(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】介助システム
(51)【国際特許分類】
A61G 7/14 20060101AFI20230417BHJP
A61G 5/14 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61G7/14
A61G5/14
(21)【出願番号】P 2019533750
(86)(22)【出願日】2017-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2017027751
(87)【国際公開番号】W WO2019026144
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2019-11-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】野口 剛裕
(72)【発明者】
【氏名】三矢 隆史
(72)【発明者】
【氏名】清水 聡志
(72)【発明者】
【氏名】中根 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】中根 邦靖
(72)【発明者】
【氏名】公文 智子
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】大谷 光司
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129667(JP,A)
【文献】国際公開第2017/060964(WO,A1)
【文献】特開2004-187855(JP,A)
【文献】特開2016-209049(JP,A)
【文献】特表2016-530013(JP,A)
【文献】特開2014-128532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G1/00-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部を備えており、前記座面部に被介助者の臀部を載置した状態にて前記座面部の上方付勢力により前記被介助者の前記臀部を押し上げる座面昇降装置と、
前記座面昇降装置とは独立した移動式介助装置であって、支持部を備えており、前記支持部に前記被介助者の上半身を支持させた状態で前記支持部を移動することにより前記被介助者の前記臀部を上昇させ、前記被介助者を支持した状態で移動可能な前記移動式介助装置と、
を備え、
前記座面昇降装置
は、前記座面部を昇降するため、又は、前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータと、前記座面昇降装置と接続された昇降装置用コネクタと、を備え、
前記移動式介助装置は、
前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータと、前記移動式介助装置と接続された介助装置用コネクタと、を備え、
前記座面部は、
前記昇降装置用コネクタと前記介助装置用コネクタとが相互に電磁気的に接続された場合に、動作可能となる、介助システム。
【請求項2】
前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者を操作可能な操作機器
を備え、
前記座面部は、前記操作機器が前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の他方におけるアクチュエータを操作可能な場合に、前記操作機器によって前記座面部用アクチュエータを操作可能とすることにより動作可能となる、請求項
1に記載の介助システム。
【請求項3】
前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者を制御する制御装置
を備え、
前記座面部は、前記制御装置が前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の他方におけるアクチュエータを制御可能な場合に、前記制御装置によって前記座面部用アクチュエータを制御可能とすることにより動作可能となる、請求項
1に記載の介助システム。
【請求項4】
前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者に電力を供給するバッテリ
を備え、
前記座面部は、前記バッテリが前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の他方におけるアクチュエータに電力を供給可能な場合に、前記バッテリによって前記座面部用アクチュエータに電力供給されることにより動作可能となる、請求項
1に記載の介助システム。
【請求項5】
座面部を備えており、前記座面部に被介助者の臀部を載置した状態にて前記座面部の上方付勢力により前記被介助者の前記臀部を押し上げる座面昇降装置と、
前記座面昇降装置とは独立した移動式介助装置であって、支持部を備えており、前記支持部に前記被介助者の上半身を支持させた状態で前記支持部を移動することにより前記被介助者の前記臀部を上昇させ、前記被介助者を支持した状態で移動可能な前記移動式介助装置と、
を備え、
前記座面昇降装置は、前記座面部を上方に付勢する弾性体と、下位置に位置する前記座面部をロック状態とするロック機構と
を備え、
前記移動式介助装置は、前記座面昇降装置に対して規定位置に位置する状態において、前記ロック機構に作用して前記ロック状態を解除するロック作用部材
を備え、
前記座面部は、前記ロック機構が前記ロック作用部材によってロック状態が解除されると、前記弾性体の上方付勢力によって、前記被介助者の臀部に対して上方付勢力を発揮する、介助システム。
【請求項6】
座面部を備えており、前記座面部に被介助者の臀部を載置した状態にて前記座面部の上方付勢力により前記被介助者の前記臀部を押し上げる座面昇降装置と、
前記座面昇降装置とは独立した移動式介助装置であって、支持部を備えており、前記支持部に前記被介助者の上半身を支持させた状態で前記支持部を移動することにより前記被介助者の前記臀部を上昇させ、前記被介助者を支持した状態で移動可能な前記移動式介助装置と、
を備え、
前記座面昇降装置は、前記座面部を上方に付勢する弾性体と、下位置に位置する前記座面部をロック状態とするロック機構と、前記ロック機構による前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータと
を備え、
前記移動式介助装置は、前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータ
を備え、
前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者を操作可能な操作機器
を備え、
前記座面部は、前記操作機器の操作によって前記ロック機構のロック状態が解除されると、前記弾性体の上方付勢力によって、前記被介助者の臀部に対して上方付勢力を発揮する、介助システム。
【請求項7】
座面部を備えており、前記座面部に被介助者の臀部を載置した状態にて前記座面部の上方付勢力により前記被介助者の前記臀部を押し上げる座面昇降装置と、
前記座面昇降装置とは独立した移動式介助装置であって、支持部を備えており、前記支持部に前記被介助者の上半身を支持させた状態で前記支持部を移動することにより前記被介助者の前記臀部を上昇させ、前記被介助者を支持した状態で移動可能な前記移動式介助装置と、
を備え、
前記座面昇降装置は、前記座面部を上方に付勢する弾性体と、下位置に位置する前記座面部をロック状態とするロック機構と、前記ロック機構による前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータと
を備え、
前記移動式介助装置は、前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータ
を備え、
前記座面昇降装置と前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者を制御する制御装置を備え、
前記座面部は、前記制御装置の制御によって前記ロック機構のロック状態が解除されると、前記弾性体の上方付勢力によって、前記被介助者の臀部に対して上方付勢力を発揮する、介助システム。
【請求項8】
座面部を備えており、前記座面部に被介助者の臀部を載置した状態にて前記座面部の上方付勢力により前記被介助者の前記臀部を押し上げる座面昇降装置と、
前記座面昇降装置とは独立した移動式介助装置であって、支持部を備えており、前記支持部に前記被介助者の上半身を支持させた状態で前記支持部を移動することにより前記被介助者の前記臀部を上昇させ、前記被介助者を支持した状態で移動可能な前記移動式介助装置と、
を備え、
前記座面昇降装置は、前記座面部を昇降するため、又は、前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータと、昇降装置用コネクタとを備え、
前記移動式介助装置は、前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータと、介助装置用コネクタと
を備え、
前記座面昇降装置と前記移動式介助装置の一方は、前記昇降装置用コネクタと前記介助装置用コネクタとが接続されると、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者に電力を供給するバッテリを備える、介助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、介助システムの開示に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-4には、被介助者の起立を介助する装置が記載されている。特許文献1に記載の装置は、被介助者の身体を支持する支持部を前方に傾動させることによって、被介助者の起立を介助する。また、当該装置は、車輪を有しており、被介助者を支持した状態で移送することができる。
【0003】
特許文献2に記載の装置は、被介助者の身体を支えるパッド部と、パッド部を斜め上方に移動させるパッド部移動機構と、パッド部の下方に配置され被介助者が着座している車椅子をのせる台盤とを備える。そして、台盤が、傾斜機構によって後方が上昇され前方に傾斜される。つまり、車椅子を台盤に載せた状態で、台盤が傾斜することで車椅子に着座している被介助者が前傾しながら、パッド部が前方に上昇することで被介助者が起立できる。
【0004】
特許文献3に記載の装置は、ガススプリングとコイルばねを用いて、座面部を持ち上げて傾斜させる。これにより、被介助者が、座面部からの起立が容易になる。また、特許文献4には、車椅子の座面部を傾斜させることができる装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/060964号
【文献】特開2004-187855号公報
【文献】特開2014-128532号公報
【文献】特開2013-146517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の装置において、介助動作の初期において、上半身が適正な姿勢で支持部に支持されていなければ、支持部を移動する際に上半身が下方にずれるおそれがある。また、支持部を移動する際に、被介助者の上半身が支持部に適正位置に支持された状態となるためには、被介助者はある程度の上肢及び下肢の力を要する。上肢及び下肢の力が弱い場合には、上半身が下方にずれるおそれがある。上半身が下方にずれると、被介助者は、介助動作において不快を感じるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載の装置は、車椅子ごと台盤に載せるために、非常に大型である。ここで、被介助者を起立させた状態、又は少なくとも臀部を座面から上昇させた姿勢で、例えば、ベッド、トイレ、脱衣所などの間を移送させたい場合がある。しかし、当該装置は、特定の場所において、被介助者を車椅子の座位姿勢から起立させることには適している。しかしながら、当該装置全体を移動させるには、大型であるため、不適である。そのため、当該装置は、被介助者を支持したまま移動することが容易ではない。
【0008】
仮に、支持部を備える介助装置と座面昇降装置とを独立した装置とした場合には、両者の装置が自由に動作できてしまうと、被介助者の介助を適切にできないおそれがある。さらに、被介助者にとって、独立した両者の装置の操作性を向上することも課題となる。さらに、独立した両者の装置のそれぞれを、出来るだけ小型化したいという要求がある。
【0009】
本明細書は、上記課題の少なくとも一つを解決することができる介助システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書は、座面部を備えており、前記座面部に被介助者の臀部を載置した状態にて前記座面部の上方付勢力により前記被介助者の前記臀部を押し上げる座面昇降装置と、前記座面昇降装置とは独立した移動式介助装置であって、支持部を備えており、前記支持部に前記被介助者の上半身を支持させた状態で前記支持部を移動することにより前記被介助者の前記臀部を上昇させ、前記被介助者を支持した状態で移動可能な前記移動式介助装置と、を備える介助システムを開示する。
【0011】
そして、第一の介助システムにおいては、前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置は、それぞれ機器をさらに備え、前記座面部は、それぞれの前記機器が相互に電磁気的に接続された場合に、動作可能となる。
【0012】
第二の介助システムにおいては、前記座面昇降装置は、前記座面部を上方に付勢する弾性体と、下位置に位置する前記座面部をロック状態とするロック機構と、前記ロック機構による前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータとをさらに備え、前記移動式介助装置は、前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータをさらに備え、前記座面昇降装置及び前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者を操作可能な操作機器をさらに備え、前記座面部は、前記操作機器の操作によって前記ロック機構のロック状態が解除されると、前記弾性体の上方付勢力によって、前記被介助者の臀部に対して上方付勢力を発揮する。
【0013】
第三の介助システムにおいては、前記座面昇降装置は、前記座面部を上方に付勢する弾性体と、下位置に位置する前記座面部をロック状態とするロック機構と、前記ロック機構による前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータとをさらに備え、前記移動式介助装置は、前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータをさらに備え、前記座面昇降装置と前記移動式介助装置の一方は、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者を制御する制御装置を備え、前記座面部は、前記制御装置の制御によって前記ロック機構のロック状態が解除されると、前記弾性体の上方付勢力によって、前記被介助者の臀部に対して上方付勢力を発揮する。
【0014】
第四の介助システムにおいては、前記座面昇降装置は、前記座面部を昇降するため、又は、前記座面部のロック状態を解除するための座面部用アクチュエータと、昇降装置用コネクタとをさらに備え、前記移動式介助装置は、前記支持部を駆動するための支持部用アクチュエータと、介助装置用コネクタとをさらに備え、前記座面昇降装置と前記移動式介助装置の一方は、前記昇降装置用コネクタと前記介助装置用コネクタとが接続されると、前記座面部用アクチュエータ及び前記支持部用アクチュエータの両者に電力を供給するバッテリを備える。
【発明の効果】
【0015】
介助システムによれば、座面昇降装置と移動式介助装置とは、独立した装置である。そのため、介助者は、被介助者を移動する際に移動式介助装置を移動することで足り、座面昇降装置を移動させる必要がない。従って、移動式介助装置のみを移動させるため、被介助者の移動が容易にできる。
【0016】
そして、第一の介助システムによれば、相互に関連する所定条件を満たさなければ、座面部が動作できない。このように、座面昇降装置と移動式介助装置とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部が動作可能となることで、両者の装置を用いて被介助者の介助を適切に行うことができるようになる。
【0017】
また、第二の介助システムによれば、操作機器が、座面部用アクチュエータ及び支持部用アクチュエータの両者を操作可能である。そのため、介助者にとって、座面昇降装置及び移動式介助装置の両者の操作性が良好となる。
【0018】
また、第三の介助システムによれば、制御装置が、座面部用アクチュエータ及び支持部用アクチュエータの両者を制御可能となる。つまり、制御装置は、共通部品化を図ることができる。その結果、座面昇降装置及び移動式介助装置のうち制御装置を備えない方の小型化が図られる。
【0019】
また、第四の介助システムによれば、バッテリが、座面部用アクチュエータ及び支持部用アクチュエータの両者に電力を供給する。つまり、バッテリは、共通部品化を図ることができる。その結果、座面昇降装置及び移動式介助装置のうちバッテリを備えない方の小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】介助装置を前後方向に切断した断面図である。
【
図3】第一実施形態において、座面部が下位置に位置する状態における座面昇降装置の側面図である。
【
図4】
図3における座面昇降装置の前後方向に切断した断面図である。
【
図5】座面部が上位置に位置する状態における座面昇降装置の側面図である。
【
図6】
図5における座面昇降装置の前後方向に切断した断面図である。
【
図8】第一実施形態において、各部の動作を示すタイミングチャートを示す。
【
図9】被介助者が座面昇降装置に着座しており、介助装置を被介助者に接近させるときにおける介助システムを示す図である。
【
図10】座位姿勢の被介助者が支持部に支持された状態における介助システムを示す図である。
【
図11】支持部が上昇している途中における介助システムを示す図である。
【
図12】支持部が上位置に位置する状態における介助システムを示す図である。
【
図13】第二実施形態における介助システムを示す図である。
【
図14】第二実施形態において、各部の動作を示すタイミングチャートを示す。
【
図15】第三実施形態における介助システムに関するブロック構成図である。
【
図16】第三実施形態において、各部の動作を示すタイミングチャートを示す。
【
図17】第四実施形態における介助システムに関するブロック構成図である。
【
図18】第四実施形態において、座面部が下位置に位置する状態における座面昇降装置の側面図である。
【
図19】座面部が上位置に位置する状態における座面昇降装置の側面図である。
【
図20】第四実施形態において、各部の動作を示すタイミングチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.第一実施形態
1-1.介助システム100の概要
介助システム100は、被介助者Mの移乗を介助するためのシステムである。介助システム100は、少なくとも、移動式介助装置1(
図1及び
図2参照)と、座面昇降装置2(
図3-
図6参照)とを備える。
【0022】
例えば、介助システム100は、ベッド、車椅子、トイレ及び脱衣所などの異なる二箇所間での移乗の介助に用いられる。そこで、被介助者Mが座面昇降装置2における座位姿勢から移動式介助装置1における移動姿勢へ姿勢変更する際、移動式介助装置1及び座面昇降装置2が、被介助者Mの姿勢変更の介助に用いられる。また、移動式介助装置1及び座面昇降装置2は、移動姿勢から座位姿勢への姿勢変更の介助にも用いられる。
【0023】
さらに、介助システム100は、移乗する二箇所が離れている場合にも適用され、移動式介助装置1は、被介助者Mを支持した状態で目標場所に移動可能である。ここで、被介助者Mの移動時には、座面昇降装置2は、介助装置1と共に移動させない。
【0024】
1-2.移動式介助装置1の構成
移動式介助装置1(以下、「介助装置」と称する)は、
図1及び
図2に示す構成の他、特開2017-124231号公報、国際公開第2017/060964号などに記載の構成を適用することもできる。つまり、介助装置1は、少なくとも、被介助者Mの上半身を支持する支持部50を備えている。
【0025】
介助装置1は、支持部50に被介助者Mの上半身を支持させた状態で支持部50を移動することにより、被介助者Mを座位姿勢から移動姿勢へ姿勢変更、及び、移動姿勢から座位姿勢への姿勢変更を介助する。ここで、被介助者Mの移動姿勢は、上半身が前傾した状態で且つ臀部が上昇した姿勢(下半身がほぼ延びた姿勢)としてもよいし、立位姿勢(上半身及び下半身がほぼ延びた姿勢)としてもよいし、介助装置1が備える座面における座位姿勢としてもよい。
【0026】
さらに、介助装置1は、被介助者Mを支持した状態で被介助者Mの移動を介助する。介助装置1を移動させる際に、被介助者Mは、上述した支持部50によって上半身を支持された状態を維持してもよいし、支持部50とは異なる部位として例えば介助装置1が備える座面に支持された状態としてもよい。また、介助装置1は、被介助者Mを乗せて移動する構成としてもよいし、歩行器として用いる構成としてもよい。介助装置1は、被介助者Mを乗せて移動する構成において、介助者によって手動で動作可能な構成としてもよいし、自走可能な構成としてもよい。
【0027】
以下に、介助装置1の一例を、
図1、
図2及び
図7を参照して説明する。介助装置1の構成においては、支持部50が基台10に対して基台軸線Aを中心に前方へ揺動可能であると共に、アーム20の上端付近に位置するアーム軸線Eを中心に揺動可能となる。
【0028】
介助装置1は、基台10、アーム20、ストッパ構造30、下腿当て部40、支持部50、支持部用アクチュエータ60、リンク機構70、規制部材80、制御装置91、バッテリ92、介助装置用コネクタ93、及び、操作機器94を備える。
【0029】
基台10は、被介助者Mの足を載置可能であり、複数の車輪11,12を備える。アーム20は、離隔して並行する2本の湾曲棒状部材などで形成される。アーム20は、基台10に支持され、基台軸線Aを中心として前後方向に揺動可能である。ストッパ構造30は、基台10に対するアーム20の揺動角度を規制する。下腿当て部40は、基台10に固定されており、クッション材を有する。下腿当て部40には、被介助者Mの下腿付近が接触する。
【0030】
支持部50は、被介助者Mの身体の一部、特に上半身の一部を支持する。支持部50は、アーム20の上端付近に支持され、アーム20に対してアーム軸線Eを中心として前後方向に揺動可能である。つまり、支持部50は、アーム20に連動して基台10に対して基台軸線Aを中心に揺動すると共に、アーム20に独立してアーム20に対してアーム軸線Eを中心に揺動することが可能となる。
【0031】
支持部50は、支持本体51、胴体支持部52、及び、一対の脇支持部53,53を備える。支持本体51は、アーム20に設けられ、アーム20に対してアーム軸線Eを中心に揺動可能に支持される。支持本体51は、ハンドル51a及び係止部51bを備える。ハンドル51aは、概ね四角形の枠形状に形成されている。ハンドル51aは、被介助者Mが把持する部分として利用させると共に、介助装置1を移動させるために介助者が把持する部分としても利用される。係止部51bは、ハンドル51aの四角形の枠内の中央付近に位置し、アーム軸線Eよりも前方に位置する。
【0032】
胴体支持部52は、支持本体51に支持され、被介助者Mの胴体を支持する。胴体支持部52は、アーム軸線Eの近傍に位置し、且つ、アーム軸線Eに対して後方に位置する。
図1及び
図2において、胴体支持部52の高さ方向の中央付近に、アーム軸線Eが位置する。胴体支持部52の支持面は、被介助者Mの胴体の前面形状に近い面状に形成されている。胴体支持部52の支持面は、柔軟な変形が可能な材料により構成されている。胴体支持部52の支持面は、被介助者Mの上半身のうち胴体の前面に面接触して胴体を支持する。より詳細には、胴体支持部52の支持面は、被介助者Mにおける胸部から腹部に亘る範囲を下方から支持する。
【0033】
一対の脇支持部53,53は、支持本体51に支持され、被介助者Mの脇を支持する。詳細には、一対の脇支持部53,53は、胴体支持部52の左右に設けられている。脇支持部53は、棒状部材により、L字状に形成されている。詳細には、脇支持部53は、上方に延びる部分であって、被介助者Mの肩の前面を支持する肩受け部53aを備える。さらに、脇支持部53は、肩受け部53aの下端から後方に延びる部分であって、被介助者Mの脇に挿入される脇挿入部53bを備える。脇挿入部53bは、ほぼ全長に亘って、直線状に形成されている。また、脇挿入部53bは、肩受け部53aよりも長く形成されている。一対の脇支持部53は、肩受け部53a付近を中心に、支持本体51に揺動可能に支持されている。脇支持部53が揺動することで、一対の脇支持部53の脇挿入部53bの後端が、相互に接近又は離間する。また、脇支持部53の表面は、柔軟な変形が可能な材料により覆われている。
【0034】
支持部用アクチュエータ60は、基台10に対してアーム20を揺動させるための直動アクチュエータである。ただし、支持部用アクチュエータ60は、直動に限られず、アーム20を揺動することができれば、回転アクチュエータを採用することもできる。
【0035】
リンク機構70は、支持部用アクチュエータ60の移動部分の動きをアーム20及び支持部50に伝達する。リンク機構70は、支持部用アクチュエータ60の移動部分が第一端から所定の中間位置まで移動するときに、移動部分の動きを、アーム軸線Eを中心とした支持部50の前傾方向への揺動に伝達する。さらに、リンク機構70は、移動部分が所定の中間位置から第二端まで移動するときに、移動部分の動きを、基台軸線Aを中心としたアーム20の前方への揺動に伝達する。つまり、リンク機構70は、一個の支持部用アクチュエータ60により支持部50の二段階動作を実現するための機構である。
【0036】
規制部材80は、アーム20に固定されており、支持部用アクチュエータ60の移動部分が所定の中間位置と第二端との間を移動する場合に、アーム20に対して自由移動することを規制する。自由移動とは、当該移動部分がアーム20に対して連動しない移動を意味する。
【0037】
制御装置91、バッテリ92及び介助装置用コネクタ93(以下、コネクタ93と称する)は、基台10、下腿当て部40及びアーム20など、動作の少ない部材であって、被介助者Mに干渉しない場所に固定されている。本実施形態においては、制御装置91、バッテリ92及びコネクタ93は、アーム20の下端付近であって、アーム20の前方面に固定されている。
【0038】
制御装置91は、ソフトウェアで動作するコンピュータ装置である。
図7に示すように、制御装置91は、バッテリ92から電力が供給されることで動作する。制御装置91は、介助者が操作機器94の操作に基づいて、支持部用アクチュエータ60を制御する。さらに、制御装置91は、操作機器94の操作に基づいて、後述する座面昇降装置2を構成する座面部用アクチュエータとしてのロック解除用アクチュエータ150を制御する。バッテリ92は、制御装置91の他、支持部用アクチュエータ60、後述する座面昇降装置2のロック解除用アクチュエータ150及び座面部センサ160に電力供給可能である。
【0039】
図7に示すように、介助装置用コネクタ93は、制御装置91に接続されており、接続される外部機器との間で制御のための信号の入出力を行う。介助装置用コネクタ93は、さらに、バッテリ92に接続されており、接続される外部機器にバッテリ92の電力を供給する。介助装置用コネクタ93は、複数の接続ポートを備えており、複数の外部機器を接続することが可能である。
【0040】
図7に示すように、操作機器94は、制御装置91に接続されており、介助者が介助装置1及び座面昇降装置2を操作するための機器である。操作機器94は、介助装置1の支持部用アクチュエータ60と座面昇降装置2のロック解除用アクチュエータ150の両者を操作可能である。これにより、介助者は、1つの操作機器94を用いて、独立した介助装置1及び座面昇降装置2を容易に操作することができる。従って、介助装置1及び座面昇降装置2の操作性が非常に良好となる。なお、本実施形態においては、操作機器94は、介助装置1のみに設けるが、介助装置1に代えて座面昇降装置2のみに設けることもできる。また、操作機器94は、有線により制御装置91と接続することとしたが、無線により、制御装置91に接続可能としてもよい。
【0041】
ここで、操作機器94は、操作ボタンとして、上昇ボタンUp、下降ボタンDn、及び、ロック解除用ボタンLを備える。上昇ボタンUpは、被介助者Mの臀部を上昇させることによって座位姿勢から移動姿勢に姿勢変更を行う際に、支持部用アクチュエータ60を動作させるためのボタンである。下降ボタンDnは、被介助者Mの臀部を下降させることによって移動姿勢から座位姿勢に姿勢変更を行う際に、支持部用アクチュエータ60を動作させるためのボタンである。ロック解除用ボタンLは、後述する座面昇降装置2の座面部120のロック状態を解除するために、ロック解除用アクチュエータ150を動作させるためのボタンである。
【0042】
1-3.座面昇降装置2の構成
座面昇降装置2について、
図3-
図7を参照して説明する。座面昇降装置2は、介助装置1とは独立した別体の装置である。座面昇降装置2は、少なくとも、被介助者Mの臀部を載置可能な座面部120を備えている。座面昇降装置2は、座面部120に被介助者Mの臀部を載置した状態にて座面部120の上方付勢力により被介助者Mの臀部を押し上げる。ここで、座面昇降装置2は、椅子の上面、車椅子の上面、ベッドの上面、各種台の上面に着脱可能に設置される構成としてもよいし、椅子などに一体的に設けられるようにしてもよい。
【0043】
そして、座面昇降装置2は、介助装置1と共に、座面昇降装置2における座位姿勢から介助装置1における移動姿勢へ被介助者Mの姿勢変更を介助する。ただし、介助装置1が被介助者Mを移動する際には、座面昇降装置2は、介助装置1と一緒に移動しない。
【0044】
座面昇降装置2は、基部110、座面部120、弾性体130、ロック機構140、座面部用アクチュエータの一例としてのロック解除用アクチュエータ150、座面部センサ160、及び、昇降装置用コネクタ170を備える。
【0045】
基部110は、椅子の上面に着脱可能であって、椅子に装着された状態で椅子と一体的に固定される。基部110は、設置対象物の上面の形状に応じた形状に形成される。基部110は、例えば、平板状に形成される。座面部120は、上面における前方に、左右方向に延びる支持軸111を有する。
【0046】
座面部120は、基部110の上面に対向するように設けられ、被介助者Mの臀部を載置する部位である。座面部120は、基部110に対して昇降可能に設けられる。これにより、座面部120は、臀部に対して上方付勢力を発揮して、臀部を押し上げる部位となる。
【0047】
座面部120は、支持軸111に揺動可能に支持されている。つまり、座面部120は、基部110に対して支持軸111を中心に揺動可能となる。座面部120が
図3及び
図4の時計回りに揺動することで、
図5及び
図6に示すように、座面部120において被介助者Mの臀部が載置される部位は上昇すると共に前傾する。なお、座面部120は、基部110に対して揺動する場合に限られず、前上方へ平行移動するようにしてもよいし、揺動と上方への平行移動とを組み合わせた動作を行うようにしてもよい。
【0048】
弾性体130は、基部110に対して座面部120を上方に付勢する。弾性体130は、支持軸111に巻回されたコイルばねを適用する。ただし、弾性体130は、コイルばねの他に、ガススプリングなどを用いることができる。弾性体130は、基部110に対する座面部120の位置に応じた付勢力を発揮する。つまり、座面部120が基部110側に位置する状態ほど、弾性体130は大きな付勢力を発揮し、座面部120が上昇するほど、弾性体130の付勢力は小さくなる。
【0049】
ロック機構140は、初期位置において、座面部120が基部110に対してロック状態とする。ロック機構140は、座面部120が下位置に位置する場合に作用する。つまり、ロック機構140がロック状態のときには、座面部120は下位置にて基部110にロックされている。また、ロック機構140は、外力が作用することにより、座面部120に対してアンロック状態となり得る。ロック機構140がアンロック状態のときには、座面部120は、基部110にロックされておらず、上昇可能となる。
【0050】
ロック機構140は、基部110に揺動可能に支持されており、直立姿勢と傾斜姿勢となり得る。座面部120が下位置に位置する場合には、ロック機構140は、初期位置である直立姿勢となることが可能であり、直立姿勢において座面部120のロック状態となり得る。一方、ロック機構140は、外力が作用することにより傾斜姿勢となることで、座面部120のアンロック状態となる。なお、ロック機構140は、例えば弾性体などを備えることにより、外力が作用していないときに初期位置に戻るように作用することができる。
【0051】
ロック解除用アクチュエータ150は、基部110と座面部120との間に配置され、ロック機構140による座面部120のロック状態を解除するためのアクチュエータである。ただし、ロック解除用アクチュエータ150は、ロック機構140に対してアンロック状態からロック状態へ切り替えることは行わない。つまり、ロック機構140が外力によって傾斜姿勢である場合に、ロック解除用アクチュエータ150は初期位置に戻ることができるが、このときロック機構140は傾斜姿勢を維持したままとなり得る。
【0052】
ロック解除用アクチュエータ150は、直動のアクチュエータを例にあげるが、直動に限られず、ロック機構140を動作することができれば、回転アクチュエータを採用することもできる。ロック解除用アクチュエータ150は、モータを駆動源とし、伝達機構を介して移動部を直動させる構成とすることができる。伝達機構は、例えば、歯車機構、ねじ機構、ラックピニオン機構などである。他に、ロック解除用アクチュエータ150は、油圧及び空気圧などを駆動源とし、シリンダ構造とすることもできる。
【0053】
ロック解除用アクチュエータ150は、介助装置1のバッテリ92から電力を供給されており、制御装置91により制御される。つまり、座面昇降装置2は、バッテリ及び制御装置を備えていない。さらに、ロック解除用アクチュエータ150は、操作機器94の操作に基づいて制御される。
【0054】
座面部センサ160は、基部110の上面のうち後端側(支持軸111とは反対側)に設けられており、座面部120との離間距離を検出する。特に、座面部センサ160は、座面部120の位置が所定高さP(
図8に示す)より高い位置に位置するか否かを検出する。座面部120の位置が所定高さP以下の場合に、座面部センサ160はON信号を出力し、所定高さPより高い場合に、座面部センサ160はOFF信号を出力する。
【0055】
図7に示すように、昇降装置用コネクタ170は、ロック解除用アクチュエータ150及び座面部センサ160に接続されており、介助装置用コネクタ93に接続可能である。昇降装置用コネクタ170と介助装置用コネクタ93とが接続された状態において、制御装置91は、ロック解除用アクチュエータ150を制御可能な状態となり、座面部センサ160からの検出信号を取得することができる。さらに、コネクタ93,170が接続された状態において、バッテリ92は、ロック解除用アクチュエータ150及び座面部センサ160に電力を供給可能な状態となる。
【0056】
なお、コネクタ93,170は、接触により接続されることとしたが、非接触により電磁力(電力、磁力など)を送受できる構成を採用することもできる。この場合も、コネクタ93,170は、電力を供給すると共に、制御のための信号の入出力を行う。
【0057】
また、座面昇降装置2は、上述したように、制御装置及びバッテリを備えておらず、介助装置1における制御装置91及びバッテリ92を共用している。そのため、座面昇降装置2は、小型となり、座面昇降装置2の取り扱いが良好となる。そして、座面昇降装置2は、介助装置1と一緒に使用するため、座面昇降装置2が制御装置及びバッテリを備えないとしても、不便となることはない。
【0058】
1-4.介助システム100の動作
介助システム100の動作について、
図8-
図12を参照して説明する。ここでは、被介助者Mが座面昇降装置2の上において座位姿勢である状態から、被介助者Mを介助装置1に支持される移動姿勢へ姿勢変更させる。その後に、介助装置1を移動させて再び座面昇降装置2の位置に戻して来た後、被介助者Mが介助装置1に支持されている移動姿勢から、被介助者Mを座面昇降装置2の上における座位姿勢に姿勢変更させる。
【0059】
図8の時刻T1において、介助者は、
図9に示すように、介助装置1を座面昇降装置2に対して規定位置に配置する。つまり、座面昇降装置2に着座している被介助者Mの前方に、介助装置1が配置される。このとき、支持部50が被介助者Mの大腿部に接触することがある。そこで、介助者は、支持部50をアーム軸線Eを中心に揺動させて、被介助者Mの大腿部が支持部50に接触しないようにして、被介助者Mの下半身を支持部50の下方の領域に進入させる。そして、介助者は、コネクタ93,170が接続される。
【0060】
次に、
図10に示すように、介助者は、被介助者Mの胴体を胴体支持部52に面接触させ、被介助者Mの脇に脇挿入部53bを挿入させる。被介助者Mの肩の前面が肩受け部53aに接触する状態となり、脇が脇挿入部53bの上に載置される。
【0061】
次に、
図8の時刻T2において、介助者が操作機器94のロック解除用ボタンLを操作する。そうすると、制御装置91がロック解除用アクチュエータ150を初期位置から駆動することで、ロック機構140がロック状態からアンロック状態に切り替わる。ただし、ロック機構140がロック状態になるが、座面部120には被介助者Mが着座しているため、弾性体130による上方付勢力よりも被介助者Mによる下方への重力が勝り、座面部120は上昇しない。
【0062】
次に、
図8の時刻T3において、介助者は、操作機器94の上昇ボタンUpを操作する。そうすると、制御装置91が支持部用アクチュエータ60を駆動することで、支持部50が上昇する。つまり、支持部50の上昇によって、被介助者Mの臀部が上昇する。このとき、座面昇降装置2の座面部120も、被介助者Mの臀部に追従するようにして上昇する。そして、座面部120は、弾性体130の上方付勢力によって、被介助者Mの臀部に対して上方付勢力を発揮する。つまり、支持部用アクチュエータ60の駆動力及び弾性体130の上方付勢力によって、被介助者Mの臀部が上昇する。
【0063】
ここで、
図8の時刻T2においてロック解除用ボタンLが一度操作された場合、座面部センサ160によって座面部120の位置が所定高さPより高い位置に上昇したことを検出するまでの間、制御装置91は、ロック解除用アクチュエータ150を駆動させた状態を維持する。つまり、
図8の時刻T4において、座面部センサ160が、座面部120の位置が所定高さPより高い位置に上昇したことを検出するため(ONからOFFに切り替わるため)、制御装置91はロック解除用アクチュエータ150を初期位置に戻す。ただし、ロック機構140は、ロック解除用アクチュエータ150に連動せず、座面部120の下面によって付勢されることで、アンロック状態である傾斜姿勢を維持する。
【0064】
そして、
図8の時刻T5において、座面部120が上位置に到達し、その後も支持部50は上昇し続ける。そうすると、介助装置1及び座面昇降装置2は、
図11に示すような状態となる。さらに、支持部用アクチュエータ60が駆動し続けると、支持部50は基台軸線Aを中心に揺動することで、支持部50が上昇する。そして、
図8の時刻T6において、支持部50も上位置に到達し、介助装置1及び座面昇降装置2は、
図12に示すような状態となる。つまり、被介助者Mは、臀部が上昇して下半身がほぼ延びた状態である移動姿勢となる。
【0065】
次に、
図8の時刻T7において、介助者は、座面部120を手動にて下位置に移動する。そうすると、ロック機構140は、初期位置に戻る力によって直立姿勢となり、座面部120に対してロック状態になる。さらに、座面部センサ160は、座面部120の位置が所定高さP以下であることを検出し、ON信号を出力する状態となる。
【0066】
介助者は、
図8の時刻T8においてコネクタ93,170を外して、被介助者Mを支持した状態のまま介助装置1を移動させることにより、所望の場所へ被介助者Mを移動する。そして、介助者は、座面昇降装置2の所に、被介助者Mを支持した状態の介助装置1を戻してくる。
【0067】
次に、介助者は、
図8の時刻T9において、コネクタ93,170を接続し、時刻T10において、介助者が操作機器94のロック解除用ボタンLを操作する。そうすると、制御装置91がロック解除用アクチュエータ150を初期位置から駆動することで、ロック機構140がアンロック状態に切り替わる。このとき、座面部120には、被介助者Mは着座していないため、座面部120は、弾性体130の上方付勢力によって直ちに上昇する。従って、時刻T11において、座面部120の位置が所定高さPより高い位置となるため、座面部センサ160がOFF信号を出力し、制御装置91が、ロック解除用アクチュエータ150を駆動する。
【0068】
次に、
図8の時刻T12において、介助者は、操作機器94の下降ボタンDnを操作する。そうすると、制御装置91が支持部用アクチュエータ60を駆動することで、支持部50が下降する。つまり、支持部50のみによって、被介助者Mの臀部が下降する。さらに、支持部50が下降すると、
図8の時刻T13において、被介助者Mの臀部が座面部120に接触する状態となる。
【0069】
その後、支持部50がさらに下降することで、弾性体130の上方付勢力によって被介助者Mの臀部は座面部120により上方へ付勢されながら、被介助者Mの臀部が下降する。そして、座面部120が下降する途中において、
図8の時刻T14において、座面部120の位置が所定高さP以下になることで、座面部センサ160はON信号を出力する状態となる。
【0070】
図8の時刻T15において、支持部50が下位置に到達すると共に、座面部120が下位置に到達する。そうすると、ロック機構140が、初期位置に戻る力によって直立姿勢となり、座面部120に対してロック状態になる。
【0071】
1-5.効果
介助装置1と座面昇降装置2とは、独立した装置である。そのため、介助者は、被介助者Mを移動する際に介助装置1を移動することで足り、座面昇降装置2を移動させる必要がない。従って、介助装置1のみを移動させるため、被介助者Mの移動が容易にできる。
【0072】
さらに、被介助者Mを座位姿勢と移動姿勢との間で姿勢変更を行う際に、介助装置1の支持部50のみで介助するのではなく、介助装置1及び座面昇降装置2が介助する。従って、被介助者Mは、安心感及び安定感を得ることができる。
【0073】
ところで、座面昇降装置2は、単体としては、座面部120を動作可能な状態にすることはできない。そして、座面昇降装置2と介助装置1とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となる。
【0074】
具体的には、コネクタ93,170が電磁気的に接続されることによって、介助装置1の機器(支持部用アクチュエータ60)と座面昇降装置2の機器(ロック解除用アクチュエータ150)とが電磁気的に接続される。そして、操作機器94が、アクチュエータ60,150の両者を操作可能となる。つまり、所定条件を満たす場合として、それぞれの機器(アクチュエータ60,150)が相互に電磁気的に接続され、且つ、操作機器94によって両者を操作可能となる場合に、座面部120が動作可能となる。
【0075】
また、コネクタ93,170が電磁気的に接続されることによって、介助装置1の制御装置91が、座面昇降装置2のロック解除用アクチュエータ150を制御可能となる。つまり、他の所定条件を満たす場合として制御装置91がアクチュエータ60,150の両者を制御可能な場合に、制御装置91によってロック解除用アクチュエータ150を制御可能とすることにより、座面部120が動作可能となる。
【0076】
また、コネクタ93,170が電磁気的に接続されることによって、介助装置1のバッテリ92が支持部用アクチュエータ60及びロック解除用アクチュエータ150に電力を供給可能となる。つまり、他の所定条件を満たす場合としてバッテリ92がアクチュエータ60,150の両者に電力を供給可能な場合に、バッテリ92によってロック解除用アクチュエータ150に電力を供給可能とすることにより、座面部120が動作可能となる。
【0077】
以上より、介助システム100によれば、相互に関連する所定条件を満たさなければ、座面部120が動作できない。このように、座面昇降装置2と介助装置1とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となることで、独立した両者の装置1,2を用いて被介助者Mの介助を適切に行うことができるようになる。なお、本実施形態においては、所定条件を満たす場合として複数の条件を満たす場合に、座面部120が動作可能としたが、何れか1つの所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となるようにしてもよい。
【0078】
また、1つの操作機器94が、支持部用アクチュエータ60及びロック解除用アクチュエータ150を操作可能である。従って、介助者にとっての操作性が非常に良好となる。また、介助装置1における制御装置91及びバッテリ92が、ロック解除用アクチュエータ150の制御及び電力の供給を行っている。つまり、座面昇降装置2は、専用の制御装置及びバッテリを備えていない。従って、座面昇降装置2の小型化が図られる。なお、制御装置91、バッテリ92、及び、操作機器94は、介助装置1に代えて、座面昇降装置2が備えるようにしてもよい。この場合、介助装置1の小型化が図られる。
【0079】
2.第二実施形態
第二実施形態の介助システム200について、
図13及び
図14を参照して説明する。介助システム200は、介助装置201と座面昇降装置202とを備える。介助装置201は、第一実施形態の介助装置1に加えて、支柱211と、ロック作用部材212とを備える。さらに、介助装置201における操作機器94(
図1に示す)は、上昇ボタンUp及び下降ボタンDnを備えるが、第一実施形態のロック解除用ボタンLを備えない。
【0080】
支柱211は、基台10の上面における後方寄りの位置に立設されており、座面昇降装置202が設置される高さまで延びる。ただし、支柱211は、被介助者Mの下半身に干渉しないように、基台10の左右どちらかに寄った位置に設けられている。また、支柱211は、座面昇降装置202の設置高さに応じて調整可能としてもよい。
【0081】
ロック作用部材212は、座面昇降装置202のロック機構140に作用してロック状態を解除するための部材である。ロック作用部材212は、支柱211の上端から後方に向かって延びるピン形状に形成されている。ロック作用部材212は、所定の長さに形成されており、介助装置201が座面昇降装置202に対して規定位置に位置する場合に、座面昇降装置202のロック機構140に作用することができる。
【0082】
座面昇降装置202は、第一実施形態の座面昇降装置2におけるロック解除用アクチュエータ150、座面部センサ160及びコネクタ170を除いた構成からなる。ロック機構140は、介助装置201のロック作用部材212が作用する場合に、ロック状態が解除される。
【0083】
介助システム200の動作について、
図14を参照して説明する。
図14の時刻T1において、介助者は、介助装置201を座面昇降装置202に対して規定位置に位置させる。そうすると、ロック作用部材212が、ロック機構140に作用することになり、ロック機構140のロック状態が解除される。このとき、介助者は、被介助者Mを支持部50に支持された状態にする。
【0084】
次に、
図14の時刻T2において、介助者が操作機器94の上昇ボタンUpを操作する。そうすると、制御装置91が支持部用アクチュエータ60を駆動することで、支持部50が上昇する。そして、
図14の時刻T3までの間、第一実施形態と同様に、座面部120は、弾性体130の上方付勢力によって、被介助者Mの臀部に対して上方付勢力を発揮する。つまり、支持部用アクチュエータ60の駆動力及び弾性体130の上方付勢力によって、被介助者Mの臀部が上昇する。続いて、
図14の時刻T4までの間、支持部50のみによって、被介助者Mの臀部がさらに上昇する。
【0085】
その後、
図14の時刻T5において、介助者は、被介助者Mを支持した状態のまま介助装置201を移動させる。そうすると、介助装置201が座面昇降装置202に対して規定位置から離れるため、ロック作用部材212は、ロック機構140に作用しない状態となる。ただし、座面部120は上位置に位置するため、時刻T5においては、ロック機構140はロック状態にはならない。
【0086】
次に、
図14の時刻T6において、介助者は、座面部120を手動にて下位置に移動する。そうすると、ロック機構140は、初期位置に戻る力によって直立姿勢となり、座面部120に対してロック状態になる。
【0087】
次に、
図14の時刻T7において、介助者が、座面昇降装置202の所に、被介助者Mを支持した状態の介助装置201を戻してくる。つまり、介助装置201は、座面昇降装置202に対して規定位置に位置する。そうすると、ロック作用部材212が、ロック機構140に作用することになり、ロック機構140のロック状態が解除される。その結果、座面部120が上昇する(時刻T8)。
【0088】
次に、
図14の時刻T9において、介助者は、操作機器94の下降ボタンDnを操作する。そうすると、制御装置91が支持部用アクチュエータ60を駆動することで、支持部50が下降する。時刻T10において、支持部50が下降する途中に、被介助者Mの臀部が座面部120に接触する。その後、支持部50及び座面部120が下位置に位置する状態になると、ロック機構140が、座面部120に対してロック状態になる。
【0089】
本実施形態における座面昇降装置202は、アクチュエータを備えないため、簡易な構成となる。従って、座面昇降装置202は、小型となる。ただし、座面昇降装置202は、アクチュエータを備えないため、座面部120に対するロック解除動作を自身で行うことができない。
【0090】
そこで、介助装置201がロック作用部材212を有することとした。つまり、介助装置201が座面昇降装置202に対して規定位置に位置する状態において、ロック作用部材212が、ロック機構140に作用する。このような構成により、座面昇降装置202がロック機構140を備えつつ、ロック機構140は、適切な状態のときに解除されるようにできる。
【0091】
ところで、本実施形態においても、座面昇降装置202は、単体としては、座面部120を動作可能な状態にすることはできない。そして、座面昇降装置202と介助装置201とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となる。具体的には、所定条件を満たす場合として、介助装置201が座面昇降装置202に対して規定位置に位置する状態にてロック機構140がロック作用部材212によって作用される場合に、座面部120が動作可能となる。このように、座面昇降装置202と介助装置201とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となることで、両者の装置201,202を用いて被介助者Mの介助を適切に行うことができるようになる。
【0092】
3.第三実施形態
第三実施形態の介助システム300について、
図15及び
図16を参照して説明する。
図15に示すように、介助システム300は、介助装置301と座面昇降装置2とを備える。介助装置301は、第一実施形態の介助装置1の構成に加えて、位置センサ310を備える。位置センサ310は、介助装置301が座面昇降装置2に対して規定位置に位置することを検出するセンサである。位置センサ310は、座面昇降装置2に設けられた被検出部材に接触したことを検出するセンサ、当該被検出部材に所定距離以内に位置することを検出するセンサ、GPS(Global Positioning System)を用いて当該被検出部材との相対位置を検出するセンサなどを採用できる。
【0093】
介助装置301の操作機器94は、上昇ボタンUp及び下降ボタンDnを備えるが、第一実施形態のロック解除用ボタンLを備えない。また、第一実施形態においては、ロック解除用ボタンLが操作された場合に、制御装置91が、ロック解除用アクチュエータ150を駆動した。これに対して、本実施形態においては、介助装置301が座面昇降装置2に対して規定位置に位置することを位置センサ310が検出した場合に、ロック解除用アクチュエータ150が動作する。つまり、位置センサ310が検出しなければ、ロック解除用アクチュエータ150は動作しない。
【0094】
図16に示すように、時刻T1においてコネクタ93,170が接続された後に、時刻T2において、介助者は、介助装置301を座面昇降装置2に対して規定位置に位置させる。そうすると、位置センサ310は、介助装置301が規定位置に位置することを検出する(ON信号を出力する)。位置センサ310の検出に伴って、制御装置91がロック解除用アクチュエータ150を駆動し、ロック機構140をアンロック状態に切り替える。
【0095】
その後は、時刻T3からT8までは、第一実施形態における時刻T3からT8までと同様である。次に、介助装置301が移動することで、時刻T9において、位置センサ310はOFF信号を出力することになる。
【0096】
次に、時刻T10においてコネクタ93,170が接続された後に、時刻T11において、介助者は、介助装置301を座面昇降装置2に対して規定位置に位置させる。そうすると、位置センサ310は、介助装置301が規定位置に位置することを検出する(ON信号を出力する)。位置センサ310の検出に伴って、制御装置91がロック解除用アクチュエータ150を駆動し、ロック機構140をアンロック状態に切り替える。そうすると、座面部120は上昇する。その後、時刻T12からT16までは、第一実施形態における時刻T11からT15までと同様である。
【0097】
本実施形態においても、座面昇降装置2は、単体としては、座面部120を動作可能な状態にすることはできない。そして、座面昇降装置2と介助装置301とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となる。具体的には、所定条件を満たす場合として、位置センサ310が検出した場合に、ロック解除用アクチュエータ150が動作することにより、座面部120が動作可能となる。このように、座面昇降装置2と介助装置301とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となることで、両者の装置301,2を用いて被介助者Mの介助を適切に行うことができるようになる。
【0098】
4.第四実施形態
第四実施形態の介助システム400について、
図17-
図20を参照して説明する。
図17に示すように、介助システム400は、介助装置301と座面昇降装置402とを備える。座面昇降装置402は、
図18及び
図19に示すように、基部110、座面部120、弾性体130、座面部用アクチュエータの一例としての昇降用アクチュエータ450、及び、昇降装置用コネクタ170を備える。
【0099】
昇降用アクチュエータ450は、基部110と座面部120との間に配置され、基部110に対して座面部120を昇降するためのアクチュエータである。昇降用アクチュエータ450は、直動のアクチュエータを例にあげるが、直動に限られず、座面部120を昇降することができれば、回転アクチュエータを採用することもできる。昇降用アクチュエータ450は、モータを駆動源とし、伝達機構を介して移動部を直動させる構成とすることができる。伝達機構は、例えば、歯車機構、ねじ機構、ラックピニオン機構などである。他に、昇降用アクチュエータ450は、油圧及び空気圧などを駆動源とし、シリンダ構造とすることもできる。
【0100】
昇降用アクチュエータ450は、介助装置1のバッテリ92から電力を供給されており、制御装置91により制御される。つまり、昇降用アクチュエータ450は、操作機器94の操作に基づいて制御される。
【0101】
介助システム400の動作について、
図20を参照して説明する。ここで、第三実施形態においては、位置センサ310が検出した場合に、ロック解除用アクチュエータ150が動作することとしたが、本実施形態においては、昇降用アクチュエータ450が動作許可状態となることとする。つまり、位置センサ310が検出しなければ、昇降用アクチュエータ450は動作許可状態にならない。
【0102】
図20の時刻T1において、コネクタ93,170が接続された後に、時刻T2において、介助者は、介助装置301を座面昇降装置402に対して規定位置に位置させる。そうすると、位置センサ310は、介助装置301が規定位置に位置することを検出する(ON信号を出力する)。位置センサ310の検出に伴って、制御装置91は、昇降用アクチュエータ450を動作許可状態とする。つまり、昇降用アクチュエータ450が動作許可状態である場合において、操作機器94の操作がされた場合には、昇降用アクチュエータ450は制御装置91によって駆動可能となる。
【0103】
次に、時刻T3において、介助者が操作機器94の上昇ボタンUpを操作する。そうすると、制御装置91は、支持部用アクチュエータ60及び昇降用アクチュエータ450を駆動することで、支持部50が上昇すると共に、座面部120が上昇する。時刻T4において、座面部120が上位置に到達し、時刻T5において、支持部50が上位置に到達する。支持部50が上位置に到達した後には、時刻T5において、制御装置91は、昇降用アクチュエータ450を駆動することで、座面部120を下降する。時刻T6において、座面部120は下位置に到達する。
【0104】
次に、時刻T7において、介助者は、コネクタ93,170を外して、被介助者Mを支持した状態のまま介助装置301を移動させる。そうすると、時刻T8において、位置センサ310はOFF信号を出力することになる。従って、制御装置91は、昇降用アクチュエータ450を動作不許可状態に切り替える。
【0105】
次に、時刻T9においてコネクタ93,170が接続された後に、時刻T10において、介助者は、介助装置301を座面昇降装置402に対して規定位置に位置させる。そうすると、位置センサ310は、介助装置301が規定位置に位置することを検出する(ON信号を出力する)。位置センサ310の検出に伴って、制御装置91は、昇降用アクチュエータ450を動作許可状態に切り替える。
【0106】
次に、時刻T11において、介助者が操作機器94の下降ボタンDnを操作する。そうすると、制御装置91は、昇降用アクチュエータ450を駆動して、座面部120を上昇させる。続いて、時刻T12において、制御装置91は、支持部用アクチュエータ60を駆動して、支持部50を下降させる。そして、時刻T13において、支持部50が下降している途中に、制御装置91は、昇降用アクチュエータ450を駆動して、座面部120を下降させる。座面部120を下降させるタイミングは、被介助者Mの臀部が座面部120に接触したタイミングにほぼ一致する。そして、時刻T14において、支持部50及び座面部120が下位置に到達する。
【0107】
本実施形態においても、座面昇降装置2は、単体として、座面部120を動作可能な状態にすることはできない。そして、座面昇降装置402と介助装置301とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となる。具体的には、所定条件を満たす場合として、位置センサ310が検出した場合に、昇降用アクチュエータ450が動作許可状態となることにより、座面部120が動作可能となる。このように、座面昇降装置402と介助装置301とに相互に関連する所定条件を満たす場合に、座面部120が動作可能となることで、両者の装置301,402を用いて被介助者Mの介助を適切に行うことができるようになる。
【0108】
なお、本実施形態において、被介助者Mの臀部を上昇させる際に、支持部用アクチュエータ60及び昇降用アクチュエータ450が協調して駆動している。これに限られず、まず昇降用アクチュエータ450が駆動して、座面部120が上位置に到達した後に、支持部用アクチュエータ60が駆動して、支持部50が上昇するようにしてもよい。つまり、座面部120と支持部50とが順次動作するようにしてもよい。被介助者Mの臀部を下降させる場合には、上記の逆動作となる。
【0109】
さらに、操作機器94が、支持部50と座面部120のそれぞれについて、上昇ボタン及び下降ボタンを有するようにしてもよい。つまり、操作機器94は、支持部用上昇ボタン、支持部用下降ボタン、座面部用上昇ボタン、及び、座面部用下降ボタンを備える。介助者が座面部用上昇ボタンを操作して、昇降用アクチュエータ450が駆動して、座面部120が上位置に到達する。続いて、介助者が支持部用上昇ボタンを操作して、支持部用アクチュエータ60が駆動して、支持部50が上昇する。被介助者Mの臀部を下降させる場合には、上記の逆動作となる。
【符号の説明】
【0110】
100,200,300,400:介助システム、1,201,301:移動式介助装置、2,202,402:座面昇降装置、50:支持部、60:支持部用アクチュエータ、91:制御装置、92:バッテリ、93:介助装置用コネクタ、94:操作機器、110:基部、111:支持軸、120:座面部、130:弾性体、140:ロック機構、150:ロック解除用アクチュエータ、160:座面部センサ、170:昇降装置用コネクタ、212:ロック作用部材、310:位置センサ、450:昇降用アクチュエータ、M:被介助者