(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質及び少なくとも1つのポリグリセロール及び脂肪酸エステルを含む濃縮物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20230417BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230417BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230417BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20230417BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/37
A61Q19/10
A61Q1/14
A61K8/86
(21)【出願番号】P 2019550204
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2018056710
(87)【国際公開番号】W WO2018167285
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-19
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503206651
【氏名又は名称】オレオン ナームロゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデ ペーテルス
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168527(JP,A)
【文献】特開2007-056009(JP,A)
【文献】特開2008-013464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071835(US,A1)
【文献】特開2016-098199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-濃縮物の総質量に対して少なくとも20質量%の少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質、及び、
-濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の、9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、
を含む、濃縮物であって、マンノシルエリスリトール脂質/9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれ
、起泡及び/又は洗浄濃縮物である、濃縮物。
【請求項2】
マンノシルエリスリトール脂質/9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/2;2/1]に含まれる、請求項1記載の濃縮物。
【請求項3】
MELs-A、MELs-B、MELs-C及びMELs-Dからなる群より選ばれる少なくとも2つのMELsを含む、請求項1又は2記載の濃縮物。
【請求項4】
少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルも含む、請求項1~3のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項5】
少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルはグリセロールカプリル酸エステルである、請求項4記載の濃縮物。
【請求項6】
マンノシルエリスリトール脂質及びポリグリセロール脂肪酸エステルの総量が、濃縮物の総質量の少なくとも80質量%である、請求項1~5のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項7】
-少なくとも1つのMEL、
-9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、及び、
-水、
を含む、溶液の形態の組成物であって、マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれ、そして
組成物の総質量の質量%として表されるMEL及びポリグリセロール脂肪酸エステルの総量は範囲[0.05;3]に含まれ
、起泡及び/又は洗浄組成物である、組成物。
【請求項8】
起泡剤及び/又は洗浄剤としての請求項1~6のいずれか1項記載の濃縮物の使用。
【請求項9】
洗浄組成物としての請求項7記載の組成物の使用。
【請求項10】
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び/又はコカミドジエタノールアミンからなる群より選ばれる界面活性剤を部分的又は全体的に置き換えるための、請求項1~6のいずれか1項記載の濃縮物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮物及びそれを含む組成物に関する。本発明はまた、本発明による濃縮物及び組成物の調製方法及びその使用、特に増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤(洗剤)としての本発明による濃縮物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤は多くの分野で使用されている。特に、化粧品、例えばメイクアップ除去組成物において、増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤を使用することが知られている。また、例えば、家庭用又は産業用メンテナンス組成物、特に硬質表面を洗浄するための組成物又は食器洗浄製品などの洗浄又は洗剤製品の調製において、クリーニング業界で増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤を使用することも知られている。
【0003】
コカミドジエタノールアミン(又はコカミドDEA)は、通常、食器洗浄製品などの洗浄剤組成物又は化粧品に使用される、良好な起泡性及び増粘特性を有する界面活性剤である。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)又はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)などの硫酸化化合物を使用することも一般的である。これらの硫酸化界面活性剤は、非常に良好な起泡性及び洗浄性を有する。コカミドDEA及び硫酸化化合物を組み合わせて使用して、これらの化合物の起泡、増粘、洗浄特性を組み合わせることができる。
【0004】
しかしながら、コカミドDEA及びSLS又はSLESなどの硫酸化化合物は人間の健康に有害な物質と考えられる。
【0005】
特に、コカミドDEAは発ガン性の可能性があると考えられている。
【0006】
SLS及びSLESに関しては、それらは皮膚及び目に対する刺激物である。さらに、これらの化合物は腐食性であるため、筋肉及び皮膚を構成する脂質及び脂肪の劣化を引き起こす。さらに、SLS及びSLESは、一般に、これらの硫酸化合物の製造プロセスの副生成物である発ガン物質の1,4-ジオキサンで汚染されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、現在、これらの有害物質を置き換える解決策が必要である。
より具体的には、以下の薬剤を開発することは有益である:
-良好な界面活性特性を有し、
-同時に良好な増粘、起泡及び/又は洗浄特性を有し、
-安定した泡を得ることができ、そして
-使用者にとって毒性が低い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者の研究により、特定の濃縮物は上記の有利な特性のすべてを有することを実証することが可能になった。
【0009】
したがって、本発明は
-濃縮物の総質量に対して少なくとも20質量%の少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質、及び、
-濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、
を含む濃縮物であって、前記マンノシルエリスリトール脂質/前記ポリグリセロール脂肪酸エステルの比は範囲[1/3;3/1]に含まれる、濃縮物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明による濃縮物から調製され、硫酸化化合物又はMELから出発する組成物の表面に形成される泡の経時安定性を表す図である。
【
図2】
図2は本発明による組成物及び比較組成物の洗浄特性を示す2枚の写真a及びbを含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願の枠組みの中で、特に明記しない限り、「比」とは、質量基準の比を意味し、そして示された値の範囲は境界を含むものと理解されることに留意されたい。
【0012】
「マンノシルエリスリトール脂質」又はMELとは、マンノシルエリスリトール基によって形成される親水性部分と、少なくとも1つのアシル基によって形成される疎水性部分とを含む界面活性剤を意味する。
【0013】
MELとは、より具体的には、以下の一般式(I)を有する分子を意味する:
【化1】
【0014】
(上式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、不飽和又は飽和の非環式炭素含有鎖を含むアシル基を表し、
R3及びR4は同一であるか又は異なり、アセチル基又は水素原子を表し、
R5は水素原子又はアシル基を表す)。
【0015】
上記の式(I)のMELsのうち、「ジアシル化MELs」及び「トリアシル化MELs」は、位置R5に存在する基の種類に従って区別することができる。この専門用語によれば、位置R3及びR4に存在することができるアセチル基はアシル基には勘定されないことに留意されたい。
【0016】
「トリアシル化MEL」は式(I)の分子であって、
(式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、不飽和又は飽和の非環式炭素含有鎖を含むアシル基を表し、
R3及びR4は同一であるか又は異なり、アセチル基又は水素原子を表し、
R5はアシル基を表す)の分子を意味する。
【0017】
「ジアシル化MEL」は式(I)の分子であって、
(式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、不飽和又は飽和の非環式炭素含有鎖を含むアシル基を表し、
R3及びR4は同一であるか又は異なり、アセチル基又は水素原子を表し、
R5は水素原子を表す)の分子を意味する。
したがって、ジアシル化MELは、以下の式(II)によって表される:
【0018】
【0019】
有利には、本発明による濃縮物に含まれる少なくとも1つのMELはジアシル化されている。
【0020】
式(II)のジアシル化MELの2つの立体異性体は知られており、以下の式(III)及び(IV)で表される。
【0021】
【0022】
(上式中、R1、R2、R3、R4は式(II)に示されるものと同一である)。
有利には、ジアシル化MELは式(III)の分子である。
上記の式(I)~(IV)は幾つかの分子を表すことができる。したがって、各分子はMELである。「MELs」とは、その置換(アシル、アセチル基)により、又はその立体異性により異なる式(I)、(II)、(III)又は(IV)の少なくとも2つの分子を意味し、より特定的には、式(III)の少なくとも2つの異なる分子である。
【0023】
さらに、MELsは、一般に、位置R3及びR4でのアセチル化の程度に応じて、A~Dで示される4つのクラスの分子に分類される。MELs-Aのクラスは、位置R3及びR4に2つのアセチル基を有する式(I)の分子を含む。MELs-Bのクラス及びMELs-Cのクラスは、それぞれ位置R4及びR3に単一のアセチル基を有する式(I)の分子を含む。最後に、MELs-Dのクラスは、アセチル基を有しない(R3=R4=H)式(I)の分子を含む。
【0024】
アセチル化の程度と同様に、MELsはその疎水性部分を構成する脂肪酸の種類により、その構造が変化しうる。この変化は、一般に、MELsを得るために使用される方法の関数である。
【0025】
MELsは、一般に、真菌、より具体的には酵母の培養を利用する方法により得られる。
有利には、本出願に係るMEL(s)は以下の工程を含む発酵法により得られる。
-炭素源の存在下で真菌株、より詳細には酵母株を培養して、MELsを得ること、及び、
-このようにして得られたMELsを回収すること。
【0026】
MELsを得ることができる菌株は当業者に周知である。例として、バシディオマイセテスのファミリー、好ましくはシュードザイマ属、例えばシュードザイマ・アンタークティカ、シュードザイマ・パランタークティカ、シュードザイマ・アフィディス、シュードザイマ・ルグロサ、シュードザイマ・グラミニコラ、シュードザイマ・シアメンシス、シュードザイマ・フベイエンシス、シュードザイマ・ツクバエンシス、シュードザイマ・クラサ、又は、ウスチラゴ属、例えばウスチラゴ・マイディス、ウサチラゴ・シノドンティス、ウスチラゴ・スチタミネアの菌株を使用することが知られている。
【0027】
一般に、菌株に応じて、MELsのクラス(MELs-A、MELs-B、MELs-C又はMELs-D)は、他のクラスのMELに対して、主に又は排他的に産生される。一例として、シュードザイマ・アンタークティカ、シュードザイマ・アフィディス、シュードザイマ・ルグロサ及びシュードザイマ・パランタークティカは主として式(III)のMELs-Aを生成する、シュードザイマ・グラミニコラ、シュードザイマ・シアメンシス、シュードザイマ・フベイエンシスは主として式(III)のMELs-Cを産生する。シュードザイマ・ツクバエンシスは主として式(IV)のMELs-Bを産生する。シュードザイマ・クラサは主として式(IV)のMELs-Aを産生する。
【0028】
有利には、MELsは、式(III)のMELsを産生する菌株を利用する発酵法により得られる。
より具体的には、MELsは、シュードザイマ・アフィディス、シュードザイマ・ルグロサ、シュードザイマ・アンタークティカ及びシュードザイマ・パランタークティカから選ばれる菌株、優先的にはシュードザイマ・アフィディス、シュードザイマ・アンタークティカ及びシュードザイマ・パランタークティカから選ばれる菌株を利用する発酵法によって得られ、より優先的には、菌株はシュードザイマ・アフィディスである。
【0029】
炭素含有基質は、典型的には、特に再生可能な起源のグリセロール、n-アルカン又は油である。
トリグリセリドから構成され、発酵法の温度で液体である、いずれの油も炭素含有基質として使用できる。
【0030】
優先的に、再生可能油は植物油又は動物油であり、より優先的には植物油である。特に、植物油は、ダイズ油、ヒマワリ油、オリーブ油及びナタネ油からなる群より選ばれる。より具体的には、植物油は、ダイズ油又はナタネ油、さらにより具体的には、ナタネ油である。
【0031】
これらの再生可能油は、オレイン酸、リノール酸及び/又はリノレン酸に由来するアシル基などの18個の炭素原子を含む炭素含有鎖を含むアシル基が特に豊富である。
発酵法は、一般に、少なくとも3日間、優先的には少なくとも7日間続く。
【0032】
好ましい実施形態によれば、MELsは以下を利用する発酵法により得られる。
-シュードザイマ属、優先的には、シュードザイマ・アンタークティカ及びシュードザイマ・パランタークティカ又はシュードザイマ・アフィディスの菌株、
-炭素含有基質として、植物油、優先的にはナタネ油又はダイズ油。
【0033】
そのような菌株は、通常、グルコース、水及び/又は塩(例えば、硫酸マグネシウム、リン酸モノカリウム、硝酸ナトリウム及び/又は硝酸アンモニウム)を含む培地中で反応器において培養される。この培地は発酵法でも利用される。実際、一般に、発酵法の発酵培地は培地及び炭素含有基質を含む。
有利には、培地の異なる成分(特にグルコース及び菌株)は反応器に導入する前に別々に滅菌される。
培地の温度は、好ましくは20℃~40℃、より優先的には25℃~35℃に含まれる。
発酵法の最後に得られる粗反応培地は本出願においていわゆる粗発酵培地である。
粗発酵培地は、一般に、少なくとも2つのジアシル化MELs、少なくとも残留炭素含有基質及び/又は炭素含有基質の副生成物、菌株及び水、発酵から生じる炭素含有基質の副生成物を含む。
MELsを回収する工程は、残留炭素含有基質及び/又は炭素含有基質の副生成物、菌株及び/又は水などの粗発酵培地の1つ以上の他の成分から1つ以上のMEL(s)を分離することを目的とする。
【0034】
上記の優先的な実施形態によれば、粗発酵培地は少なくとも2つのジアシル化MELs、少なくとも1つのトリグリセリド及び/又は少なくとも1つの脂肪酸、水及びシュードザイマ属の菌株を含む。
実際、炭素含有基質が再生可能な起源の油である場合に、炭素含有基質の副生成物は脂肪酸である。さらに、植物油は主に(90質量%以上の)トリグリセリドから構成されるため、残留植物油は少なくとも1つのトリグリセリドから構成される。
粗発酵培地の1つ以上の他の成分からの1つ以上のMEL(s)の分離は、当業者に知られているいずれかの分離方法により実施することができる。
有利には、1つ以上の他の成分からの1つ以上のMEL(s)の分離は以下の方法の1つ以上を含むことができる:
-沈降、
-遠心分離、
-ろ過、
-蒸発、
-液/液抽出、
-鉱物基材又は樹脂の上の通過。
特に:
-菌株は、沈降、ろ過及び/又は遠心分離によって分離できる。
-水は、沈降、蒸発、遠心分離及び/又は吸着剤である鉱物基材上の通過により分離できる。
-脂肪酸及びトリグリセリドは、液/液抽出及び/又は鉱物基材又は樹脂上の通過により分離できる。
したがって、回収されたMELsは
-少なくとも1つのトリグリセリド及び/又は少なくとも1つの脂肪酸、及び、
-場合により、菌株、
を含むことができる。
【0035】
「脂肪酸」とは、遊離及び/又は塩の形の脂肪酸を意味する。
回収されるMELs中に存在する脂肪酸及び/又はトリグリセリドの量は、回収されるMELsの総質量に対して0.5~60質量%、好ましくは1~50質量%を構成することができる。
有利には、脂肪酸は、8~24個の炭素原子、好ましくは8~20個の炭素原子を含む炭素含有鎖を含む。
有利には、トリグリセリドは、飽和又は不飽和の非環式炭素含有鎖が8~24個の炭素原子、好ましくは16~18個の炭素原子を含むアシル基を含む。より特定的には、炭素含有鎖は直鎖であり、ヒドロキシル(OH)官能基で場合により置換された、炭素原子及び水素原子のみを含む。
したがって、回収されるMELsは、多かれ少なかれ精製された形、すなわち、発酵培地の他の成分との混合物であることができる。
【0036】
より詳細には、本出願、特に実施例において、回収されるMELsが少なくとも1つの脂肪酸及び/又は少なくとも1つのトリグリセリド、場合により水及び/又は菌株との混合物である場合に、この混合物は「MELsの混合物」と呼ばれる。
MELsの第一の混合物は、粗発酵培地、すなわち、粗発酵培地の他の成分との少なくとも2つのジアシル化MELsとの混合物である。
粗発酵培地は1つ以上の分離方法にかけられ、以下の特徴を有するMELsの他の好ましい混合物をもたらすことができる:
-30質量%以上、優先的には40質量%以上、より優先的には50質量%以上のMELsの含有分、
-他の成分(脂肪酸、トリグリセリド、水及び/又は菌株を含む)の含有分が70質量%以下、優先的には60質量%以下、より優先的には50質量%以下であり、
質量パーセントはMELsの混合物の質量に対して示されている。
より詳細には、上記の分離方法などの分離方法に応じて、MELsの濃度がより高い又はより低いMELsの混合物を得ることができる。
【0037】
第一の実施形態によれば、MELsの混合物は以下の特徴を有する:
-55質量%以上のMELの含有分、
-45質量%以下のその他の成分(脂肪酸、トリグリセリド、水及び/又は菌株を含む)の含有分、
質量パーセントはMELsの混合物の質量に対して示されている。
有利には、この第一の実施形態において、水及び/又は菌株含有分は、MELsの混合物の質量に対して10質量%以下、優先的には5質量%以下である。
【0038】
特に好ましい第二の実施形態によれば、MELsの混合物は以下の特徴を有する。
-90質量%以上、優先的に95質量%以上、より優先的に98質量%以上のMELsの含有分、
-10質量%以下、優先的には5質量%以下、より優先的には2質量%以下の他の成分(脂肪酸、トリグリセリド、水及び/又は菌株を含む)の含有分、
質量パーセントはMELsの混合物の質量に対して示されている。
有利には、この第二の実施形態において、水及び/又は菌株含有分はMELsの混合物の質量に対して2質量%以下である。
そのようなMELsの混合物は、例えば、上記のような幾つかの分離工程を含む上記のような発酵法を使用して得ることができ、これらの分離工程は液/液抽出及び/又は鉱物基材上の通過を優先的に含む。
鉱物基材を通過させることは適切な溶媒を使用して実施される、シリカカラム上での吸着クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーであることができる。そのような溶媒は当業者に知られている。
MELsの混合物及びその製造方法の例は、以下の刊行物にも記載されている:Rauらの“Downstream processing of mannosylerythritol lipids produced by Pseudozyma aphidis”、European Journal of Lipids Science and Technology (2005), 107, 373-380”にも記載されている。
有利には、上記の発酵法の終了時に回収されるMEL(s)はジアシル化されている。
発酵法の最後に回収されるMEL(s)が1つ以上のジアシル化MEL(s)である場合に、1つ以上の回収されるジアシル化MEL(s)から(又はジアシル化MELsの混合物から)開始されるトリアシル化MELsの製造という後続の工程を利用することができる。
【0039】
この後続の工程は有利には以下のことを含む。
-酵素の存在下で有機溶媒中への1つ以上のジアシル化MEL(s)を溶解させること、及び、
-少なくとも1つの植物油、少なくとも1つの植物由来の脂肪酸又は少なくとも1つの植物由来の脂肪酸エステルを添加すること、
を含み、該工程はジアシル化MEL(s)と植物油又は植物由来の脂肪酸エステルに存在するトリグリセリドとの間のエステル交換反応、又は、ジアシル化MEL(s)と植物由来の脂肪酸との間のエステル化反応のいずれかを可能にし、このようにして、トリアシル化MEL(s)の製造を可能にする。
【0040】
有利には、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、プロパノン、ブタノン、ペンタン-2-オン、1,2-エタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジオキサン、アセトニトリル、2-メチル-ブタン-2-オール、tert-ブタノール、2-メチルプロパノール、4-ヒドロキシ-2-メチルペンタノン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び/又はピリジンから選ばれる。
【0041】
優先的に、植物油は、ダイズ油、ヒマワリ油、オリーブ油及びナタネ油からなる群より選ばれる。より特定的には、植物油はダイズ油又はナタネ油、さらにより特定的にはナタネ油である。
【0042】
有利には、植物由来の脂肪酸又は植物由来の脂肪酸エステルはダイズ油、ヒマワリ油、オリーブ油又はナタネ油に由来する。より特定的には、植物由来の脂肪酸又は植物由来の脂肪酸エステルはダイズ油又はナタネ油、さらにより特定的にはナタネ油に由来する。
【0043】
これらの植物油は、オレイン酸、リノール酸及び/又はリノレン酸に由来するアシル基のように、18個の炭素原子を含む炭素含有鎖を含むアシル基が特に豊富である。
【0044】
酵素は、リパーゼ、プロテアーゼ及び/又はエステラーゼ、好ましくはリパーゼ及び/又はエステラーゼ、さらにより優先的にはリパーゼから選ぶことができる。
有利には、エステル化又はエステル交換反応は酵素の最適な活性温度に近い温度(+/-10℃)で約12~72時間行い、好ましくは20~30℃に含まれる、より優先的には25℃の温度で約24~48時間行われる。
次いで、当業者に公知の分離方法により、トリアシル化MEL(s)を反応媒体から回収することができる。
例えば、シリカカラム上での吸着クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーは、これらの分離方法に含まれる。
【0045】
本発明による濃縮物はまた、濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルを含む。
好ましくは、本発明による濃縮物はポリグリセロール脂肪酸エステルを含む。
有利には、ポリグリセロール脂肪酸エステルに含まれる脂肪酸は、6~18個の原子を含む炭素含有鎖を含む。
ポリグリセロール脂肪酸エステルは水に可溶化されることが意図されているため、親水性であり、有利にはHLBが9以上、優先的には10以上、より優先的には12以上である。
HLB(親水性親油性バランス)とは、界面活性剤の親水性基の寸法及び力と親油性基の寸法及び力との間のバランスを意味する。GRIFFINによるHLB値はJ. Soc. Cosm. Chem. 1954 (Volume 5), 第249~256頁に規定されている。
【0046】
9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの例として、ポリグリセロール-6イソステアレート、ポリグリセロール-10イソステアレート、ポリグリセロール-10ジイソステアレート、ポリグリセロール-6ラウレート、ポリグリセロール-6ミリステート、ポリグリセロール-6ステアレート、ポリグリセロール-6オレエート、ポリグリセロール-10オレエート、ポリグリセロール-10カプリレート、ポリグリセロール-6カプリレート、ポリグリセロール-4カプレート、ポリグリセロール-4ラウレート、ポリグリセロール-10ラウレートが挙げられる。
好ましくは、ポリグリセロール脂肪酸エステルに含まれるポリグリセロールは、2~12、好ましくは2~10、より優先的には3~6単位のグリセロールを含む。
【0047】
有利には、ポリグリセロール脂肪酸エステルのポリグリセロールは、ポリグリセロール-4、ポリグリセロール-6又はポリグリセロール-10である。ポリグリセロール(又はPG)に続く整数はポリグリセロールを形成するグリセロール単位の数を表す。
優先的に、ポリグリセロール脂肪酸エステルは、ポリグリセロール脂肪酸モノエステル又はポリグリセロール脂肪酸ジエステルであり、より優先的にはポリグリセロール脂肪酸モノエステルである。
本発明による濃縮物は良好な増粘特性を有する。「増粘特性」とは、本発明による濃縮物が水の粘度を増加させることを意味する。言い換えれば、本発明による濃縮物及び水を含む組成物は水単独の粘度よりも大きく、有利には少なくとも30mPa.s、好ましくは少なくとも80mPa.s、より優先的には少なくとも200mPa.s、さらに優先的には少なくとも300mPa.sの粘度を有するであろう。
さらに、本発明による濃縮物は、水にゲルの外観を与えることを可能にする、すなわち、本発明による濃縮物及び水を含む組成物はゲルの外観を呈するであろう。
【0048】
「ゲルの外観」とは、ゲルの典型的なレオロジーを意味する。特に、本発明による濃縮物及び水を含む組成物の初期粘度は摩擦にさらされると低下し、摩擦が停止するとその初期値に戻る。
本発明による濃縮物のこれらの特徴は以下の例2においてより詳細に記載されている。
さらに、本発明による濃縮物は良好な起泡特性を有する。ここで、本発明による濃縮物は、水と接触して配置されると、得られた組成物の表面上に泡の形成を可能にすることが理解される。
好ましくは、本発明による濃縮物は、標準ASTM D892に記載されている条件と同様の条件下で泡の形成を可能にする。
【0049】
本出願において、標準という言及は、出願日現在の標準を指す。
有利には、本発明による濃縮物及び水を含む組成物の表面上に形成される泡の体積は、200mLよりも大きく、好ましくは400mLよりも大きく、さらにより優先的には600mLよりも大きい。そのような体積は水の硬度の関数として変化する。
さらに、本発明による濃縮物を含む組成物の表面に形成される泡は安定している。「安定」とは、形成された泡の体積が時間の経過とともに減少しない又はほとんど減少しないこと、すなわち、10分で50mL未満、優先的には10分で25mL未満でしか減少しないことを意味する。
本発明による濃縮物の起泡性、ならびに本発明による濃縮物を含む組成物の表面上に形成される泡の安定性は例3においてより詳細に記載されている。
さらに、本発明による濃縮物は良好な洗浄特性を有する。有利には、本発明による濃縮物は濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%、場合により少なくとも45質量%の少なくとも1つのMELを含む。
有利には、本発明による濃縮物の少なくとも80質量%はマンノシルエリスリトール脂質及びポリグリセロール脂肪酸エステルにより構成される。
【0050】
好ましくは、本発明による濃縮物において、マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/2;2/1]に含まれる。
そのような比は本発明による濃縮物の増粘特性をさらに改善することを可能にする。
好ましくは、本発明による濃縮物に含まれる少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルは、ポリグリセロールカプリン酸及び/又はカプリル酸エステルである。
ポリグリセロールカプリン酸及び/又はカプリル酸エステルは、ポリグリセロールカプレート及び/又はカプリレート、又は、ポリグリセロールカプレート及び/又はカプリレートとも呼ばれる。
好ましくは、少なくとも1つのエステルはポリグリセロールカプリン酸エステルである。
あるいは、少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルは18個の炭素原子を含むポリグリセロール脂肪酸エステル、好ましくはポリグリセロールオレイン酸又はイソステアリン酸エステルである。
有利には、本発明による濃縮物は少なくとも2つのMELs、特に、MELs-A、MELs-B、MELs-C及びMELs-Dからなる群より選ばれる、異なるクラスに由来する少なくとも2つのMELsを含む。
第一の有利な実施形態によれば、本発明による濃縮物は、MELs-A、MELs-B、MELs-C、及び、場合により、MELs-D、より優先的には、MELs-A、MELs-B、MELs-C及びMELs-Dを含む。
【0051】
有利には、本発明による濃縮物は、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~85質量%に含まれる含有分でMELs-A及びMELs-Bを含み、ここで、質量%はMELsの合計質量に対して示されている。
有利には、本発明による濃縮物は、5質量%以上、優先的には10質量%以上の含有分でMEL(s)-Cを含み、質量%はMELsの総量の質量に対して示されている。
より特定的には、本発明による濃縮物は、60質量%~80質量%に含まれる含有分でMELs-A及びMELs-B、及び、15質量%以上の含有分でMELs-Cを含み、ここで、質量%はMELsの総量の質量に関して示されている。
【0052】
第二の有利な実施形態によれば、本発明による濃縮物は、75質量%~100質量%、好ましくは90質量%~100質量%に含まれる含有分でMELs-Dを含み、ここで、質量%は、MELsの総量の質量に対してされている。
MELs-Dは、MELs-A、MELs-B及びMELs-Cの脱アセチル化により得ることができる。加水分解酵素を使用したMELs-A、MELs-B及びMELs-Cの脱アセチル化反応の例は以下の出版物に記載されており、それはFukuokaらの“Enzymatic synthesis of a novel glycolipid biosurfactant, mannosylerythritol lipid-D and its aqueous phase behavior”; Carbohydrate Research (2011), 346, 266-271に記載されている。
有利には、本発明による濃縮物は少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルも含む。
好ましくは、本発明による濃縮物はグリセロール脂肪酸エステルを含む。
【0053】
本発明による濃縮物の第一の実施形態によれば、
-濃縮物の総質量に対して少なくとも20質量%の少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質、及び、
-濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステル、
を含み又はからなり、
マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれる。
【0054】
本発明による濃縮物の第二の実施形態によれば、それは
-濃縮物の総質量に対して少なくとも20質量%の少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質、
-濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、及び、
-少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステル、
を含み又はからなり、
マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれる。
これら2つの実施形態で利用される少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルは、有利には、ポリグリセロールカプリン酸及び/又はカプリル酸エステル、好ましくはポリグリセロールカプリン酸エステルである。
【0055】
有利には、本発明による濃縮物において、グリセロール脂肪酸エステルの量は濃縮物の総質量の1.5質量%~4.5質量%を構成し、好ましくは2質量%~4質量%を構成する。
本発明による濃縮物の上記の好ましい特徴は全体としてこれらの実施形態に適用可能である。
好ましくは、本発明による濃縮物に含まれる少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルはグリセロールカプリル酸エステルである。
水に加えられると、グリセロールカプリル酸エステルは水中でブルーム効果を引き起こす。この効果は、乳白色の質感を得ることが望まれるような化粧品の開発に非常に有益である。
グリセロールカプリル酸エステルを含む本発明による濃縮物から調製された化粧品組成物などの組成物は、油膜のない心地よい感触などの有利な特性を有し、使用者に皮膚滋養の感覚を与える。
グリセロールカプリル酸エステルは良好な抗微生物特性も有する。
【0056】
本発明は、本発明による濃縮物の調製方法にも関し、該方法は、濃縮物の総質量に対して少なくとも20質量%の少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質、及び、濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルを混合する工程を含み、ここで、マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれる。
有利には、混合物は、40~60℃に含まれる、好ましくは60℃の温度で生成される。
有利には、本発明による濃縮物の調製方法で利用される成分は、上記の好ましい特徴の1つ以上を有する。
【0057】
本発明はさらに、本発明による濃縮物及び水を含む組成物に関する。より詳細には、本発明による組成物は:
-少なくとも1つのMEL、
-9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、及び、
-水、
を含み、
ここで、マンノシルエリスリトール脂質/9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれる。
【0058】
少なくとも1つのMEL及び少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルは有利な及び優先的な態様を含む上記のようなものである。
本発明による組成物は、良好な洗浄特性、より具体的にはメイクアップ除去特性を有する。これについては、以下の例6で詳細に記載する。
第一の実施形態によれば、本発明による組成物中の濃縮物の量又はMEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量は、組成物の総質量の3~75質量%を構成する。
MEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量とは、MELの分子及びポリグリセロール脂肪酸エステルの分子の質量による総量を意味する。
本発明による組成物のこの第一の実施形態によれば、それは水の粘度よりもはるかに高い粘度を有し、ゲルの外観を有する。
【0059】
この第一の実施形態の特定の態様によれば、本発明による組成物は、グリセロール脂肪酸エステルを含まない本発明による濃縮物を含む。この特定の態様において、本発明による組成物に含まれる濃縮物の量又はMEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量が少ない場合に、すなわち、組成物の総質量の3~7質量%を構成する場合に、濃縮物又はMEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量が、濃縮物又はMEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量の総質量に対して、少なくとも50質量%の少なくとも1つのMELを含むことが好ましい。そのようなMEL含有分は、水の粘度の顕著な増加を得ることを可能にする。
【0060】
この第一の実施形態の特定の代替の態様によれば、本発明による組成物は少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルを含む。この特定の態様において、水の粘度の顕著な増加は、濃縮物又はMEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量の総質量に対して少なくとも20質量%のMELの含有分であっても得られる。
【0061】
この第一の実施形態によれば、本発明による組成物中の濃縮物の量又はMEL及び9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの総量は、組成物の総質量の、有利には5~50質量%を構成し、好ましくは5~35質量%を構成する。
濃縮物の含有分を増加させると、本発明による組成物の粘度を増加させることが可能になる。当業者は、組成物中の濃縮物の量を規定又は適合して、所望の粘度を得ることを可能にすることができる。
この実施形態によれば、本発明による組成物は、有利には、40mPa.s以上、好ましくは200mPa.s以上、より優先的には400mPa.s以上、さらにより優先的には500mPa.s以上の動粘度を有する。
第二の実施形態によれば、本発明による組成物中の濃縮物の量は、組成物の総質量の質量百分率として表して、範囲[0.05;3]に含まれる。
本発明の組成物のこの第二の実施形態によれば、それは水の粘度よりもあまり大きくない粘度を有し、溶液の形態を呈する。
この第二の実施形態によれば、濃縮物の量は、組成物の総質量に対して、有利には、0.1~2質量%、好ましくは0.15~1.5質量%を構成する。
【0062】
本発明はまた、本発明による濃縮物を水と混合する工程を含む、本発明による組成物の調製方法に関する。
本発明による組成物の調製方法の第一の実施形態によれば、少なくとも1つのMELは、水と混合する前に、9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステルと混合される。
本発明による組成物の調製方法の第二の実施形態によれば、少なくとも1つのMELは、ポリグリセロール脂肪酸エステルとは無関係に水と混合される。
有利には、混合工程は撹拌下で実施される。
【0063】
本発明はまた、増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤としての本発明による濃縮物の使用に関する。
本発明による濃縮物は、増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤を使用することが通常であるあらゆるタイプの用途で使用することができる。
この濃縮物は、家庭用又は産業用メンテナンス組成物、特に硬質表面を洗浄するための組成物、又は食器洗浄製品などの洗浄又は洗剤製品の調製において、増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤として使用できる。
この濃縮物は石油産業における洗浄製品にも使用できる。
最後に、この濃縮物は化粧品又は衛生製品において増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤として使用できる。
【0064】
本発明はまた、洗浄組成物としての本発明による組成物の使用に関する。
本発明による組成物は洗浄組成物を使用するのが通常であるあらゆるタイプの用途に使用することができる。
例として、本発明による組成物は洗浄又は洗剤組成物として、例えば家庭用又は産業用メンテナンス組成物として、特に硬質表面を洗浄するための組成物として、又は食器洗浄製品として使用することができる。
本発明による組成物は、石油産業でも使用することができる。
有利には、本発明による組成物は、衛生製品として又は化粧品中に、好ましくは洗浄及び/又はメイクアップ除去組成物として使用される。
この組成物は、水とともに泡を形成するために使用するか、又は、水を加えずに皮膚に直接塗布することができる。
特に、上記のとおりの第一の実施形態の本発明による組成物はゲルの外観を有し、したがって、水とともに泡を形成するために有利に使用される。
例えば、使用者は、洗浄される身体の部分に水を塗布し、次いで、本発明による組成物をこの部分に塗布し、最後に、擦って前記組成物を泡立てることができる。
第一の実施形態における本発明による組成物はミセルゲルなどの衛生製品のベースとして使用することもできる。
上記のとおりの第二の実施形態における本発明による組成物は、溶液の形態であり、したがって、例えば綿パッドを使用して顔の皮膚などの皮膚に有利に直接塗布される。
「溶液」とは、25℃で動粘度が40mPa.s未満の液体を意味する。
【0065】
本発明は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び/又はコカミドジエタノールアミンからなる群より選ばれる界面活性剤を部分的又は完全に置き換える本発明による濃縮物の使用にも関する。
【0066】
本発明は、以下の図を参照して、例示として与えられる以下の実施例に照らしてより良く理解されるであろう。
図1は、本発明による濃縮物から調製され、硫酸化化合物又はMELから出発する組成物の表面に形成される泡の経時安定性を表す図である。
図2は本発明による組成物及び比較組成物の洗浄特性を示す2枚の写真a及びbを含む。
【実施例】
【0067】
例1:本発明による濃縮物の調製
1.MELを得ること
MELを、以下の工程を含む発酵法によって得た。
-植物油(ナタネ油)の存在下でシュードザイマ・アフィディス(Pseudozyma aphidis)などの酵母株を培養して、MELsを得ること、及び、
-このようにして得られたMELsを回収すること。
MELsを回収する工程の最後に、MELsの第一の混合物(MELs 1Aの混合物)は得られ、これは以下の特徴を有する。
・MELsの含有分:55質量%
・他の成分の含有分:45質量%(42質量%の遊離脂肪酸及びトリグリセリド、及び、3質量%の水及び菌株を含む)、
質量パーセントは得られたMELs混合物の総質量に対して示されている。
【0068】
次いで、MELs1Aの混合物の精製工程を、極性勾配が増加する溶媒の混合物を使用して、シリカカラム上での吸着クロマトグラフィーにより実施した。こうして、MELsの第二の混合物(MELs 1Bの混合物)を得た。これは以下の特徴を有する。
・MELの含有分:得られたMELsの混合物の総質量に対して少なくとも98質量%。
特に、MELs1A及び1Bの混合物のそれぞれは、52質量%の含有分のMELs-A、12質量%の含有分のMELs-B、35質量%の含有分のMELs-C、1質量%の含有分のMELs-Dを含み、ここで、質量%はMELsの総量の質量に対して示されている。
【0069】
2.ポリグリセロール脂肪酸エステル
OLEONのRadia(登録商標)7932を使用した。この製品は、ポリグリセロール-4カプリン酸エステル(ポリグリセロール-4カプレート又はポリグリセリル-4カプレート)で構成されている。ポリグリセロール脂肪酸エステル中のその純度は95%以上である。
ポリグリセロール-10オレイン酸エステル、カプリン酸エステル及びイソステアリン酸エステルは、脂肪酸(オレイン酸、OLEONのRadiacid 0215、カプリン酸、OLEONのRadiacid 610、及び、イソステアリン酸、OLEONのRadiacid 0909)及びSPIGA NORDからのポリグリセロール-10を1/1のモル比で用いたエステル化プロセスに従って調製した。脂肪酸及びポリグリセロールを水酸化カルシウムの存在下で混合し、酸価が1mgKOH/g未満になるまで220℃で加熱する。
【0070】
3.グリセロール脂肪酸エステル
OLEONのRadia(登録商標)7907を使用した。この製品はグリセロールカプリル酸エステル(グリセロールモノカプリレート又はグリセリルモノカプリレート)から構成されている。
【0071】
4.本発明による濃縮物の調製
化合物は、濃縮物の均質化まで、60℃の温度で以下の表1に示される配合に従って、適切な容器内で手動で混合される。好ましくは、温度は60℃を超えるべきでない。
調製された様々な濃縮物を次の表1に要約する。
【0072】
【0073】
例2:本発明による濃縮物及び比較濃縮物の増粘特性の評価
本発明による濃縮物及び比較濃縮物の増粘特性を評価した。
1.機器及び方法
1.1.機器
以下の製品を使用した。
-例1で調製された濃縮物1~8
-例1で調製したMELs 1Bの混合物
-Radia(登録商標)7932(OLEON)
-Radia(登録商標)7907(OLEON)
-脱塩水。
以下の機器を使用した。
-ガラスフラスコ
-スパチュラ
-レオメータ(TA Instruments AR 2000)。
【0074】
1.2.方法
本発明による濃縮物
例1で調製された濃縮物1~8を使用した。
比較濃縮物の調製
濃縮物が均質化されるまで、様々な化合物を60℃の温度の適切な容器で手動で混合する。濃縮物の調製にMELsを使用する場合には、温度は好ましくは60℃を超えるべきでない。
調製された様々な比較濃縮物を次の表2に要約する。
【0075】
【0076】
濃縮物1~14の増粘特性の評価
10質量%の本発明による濃縮物1~8及び比較濃縮物9~14をそれぞれガラスフラスコ中の90質量%の水に添加した。ここで、質量%は得られた各組成物の総質量に対して示されている。異なる濃縮物を含むフラスコへの水の添加はスパチュラで手動で攪拌しながら行われる。
組成物1~14の動粘度を、レオメータを使用して、25℃の温度及び10rpmの速度で評価した。
水(対照)の動粘度は1mPA.sである。
異なる組成物の外観も肉眼で評価した。
結果を以下の表3に示す。
【0077】
【0078】
例2
結果は、本発明による濃縮物及び水を含む組成物1~8は純水の動粘度よりも大きい動粘度を有し、ゲルの外観も有することを示している。一方、比較濃縮物を含む組成物9~14は、水の粘度に近い粘度を有し、ゲルの外観を有しない。
本発明による濃縮物は、水の粘度を増加させることを可能にする。ここで、本発明による濃縮物及び水を含む組成物は水単独の粘度よりも高い粘度を有することが理解される。
したがって、本発明による濃縮物は良好な増粘特性を有し、したがって、増粘剤として使用することができる。
さらに、本発明による濃縮物は、水にゲルの外観を与えることを可能にする。
【0079】
例3:濃縮物の量が水の粘度に及ぼす効果
例1で調製された本発明による様々な量の濃縮物2及び水を含む組成物を、例2に記載された方法に従って調製した。
例2と同じ方法で粘度測定を実施した。
結果を以下の表4に示す。
【0080】
【0081】
結果は、本発明による濃縮物の量の増加が水の粘度を増加させることを可能にすることを示している。
【0082】
例4:本発明による濃縮物及び比較濃縮物の起泡特性の評価-得られた泡の安定性の評価
1.機器及び方法
1.1.機器
以下の製品を使用した。
-例1で調製された本発明による濃縮物7
-例1で調製した濃縮物15及び16
-例2で調製した比較濃縮物11
-SLES
水。
以下の機器を使用した。
-水浴
-流量計
-94mL/分で空気を流すためのデバイス。
【0083】
1.2.方法
行われる手順は標準ASTM D892に記載されているものに基づく。
0.02質量%、0.2質量%及び2質量%の濃縮物7ならびにそれぞれ99.98質量%、99.8質量%及び98質量%の水を試験管に加え、試験する3つの組成物を得た。それぞれ2質量%の濃縮物15及び16を別の2本の管に導入し、また、98質量%の水を導入した。
次に、試験管を温度制御浴に入れた。15分後に、25℃の所望の温度に達した。
次に、試験する各組成物に多孔性球状ストーンディフューザを通して空気を送り込んだ。このようにして、小さな泡が生成され、水中に空気の分散体を形成する。気泡が表面まで上昇し、事前に壊れていない場合に、泡が形成される。ガスで満たされた泡は、微細な液体ラメラの壁を有する。試験される組成物を25℃の温度に維持し、5分間の空気送りに供する。次いで、空気流を停止する。
空気流を止めた直後に、濃縮物7、濃縮物15及び濃縮物16から得られた各組成物の表面に形成された泡の体積を評価した。
泡が分解するのに必要な時間を、0.2質量%及び2質量%の濃縮物7を含む組成物、ならびにそれぞれ2質量%の濃縮物15及び2質量%の濃縮物16を含む組成物について観察する。より詳細には、この組成物の表面上の泡の安定性は、時間の関数として泡の体積を測定することにより評価した。より具体的には、泡の体積は、その形成後10分間、60秒の時間間隔で評価した。
測定に必要な時間全体を通して、試験される組成物を25℃の温度に維持する。
組成物の総質量に対して、0.2質量%の比較濃縮物11(MELs)、0.2質量%及び0.5質量%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)及び、99.8質量%、99.8質量%及び99.5質量%の水を含む試験対象の組成物に同一の試験を行った。SLESは参照として使用される。SLESは非常に優れた起泡性及び洗剤(クリーニング)特性を有する界面活性剤である。
【0084】
2.結果
起泡特性
結果を以下の表5に示す。
【0085】
【0086】
これらの結果は、本発明による濃縮物7、15又は16を含む組成物の表面上に形成された泡の体積が大きいことを示している。
したがって、本発明による濃縮物は非常に良好な起泡特性を有する。ここで、本発明による濃縮物を水と接触させると、得られる組成物の表面上に大量の泡が形成されうることが理解される。
さらに、組成物の総質量に対して、0.2質量%の本発明による濃縮物7を含む試験対象の組成物は、0.2質量%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び99.8%の水を含む組成物で得られる泡と同様の体積を有する泡を得ることを可能にした。
本発明による濃縮物は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムの優れた代替溶液である。
【0087】
フォームの安定性
結果を
図1に示す。
これらの結果は、本発明による濃縮物7、15及び16で得られた泡が10分間の試験の間に安定であったこと、すなわち、これらの泡の体積は10分で減少せず又は非常に少ししか減少しなかったことを示している。
SLESで得られた泡、特に0.2質量%のSLESを含む組成物から得られた泡は、10分間の試験の間に安定性がより低く、これらの泡の体積の減少を
図1に見ることができる。
したがって、本発明による濃縮物を含む組成物の表面上に形成される泡は安定している。「安定」とは、形成された泡の体積が時間経過とともに減少せず又は非常に少ししか減少しないこと、すなわち、10分で50mL未満、優先的には10分で25mL未満でしか減少しないことを意味する。
0.2質量%の比較濃縮物11を含む組成物は大量の泡を形成するが、この体積は、
図1に見ることができるように、安定せず、急速に低下する(1分で-100 mL、10分で-350mL)。
【0088】
例5:本発明による濃縮物及び比較濃縮物の界面活性特性の評価
1.機器及び方法
1.1.機器
-例1で調製された本発明による濃縮物3及び7
-純水
-KRUSS K100テンシオメータ
【0089】
1.2.方法
表面張力
本発明による濃縮物3及び7を様々な濃度で純水に添加し、表面張力の測定を行った。
表面張力は、ウィルヘルミープレート法を使用して、テンシオメータを使用して測定した。
純水の表面張力も測定した。それは71.4mN/mである。
結果を以下の表6に示す。
【0090】
【0091】
表6に示される結果は、特に、本発明による濃縮物が水の表面張力を低下させることを可能にすることを示している。したがって、本発明による濃縮物は、例えば、洗浄用途に使用することができる。
界面張力
本発明による濃縮物3及び7、続いて鉱油を様々な濃度で純水に加え、界面張力の測定を行った。
水/鉱油調製物の界面張力も測定した。それは約43mN/mであった。
結果を以下の表7に示す。
【0092】
【0093】
本発明による濃縮物で得られた界面張力の値は、本発明による濃縮物が水中に鉱油を分散させる能力を有するために十分に低い。したがって、本発明による濃縮物は、例えば、洗浄用途に使用することができる。
【0094】
例6:本発明による組成物の洗浄特性-化粧品における用途
1.機器及び方法
1.1.機器
以下の製品を使用した。
-例2で調製された本発明による組成物7
-例2で調製された本発明による組成物3
-ラウリル硫酸ナトリウム(VWR(登録商標)、100%純度)
-水。
以下の機器を使用した。
-蓋付きのガラス瓶
-15mLボトルの白いキャップ
-メイクアップ(ファンデーション、True Match(商標)、スーパーブレンダブルメイクアップ、L’OREAL(登録商標))。
【0095】
1.2.方法
水及び試験対象の組成物をガラス瓶に加えた。
次に、白いキャップを化粧で覆い、次いで、ガラス瓶に浸す。ガラス瓶を蓋で閉じ、次いで、244rpmで60分間撹拌する。
60分の終わりに、キャップから除去され、水/試験対象の組成物の混合物に移されたメイクアップの割合を測定する。
除去されたメイクアップの割合は以下の式に従って計算される。
100-(実験前のキャップ上のメイクアップ質量-実験後のキャップ上のメイクアップ質量)×100/実験前のキャップ上のメイクアップ質量
以下の実験1において、この方法を利用して、例2で調製された本発明による組成物7及び比較組成物のメイクアップ除去特性を評価した。比較組成物はSLSを含む。SLESと同様に、SLSは非常に良好な起泡性及び洗剤(クリーニング)特性を有する界面活性剤である。
以下の実験2において、この方法を利用して、例2で調製された本発明による組成物3のメイクアップ除去特性を評価した。
実験1:
実施された試験の詳細及び結果を以下の表8に示す。
【0096】
【0097】
実験1の結果を
図2にも示す(写真a及びbを含む)。
キャップから除去され、水/本発明による組成物7の混合物(1及び2とマークされたガラス瓶)に移送されたメイクアップの割合は、キャップから除去され、水/比較組成物混合物(3及び4とマークされたガラス瓶)及び水単独(5とマークされたガラス瓶)に移送されたものよりも大きいことが写真に見ることができる。
これは写真bからも明らかである。写真bは、各試験1~5の終了時点でキャップから除去されたメイクアップの量を示す。
写真bの番号が0のキャップは、ガラス瓶に挿入する前の対照キャップに対応する。
これらの結果は、本発明による組成物7が、ラウリル硫酸ナトリウムをベースとする比較組成物と同等又はそれ以上のメイクアップ除去特性を有することを示している。
【0098】
実験2:
実施された試験の詳細及び結果を以下の表9に示す。
【表9】
【0099】
キャップから除去され、水/本発明による組成物3の混合物に移送されたメイクアップの割合(試験6及び7)は、キャップから除去され、水単独に移送されたメイクアップの割合(試験8)よりも大きいことが判る。
【0100】
例7:コカミドジエタノールアミン(コカミドDEA)及び/又はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)の本発明による濃縮物による置き換え
本発明による濃縮物7を使用して、コカミドDEA及び/又はSLESを置き換えることにより、食器洗い又はシャンプー用の洗剤タイプの洗浄組成物を調製した。
コカミドDEAは良好な起泡特性及び増粘特性を有する界面活性剤である。
1日後の調製された組成物の粘度を、例2に記載された方法に従って評価した。
様々な組成物の表面上に形成された泡の体積を、例4に記載の方法に従って評価した。
調製された洗浄組成物の詳細及び様々な測定の結果を、以下の表10に示す。洗浄組成物はその成分の単純な混合により調製される。
【0101】
【0102】
結果はSLESを本発明による濃縮物で量を増加しながら置き換えると、粘度が増加することを示している。コカミドDEA及びNaClが存在しないにもかかわらず、この粘度の増加は得られる。
さらに、様々な組成物の表面上に形成される泡の体積は大きい。
したがって、本発明による濃縮物は、コカミドDEA、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び/又はラウリル硫酸ナトリウムを置き換えるための良好な溶液である。
より詳細には、本発明による濃縮物から調製された洗剤組成物は高い粘度及び良好な起泡特性の両方を有するであろう。
本発明による濃縮物15及び17は、コカミドDEA及び/又はSLES(それぞれ試験17及び18)を置き換えることにより、食器洗い又はシャンプー用の洗剤タイプの洗浄組成物の調製にも使用された。
これらの組成物のpHはクエン酸を添加することにより5.8に調整された。
1日後の調製された組成物の粘度を、例2に記載された方法に従って評価した。
様々な組成物の表面上に形成された泡の体積を、例4に記載の方法に従って評価した。
調製された洗浄組成物の詳細及び様々な測定の結果を以下の表11に示す。洗浄組成物はその成分の単純な混合により調製される。
【0103】
【0104】
ここでも、結果は、本発明による濃縮物がSLESを置き換えるための良好な溶液であることを示している。
濃縮物7を使用した試験13と比較して、試験17及び18は、濃縮物15及び17も、特にNaClの非存在下で粘度の増加を可能にすることを示している。
さらに、様々な組成物の表面上に形成されるフォームの体積は大きい。
本発明による濃縮物から調製されたシャンプーなどの洗浄組成物は、高い粘度及び良好な起泡特性の両方を有するであろう。
本開示は以下も包含する。
[1] -濃縮物の総質量に対して少なくとも20質量%の少なくとも1つのマンノシルエリスリトール脂質、及び、
-濃縮物の総質量に対して少なくとも30質量%の、9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、
を含む、濃縮物であって、マンノシルエリスリトール脂質/9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれる、濃縮物。
[2] マンノシルエリスリトール脂質/9以上のHLBを有するポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/2;2/1]に含まれる、上記項目1記載の濃縮物。
[3] MELs-A、MELs-B、MELs-C及びMELs-Dからなる群より選ばれる少なくとも2つのMELsを含む、上記項目1又は2記載の濃縮物。
[4] 少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルも含む、上記項目1~3のいずれか1項記載の濃縮物。
[5] 少なくとも1つのグリセロール脂肪酸エステルはグリセロールカプリル酸エステルである、上記項目4記載の濃縮物。
[6] -少なくとも1つのMEL、
-9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、及び、
-水、
を含む、組成物であって、マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれ、そして
MEL及びポリグリセロール脂肪酸エステルの総量は組成物の総質量の3質量%~75質量%に含まれる、組成物。
[7] -少なくとも1つのMEL、
-9以上のHLBを有する少なくとも1つのポリグリセロール脂肪酸エステル、及び、
-水、
を含む、溶液の形態の組成物であって、マンノシルエリスリトール脂質/ポリグリセロール脂肪酸エステルの質量比は範囲[1/3;3/1]に含まれ、そして
組成物の総質量の質量%として表されるMEL及びポリグリセロール脂肪酸エステルの総量は範囲[0.05;3]に含まれる、組成物。
[8] 増粘剤、起泡剤及び/又は洗浄剤としての上記項目1~5のいずれか1項記載の濃縮物の使用。
[9] 洗浄組成物としての上記項目6又は7記載の組成物の使用。
[10] ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び/又はコカミドジエタノールアミンからなる群より選ばれる界面活性剤を部分的又は全体的に置き換えるための、上記項目1~5のいずれか1項記載の濃縮物の使用。