(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】表面活性化ポリマー
(51)【国際特許分類】
C23C 18/30 20060101AFI20230417BHJP
C23C 18/32 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
C23C18/30
C23C18/32
(21)【出願番号】P 2020518491
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2018076427
(87)【国際公開番号】W WO2019063773
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-28
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519438556
【氏名又は名称】エスアールジー グローバル リリア ソシエダッド リミターダ
(73)【特許権者】
【識別番号】520106530
【氏名又は名称】アヴァンツァーレ イノヴァシオン テクノロジカ ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ウルコ
(72)【発明者】
【氏名】ベントゥラ ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】パストル マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ネグロン カノヴァス レベカ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス コルドン フリオ
(72)【発明者】
【氏名】オタノ ヒメネス ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ペレス マルティネス ハビエル
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/024984(WO,A1)
【文献】特開2014-194045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0192251(US,A1)
【文献】特開2008-156702(JP,A)
【文献】米国特許第03795622(US,A)
【文献】中国特許出願公開第101892470(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03181726(EP,A1)
【文献】特開昭48-070689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-18/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面を活性化するプロセスであって、前記プロセスは、前記基材の前記表面を、水性組成物と接触させるか、又は前記水性組成物に浸漬することを含み、前記水性組成物は、
二官能性分子、酸又は酸の混合物、並びに金属塩及び/又は有機金属錯体を含み、前記二官能性分子が、以下の実験式I、
Si(R)
3-(CH
2)
n-R’ (I)
を有し、式中、Rは、加水分解性基であり、かつ前記基材の表面と化学結合又はカップリングを形成することができる官能基又は反応性基であり、R’は、金属と化学結合又はカップリングを形成することができる官能基又は反応性基であり、nは、1~10の整数であり、
前記基材はポリマー材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、又はエラストマー材料であり、
前記水性組成物が、実験式Si(OCH
3
)
3
-(CH
2
)
n
-SHを有する前記二官能性分子(式中、nは、1~10の整数である)と、リン酸と、硫酸と、Cr(III)塩と、シュウ酸と、を含む、
基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項2】
Rが、アルコキシ基である、請求項1に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項3】
R’が、チオール、アミノ、ビニル、エポキシ、メタシルオキシ(metharcyloxy)、メルカプトからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項4】
前記二官能性分子が以下の実験式II、
Si(OCH
3)
3-(CH
2)
n-SH (II)
を有し、式中、nは、1~10の整数である、請求項1~3のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項5】
前記二官能性分子が、以下の実験式III、
Si(OCH
3)
3-(CH
2)
3-SH (III)
を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項6】
前記有機金属錯体が、実験式[Cr
2(C
2O
4)
4]
2-を有する、4つのオキサレート分子に囲まれた二核クロム錯体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項7】
前記二官能性分子が、Si(OCH
3)
3-(CH
2)
3-SHであり、前記有機金属錯体が実験式[Cr
2(C
2O
4)
4]
2-を有する、4つのオキサレート分子に囲まれた二核クロム錯体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項8】
前記酸の混合物が、硫酸及びリン酸を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項9】
前記金属が、パラジウム、銅、ニッケル、金、白金、銀、コバルト、ルテニウム、ロジウム、レニウム、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、及びシリコン、並びに上記金属の2つ以上の合金からなる群から選択される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項10】
前記水性組成物中の前記二官能性分子の濃度が、0.17~0.21g/lである、請求項1~
9のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項11】
前記水性組成物中の前記金属塩又は有機金属錯体の濃度が、30~160mg/lである、請求項1~1
0のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項12】
前記水性組成物の温度が40~90℃である、請求項1~1
1のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項13】
前記基材の前記活性化された表面が以下の浴、予備活性化浴、活性化浴、促進剤浴、無電解ニッケル浴、浸漬銅浴、及び電解銅浴、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに接触又は浸漬され、これにより、前記基材の前記表面が金属化される、請求項1~1
2のいずれか1項に記載の基材の表面を活性化するプロセス。
【請求項14】
前記基材の前記表面が、10秒~2分間予備活性化浴に浸漬又は接触され、前記予備活性化浴が、20~25℃の温度を有する、請求項1
3に記載のプロセス。
【請求項15】
前記基材が、20~50℃の温度を有する活性化剤浴に2~8分間浸漬又は接触される、請求項1
3又は1
4に記載のプロセス。
【請求項16】
前記基材が、30~60℃の温度を有する前記促進剤浴に1~5分間浸漬又は接触される、請求項1
3~1
5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記基材が、20~50℃の温度を有する前記無電解ニッケル浴に5~15分間、任意選択的に7~10分間浸漬又は接触される、請求項1
3~1
6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記基材が、20~40℃の温度を有する前記電解銅に40~80分間、任意選択的に60~70分間浸漬又は接触される、請求項1
3~1
7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記基材が、以下の浴、前記予備活性化浴、前記活性化浴、前記促進剤浴、前記無電解ニッケル浴、前記浸漬銅浴、次いで前記電解銅浴に連続的に接触又は浸漬される、請求項1
3~1
8のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2017年9月28日に出願されたスペイン特許出願P201731155の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、概して、基材のエッチング、活性化、メッキ、及び/又はコーティングで使用するための水性組成物、及び水性組成物を介してエッチング、活性化、処理、メッキ、及び/又はコーティングされた表面を有する基材に関する。
【背景技術】
【0002】
水性溶液又は6価クロムと硫酸を含有するいわゆるエッチング浴で金属化する前のポリマー製品の表面の化学エッチングはよく知られており、ポリマー(例えばプラスチック)表面金属化の第1のステップとしてポリマー表面を粗く親水性にするプロセスである。化学エッチングは、主に無電解金属メッキのためのポリマーの調製に使用される。ポリマー表面は、通常、エッチングされたポリマー部分が浸漬される溶液中のこれらの金属である銅又はニッケルの化学メッキを受け入れるようにエッチングされる。ポリマー表面に付着したこれらの第1の金属層の適切な接着は、この金属層が、例えばポリマーのクロムメッキを達成するために、通常メッキプロセスで使用される積層金属層の追加を可能にするため重要である。
【0003】
Cr(VI)を含有する現在のポリマーエッチング浴は、ヒトに対する毒性及び発癌性として考慮される。したがって、Cr(VI)を使用することは、厳しい環境規制に供される。
【0004】
様々なCR(VI)を含まない組成物が、ポリマーエッチングプロセスで使用することが提案されている。例えば、米国特許第8603352号及び同第20180208844号は、酸媒体中及び基媒体中のMn(III)、Mn(VI)、及びMn(VII)の塩の使用を開示している。しかしながら、Mn塩を含有する浴によって最初にエッチングされ、その後、金属化又はコーティングされたポリマーは、所望の接着特性がない。更に、これらは、Mn塩還元生成物を除去する必要性により、複雑な洗浄ステップを必要とする。更に、Mnを含有する浴は、不安定で、より低い酸化状態に還元する傾向があり、その結果、ポリマーの処理表面に品質問題を引き起こす望ましくない沈殿物を形成する。
【0005】
更なる浴システムもまた提案されており、例えば、独国特許第1974043号は、過酸化水素の使用に基づく浴システムを開示しており、米国特許第6559242号では、鉄及び/又は銅塩が使用され、米国特許第4568571号は、遷移金属の塩化物配位子とのアニオン性錯体の使用を示唆しており、欧州特許出願公開第0081129号は、有機溶媒中の遷移金属の有機金属錯体の使用を開示しており、米国特許第2007/0099425号は、わずかに酸性の水性媒体中で錯体を使用することなく、遷移金属の塩化物又は硝酸塩の使用を開示している。しかしながら、これらのシステムは、自動車用セクタなどの様々な産業に要求される所望の接着要件を有する金属化又はコーティングされたポリマーを生成しない。
【0006】
更に、ポリマーをエッチングするために使用される既存の水性組成物は、ポリマーの表面上に望ましくない深さを有する望ましくない空洞を提供する。これらの空洞は、ポリマーの表面へのコーティング又は金属の機械的及び化学的結合を低減する。加えて、それらの望ましくない空洞により、所望の特性及び外観に達するために、より多量のコーティング又は金属堆積が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、水性組成物をエッチング又は活性化するための基材表面金属化分野には、上記の欠点を克服する既存のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特に、基材の表面を活性化及び/又はエッチングするのに使用する水性組成物を製造し、続いて金属層又はコーティング組成物と基材の表面との間の改善された接着特性を有する金属化又はコーティング基材を提供することが望ましい。
【0009】
更に、環境的に適切な条件下で安定、回収、リサイクル、又は除去が容易な基材の表面の活性化及び/又はエッチングに使用する非毒性水性組成物を製造することが望ましい。
【0010】
また、実質的に平坦な表面を有するエッチングされた基材及び/又は表面活性化基材を製造すること、すなわち、ポリマーのそれらの表面へのコーティング又は金属の接着性を高め、堆積物の量を減らすために空洞の数を減らすこと及び/又はより少ない深さの空洞を有することが望ましい。不積層金属を孔に機械的に固定するのではなく、化学結合に基づいて、このような種類の接着を提供することが望ましい。
【0011】
特に、基材の表面と、その上にメッキされた金属層又はその上にコーティングされたコーティング組成物との間の接着性が改善されたメッキ又はコーティング基材を製造することが望ましい。
【0012】
本発明は、上記の問題の1つ以上を解決する、かかる水性組成物、基材、及び方法を提供する。本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明及び請求項から明らかとなるであろう。
【0013】
本発明の特徴及び利点は、以下の図面を参照すると理解されるであろう、
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】例として、ポリマーの表面と実験式Si(OCH
3)
3-(CH
2)
3-SHを有する二官能性分子との間の化学反応を例示する。
【
図1B】例として、ポリマーの表面と実験式Si(OCH
3)
3-(CH
2)
3-SHを有する二官能性分子との間の化学反応を例示する。
【
図2A】本開示のMSA浴で処理した後に走査型電子顕微鏡(SEM)により観察されたABS表面形態を示す。
【
図2B】本開示の通常のエッチング浴で処理した後に走査型電子顕微鏡(SEM)により観察されたABS表面形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明の前述及び他の態様を詳細に説明する。以下に記載される詳細な説明は、本発明を実施する際の当業者を支援するために提供される。しかしながら、本明細書で説明及び請求される本発明は、これらの実施形態は、本発明のいくつかの態様の例示として意図されているため本明細書で開示される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。
【0016】
以下に記載される実施形態は、本発明による他の開示された実施形態と組み合わされてもよい。任意の等価な実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際、本明細書に示し説明したものに加えて、本発明の発見の精神又は範囲から逸脱しない前述の説明から、本発明の様々な修正が当業者には明らかになるであろう。このような修正はまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることも意図される。
【0017】
本出願で引用された全ての出版物、特許、特許出願、及びその他の参考文献は、各個々の出版物、特許、特許出願、又は他の参考文献が、あたかも全て目的のためにその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における参照文献の引用は、そのような先行技術が本発明の先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。
【0018】
用語「水性組成物」、「浴」などは、文脈上別段の明確な指示がない限り、本明細書をとおして互換的に使用される。本明細書で使用するとき、これらの用語は、水を含む任意の液体溶液を指す。例示的な水性組成物は、様々な酸及び塩などの目的の成分を含む。水性組成物はまた、追加の有機成分及び/又は無機成分を含み得る。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「エッチング」は、基材(例えば、ポリマー)の露出されたクラッド層を除去して、下層を露出させるプロセスを指す。用語「エッチング」はまた、基材(例えば、ポリマー)表面の体積を、その上に反応を実施する結果として低減することも指す場合がある。
【0020】
「メッキ」という用語は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、無電解金属メッキを指し、「金属堆積」及び「メッキ」は、本明細書全体にわたって交換可能に使用される。
【0021】
基材の「表面活性化」、「表面の活性化」などの用語は、基材と本発明の多官能性又は二官能性分子との間の化学結合(例えば共有結合)の形成を促進する全てのプロセスを指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、繰り返し単位から構成される巨大分子を指す。本明細書において、ポリマーという用語は、コポリマー及びホモポリマーを含む。用語「コポリマー」は、2種以上のモノマーに由来するポリマーを意味する。「ホモポリマー」という用語は、単一のモノマーの重合から得られるポリマーである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「多官能性分子」という用語は、連続して2回以上回反応できる1つの官能基を有する分子、並びに2つ以上の反応基を有する分子を包含する。多官能分子は、二官能性分子を含む。用語「二官能性分子」は、2つの反応基を有する分子を指す。二官能性分子は、ホモ官能性又はヘテロ二官能性であってもよい。ホモ官能性分子は、同じである少なくとも2つの反応性官能基を有する。ヘテロ二官能性分子は、異なる少なくとも2つの反応性官能基を有する。用語「官能基」及び「反応性基」は、有機化学におけるそれらの標準的な意味を保持する。多官能性分子と二官能性分子は、ポリマーなどの基材の表面の官能基と反応することができ、またパラジウム/スズコロイド(Pd/Sn)などの既知の活性化剤などの別の分子又は金属とも反応することができる。用語「ポリ(二)官能性分子」は、多官能性であるか、又は特異的に二官能性である分子を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「基材」は、任意のポリマー材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、又はエラストマー材料を含む。基材は、アクリロニトリルブタジエン-スチレン(ABS)、ABSとポリカーボネートなどの他のポリマー(PC/ABS)のブレンド、ポリスチレン(PS)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリル-スチレン-アクリロニトリル(ASA)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などのエポキシビニルエステル樹脂又はエラストマー、及び市場に存在する様々なタイプの熱可塑性エラストマーからなるグループから選択することができる。基材には、石英、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、ケイ酸塩、タルカムなどの異なる種類の無機充填剤と、押出加工、射出、ホットプレート成形、又は物体の製造に使用される異なる技術に必要な対応する添加剤を含有することができる。
【0025】
本明細書で使用される「濃度」という用語は、水性組成物又は浴の単位体積あたりに含有される、本明細書で論じられる二官能性分子又は酸成分(複数可)などの物質の量の尺度を指す。例えば、重量/体積パーセント濃度(w/v)は、水性組成物の体積(例えば、mL)あたりの二官能性分子又は酸成分(複数可)の質量又は重量(例えば、グラム)を指す。質量パーセント濃度(w/w)は、水性組成物の質量当たりの二官能性分子又は酸成分などの物質の質量を指す。
【0026】
また、本明細書において、特許請求の範囲におけるこのような記載を含む数値範囲及び/又は数値の列挙は、「約」という用語を含むように読むことができる。本明細書で使用するとき、用語「約」は、値の最大±10%の変動によって定義される範囲内にある任意の値を指す。
【0027】
更に、本開示の目的のために、用語「1つ(a)」又は「1つ(an)」実体は、特に限定されない限り、その実体のうちの1つ以上を指す。したがって、用語「1つ(a)」又は「1つ(an)」、「1つ以上」、及び「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0028】
本発明の一態様では、基材表面のエッチングに使用するための三価クロム塩及び/又は三価クロム錯体を含む水性組成物が提供される。
【0029】
一実施形態において、Cr(III)は、塩として水性組成物に存在又は添加され、及び/又は少なくとも1つ以上の一、二、三、四、五、六座配位子、又は酸素原子、硫黄、窒素、若しくはこれらの原子のいくつかによってクロムに配位している架橋と化学的に配位されるCr(III)錯体として水性組成物に存在又は添加又は形成される。
【0030】
一実施形態では、配位子には、これらに限定されないが、ホルメート、アセテート、プロパノエート、ブタアタノエート(buatanoate)、ベンゾエート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、シアナメート、アルキルベンゾエート、ピルベート、レブリネート、シトレート、イソシトレート、アコニテート、トリメリテート、グリシネート、バリネート、ルシネート(leucinate)、トレオネート、リジネート、トリプトファネート、ヒスチジン、フェニルアラニネート、イソルシネート(isoleucinate)、アルギネート、メチオネート、アラニネート、プロリネート、セリネート、システイン、アスパラギネート(asparaginate)、アスパラギネート、チロシネート、アスパラギネート、ポリアスパラギネート、グルタミネート(glutaminate)、システイン、ホモシステイネート(homocysteinate)、オルニチネート、ニコチネート、オキサレート、プロパンジオエート、ブタンジオエート、ペンタンジオエート、ヘキサンジオエート、マレエート、フマレート、フタレート、イソフタレート、テレフタレート、タルトレート、イタコネート、メサコネート、シトラコネート、グリコレート、ラクテート、マンデレート、サリシレート、グルコネート、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトリロトリアセテート、イミノジスクシネート、エチレンジアミンジスクシネート、メチルグリシンジアセテート、N,N,ジアセテートグルタメート、シクロヘキシレンジニトリロテトラアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、アミノエチルエチレングリコールテトラアセテート、トリエチレンテトラミンヘキサアセテート、ジヒドロキシエチルグリシネート、イミノジアセテート、オキサメート、ニトリロトリプロピオネート、エチレンジアミンジプロピオネート、チオジプロピオネート、ジチオジプロピオネート、アミノプロピオネート、アミノペンタノエート、アミノヘキサノエート、2-アミノベンゾエート、3-アミノベンゾエート、4-アミノベンゾエート、3-シクロヘキシルアミノプロピルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)-メチルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ヘキサン-1,6-ジアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチル-イミダゾール、N-(3-アミノプロピル)-イミダゾール、ピラゾール、ネステーン、ビピリジン、フェナントロリン、ホルメート、アセテート、ピロピオネート、グリシネート、アルギネート、アスパルテート、ポリアスパルテート、グルタメート、ニコチネート、オキサレート、プロパンジオエート、ブタンジオエート、ペンタンジオエート、ヘキサンジオエート、マレエート、フマレート、フタレート、サリシレート、タルトレート、シトレート、グリコレート、ラクテート、グルコネート、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトリロトリアセテート、2-アミノベンゾエート、より好ましくは、オキサレート、プロパンジオン、ブタンジオン、マレエート、フマレートシトレート、フタレート、グリコレート、ラクテート、サリシレート、グリシネート、グルタミン酸又はその混合物が含まれる。
【0031】
任意選択的に、Cr(III)錯体の配位子には、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブアタノエート、ベンゾエート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、シアナメート、アルキルベンゾエート、ピルベート、レブリネート、シトレート、イソシトレート、アコニテート、トリメリテート、グリシネート、バリネート、ルシネート、トレオネート、リジネート、トリプトファネート、ヒスチジン、フェニルアラニネート、イソルシネート、アルギネート、メチオネート、アラニネート、プロリネート、セリネート、システイン、アスパラギネート、グルタミネート、チロシネート、アスパルテート、ポリアスパルテート、グルタメート、システイン、ホモシステイネート、オルニチネート、ニコチネート、オキサレート、プロパンジオエート、ブタンジオエート、ペンタンジオエート、ヘキサンジオエート、マレエート、フマレート、フタレート、イソフタレート、テレフタレート、タルトレート、イタコネート、メサコネート、シトラコネート、グリコレート、ラクテート、マンデレート、サリシレート、グルコネート、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトリロトリアセテート、イミノジスクシネート、エチレンジアミンジスクシネートシトレート、メチルグリシンジアセテート、N,N,ジアセテートグルタメート、シクロヘキシレンジニトリロテトラアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、アミノエチルエチレングリコールテトラアセテート、トリエチレンテトラミンヘキサアセテート、ジヒドロキシエチルグリシネート、イミノジアセテート、オキサメート、ニトリロトリプロピオネート、エチレンジアミンジプロピオネート、チオジプロピオネート、ジチオジプロピオネート、アミノプロピオネート、アミノペンタノエート、アミノヘキサノエート、2-アミノベンゾエート、3-アミノベンゾエート、4-アミノベンゾエート、3-シクロヘキシルアミノプロピルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)-メチルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ヘキサン-1,6-ジアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチル-イミダゾール、N-(3-アミノプロピル)-イミダゾール、ピラゾール、ナイアシンアミド、ビピリジン、フェナントロリン、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0032】
任意選択的に、配位子は、ホルメート、アセテート、ピロピオネート、グリシネート、アルギネート、アスパルテート、ポリアスパルテート、グルタメート、ニコチネート、オキサレート、プロパンジオエート、ブタンジオエート、ペンタンジオエート、ヘキサンジオエート、マレエート、フマレート、フタレート、サリシレート、タルトレート、シトレート、グリコレート、ラクテート、グルコネート、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトリロトリアセテート、2-アミノベンゾエートシトレート又はそれらの混合物である。
【0033】
任意選択的に、配位子は、オキサレート、プロパンジオン、ブタンジオン、マレエート、フマレート、フタレート、グリコレート、ラクテート、サリシレート、グリシネート、グルタメート、又はそれらの混合物である。
【0034】
クロム(III)錯体は、浴中に含有されるか形成されるか、又は既知の方法、及び、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Complex Ions of Chromium.III.Reactions between Hexaquochromium(III)and Oxalate Ions」Randall E.Hamm,Robert E.Davis J.Am.Chem.Soc,1953,75,pp 30853089(1953)に記載されている方法で調整されたクロム(III)錯体の形で浴中に供給される。
【0035】
一実施形態では、Cr(III)錯体は、例えば、本明細書にその全体が参照として組み込まれている、米国特許第3,900,689号に記載されているように、クロム(III)の塩と必要な錯体を形成する配位子を別々に添加することにより、現場で形成される。
【0036】
Cr(III)錯体の現場形成の場合、これらの錯体の出発塩は、次のような無機陰イオン又は有機陰イオン塩であり得る:塩化物、臭化物、過塩素酸塩、水酸化物、酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、ギ酸塩、アセテート、安息香酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ブタンスルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸アルキル又はそれらの混合物。錯体を形成するのに必要な、プロトン化された形態又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩形態又は遊離形態の対応する配位子(複数可)も浴に添加される。このようにして、エッチング浴に必要なクロム錯体(III)が得られる。
【0037】
別の実施形態において、Cr(III)錯体は、配位子又は還元形態の配位子とCr(VI)の化合物との化学反応によって得られ、これは、配位子の直接作用によって又はアスコルビン酸、アスコルベート、チオスルフェート、サルファイト、スルフィド、ニトライト、フォスファイト、ハイポフォスファイト、ホルムアルデヒドスルホキシレート、ジチオナイト、オキサレート、アルカリ又はアルカリ土類金属のカルボン酸塩、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン又は最新技術で知られている他の還元剤などの配位子以外の還元剤の添加によってのいずれかでCr(III)へ還元する。
【0038】
一実施形態では、Cr(III)錯体は、化学構造1を有する実験式[Cr
2(C
2O
4)
4]
2-である4つのオキサレート分子によって囲まれた二核クロム錯体である。
【化1】
【0039】
一実施形態では、水性組成物中のCr(III)錯体の濃度、例えば、[Cr2(C2O4)4]2-は、約2mM~約2M、より好ましくは約5mM~約1M、更により好ましくは約0.01M~約0.4Mである。
【0040】
本発明の別の態様では、エッチングされた基材が提供される。基材の表面は、前述の実施形態のいずれかによる三価クロム塩及び/又は三価クロム錯体を含む水性組成物を介してエッチングされる。エッチングされた基材は、その後の金属化又はコーティングのために保管することができ、又は、エッチングされた基材をすぐに処理して、金属化又はコーティングすることができる。
【0041】
一実施形態において、エッチングされた基材は、基材の表面を三価クロム塩及び/又は三価クロム錯体を含む水性組成物と接触又は浸漬することにより生成される。接触ステップ及び浸漬ステップは、既知の方法によって実施することができる。
【0042】
一実施形態では、基材の表面をCr(III)錯体触媒を含む水性組成物と接触又は浸漬することにより生成されたエッチング基材であり、Cr(III)錯体は、化学構造1を有する実験式[Cr2(C2O4)4]2-である4つのオキサレート分子に囲まれた二核クロム錯体である。実験式[Cr2(C2O4)4]2-を有するCr(III)錯体を水性組成物に添加することができ、又は既知の方法に従って水性組成物中で現場で作製することができる。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、ポリマーなどの基材のエッチング、メッキ、及び/又はコーティングに使用するためのシステムを提供する。システムは、前述の実施形態のいずれかによる三価クロム塩及び/又は三価クロム錯体を含む水性組成物、及び水性組成物とは異なる別個の1つ以上の浴を含む。任意選択的に、システムは、実験式[Cr2(C2O4)4]2-を有するCr(III)錯体触媒を含む水性組成物を含む。本発明のシステムの1つ以上の浴は、予備活性化浴、活性化浴、促進剤浴、無電解金属(例えばNi)浴、浸漬金属(例えばCu)浴、電解酸性金属(例えばCu)浴、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0044】
本発明の別の態様では、基材表面のエッチング、メッキ、及び/又はコーティングに使用するための多官能性分子を含む水性組成物が提供される。任意選択的に、多官能分子は、二官能性分子である。多官能性又は二官能性分子の1つ以上の反応性基は、ポリマーなどの基材の表面上の官能基と反応し、同じ又は別の反応性基は、金属、特にパラジウム(Pd)又はパラジウム/スズコロイド(Pd/Sn)などの特定の既知の活性剤などの水性組成物中に任意選択的に存在する別の分子と反応する。
【0045】
ポリ(二)官能性分子を含む水性組成物は、基材表面上のポリ(二)官能性分子の化学結合により、基材(例えばポリマー)表面を活性化する。ポリ(二)官能性分子は、活性化浴からパラジウムなどの別の分子の結合又はキレート化を可能にし、活性化浴は、Pd(0)/Sn(II)を含有する液体安定化コロイドであり得る。
【0046】
一実施形態では、二官能性分子は、シランカップリング剤である。用語「シランカップリング剤」は、一端に加水分解によりシラノール(Si-OH)基を生成できるアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、ペントキシ基など)を有し、他端に有機官能基(チオール基、アミノ基、カルボキシル基、アルコール基など)を有する分子を含むことを意図している。
【0047】
シランカップリング剤は、金属と会合又は化学的に結合する(例えば、共有結合する)能力を有する官能基を含む。このような官能基は、例えば、アミノ基(-NH2など)、好ましくはチオール基(-SHなど)である。
【0048】
シランカップリング剤の官能基と会合又は化学結合できる金属は、パラジウム、銅、ニッケル、金、白金、銀、コバルト、ルテニウム、ロジウム、レニウム、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、及びシリコン、並びにパラジウム-銅合金のような上記金属の2つ以上の合金からなる群から選択され得る。
【0049】
基材に適用されるシランカップリング剤などのポリ(二)官能性分子を含む水性組成物は、適切な量の所望の分子(例えば市販のシランカップリング剤)を水又はアルコールなどの溶媒に単に溶解する方法によって調製することができる。シランカップリング剤などのポリ(二)官能基は、当業者によって従来使用されている方法によって適用することができ、その例には、コーティング、スプレー、及び浸漬が含まれる。任意選択的に、基材は、ポリ(二)官能性分子の浴成分に浸漬される。
【0050】
一実施形態では、水性組成物は、金属トラップ能力を有する少なくとも1つの官能基と、基材(例えば、ポリマー、プラスチック)の表面に化学的に結合(例えば共有結合で)する能力を有する少なくとも1つの他の官能基と、を有するシランカップリング剤などの二官能性分子を含む。任意選択的に、金属トラップ能力を有する官能基は、チオール基である。任意選択的に、金属トラップ能力を有する官能基は、アミノ基である。任意選択的に、ポリマー(例えば、プラスチック)などの基材の表面に化学結合(例えば、共有結合)する能力を有する官能基は、アルコキシ基、好ましくはメトキシ基である。
【0051】
一実施形態では、シランカップリング剤は、以下の実験式:Si(R)3-(CH2)n-R’を有し、式中、Rは、プラスチックなどのポリマーの表面と化学結合又はカップリングを形成することができる加水分解性基である官能基又は反応基である。任意選択的に、Rは、アルコキシ基、好ましくはメトキシ(-O-CH3)又はエトキシ(-O-CH2CH3)である。R’は、金属との化学結合又はカップリングを形成することができる官能基又は反応性基である。任意選択的に、R’は、チオール、アミノ、ビニル、エポキシ、メタルシルオキシ、メルカプトからなる群から選択される。任意選択的に、R’は、チオール(-SH)基である。任意選択的に、R’は、-NH基であり、nは、1~10の整数である。任意選択的に、nは、1~5であり、任意選択的に、1~3、任意選択的に、2、任意選択的に1(1)である。
【0052】
一実施形態では、シランカップリング剤は、以下の実験式:Si(OCH3)3-(CH2)n-SH(実験式、nは、1~10の整数である)を有する。任意選択的に、nは、1~5であり、任意選択的に、1~3、任意選択的に、2、任意選択的に1(1)である。任意選択的に、シランカップリング剤は、以下の化学構造:Si(OCH3)3-CH2-SHを有する。任意選択的に、シランカップリング剤は、以下の化学構造を有する:Si(OCH3)3-(CH2)3-SH。
【0053】
本発明の別の態様では、本開示の実施形態のいずれかによる多官能性分子又は二官能性分子、活性化、メッキ、ワニス、又は基材表面のコーティングに使用するための酸又は酸と金属塩又は有機金属錯体の混合物を含む水性組成物が提供される。
【0054】
一実施形態では、二官能性分子は、ポリマー(プラスチックなど)の表面に化学結合(共有結合など)を形成する能力がある加水分解によりシラノール(Si-OH)基を生成することができるアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、ペントキシ基など)を一端に有し、金属と会合又は金属に結合する能力を有する有機官能基(チオール基又はアミノ基など)を他端に有するシランカップリング剤である。
【0055】
一実施形態では、金属塩は、Cr(III)塩及び/又はKMnO4である。任意選択的に、水性組成物は、シュウ酸を含む。任意選択的に、水性組成物中のCr(III)塩の濃度は、約1000~1200ppm、任意選択的に約1100ppmである。任意選択的に、水性組成物中のシュウ酸の濃度は、約30~160mg/l、任意選択的に、約100~160mg/l、任意選択的に、約150~160mg/l、任意選択的に、約150mg/lである。
【0056】
一実施形態では、有機金属錯体は、前述の実施形態のいずれかによるCr(III)錯体である。任意選択的に、Cr(III)錯体は、実験式:[Cr2(Ox)4]2-に従い、式中Oxは、オキサレートである。
【0057】
一実施形態では、酸又は酸の混合物は、硫酸及び/又はリン酸を含む酸を含む。
【0058】
一実施形態では、水性組成物は、基材表面の活性化、メッキ、ワニス、又はコーティングに使用するための二官能性分子、酸又は酸と金属塩の混合物及び/又は有機金属錯体を含み、二官能性分子は、本開示の実施形態のいずれかによる以下の実験式Si(R)3-(CH2)n-R’を有し、式中Rは、加水分解性基である官能基又は反応性基であり、任意選択的に、Rは、アルコキシ基、好ましくはメトキシ(-O-CH3)又はエトキシ(-O-CH2CH3)である。R’は、化学結合又は金属とのカップリングを形成できる官能基又は反応基であり、任意選択的に、R’はチオール、アミノ、ビニル、エポキシ、メタルシルオキシ(metharcyloxy)、メルカプトからなる群から選択される。任意選択的に、R’は、チオール(-SH)基である。任意選択的に、R’は、-NH基であり、nは、1~10の整数である。任意選択的に、nは、1~5であり、任意選択的に、1~3、任意選択的に、2、任意選択的に1(1)であり、有機金属錯体は、本開示の実施形態のいずれかに記載のCr(III)錯体であり、酸は、本発明の実施形態のいずれかの任意の酸又は任意の酸の組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
一実施形態では、水性組成物は、実験式Si(OCH3)3-(CH2)n-SH(式中、nは、1~10の整数であり、任意選択的に、nは、3である)を有する二官能性分子と、実験式[Cr2(Ox)4]2-(Oxは、オキサレートである)を有するCr(III)錯体と、リン酸と硫酸との混合物などの酸の混合物と、を含む。
【0060】
一実施形態では、水性組成物は、リン酸、硫酸、Cr(III)塩、シュウ酸、及び実験式Si(OCH3)3-(CH2)n-SHを有する二官能性分子を含み、nは、1~10、任意選択的に、nは、3である。
【0061】
一実施形態では、基材表面(例えば、ポリマー表面)が酸化され、Pd又は他の金属の無電解析出を促進する無電解触媒などの金属と会合又は結合する能力を有するポリ(二)官能分子と化学結合(例えば共有結合)する活性部位を作成する。任意選択的に、ポリ(二)二官能性分子は、ポリマーのエッチングされていない表面に化学的に結合することができる、すなわち、ポリマーの表面は、前述の実施形態のいずれかによるポリ(二)官能性分子の添加前にエッチングされていない。任意選択的に、ポリ(二)二官能性分子は、ポリマーのエッチングされた表面に化学的に結合することができる。
【0062】
一実施形態では、例えば、ポリマーの表面は、前述の実施形態のいずれかによるCr(III)錯体触媒を介して、例えば[Cr
2(C
2O
4)
4]
2-の実験式を有するCr(III)錯体で酸化され、例えば、実験式Si(OCH
3)
3-(CH
2)
3-SHを有する本開示の実施形態のいずれかによるシランカップリング剤と化学的に反応又は結合して、
図1Aに示すようにポリマーの表面にシラン層を形成する。任意選択的に、Pdなどの金属は、任意選択的に後続の金属(Niなど)メッキのためにシラン表面に化学的に結合又は固定される。この反応の例を、
図1Bに示す。
【0063】
一実施形態では、水性組成物中の本開示の実施形態のいずれかによるポリ(二)官能性分子の濃度は、約0.17~0.21g/l、任意選択的に、約0.17、0.18、0.19、0.20、0.21g/lである。任意選択的に、濃度は、約0.5~4重量%、任意選択的に、約2重量%、任意選択的に約1重量%未満である。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、金属化又はコーティングシステムを提供し、このシステムは、1つ以上の異なるかつ別個の水性組成物又は浴を含む。
【0065】
一実施形態では、システムは、ポリ(二)官能性分子を含む水性組成物又は浴、及び以下の浴のいずれか又は任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない追加の別個の異なる浴を含む:予備活性化浴、活性化浴、加速浴、無電解Ni浴、浸漬Cu浴、又は電解酸性Cu浴。
【0066】
一実施形態では、基材を金属化するプロセスが提供され、ここで、ABS又はPC/ABSなどの基材は、Si(OCH3)3-(CH2)n-SH(式中、nは、1~10の整数であり、任意選択的に、nは、3である)の化学式有する二官能性分子などの多(二)官能性分子を含む水性組成物又は浴に接触又は浸漬される。
【0067】
一実施形態では、ABS又はPC/ABSなどの基材は、化学式Si(OCH3)3-(CH2)n-SH(式中、nは、1~10の整数であり、任意選択的に、nは、3である)を有する二官能性分子と、実験式[Cr2(C2O4)4]2-である、4つのオキサレート分子に囲まれた二核クロム錯体などのCr(III)触媒と、を含む水性組成物又は浴に基材を接触させるか又は浸漬することによりエッチングされる。任意選択的に、浴は、リン酸及び/又は硫酸を含有する。
【0068】
本開示の実施形態によるポリ(二)官能性分子又はポリ(二)官能性分子及びCr(III)錯体触媒を含む浴の温度は、約10~95℃、任意選択的に15~85℃、任意選択的に約20~75℃、任意選択的に約50~80℃、任意選択的に60~70℃、任意選択的に温度は65℃、任意選択的に70℃であり得る。任意選択的に、ABSを浸漬又は接触させる浴の温度は65℃であり、任意選択的に、PC/ABSを浸漬又は接触させる浴の温度は70℃である。任意選択的に、基材を約5~20分間、任意選択的に10分間、浴に浸漬又は接触させる。
【0069】
本開示の実施形態のいずれかによるポリ(二)官能性分子及び/又は実施形態のいずれかによるCr(III)塩又は錯体を含む水性組成物によって基材が活性化された後、金属化のプロセスは、予備活性化浴、活性化浴、促進剤浴、無電解Ni浴、浸漬Cu浴、又は電解酸性Cu浴などの様々な従来の溶液又は浴で、基材の連続浸漬によって実行される。基材は、各浴で処理された後、又は別の浴に浸漬される前に、すすがれてもよい。すすぎは、例えば、約20℃~約75℃の範囲、より好ましくは50℃未満の温度を有する水又は蒸留水を介して、好ましくは約10秒~約60秒、より好ましくは約30秒の範囲の時間で行うことができる。
【0070】
基材を金属化する前に、基材を予備活性化浴及び/又は活性化浴に供することが望ましい場合があるが、必要ではない。基材の予備活性化は、当該技術分野において周知であり、任意の数の既知の溶液が使用され得る。予備活性化は、基材を塩酸、任意選択的に、希釈したHCL試薬グレードを含有する水溶液で処理することによって達成され得る。任意選択的に、基材を、予備活性化浴中に約10秒~2分、任意選択的に、15秒~1分、任意選択的に、30秒の間、予備活性化浴に浸漬又は接触させる。予備活性化浴の温度は、室温、すなわち約20~25℃であり得る。
【0071】
活性化は、金属イオンの水溶液(例えば、パラジウム、白金、金、銀、ロジウム、オスミウム、又はイリジウム)の水溶液で処理することによって達成され得る。任意選択的に、活性化浴は、Pd/Snコロイドを含有する。基材は、温度が20~50℃、任意選択的に30~40℃、任意選択的に約35℃の活性化剤浴に約2~8分、任意選択的に3~7分、任意選択的に4~5分、任意選択的に4分間、浸漬又は接触する。
【0072】
処理された基材は、任意選択的に再度リンスされ、約1~5分、任意選択的に2~4分、任意選択的に2~3分、任意選択的に2.5分の間、30~60℃、任意選択的に40~50℃、任意選択的に45~48℃の温度を有する促進剤浴に浸漬又は接触される。任意選択的に、促進剤浴は、市販の化学物質、Macuplex Ultracell 9369を含有する。
【0073】
無電解堆積は、例えば銅イオン、ニッケル、金、銀及び金属合金などの固体連続金属層になる、溶液中のイオン金属をゼロ酸化状態に無電解還元することにより金属層を形成する金属イオンの水溶液中で処理された基材を接触させることを含む一般的に知られている技術である。このような解決策は、電気を使用することなく、基材の表面上に金属を自動触媒的に堆積させることができる。任意選択的に、促進剤浴に供され、3回目のすすぎの後、(エッチングされた)基材は、3回目のすすぎの後、任意選択的に約5~15分、任意選択的に7~10分、任意選択的に9分の間、20~50℃、任意選択的に30~40℃、任意選択的に30~35℃、任意選択的に32℃の温度を有する市販の無電解ニッケル又は無電解Ni浴(Adhemax LFSなど)に浸漬又は接触させる。その後、4回目のリンスを実施することができる。
【0074】
次いで、任意選択的に、処理された基材を、周囲温度、好ましくは室温、任意選択的に20~25℃の市販の浸漬銅浴(例えば、Adhemax)に浸漬又は接触させる。任意選択的に、基材は、約40~80分、任意選択的に60~70分の間、20~40℃、任意選択的に25~30℃、任意選択的に27℃の温度を有する市販の電解銅又は電解Cu浴(例えばCupracid 210)に更に浸漬又は接触される。この浴中の電流は、例えば4A/dm2であり得る。任意選択的に、基材は、浸漬銅浴に浸漬されない。
【0075】
一実施形態では、本開示の実施形態のいずれかによる、ポリ(二)官能性分子及び/又は三価クロム塩及び/又は三価クロム錯体を含む水性組成物は、酸(複数可)を含有する。本明細書で使用するとき、用語「酸」は、陽子を放出する傾向がある物質を指す。本発明の酸(複数可)には、これらに限定されないが、硫酸、アミノ硫酸(スルファミン酸)、リン酸、二リン酸、メタリン酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酸トルエンスルホン酸(acid toluenesulfonic acid)、クメンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、モノアルキルホホリック(monoalkylphophoric)、ジアルキルリン酸、イセチオン酸、過塩素酸、塩素酸、硝酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化水素酸、ホウ酸又はそれらの混合物が含まれる。
【0076】
一実施形態では、酸は、硫酸、アミノ硫酸(スルファミン酸)、リン酸、二リン酸、メタリン酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、イセチオン酸、過塩素酸、塩素酸、硝酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化水素酸、ホウ酸又はそれらの混合物を含む。これにより、酸性水性組成物を形成する。
【0077】
任意選択的に、酸は、硫酸、リン酸、二リン酸、メタリン酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、又はそれらの混合物を含む。任意選択的に、酸は硫酸、リン酸、又はこれらの混合物である。
【0078】
一実施形態では、水性組成物中の酸(複数可)の質量パーセント濃度(w/w)は、約10%~98%、任意選択的に約40%~95%、任意選択的に約55%~92%である。この酸の全体量は、2つ以上の酸の混合物によって形成することができる。
【0079】
一実施形態では、本開示の実施形態のいずれかによる基材は、ABS、PC/ABS、PA、SAN、又は他のスチレン基である。
【0080】
一実施形態では、実施形態のいずれかによる水性組成物は、ポリマー材料などの基材のエッチング、活性化、金属化、塗装、ワニス及び/又はコーティングに使用される。
【0081】
本発明の別の態様では、前述の実施形態のいずれかによる水性組成物を使用して、ポリマーを含有する基材表面をエッチング、活性化、メッキ、及び/又はコーティングするプロセスが提供される。
【0082】
一実施形態では、エッチング及び/又は活性化される基材の表面は、汚染物質、グリース、腐食性製品、及び他の材料を除去する既存の方法によって、任意選択的に清浄化される。作業温度を達成するために、この目的のために任意の適切な技術を適用することにより、最適な作業温度を維持するために加熱又は冷却される。
【0083】
任意の形状及びサイズの基材を、本発明の水性組成物に30秒~1時間、好ましくは1分~45分、より好ましくは2分~30分の期間浸漬する。これにより、基材の表面が活性化される。
実施例1~18
一般条件
【0084】
実施例1~18で使用される基材は、対応する熱可塑性ポリマーの注入により得られる基材である:ABS、ABS-ポリカーボネート、ポリアミド6、20%ウォラストナイト無機充填剤を含むポリアミド6、ポリプロピレン又は20%タルク無機充填剤を含むポリプロピレン。
【0085】
熱安定性タイプの基材の場合、その硬化は、最新技術で知られている方法によって実行され、熱安定性タイプの基材は、40%ガラス繊維の不飽和ポリエステル樹脂及び40%ガラス繊維のエポキシ樹脂であり得る。
【0086】
全ての場合において、基材は、そのエッチングの前に洗浄される。洗浄は、水浴に浸漬することによって実施され、1%ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液浴、及び2つの水浴に浸漬することによって2回の後続のすすぎを行う。予備洗浄は、基材から汚れ及びグリースを除去すること、及び/又はエッチングのために表面を調製することを意図する。基材の調製プロセスに応じて、この洗浄を回避することができる。エッチング処理は、以下の実施例で提示される対応する浴により実行される。
【0087】
エッチングプロセスの後、水浴に浸漬することによって、2回の連続的なすすぎが実行される。
【0088】
ポリマーがエッチングされると、ニッケルケミストリー(nickel chemistry)としても知られる自己触媒化学ニッケルの堆積は、当該技術分野において既知のプロセスによって行われる。例えば、プロセスには次のステップが含まれる:25℃の活性浴に2分間浸漬することによる基材を処理するステップ、水槽で基材をすすぐステップ、25℃で2分間の促進剤浴で基材を処理するステップ、基材を水浴ですすぐステップ、及び29℃で8~25分間化学ニッケルメッキするために基材を浸漬浴に浸漬するステップ。
【0089】
同様に、エッチングが行われ、基材が乾燥されると、ポリマーのコーティングは、有機系コーティング又は塗料によって実行され得る。
【0090】
実施例1
【0091】
Cr(VI)塩を含有する従来のエッチング浴を、以下の組成物により調製した。
エッチング浴は、380gr/Lの色酸及び400g/Lの濃硫酸を含有していた。エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0092】
実施例2
【0093】
クロムに配位する配位子が酢酸塩である、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、62% H2O溶液と、4%クロム(III)アセテートと、34% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0094】
実施例3
【0095】
クロムに配位する配位子がベンゾエートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、40% H2Oと、3%クロム(III)ベンゾエート、及び57%メタンスルホン酸と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0096】
実施例4
【0097】
クロムに配位する配位子がグリシネートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、21% H2Oと、2.5%メチルグリシン酸クロム(III)と、65.5% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0098】
実施例5
【0099】
クロムに配位する配位子がアミノヘキサノエートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、21% H2Oと、2.2% CrCl3-6H2Oと、1.3%アミノヘキサノエートと、36.5% H3PO4(水中75%)と、39% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0100】
実施例6
【0101】
クロムに配位する配位子がシトレートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、17% H2Oと、1.2% Cr(NO3)3.9H2Oと、2.6%クエン酸と、39.7% H3PO4(水中75%)と、39.5% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0102】
実施例7
【0103】
クロムに配位する配位子がトリエチレンテトラアミンである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、19% H2Oと、0.8% Cr(NO3)3.9H2Oと、1.1%トリエチレンテトラアミンと、38.4% H3PO4(水中75%)と、40.7% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0104】
実施例8
【0105】
クロムに配位する配位子がチオジプロピオネートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18.5% H2Oと、0.7% CrCl3.6H2Oと、0.9%チオジプロピオン酸と、38% H3PO4(水中75%)と、41.9% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0106】
実施例9
【0107】
クロムに配位する配位子がエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)である、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18% H2Oと、0.6% Cr(NO3)3.9H2Oと、0.3%エチレンジアミン四酢酸と、39.7% H3PO4(水中75%)と、41.4% H2SO4と、を含んでいた。エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0108】
実施例10
【0109】
クロムに配位する配位子がエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)である、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18.3% H2Oと、0.6% Cr(NO3)3.9H2Oと、0.5%酸二ナトリウム塩エチレンジアミン四酢酸と、39.2% H3PO4(水中75%)と、41.4% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0110】
実施例11
【0111】
クロムに配位する配位子がエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)である、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。
水性組成物は、18% H2Oと、0.6% Cr(NO3)3.9H2Oと、0.3%エチレンジアミン四酢酸と、39.7% H3PO4(水中75%)と、41.4% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、40℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0112】
実施例12
【0113】
クロムに配位する配位子がエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)である、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。
水性組成物は、18% H2Oと、2% Cr(NO3)3.9H2Oと、1%エチレンジアミン四酢酸と、35.5%メタンスルホン酸(水中75%)と、43.5% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0114】
実施例13
【0115】
クロムに配位する配位子がフマレートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18% H2Oと、0.6% Cr(NO3)3.9H2Oと、0.3%フマル酸と、39.7% H3PO4(水中75%)と、41.4% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0116】
実施例14
【0117】
クロムに配位する配位子がオキサレートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18% H2Oと、0.9% Cr(NO3)3.9H2Oと、0,6%シュウ酸H2C2O4.2H2Oと、39.7% H3PO4と、40.8% H2SO4を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0118】
実施例15
【0119】
クロムに配位する配位子がオキサレートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、17.7% H2Oと、1.2% Cr(NO3)3.9H2Oと、0,6%シュウ酸H2C2O4.2H2Oと、39.7% H3PO4(水中75%)と、40.8% H2SO4を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0120】
実施例16
【0121】
クロムに配位する配位子がサリシレートである、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18% H2Oと、0.6% Cr2O3と、0,8%サリチル酸と、39.7% H3PO4(水中75%)と、40.9% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、25℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0122】
実施例17
【0123】
クロムに配位する配位子がサリチル酸塩である、Cr(III)錯体に基づく水性組成物を調製した。水性組成物は、18% H2Oと、0.6% Cr2O3と、0,8%サリチル酸と、39.7% H3PO4(水中75%)と、40.9% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、60℃の温度で3分間槽内に導入する。
【0124】
実施例18
【0125】
Cr(III)錯体に基づく水性組成物であって、クロムに配位する配位子がグルコネートである、水性組成物を調製した。水性組成物は、18% H2Oと、0.6% Cr2(SO4)3-H2Oと、グルコン酸ナトリウム2%と、38% H3PO4(水中75%)と、41.4% H2SO4と、を含んでいた。
エッチングされる基材を、60℃の温度で3分間槽内に導入する。
結果
【0126】
金属化基材は、ポリマー上のコーティングの接着性を判定するために一般的に使用される方法のうちの1つである格子切断試験(ISO2409)による接着試験に供される。接着性の結果は、接着性に優れている0~5,0で評価され、剥離方法は、DIN53494に従う。
部品のエッチング及び金属化後に得られた金属層の接着性結果を、以下の表1に示す。
【0127】
【0128】
塗料又は有機コーティングでコーティングされた基材を、40℃で2時間空気流中で乾燥させ、その後、エアブラシでコーティングした後に調製された。使用される塗料は、トリエチレングリコールジアクリレートに基づく5 100%固体と呼ばれる標準的なタイプであり、製造業者の推奨に従ってUV硬化が適用される。
ISO2409試験に提示された塗料の接着性結果を表2に示す。
【0129】
【0130】
実施例19
【0131】
本開示による活性化浴をABS及びPC/ABS基材上で試験した。浴は、約43重量%のH2SO4、約41重量%のH3PO4、約4重量%のCr(III)触媒[Cr2(Ox)4]-2、Oxはオキサレートであり、約2重量%の二官能性分子:Si(OCH3)3-(CH2)3-SHを含有していた。H2SO4及びH3PO4は、ABSの表面上に酸化点を作成する。二官能性分子は、ABS基材の表面と結合し、浴、パラジウム(Pd)中に堆積される。したがって、二官能性分子は、ABS基材とPdなどの金属との間のブリッジとして作用し、Pdの堆積及びその後の無電解ニッケルの堆積のための支持体として作用する。
【0132】
実施例20
【0133】
プロセスは、表3に示すように浴を含んでいた。表3に示すように、MSA浴は、実施例20による活性化浴を指す。すすぎ浴を蒸留水で調製した。予備活性化槽と(Pd/Sn)活性化浴との間にすすぎはなかった。浸漬Cu浴は、任意であり、使用されなくてもよい。全ての浴を温度で監視し、処理時間を、各浴のデジタルタイマーを用いて測定する。以下の基材を使用した:PC/ABS:Lotte先進材料からのInfino WP1041G NP、及びABS:Lotte先進材料からのStarex MP0160 R灰色
プロセス条件は、以下の表3であった。
【0134】
【0135】
Cu析出用電解槽を空気で攪拌し、浸漬抵抗で加熱した。処理条件は、以下の表4であった。
【0136】
【0137】
Ni層試料の導電性を改善するために、浸漬Cu溶液で処理した。
浴中で使用される市販の化学物質は、表5であった:
【0138】
【0139】
処理した基材を良好にCuメッキし、剥離試験を実施し、Cu及びNiの厚さを測定した。剥離試験は、ASTM B533に記載の方法を使用して実施した。Niの厚さは、HNO3中の溶液によって測定し、体積測定及びCuの厚さを、コロンビメトリー(columbimetric)法により測定した。ABSについての以下の結果を得た、表6:
【0140】
【0141】
実施例21
この実施例で選択されたポリマー試料は、PC/ABS及びABSであった。リン酸、硫酸、[Cr2(Ox)4]2-、式中OXがオキシレートであり、及び二官能性分子(BFM)が経験Si(OCH3)3-(CH2)3-SHを有する二官能性分子(Bfm)を調製した。浴中の成分の濃度を以下の表7に列挙する。
【0142】
【0143】
以下の成分を有する異なるメッキ浴を調製した。
予備活性剤浴:希釈HCl試薬グレード
活性化浴:Macuplex(登録商標)D34C/Adhemax(登録商標)Activator。
促進浴:Macuplex Ultracell(登録商標)9369
ニッケル無電解:Adhemax LFS(登録商標)
浸漬銅:Adhemax(登録商標)
電解銅:Cupracid 210(登録商標)
【0144】
全ての試料を開梱し、水及び標準実験室で清浄化した。試料を以下の連続浴に浸漬した:上記の浴配合物、予備活性剤、Pd/Sn活性化剤、促進剤、無電解Ni、浸漬Cu、及び電解質酸Cu。各浴間ですすぎステップを実施した。
【0145】
これらの浴を先に調整して、温度の一定性を確保した。各特定の浴の時間及び温度は、これらの化学物質の平均活性レベルに従って安定化された。時間の観点から制限するステップは銅の電解析出であるため、プロセスは、第1のラックがCu金属化されている間に、追加のラックを実行することを可能にする。電流(Amp)は、A/dm2を一定に維持するためにCu浴中のラックの数に比例して適合された。
実施例1による従来のCr(VI)エッチング基材及び本発明のMSA浴により得られた剥離結果を比較した。沈殿条件を用いて以下の値を得た、表8:
【0146】
【0147】
更に、試料の表面形態を分析した。Ni厚は、堆積Niの重量の測定に基づいて(滴定法によって)測定され、Ni堆積物の既知の密度を用いた計算によってNi厚に変換した。実施例1による従来のエッチングされた表面(CrO
3/H
2SO
4を有する)に適用される質量決定による測定方法。
図2Aに示すMSA形態(走査型電子顕微鏡法(SEM)によって観察される)は、クロムエッチングされた表面よりも著しく平坦であり、このようにして、従来のエッチングによって得られたより低い比表面を提供する。MSAプロセスは、小さな空洞(従来のエッチングよりも小さい)を作成し、表面は、CrO
3/H
2SO
4混合物でエッチングされるよりもかなり平坦化される。
図2Bに示すように、ニッケル堆積物は、孔内のニッケルの機械的結合をトラップする空洞内に充填される。加えて、これらの空洞は、ABSメッキをするために、表面上に大量のニッケルを必要としている。
更に、他の原子技術誘導結合プラズマ分光法(ICP)を選択してPd原子を測定し、ポリマー表面上のSi及びSを測定することによってBFMの付着を証拠化した。メッキ化のために得た結果を表9に示した:
【0148】
【表9】
(
*)ABSプラーク重量0.0337Kgを考慮する
【0149】
MSA性能の測定は、化学物質の再生又は添加なしに、MSA浴の体積によって処理されたポリマー表面として理解された。実験のための出力変数は、剥離試験(ASTM B533)によって測定される接着性であり、許容基準は、GMW14668仕様から取得された(許容値値(values values)は、ABSについては9N/cm、PC/ABSについては4.5N/cmである)。
【0150】
MSA浴は、ほぼ10~15日の再生、及びほぼ140dm2のメッキかを行わず、良好な剥離接着力を提供した。MSA浴の動作範囲は、接着保証を伴う再生なしに約30dm2/Lであることを確立した。
【0151】
実施例22
【0152】
この実施例では、実施例21によるMSA浴の安定性を試験した。周囲条件における浴の耐久性は、これらの化学物質を使用する潜在的な工業プロセスにおけるこの化学物質のロジスティック及び貯蔵に影響を及ぼす。したがって、全ての成分を有する浴の安定性を制御条件下で分析して、保管に推奨される最大時間を規定した。
【0153】
実施例21によるMSA浴を調製し、平均剥離接着性を定期的に試験した。結果は、本発明によるMSA浴が初期生産から61日後であっても活性であることを示す。
【0154】
実施例23
PA及びASAポリマーを、実施例21によるMSA浴に浸漬し、Ni及びCu接着性について試験した。以下の結果を得た、表10:
【0155】
【0156】
結果は、ASA及びPAポリマーの接着値が、4.5N/cmであるGMW14668の要件よりも高いことを示す。
【0157】
実施例24
この実施例は、ABS及びPC/ABSの金属化プロセスを示す。プロセス条件を以下の表に示す、表11:
【0158】
【0159】
ポリマー基材は、乾燥ペレットから生成され、推奨されるプロセス条件に従ってプラーク形状で注入された。試料を化学線に通し、Niメッキプラークを得た。異なるメッキ浴が異なる成分を有するように調製された:予備活性化剤:希釈HCl試薬グレード;活性化剤:Adhemax Activator、アセレータ:Macuplex Ultracell 9369、ニッケル無電解:Adhemax LFS、浸漬銅:Adhemax、電解銅:Cupracid 210
【0160】
試料を銅にメッキした。Ni厚を0.08μmで測定した。接着性を測定するために、ASTM-B533に記載の剥離試験を予備成形した。剥離強度を測定し、約14N/cmであった。GMW14668で詳述されるように、許容される接着値は、9N/cmよりも高くなければならない。
【0161】
以下の番号付けされた段落は、本開示の特定の実施形態に関連すると考えられる特徴の特定の組み合わせを提示する。
1.基材の活性化表面に使用するための水性組成物であって、二官能性分子、酸又は酸の混合物、並びに金属塩及び/又は有機金属錯体と、を含み、二官能性分子が、次の実験式I:
Si(R)3-(CH2)n-R’ (I)
を有し、式中、Rは、加水分解性基であり、基材表面と化学結合又はカップリングを形成できる官能基又は反応性基であり、R’は、金属と化学結合又はカップリングを形成できる官能基又は反応性基であり、nは、1~10の整数、好ましくはnは、3である、水性組成物。
2.Rが、アルコキシ基、好ましくはメトキシ(-O-CH3)又はエトキシ(-O-CH2CH3)である、段落のいずれかに記載の水性組成物。
3.R’が、チオール、アミノ、ビニル、エポキシ、メタルシクロキシ、メルカプト、好ましくはR’は-SH又は-NH基であり、より好ましくはR’は-SHである、段落のいずれかに記載の水性組成物。
4.二官能性分子が以下の実験式II、
Si(OCH3)3-(CH2)n-SH (II)
を有し、式中、nは、1~10の整数であり、好ましくはnは、3である、段落のいずれかに記載の水性組成物。
5.二官能性分子が、以下の実験式III、
Si(OCH3)3-(CH2)3-SH (III)を有する、段落のいずれかに記載の水性組成物。
6.有機金属錯体が、経験[Cr2(C2O4)4]2-を有する4つのオキサレート分子によって取り囲まれた二核クロム錯体である、段落のいずれかに記載の水性組成物。
7.二官能性分子が、Si(OCH3)3-(CH2)3-SHであり、有機金属錯体が、実験式[Cr2(C2O4)4]2-を有する4つのオキサレート分子によって取り囲まれた二核クロム錯体である、段落のいずれかに記載の水性組成物。
8.酸の混合物が、硫酸及びリン酸を含む、段落のいずれかに記載の水性組成物。
9.水性組成物が、実験式Si(OCH3)3-(CH2)n-SHを有する二官能性分子であって、nは、1~10の整数であり、好ましくはnは、3である、二官能性分子と、リン酸と、硫酸と、Cr(III)塩と、シュウ酸と、を含む、段落のいずれかに記載の水性組成物。
10.金属が、パラジウム、銅、ニッケル、金、白金、銀、コバルト、ルテニウム、ロジウム、レニウム、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、及びシリコン、並びに上記金属の2つ以上の合金、好ましくはパラジウム-銅合金又はパラジウム/スズコロイドからなる群から選択される、段落のいずれかに記載の水性組成物。
11.水性組成物中の二官能性分子の濃度が、約0.17~0.21g/lである、段落のいずれかに記載の水性組成物。
12.水性組成物中の金属塩又は有機金属錯体の濃度が、約30~160mg/lの間である、段落のいずれかに記載の水性組成物。
13.水性組成物の温度が40~90℃である、段落のいずれかに記載の水性組成物。
14.基材の表面を活性化するプロセスであって、上記段落のいずれかに記載の、基材の表面を水性組成物と接触又は浸漬することを含むプロセス。
15.基材の活性化された表面が以下の浴、予備活性化浴、活性化浴、促進剤浴、無電解ニッケル浴、浸漬銅浴、及び電解銅浴、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つに接触又は浸漬され、これにより、基材の表面が金属化される、段落のいずれかに記載のプロセス。
16.基材の表面を、約10秒~2分間予備活性化浴に浸漬又は接触させ、予備活性化浴が、約20~25℃の温度を有する、段落のいずれかに記載のプロセス。
17.基材が、20~50℃の温度を有する活性化剤浴に約2~8分間浸漬又は接触される、段落のいずれかに記載のプロセス。
18.基材が、30~60℃の温度を有する活性化剤浴に約1~5分間浸漬又は接触される、段落のいずれかに記載のプロセス。
19.基材が、20~50℃の温度を有する無電解ニッケル浴に約5~15分間、任意選択的に7~10分間浸漬又は接触される、段落のいずれかに記載のプロセス。
20.基材が、20~40℃の温度を有する電解銅に約40~80分間、任意選択的に60~70分間浸漬又は接触される、段落のいずれかに記載のプロセス。
21.基材が、次の浴、すなわち、予備活性化浴、活性化浴、促進剤浴、無電解ニッケル浴、浸漬銅浴及び電解銅浴に連続的に接触又は浸漬される、段落のいずれかに記載のプロセス。
22.活性化された基材であって、次の実験式IIを有する二官能性分子の加水分解されたシラン反応性基と化学的に結合又はカップリングした表面を有し、
Si(OCH3)3-(CH2)n-SH (II)
式中、nは、1~10の整数であり、好ましくはnは、3であり、
二官能性分子のチオール部分が、金属への化学結合又はカップリングを形成することができる、活性化された基材。
23.段落のいずれかに記載のプロセスによって生成された活性化された基材。
24.基材が、ポリマー材料である、段落のいずれかに記載の水性組成物、プロセス及び基材の活性化された表面。
25.プラスチック基材にニッケルをメッキする方法であって、
a.プラスチック基材を、[Cr2(C2O4)4]2-、Si(OCH3)3-(CH2)n-SH、式中nは、1~10の整数であり、好ましくは、3であり、酸、微量金属、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む化学浴と接触させることと、
b.プラスチック基材を無電解Niを含む化学浴と接触させることと、を含む、ニッケルをメッキする方法。
26.化学浴が、[Cr2(C2O4)4]2-、Si(OCH3)3-(CH2)n-SH、酸、及び微量金属を含み、nは1~10の整数であり、好ましくはnは、3である、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
27.化学浴が、[Cr2(C2O4)4]2-を含む、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
28.化学浴が、Si(OCH3)3-(CH2)n-SH、を含み、nは、1~10の整数、好ましくは、nは、3である、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
29.プラスチック基材が、SAN、PC/ABS、ABS、PS、ASA、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
30.プラスチック基材が、スチレン又はアクリロニトリルを含む、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
31.化学浴が、Cr(VI)種を含まない、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
32.無電解Niに接触させる前にプラスチック基材をすすぐことを更に含む、段落のいずれかに記載のニッケルをメッキする方法。
33.プラスチック基材が、中和溶液に接触しない、段落のいずれかに記載のニッケルをメッするキ方法。
34.プラスチック基材が、銅溶液に接触しない、段落のいずれかに記載のニッケルをメッするキ方法。