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特許7263273防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法
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  • 特許-防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法 図1
  • 特許-防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法 図2
  • 特許-防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法 図3
  • 特許-防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/38 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
E21D11/38 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020017863
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021123946
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2021-12-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596007979
【氏名又は名称】大栄工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】大森 禎敏
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅彦
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-197793(JP,A)
【文献】特開平08-309860(JP,A)
【文献】特開2015-086688(JP,A)
【文献】特開2014-214423(JP,A)
【文献】特開2001-280096(JP,A)
【文献】特開2020-165096(JP,A)
【文献】特開平07-259496(JP,A)
【文献】特開平9-13884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山岳トンネル工事のシート防水工において、吹付けコンクリート面であるトンネル内壁に敷設する、トンネル軸方向に隣り合う2枚の防水シートの端部同士を、トンネル周方向に沿って接合する、防水シートの接合ユニットであって、
拝み合わせた前記2枚の防水シートの重合部を両面から押し付けて接合可能な接合部と、
アーチ状のガイドレールに沿って移動可能な移動部と、
前記接合部を前記移動部に対し、少なくとも前記移動部の進行方向と直交する上下左右方向に位置調整可能に連結する多関節構造のアーム部と、を備え、
前記接合部が、前記2枚の防水シートの重合部を加熱する発熱体と、前記2枚の防水シートの重合部を両側から挟み込んで溶着しつつ一方向に送り出す一対の押圧ローラと、を備え、
前記移動部による移動と並行して前記防水シートの重合部を連続して接合可能に構成したことを特徴とする、
接合ユニット。
【請求項2】
前記アーム部が、前記接合部を前記移動部の移動方向にも位置調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載の接合ユニット。
【請求項3】
前記移動部が、前記ガイドレールの一部を挟み込んで支持する複数のガイドローラを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接合ユニット。
【請求項4】
山岳トンネル工事のシート防水工において、吹付けコンクリート面であるトンネル内壁に敷設するトンネル軸方向に隣り合う2枚の防水シートの端部同士をトンネル周方向に沿って接合する、防水シート接合装置であって、
アーチ形状を呈するガイドレールと、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接合ユニットと、を備えることを特徴とする、
防水シート接合装置。
【請求項5】
前記ガイドレールに沿って配置したリード材を備え、前記接合ユニットが前記リード材を巻き上げて移動することを特徴とする、請求項4に記載の防水シート接合装置。
【請求項6】
前記リード材がローラチェーンであって、前記移動部がスプロケットを備え、前記ローラチェーンと噛合した前記スプロケットの回転によって移動することを特徴とする、請求項5に記載の防水シート接合装置。
【請求項7】
山岳トンネル工事のシート防水工において、吹付けコンクリート面であるトンネル内壁に敷設した、トンネル軸方向に隣り合う2枚の防水シートを接合する、防水シートの接合方法であって、
請求項4乃至6のいずれか一項に記載の防水シート接合装置を用い、
前記ガイドレールを、前記2枚の防水シートの端部間に近接させて、トンネル内に配置する工程と、
前記接合ユニットを、前記ガイドレールの一端から他端へ向けて走行させつつ、前記接合部によって、前記2枚の防水シートの端部を拝み合わせた状態で連続して接合する工程と、を備えることを特徴とする、
防水シートの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法に係り、特に防水シートの接合工程における施工品質を向上でき、作業員の肉体的負担を軽減可能な防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事では、トンネルの防水性を確保するため、吹付けコンクリート面に防水シートを敷設するシート防水工が多用されている。
シート防水工では、トンネル軸方向に隣り合う防水シートの端部を熱溶着機を使って接合する。詳細には、防水シート端部の裏面同士を重ねて拝み合わせ、その重合部を熱溶着機の加熱コテで加熱しつつ一対のローラで両面から押圧し、作業員が作業台車を昇降しながら熱溶着機をトンネル周方向に走らせることで、防水シートを連続して溶着する(図4)。
ローラの進行速度が速すぎると加熱不足による溶着不良が生じる反面、ローラの進行速度が遅すぎるとシートを溶かすおそれがある。これらはいずれもトンネルの水密性を損なうため、慎重な作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-86688号公報
【文献】特開2014-214423号公報
【文献】特開2001-280096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下の問題点がある。
<1>ローラを防水シートの重合部に沿わせながら、作業員が熱溶着機を持って移動する必要がある。重合部の軌道は概ねトンネル内の吹付コンクリート面に対応したトンネル横断面の円弧状となるが、この軌道を作業台車上を昇降しながらローラの進行速度に合わせてなぞる作業は非常に難度が高い。このため作業には熟練を要し、施工品質の維持が難しい。
<2>施工品質が作業員の技能や経験に大きく依存するため、施工品質にばらつきが生じやすい。
<3>作業台車上の昇降を減らすため、作業台車の上段と下段とで作業員が熱溶着機を受け渡して作業することがある。この場合、上下複数の作業員が必要となるため人件費が嵩み、施工コストが高騰する。
<4>熱溶着機は小型でも5kg前後の重量がある。これを吹付コンクリート面から所定の距離を保ちつつ移動させる作業は、作業員の腕や肩へ大きな負担となる。また、特に天端部付近では狭い空間で上方を見上げながらの作業となるため、不自然な姿勢を強いられ、作業員の肉体的負担が非常に大きい。
<5>ローラの位置合わせに集中しながら作業台車上を昇降するため、足元や周囲に注意が届きにくく、安全上の懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決可能な防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接合ユニットは、拝み合わせた2枚の防水シートの重合部を両面から押し付けて接合可能な接合部と、アーチ状のガイドレールに沿って移動可能な移動部と、前記接合部を前記移動部に対し、少なくとも前記移動部の進行方向と直交する方向に位置調整可能に連結するアーム部と、を備え、前記移動部による移動と並行して防水シートの重合部を連続して接合可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明の接合ユニットは、前記接合部が、2枚の防水シートの重合部を加熱する発熱体と、2枚の防水シートの重合部を両側から挟み込んで溶着しつつ一方向に送り出す一対の押圧ローラと、を備えていてもよい。
【0008】
本発明の接合ユニットは、アーム部が、接合部を前記移動部の移動方向にも位置調整可能であってもよい。
【0009】
本発明の接合ユニットは、前記移動部が、ガイドレールの一部を挟み込んで支持する複数のガイドローラを備えていてもよい。
【0010】
本発明の防水シート接合装置は、アーチ形状を呈するガイドレールと、接合ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の防水シート接合装置は、ガイドレールに沿って配置したリード材を備え、接合ユニットがリード材を巻き上げて移動してもよい。
【0012】
本発明の防水シート接合装置は、前記リード材がローラチェーンであって、移動部がスプロケットを備え、ローラチェーンと噛合したスプロケットの回転によって移動してもよい。
【0013】
本発明の防水シート接合方法は、防水シート接合装置を用い、ガイドレールを、2枚の防水シートの端部間に近接させて、トンネル内に配置する工程と、接合ユニットを、ガイドレールの一端から他端へ向けて走行させつつ、前記接合部によって、2枚の防水シートの端部を拝み合わせた状態で連続して接合する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成より、本発明の防水シート接合装置及び接合ユニットは次の効果の少なくともひとつを備える。
<1>接合ユニットを吹付コンクリート面に沿って円弧状に自走させつつ、押圧ローラの位置を微調整することによって、比較的容易に防水シートを接合できる。このため、高い施工品質を維持することができる。
<2>作業が容易で作業員の熟練を必要としないため、施工品質の均一化を図ることができる。
<3>作業員一名で施工できるため、施工コストを低減することができる。
<4>接合ユニットが自走するため、作業員が熱溶着機を取り廻す必要がない。このため、作業が容易で作業員の肉体的負担が軽い。
<5>押圧ローラの位置合わせが容易で、作業員が移動や昇降に集中できるため、作業の安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の防水シート接合装置の説明図。
図2】本発明の接合ユニットの説明図。
図3】本発明の防水シートの接合方法の説明図。
図4】従来技術の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の防水シート接合装置、接合ユニット、及び防水シートの接合方法について詳細に説明する。
なお、本明細書等における「上下」「左右」等の各方位は、トンネル横断面視における各方向を意味する。
【実施例1】
【0017】
[防水シート接合装置]
<1>全体の構成(図1)。
本発明の防水シート接合装置1は、トンネルの吹付コンクリート面に敷設する防水シートSの端部と、隣接する防水シートSの端部とを連続して接合する装置である。
防水シート接合装置1は、ガイドレール10と、ガイドレール10上を移動する接合ユニット20と、を少なくとも備える。本例では更にガイドレールに沿って配置したリード材30を備える。
本発明の防水シート接合装置1は、接合ユニット20を、吹付コンクリート面から一定の距離離間して設置した円弧状の軌道に沿って精確に移動可能な弧状ガイド機能と、接合ユニット20の接合部21を、この円弧状の軌道に対して二次元又は三次元方向に移動可能な微調整機能と、を組合せた点に一つの特徴を有する。
【0018】
<2>ガイドレール。
ガイドレール10は、接合ユニット20を円弧状の軌道に沿って移動させるレール材である。
ガイドレール10は、吹付コンクリート面の曲率に対応したアーチ形状を呈する。
本例ではガイドレール10として、アーチ状に湾曲させた断面H形状の形鋼を採用する。
ガイドレール10の内側には、必要に応じて作業台車A上に設置するための支柱や台座を付設する。
ただしガイドレール10の構造は上記に限らず、要は所定のアーチ形状と接合ユニット20の荷重を支持可能な剛性を備えていればよく、強化プラスチック等を用いてもよい。また、ガイドレール10は、独立した部材に限らず、例えば作業台車Aに連結した付帯部材として構成してもよい。
【0019】
<3>接合ユニット(図2)。
接合ユニット20は、ガイドレール上10上を移動しながら防水シートSの端部を接合する装置である。
接合ユニット20は、防水シートSの端部を接合する接合部21と、ガイドレール10上を移動する移動部22と、接合部21を移動部22に連結するアーム部23と、を少なくとも備える。
【0020】
<3.1>接合部。
接合部21は、防水シートSの重合部を接合する熱溶着機である。
接合部21は、ハウジング21aと、2本一対の押圧ローラ21bと、発熱体21cと、を少なくとも備える。本例では更にハウジング21aに付設した位置調整用のハンドル21dを備える。
接合部21は、ハウジング21aに内蔵した装置の操作によって、押圧ローラ21bの回転/停止、押圧ローラ21bの回転速度、押圧ローラ21bの回転方向、発熱体21cの加熱/停止、発熱体21cの温度、等を制御することができる。
接合部21の電源は、バッテリー式であっても外部電源式であってもよい。
【0021】
<3.1.1>押圧ローラ。
押圧ローラ21bは、防水シートSの重合部を挟み付けて溶着接合する部材である。
押圧ローラ21bは、略円筒形状を呈し、外周には連続する1本または複数本の非溶着部形成用の溝を有する。
押圧ローラ21bは、ハウジング21aの一面から2本同一方向に突出する。
2本の押圧ローラ21bの間には一定の間隔iを有する。間隔iは、2枚の防水シートSの重合部を一方から他方へ送り出しつつ、両側から挟み付けて溶着可能な程度の間隔である。
【0022】
<3.1.2>発熱体。
発熱体21cは、防水シートSの重合部を加熱して溶融させる部材である。
発熱体21cは、熱コテと、熱コテを覆うクサビ状の有孔カバーの組み合わせからなる。
発熱体21cは、ハウジング21aに、押圧ローラ21bの突出方向と同一方向に向けて付設する。
発熱体21cは、一対の押圧ローラ21bの進行方向前方、すなわち防水シートSの取り込み側に、有孔カバーのクサビ先端側を進行方向前方に向けて配置する。
【0023】
<3.2>移動部。
移動部22は、ガイドレール10上を自走する装置である。
本例では、移動部22が、モータ22aと、スプロケット22bと、複数のガイドローラ22cと、を備える。
スプロケット22bは、モータ22aに軸支され、モータ22aの駆動によって回転する。スプロケット22bの外周には、後述するリード材30と噛み合わせるための突起を形成する。
複数のガイドローラ22cは、移動部22の下部に付設され、ガイドレール10のフランジを上下から挟んで、移動部22がガイドレール10上から脱落しないように移動をガイドする。
移動部22の電源は、バッテリー式であっても外部電源式であってもよい。また接合部21と電源を共用してもよい。
移動部22の構成は以上に限らず、要は接合部21を搭載してガイドレール10に沿って移動可能であればよい。
【0024】
<3.3>アーム部。
アーム部23は、接合部21を移動部22に対して位置調整可能に連結する部材である。
アーム部23は、複数のアーム単材23aを、複数の回動軸23b及び移動部22とアーム部23の接合部である基礎接合部23cで回動可能に連結した、多関節構造からなる。
アーム部23は、基礎接合部23cを中心に、アーム単材23aを移動部22の移動方向と直交する左右方向に回動し、各回動軸23bを中心にアーム単材23aを移動方向と直交する上下方向に回動することで、接合部21を移動部22に対して任意の位置に調整することができる。ここで「移動方向」とは移動部22の進行方向の前後方向を意味する。
本例では、4本のアーム単材23a、5つの回動軸23b、及び基礎接合部23cの組み合わせにより、接合部21を移動部22に対し、移動部22の移動方向、及び移動方向と直交する各方向、の三次元方向に調整可能に構成する。また、アーム単材23a内、又はアーム単材23aと回動軸23bの間に伸縮機能を設けてもよい。
なお、基礎接合部23cは必須の構成要素ではなく、アーム単材23aの基部を移動部22に固定してもよいし、または基礎接合部23cの回動をロック可能に構成してもよい。
アーム部23自体の構造は公知であるのでここでは詳述しない。
【0025】
<4>リード材。
リード材30は、接合ユニット20の移動時に巻き取る線状の部材である。
リード材30は、接合ユニット20の移動部22内を経由させ、ガイドレール10の一端から他端へガイドレール10の外周に沿って配設する。
本例ではリード材30として、移動部22内でスプロケット22bに噛合させたローラチェーンを採用する。
移動部22のスプロケット22bを回転させると、リード材30がスプロケット22bの突起に噛み込まれ、移動部22の一方から他方へと送り出されることで、これを反力として移動部22が移動する。
なお、リード材30はローラチェーンに限らず、移動部22の構造と係合しつつ送り出し可能な構造であれば、ローラチェーン以外の伝動用チェーンやワイヤロープ等を採用してもよい。
【0026】
<5>使用方法(図3)。
本例では、先の工程で予めトンネルの吹付コンクリート面に2枚の防水シートSを固定した後、その端部を接合する場合について説明する。なお、2枚目の防水シートSは全体が吹付コンクリート面に展開・固定されている必要はなく、少なくとも接合する端部付近が吹付コンクリート面に固定されていればよい。
ガイドレール10のアーチの延在方向を作業台車Aの幅方向に合わせて、作業台車A上にガイドレール10を設置する。接合ユニット20は、ガイドレール10の一方の基部に配置しておく。
作業台車Aを移動して、ガイドレール10を、2枚の防水シートSの端部付近に位置合わせする。
作業員が、地上から接合ユニット20のハンドル21dを操作して、接合ユニット20の押圧ローラ21bを防水シートSの端部に近接させる。
2枚の防水シートSの端部を加熱した発熱体21cに挟んで、防水シートSの端部を温める。
防水シートSが溶融し始めたら、一対の押圧ローラ21bを回転させ、拝み合わせた防水シートSの重合部を押圧ローラ21bの間に導入して両側から挟み、押圧ローラ21bの反対側から送り出す。
防水シートSの重合部は、発熱体21cによって溶融した状態で押圧ローラ21bに両側から押し付けられることによって、押圧ローラ21bの軌道に沿って連続して融着する。同時に、押圧ローラ21bに周設した溝によって、防水シートSの重合部内に連続した非溶着部が形成される。
押圧ローラ21bの進行と同時に移動部22を駆動させ、接合ユニット20をガイドレール10に沿って走行させる。接合ユニット20の走行速度は押圧ローラ21bによる防水シートSの送り出し速度に対応させる。
作業員が、接合ユニット20を操作しながらガイドレール10の軌道に沿って作業台車A上を移動する。
この際、防水シートSの端部の延在方向とガイドレール10の軌道とにずれが生じた場合、アーム部23を介して接合部21をガイドレール10の軌道に対して三次元方向に移動させることで、接合部21の進路を微調整することができる。
以上の手順により、防水シートSの端部を幅方向の全長にわたって接合する。
接合後、防水シートSの非溶着部に検査針を挿入して圧縮空気を注入し、溶着漏れがないかの加圧検査を行う。
【0027】
<6>本願発明の特徴。
吹付コンクリート面に展張した防水シートSの端部は、吹付コンクリート面から下方に垂れ下がり、トンネルの周方向に対して蛇行しているのが通常である。
従って、単純に熱溶着機をガイドレール10に沿って円弧状に自走させても、熱溶着機が防水シートSの端部の蛇行に追従できないため、防水シートSの端部を精度よく接合させることは出来ない。
そこで本発明の防水シート接合装置1は、アーチ状のガイドレール10によって、防水シートSの周方向に沿った円弧状の軌道を確保しつつ、アーム部23を介して接合部21を防水シートSの端部の蛇行に追従できるように構成した。
この構成によって、熱溶着機の取り回しによる作業員の肉体的負担を軽減しつつ、精確な円弧状移動と柔軟な位置調整が可能となり、防水シートSの重合部を精度よく接合することが可能となる。
【実施例2】
【0028】
[他の移動方法の例]
接合ユニット20の移動方法はリード材30の巻き上げに限られない。
例えば、移動部22がモータ22aによって回転するタイヤやクローラを備え、ガイドローラ22cによってタイヤやクローラをガイドレール10の表面に押しつけながら自走してもよい。
あるいは、移動部22が自走機構を有さず、ウィンチに巻着したワイヤロープの他端を移動部22に連結し、ワイヤロープをウィンチで巻き上げることで接合ユニット20を牽引して移動させてもよい。
要は、接合ユニット20をガイドレール10に沿って移動させることができる構成であればいかなる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 防水シート接合装置
10 ガイドレール
20 接合ユニット
21 接合部
21a ハウジング
21b 押圧ローラ
21c 発熱体
21d ハンドル
22 移動部
22a モータ
22b スプロケット
22c ガイドローラ
23 アーム部
23a アーム単材
23b 回動軸
23c 基礎接合部
30 リード材
S 防水シート
A 作業台車
図1
図2
図3
図4