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特許7263251配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム及びその工事方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム及びその工事方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/24 20060101AFI20230417BHJP
   H02H 3/253 20060101ALI20230417BHJP
   H02H 3/13 20060101ALI20230417BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20230417BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20230417BHJP
   G01R 29/18 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H02H3/24 L
H02H3/253
H02H3/13
G01R31/52
G01R31/54
G01R29/18 Q
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019558318
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 KR2017014469
(87)【国際公開番号】W WO2018131797
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0004231
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0026270
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0049489
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519249480
【氏名又は名称】ナウン エナジー,カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519249491
【氏名又は名称】キム,ナ ウン
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナ ウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イン タエ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ト ウン
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-309033(JP,A)
【文献】特開平10-201097(JP,A)
【文献】特開平10-285788(JP,A)
【文献】特開平08-079962(JP,A)
【文献】特開昭59-074615(JP,A)
【文献】中国実用新案第2775810(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02H3/08-3/253
H02H9/00-9/08
H01F30/00-38/12
H01F38/16
G01R29/00-29/26
G01R31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統の電源側断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電による停電、感電、火災事故防止のためのシステムにおいて、
前記配電系統に電源側探知/復旧器及び負荷側探知/復旧器を備え、
前記電源側探知/復旧器は、電源出力コイルの中間に中性点を構成して、この中性点を大地に接地するか、中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報のうちのいずれか1つ以上を行い、
前記負荷側探知/復旧器は、電源出力コイルの中間に中性点を構成して、この中性点を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器の中性点に接続するか、中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報のうちのいずれか1つ以上を行うことを特徴とする配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システムに於いて、
前記負荷側探知/復旧器は、
前記負荷側探知/復旧器の中性点を大地に接地し、単相電源供給線路を1つの線で構成することにより、線路による短絡事故を防止し、漏電の減少、線路故障の減少、線路保守を容易に行い、工事コストを削減することを特徴とし、
また、前記負荷側探知/復旧器は、
前記負荷側探知/復旧器の電源側において断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、または漏電(地絡)が発生して電気故障が発生した場合、前記負荷側探知/復旧器の中性点と大地または電力線(R、S、またはT)において電気信号を発生して故障検出器に伝達することを特徴とし、
また、前記電源側探知/復旧器及び前記負荷側探知/復旧器は、
単相または三相電源に電気/電子的に接続される素子で中性点を構成し、この中性点を大地に接地するか、この中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報、のうちのいずれか1つ以上を行うことを特徴とする配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項2】
前記素子は、
インダクタ、抵抗、キャパシタ、バリスタ、シリコンまたはゲルマニウム、炭素、コイル、集積回路のうちから選択された1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項3】
前記故障検出器は、
前記負荷側探知/復旧器の入出力線路に備えられた電力線または中性点の故障時に発生する電気信号を探知して、断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、または漏電(地絡)の発生が探知された場合、警報発生器を用いて警報するか、遮断器を用いて遮断するか、前記負荷側探知/復旧器を用いてリアルタイムで復旧できるようにすることを特徴とする請求項1に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項4】
前記故障検出器としては、
前記中性点または電力線から出力される故障発生電気信号を検出するために、電子リレ-(SSR)、零相変流器、電圧検出器、電流検出器、またはリレーを使用することを特徴とする請求項1に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項5】
前記電源側探知/復旧器は、
前記電源側探知/復旧器から電源を供給するコイルの中間に中性点を構成して大地に接地し、前記電源供給線路と大地との電位差を一定に維持できるようにすることにより、漏電発生による感電、火災事故の発生を予防することを特徴とする請求項1に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項6】
前記電源側探知/復旧器は、
単相3線式または三相4線式の負荷線路を有する配電系統に接続され、前記配電系統における中性線断線時に不平衡過電圧の流入を防止して、それによる過熱、火災を根本的に防止することを特徴とする請求項1に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項7】
配電系統に電源側探知/復旧器及び負荷側探知/復旧器を備える、配電系統の電源側断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電による停電、感電、火災事故防止のためのシステムにおいて、
前記電源側探知/復旧器は、第1レッグ、第2レッグ及び第3レッグと;第1巻線、第2巻線及び第3巻線を備え、
前記第1巻線は、前記第1レッグに巻き付けられ、前記第2巻線は前記第3レッグに巻き付けされ、前記第3巻線は、前記第1巻線及び前記第2巻線が巻き付けられた巻線の逆方
向に前記第1レッグ及び前記第3レッグにおいてジグザグに巻き付けられており、前記第1巻線、第2巻線、第3巻線の一方の端が中性線に接続され、前記中性線と接続されている前記第1巻線、前記第2巻線、または前記第3巻線の中間には、単相電源を供給する中間タップを含んでいることを特徴とする配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項8】
前記電源側探知/復旧器は、前記配電系統における落雷、短絡、地絡、機材焼損、ヒューズ断線が原因で、電源側においてR相、S相、T相、または中性線Nが断線するか欠相しても、リアルタイムで電気故障を復旧し、単相電源を供給して単相電源の停電を防止し、単相電源の大地との電位差を降圧して漏電(地絡)による感電、火災の発生を予防することができることを特徴とする請求項7に記載のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項9】
前記電源側探知/復旧器は、中性点を大地に接地し、電源供給線路と大地との電位差を一定電位に維持できるようにすることにより、漏電発生による感電、火災事故の発生を予防することができることを特徴とする請求項7に記載のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項10】
前記負荷側探知/復旧器は、中性点を大地に接地し、単相電源供給線路を1つの線で構成することにより、線路による短絡事故を防止し、漏電の減少、線路故障の減少、線路保守を容易に行い、工事コストを削減することができることを特徴とする請求項7に記載のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項11】
前記負荷側探知/復旧器は、中性点を前記電源側探知/復旧器の中性点に接続して、前記負荷側探知/復旧器の電源側において断線、接触不良、半断線、または漏電(地絡)が発生して電気故障が発生した場合、前記負荷側探知/復旧器の電力線(R、S、またはT)または中性点において電気信号を発生して故障検出器に伝達することができることを特徴とする請求項7に記載のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項12】
前記電源側探知/復旧器及び負荷側探知/復旧器は、単相または三相電源に電気/電子的に接続される素子で中性点を構成し、この中性点を大地に接地するか、この中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報、通知、制御のうちのいずれか1つ以上を行うことを特徴とする請求項7に記載のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項13】
前記素子は、
インダクタ、抵抗、キャパシタ、バリスタ、シリコンまたはゲルマニウム、炭素、コイル、集積回路のうちから選択された1つ以上を含むことを特徴とする請求項12に記載のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項14】
前記故障検出器は、
前記負荷側探知/復旧器の入出力線路に備えられた電力線または第2中性点の故障時に発生する電気信号を探知して、断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、または漏電(地絡)の発生が探知された場合、警報発生器を用いて警報するか、遮断器を用いて遮断するか、前記負荷側探知/復旧器を用いてリアルタイムで復旧できるようにすることを特徴とする請求項11に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項15】
前記故障検出器は、
前記中性点または電力線から出力される故障発生電気信号を検出するために、電子リレー(SSR)、零相変流器、電圧検出器、電流検出器、またはリレーを使用することを特徴とする請求項11に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項16】
前記電源側探知/復旧器は、
単相3線式または三相4線式の負荷線路を有する配電系統に接続され、前記配電系統における中性線断線時に不平衡過電圧の流入を防止して、それによる過熱、火災を根本的に防止することを特徴とする請求項7に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【請求項17】
前記電源側探知/復旧器は、
三相または三相4線式配電系統に接続され、電源側において1相のヒューズ断線、線路の損傷・断線、変圧器の故障、機材の焼損、欠相、中性線断線時に、リアルタイムで三相電力を復旧し、負荷側に単相電源を停電せずに供給することにより、電気の故障による単相電源の停電を根本的に防止することを特徴とする請求項7に記載の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相または単相配電系統の電源線路において断線、漏電、反断線、抵抗の増加、接触不良などの電気故障発生時、これをリアルタイムで探知して、これらの電気故障による電気信号を発生させ遮断または警報または停電をリアルタイムで復旧できるようにする配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システムとその工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1の配電系統は三相4線式配電系統の例を示す。R相、S相、T相からなるメイン変圧器300は、一般的にY結線、Δ結線、Y-Δ結線などの方法で中性線(N)と電力線(R相、S相、T相)とを組み合わせることにより、負荷に電力を供給する。この時、1つの電力線と他の電力線との間に負荷を接続すると、380Vが負荷に供給され、1つの電力線(例えば、R相)及び中性線(N)に負荷を接続すると、220Vが負荷に供給される。
【0003】
ここで中性線(N)は、多相多線式線路において各相の一側線路を共通(common)に処理する線路を指す。原則として3相を使用するには、6本の電線が必要であるが、単相2線式線路の位相を120度ずつずらして一方線をすべて共通に処理すると、4本に減り、このように共通処理した箇所の電位は、ベクトル和によってゼロ(0)になる。このようなゼロ電位(0電位)がすぐに基準電位となり、いわゆるN相、すなわち、中性線となる。中性線は、原則的に大地電位であるゼロ電位を持つ必要があるが、実際の現場で各相の位相が正確に120度でないときは、少しの電圧を有してもよい。このとき、中性線電位の上昇を防ぐために大地電位線である接地線に中性線を共通接続すると、各相の位相が若干差が生じても大地と接しているので、ゼロ電位を維持するようになる。
【0004】
単相電線路では、2本の線を接続して使用するが、2本の線のいずれか一方の線は大地と等電位である中性線に接続され、他方の線は大地との電位差が220Vである電力線に接続されるので、電力線から漏電(地絡)が発生した場合、感電死や火災発生の危険が高い。
【0005】
また、単相負荷が共通に接続されている電源側中性線が断線するか、接触不良を起こすと、他の3相の位相に接続されている不平衡単相負荷に共通に接続されている中性線を介して、互いに異なる不平衡負荷に起因して異常電圧が負荷に流入し、電気機器の過熱焼損及びそれによる火災の発生が頻繁に発生しているのが現状である。これを防ぐために、配線用遮断器および/または漏電遮断器などの遮断装置110が設けられる。
【0006】
遮断装置110に使用される配線用遮断器(またはモールドケース遮断器:molded case circuit breaker)は、配線に流れる過負荷および短絡に対する保護のためにモールドケース内に収容されるもので、交流600V以下または直流250V以下の低圧屋内電圧の回路における配線保護に使用される。一般的に、配線用遮断器は、MCCB(遮断器ー)とも呼ばれる。
【0007】
また、遮断装置110に使用される漏電遮断器は、5~30mA程度の漏れ電流を感知して感電を防止する装置である。ほとんどのヒューズや配線用遮断器は、数A程度の大電流で作動する。したがって、小さな漏れ電流による感電事故を防止するためには、漏電遮断器を使用しなければならず、これは電気ショックが感電者の心臓まで伝わって死亡に至らないようにするために、5~30mA程度の漏れ電流を感知して、25~40msecの時間内に回路を遮断する。遮断基準となる漏れ電流は、国や地域によって異なり、韓国では、定格電流の2000分の1に制限されている。例えば、漏電遮断器の定格電流が100Aであれば、その漏れ電流は50mA以内である。
【0008】
一般的な漏電遮断器は、電力線に流出する電流と中性線に流入する電流との差を測定する。発信電流と受信電流との合計が0でない場合は、どこかで漏電が起こっていることを意味する。このとき、漏電遮断器が作動して漏れ電流を遮断する。このように漏電遮断器は、大きな電流を遮断するヒューズや配線用遮断器とは、互いに補完する関係にある。漏電専用遮断器だけでは過負荷や短絡を防止することができないので、ほとんど過電流(短絡)及び漏電遮断兼用の遮断器をほとんど使用している。
【0009】
また、漏洩遮断電流が500mA以上である特殊用途の漏電遮断器は、低遮断電流スペックを持つ一般的な漏電遮断器がミス(miss)て事故で稼動することができるデータセンターなどの環境に設けられる。このような特殊用途の漏電遮断器は、感電防止用ではなく、火災防止用に設けられる。
【0010】
このような接触不良や断線が原因で発生する諸問題を解決するために、従来の提案された技術が、大韓民国特許庁公開特許公報公開番号10-2009-0004718号(2009.1.12.公開)(発明の名称:接触不良感知装置及び方法)(以下、「従来技術1」)、大韓民国特許庁登録特許公報登録番号10-1109024号(2012.1.17.登録)(発明の名称:電力量計の接触不良感知装置及び感知方法)(以下、「従来技術2」)、大韓民国特許庁登録特許公報登録番号10-1320373号(2013.10.15.登録)(発明の名称:変圧器付き欠相復旧装置及びその設置工事方法)(以下「従来技術3」)に開示されている。
【0011】
開示された「従来技術1」は、電流実効値、力率、電流瞬時値、高調波などの変化を指標として接触不良を感知し、それに応じて電源を遮断することにより、使用者を火災の危険から保護することができる。接触不良を感知することができる5つの要因のうち2つ以上の要因が満たされたとき、接触不良と判定することにより、より正確に接触不良を感知する。さらに、接触不良による遮断状況についての情報を使用者端末に通知することにより、遠距離の使用者も容易にこれを認知することができるように構成されている。
【0012】
「従来技術2」は、需用家に供給される電圧及び電流を検出する電圧及び電流検出部と、前記検出された電圧値及び電流値を用いて既に設定された総測定時間及び測定時間単位で力率値を演算する力率演算部と、上記既に設定され、総測定時間及び測定時間単位で演算された力率値が予め定められた基準値よりも小さい値の範囲内で継続的に減少している場合、接触不良と判断する接触不良判断部と、前記接触不良判断部で接触不良と判断された場合、接触不良信号をリモートサーバに送信するインタフェース部と、を含み、電力量計の接触不良を防止して接触不良による電気機器(電力量計)の焼損を防ぐことができるように構成されている。
【0013】
「従来技術3」は、三相4線式配電系統で電力線の欠相、中性線の断線、および電力線と中性線に発生する不平衡異常電流を検出して、このような電力線の欠相、中性線断線、および電力不平衡を正常状態に復旧し、映像高調波を減少させて正常電力を維持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】大韓民国特許庁公開特許公報公開番号10-2009-0004718号(2009.1.12.公開)(発明の名称:接触不良感知装置及び方法)
【文献】大韓民国特許庁登録特許公報登録番号10-1109024号(2012.1.17.登録)(発明の名称:電力量計の接触不良感知装置及び感知方法)
【文献】大韓民国特許庁登録特許公報登録番号10-1320373号(2013.10.15.登録)(発明の名称:変圧器付き欠相復旧装置及びその設置工事方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記のような従来技術は、三相4線式(R、S、T、N)または単相2線式(RN、SN、TN)配電系統から供給される電源側の断線、接触不良、半断線、抵抗の増加、漏電などによる電気故障発生時には、これを電気・電子的に探知して遮断、警報、復旧できず異常電圧、感電、停電、火災などが発生するという問題がある。
【0016】
また、既存の単相3線式配電系統での電源側断線(R1またはNまたはR2など)、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電などによる電気故障発生時に、これを検出して遮断・警報・復旧できる方法がないので、電源側漏電による感電、断線による停電及び接触不良、半断線による過熱、火災発生を警報または遮断または復旧できないという問題がある。
【0017】
また、電源側線路で断線が発生した場合、交通信号、街灯、消防設備、排水ポンプ場などの制御機能が麻痺して、電源線路異常時に自動的に開閉される開閉器の機能障害が発生し、大規模な事故に拡大してしまうという問題がある。
【0018】
また、単相電源の大地との電位差が220Vで電位が高くて電力線で漏電が生じた場合、感電や火災が発生して人命と財産被害が発生するという問題がある。
【0019】
したがって、三相または単相配電系統の電源側で断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電などが発生した場合、直ちに警報、遮断、リアルタイムで復旧する、配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システムが必要となり、本発明は、このような従来の配電系統で発生する諸問題を解決するために、三相4線式(R、S、T、N)または単相2線式(RNは、SN、TN)配電系統から供給される電源ラインで断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電が発生する際に、このような異常の発生を直ちに警報・遮断・リアルタイム復旧、これにより停電、感電、機器焼損、火災、過熱、開閉器の機能麻痺などの事故が発生することを防止するための、配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム及びその工事方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するための本発明の一側面による、配電系統における電源側断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電による停電、感電、火災事故防止のためのシステムは、前記配電系統に電源側探知/復旧器及び負荷側探知/復旧器の少なくともいずれか1つを備えていてもよい。
【0021】
前記電源側探知/復旧器及び負荷側探知/復旧器は、単相または三相電源に電気/電子的に接続される素子で中性点を形成し、この中性点を大地に接地するか、この中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報、通知、制御のうちのいずれか1つ以上を行うことを特徴とする。
【0022】
ここで、前記素子は、インダクタ(inductor)、抵抗(resistance)、キャパシタ(capacitor)、バリスタ(varistor)、シリコン(silicon)またはゲルマニウム(germanium)、炭素(carbon)、コイル(coil)、集積回路(integrated circuit )のうちから選択された1つ以上であることを特徴とする。
【0023】
本発明の一実施例において、前記電源側探知/復旧器は、電源出力コイルの中間(センタータップ)に中性点を構成して、この中性点を大地に接地するか、中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報、通知、制御のうちのいずれか1つ以上を行うことができ、前記負荷側探知/復旧器は、電源出力コイルの中間に中性点を構成して、この中性点を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器の中性点に接続するか、中性点と大地との電位差を検出することにより、単相または三相電源の電源供給線路における欠相、断線、接触不良、抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報、通知、制御のうちのいずれか1つ以上を行うことができる。
【0024】
一方、本発明の他の実施例において、前記電源側探知/復旧器は、1次コイルを含んでいてもよく、鉄心である第1レッグ、第2レッグ、第3レッグと;2次コイルである第1巻線、第2巻線、第3巻線と;を備えていてもよい。ここで、前記第2レッグは、2つの位相の磁束の通路として使用し、前記第1巻線は、前記第1レッグに巻き付けられ、前記第2巻線は、前記第3レッグに巻き付けされ、前記第3巻線は、前記第1巻線及び前記第2巻線が巻き付けられた巻線の逆方向に前記第1レッグ及び前記第3レッグにおいてジグザグに巻き付けられており、前記第1巻線、第2巻線、第3巻線の一方の端が中性線に接続され、前記中性線と接続されている前記第1巻線、前記第2巻線、または前記第3巻線の中間には、単相電源を供給する中間タップを含んでいてもよい。
【0025】
本発明のまた他の実施例において、前記電源側探知/復旧器は、前記配電系統における落雷、短絡、地絡、機材焼損、ヒューズ断線が原因で、電源側においてR相、S相、T相、または中性線Nが断線するか欠相しても、リアルタイムで電気故障を復旧し、単相電源を供給して単相電源の停電を防止し、単相電源の大地との電位差を降圧して漏電(地絡)による感電、火災の発生を予防することができる。
【0026】
本発明のまた他の実施例において、前記電源側探知/復旧器は、中性点を大地に接地し、電源供給線路と大地との電位差を一定電位(例えば、110V)に維持できるようにすることにより、漏電発生による感電、火災事故の発生を予防することができる。
【0027】
本発明のまた他の実施例において、前記電源側探知/復旧器は、三相4線式または単相3線式配電系統に接続され、前記配電系統における中性線断線時に不平衡過電圧の流入を防止して、それによる発熱、火災を根本的に防止することができる。
【0028】
本発明のまた他の実施例において、前記電源側探知/復旧器は、三相または三相4線式配電系統に接続され、電源側において1相のヒューズ断線、線路の損傷・断線、変圧器の故障、機材の焼損、欠相、中性線断線時にも、リアルタイムで三相電力を復旧し、負荷側に単相電源を停電せずに供給することにより、電気の故障による単相電源の停電を根本的に防止することができる。
【0029】
一方、本発明の一実施例において、前記負荷側探知/復旧器は、中性点を大地に接地し、単相電源供給線路を1つの線で構成することにより、線路による短絡事故を防止し、漏電の減少、線路故障の減少、線路保守を容易に行い、工事コストを削減することができる。
【0030】
また、本発明の他の実施例において、前記負荷側探知/復旧器は、中性点を前記電源側探知/復旧器の中性点に接続して、前記負荷側探知/復旧器の電源側において断線、接触不良、半断線、または漏電(地絡)が発生して電気故障が発生した場合、前記負荷側探知/復旧器の電力線または中性点において電気信号を発生して故障検出器(後述)に伝達することができる。
【0031】
一方、前記故障検出器は、前記負荷側探知/復旧器の入出力線路に備えられた電力線または中性点の故障時に発生する電気信号を探知して、断線、接触不良、半断線、または漏電(地絡)の発生が探知された場合、警報発生器を用いて警報するか、遮断器を用いて遮断するか、前記負荷側探知/復旧器を用いてリアルタイムで復旧できるようにすることができる。
【0032】
前記故障検出器としては、前記中性点または電力線から出力される故障発生電気信号を検出するために、電子リレー(SSR)、零相変流器、電圧検出器、電流検出器、またはリレーを使用することができる。
【0033】
また、課題を解決するための本発明の他の側面によれば、第1中性点を備え、この中性点を大地に接地して大地との電位差を既存の電位差より降圧する電源側探知/復旧器と;第2中性点を備え、この中性点を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器の中性点に接続して電源側の電気故障をリアルタイムで復旧する負荷側探知/復旧器と;前記負荷側探知/復旧器の電力線または中性点の入出力電流を検出するか、前記中性点と大地電圧を探知して警報または遮断するか、検出した故障検出値を制御器に伝達する故障検出器と;前記故障検出器により提供された検出値を既設定値と比較して故障と判断されると、警報を発するか、電源を遮断するか、有無線で通知するように通信モジュールに伝達し、警報解除信号が受信されると、警報を解除する制御器と;前記故障検出器または制御器から提供された警報信号に応じて警報を発する警報発生器と;前記警報発生器の警報発報を解除するための警報解除入力器と;前記故障検出器または制御器の遮断信号に応じて故障電源を遮断するための遮断器と;を含む配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システムが提供される。
【0034】
課題を解決するための本発明のまた他の側面によれば、配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム工事方法が提供されるが、この方法は、三相または単相の既存の配電系統に電源側探知/復旧器または負荷側探知/復旧器を設けるステップと;前記電源側探知/復旧器の中性点を大地に接地するか、前記負荷側探知/復旧器の中性点に接続するか、前記電源側探知/復旧器の中性点と大地との電位差を検出するために故障検出器を設けるステップと;前記負荷側探知/復旧器の中性点を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器の中性点に接続するか、前記負荷側探知/復旧器の中性点と大地との電位差を検出するために故障検出器を設けるステップと;前記電源側探知/復旧器の出力コイルの巻線と負荷とを接続するか、前記電源側探知/復旧器の出力コイルの巻線と、前記負荷側探知/復旧器の入力コイルの巻線とを電気的に接続するステップと;前記電源側探知/復旧器の入力電源側コイル巻線を、既存の配電系統の三相または単相電源線路に電気的に接続して、前記電源側探知/復旧器及び電源設備または前記電源側探知/復旧器及び前記負荷側探知/復旧器の単相または三相電源の電源設備における欠相、断線、接触不良、または抵抗の増加時に、復旧、遮断、警報、通知、制御のうちのいずれか1つ以上を行うステップと;を含む。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、単相2線式または単相3線式または三相4線式配電系統から供給される電源側の断線時に、正常電力にリアルタイムで復旧することにより、停電を防止して、停電による各種事故の発生を防止することができる。これにより、電源側の断線、接触不良、漏電、反断線などによる感電、電気機器焼損、電気火災などで人命事故の発生を防止することができる。
【0036】
また、単相(2線式、3線式)または三相(3線式、4線式)配電系統における電源側の漏電、断線、接触不良、半断線、抵抗の増加などによる電気故障を直ちに遮断するか、リアルタイムで通知(警報)することにより、電気故障を迅速に復旧できるようにして事故の拡大を防止することができる。
【0037】
また、三相4線式に備えられた単相配電系統において中性線が原因で発生する断線、映像高調波などの中性線による事故はもちろん、単相電力線の大地に対する電位を降圧して、漏電(地絡)による感電及び火災事故の発生を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来の単相2線式配電線路の構成図である。
図2】本発明の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200の構成図である。
図3】単相2線式入力電源であるときの図2の実施例回路図である。
図4図3の変形実施例であって、復旧配電系統150の線路を1線で構成する場合の図2の実施例回路図である。
図5】単相3線式入力電源であるときの図2の実施例回路図である。
図6】三相4線式入力電源であるときの図2の回路図、及び本発明の好適な実施例による配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システムの工事方法200の構成図である。
図7】電源側探知/復旧器の複数の実施例の回路図である。
図8】三相4線式電源側探知/復旧器の欠相時の電力復旧原理(手順)を説明するためのベクトル図であって、 ベクトル図241-aは、電源側探知/復旧器240の正常状態であるときの位相ベクトル図であり、 ベクトル図242-bは、入力電源S相が断線、欠相したときの復旧手順ベクトル図であり、 ベクトル図243-aは、入力電源R相が断線、欠相したときの復旧手順ベクトル図であり、 ベクトル図242-bは、入力電源T相が断線、欠相したときの復旧手順ベクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明に係る「配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム」は、中性点を備え、この中性点を大地に接地して大地との電位差を既存の電位差より降圧する電源側探知/復旧器と;中性点を備え、この中性点を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器の中性点に接続して電源側の電気故障をリアルタイムで復旧する負荷側探知/復旧器と;前記負荷側探知/復旧器の電力線または中性点の入出力電流を検出するか、前記中性点と大地電圧を探知して警報または遮断するか、検出した故障検出値を制御器に伝達する故障検出器と;前記故障検出器により提供された検出値を設定値と比較して故障と判断されると、警報を発するか、電源を遮断するか、有無線で通知するように通信モジュールに伝達し、警報解除信号が受信されると、警報を解除する制御器と;前記故障検出器または制御器から提供された警報信号に応じて警報を発する警報発生器と;前記警報発生器の警報発報を解除するための警報解除入力器と;前記故障検出器または制御器の遮断信号に応じて故障電源を遮断するための遮断器と;を備える。図面を参照してより具体的に説明する。
【0040】

図2は、本発明の好適な一実施例による配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200の構成図であって、以下の構成要素を含む。
【0041】
-既存の単相または多相の多線式(例えば、単相(2線式、3線式)、三相(3線式、4線式))などの配電系統(例えば、図1)に備えられたメイン変圧器(例えば、図1の300)に接続される電源側探知/復旧器240。これは、自体的に大地に接地される中性点(第1中性点)を備え、大地との電位差を既存の電位差より降圧する役割を果たす。
【0042】
-配電系統の負荷側線路に接続される負荷側探知/復旧器230。これは、自体的に他の中性点(第2中性点)を備え、この第2中性点を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器の第1中性点と接続して電源側の電気故障をリアルタイムで復旧する。
【0043】
-負荷側探知/復旧器230と連動して電源側の断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電の発生を探知する故障検出器210。前記負荷側探知/復旧器の電力線または第2中性点の入出力電流を検出するか、第2中性点の電圧を検出して故障を探知し、検出した故障検出値を制御器に伝達する。
【0044】
-故障検出器210によって検出されるか、下記制御器によって判断される故障発生を視覚的および/または聴覚的警報で発報する警報器250。
【0045】
-発生した警報を解除する信号を入力されて(例えば、警報解除スイッチの操作時)警報解除信号を発生する警報解除入力器260。
【0046】
-故障検出器210によって故障発生が検出されるにより、または下記制御器の遮断信号に応じて配電系統の電源側及び負荷側を遮断する遮断器270。
【0047】
-前記故障検出器210の出力から配電系統の故障を判断して、前記警報発生器250または遮断器270を作動させる警報または遮断信号を出力し、通信モジュールを用いて有無線で外部の管理者に通知する制御器220。
【0048】
以下、図2の各構成要素の詳細について、図3図6を参照して、具体的な実施例を挙げて説明する。図3は、単相2線式入力電源である場合の図2の実施例である、単相配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200の実施例回路図である。図4は、単相2線式である図3の変形実施例であり、復旧配電系統150の線路を1線で構成する場合の図2の実施例回路図である。図5は、単相3線式入力電源であるときの図2の実施例回路図である。図6は、三相4線式入力電源であるときの図2の実施例回路図である。
【0049】
電源側探知/復旧器240は、配電系統(例えば、図1)のメイン変圧器(main voltage transformer)(例えば、図1の300)から電源を供給されるために電源側に接続され、自体的に大地に接地される中性点(第1中性点N1)を有して、大地との電位差を既存の電位差より降圧する役割を果たす。
【0050】
具体的な例として、図3における電源側探知/復旧器240は、メイン変圧器300のR相単相電源の出力に接続される1次コイルL5と、この1次コイルL5に直列に並んで接続される2つの2次コイルL3、L4と、から構成されている。直列接続されている2つの2次コイルL3とL4との間には、第1中性点N1が形成されて接地される。実際に2次コイルL3及びL4は1つのコイルであり、その中間に形成したセンタータップを第1中性点N1として接地してもよい。図3の実施例の電源側探知/復旧器240では、1次コイルL5と2次コイルL3との間の接続点から1つの負荷電力供給線R2が出てき、2次コイルL3と接続されている他の2次コイルL4の終端部から他の1つの負荷電力供給線R1が出てきて復旧配電系統150を構成する。
【0051】
また、図4における電源側探知/復旧器240は、メイン変圧器300のR相単相電源の出力に接続される1次コイルL5と、この1次コイルL5に直列に接続される1つの2次コイルL3と、から構成されている。直列接続された2次コイルL3の終端部が第1中性点N1で構成されて接地される。1次コイルL5と2次コイルL3との間の接続点から1つの負荷電力供給線R1が出てきて復旧配電系統150を構成する。
【0052】
また、図5の単相3線式入力電源の実施例における電源側探知/復旧器240の構成は、図3の場合と同じである。但し、N1が自体的に接地されておらず、他の2つの負荷電力供給線R1、R2とともに、第3負荷電力供給線Nから出てきて復旧配電系統150を構成する。
【0053】
一方、三相4線式入力電源であるときの電源側探知/復旧器240-aは、図6に示すように構成されて、三つの負荷電力供給線R1、R2、Nが出てきて復旧配電系統150を構成する。
【0054】
電源側探知/復旧器240を総合的に詳細に説明すると、既存の三相4線式(R、S、T、N)または単相(RN、SN、TN)配電系統の電源電圧が220Vであれば、大地との電位差は220Vとなる。ここで、電源側探知/復旧器(240、または図6図8の240-a)の1次コイルは、三相380Vまたは単相220Vの電源を供給される。供給された電源を実使用電源に変圧するために変圧比に応じて2次コイルを巻き付ける。2次コイル巻線の中間には、中間タップまたは第1中性点N1を構成し、この中性点N1を大地Eに接地することで、復旧配電系統150の電源ラインを確保し、供給電源の大地との電位差を110Vに降圧する。ここで、電源側探知/復旧器240、240-aの2次コイルの巻線L3、L4を、変圧比を1:1にして巻き付けることが望ましい。
【0055】
このような電源側探知/復旧器240は、単相供給電源の電位を110Vに降圧することにより、漏電(地絡)時にも感電の危険性を減らすことができ、不平衡単相負荷を有する配電系統で共通に使用される中性線を排除させて、中性線の断線が原因で不平衡負荷によって流入する異常電圧の発生を遮断する。これにより、復旧配電系統150の信頼性を確保し、特に単相3線式では、中性線が断線してもリアルタイムで復旧することができるようにして、中性線による電気事故を負荷側探知/復旧器230を用いて根本的に防止することができる。
【0056】
次に、負荷側に接続される負荷側探知/復旧器230について説明する。
【0057】
図3において、負荷側探知/復旧器230は、負荷に供給される2線R1’、R2’に夫々接続されて単相電源が入出力される各コイルL1とL2の接続点(または2線に接続される1つのコイルL1-L2のセンタータップ)に、第2中性点N2を形成して接地する構成を有している。
【0058】
図4の負荷側探知/復旧器230は、図3の負荷側探知/復旧器230に対して、それ自体構成は類似しているが、負荷側探知/復旧器230が遮断器270よりも前段で復旧配電系統150に接続されるという点が相違している。また、図4において、負荷側探知/復旧器230は、1つ以上の多数で並列接続されて一種の冗長(redundancy)機能を有する。
【0059】
図5において、負荷側探知/復旧器230は、遮断器270の後段の2つの負荷電力供給線R1’、R2’に図3の場合と同様に接続され、第2中性点N2は、第3負荷電力供給線N’に接続される。
【0060】
また、図6において、負荷側探知/復旧器230は、2つの遮断器270の後段に位置するが、左の図5の場合と同様に、第2中性点N2を電源側探知/復旧器240-a の第1中性点N1と電気的接続し、右は図4の場合と同様に、第2中性点N2を接地する。
【0061】
その後、故障検出器210では、電流/電圧検出器を使用して負荷側探知/復旧器230のコイルL1-L2に流れる電流またはその両端の電圧を検出するか、第2中性点N2と接地Eとの間の電流を検出する。この場合に、制御器(図2の220)は、故障検出器210が検出した検出値と、制御器220に予め設定した設定値とを比較判断して故障かどうかを判断し、故障と判断すれば、遮断器270でトリップ信号を出力するようにする。トリップ信号は、図2に示すように、故障検出器210から出力されるように設計してもよく、制御器220から出力されるように設計してもよい。
【0062】
一方、他の実施例として、故障検出器210を無接点リレー(SSR)で実現すると、電源線の断線を探知し、これから制御器220により断線を判断して警報または遮断信号を出力できるようにしてもよい。
【0063】
以下では、図3図5に示す各実施例に基づき、単相配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200の作用について具体的に説明する。
【0064】
電源側探知/復旧器240は、単相電源を変圧(voltage transformation)して出力するコイルと鉄心とから構成されている。出力コイルの巻線の中間に第1中性点N1を形成し、この中性点N1を大地Eに接地することにより、前記電源側探知/復旧器240から出力されて供給される単相2線の電源の電位差を既存の供給電源に対して半分に減少させて、地絡(漏電)による感電、火災事故を大幅に緩和させる。また、一般的な単相負荷で共通に使用される一般配電系統の中性線Nを使用しないので、中性線による異常電圧の流入を根本的に防止して、中性線の断線による火災危険を根本的に除去することにより、電気火災から人命と財産を保護する機能を有する(但し、図5の単相3線式では中性線を使用するが、中性線が断線しても負荷側で直ちに復旧して異常電圧を発生しない)。
【0065】
このような単相配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200は、復旧配電系統150の配電線路の負荷側電路に設けられる負荷側探知/復旧器230を含む。前記電源側探知/復旧器240から供給される電源ラインが故障した場合にこれを復旧、遮断、警報、通知するために、負荷側探知/復旧器230の入力または出力コイルに第2中性点N2を構成し、この第2中性点N2を大地Eに接地するか、第2中性点N2を、前記電源側探知/復旧器240に備えられた第1中性点Nに電気的に接続する。これにより、単相2線式または単相3線式の電源が断線、接触不良、または半断線時にリアルタイムで復旧する。または、断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電発生時に、電力線または中性点での故障電圧発生または故障電流の流れを、故障検出器210が探知することができる。
【0066】
また、前記電源側探知/復旧器240の第1中性点N1と電気的に接続される前記負荷側探知/復旧器230の第2中性点N2は、単相3線式においては中性線となり、単相3線において電源側の断線発生時に、直ちに警報または遮断または復旧可能になる。前記第1中性点N1と電気的に接続されている第2中性点N2を、単相2線式系統においても使用すると、電源線路の断線時に予備線路としての役割を果たすようになり、負荷側における短絡時には、短絡電流が分散されて流れることにより、系統の信頼性を向上させることができるようになる。
【0067】
一方、前記負荷側探知/復旧器230について説明すると、負荷側探知/復旧器230においても、供給電源の入出力コイルの中間に第2中性点N2を形成して、この第2中性点N2を大地に接地するか、前記電源側探知/復旧器240の第1中性点N1と接続する。これにより、復旧配電系統150の電線路R1、R2などにおいて断線、抵抗の増加、接触不良、半断線、漏電が発生して、前記電線路に不平衡が発生した場合、リアルタイム復旧、警報または遮断できるように第2中性点N2を用いて動作するようになる。
【0068】
ここで、前記電線路のうち単相2線式のR1の断線時の復旧過程を説明する。電源側において電線路R1が断線すると、電線路R2である1つの線だけが残ってしまい、前記電線路R2が負荷側探知/復旧器230のコイルL2に電源を供給する。このコイルL2は、負荷側探知/復旧器230の第2中性点N2に接続されている大地Eと連携することにより、コイルL1を電磁誘導して単相2線式の電源を復旧する。一方、前記電線路R2が断線すると、電線路R1である1つの線だけが復旧配電系統150に残ってしまい、前記電線路R1が負荷側探知/復旧器230のコイルL1に電源を供給する。このコイルL1は、負荷側探知/復旧器230の第2中性点N2に接続されている大地Eと110Vの電位を維持することにより、コイルL2を電磁誘導して単相2線式の電源をリアルタイムで復旧する。接触不良や半断線の場合にも、前記のような理由によりリアルタイムで復旧される。
【0069】
単相3線式の場合にも単相2線式の場合と同様に、大地Eの代わりに中性点を利用することにより、同じ原理で復旧が行われるので、前記単相3線式についての詳細な説明は省略する。結局、図4に示した回路と同様に、単相電源線路を1つの線で構成しても正常的な電気使用が可能であることは自明である。
【0070】
また、前記復旧配電系統150の線路R1、R2からの漏電(地絡)が発生すると、漏電した回路にのみ漏れ電流が流れるようになり、負荷側探知/復旧器230の復旧電力によって漏れ電流が供給されるので、負荷側探知/復旧器230の入出力線路を零相変流器で監視するか、負荷側探知/復旧器230のN2端子と接続されている接地E線を零相変流器で監視すると、漏れ電流を検出することができる。または、負荷側探知/復旧器230のN2端子と接地とを接続せず、電圧により漏電のみを 検出する方法を取ってもよい。
【0071】
ここで、負荷側探知/復旧器230のN2端子と接地とを接続せずに電圧を検出すると、断線、接触不良、半断線の場合にも、前記N2端子と接地Eから電圧を検出することができるので、前記線路R1またはR2からの漏れ電流が検出される。前記N2端子と接地Eから電圧が検出されると、制御器220は、漏電(地絡)と判断して遮断または通知(警報)を発する。万が一、線路R1またはR2からの漏れ電流が検出されず、前記N2端子と接地Eから電圧が検出されると、断線、接触不良、半断線発生と判断し、制御器220は、前記N2端子と接地Eとを接続できるようにして復旧するか、遮断器または警報または通信モジュールを作動できるように電気信号を伝達する機能を実行する(ここで、電源側に漏電遮断器を使用すると、制御器、トリップコイル等を使用しなくても直ちに遮断することができる)。
【0072】
以下では、図6図8を参照して、三相4線式の電源の場合の断線及び欠相復旧について説明する。図6及び図7において、電源側探知/復旧器240-aは、夫々の電圧比1:1で巻き付けられた巻線P1、P2、P3、P4と、レッグ120、130、140と、を備え、単相電源を出力する中間タップと、中間タップに接続されている復旧配電系統150の単相線路R1及びR2と、が示される。
【0073】
図7は、電源側探知/復旧器240の複数の実施例を示す。240-aは、図6の3相4線式系統に使用された電源側探知/復旧器を示し、240-bは、図3の電源側探知/復旧器240の他の実施例であって、1次側と2次側とを隔離(isolation)するための構造を有し、240-cは、図4の電源側探知/復旧器240の他の実施例を示す。
【0074】
図8には、電源側探知/復旧器240-aの正常状態のベクトル図241-aと、断線、欠相時の復旧ベクトル図242-a、242-b、242-cが記述されている。図8に基づいて復旧について説明する。ベクトル図242-aの11は、入力S相が消滅した状態のベクトル図である。入力S相が消滅すると、巻線P1の電源は無くなり、互いに位相角120度を維持する入力R相と入力T相と中性線Nにのみ電源が入力され、一方の端が中性線Nと接続されている巻線P2の他方の端に入力R相の電圧が投入される。前記巻線P2が巻き付けられた第3レッグ140と同じレッグ140に、前記巻線P2の逆方向に巻き付けられた巻線P4には、中性点Nを基準として前記巻線P2に誘起された電圧と、位相が180度異なる位相電圧とが、電磁誘導で発生し、242-a(11)状態の位相ベクトルが示される。一方、前記入力R相と120度の位相差及び380Vの電位差を有し、中性線Nと220Vの電位差を有する前記入力T相は、巻線P3の一方の端に接続されて電源が投入され、前記巻線P4で発生した位相の電圧は、前記巻線P3と接続されている他方の端に入力T相と位相差を有する入力R相の逆方向の電圧を投入することになり、結局は前記巻線P3にも消滅した入力S相の位相と同じ電圧が誘起されて242-a(12)の状態の位相ベクトルが示される。また、前記巻線P3は、巻線P3が巻き付けられた同じレッグ120において逆方向に巻き付けられた巻線P1に巻線P3が持つ位相の逆位相の電圧を発生する電磁誘導を生じさせて、このため、前記中性点Nに一方の端が接続されている前記巻線P1は、中性点を基準として前記巻線P3位相の180逆位相である、消滅した電源入力S相を発生させて入力S相を復旧する。
【0075】
また、図8のベクトル図242-c(31)に示すようにT相が断線して消滅すると、入力R相と入力S相と中性線Nの電源だけが巻線P1、P2に入力されて、巻線P2は、同じレッグ140に巻き付けられた巻線P4を電磁誘導して巻線P4に電圧が誘起され、また、巻線P3は、入力S相と同じレッグ120に巻き付けられた巻線P1によって電磁誘導されてT相が復旧される。同様に、ベクトル図242-b21に示すように、入力R相が断線して消滅すると、入力S相の巻線P1によって巻線P3に同じ相の電圧が誘導され、入力T相の大地との電気的位置によって、巻線P3は、入力T相と接続されている電気的位置で入力S相の位相電圧が誘起されて、巻線P3と一方の端が接続されている巻線P4には、中性線との電位差220Vが発生し、その電位差によって巻線P4に電圧が誘起されて、最終的に巻線P2にも電圧が発生して入力R相が元に復旧される。
【0076】
また、前述したように、負荷側探知/復旧器230の中性点N2に故障検出器210を設け、前記故障検出器は、断線、漏電、接触不良、半断線の電気故障を探知し、探知された場合、その電気故障を警報または遮断するか、制御器220に伝達して復旧するようにするか、故障電気をリモート遮断するか、外部に有無線で通知して警報を発するようにすることができる。または、故障検出器210のみを用いて、制御器220無しで遮断や警報することも可能である。
【0077】
ここでは、制御器220無しで遮断または警報することについて詳しく説明する。断線、接触不良、または半断線が発生すると、負荷側探知/復旧器230に備えられた中性点N2と大地Eに電圧が発生する。故障検出器210として実現された無接点リレー(SSR)は、この際に発生した電圧を探知し、自体的に備えられたスイッチを使用してトリップコイルを作動させて遮断器270を動作させるか、警報発生器250を動作させることができ、故障電気をリアルタイムで復旧するために、前記負荷側探知/復旧器230に備えられた中性点N2と大地Eとを接続することができる。また、中性点N2と大地Eに流れる電流を故障検出器210で検出すると、復旧されていることを外部に知らせることができる。
【0078】
以下では、故障検出器210が電源側断線、接触不良、半断線を探知する方式について説明する。1)断線、接触不良、半断線を復旧するときに発生する大地Eと中性点N2の電圧や電流を探知する。2)単相2線式の電線路において電流値を検出し、その結果、R1+R2=0であれば正常と判断し、R1+R2≠0であれば復旧配電系統150に異常が発生したと判断する。3)単相3線式の電線路において電流値を検出し、その結果、故障復旧時に発生する電流がR1+N2≠0であるか、R2+N2≠0であれば、復旧配電系統150に異常が発生したと判断する。同様に、漏電発生の場合についても説明する。1)大地Eと中性点N2の電圧または電流を探知することができる。2)単相2線式の電線路において電流値を検出し、その結果、R1+R2=0であれば正常と判断し、R1+R2≠0であれば復旧配電系統150に異常が発生したと判断することができる。故障発生と判断されると、警報発報または遮断器270の遮断を行うか、検出値を制御器220に伝達して、制御器220からリモートで遮断器に遮断信号を送信するか、通信モジュールを介して有無線で故障発生を管理者に通知することができる。
【0079】
ここで、制御器220としては、既存のマイコン機能を有するリレー、漏電警報器などを用いてもよく、既存の施設に配備された通信設備を利用してもよい。ただし、本発明における制御器220は、制御可能なプログラムを格納し、このプログラムに基づいて配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200の全体の動作を制御することができるマイコン、マイクロプロセッサ、中央処理装置、マイクロコントローラなどで実現することが望ましい。
【0080】
一方、制御器220は、周知のように、電力線の断線、接触不良、半断線または漏電が原因で中性点N2において異常電圧が発生するか、異常電流が流れると判断されると、直ちに遮断器270を作動させるか、警報発生器250を駆動させる。警報発生器250は、断線、接触不良、半断線、または漏電異常を警報するが、本発明では、視覚的な警報および/または聴覚的な警報方法を利用して警報を発する。視覚および/または聴覚警報を発した状態で、管理者がこれを認識すると、直ちに後続措置を取り、これにより電力線の断線、接触不良、半断線、または漏電が原因で発生することができる様々な電気事故を防止することができる。
【0081】
管理者は、必要に応じて発した警報を解除することができる。例えば、警報解除入力器260に備えられた警報解除スイッチを操作すると、警報解除入力器260からの警報解除信号を発生し、制御器220に伝達する。制御器220は、警報解除信号が伝達されると、警報発生器250の動作を停止させて警報を解除する。
【0082】
また、本発明において、故障検出器210は、断線、接触不良、半断線、または漏電の発生を検出し、その結果、断線、接触不良、半断線、漏電発生であればハイ信号を、正常であればロー信号を夫々制御器220に伝達し、制御器220は、所定の設定値と比較して故障かどうかを判断し、予め定めた通りに、リアルタイムで復旧するか、警報するか、遮断するか、管理者に有無線で通知することにより、断線、接触不良、半断線、漏電が原因で発生する虞のある停電、感電、制御中断、機器焼損、火災などの電気事故を事前に防止することができる。
【0083】
また、本発明では、周知のように、断線、接触不良、または半断線時に負荷側探知/復旧器230を動作させて復旧させた状態においても、断線、接触不良、半断線、または漏電が発生したかどうかを、故障検出器210を用いて継続的に検出するが、この場合、電力線または中性点に異常電圧、異常電流が発生した際に負荷側探知/復旧器230を動作させたにもかかわらず、漏電、接触不良または半断線が検出されると、制御器220からの制御信号を用いて自動的に遮断器(MCCB、ELB、ギターなど)を動作させるか、警報するか、有無線で通知して停電、感電、負荷焼損、火災の発生を防止することができる。
【0084】
例えば、本発明によれば、配電系統の電源側での断線時には、自動的に故障電力自動復旧を行い、断線が原因で発生する停電事故の発生を防止し、接触不良、半断線時には、復旧してトラッキング、スパーク、劣化によるショート(短絡)、電気機器の焼損、過熱、電気火災を防止し、漏電発生時には、漏電による感電、電気火災を減らすことができるので、故障電気による事故を防止することができる。
【0085】
また、故障電力復旧に失敗した場合には、遮断器動作制御信号を発生して遮断器を動作させることにより、過電流、異常電圧などにより後段機器が損傷するのを防止することができる。
【0086】
本発明の配電系統電源線路故障時のリアルタイム探知/復旧システム200は、1つのモジュールとして実現して製品化することができる。これにより、電気故障(単相電源側の漏電、断線、接触不良、半断線)をチェックするか、分電盤または配電盤に設けて警報するか、遮断器と連携して電力異常時に電力を遮断するか、既存に設けられている電力供給用機器に簡単に適用して異常電力を警報するか、遮断するか、リアルタイムで電気故障復旧を行うことができるという利点を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8