際公開第2016/120742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
B60R 21/00-21/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両衝突を検出するための方法であって、
1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、一定時間内の自車両の加速度データを受信することと、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記一定時間内の前記自車両の予想加速度データを受信することと、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記予想加速度データと前記加速度データとの差を決定することと、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記自車両の外部の物体を検出するセンサデータを受信することと、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記差が第1閾値より大きくなったときの事象を検出することと、
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記加速度データの前記差および前記センサデータに基づいて、前記事象を複数の衝突カテゴリの1つの衝突カテゴリに分類することであって、前記複数の衝突カテゴリは、少なくとも、高エネルギー衝突カテゴリ、第1低エネルギー衝突カテゴリ、および第2低エネルギー衝突カテゴリを含み、
前記高エネルギー衝突カテゴリは、前記加速度データの前記差が、前記第1閾値より大きい第2閾値以上であることを示し、前記第1低エネルギー衝突カテゴリおよび前記第2低エネルギー衝突カテゴリは、前記加速度データの前記差が前記第2閾値未満であることを示し、
前記第2低エネルギー衝突カテゴリは、前記事象が、前記センサデータに基づいて、前記第1低エネルギー衝突カテゴリより確実に衝突が発生したと判断されたことを示すことと
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記事象が分類された前記衝突カテゴリに基づいて、応答動作を実行することと
を含み、
前記応答動作を実行することは、
前記事象が前記高エネルギー衝突カテゴリまたは前記第2低エネルギー衝突カテゴリとして分類された場合、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記自車両の乗員に警告すること、救急隊に警告すること、リモート・アシスタント・オペレータに警告すること、前記自車両のドアをロック解除ならびに/もしくは開放すること、および/または前記自車両を路肩に寄せて停止させることのうちの1つまたは複数を含む動作を実行することと、
前記事象が前記第1低エネルギー衝突カテゴリとして分類された場合、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記事象を示す衝突データを前記リモート・アシスタント・オペレータに送信することを含む、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、前記予想加速度データを、前記自車両の速度制御システムから受信し、前記加速度データを、前記自車両の測位システムから受信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
車両の衝突を検出するためのシステムであって、
一定時間内の自車両の加速度データを受信し、
前記一定時間内の前記自車両の予想加速度データを受信し、
前記予想加速度データと前記加速度データとの差を決定し、
前記自車両の外部の物体を検出するセンサデータを受信し、
前記差が第1閾値より大きくなったときの事象を検出し、
前記加速度データの前記差および前記センサデータに基づいて、前記事象を複数の衝突カテゴリの1つの衝突カテゴリに分類し、
前記事象が分類された前記衝突カテゴリに基づいて、応答動作を実行する、
1つまたは複数のコンピューティングデバイスを備え、
前記複数の衝突カテゴリは、少なくとも、高エネルギー衝突カテゴリ、第1低エネルギー衝突カテゴリ、および第2低エネルギー衝突カテゴリを含み、
前記高エネルギー衝突カテゴリは、前記加速度データの前記差が、前記第1閾値より大きい第2閾値以上であることを示し、前記第1低エネルギー衝突カテゴリおよび前記第2低エネルギー衝突カテゴリは、前記加速度データの前記差が前記第2閾値未満であることを示し、
前記第2低エネルギー衝突カテゴリは、前記事象が、前記センサデータに基づいて、前記第1低エネルギー衝突カテゴリより確実に衝突が発生したと判断されたことを示し、
前記応答動作を実行することは、
前記事象が前記高エネルギー衝突カテゴリまたは前記第2低エネルギー衝突カテゴリとして分類された場合、前記自車両の乗員に警告すること、救急隊に警告すること、リモート・アシスタント・オペレータに警告すること、前記自車両のドアをロック解除ならびに/もしくは開放すること、および/または前記自車両を路肩に寄せて停止させることのうちの1つまたは複数を含む動作を実行することと、
前記事象が前記第1低エネルギー衝突カテゴリとして分類された場合、前記事象を示す衝突データを前記リモート・アシスタント・オペレータに送信することを含む、システム。
【請求項4】
前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、前記予想加速度データを、前記自車両の速度制御システムから受信し、前記加速度データを、前記自車両の測位システムから受信する、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムはさらに、前記自車両を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
プログラムであって、前記プログラムは、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行されたときに、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスに、車両衝突を検出する方法を実行させ、前記方法は、
一定時間内の自車両の加速度データを受信することと、
前記一定時間内の前記自車両の予想加速度データを受信することと、
前記予想加速度データと前記加速度データとの差を決定することと、
前記自車両の外部の物体を検出するセンサデータを受信することと、
前記差が第1閾値より大きくなったときの事象を検出することと、
前記加速度データの前記差および前記センサデータに基づいて、前記事象を複数の衝突カテゴリの1つの衝突カテゴリに分類することであって、前記複数の衝突カテゴリは、少なくとも、高エネルギー衝突カテゴリ、第1低エネルギー衝突カテゴリ、および第2低エネルギー衝突カテゴリを含み、
前記高エネルギー衝突カテゴリは、前記加速度データの前記差が、前記第1閾値より大きい第2閾値以上であることを示し、前記第1低エネルギー衝突カテゴリおよび前記第2低エネルギー衝突カテゴリは、前記加速度データの前記差が前記第2閾値未満であることを示し、
前記第2低エネルギー衝突カテゴリは、前記事象が、前記センサデータに基づいて、前記第1低エネルギー衝突カテゴリより確実に衝突が発生したと判断されたことを示すことと
前記事象が分類された前記衝突カテゴリに基づいて、応答動作を実行することと
を含み、
前記応答動作を実行することは、
前記事象が前記高エネルギー衝突カテゴリまたは前記第2低エネルギー衝突カテゴリとして分類された場合、前記自車両の乗員に警告すること、救急隊に警告すること、リモート・アシスタント・オペレータに警告すること、前記自車両のドアをロック解除ならびに/もしくは開放すること、および/または前記自車両を路肩に寄せて停止させることのうちの1つまたは複数を含む動作を実行することと、
前記事象が前記第1低エネルギー衝突カテゴリとして分類された場合、前記事象を示す衝突データを前記リモート・アシスタント・オペレータに送信することを含む、プログラム。
【請求項7】
前記方法は、前記予想加速度データを、前記自車両の速度制御システムから受信し、前記加速度データを、前記自車両の測位システムから受信することをさらに含む、請求項に記載のプログラム。


【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本願は、2016年10月7日に出願された米国特許出願第15/288,463号の継続出願であり、この開示内容を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
[0002] 人間の運転手を必要としない車両のような自律走行車は、ある場所から別の場所への乗客または物品の輸送を支援するのに使用され得る。該車両は、乗客がピックアップ位置または目的位置のような何らかの初期入力を行い得、車両がその位置まで自身を誘導する完全自律式に動作し得る。
【0003】
[0003] 該車両は、典型的には、周囲環境の物体を検出するために、様々なタイプのセンサが装備されている。例えば、自律走行車は、車両の周囲環境からのデータを走査して記録するレーザ、ソーナ、レーダ、カメラ、および他のデバイスを含み得る。これらのデバイスのうちの1つまたは複数からのセンサデータは、物体およびその個々の特性(位置、形状、向き、速度など)を検出するのに使用され得る。これらの特性は、物体が今後の短い時間の間にどんな振る舞いをしそうであるかを予測するのに使用され、この予測は、これらの物体を避けるために、または衝突が避けられない場合に損傷を最小限に抑えるために車両を制御するのに使用され得る。したがって、検出、識別、および予測は、自律走行車の安全な動作にとって重要な機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9043077号明細書
【発明の概要】
【0005】
[0004] 本開示内の実施形態は、全般的には、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、一定時間内の車両の加速度データを受信するステップと、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、一定時間内の車両の予想加速度データを受信するステップとを含む、車両衝突を検出するための方法に関する。1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、一定時間内の車両の加速度の変化を決定し得、一定時間内の車両の加速度の変化は、予想加速度データと加速度データとの差である。1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、車両の加速度の変化が閾値より大きいときの事象を検出し、その事象を衝突カテゴリに割り当て得る。割り当てられた衝突カテゴリに基づいて、1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、応答動作を実行し得る。
【0006】
[0005] いくつかの実施形態では、予想加速度データは、加速減速システムから受信され、加速度データは、測位システムから受信される。
【0007】
[0006] いくつかの実施形態では、衝突カテゴリは、少なくとも高エネルギー衝突カテゴリと低エネルギー衝突カテゴリとを含む。
【0008】
[0007] いくつかの実施形態では、事象は、高エネルギー衝突として分類され、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行される応答動作は、エンジンを切ること、車両の乗員に警告すること、救急隊に警告すること、リモート・アシスタント・オペレータに警告すること、車両のドアをロック解除ならびに/もしくは開放すること、および/または車両を路肩に寄せて停止させることのうちの1つまたは複数を含む。
【0009】
[0008] いくつかの実施形態では、事象は、低エネルギー衝突として分類され、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行される応答動作は、リモート・アシスタント・オペレータに自動的に警告すること、リモート・アシスタント・オペレータからの通信を受信することを含み、通信は、車両を自動的に路肩に寄せて停止させる、または運転を継続させる。
【0010】
[0009] いくつかの実施形態では、車両の周囲環境の追加データは、一定時間の間にセンサによって取り込まれ、1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、追加データに基づいて、一定時間の間に車両付近にあり、車両に接触し得る物体を決定し、物体の決定に基づいて、その事象を高忠実度低エネルギー衝突カテゴリ(低エネルギー衝突カテゴリより確実に衝突が発生したことを示し得るカテゴリ)に再分類し得る。
【0011】
[0010] いくつかの実施形態では、事象は、高忠実度低エネルギー衝突として分類され、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行される応答動作は、不必要な車両システムを自動的に終了させること、救急隊に警告すること、リモート・アシスタント・オペレータに警告すること、車両のドアをロック解除ならびに/もしくは開放することを含む。
【0012】
[0011] 別の態様は、車両の衝突を検出するためのシステムであって、1つまたは複数のプロセッサを備えるシステムを含む。1つまたは複数のプロセッサは、一定時間内の車両の加速度データを受信し、一定時間内の車両の予想加速度データを受信し、一定時間内の車両の加速度の変化を決定し、この場合、一定時間内の車両の加速度の変化は、予想加速度データと加速度データとの差であり、さらに車両の加速度の変化が閾値より大きいときの事象を検出し、その事象を衝突カテゴリに割り当てて、割り当てられた衝突カテゴリに基づいて応答動作を実行するように構成され得る。
【0013】
[0012] いくつかの実施形態では、該システムはさらに車両を備える。
【0014】
[0013] 別の態様は、命令が記憶される非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、1つまたは複数のプロセッサに、車両衝突を検出する方法を実行させる。該方法は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、一定時間内の車両の加速度データを受信するステップと、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、一定時間内の車両の予想加速度データを受信するステップとを含み得る。1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、一定時間内の車両の加速度の変化を決定し得、一定時間内の車両の加速度の変化は、予想加速度データと加速度データとの差である。1つまたは複数のコンピューティングデバイスは、車両の加速度の変化が閾値より大きいときの事象を検出し、その事象を衝突カテゴリに割り当て得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0014]例示的な一実施形態に従う車両の一例の機能図である。
図2A】[0015]本開示の態様に従う車両の外観図の例である。
図2B】[0015]本開示の態様に従う車両の外観図の例である。
図2C】[0015]本開示の態様に従う車両の外観図の例である。
図2D】[0015]本開示の態様に従う車両の外観図の例である。
図3】[0016]本開示の態様に従うシステムの絵図である。
図4】[0017]本開示の態様に従う図3のシステムの機能図である。
図5】[0018]本開示の態様に従う、車両が自身の周囲環境を検知する様子を示した図である。
図6】[0019]本開示の態様に従うフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概要
[0020] 技術の態様は、車両と別の物体との衝突の検出に関する。一般に、車両内のセンサは、一定時間内の車両の加速度を継続的に検出する。短時間での車両の加速度の大きな予期外の変化は、車両が高衝撃力による重大な衝突に巻き込まれたことを示し得る。しかしながら、車両が経験する多くの衝突は、低衝撃力によって低速で発生する軽い衝突である。したがって、軽い衝突時にセンサから受信された加速度データは、衝突が実際に発生しかたどうかを明確に示すために一定時間内で十分な変化を示さない場合がある。さらに、センサから生成された加速度データは、車両の構造および車両の動作範囲の環境によるかなりの量の低レベルのノイズを含む場合が多い。この低レベルのノイズは、実際に、軽い衝突が記録されている加速度データの一部を隠すため、軽い衝突の検出を難しくし得る。
【0017】
[0021] 重大な衝突と軽い衝突の両方を検出するために、衝突検出システムは、一定時間内の閾値を満たす車両の加速度データの不測の変化の事象を分類し得る。この点に関して、コンピューティングデバイスは、衝突の兆候に対して一定時間内の車両センサからの加速度データおよび車両の予想加速度を継続的に分析し得る。
【0018】
[0022] 受信した予想加速度データに対する車両の加速度データの変化が閾値を満たすことを決定すると、コンピューティングデバイスは、事象が衝突であったかどうかを決定するために衝突検証プロセスを開始し得る。衝突検証プロセスは、車両の予想加速度に対する車両の加速度データの変化量に応じて、各々の事象を分類し得る。この点に関して、衝突検証プロセスは、事象の各々を2つのカテゴリまたはそれより多いもしくはそれ未満のカテゴリに分類し得る。各々のカテゴリは、高エネルギー衝突カテゴリおよび低エネルギー候補衝突カテゴリのような個々のカテゴリ内に分類される事象の強度を示し得る。
【0019】
[0023] 場合によっては、事象はさらに、衝突の可能性の増大を示す発生の時点で取り込まれた追加データに基づいて追加のカテゴリに分類され得る。例えば、車両の1つまたは複数のセンサは、車両の特定の半径の範囲内の車両の周囲環境からのデータを走査し、記録し得る。車両のコンピューティングデバイスは、センサデータを使用して、物体およびその個々の特性(位置、形状、向き、速度など)を検出し得る。個々の特性は、物体が今後の短い時間の間にどんな振る舞いをしそうであるかを予測するのに使用され得る。
【0020】
[0024] コンピューティングデバイスは、車両付近の物体が車両に接触し得るかどうか、事象が発生する直前および/または発生した時点で車両の付近にあったかどうかを決定するために、センサデータを分析し得る。物体が車両付近にあって、車両と接触し得たことを示す発生の時点または発生付近で取り込まれたセンサデータを事象が含む場合、衝突検証プロセスは、事象を、より確実に衝突が発生したことを示し得る高忠実度低エネルギー衝突カテゴリのような別のカテゴリに再分類し得る。
【0021】
[0025] コンピューティングデバイスは、事象の分類に基づいて応答動作を実行し得る。この点に関して、コンピューティングデバイスは、警告を出し、および/または車両の動作パラメータを調整し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、車両に対して、路肩に寄せさせ、不必要なシステムを終了させ、救急隊に警告させ、リモート・アシスタント・オペレータに警告させ、車両のドアをロック解除させる/または開放させ得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、リモート・アシスタント・オペレータに警告し得る。リモート・アシスタント・オペレータは、事象周囲のデータを精査して、衝突が発生したかどうかを決定し得る。リモート・アシスタント・オペレータの決定に基づいて、車両は、特定の動作を実行する、または衝突が発生しなかったかのように機能を継続するように指示され得る。
【0022】
[0026] 本明細書に記載されている特徴により、自律走行車のような車両は、車両が衝突した時点を決定することができる。車両のデータに基づいて潜在的な衝突を分析することにより、適切な応答挙動が自動化され得る。さらに、上記特徴は、車両の現在利用可能なシステムを使用して、衝突分析を実行し、そのことにより追加のコストを避けることができる。システム例
【0023】
[0027] 図1に示されているように、本開示の一態様の車両100は、さまざまなコンポーネントを含む。本開示の特定の態様は、車両の特定のタイプに関して特に有用であるが、車両は、これらに限定されないが、自動車、トラック、オートバイ、バス、RV車などを含む車両いずれかのタイプであり得る。車両は、1つまたは複数のプロセッサ120、メモリ130、および典型的に汎用コンピューティングデバイスに存在する他のコンポーネントを含むコンピューティングデバイス110のような1つまたは複数のコンピューティングデバイスを有し得る。
【0024】
[0028] メモリ130は、1つまたは複数のプロセッサ120によって実行され得る、またはそれ以外の形で使用され得る命令132およびデータ134を含む、1つまたは複数のプロセッサ120によってアクセス可能な情報を記憶する。メモリ130は、コンピューティングデバイス可読媒体、または電子デバイスを用いて読み取られ得るデータを記憶する他の媒体を含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶することができる任意のタイプのメモリ、例えば、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVDもしくは他の光学ディスク、および他の書き込み可能かつ読み込み可能なメモリであり得る。システムおよび方法は、上述の様々な組み合わせを含み得るので、命令およびデータの様々な部分が様々なタイプの媒体上に記憶される。
【0025】
[0029] 命令132は、プロセッサによって直接実行される命令セット(例えば、機械コード)または間接的に実行される命令セット(例えば、スクリプト)の任意の命令セットであり得る。例えば、命令は、コンピューティングデバイス可読媒体上にコンピューティング・デバイス・コードとして記憶され得る。この点に関して、用語「命令」および「プログラム」は、本明細書において区別なく使用され得る。命令は、プロセッサによって直接処理するためにオブジェクトコード形式で記憶され得るか、スクリプトまたは要求に応じて解釈されるもしくは予めコンパイルされた独立したソース・コード・モジュールの集合を含む任意の他のコンピューティングデバイス言語で記憶され得る。命令の機能、方法、およびルーチンについて、以下でさらに詳細に説明する。
【0026】
[0030] データ134は、命令132に従って、プロセッサ120よって取り込まれ、記憶され、または修正され得る。例えば、請求される主題は任意の特定のデータ構造によって制限されないが、データは、コンピューティング・デバイス・レジスタ内に、複数の異なるフィールドおよびレコードを有するテーブル、XML文書またはフラットファイルとして関係データベースで記憶され得る。データはさらに、任意のコンピューティングデバイス可読フォーマットでフォーマットされ得る。
【0027】
[0031] 1つまたは複数のプロセッサ120は、市販のCPUのような任意の従来のプロセッサであり得る。あるいは、1つまたは複数のプロセッサは、ASICもしくは他のハードウェアベースのプロセッサのような専用のデバイスであり得る。図1は、プロセッサ、メモリ、および同一ブロック内にあるようなコンピューティングデバイス110の他の要素の機能図であるが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリは、実際に、複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、または同一の物理的筐体内に記憶される、もしくは記憶され得ないメモリを含み得ることは当業者によって理解されるであろう。例えば、メモリは、コンピューティングデバイス110とは異なる筐体内に配置されたハードドライブまたは他のストレージ媒体であり得る。したがって、プロセッサまたはコンピューティングデバイスへの言及は、同時に動作し得る、または同時に動作し得ないプロセッサまたはコンピューティングデバイスまたはメモリの集合への言及を含むことが理解されるであろう。
【0028】
[0032] コンピューティングデバイス110は、上述のプロセッサおよびメモリ、さらにユーザ入力装置150(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーンおよび/またはマイク)および様々な電子ディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタまたは情報を表示するように動作可能な電気デバイス)のように、通常はコンピューティングデバイスと共に使用されるコンポーネントの全てを含み得る。この実施例では、車両は、情報または視聴覚体験を提供するために車内電子ディスプレイ152および1つまたは複数のスピーカ154を含む。この点に関して、車内電子ディスプレイ152は、車両100の車室内に配置され得、車両100内の乗客に情報を提供するためにコンピューティングデバイス110によって使用され得る。
【0029】
[0033] コンピューティングデバイス110はさらに、以下で詳細に説明するクライアント・コンピューティング・デバイスおよびサーバ・コンピューティング・デバイスのような他のコンピューティングデバイスとの通信を容易にするために1つまたは複数の無線ネットワーク接続156を含み得る。無線ネットワーク接続は、Bluetooth、Bluetooth low energy(LE)、セルラー接続、および様々な構成のような近距離通信プロトコル、およびInternet、World Wide Web、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の会社専用の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、Ethernet、WiFiおよびHTTPを含むプロトコル、およびこれらの様々な組み合わせを含み得る。
【0030】
[0034] 一実施例では、コンピューティングデバイス110は、車両100に組み込まれた自律駆動コンピューティングシステムであり得る。自律駆動コンピューティングシステムは、車両の様々なコンポーネントと通信可能であり得る。例えば、図1に戻ると、コンピューティングデバイス110は、メモリ130の命令132に従って車両100の移動、加速、速度などを制御するために、減速システム160、加速システム162、操舵システム164、シグナリングシステム166、ナビゲーションシステム168、測位システム170、および知覚システム172のような車両100の様々なシステムと通信状態であり得る。さらに、これらのシステムはコンピューティングデバイス110の外部のシステムとして図示されているが、車両100を制御するための自律駆動コンピューティングシステムのように、コンピューティングデバイス110に組み込まれてもよい。
【0031】
[0035] 一実施例として、コンピューティングデバイス110は、車両の速度および加速を制御するために、減速システム160および加速システム162と相互作用し得る。例えば、加速システム162は、特定の割合で加速するために、エンジン174に信号を供給し得る。同様に、操舵システム164は、車両100の方向を制御するために、コンピューティングデバイス110によって使用され得る。例えば、車両100が自動車またはトラックのように路上で使用するように構成されている場合、操舵システムは、車両の方向を変えるために車輪の角度を制御するためのコンポーネントを含み得る。シグナリングシステム166は、例えば、必要に応じて方向指示器またはブレーキライトを点灯させることによって、車両の意図を他の運転手または車両に知らせるために、コンピューティングデバイス110によって使用され得る。
【0032】
[0036] 操舵システム168は、ある位置までのルートを決定して、そのルートをたどるために、コンピューティングデバイス110によって使用され得る。この点に関して、ナビゲーションシステム168および/またはデータ134は、詳細なマップ情報(例えば、道路の形状および高度、車線境界線、交差点、横断歩道、制限速度、信号機、建物、標識、リアルタイムの交通情報、植生、または他のこのような物体ならびに情報を識別する非常に詳細なマップ)を記憶し得る。すなわち、この詳細なマップ情報は、道路およびこれらの道路の速度制限(法定最高速度)を含む車両の想定される環境の形状を画定し得る。
【0033】
[0037] 測位システム170は、マップ上もしくは地球上の車両の相対的もしくは絶対的な位置を決定するために、コンピューティングデバイス110によって使用され得る。例えば、測位システム170は、デバイスの緯度、経度、および/または海抜位置を決定するために、GPS受信機を含み得る。レーザベースの位置決めシステム、慣性援用GPS、またはカメラベースの位置決めシステムのような他の位置測定システムも車両の位置を特定するのに使用され得る。車両の位置は、緯度、経度、および海抜のような絶対的地理位置、さらにすぐ周囲の他の自動車に対する位置のような相対的位置情報を含み得、相対的位置情報は、絶対的地理位置よりも少ないノイズで決定され得ることが多い。
【0034】
[0038] 測位システム170はさらに、加速度計、ジャイロスコープまたは車両の方向および速度またはその変化を決定するための別の方向/速度検出デバイスのようなコンピューティングデバイス110と通信する他のデバイスを含み得る。単なる一例として、加速装置は、重力の向きまたは加速装置に垂直な平面に対するピッチ、ヨー、ロール(またはその変化)を決定し得る。該装置はさらに、速度上昇または低下およびそのような変化の向きを追跡し得る。本明細書で述べた該装置の位置および向きのデータの提供は、コンピューティングデバイス110、他のコンピューティングデバイスおよびこれらの組み合わせに対して自動的に行われ得る。
【0035】
[0039] 知覚システム172はさらに、車両、道路の障害物、信号機、標識、樹木などのような車両の外側の物体を検出するための1つまたは複数のコンポーネントを含み得る。例えば、知覚システム172は、コンピューティングデバイス110によって処理され得るレーザ、ソーナ、レーダ、カメラおよび/または他の検出デバイスを含み得る。車両が自動車のような小型の乗用車である場合、自動車は、屋根または他の都合の良い場所に取りつけられたレーザまたは他のセンサを含み得る。例えば、車両の知覚システムは、物体およびその特性(例えば、位置、向き、サイズ、形状、種類、移動の方向および速度など)を検出するために、LIDAR、ソーナ、レーダ、カメラなどのような様々なセンサを使用し得る。センサからの生データおよび/または上記の特性は、コンピューティングデバイス110によって処理するために、記述関数またはベクトルに定量化され得る、またはまとめられ得る。以下でさらに詳細に説明するように、コンピューティングデバイス110は、車両の位置を決定するために測位システム170を使用し、その位置に安全に到達するのに必要な場合に物体を検出して物体に対処するために知覚システム172を使用し得る。
【0036】
[0040] 図2A図2Dは、車両100の外観図の例である。図示されているように、車両100は、ヘッドライト202、フロントガラス203、テールランプ/方向指示器204、リヤウィンドウ205、ドア206、サイドミラー208、タイヤ・ホイール210、方向指示器/駐車灯212のような典型的な車両の多くの特徴を含む。ヘッドライト202、テールランプ/方向指示器204、および方向指示器/駐車灯212は、シグナリングシステム166に関連付けられ得る。さらに、ライトバー207もシグナリングシステム166に関連付けられ得る。
【0037】
[0041] 車両100はさらに、知覚システム172のセンサを含む。例えば、ハウジング214は、360度またはそれより狭い視野を有するための1つまたは複数のレーザ素子、および1つまたは複数のカメラ装置を含み得る。ハウジング216、218は、例えば、1つまたは複数のレーダおよび/またはソーナ装置を含み得る。さらに、知覚システム172の装置は、テールランプ/方向指示器204および/またはサイドミラー208のような典型的な車両コンポーネントに組み込まれ得る。これらのレーダ装置、カメラ装置、およびレーザ装置は、知覚システム172の一部としてこれらの装置からのデータを処理し、コンピューティングデバイス110にセンサデータを提供する処理コンポーネントに関連付けられ得る。
【0038】
[0042] データ134は、所定時間(例えば、10秒またはそれより長い、もしくはそれより短い時間)の物体の今後の挙動を予測するために様々な挙動ー時間モデルを記憶し得る。一実施例では、挙動ー時間モデルは、知覚システム172から受信された物体のデータ、および特に別の道路使用者のデータ(以下でさらに詳細に説明する道路使用者の特性および追加の文脈情報を含む)を使用するように構成され得る。一実施例として、位置、向き、速度、および他の特性が知覚システム172からのデータに含まれる場合には、挙動ー時間モデルは、所定時間の間に物体がどのような挙動を取り得るかの1つまたは複数の予測のセット、および各々の予測に対応する尤度値を提供し得る。予測は、例えば、所定時間に対応する今後の様々な時点で物体が存在すると予想される場所である今後の位置セットを定義する軌跡を含み得る。尤度値は、どの予測が(互いに対して)発生する可能性が高いかを示し得る。この点に関して、最大尤度値の予測は、発生する可能性が最も高く、低い尤度値の予測は、発生する可能性が低くなり得る。
【0039】
[0043] したがって、挙動-時間モデルは、特定の道路使用者または物体が特定の範囲または所定時間(例えば、10秒)にわたってどのような振る舞いをするかについて起こり得る仮説のセット、および各々の仮説に対する相対的な尤度を生成するように構成され得る。これらのモデルは、その位置で観察された物体が過去にどのような挙動をしたかに関するデータ、直感などを使用してトレーニングされ得、さらに特定の種類の物体(例えば、車両、歩行者、オートバイ、自転車運転者など)に対して特別に指定され得る。コンピューティングデバイス110は、その後、車両の軌跡と相互作用し、考慮に値する十分な可能性のある仮説について推論し得る。
【0040】
[0044] コンピューティングデバイス110は、様々なコンポーネントを制御することによって車両の方向および速度を制御し得る。例として、コンピューティングデバイス110は、詳細なマップ情報ナビゲーションシステム168からのデータを使用して、完全に自律的に車両を目的位置までナビゲートし得る。車両を操縦するために、コンピューティングデバイス110は、車両に、(例えば、加速システム162によってエンジンに供給される燃料または他のエネルギーを増加させることによって)加速させ、(例えば、減速システム160によって、エンジンに供給される燃料を減少させることによって、ギアチェンジすることによって、および/またはブレーキをかけることによって)減速させ、(例えば、操舵システム164によって車両100の前輪または後輪の方向を変えることによって)方向転換させ、(例えば、シグナリングシステム166の方向指示器を点灯させることによって)この方向転換を伝えさせ得る。したがって、加速システム162および減速システム160は、車両の動力系174(例えば、ガソリンもしくは電気エンジン)と車両の車輪との間の様々なコンポーネントを含むドライブトレインの一部であり得る。また、これらのシステムを制御することによって、コンピューティングデバイス110はさらに、車両を自律的に操縦するために、車両のドライブトレインを制御し得る。
【0041】
[0045] 車両100の1つまたは複数のコンピューティングデバイス110はさらに、他のコンピューティングデバイスから情報を受信し、他のコンピューティングデバイスに情報を送信し得る。図3および図4はそれぞれ、ネットワーク360を介して接続された複数のコンピューティングデバイス310、320、330、340およびストレージシステム350を含むシステム例300の絵図および機能図である。システム300はさらに、車両100および車両100と同様に構成され得る車両100Aを含む。簡単にするためにほんの数台の車両およびコンピューティングデバイスしか示されていないが、典型的なシステムは、それよりもはるかに多いコンピューティングデバイス、車両、およびストレージシステムを含み得る。
【0042】
[0046] 図3に示されているように、コンピューティングデバイス310、320、330、340の各々は、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、データ、および命令を含み得る。このようなプロセッサ、メモリ、データ、および命令は、コンピューティングデバイス110の1つまたは複数のプロセッサ120、メモリ130、データ134、および命令132と同様に構成され得る。
【0043】
[0047] ネットワーク360および介在ノードは、Bluetooth、Bluetooth LEのような近距離通信プロトコル、Internet、World Wide Web、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の会社専用の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、Ethernet、WiFiならびにHTTPおよびこれらの様々な組み合わせを含む様々な構成およびプロトコルを含み得る。このような通信は、モデムおよび無線インターフェースのように、他のコンピューティングデバイスに対してデータを送信することができる任意のデバイスによって促進され得る。
【0044】
[0048] 一実施例では、1つまたは複数のコンピューティングデバイス310は、他のコンピューティングデバイスからデータを受信し、他のコンピューティングデバイスからのデータを処理し、他のコンピューティングデバイスにデータを送信するために、ネットワークの異なるノードと情報を交換する複数のコンピューティングデバイスを有するサーバ(例えば、負荷分散サーバファーム)を含み得る。例えば、1つまたは複数のコンピューティングデバイス310は、ネットワーク360を介して、車両100の1つまたは複数のコンピューティングデバイス110または車両100Aの同様のコンピューティングデバイス、さらにクライアント・コンピューティング・デバイス320、330およびコンシェルジュ・コンピューティング・デバイス340と通信することができる1つまたは複数のサーバ・コンピューティング・デバイスを含み得る。例えば、車両100、100Aは、サーバ・コンピューティング・デバイスによって監視され、様々な位置へ配車され得る車両群の一部であり得る。この点に関して、車両群の車両は、サーバ・コンピューティング・デバイスに、車両の個々の測位システムによって提供された位置情報を周期的に送信し得、1つまたは複数のサーバ・コンピューティング・デバイスは、車両の位置を追跡し得る。
【0045】
[0049] さらに、サーバ・コンピューティング・デバイス310は、ネットワーク360を使用して、ユーザ322、332のようなユーザおよびリモート・アシスタント・オペレータ342に情報を送信して、コンピューティングデバイス320、330のディスプレイ324、334およびコンシェルジュ・コンピューティング・デバイス340のディスプレイ344のようなディスプレイ上に提示し得る。この点に関して、コンピューティングデバイス320、330はクライアント・コンピューティング・デバイスと見なされ、コンピューティングデバイス340はコンシェルジェ・コンピューティング・デバイスと見なされ得る。
【0046】
[0050] 図4に示されているように、各々のクライアント・コンピューティング・デバイス320、330、およびコンシェルジェ・コンピューティング・デバイス340は、ユーザ322、332またはリモート・アシスタント・オペレータ342によって使用されることを目的としたパーソナル・コンピューティング・デバイスであり得、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU)、データならびに命令を記憶するメモリ(例えば、RAMならびに内蔵ハードドライブ)、ディスプレイ324、334、344のようなディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタ、タッチスクリーン、プロジェクタ、テレビ、または情報を表示するために動作可能な他のデバイス)、およびユーザ入力装置426、436、446(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーンもしくはマイク)を含む、通常はパーソナル・コンピューティング・デバイスと共に使用されるコンポーネントの全てを有し得る。クライアント・コンピューティング・デバイスはさらに、ビデオストリームを記録するためのカメラ、スピーカ、ネットワーク・インターフェース・デバイス、およびこれらの要素を互いに接続するのに使用されるコンポーネントの全てを含み得る。
【0047】
[0051] クライアント・コンピューティング・デバイス320、330およびコンシェルジュ・コンピューティング・デバイス340はそれぞれ、フルサイズのパーソナル・コンピューティング・デバイスを備え得るが、代替形態として、Internetのようなネットワークを介して、サーバと無線でデータを交換することができるモバイル・コンピューティング・デバイスを備え得る。ほんの例として、クライアント・コンピューティング・デバイス320は、携帯電話、またはInternetもしくは他のネットワークを介して情報を取得することができる無線機器対応PDA、タブレットPC、ウェアラブル・コンピューティング・デバイスもしくはシステム、ラップトップ、またはネットブックのようなデバイスであり得る。別の実施例では、クライアント・コンピューティング・デバイス330は、「スマートウオッチ」のようなウェアラブル・コンピューティング・デバイスであり得る。一実施例として、ユーザは、キーボード、キーパッド、マルチファクション入力ボタン、マイク、カメラまたは他のセンサによる可視信号(例えば、手または他のジェスチャ)、タッチスクリーンなどを使用して情報を入力し得る。
【0048】
[0052] いくつかの実施例では、コンシェルジュ・コンピューティング・デバイス340は、ユーザ322、332のようなユーザにコンシェルジュサービスを提供するために管理者によって使用されるコンシェルジュ・ワーク・ステーションであり得る。例えば、リモート・アシスタント・オペレータ342は、コンシェルジュ・ワーク・ステーション340を使用して、以下でさらに詳細に説明するように、車両100もしくは車両100Aの安全な動作およびユーザの安全性を保証するために、ユーザの個々のクライアント・コンピューティング・デバイスまたは車両100もしくは車両100Aによるユーザとの通話またはオーディオ接続を介して通信し得る。図3および図4には1つのコンシェルジュ・ワーク・ステーション340と1人のリモート・アシスタント・オペレータ342のみしか示されていないが、典型的なシステムには、任意の数のこのようなワークステーションおよびオペレータが含まれ得る。
【0049】
[0053] ストレージシステム350は、様々なタイプの情報を記憶し得る。この情報は、本明細書に記載されている特徴のいくつかまたは全てを実行するために、1つまたは複数のサーバ・コンピューティング・デバイス310のようなサーバ・コンピューティング・デバイスによって検索され、またはそれ以外の方法でアクセスされ得る。例えば、情報は、1つまたは複数のサーバ・コンピューティング・デバイスに対するユーザを識別するために使用され得る認証情報(例えば、単一要素認証の場合のユーザ名およびパスワード、およびランダムな識別子、生体認証などのような多要素認証で一般に使用される他のタイプの認証情報)のようなユーザアカウント情報を含み得る。ユーザアカウント情報はさらに、ユーザの氏名、連絡先情報、ユーザのクライアント・コンピューティング・デバイス(または複数のデバイスが同一のユーザアカウントで使用される場合には、複数のデバイス)の識別情報、およびユーザ用の1つまたは複数の固有信号のような個人情報を含み得る。
【0050】
[0054] メモリ130と同様に、ストレージシステム350は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD-ROM、書き込み可能メモリ、読み取り専用メモリのようなサーバ・コンピューティング・デバイス310によってアクセス可能な情報を記憶することができる任意のタイプのコンピュータ化ストレージであり得る。さらに、ストレージシステム350は、物理的に同一または異なる地理的位置に配置され得る複数の異なるストレージデバイス上にデータが記憶される分散ストレージシステムを含み得る。ストレージシステム350は、図4に示されているようにネットワーク360を介してコンピューティングデバイスに接続され得、および/またはコンピューティングデバイス310、320、330、340などのいずれかに直接接続され得る、もしくは組み込まれ得る。
方法例
【0051】
[0055] 図面に示されている上述の動作に加えて、様々な動作について説明する。以下の動作は以下で説明する正確な順序で実行される必要はないことを理解されたい。むしろ、様々なステップが、異なる順序で、もしくは同時に処理され得、さらにステップが追加され得る、または省略され得る。
【0052】
[0056] 重大な衝突と軽い衝突の両方を検出するために、コンピュータは、一定時間内の閾値を満たす車両の加速度データの不測の変化の事象を分類し得る。この点に関して、車両内のコンピューティングデバイスは、衝突の兆候に対する一定時間内の車両センサからの加速度データおよび車両の予想加速度を継続的に分析し得る。例えば、車両100の測位システム170内の加速度計は、継続的に車両の加速度データをコンピューティングデバイス110のようなコンピューティングデバイスに提供し得る。さらに、予想加速度データは、車両内のコンピューティングデバイス110によって受信され得る。この点に関して、車両の速度を制御する車両の加速システム160および減速システム162は、車両の予想加速度を表す加速度データを車両のコンピューティングデバイス110に渡し得る。
【0053】
[0057] コンピューティングデバイスは、車両の加速度の変化の不測の事象を決定するために車両の加速度データを継続的に分析し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、継続的に移動する時間(例えば、100分の2秒またはそれより長いもしくはそれより短い時間)にわたって車両の加速度を車両の予想加速度と比較し得る。コンピューティングデバイスが、一定時間にわたって、受信した予想加速度データと比較して車両100の加速度が閾値(例えば、±8m/s2以上もしくはそれ以下)より高いと決定すると、コンピューティングデバイス110は、事象が衝突であったかどうかを決定するために衝突検証プロセスを開始し得る。
【0054】
[0058] 例えば、図5に示されているように、車両100は、第1の加速度で第1の方向520に走行し得る。車両100よりも速く走行する第2の車両510は、後部で車両100と衝突し得る。 車両100と車両510との衝突の力は、方向520の予想加速度よりも高い加速度で車両100を移動させ得る。そのため、コンピューティングデバイス110は、0.025秒間で8m/s2を超える車両の加速度データの変化の不測の事象を決定し、衝突検証プロセスを開始し得る。
【0055】
[0059] 衝突検証プロセスは、車両の予想加速度に対する車両の加速度データの変化量に応じて、各々の事象を分類し得る。この点に関して、コンピューティングデバイスは、衝突を2つ以上またはそれ未満のカテゴリに分類し得る。例えば、各々の事象は、車両の加速度と予想加速度との間の変化が閾値より大きい、または閾値未満である場合に、高エネルギー衝突カテゴリまたは低エネルギー候補衝突カテゴリに分類され得る。一実施例として、事象が0.025秒間の車両の予想加速度に対する±20m/s2の車両の加速度の変化に対応する場合に、事象は高エネルギー衝突カテゴリに分類され得る。事象が0.025秒間の車両の予想加速度と比較したときの±8m/s2~±20m/s2の車両の加速度の変化に対応する場合に、事象は低エネルギー衝突カテゴリに分類され得る。
【0056】
[0060] 各々のカテゴリは、個々のカテゴリ内に分類される事象の強度を示し得る。この点に関して、衝突強度は、一定時間内の車両の加速度の変化によって定義され得る。例えば、0.025秒間の±8m/s2~±20m/s2もしくはおよそ±8m/s2~±20m/s2の車両の加速度の変化は、軽い低エネルギー衝突を示し得る。さらに、0.025秒間の±20m/s2もしくはおよそ±20m/s2を越える車両の加速度の変化は、重大な高エネルギー衝突を示し得る。
【0057】
[0061] いくつかの実施形態では、衝突検証プロセスは、車両の予想加速度に関係なく、事象を高エネルギー衝突カテゴリに分類し得る。この点に関して、0.025秒間の加速度の変化±20m/s2もしくはおよそ±20m/s2は、車両の通常動作の範囲から外れており、衝突を示し得る。したがって、コンピューティングデバイスは、車両の加速度と車両の予想加速度とを比較せずに、0.025秒間の±20m/s2の加速度の変化を伴ういずれの事象も高エネルギー衝突カテゴリに分類し得る。
【0058】
[0062] さらに上記の図5の実施例では、決定された不測の事象は、0.025秒間の10m/s2であり得、これは、低エネルギー衝突カテゴリに対応する±8m/s2~±20m/s2の値である。したがって、コンピューティングデバイス110は、決定された不測の事象を低エネルギー衝突カテゴリに分類し得る。
【0059】
[0063] 低エネルギー衝突カテゴリに分類された事象はさらに、衝突の可能性の増大を示す発生の時点で取り込まれた追加データに基づいて、高忠実度低エネルギーカテゴリのような1つまたは複数の追加のカテゴリに分類され得る。車両の知覚システム172は、さらに図5に示されているように、車両の特定の半径の範囲内の車両の周囲環境からのデータを走査し、記録し得る。これらのデバイスのうちの1つまたは複数からのセンサデータは、車両100のコンピューティングデバイス110に渡され得る。
【0060】
[0064] 車両100のコンピューティングデバイス110は、センサデータを使用して、物体およびその個々の特性(位置、形状、向き、速度など)を検出し得る。個々の特性は、物体が今後の短い時間の間にどんな振る舞いをしそうであるかを予測するのに使用され得る。したがって、コンピューティングデバイスは、車両付近の物体が車両に接触し得るかどうか、事象の発生の直前および/または発生の時点で車両の付近にあったかどうかを決定するために、センサデータを分析し得る。
【0061】
[0065] 物体が車両付近にあり、車両と接触する可能性があったことを示す発生の時点または発生付近で取り込まれたセンサデータを事象が含む場合、衝突検証プロセスは、事象を高忠実度低エネルギー衝突カテゴリに再分類し得る。例えば、図5に示されているように、車両100の知覚システム172は、第2の車両510が衝突の前に車両100の付近の範囲内にあり、車両100と接触する可能性があることを決定し得る。したがって、不測の衝突が高忠実度低エネルギー衝突カテゴリに再分類および/または下位分類され得る。いくつかの実施形態では、事象は、低エネルギー衝突カテゴリへの分類を擦り抜けて、直接高忠実度低エネルギーカテゴリ、または別のカテゴリに分類され得る。
【0062】
[0066] コンピューティングデバイス110は、事象の分類に基づいて応答動作を実行し得る。この点に関して、コンピューティングデバイス110は、警告を出し、および/または車両の動作パラメータを調整し得る。例えば、事象が高エネルギー衝突に分類された場合、コンピューティングデバイスは、車両に、路肩に寄せる、不必要なシステムを終了する、救急隊に警告する、リモート・アシスタント・オペレータに警告する、車両のドアをロック解除する/または開放するなどのような1つまたは複数の動作を実行させ得る。
【0063】
[0067] 事象が低エネルギー衝突として分類された場合、コンピューティングデバイス110は、コンシェルジュ・ワーク・ステーション340にいるリモート・アシスタント・オペレータ342に警告し得る。例えば、コンピューティングデバイス110は、車両の加速度データ、車両の予想加速度データ、衝突カテゴリ、センサデータ、および衝突の周囲の他のこのようなデータを含む衝突データをリモート・アシスタント・オペレータに送信し得る。この点に関して、衝突の周囲のデータはさらに、サーバ310のようなサーバに送信され得る、または衝突データが直接リモート・アシスタント・オペレータ342のコンシェルジュ・ワーク・ステーション340に送信され得る。このようなデータの送信は、無線ネットワーク接続156のような無線ネットワーク接続を介してネットワーク360のようなネットワーク経由で発生し得る。
【0064】
[0068] リモート・アシスタント・オペレータ342は、事象周囲のデータを精査して、衝突が発生したかどうかを決定し得る。リモート・アシスタント・オペレータの決定に基づいて、リモート・アシスタント・オペレータは、コンシェルジュ・ワーク・ステーション340に、車両を路肩に寄せる、不必要なシステムを終了する、救急隊に警告する、車両の乗員に警告する、車両のドアをロック解除する/または開放するなどの応答動作を実行するように車両110に指示させ得る。いくつかの実施形態では、コンシェルジュ・ワーク・ステーション340は、車両100と直接、またはサーバ310を利用して通信し得る。
【0065】
[0069] 事象が高忠実度低エネルギー衝突として分類された場合、コンピューティングデバイスは、リモート・アシスタント・オペレータおよび/または衝突車両の乗員に自動的に警告し得る。さらに、コンピューティングデバイスは、車両を路肩に寄せる、不必要なシステムを終了する、救急隊に警告する、リモート・アシスタント・オペレータに警告する、車両のドアをロック解除するおよび/または開放するなどのような応答動作を車両に実行させ得る。リモート・アシスタント・オペレータは、車両に追加の応答動作を実行させ得る。
【0066】
[0070] 図6は、衝突を検出するために車両100のコンピューティングデバイス110のような車両の1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行され得るフロー図600の一例である。この実施例では、ブロック610に示されているように、車両100の加速度データが一定時間にわたって受信され得る。 さらに、ブロック620に示されているように、予想加速度データも一定時間にわたって受信され得る。ブロック630に示されているように、一定時間内の車両の加速度の変化(予想加速度データと加速度データとの差である)が決定され得る。ブロック640は、車両の加速度の変化が閾値より大きいときの事象の検出を示す。ブロック650に示されているように、事象は衝突カテゴリに割り当てられ得、ブロック660に示されているように、割り当てられた衝突カテゴリに基づいて応答動作が実行され得る。
【0067】
[0071] 特に明記しない限り、上述の代替の実施例は互いに排他的でなく、固有の利点を達成するために様々な組み合わせで実施され得る。上述した特徴の上記および他の変形形態および組み合わせは、請求項によって定義された主題から逸脱せずに利用され得、実施形態の上記説明は、請求項によって定義された主題を制限するものではなく、単なる例であると解釈すべきである。さらに、本明細書に記載されている実施例および「~のような」、「~を含む」などのような表現の節の提示は、請求項の主題を特定の実施例に制限するものであると解釈すべきでなく、むしろ、実施例は、多くの可能な実施形態のうちの単なる1つの実施形態を例示するものである。また、異なる図面内の同一の参照番号は、同一または同様の要素を特定し得る。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6