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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】電気カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/08 20060101AFI20230417BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20230417BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61B18/08
A61M25/00 540
A61M25/00
A61M39/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019566060
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018019032
(87)【国際公開番号】W WO2018156639
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】62/461,673
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ミルハウス,パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン,ヘルス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーシー,カウシク
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0094713(US,A1)
【文献】特表2015-535652(JP,A)
【文献】国際公開第01/36017(WO,A2)
【文献】特表2016-514562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0072443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/08
A61M 25/00
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ本体とカテーテルコネクタ・アセンブリとを有し、前記カテーテルコネクタ・アセンブリが、カテーテルハブの遠位端と電気通信している1つまたは複数のハブの電気接触を含む、カテーテルハブであって、前記カテーテルコネクタ・アセンブリは、前記カテーテルハブの上面に比べて凹所をなしており、背壁および前記背壁に隣接した側壁を作り出し;および
前記カテーテルコネクタ・アセンブリに接続可能なインターフェースコネクタ・アセンブリを介して、動力をカテーテルに供給するように構成され、前記インターフェースコネクタ・アセンブリは、1つまたは複数のインターフェースの電気接触を含む、電気インターフェース;
を含み、
磁性取り付け機構であって、
前記カテーテルコネクタ・アセンブリは、前記1つまたは複数のハブの電気接触に隣接して配置された水平に面した2つの磁石と、垂直に面した1つの磁石とを含み、
前記インターフェースコネクタ・アセンブリは、前記1つまたは複数のインターフェースの電気接触に隣接して配置された水平に面した2つの磁石と、垂直に面した1つの磁石とを含むこと
を特徴とする、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記カテーテルハブの前記遠位端に接続されたカテーテルをさらに含み、前記カテーテルが、前記カテーテルコネクタ・アセンブリと電気通信している電動コンポーネントをさらに含み、それゆえに前記電動コンポーネントが、前記電気インターフェースによって選択的に操作可能である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記カテーテルハブの前記遠位端が、前記カテーテルの近位端上の近位の電気接触に接続可能な遠位の電気接触を含む、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記カテーテルコネクタ・アセンブリの前記垂直に面した1つの磁石の両側に位置する2つの垂直な稜線をさらに含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のハブの電気接触は、上方を指し示しているかまたは三角形である、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記磁性取り付け機構の前記磁石のいずれも、それらを取り囲む面に比べて、平らであるか、隆起しているか、窪んでいるか、または丸い、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記カテーテルコネクタ・アセンブリは、前記インターフェースコネクタ・アセンブリの窪みと嵌合するように形作られている複数の浮き出し構造をさらに含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記電気インターフェースは、前記カテーテルからデータを取得し、前記データをデータベースに格納するように構成されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。


【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
この出願は、2017年2月21日出願の「Electrical Catheter」と題された米国仮特許出願第62/461,673号の優先権を主張するものであり、この仮出願は、参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、数多くの介入性の手技において、医療デバイスなどの種々の治療作因を治療部位にデリバリするために使用される導管として利用される。治療作因および/またはデバイスを受動的にデリバリする単純な管状の導管として構成されるカテーテルもあれば、電力を要するコンポーネントを伴ってさらに構成されるカテーテルもある。
【0003】
例えば、ここに参照により組み込まれる米国特許出願公開第2016/0345904号では、1つまたは複数のセンサとその遠位端に関連の回路構成とを有するカテーテルが開示されている。これらのセンサとしては、患者の血管系内の状態を測定するための圧力センサまたは温度センサを特に挙げることができる。カテーテルの本体は、編組ワイヤの層を用いて構築され、そのいくつかは、センサとカテーテル近位端との間に電流を伝えるために使用される。
【0004】
別の例として、ここに参照により組み込まれる米国特許出願公開第2015/0173773号では、カテーテル遠位端を取り外すための様々な電気機構を有するカテーテルが開示されている。一実施形態では、カテーテル本体内の電気ワイヤは、カテーテルの遠位端の近くに位置するヒーターコイルに電流を供給する。電流が供給されると、ヒーターコイルは作動して、カテーテルの一部を融解または分断し、その遠位端を放出する。
【0005】
さらに別の例として、ここに参照により組み込まれる米国特許第9,808,599号では、カテーテルの内部通路内に電気接触を有するカテーテルが開示されている。電流は、これらの接触にデリバリされて、それによりカテーテル内の切片化されたインプラントを分割するか、またはバイメタルガイドワイヤを特定の方向に曲げることができる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、動力付きカテーテルおよび/または動力付きカテーテルシステムが記載される。本カテーテルは、1セットの接触コンポーネントを有するカテーテルハブを含み、この接触コンポーネントは、対応する第2の接触コンポーネントのセットを有する嵌合ケーブルに接続するように構成される。嵌合ケーブルは、別のデバイスの一部分、例えばコントローラまたは電源などとすることができる。
【0007】
一実施形態では、動力付きカテーテルおよび/または動力付きカテーテルシステムが記載される。本カテーテルは、1セットの接触コンポーネントと複数のワイヤとを有するカテーテルハブを含み、ワイヤは、カテーテルハブに接続され、カテーテルハブは、カテーテルの遠位部分に接続されている。カテーテルハブ接触コンポーネントは、対応する第2の接触コンポーネントのセットを有する嵌合ケーブルに接続するように構成される。嵌合ケーブルは、コントローラまたは電源などの別のデバイスの一部とすることができる。嵌合ケーブルとカテーテルハブとの間のインターフェースを使用して、嵌合ケーブルがカテーテルの遠位部分に接続されたデバイスからの電流、信号、および/またはデータを移送することができる。
【0008】
一実施形態では、カテーテルと外部デバイスとの間の通信を可能にするデータ移送システムが記載される。カテーテルは、第1の接触コンポーネントのセットを有するハブを含む。データ移送システムは、第2の接触のセットを有する嵌合ケーブルを含む。そして、嵌合ケーブルは、外部デバイスをカテーテルハブに接続し、信号またはデータをカテーテルハブと外部デバイスとの間で通過させることを可能にする。カテーテルは、カテーテルハブからカテーテルの別の部分に信号またはデータを移送するためのワイヤを含むことがある。
【0009】
一実施形態では、動力付きカテーテルハブが記載される。動力付きカテーテルハブは、1つまたは複数の接触コンポーネントを含む。
【0010】
一実施形態では、動力付きカテーテルおよび/または動力付きカテーテルシステムが記載される。動力付きカテーテルは、1つまたは複数の接触コンポーネントと、カテーテルハブに接続された1つまたは複数のワイヤとを含み、ワイヤは、カテーテルハブからカテーテルの別の部分にデータまたは信号を移送するように構成される。
【0011】
一実施形態では、治療デバイス(例えば塞栓コイル)に用いる取り外しシステムが記載される。取り外しシステムは、外部のグリップアセンブリを含む。嵌合ケーブルは、外部のグリップアセンブリをカテーテルハブに接続し、その際に、外部のグリップアセンブリとカテーテルハブとの間に信号またはデータが移送されるように、カテーテルハブおよび嵌合ケーブルは、それぞれ接触を伴って構成される。データまたは信号をカテーテルハブからカテーテルの遠位部分に移送できるように、一連のワイヤはカテーテルハブに接続される。治療デバイスの近位端は、外部のグリップアセンブリ内に配置することができ、外部のグリップアセンブリは、治療デバイスの一部を取り外すために、カテーテルの遠位部分と通信して、取り外しのシーケンスを伝えることができる。
【0012】
本発明の実施形態が可能であるこれらのおよび他の態様、特長、および利点は、以下の本発明の実施形態の記載、添付の図面に対してなされる参照から、明らかになり解明されるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0014】
図2】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0015】
図3】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0016】
図4】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0017】
図5】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0018】
図6】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0019】
図7】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0020】
図8】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0021】
図9】本発明によるインターフェース接続アセンブリを示す図である。
【0022】
図10】本発明によるインターフェース接続アセンブリを示す図である。
【0023】
図11】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0024】
図12】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0025】
図13】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0026】
図14】本発明によるインターフェース接続アセンブリを示す図である。
【0027】
図15】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0028】
図16】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0029】
図17】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0030】
図18】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0031】
図19】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0032】
図20】本発明による接続アセンブリを有するカテーテルハブを示す図である。
【0033】
図21】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0034】
図22】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0035】
図23】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0036】
図24】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0037】
図25】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0038】
図26】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0039】
図27】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0040】
図28】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0041】
図29】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0042】
図30】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【0043】
図31】本発明によるインターフェースコネクタ・アセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付の図面を参照して、本発明の具体的な実施形態を記載する。しかし、この発明は、数多くの異なる形態で具現化されることがあり、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が周到で完全なものとなるように、ならびに本発明の範囲を当業者に充分に伝えるものとなるように、示されている。添付の図面で説明される実施形態の詳細な記載に使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面中、同じ番号は同じ構成要素を指す。
【0045】
カテーテルは、数多くの介入性の手技において、医療デバイスなどの種々の治療作因を治療部位にデリバリするために使用される導管として利用される。治療作因および/またはデバイスを受動的にデリバリする単純な管状の導管として構成されるカテーテルもあれば、電力を要するコンポーネントを伴ってさらに構成されるカテーテルもある。
【0046】
以下の実施形態は、カテーテルと動力インターフェースとの間で動力および/またはデータを伝えるためのシステムに向けられる。このシステムは、種々の異なるカテーテルの機能化を可能にすることができ、そのようなものとしては、前記カテーテルを通じてデリバリされる治療デバイスとの電気的な相互作用、イメージングの提供、または治療範囲に関するセンサ情報の提供が挙げられる。
【0047】
カテーテルは多くの場合、介入性の手技に使用されることから、血液や生理食塩水などの流体が存在することがある。液体の曝露は、回線経路に影響を及ぼすか、そうでなければ遮断する可能性があることから、導電性のコンポーネントを電気的に隔離することが重要である。しかし、カテーテルは、典型的には手技の前または後のどちらかに動力/データインターフェースに接続されるため、両方使い易くかつその電気接触への流体の浸潤に耐える電気コネクタを含むべきものである。以下の実施形態は、これらの課題に対処する。であることいくつかの異なる実施形態が下記に記載される一方で、これらのコンポーネントの個々の特長もまた、開示される他の実施形態に使用できることにさらに留意すべきである。換言すれば、記載される個々の特長のそれぞれを、混合し、任意の様々な実施形態に適合させることができる。
【0048】
図1は、電気インターフェース110とカテーテル104との間で電流および/またはデータを伝える電気カテーテルシステム100を説明する。電気インターフェース110は、インターフェースコネクタ・アセンブリ108により終端するワイヤ125を含み、インターフェースコネクタ・アセンブリ108は、次いでカテーテルハブ102上のカテーテルコネクタ・アセンブリ106に接続しており、それによって、ハブ10と動力/データを交換することが可能になる。ハブ102のワイヤ120(図5)は、カテーテル104本体内の電気路に接続されており、それによって、電気インターフェース110がカテーテル104の遠位端に動力/データを伝えることが可能になる。
【0049】
この明細書にさらに記載されるように、インターフェースコネクタ・アセンブリ108およびカテーテルコネクタ・アセンブリ106は、磁性取り付け機構、摩擦式/機械式取り付け機構、または両方の組合せを含むことがある。図1図10に示される実施形態は、主として磁性による取り付け機構を説明する。具体的には、カテーテルコネクタ・アセンブリ106は、水平に面した2つの磁石112と垂直に面した単一の磁石113とを含む(図2図3を参照)。インターフェースコネクタ・アセンブリ108(図9図10を参照)は、同様に、水平に面した2つの磁石115と垂直に面した1つの磁石123とを含む。磁石115、123の間隔および方位は、磁石112、113と同じであり、それによって、磁石が互いに整列し接触することが可能になる。磁石112、113が磁石115、123とは反対に面した極性を有する場合、それらは、流体の貫入に耐えるのに充分な力を伴って、磁気により互いに噛み合うものとなる。この明細書が、磁石を有するものとしてインターフェースおよびカテーテルコネクタ・アセンブリ108、106の両方を参照する一方で、対応する各磁石の対(例えば、磁石113および123)が、たった1つの磁石と1つの鉄金属から交互に構成される可能性があり、それらが磁力を同様にもたらすことを理解するべきである。
【0050】
図2および図3で最もよく認められるように、カテーテルコネクタ・アセンブリ106は、カテーテルハブ102の上面に比べて凹所をなしており、それによって、支えまたは背壁118が作り出され、それに対してインターフェースコネクタ・アセンブリ108が位置付けられる。一実施形態では、インターフェースコネクタ・アセンブリ108は、それをカテーテルハブ104の上面と比較的同一の平面をなすものとする厚さを有する。
【0051】
本願の実施形態では、カテーテルコネクタ・アセンブリ106は、背壁118に隣接した単一の側壁を含むのみである。インターフェースコネクタ・アセンブリ108が横に(すなわち、背壁118に面した際に左へ)滑るのを防止する一助とするために、カテーテルコネクタ・アセンブリ106の下方の垂直面は、磁石113の両側に2つの垂直な稜線116を含む。これらの稜線116は、インターフェースコネクタ・アセンブリ108の隆起部分119内にある2つの同様のサイズ/位置の溝筋121と嵌合する。任意選択的に、カテーテルコネクタ・アセンブリ106上にインターフェースコネクタ・アセンブリ108を摩擦によって保持する一助となるよう、噛み合わされた際に稜線116にいくらかの摩擦をもたらすように、これらの溝筋121をサイズ調整するか、そうでなければ構成することができる。
【0052】
インターフェースコネクタ・アセンブリ108が、カテーテルコネクタ・アセンブリ106適正に接続された際には、複数のカテーテル電気接触114は、整列化され、複数のインターフェースの電気接触117と接触させられる。本願の実施形態は、4つの接触114を図示しており、この4つの接触114は、別の4つの接触117と接触して、カテーテル104とインターフェース110との間で動力および/またはデータ信号を交換する。しかし、カテーテル104の機能性に応じて、他の数の接触を各アセンブリ106、108上に設けることも可能である。例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、および18個の個々の接触が可能である。
【0053】
図5および図8に最もよく認められるように、カテーテルコネクタ・アセンブリ106は、接触114と電気通信している複数の後方内部の電気接触126を含む。複数のワイヤ120は、それらの後方内部の接触126に個別に接続されており、ハブ102を通じて(任意選択的に、ハブ通路102Aの壁の内部に)カテーテル104内に延びている。
【0054】
図16に示される一実施形態では、ワイヤ120は、カテーテル104の壁の内部をその遠位端に向かって延びており、電動コンポーネント158(例えば、ヒーターコイル、センサなど)に接続している。図17および拡大図の図18に示される別の実施形態では、各ワイヤ120は、カテーテルの壁の内部に位置する導電帯157に電気的に接続されている。導電帯157は、カテーテル104を完全にまたは部分的に取り巻く管状構造をとることができる。次いで、それぞれの帯157は、カテーテル104の壁の内部にある1つまたは複数のワイヤの編組構造層159に、電気的に接続される。これらの編組ワイヤの編組構造層159は、最終的には1つまたは複数の遠位の電動コンポーネント158(例えば、ヒーターコイル、センサなど)に接続されて、カテーテルの近位端と遠位端との間の電気通信をもたらす。動力およびデータを伝えるための編組構造層のカテーテルの使用の追加的な詳細は、ここに参照により組み込まれる米国特許出願公開第20160345904号に見出すことができる。電動コンポーネントの追加的な詳細は、その全てが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9808599号、米国特許出願公開第2015/0173773号、および第2016/0345904号に見出すことができる。
【0055】
上記に議論されたように、動力付きカテーテルハブは、さらに広域の電気通信システムの一部として使用されることがあり、このシステムは、インターフェースコネクタ108を介してカテーテルハブに接続された外部インターフェース110とカテーテルの遠位端との間で通信を可能にする。例えば、カテーテルの遠位端は、1対の分極した接触を含むことがあり、この接触は、インプラント(例えば、塞栓コイル)デリバリシステムと電気的に相互作用する。外部インターフェース110は、バッテリを含むことがあり、このバッテリは、電圧源を提供し、インターフェースコネクタ108およびカテーテルコネクタ106を通じてカテーテル上の分極した接触と接続する。塞栓コイルデリバリシステムは、1対の導電スリーブを含み、このスリーブは、分極したカテーテルの接触に合致して回路を完結させ、それによって電流をコイルプッシャー上のヒーターに供給して、コイルプッシャーからコイルを取り外す。4つのカテーテルコネクタ接触114と4つの対応のインターフェースコネクタ接触117とを使用する場合、2つの接触を正および負のDCバッテリ源に使用し、余分の2つの接触を、重複性のために、もしくは別の遠位カテーテルシステム(例えば、イメージングシステム、圧力または温度のモニタリング、焼灼システムなど)に動力を供給するために、または取り外しが実行されたことを確認するためのフィードバックループとして、残しておくことができる。このようにして、複数の接触は、複数のカテーテルのプロセスを実行することを可能にするか、あるいは重複化により障害を防ぐことを可能にするか、またはフィードバックループを介して確認を可能にする。言うまでもなく、さらに数多くの接触(例えば、4つを超える接触)によって、さらに数多くのカテーテルの操作とさらに多くの重複性とが円滑に進むものとなる。この例は主に、塞栓コイルの取り外しシステムについての説明的な概念を強調したものだが、他の様々なカテーテル操作(例えば、イメージング、圧力/温度センシング、焼灼、冷却、測定、カテーテルの遠位先端部を取り外すための取り外しシステム)もまた可能である。他の様々な例では、2つのコネクタ接触点が、電流、データ、または信号のための電気通信を提供できるのに対し、2つの他方のコネクタ接触点は、様々な目的(例えば、低電力センシング)のためのキャパシタのように役割を果たすことができる。加えて、2つの遠位のカテーテル接触を、カテーテル設置型の低電力センシングのアプリケーションのための、遠位のキャパシタシステムとさらに組み合わせることができる。
【0056】
他の例では、外部インターフェース110は、コンピュータによりカテーテルの遠位部分に信号を送信するか、またはカテーテルの遠位部分からの受信信号を読み解く、さらに広範なコンピューティングシステムまたは「脳」である。例えば、外部インターフェース110を使用して、カテーテルの外側の音響信号を送信して、次いで受信された音響信号から得られる画像の再現に基づき、標的治療範囲の画像を再現し表示することができよう。別の例として、外部インターフェースまたは「脳」は、抵抗または他の測定を使用して、いつ塞栓コイル取り外し接触がカテーテルの接触に正しく合致されたかを決定して、信号(例えば光)をユーザに伝えるものとなり、ユーザは、外部インターフェース上で、カテーテルの遠位端にインパルスを送信してコイルを取り外すための行動をとる(例えば、ボタンを押す)ものとなる。
【0057】
図19および図20に示す別の実施形態では、ハブ102およびカテーテル104は、規格化された電気接続アセンブリ133を有することがある。さらに具体的には、ワイヤ120は、ハブ102の遠位端102C上で複数の管状の電気接触135に接続する。同様に、カテーテル104はまた、その内部経路内に複数の管状の電気接触137を含み、それらの接触137は、接触135に合致するように配置されている。そのため、カテーテル104の近位端が、ハブ102の遠位端102Cを覆って配されると、接触135および137は、互いに接触して、遠位の電動コンポーネント158と(編組構造層159を介して)ハブ102との間に電気通信を構築する。接触137の付番および配置、異なる電動コンポーネント159を有する種々のカテーテルと共にハブ102を使用できるように、137を標準化することができる。任意選択的に、ハブ102は、この明細書のどこか他の場所に記載されるように、トラッキングおよび在庫の用途で使用できる固有の識別標示(例えばシリアル番号)を通信する回路構成をさらに含むことがある。
【0058】
図4図8を参照すると、本実施形態のハブ102は、全体的に中空の本体を有することがあり、それにより、製造プロセスを円滑に進めるための分離された別々のコンポーネントとして、カテーテルコネクタ・アセンブリ106をハブ102に接続することが可能になる(これらの図では、カテーテルコネクタ・アセンブリ106をさらにはっきりと見えるようにするという説明的な目的のみのために、ハブ102の底部パネルが除かれていることに留意されたい)。例えば、ハブ102の本体は、凹所をなす範囲102Bを側壁に含むことがあり、この範囲102Bは、カテーテルコネクタ・アセンブリ106の背壁118に隣接する溝筋124に噛み合うことができる。あるいは、ハブ102は、単独の連続した一体型のコンポーネント(ハブ通路102Aを除く)とすることができる。例えば、そのようなハブは、射出成形の型の中でワイヤ120の周囲に射出成形を介して、またはワイヤ通路を内部に配置した型を設計することによって、作製することができよう。カテーテルコネクタ・アセンブリ106の形状は、型の一部とするか、または成形プロセス後にハブに取り付けるかのどちらかにすることができる。
【0059】
カテーテルコネクタ・アセンブリ106は、カテーテルハブ上の複数の場所に位置することができる。例えば、図11は、カテーテルハブ130を説明しており、このカテーテルハブ130では、カテーテルコネクタ・アセンブリ106が、前述のカテーテルハブ102よりも遠位に配置される。カテーテルコネクタ・アセンブリ106が、ハブ130の上部平面に比べて凹所となっていることから、この遠位での配置によって、近位の側壁部分130Aが作り出される。そのため、インターフェースコネクタ・アセンブリ108は、カテーテルコネクタ・アセンブリ106に接続されると、両側から横方向に支持を受ける。
【0060】
図12および図13は、カテーテルハブの別の実施形態140を説明しており、このカテーテルハブ140は、全体的に丸い本体形状と、ハブ140の上面上に配置されたカテーテルコネクタ・アセンブリ142とを有する。先のアセンブリ106とは異なり、本アセンブリ142は、実質的には凹所をなしておらず、接続の目的のため全体的に水平な面を含む。そのため、アセンブリ142は、図13図14に見られるように、同様に配置された磁石115と嵌合する2つの磁石112を電気接触114の両端に、電気接触114をインターフェースコネクタ・アセンブリ146上に含むに過ぎない。さらに、手技の間に流体の進入を防止する一助とするために、カテーテルコネクタ・アセンブリ142は、アセンブリを取り囲んで周囲全体に拡がる窪みまたはチャネル141を含む。任意選択的に、図14のインターフェースコネクタ・アセンブリ146の底面図に見られるように、接続された際にチャネル141と嵌合するように、稜線または弾性シール145を含めることがある。
【0061】
図15は、カテーテルハブ150を説明しており、このカテーテルハブは、図12および図13のハブ140と同様の湾曲した本体様式を有するが、図1図10と同様の凹所をなすカテーテルコネクタ・アセンブリ106をさらに含む。
【0062】
インターフェースコネクタ・アセンブリまたはカテーテルコネクタ・アセンブリのどちらかの上にある電気接触を平らとすることができる一方で、これらの接触のどちらかをまた、浮き出しとすることができる。例えば、図21は、インターフェースコネクタ・アセンブリ160を説明しており、このアセンブリ160は、確実に物理的に接触させるために三角形であるかまたは上方を「指し示している」、電気接触162を有する。別の実施形態では、この接触は、浮き出しの湾曲した形状を有しており、いくらかばね力を与えて接触をさらに促進する。別の例では、図26は、凹所をなす矩形の複数の電気接触191を有するカテーテルコネクタ・アセンブリ190と、浮き出しの矩形の複数の電気接触193を有するインターフェースコネクタ・アセンブリ192とを説明する。USB形式の通信システムで利用されるものを含めて、コネクタの技術分野に公知の任意の接触インターフェースの形状またはタイプを使用して、カテーテルコネクタ・アセンブリ106とインターフェースコネクタ・アセンブリ108との間の通信を円滑に進めることができる。この目的のために、カテーテルコネクタ・アセンブリ接触114およびインターフェースコネクタ・アセンブリ117は、雄型の突出/雌型の受信データ接続インターフェース、またはばね-ピンなどの様々なピンコネクタの概念を利用することがある。
【0063】
インターフェースコネクタ・アセンブリおよび/またはカテーテルコネクタ・アセンブリの磁石は、平ら、隆起形状、または窪んだ形状とすることができる。例えば、図22では、磁石172が浮き出しの丸い形状を有する、インターフェースコネクタ・アセンブリ170が図説されているのに対して、図23では、窪んだまたは下方に丸みのある磁石176を有する、インターフェースコネクタ・アセンブリ174が図示されている。好ましくは、カテーテルコネクタ・アセンブリは、互いに嵌合するための構造をとることを可能にする、正反対の形状を有する磁石または鉄材を含む。
【0064】
カテーテルコネクタ・アセンブリおよびインターフェースコネクタ・アセンブリは、磁石に加えてまたは磁石に代えて、互いに摩擦により噛み合う構造を含むことがある。例えば、図24または図25では、4つの円柱状の柱181が磁石112の近くに配置されている、カテーテルコネクタ・アセンブリ180/186が図説されている。インターフェースコネクタ・アセンブリ182/188上の対応する穴183は、柱181を受け入れて摩擦による噛合をもたらすようにサイズを調整されている。円柱状の柱が例証されているとはいえ、他の形状、例えば三角形、矩形、または六角形などが可能である。
【0065】
磁石および/または摩擦噛合構造の使用に加えて、他のコネクタ形状を追加的に使用して、流体が電気接触に達するのを防止する一助とすることができる。例えば、図27では、接触114と磁石112との両方の長さに沿って広がる単一の延びたチャネル195を有する、カテーテルコネクタ・アセンブリ194が図説されている。また、インターフェースコネクタ・アセンブリ196上の浮き出した稜線197が、チャネル195と嵌合してさらにコネクタをシールするように含まれることがある。図28では、同様の実施形態が図説されており、この実施形態は、「C」の形状をとるチャネル201を有するカテーテルコネクタ・アセンブリ200と、チャネル201に嵌合する対応の「C」の稜線204を有するインターフェースコネクタ・アセンブリ202とを含む。
【0066】
図29では、全体的に矩形の浮き出した形状211を有するカテーテルコネクタ・アセンブリ210が図説されているのに対して、インターフェースコネクタ・アセンブリ212は、浮き出した形状211を覆って適合する、矩形の窪んだ領域213を含む。この矩形の浮き出した形状211は、接触114を持ち上げて、手技の間の流体の浸潤を最小限にする。図30では、下方に角をなす側壁221を有する同様の浮き出したカテーテルコネクタ・アセンブリ220と、同様の嵌合する角度をなす側壁を備えた窪みを有するインターフェースコネクタ・アセンブリ212とが、図説されている。やはりこの形状も、接触114を持ち上げて、流体の浸潤を防止する一助となり、手技の間に接触114から流体を離すための傾斜面をもたらす。あるいは、カテーテルコネクタ・アセンブリの一方のみの側が傾斜している―例えば、コネクタアセンブリ/カテーテルハブ本体から流体を離すために、カテーテルハブの外方向への縁に近いコネクタの一方のみの側が傾斜している。
【0067】
別の実施形態では、電気接触と磁石を取り囲む領域に、疎水性の被覆を適用して、流体の進入を退ける一助とすることができる。例えば、そのような被覆は、酸化マンガンポリスチレン、酸化亜鉛ポリスチレン、シリカ、またはフルオロポリマーの被覆など、複合材料/ナノ複合材料を含むことがある。そのような被覆もまた、ヘプタデカフルオロヘキシル-トリメトキシシラン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリマー性材料を含むことがある。そして、これらのポリマー性被覆は、さらに工学的に作製されるかまたは化学的に変更されて、さらにその疎水的な性質を増強されることがある。
【0068】
電気接触上への流体の貫入をさらに防止するために、ハブ102はまた、図32に見られるように、保持フィラメント242を介してハブ102の本体に取り付けられたカバー240を含むことがある。形状に応じて、カバー240は、保持力をもたらすような様々な戻り止め、チャネル、稜線、磁石、または他の機構を含むことがある。カテーテルは、発送中に電気的な完全性を保つために、カバー付きで発送されることがある。カテーテルの電気接続の機能性が、コネクタの電気的な完全性を保つ一助とするために以後使われなくなれば、次いで、電気的な設置を容易に進めるためにこのカバーを取り外して、後に、コネクタアセンブリ中にわたって置き換えることができる。
【0069】
図19および図20に関してこれまでに議論されたように、標準化された電気接続アセンブリ133を使用して、カテーテル102から(例えば、シリアル番号または類似の識別コードを介して)データを追跡することができる。特に、図33に見られるように、汎用コネクタ310は、データベースに格納するためのコンピュータ/クラウドサーバ300に、カテーテル、センサ、ヒーター、および動力320を接続することができる。データベース中にあれば、カテーテルの使用をログ化し、記録し、解析し、そしてカテーテルデータ収集302、在庫304、ログ化306、および梱包/発送308に格納することができる。さらに、このシステムを使用して、個人化患者情報を提供することができ、その場合、外部インターフェースは、患者固有のデータを含んでおり、カテーテルシステムは、この患者固有のデータを利用して、患者に合わせて標的を絞った手順を実施することができる。このデータは、外部インターフェースに格納することもできるが、または、カテーテルコネクタが、さらにデータ受信ディスクスロットを含むこともでき、医師は、そのスロットを使用して、患者、カテーテル、在庫、または他のデータタイプに関する標的化された情報を含むディスクまたはデータインターフェースを挿入することができる。他のカテーテルコネクタの概念のバリエーションでは、無線の遠隔測定システムw利用することができ、その場合、カテーテルハブおよび外部インターフェースは、無線のシステムを利用して互いに通信する。
【0070】
特定の実施形態および適用について本発明が記載されてきたが、当業者は、この教示を考慮して、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、追加的な実施形態および改変を生じることができる。したがって、本明細書中の図面および記載は、本発明の把握を円滑に進めるための例として提供されているのであって、その範囲を限定するものと解されるべきではないことが理解されよう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図33